JP3594764B2 - グリル装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、グリル庫内に設けられた加熱手段により被調理物を焼成するグリル装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、グリル庫内に電熱ヒータ、ガスバーナ等の加熱手段を設け、該加熱手段によりグリル庫に収容された被調理物を焼成するグリル装置が知られている。前記グリル装置は、前記加熱手段の運転を制御する運転制御装置を備えており、該運転制御装置は該加熱手段による加熱の継続時間を計測する計時手段を備え、設定時間に達すると該加熱手段の運転を停止するようにして、消し忘れの防止を図っている。
【0003】
また、前記グリル装置は、グリル庫内に収容される被調理物の下方に配設されたグリルパンを備え、被調理物の焼成を行うときには該グリルパンに水を貯留して、被調理物からグリルパンに落下した油を水面に浮遊させることにより、該油がグリルパンに接触して煙が出ることを防止するようになっている。前記構成のグリル装置では、前記グリルパンに温度センサを備え、該グリルパンに水が無くなると該温度センサが前記運転制御装置に水無し信号を出力して、該運転制御装置に前記加熱手段の運転を停止せしめている。
【0004】
しかしながら、前記グリル装置では、前記グリルパンに対する水の供給を失念する等の理由で前記グリルパンの水が無いときには、グリル庫内の温度が低い状態で被調理物の焼成を開始したとき等のように前記油がグリルパンに接触しても直ちに煙が発生する虞れがない場合にも一律に前記加熱手段の運転が停止されるので、使用上不便を感じることがあるという不都合がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる不都合を解消して、グリルパンの水が無い状態でも、グリル庫内の状況に応じて被調理物の焼成を続けることができるグリル装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明の第1の態様のグリル装置は、グリル庫と、該グリル庫内に設けられた加熱手段と、該加熱手段により焼成される被調理物の下方に配設されるグリルパンと、該グリルパンの温度を検知する第1の温度検知手段と、該加熱手段による加熱の継続時間を計測する第1の計時手段と、該加熱手段の運転を制御し該第1の計時手段により計測される時間が設定時間に達したときに該加熱手段の運転を停止する運転制御手段とを備えるグリル装置において、該加熱手段による加熱が開始されたときに該グリル庫内の温度が所定の温度未満か所定の温度以上かを判定する庫内温度判定手段を設け、該運転制御手段は、該庫内温度判定手段により判定される加熱開始時の庫内温度が所定の温度未満のときは、該第1の温度検知手段により検知されるグリルパンの温度が所定の温度を超えても、該第1の計時手段により計測される時間が該設定時間に達するまで該加熱手段の運転を継続してその後該加熱手段の運転を停止し、該庫内温度判定手段により判定される加熱開始時の庫内温度が所定の温度以上であるときには、該第1の温度検出手段の検知に応じて該加熱手段の運転を停止することを特徴とする。
【0007】
本発明の第1の態様のグリル装置によれば、加熱手段による加熱が開始されると、まず、庫内温度判定手段により、グリル庫内の温度が所定の温度未満か所定の温度以上かが判定される。前記庫内温度判定手段により、グリル庫内の温度が所定の温度未満と判定されたときは、グリル庫内が冷えている状態から加熱が開始される所謂コールド・スタートの状態であるので、グリルパンに水が貯留されていなくとも被調理物からグリルパンに落下した油が直ちに過熱されることはなく、発煙する虞れが少ない。そこで、前記運転制御手段は、前記第1の温度検知手段により検知されるグリルパンの温度が所定の温度を超えてグリルパンの水が無くなったと判断されるときにも、前記第1の計時手段により計測される時間が設定時間に達するまで前記加熱手段の運転を継続して前記被調理物の焼成を終了させ、しかる後に前記加熱手段の運転を停止する。
【0008】
一方、前記庫内温度判定手段により、グリル庫内の温度が所定の温度以上と判定されたときは、前回の調理により既にグリル庫内が温められている状態から加熱が開始される所謂ホット・スタートの状態であるので、状況によってはグリルパンに落下した前記油が過熱されて発煙する虞れがある。そこで、前記運転制御手段は、前記第1の温度検知手段により検知されるグリルパンの温度が所定の温度を超えてグリルパンの水が無くなったと判断されるときには、その状況に応じて加熱手段の運転を停止する。
【0009】
従って、本発明の第1の態様のグリル装置によれば、グリルパンの水が無くなっても一律に加熱手段の運転が停止されることがなく、状況に応じて被調理物の焼成を続けることができる。
【0010】
前記グリルパンの温度が所定の温度を超えてグリルパンの水が無くなったと判断されたときの対応として、本発明の第1の態様のグリル装置は、まず、前記運転制御手段が、所定の延長時間に達するまで前記加熱手段の運転を継続し、その後該加熱手段の運転を停止することを特徴とする。
【0011】
前記第1の温度検知手段により検知されるグリルパンの温度が所定の温度を超えてグリルパンの水が無くなったと判断されるときでも、グリルパンの水が無くなれば直ちにグリルパンに落下した前記油が過熱されるわけではなく、該油が発煙する状態になるまでにはさらに時間がかかる。そこで、本発明のグリル装置では、前記第1の温度検知手段により検知されるグリルパンの温度が所定の温度を超えたときに、所定の延長時間に達するまで前記加熱手段の運転を継続することにより、前記油が発煙する状態になるまでの時間内でさらに被調理物の加熱を継続する。
【0012】
このようにすることにより、グリルパンの水が無くなったと判断されるときでも、被調理物の加熱を継続し、可能な限りその焼成を終了させることができる。
【0013】
また、本発明の第1の態様のグリル装置は、前記運転制御手段が、前記庫内温度判定手段により判定される加熱開始時の庫内温度が所定の温度以上であって、前記第1の温度検出手段により検知されるグリルパンの温度が所定の温度を超えたときに、前記設定時間の残り時間と所定の延長時間とを比較して該設定時間の残り時間が該延長時間より短いときには、該第1の計時手段により計測される時間が該設定時間に達するまで該加熱手段の運転を継続し、その後該加熱手段の運転を停止し、該設定時間の残り時間が該延長時間より長いときには、直ちに該加熱手段の運転を停止することを特徴とする。
【0014】
本発明の第1の態様のグリル装置によれば、前記の様に前記設定時間の残り時間と所定の延長時間とを比較することにより、前記グリルパンの温度が所定の温度を超えてグリルパンの水が無くなったと判断されたときの状況に、さらに細かく対応することができる。
【0015】
また、本発明の第1の態様のグリル装置において、前記庫内温度判定手段は、前記グリル庫内の温度を検知する第2の温度検知手段を備え、第2の温度検知手段により検知される温度に従って、該グリル庫内の温度が所定の温度未満か所定の温度以上かを判定するようにしてもよく、前記加熱手段の運転が停止されたのち、次の運転が開始されるまでの時間を計測する第2の計時手段を備え、該第2の計時手段により計測される時間が所定の時間以上であるときには前記グリル庫内の温度が所定の温度未満と判定し、該第2の計時手段により計測される時間が所定の時間未満であるときには前記グリル庫内の温度が所定の温度以上と判定するようにしてもよい。
【0016】
また、前記構成のグリル装置では、前述の様にコールド・スタートの状態であれ、ホット・スタートの状態であれ、グリルパンの水が無くなっても、グリルパンに落下した前記油が直ちに過熱されて発煙する虞れは少ない。そこで、本発明の第2の態様のグリル装置は、グリル庫と、該グリル庫内に設けられた加熱手段と、該加熱手段により焼成される被調理物の下方に配設されるグリルパンと、該グリルパンの温度を検知する温度検知手段と、該加熱手段による加熱の継続時間を計測する計時手段と、該加熱手段の運転を制御し該計時手段により計測される時間が設定時間に達したときに該加熱手段の運転を停止する運転制御手段とを備えるグリル装置において、前記運転制御手段は、前記温度検出手段により検知されるグリルパンの温度が所定の温度を超えたときには、所定の延長時間に達するまで該加熱手段の運転を継続し、その後該加熱手段の運転を停止することを特徴とする。
【0017】
本発明の第2の態様のグリル装置によれば、前記運転制御手段は、前記第1の温度検知手段により検知されるグリルパンの温度が所定の温度を超えてグリルパンの水が無くなったと判断されるときには、グリル庫内の温度状況、即ちコールド・スタートであるか、ホット・スタートであるかに係わり無く、前記所定の延長時間に達するまで前記加熱手段の運転を継続することにより、前記油が発煙する状態になるまでの時間内でさらに被調理物の加熱を継続する。
【0018】
従って、本発明の第2の態様のグリル装置によれば、グリルパンの水が無くなったと判断されるときでも、前記所定の延長時間まで前記被調理物の焼成を続けることができる。また、本発明の第2の態様のグリル装置によれば、前記第1の態様の庫内温度判定手段が不要であり、装置の構成を簡単にできると共に、製造コストを低減することができる。
【0019】
また、本発明の第2の態様のグリル装置は、前記温度検出手段により検知されるグリルパンの温度が所定の温度を超えたときに、前記運転制御手段が、前記設定時間の残り時間と所定の延長時間とを比較して該設定時間の残り時間が該延長時間より短いときには、該計時手段により計測される時間が該設定時間に達するまで該加熱手段の運転を継続して、その後該加熱手段の運転を停止し、該設定時間の残り時間が該延長時間より長いときには、直ちに該加熱手段の運転を停止することを特徴とする。
【0020】
従って、本発明の第2の態様のグリル装置によれば、前記の様に前記設定時間の残り時間と所定の延長時間とを比較することにより、前記グリルパンの温度が所定の温度を超えてグリルパンの水が無くなったと判断されたときの状況に、細かく対応することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。図1は本発明に係るグリル装置を備えるガステーブルの一構成例を示す斜視図であり、図2は図1示のグリル装置の要部断面図であり、図3は図1のガステーブルの第1の態様のシステム構成図であり、図4は図3示のグリル装置の作動を示すフローチャートである。また、図5は図1のガステーブルの第2の態様のシステム構成図であり、図6は図5示のグリル装置の作動を示すフローチャートである。
【0022】
図1示のように、本実施形態のグリル装置1は、上面にガスこんろ2,3を備えるガステーブル4の本体5に内蔵されており、ガステーブル4の本体5の正面に設けられた開閉扉6から魚等の被調理物を出入自在となっている。また、ガステーブル4の本体5の正面には、グリル装置1の点・消火ボタン7、ガスこんろ2,3の点・消火ボタン8,9及びグリル装置1のバーナの火力調整つまみ10が設けられている。尚、11,12はガスこんろ2,3の火力調整つまみ、13はグリル装置1で発生する煙を外部に排出する排気口である。
【0023】
図1示のガステーブル4では、点・消火ボタン7,8,9はいずれもハートカムによるプッシュ・プッシュ機構により作動するようになっている。すなわち、点・消火ボタン7,8,9は、それぞれ図示しないスプリングにより本体5の奥部から前面に向かって付勢されていて、突出位置(消火位置)から押圧されると押し込み位置(点火位置)に達し、この状態で押圧を解除すると中間位置(燃焼位置)に係止され、中間位置から再度押圧されて、該押圧が解除されると元の突出位置(消火位置)に復帰する様になっている。
【0024】
前記グリル装置1は、図1示の開閉扉6の内部が、図2示のグリル庫14となっている。グリル庫14は、開閉扉6と一体となって前後に摺動自在のグリルパン15を備え、グリルパン15の上面を覆う様に設けられた焼き網16に魚等の被調理物17を載置してグリル庫14内に収容し、グリル庫14の天井に設けられた上火バーナ18により被調理物17を加熱、焼成するようになっている。
【0025】
グリルパン15は、焼き網16の下方に設けられた傾斜板部19と、傾斜板部19の下端に連設された貯水槽20とからなり、被調理物17を加熱、焼成する際に貯水槽20に水Wを入れておくことにより、グリルパン15の過熱が防止され、被調理物17からグリルパン15に落下した油が発煙しにくくなっている。
【0026】
尚、グリル装置1は、グリル庫14内で発生した排気及び熱気を外部に排出するために、グリル庫14内から排気口13に連通する排気筒21を備えると共に、その底部にはグリル庫14内に外部から空気を導入する給気口22を備えている。
【0027】
次に、ガステーブル4の全体のシステム構成の第1の態様について説明する。
【0028】
図3示のように、第1の態様のガステーブル4は、前記上火バーナ18が設けられたグリル装置1、ガスこんろ2,3を備え、ガスこんろ2,3にはそれぞれこんろバーナ23,24が設けられている。各バーナ18,23,24にはそれぞれガス供給導管25から分岐する上火バーナ用ガス導管26、こんろバーナ用ガス導管27,28が接続され、各ガス導管26,27,28には燃料ガスの供給を制御する電磁弁29,30,31と、火力調整つまみ10,11,12により機械的に作動される火力調整弁(図示せず)とが設けられている。そして、各バーナ18,23,24にはそれぞれ点火電極32,33,34及び炎検知のための熱電対35,36,37が付設されている。
【0029】
また、グリル装置1は、グリルパン15の貯水槽20に、貯留された水がなくなったときに該グリルパン15の温度上昇を検知する第1温度センサ38が設けられ、グリル庫14内に、上火バーナ18に点火するとき(加熱開始時)の庫内温度を検出する第2温度センサ39が設けられている。
【0030】
ガステーブル4は、グリル装置1、ガスこんろ2,3の燃焼運転を制御するためのコントローラ40を備えている。コントローラ40は図示しないCPUを備えるマイクロコンピュータであり、運転制御装置41、庫内温度判定手段42及びタイマ43が設けられている。そして、運転制御装置41は、各点・消火ボタン7,8,9により開閉される点・消火スイッチ7a,8a,9a、各電磁弁29,30,31、各点火電極32,33,34、各熱電対35,36,37、第1温度センサ38、庫内温度判定手段42及びタイマ43と電気的に接続され、庫内温度判定手段42は第2温度センサ39と電気的に接続されている。
【0031】
次に、ガステーブル4の作動について説明する。
【0032】
まず、ガスこんろ2または3の燃焼運転を行うときには、点・消火ボタン8または9を押圧して前記押し込み位置まで押し込むことにより、点・消火スイッチ8aまたは9aが閉じて、運転制御装置41に点火信号が入力される。運転制御装置41は、前記点火信号を受けると、押圧された点・消火ボタン8または9に対応する電磁弁30または31を開弁すると共に、対応する点火電極33または34を作動させ、対応するこんろバーナ23または24に着火し、燃焼運転を開始する。こんろバーナ23または24に着火すると、点・消火ボタン8または9は前記押圧を解除されて、中間位置に係止される。
【0033】
こんろバーナ23または24の燃焼運転が開始されると、燃焼中のこんろバーナ23または24に対応する火力調整つまみ11または12により火力調整弁が操作され、こんろバーナ23または24の火力が調整され、鍋等の調理器P1 またはP2 の加熱が行われる。前記火力調整つまみ11または12による火力調整は、例えば、弱火、中火、強火の3段階で行うことができる。
【0034】
そして、調理器P1 またはP2 による調理が終了して、燃焼中のこんろバーナ23または24に対応する点・消火ボタン8または9が再押圧されて前記中間位置から突出位置に復帰するか、対応する熱電対36または37が失火を検知すると、運転制御装置41は対応する電磁弁30または31を閉弁して、燃焼運転を終了する。
【0035】
次に、図3示のグリル装置1の燃焼運転について、図4を参照して説明する。グリル装置1の燃焼運転を行うときには、まず、開閉扉6を開いてグリルパン15を取り出し、貯水槽20に所定量の水Wを入れると共に、焼き網16上に魚等の被調理物17を載置する。次いで、被調理物17が載置されたグリルパン15をグリル庫14内に収容し、開閉扉6を閉じたのち、点・消火ボタン7を押圧して前記押し込み位置まで押し込むことにより点・消火スイッチ7aが閉じて、運転制御装置41に点火信号が入力される。運転制御装置41は、前記点火信号を受けると、電磁弁29を開弁すると共に点火電極32を作動させ、上火バーナ18に着火し燃焼運転を開始する(ステップ1)。また、運転制御装置41は前記燃焼運転が開始されると同時にタイマ43を作動させ(ステップ2)、上火バーナ18による加熱の継続時間の積算を開始する。
【0036】
上火バーナ18の燃焼運転が開始されると、点・消火ボタン7は前記押圧を解除されて、中間位置に係止される。また、火力調整つまみ10により火力調整弁が操作されて上火バーナ18の火力が調整され、被調理物17の加熱、焼成が行われる。前記火力調整つまみ10による火力調整は、例えば、弱火、中火、強火の3段階で行うことができる。
【0037】
前記燃焼運転が開始され、運転制御手段41がステップ3で第1温度センサ38により検知される温度が所定の温度以下であってグリルパン15に水があることを確認すると、通常の燃焼運転が行われる。このとき運転制御手段41は、熱電対35が失火を検知するか(ステップ4)、グリル装置1で被調理物17の焼成が終了して点・消火ボタン7が再押圧されて前記中間位置から突出位置に復帰したとき(ステップ5)に、電磁弁29を閉弁して、燃焼運転を終了する。また、運転制御装置41は、ステップ5で点・消火ボタン7が再押圧されないときには、ステップ6でタイマ43により積算される加熱継続時間が所定の設定時間に達すると、自動的に電磁弁29を閉弁して燃焼運転を終了する(ステップ7)。尚、前記設定時間は、前記焼成の途中で消火することがなく被調理物17を裏返す時間も加味して、例えば24分間に設定されている。この設定時間は、加熱開始の前後に使用者の所望により調整することができる可変式としてもよいが、この場合も最長時間は例えば前記24分間とするとよい。
【0038】
次に、前記燃焼運転を開始するときにグリルパン15に水Wを入れ忘れたか、前記燃焼運転の途中でグリルパン15の水が無くなった場合には、グリルパン15が上火バーナ18により直接に加熱されて高温になる。そこで、運転制御装置41はステップ3で第1温度センサ38により検知される温度が所定の温度を超えることによりこれを検出する。そして、運転制御装置41がグリルパン15に水が無いものと判断したときに、本実施形態のグリル装置1は、一律に電磁弁29を閉弁し燃焼運転を終了することなく、そのときのグリル庫14内の状況に適した対応を行う。
【0039】
前記グリル庫14内の状況として、運転制御装置41は、まずステップ8で、前記燃焼運転が開始されたときのグリル庫14の庫内温度を参酌する。すなわち、庫内温度判定手段42は、前記燃焼運転が開始されるときに、第2温度センサ39によりグリル庫14の庫内温度を検知し、所定温度未満のときにはグリル庫14内が冷えている状態から加熱が開始される所謂コールド・スタートの状態と判定し、所定温度以上のときにはグリル庫14内が既に温められている状態から加熱が開始される所謂ホット・スタートの状態と判定して、それぞれの場合の判定結果を運転制御装置41に記憶させる。
【0040】
そして、ステップ8で前記コールド・スタートであると判定された場合には、グリル庫14内の温度が低く、グリルパン15に水Wが貯留されていなくともグリルパン15に落下した油が直ちに過熱されて発煙する虞れが少ないものとして、運転制御装置41は、ステップ4〜7の作動を行い、前記設定時間に達するまで前記燃焼運転を継続し、前記設定時間に達すると、電磁弁29を閉弁し燃焼運転を終了する。
【0041】
また、ホット・スタートである場合には、グリル庫14内の温度はコールド・スタートの場合よりも高いが、グリルパン15に水Wが貯留されていないからといって、グリルパン15に落下した油が直ちに過熱されるわけではない。従って、この場合には、運転制御手段41は前記油が過熱、発火しない時間内でさらに所定の延長時間、例えば、3分間だけ前記燃焼運転を継続して被調理物17をできるだけ焼成し、しかる後に電磁弁29を閉弁し燃焼運転を終了するようにしてもよいが、前記グリル庫14内の状況として、前記設定時間と前記延長時間との関係を参酌することにより、さらに細かい状況に対応することができる。
【0042】
前記設定時間と前記延長時間との関係を参酌するときには、運転制御装置41は、ステップ9で前記設定時間の残り時間と前記延長時間とを比較する。そして、前記設定時間の残り時間の方が短いときには、運転制御装置41はグリルパン15に落下した油が過熱されて発煙する虞れが十分に少ないものと判断し、ステップ4〜7の作動を行い、前記設定時間に達するまで前記燃焼運転を継続して被調理物17の焼成を終了させ、しかる後に、電磁弁29を閉弁し燃焼運転を終了する。
【0043】
一方、運転制御装置41は、ステップ9で前記設定時間の残り時間と前記延長時間とを比較して、前記設定時間の残り時間の方が長いときには、前記設定時間に達するまで前記燃焼運転を継続すると、グリルパン15に落下した油が過熱されて発煙する虞れがあると判断し、直ちに電磁弁29を閉弁し燃焼運転を終了する。
【0044】
尚、運転制御装置41は、ステップ8でホット・スタートであると判定された場合、前記のようにステップ9で前記設定時間の残り時間と前記延長時間とを比較することなく、直ちに電磁弁29を閉弁して、燃焼運転を終了するようにしてもよい。
【0045】
本実施形態で、庫内温度判定手段42は、コールド・スタートかホット・スタートかの判断を、グリル庫14内に設けられた第2温度センサ39により前記燃焼運転が開始されるときの庫内温度を検知することにより行っているが、該庫内温度の検知は第1温度センサ38により行うようにしてもよい。そして、さらにコントローラ40に第2のタイマを設け、該第2のタイマにより、前記燃焼運転が停止されたのち、次の運転が開始されるまでの時間を計測し、その時間が所定の時間以上であるときにはコールド・スタートの状態と判定し、所定の時間未満であるときにはホット・スタートの状態と判定するようにしてもよい。またこのとき、前記第2のタイマとして、図3示のタイマ43を兼用してもよい。
【0046】
次に、ガステーブル4の全体のシステム構成の第2の態様について説明する。
【0047】
図5示のように、第2の態様のガステーブル4は、図3示の庫内温度判定手段42を備えていない以外は、前記第1の態様のガステーブル4と全く同一であるので、同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0048】
次に、図5示のグリル装置1の燃焼運転について、図6を参照して説明する。
【0049】
図5示のグリル装置1の燃焼運転を行うときには、図3示のグリル装置1の場合と同様に、グリルパン15を取り出して、貯水槽20に所定量の水Wを入れ、魚等の被調理物17を載置したグリルパン15をグリル庫14内に収容する。そして、開閉扉6を閉じたのち、点・消火ボタン7を押圧して燃焼運転を開始する(ステップ1)。運転制御装置41は前記燃焼運転が開始されると同時にタイマ43を作動させて(ステップ2)、上火バーナ18による加熱の継続時間の積算を開始し、ステップ3で第1温度センサ38により検知される温度が所定の温度以下であってグリルパン15に水があることを確認すると、図3示のグリル装置1の場合と同様に、通常の燃焼運転が行われる(ステップ4〜7)。
【0050】
次に、前記燃焼運転を開始するときにグリルパン15に水Wを入れ忘れたか、前記燃焼運転の途中でグリルパン15の水が無くなった場合には、運転制御装置41はステップ3で第1温度センサ38により検知される温度が所定の温度を超えることによりこれを検出する。そして、運転制御装置41がグリルパン15に水が無いものと判断したときに、本実施形態のグリル装置1は、一律に燃焼運転を終了することなく、そのときのグリル庫14内の状況に適した対応を行う。
【0051】
グリル装置1では、グリルパン15に水Wが貯留されていないからといって、グリルパン15に落下した油が直ちに過熱されて発煙するわけではない。そこで、この場合には、運転制御手段41は前記油が過熱、発煙しない時間内でさらに所定の延長時間、例えば10分間だけ前記燃焼運転を継続して被調理物17をできるだけ焼成し、しかる後に電磁弁29を閉弁し燃焼運転を終了するようにしてもよいが、運転制御装置41はステップ8で前記設定時間と前記延長時間との関係を参酌することにより、前記グリル庫14内の細かい状況に対応することができる。
【0052】
ステップ8で前記設定時間と前記延長時間との関係を参酌するときには、運転制御装置41は、前記設定時間の残り時間と前記延長時間とを比較し、前記設定時間の残り時間の方が短いときには、運転制御装置41はグリルパン15に落下した油が過熱されて発煙する虞れが十分に少ないものと判断し、ステップ4〜7の作動を行い、前記設定時間に達するまで前記燃焼運転を継続して被調理物17の焼成を終了させ、しかる後に、電磁弁29を閉弁し燃焼運転を終了する。
【0053】
また、ステップ8で前記設定時間の残り時間と前記延長時間とを比較して、前記設定時間の残り時間の方が長いときには、前記設定時間に達するまで前記燃焼運転を継続すると、グリルパン15に落下した油が過熱されて発煙する虞れがあると判断し、直ちに電磁弁29を閉弁し燃焼運転を終了する。
【0054】
尚、本実施形態の前記各態様で、運転制御装置41は、前記のように第1温度センサ38により検知される温度が所定の温度を超えた後(ステップ3でNOのとき)に、前記燃焼運転を継続している場合であっても、熱電対35が失火を検知するか、点・消火ボタン7が再押圧されて前記中間位置から突出位置に復帰したときには、前記状況に関わりなく、電磁弁29を閉弁して、燃焼運転を終了する。
【0055】
また、前記各態様では、グリル装置1が上火バーナ18のみを備え、片面焼きを行うものとして説明しているが、グリル装置1は焼き網16とグリルパン15との間から被調理物に熱気を与えて焼成する下火バーナを備えたものでもよく、さらに上火バーナ18と前記下火バーナとの両方を備えたものでもよい。また、グリル装置1は、バーナの代わりに電熱ヒータ等、他の加熱手段を備えるものであってもよい。
【0056】
また、前記各態様のグリルパン15は傾斜板部19と貯水槽20とからなるものを示しているが、傾斜板部19を備えず平底で底部全体を貯水槽20とするものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るグリル装置を備えるガステーブルの一構成例を示す斜視図。
【図2】図1示のグリル装置の要部断面図。
【図3】図1のガステーブルの第1の態様のシステム構成図。
【図4】図3示のグリル装置の作動を示すフローチャート。
【図5】図1のガステーブルの第2の態様のシステム構成図。
【図6】図5示のグリル装置の作動を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…グリル装置、 14…グリル庫、 15…グリルパン、 17…被調理物、 18…加熱手段、 38…第1の温度検知手段、 39…第2の温度検知手段、 41…運転制御手段、 42…庫内温度判定手段、 43…第1の計時手段。
Claims (9)
- グリル庫と、該グリル庫内に設けられた加熱手段と、該加熱手段により焼成される被調理物の下方に配設されるグリルパンと、該グリルパンの温度を検知する第1の温度検知手段と、該加熱手段による加熱の継続時間を計測する第1の計時手段と、該加熱手段の運転を制御し該第1の計時手段により計測される時間が設定時間に達したときに該加熱手段の運転を停止する運転制御手段とを備えるグリル装置において、
該加熱手段による加熱が開始されたときに該グリル庫内の温度が所定の温度未満か所定の温度以上かを判定する庫内温度判定手段を設け、
該運転制御手段は、該庫内温度判定手段により判定される加熱開始時の庫内温度が所定の温度未満のときは、該第1の温度検知手段により検知されるグリルパンの温度が所定の温度を超えても、該第1の計時手段により計測される時間が該設定時間に達するまで該加熱手段の運転を継続してその後該加熱手段の運転を停止し、
該庫内温度判定手段により判定される加熱開始時の庫内温度が所定の温度以上であるときには、該第1の温度検出手段の検知に応じて該加熱手段の運転を停止することを特徴とするグリル装置。 - 前記運転制御手段は、前記庫内温度判定手段により判定される加熱開始時の庫内温度が所定の温度以上であって、前記第1の温度検出手段により検知されるグリルパンの温度が所定の温度を超えたときには、所定の延長時間に達するまで該加熱手段の運転を継続し、その後該加熱手段の運転を停止することを特徴とする請求項1記載のグリル装置。
- 前記運転制御手段は、前記庫内温度判定手段により判定される加熱開始時の庫内温度が所定の温度以上であって、前記第1の温度検出手段により検知されるグリルパンの温度が所定の温度を超えたときに、前記設定時間の残り時間と所定の延長時間とを比較して該設定時間の残り時間が該延長時間より短いときには、該第1の計時手段により計測される時間が該設定時間に達するまで該加熱手段の運転を継続し、その後該加熱手段の運転を停止することを特徴とする請求項1記載のグリル装置。
- 前記運転制御手段は、前記庫内温度判定手段により判定される加熱開始時の庫内温度が所定の温度以上であって、前記第1の温度検出手段により検知されるグリルパンの温度が所定の温度を超えたときに、前記設定時間の残り時間と所定の延長時間とを比較して該設定時間の残り時間が該延長時間より長いときには、直ちに該加熱手段の運転を停止することを特徴とする請求項1記載のグリル装置。
- 前記庫内温度判定手段は、前記グリル庫内の温度を検知する第2の温度検知手段を備え、第2温度検知手段により検知される温度に従って、該グリル庫内の温度が所定の温度未満か所定の温度以上かを判定することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のグリル装置。
- 前記庫内温度判定手段は、前記加熱手段の運転が停止されたのち、次の運転が開始されるまでの時間を計測する第2の計時手段を備え、該第2の計時手段により計測される時間が所定の時間以上であるときには前記グリル庫内の温度が所定の温度未満と判定し、該第2の計時手段により計測される時間が所定の時間未満であるときには前記グリル庫内の温度が所定の温度以上と判定することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のグリル装置。
- グリル庫と、該グリル庫内に設けられた加熱手段と、該加熱手段により焼成される被調理物の下方に配設されるグリルパンと、該グリルパンの温度を検知する温度検知手段と、該加熱手段による加熱の継続時間を計測する計時手段と、該加熱手段の運転を制御し該計時手段により計測される時間が設定時間に達したときに該加熱手段の運転を停止する運転制御手段とを備えるグリル装置において、
該運転制御手段は、前記温度検出手段により検知されるグリルパンの温度が所定の温度を超えたときには、所定の延長時間に達するまで該加熱手段の運転を継続し、その後該加熱手段の運転を停止することを特徴とするグリル装置。 - 前記運転制御手段は、前記温度検出手段により検知されるグリルパンの温度が所定の温度を超えたときに、前記設定時間の残り時間と所定の延長時間とを比較して該設定時間の残り時間が該延長時間より短いときには、該計時手段により計測される時間が該設定時間に達するまで該加熱手段の運転を継続し、その後該加熱手段の運転を停止することを特徴とする請求項7記載のグリル装置。
- 前記運転制御手段は、前記温度検出手段により検知されるグリルパンの温度が所定の温度を超えたときに、前記設定時間の残り時間と所定の延長時間とを比較して該設定時間の残り時間が該延長時間より長いときには、直ちに該加熱手段の運転を停止することを特徴とする請求項7記載のグリル装置。
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