JP3596090B2 - 車両用空調装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、内気吸入口または外気吸入口から吸入された内気または外気を、熱交換器にて熱交換させた後に車室内に吹き出し、かつこの熱交換器における熱交換能力を電力で調節するように構成された車両用空調装置に関し、特には電気自動車用空調装置に適している。
【0002】
【従来の技術】
例えば電気自動車は、ガソリンエンジン車のように温水熱源を持っていない。そのため、電気自動車ではヒートポンプ式冷凍サイクルを用い、このヒートポンプサイクルの一部をなす熱交換器を空調ダクト内に設け、この冷凍サイクルの圧縮機を電動モータで駆動する構成としている。そして車室内暖房を行うときには、この空調ダクト内の熱交換器が凝縮器として機能するようにヒートポンプサイクルを切り換え、この凝縮器の凝縮熱で車室内へ吹き出す風を加熱するようにしている。
【0003】
このようなヒートポンプサイクルを利用した車両用空調装置の従来技術として、例えば特開昭52−25341号公報に開示されたものがある。これは具体的には、上記空調ダクト内熱交換器の吸込側空気温度が設定値よりも高いとき(冷房時)または低いとき(暖房時)に、この熱交換器を通過する風量を低下させることによって、圧縮機の負荷を低減させるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしこの従来技術では、上記風量低下の制御を行うにあたって内外気切換モードのことを何ら考慮していない。従ってこの従来技術では、内気循環モードであろうが外気導入モードであろうが、上記熱交換器の吸込側空気温度が設定値よりも高いとき(冷房時)または低いとき(暖房時)に上記風量低下の制御を行うことになる。
【0005】
ところで、内気循環モードのときに比べて外気導入モードのときでは、冬場においては低温の外気が空調ダクト内に吸い込まれ、また夏場においては高温の外気が空調ダクト内に吸い込まれるので、上記熱交換器における空調負荷が増大して、圧縮機の負荷が増大する。その結果、圧縮機を駆動する電動モータの消費電力が増大する。
【0006】
従って、上記従来技術における風量低下は、外気導入モードのときに行われる場合には、空調負荷が低減できるため、電動モータの消費電力増大を抑えることができて有効である。しかし、内気循環モードのときに行われる場合は、空調負荷は低減されないため、かえって冷凍サイクルの効率が悪くなってしまう。
また、車室内暖房を上記ヒートポンプサイクルではなく、電気ヒータで行う場合においても、外気導入モードのときに上記風量低下を行えば、この電気ヒータが消費する電力を低減できる一方で、また内気循環モードのときに上記風量低下を行うことは意味を持たない。
【0007】
そこで本発明は上記問題に鑑み、内気吸入口または外気吸入口から吸入された内気または外気を、熱交換器にて熱交換させた後に車室内に吹き出し、かつこの熱交換器における熱交換能力が電力で調節されるように構成された車両用空調装置において、内外気切換モードに応じて熱交換器に流れる風量を制御することによって、この熱交換器の熱交換能力を調節するための電力を抑えるとともに、システム効率を良好にすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、一端側に、内気を吸入する内気吸入口(5)および外気を吸入する外気吸入口(6)が形成され、他端側に、車室内に通ずる吹出口(14〜16)が形成された空気通路(2)と、前記内気吸入口(5)および外気吸入口(6)を選択的に開閉する吸入口開閉手段(7)と、前記内気吸入口(5)または外気吸入口(6)から前記吹出口(14〜16)に向かって、前記空気通路(2)内に空気流を発生する送風手段(4)と、前記空気通路(2)内に設けられ、この空気通路(2)内の空気との間で熱交換を行う熱交換器(11、12)とを備え、この熱交換器(11、12)における熱交換能力が電力で調節されるように構成された車両用空調装置において、前記吸入口開閉手段(7)が前記内気吸入口(5)を開いて前記外気導入口を閉じる内気循環モードか、あるいは前記内気吸入口(5)を閉じて前記外気吸入口(6)を開く外気導入モードかを判定する内外気切換モード判定手段(ステップ130)と、この内外気切換モード判定手段(ステップ130)によって前記内気循環モードであると判定されたとき、前記送風手段(4)における送風量を第1の送風量として決定する第1の送風量決定手段(ステップ180)を有し、前記送風手段(4)における送風量が前記第1の送風量となるように前記送風手段(4)を制御するように構成された第1の送風制御手段(ステップ180、190)と、前記内外気切換モード判定手段(ステップ130)によって前記外気導入モードであると判定されたとき、前記送風手段(4)における送風量を第2の送風量として決定する第2の送風量決定手段(ステップ170)を有し、前記送風手段(4)における送風量が、前記第2の送風量となるように前記送風手段(4)を制御するように構成された第2の送風制御手段(ステップ170、190)とを備え、前記第1、第2の送風量決定手段(ステップ180、170)は、前記送風量を段階的に変化させる複数の風量モードのうち設定された1つのモードに対応して前記送風量を決定するようになっており、前記複数の風量モードのうち前記送風量を最大とするモードが設定されているときに、前記第2の送風量決定手段(ステップ170)は、前記第1の送風量決定手段(ステップ180)が決定する送風量より小さい送風量を決定し、前記複数の風量モードのうち前記送風量を最大とするモード以外のモードが設定されているときに、前記第2の送風量決定手段(ステップ170)は、前記第1の送風量決定手段(ステップ180)が決定する送風量と同じ送風量を決定することを特徴とする。
【0011】
また請求項2記載の発明では、一端側に、内気を吸入する内気吸入口(5)および外気を吸入する外気吸入口(6)が形成され、他端側に、車室内に通ずる吹出口(14〜16)が形成された空気通路(2)と、前記内気吸入口(5)および外気吸入口(6)を選択的に開閉する吸入口開閉手段(7)と、前記内気吸入口(5)または外気吸入口(6)から前記吹出口(14〜16)に向かって、前記空気通路(2)内に空気流を発生する送風手段(4)と、前記空気通路(2)内に設けられ、この空気通路(2)内の空気との間で熱交換を行う熱交換器(11、12)とを備え、この熱交換器(11、12)における熱交換能力が電力で調節されるように構成された車両用空調装置において、前記吸入口開閉手段(7)が前記内気吸入口(5)を開いて前記外気導入口を閉じる内気循環モードか、あるいは前記内気吸入口(5)を閉じて前記外気吸入口(6)を開く外気導入モードかを判定する内外気切換モード判定手段(ステップ130)と、前記熱交換器(11、12)の熱交換能力を調節するための電力を低減させる必要がある条件か否かを判定する他の電力低減条件判定手段(ステップ140〜160)と、前記内外気切換モード判定手段によって前記内気循環モードであると判定されたとき、前記送風手段における送風量が第1の送風量となるように前記送風手段を制御する第1の送風制御手段と、前記内外気切換モード判定手段(ステップ130)によって前記外気導入モードであると判定され、かつ前記他の電力低減条件判定手段(ステップ140〜160)によって前記電力を低減させる必要がある条件と判定されたとき、前記送風手段における送風量が、前記第1の送風量よりも小さな第2の送風量となるように前記送風手段を制御する第2の送風制御手段(ステップ170、190)と、前記熱交換器(11、12)における熱交換能力を調節するための電力を節約する指示を入力する節電指示入力手段(57)とを備え、前記他の電力低減条件判定手段(ステップ140〜160)は、前記節電指示入力手段(57)に前記節電指示が入力されているか否かを判定する節電指示判定手段(ステップ160)を有し、この節電指示判定手段(ステップ160)によって前記節電指示が入力されていると判定されたときが、前記電力を低減させる必要がある条件であるように構成されたことを特徴とする。
【0012】
また請求項3記載の発明では、請求項2記載の車両用空調装置において、前記他の電力低減条件判定手段(ステップ140〜160)は、前記熱交換器(11、12)が前記空気通路(2)内の空気を加熱する暖房運転モードか否かを判定する運転モード判定手段(ステップ140)を有し、この運転モード判定手段(ステップ140)によって前記暖房運転モードであると判定されたときが、前記電力を低減させる必要がある条件であるように構成されたことを特徴とする。
【0013】
また請求項4記載の発明では、請求項2または3記載の車両用空調装置において、外気温度を検出する外気温度検出手段(41)を備え、前記他の電力低減条件判定手段(ステップ140〜160)は、前記外気温度検出手段(41)が検出した外気温度が所定の低外気温度以下か否かを判定する外気温度判定手段(ステップ150)を有し、この外気温度判定手段(ステップ150)によって前記検出外気温度が前記所定の低外気温度以下であると判定されたときが、前記電力を低減させる必要がある条件であるように構成されたことを特徴とする。
【0015】
また請求項5記載の発明では、請求項1ないし4いずれか1つ記載の車両用空調装置において、前記第1の送風量は、通常の空調用に設定された風量であることを特徴とする。また請求項6記載の発明では、請求項1ないし5いずれか1つ記載の車両用空調装置において、前記熱交換器(11、12)は、冷凍サイクル(20)の一部を構成する熱交換器(11、12)であり、前記冷凍サイクル(20)の一部をなす圧縮機(21)は、電動モータ(30)によって駆動されることを特徴とする。
【0016】
また請求項7記載の発明では、請求項1ないし6いずれか1つ記載の車両用空調装置において、前記冷凍サイクル(20)はヒートポンプ式冷凍サイクルであることを特徴とする。また請求項8記載の発明では、請求項1ないし7いずれか1つ記載の車両用空調装置が電気自動車用である電気自動車用空調装置を特徴とする。
【0017】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施例の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0018】
【発明の作用効果】請求項1ないし7記載の発明によると、送風手段が駆動することによって、内気循環モードのときには内気が、また外気導入モードのときには外気がそれぞれ空気通路内に吸入される。そしてこの内気または外気が、電力で熱交換能力が調節される熱交換器によって熱交換された後、吹出口から車室内に向かって吹き出される。
【0019】
ここで、外気導入モードのときには、送風手段における送風量が、内気循環モードのときの送風量(第1の送風量)よりも小さい送風量(第2の送風量)となるので、外気導入モードという、空調負荷が増大する条件のときに、必要熱量が小さくなり、その結果、熱交換器の熱交換能力を調節するための電力の消費量を抑えることができる。
【0020】
また内気循環モードのときには、送風手段における送風量が前記第1の送風量となるので、冷凍サイクルの効率が悪化することを避けることができる。特に請求項2ないし4記載の発明では、外気導入モードであっても、他の電力低減条件判定手段によって電力を低減させる必要がある条件と判定されたときのみ、送風手段における送風量を第2の送風量(<第1の送風量)とし、前記条件でないと判定されたときは第1の送風量とするので、よりきめ細かい電力消費量の抑制効果を得ることができる。
【0021】
また請求項8記載の発明のように電気自動車用空調装置においては、上記のように電力消費量を抑制することによって、車両走行距離を少しでも伸ばすことができる。
【0022】
【実施例】
次に、本発明を電気自動車用空調装置として用いた第1実施例を図1〜7に基づいて説明する。
図1の空調ユニット1における空調ダクト2は、車室内に空気を導く空気通路を構成するもので、一端側に内外気切換手段3および送風手段4が設けられ、他端側に車室内へ通ずる複数の吹出口14〜16が形成されている。
【0023】
上記内外気切換手段3は、車室内の空気(内気)を吸入する内気吸入口5と、車室外の空気(外気)を吸入する外気吸入口6とが形成された内外気切換箱内に、各吸入口5、6を選択的に開閉する内外気切換ドア7が設けられ、この内外気切換ドア7がその駆動手段(図示しない、例えばサーボモータ)によって駆動される構成である。またこの駆動手段には、内外気切換ドア7の位置を検出する手段42(具体的にはポテンショメータ、図2参照)が接続されている。
【0024】
上記送風手段4は、上記内気吸入口5または外気吸入口6から上記各吹出口14〜16に向かって、空調ダクト2内に空気流を発生させるもので、具体的には、スクロールケーシング8内に多翼ファン9が設けられ、このファン9がその駆動手段であるブロワモータ10によって駆動される構成である。
また、ファン9よりも空気下流側における空調ダクト2内には冷房用室内熱交換器11が設けられている。この冷房用室内熱交換器11は、後述する冷凍サイクル20の一部を構成する熱交換器であり、後述する冷房運転モード時に、内部を流れる冷媒の吸熱作用によって、空調ダクト2内の空気を除湿、冷却する蒸発器として機能する。なお、後述する暖房運転モード時にはこの冷房用室内熱交換器11内には冷媒は流れない。
【0025】
また、冷房用室内熱交換器11よりも空気下流側における空調ダクト2内には暖房用室内熱交換器12が設けられている。この暖房用室内熱交換器12は、冷凍サイクル20の一部を構成する熱交換器であり、後述する暖房運転モード時に、内部を流れる冷媒の放熱作用によって、空調ダクト2内の空気を加熱する凝縮器として機能する。なお、後述する冷房運転モード時にはこの暖房用室内熱交換器12内には冷媒は流れない。
【0026】
また空調ダクト2内のうち、暖房用室内熱交換器12と隣接した位置には、ファン9から圧送されてくる空気のうち、暖房用室内熱交換器12を流れる量とこれをバイパスする量とを調節するエアミックスドア13が設けられている。
また上記各吹出口14〜16は、具体的には、車両フロントガラスの内面に空調空気を吹き出すデフロスタ吹出口14と、車室内乗員の上半身に向かって空調空気を吹き出すフェイス吹出口15と、車室内乗員の下半身に向かって空調空気を吹き出すフット吹出口16である。またこれらの吹出口の空気上流側部位には、これらの吹出口を開閉するドア17〜19が設けられている。
【0027】
ところで上記冷凍サイクル20は、上記冷房用室内熱交換器11と暖房用室内熱交換器12とで車室内の冷房および暖房を行うヒートポンプ式冷凍サイクルで、これらの熱交換器11、12の他に、冷媒圧縮機21、室外熱交換器22、冷房用減圧装置23、暖房用減圧装置24、アキュムレータ25、および冷媒の流れを切り換える四方弁26を備え、これらが冷媒配管27で接続された構成となっている。また、図中28は電磁弁、29は室外ファンである。
【0028】
ところで冷媒圧縮機21は、電動モータ30によって駆動されたときに冷媒の吸入、圧縮、吐出を行う。この電動モータ30は、冷媒圧縮機21と一体的に密封ケース内に配置されており、インバータ31に制御されることによって回転速度が連続的に可変する。またこのインバータ31は、制御装置40(図2)によって通電制御される。
【0029】
この制御装置40には、図2に示すように、外気温度を検出する外気温センサ41、および上記ポテンショメータ42からの各信号が入力されるとともに、車室内前面に設けられたコントロールパネル51の各レバー、スイッチからの信号も入力される。
このコントロールパネル51は図3に示すように、各吹出モードの設定を行う吹出モード設定スイッチ52、車室内へ吹き出される風量を設定する風量設定スイッチ53、内外気切換モードを設定する内外気切換スイッチ54、冷凍サイクル20の運転モードを設定する運転モード設定スイッチ55、車室内への吹出風温度を設定する温度設定レバー56、電動モータ30での消費電力を節電するモードを設定する節電スイッチ57、およびファン9と冷凍サイクル20の運転をオート制御させるオートスイッチ58が設けられている。
【0030】
このうち、上記風量設定スイッチ53にて設定できる風量のモードは、LO 、Me1、Me2、Hi の4つであり、このスイッチ53を押す度に、前記設定風量がLO →Me1→Me2→Hi のように1ランクずつアップする。そして、Hi になっている状態で風量設定スイッチ53を押すと、設定風量はLO となる。
また、上記内外気切換スイッチ54にて設定できる内外気切換モードは、内外気切換ドア7が内気吸入口5を開けて外気吸入口6を閉じる内気循環モードと、内外気切換ドア7が内気吸入口5を閉じて外気吸入口6を開ける外気導入モードとがある。
【0031】
また上記運転モード設定スイッチ55は、ファン9の運転/停止を切り換える送風スイッチ55a、冷凍サイクル20の運転モードを冷房運転モード/オフで切り換える冷房スイッチ55b、および冷凍サイクル20の運転モードを暖房運転モード/オフで切り換える暖房スイッチ55c等から成る。
また上記温度設定レバー56は、その設定位置に応じて、冷房運転モード時には、冷房用室内熱交換器11における空気冷却度合い(具体的にはこの熱交換器11を通過した直後の空気温度)の目標値を制御装置40に指令し、暖房運転モード時には、暖房用室内熱交換器12における空気冷却度合い(具体的にはこの熱交換器12内を流れる冷媒圧力)の目標値を制御装置40に指令するものである。
【0032】
なお、この制御装置40は、冷房運転モード時には、冷房用室内熱交換器11を通過した直後の実際の空気温度が上記目標値となるようにインバータ31を制御し、暖房運転モード時には、暖房用室内熱交換器12内を流れる実際の冷媒圧力が上記目標値となるようにインバータ31を制御する。
また、図2の制御装置40の内部には、図示しないCPU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピュータが設けられ、外気温センサ41およびポテンショメータ42からの信号、およびコントロールパネル51からの各信号は、ECU内の図示しない入力回路を経て、上記マイクロコンピュータへ入力される。
【0033】
そしてこのマイクロコンピュータが後述する所定の処理を実行し、その処理結果に基づいてインバータ31等の上記各駆動手段を制御する。なお、制御装置40は、図示しないバッテリーから電源が供給される。
ところで、車室内乗員が上記冷房スイッチ55bをオンしたときは、上記マイクロコンピュータが圧縮機21を運転させるとともに四方弁26、電磁弁28を制御することによって、冷凍サイクル20は冷房運転モードとなる。このモードのときの冷媒の流れは、圧縮機21→室外熱交換器22→冷房用減圧装置23→冷房用室内熱交換器11→アキュムレータ25→圧縮機21の順である。
【0034】
また、車室内乗員が上記暖房スイッチ55cをオンしたときは、上記マイクロコンピュータが圧縮機21を運転させるとともに四方弁26、電磁弁28を制御することによって、冷凍サイクル20は暖房運転モードとなる。このモードのときの冷媒の流れは、圧縮機21→暖房用室内熱交換器12→暖房用減圧装置24→室外熱交換器22→電磁弁28→アキュムレータ25→圧縮機21の順である。
【0035】
次に、上記マイクロコンピュータが行う送風制御処理について、図4を用いて説明する。
まず、キースイッチがオンされて制御装置40にメイン電源が供給されると図4のルーチンが起動され、ステップ110にて、上記外気温センサ41、ポテンショメータ42、およびコントロールパネル51の各レバー、スイッチからの信号を読み込む。
【0036】
そして次のステップ120にて、運転モード設定スイッチ55のうちの送風スイッチ55a以外のスイッチがオンされているか否かを判定する。ここでYESと判定されたときはステップ130に進み、NOと判定されたときはそのままこのルーチンを抜ける。
ステップ130〜160では、ブロワモータ10に印加するブロワ電圧を、通常の空調用に設定された電圧に決定するか、あるいはこれよりも低い電圧に決定するかを判定する。そして、ステップ130〜160のいずれか1つでNOと判定されたときは、ステップ180にて上記通常通りのブロワ電圧に決定し、ステップ130〜160の全てでYESと判定されたときは、ステップ170にて上記低いブロワ電圧に決定する。
【0037】
すなわち、まずステップ130にて、ポテンショメータ42からの信号に基づいて外気導入モードか否かを判定する。そしてステップ140〜160にて、電動モータ30の消費電力を低減させる必要がある条件か否かを判定する。具体的には、ステップ140にて、暖房スイッチ55cがオンされているか否かを判定することによって、暖房運転モードであるか否かを判定する。またステップ150にて、外気温センサ41からの信号に基づいて外気温が所定の低外気温度(本実施例では5℃)以下か否かを判定する。またステップ160にて、節電スイッチ57がオンされているか否かを判定する。
【0038】
そして、これらステップ130〜160のいずれか1つでNOと判定されたときに行われるステップ180では、ROMに記憶された図5のマップを参照しながら、実際に風量設定スイッチ53で設定されたモードに対応するブロワ電圧を決定する。例えば、そのとき風量設定スイッチ53でLo モードに設定されていたなら、ブロワ電圧はV1 に決定される。
【0039】
また、上記ステップ130〜160の全てでYESと判定されたときに行われるステップ170では、ROMに記憶された図6のマップを参照しながら、実際に風量設定スイッチ53で設定されたモードに対応するブロワ電圧を決定する。例えば、そのとき風量設定スイッチ53でLo モードに設定されていたなら、ブロワ電圧は上記V1 よりも低い値であるV5 に決定される。なお、図6中の一点鎖線は図5で示したものを示している。
【0040】
そしてこのステップ170またステップ180の処理を終えたら、次のステップ190にて、上記ステップ170またはステップ180で決定されたブロワ電圧をブロワモータ10に印加しその後このルーチンを抜ける。また、上記ステップ120にてNOと判定されたとき、すなわち冷房や暖房が設定されていないときも、このルーチンを抜ける。
【0041】
なお、上記各ステップは、それぞれの機能を実現する手段を構成する。
このように本実施例では、ステップ130〜160の全てでYESと判定されたときに、ステップ170、190の制御を行うので、以下のような効果を奏する。
すなわち、暖房運転モードのときにおける暖房用室内熱交換器12の暖房負荷Q、および電動モータ30の消費動力Lは、図7に示すように外気温が低くなる程大きくなる。また、この暖房負荷Qおよび消費動力Lは、暖房用室内熱交換器12を流れる風量が多い場合は図中破線のように大きくなり、熱交換器12を流れる風量が少ない場合は図中実線のように小さくなる。
【0042】
そこで本実施例では、ステップ130〜160の全てでYESと判定されたときにはステップ170、190の制御を行うようにすることによって、暖房負荷Qおよび消費動力Lを図7の実線のようにすることができる。その結果、室内熱交換器12における暖房負荷を低減でき、電動モータ30の消費電力を低減することができる。
【0043】
さらに、ステップ130でNOと判定されたとき、すなわち内気循環モードのときには、ステップ180、190の制御を行うようにしたので、内気循環モード時には通常通りの風量で吹き出され、冷凍サイクル20の効率悪化を避けることができる。
また本実施例では、上記のように電動モータ30の消費電力を低減できるので、この電動モータ30の消費電力に伴う車両走行距離の低下量も低減できる。
【0044】
また本実施例は、暖房時は高圧を温度設定レバー56で設定するものであり、この場合、外気導入モードに切り換えたときに低温の外気が暖房用室内熱交換器12の吸込側に導かれて、車室内への吹出風温度が多少低下するが、このときには風量を低減しているので、この吹出風温度の低下幅を小さく、あるいは無くすことができる。
【0045】
次に本発明の第2実施例を説明する。
上記実施例のステップ170では、図6のマップを用いてブロワ電圧を決定したが、図8の実線で示されるマップを用いてブロワ電圧を決定しても良い。本実施例では、最も強風であるHi モードに設定されたときのみブロワ電圧を低下させるが、このHi モードのときとは、空調負荷が最も大きいときであるので、少なくともこのような負荷が最も大きいときにブロワ電圧を低下させることによって、電動モータ30の省電力効果は高くなる。
【0046】
次に本発明の第3実施例を説明する。
上記各実施例では、風量設定スイッチ53をプッシュ式スイッチとしたが、温度設定レバー56のようにスライド式のレバーとしても良い。この場合、ステップ170では例えば図9の実線に示すマップに基づいてブロワ電圧を決定し、ステップ180では図9の一点鎖線に示すマップに基づいてブロワ電圧を決定すれば良い。
【0047】
次に本発明の第4実施例を説明する。
上記各実施例では、ブロワ電圧は風量設定スイッチ53にてマニュアルで設定したが、オートで設定するようにしても良い。この場合、例えば車室内の設定温度、車室内温度、外気温度、日射量等に基づいて車室内へ吹き出す目標吹出温度(TAO)を算出し、図10に示すようなTAOとブロワ電圧との関係をマップとしてROMに記憶させておき、TAOに応じたブロワ電圧をこの図10のマップからサーチして決定するようにすれば良い。
【0048】
なお、図10の実線はステップ170、190で制御したときのブロワ電圧、一点鎖線はステップ180、190で制御したときのブロワ電圧である。
図11に、車室内の急速暖房を行ったときにおけるブロワ電圧の時間的変化を示す。ここで、図中実線はステップ170、190で制御したときのブロワ電圧、図中一点鎖線はステップ180、190で制御したときのブロワ電圧、および図中二点鎖線はマニュアルでLo モードに固定して制御した場合のブロワ電圧をそれぞれ示す。
【0049】
(変形例)
ステップ140ないしステップ160のいずれか1つ以上を無くしても良い。要は、外気導入モードのときにステップ170、190の制御を行い、内気循環モードのときにステップ180、190の制御を行うことによって、電動モータ30の消費電力を抑えることができるとともに、冷凍サイクル20の効率を悪化させないようにすることもできる。
【0050】
また、上記各実施例では、暖房時は高圧を温度設定レバー56で設定するものであったが、圧縮機の回転数を温度設定レバー56で設定し、圧縮機回転数を固定するものとしても良い。この場合も、外気導入モードに切り換えたときに低温の外気が暖房用室内熱交換器12の吸込側に導かれて、車室内への吹出風温度が多少低下するが、このときには風量を低減しているので、この吹出風温度の低下幅を小さく、あるいは無くすことができる。
【0051】
また、上記各実施例では全て、請求項1記載の発明でいう熱交換器を冷凍サイクル20の熱交換器11、12で構成したが、電気ヒータで構成しても良い。
また、上記各実施例は全て電気自動車用空調装置であったが、例えば室内用空調装置としても適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第1実施例の全体構成図である。
【図2】上記第1実施例の制御系のブロック図である。
【図3】上記第1実施例のコントロールパネルの正面図である。
【図4】上記第1実施例の送風制御処理手順を示すフローチャートである。
【図5】上記第1実施例の風量設定スイッチで設定されるモードとブロワ電圧との関係を示すマップである。
【図6】上記第1実施例の風量設定スイッチで設定されるモードとブロワ電圧との関係を示すマップである。
【図7】上記第1実施例の暖房負荷Qおよび消費動力Lの、外気温度および風量に対する関係を示す図である。
【図8】本発明第2実施例の風量設定スイッチで設定されるモードとブロワ電圧との関係を示すマップである。
【図9】本発明第3実施例の風量設定レバーで設定されるモードとブロワ電圧との関係を示すマップである。
【図10】本発明第4実施例の目標吹出温度(TAO)とブロワ電圧との関係を示すマップである。
【図11】上記第4実施例の急速暖房時におけるブロワ電圧の変化を示す図である。
【符号の説明】
1…空調ユニット、2…空調ダクト(空気通路)、4…送風手段、
5…内気吸入口、6…外気吸入口、7…内外気切換ドア(吸入口開閉手段)、
11…冷房用室内熱交換器(熱交換器)、
12…暖房用室内熱交換器(熱交換器)、14〜16…吹出口、
20…冷凍サイクル、21…圧縮機、30…電動モータ、40…制御装置、
41…外気温センサ(外気温度検出手段)、
57…節電スイッチ(節電指示入力手段)。
Claims (8)
- 一端側に、内気を吸入する内気吸入口および外気を吸入する外気吸入口が形成され、他端側に、車室内に通ずる吹出口が形成された空気通路と、
前記内気吸入口および外気吸入口を選択的に開閉する吸入口開閉手段と、
前記内気吸入口または外気吸入口から前記吹出口に向かって、前記空気通路内に空気流を発生する送風手段と、
前記空気通路内に設けられ、この空気通路内の空気との間で熱交換を行う熱交換器とを備え、
この熱交換器における熱交換能力が電力で調節されるように構成された車両用空調装置において、
前記吸入口開閉手段が前記内気吸入口を開いて前記外気導入口を閉じる内気循環モードか、あるいは前記内気吸入口を閉じて前記外気吸入口を開く外気導入モードかを判定する内外気切換モード判定手段と、
この内外気切換モード判定手段によって前記内気循環モードであると判定されたとき、前記送風手段における送風量を第1の送風量として決定する第1の送風量決定手段を有し、前記送風手段における送風量が前記第1の送風量となるように前記送風手段を制御するように構成された第1の送風制御手段と、
前記内外気切換モード判定手段によって前記外気導入モードであると判定されたとき、前記送風手段における送風量を第2の送風量として決定する第2の送風量決定手段を有し、前記送風手段における送風量が前記第2の送風量となるように前記送風手段を制御するように構成された第2の送風制御手段とを備え、
前記第1、第2の送風量決定手段は、前記送風量を段階的に変化させる複数の風量モードのうち設定された1つのモードに対応して前記送風量を決定するようになっており、
前記複数の風量モードのうち前記送風量を最大とするモードが設定されているときに、前記第2の送風量決定手段は、前記第1の送風量決定手段が決定する送風量より小さい送風量を決定し、前記複数の風量モードのうち前記送風量を最大とするモード以外のモードが設定されているときに、前記第2の送風量決定手段は、前記第1の送風量決定手段が決定する送風量と同じ送風量を決定することを特徴とする車両用空調装置。 - 一端側に、内気を吸入する内気吸入口および外気を吸入する外気吸入口が形成され、他端側に、車室内に通ずる吹出口が形成された空気通路と、
前記内気吸入口および外気吸入口を選択的に開閉する吸入口開閉手段と、
前記内気吸入口または外気吸入口から前記吹出口に向かって、前記空気通路内に空気流を発生する送風手段と、
前記空気通路内に設けられ、この空気通路内の空気との間で熱交換を行う熱交換器とを備え、
この熱交換器における熱交換能力が電力で調節されるように構成された車両用空調装置において、
前記吸入口開閉手段が前記内気吸入口を開いて前記外気導入口を閉じる内気循環モードか、あるいは前記内気吸入口を閉じて前記外気吸入口を開く外気導入モードかを判定する内外気切換モード判定手段と、
前記熱交換器の熱交換能力を調節するための電力を低減させる必要がある条件か否かを判定する他の電力低減条件判定手段と、
前記内外気切換モード判定手段によって前記内気循環モードであると判定されたとき、前記送風手段における送風量が第1の送風量となるように前記送風手段を制御する第1の送風制御手段と、
前記内外気切換モード判定手段によって前記外気導入モードであると判定され、かつ前記他の電力低減条件判定手段によって前記電力を低減させる必要がある条件と判定されたとき、前記送風手段における送風量が、前記第1の送風量よりも小さな第2の送風量となるように前記送風手段を制御する第2の送風制御手段と、
前記熱交換器における熱交換能力を調節するための電力を節約する指示を入力する節電 指示入力手段とを備え、
前記他の電力低減条件判定手段は、
前記節電指示入力手段に前記節電指示が入力されているか否かを判定する節電指示判定手段を有し、
この節電指示判定手段によって前記節電指示が入力されていると判定されたときが、前記電力を低減させる必要がある条件であるように構成されたことを特徴とする車両用空調装置。 - 前記他の電力低減条件判定手段は、
前記熱交換器が前記空気通路内の空気を加熱する暖房運転モードか否かを判定する運転モード判定手段を有し、
この運転モード判定手段によって前記暖房運転モードであると判定されたときが、前記電力を低減させる必要がある条件であるように構成されたことを特徴とする請求項2記載の車両用空調装置。 - 外気温度を検出する外気温度検出手段を備え、
前記他の電力低減条件判定手段は、
前記外気温度検出手段が検出した外気温度が所定の低外気温度以下か否かを判定する外気温度判定手段を有し、
この外気温度判定手段によって前記検出外気温度が前記所定の低外気温度以下であると判定されたときが、前記電力を低減させる必要がある条件であるように構成されたことを特徴とする請求項2または3記載の車両用空調装置。 - 前記第1の送風量は、通常の空調用に設定された風量であることを特徴とする請求項1ないし4いずれか1つ記載の車両用空調装置。
- 前記熱交換器は、冷凍サイクルの一部を構成する熱交換器であり、
前記冷凍サイクルの一部をなす圧縮機は、電動モータによって駆動されることを特徴とする請求項1ないし5いずれか1つ記載の車両用空調装置。 - 前記冷凍サイクルはヒートポンプ式冷凍サイクルであることを特徴とする請求項1ないし6いずれか1つ記載の車両用空調装置。
- 請求項1ないし7いずれか1つ記載の車両用空調装置が電気自動車用であることを特徴とする電気自動車用空調装置。
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