JP3593756B2 - エンジンの空燃比制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はエンジンの空燃比制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
排気浄化用触媒の上流と下流に空燃比センサを設け、上流側空燃比センサで空燃比のフィードバック制御を行なうとともに、その空燃比フィードバック制御に使用する制御定数を、下流側空燃比センサ出力に基づいて修正する、いわゆるダブルOセンサシステムの装置がある(特開昭62−60941号、特開昭63−97851号、特開平3−217636号公報参照)。
【0003】
この装置では、上流側Oセンサ出力とスライスレベルとの比較により、次のようにして空燃比フィードバック補正量αが作られる。
【0004】
(1)リッチからリーンへの反転直後には、空燃比をステップ的にリッチ側に戻すため、前回算出された空燃比フィードバック補正量αより比例分PLだけ大きくされ、またリーンからリッチへの反転直後には空燃比をステップ的にリーン側に戻すため、αが前回値より比例分PRだけ小さくされる。
【0005】
(2)今回も前回と同じリーンであるときは空燃比を徐々にリッチ側に戻すため、αが前回値より積分分IL(IL<PL)だけ大きくされ、また前回もリッチ、今回もリッチであるときは、空燃比を徐々にリーン側に戻すため、αが前回値から積分分IRだけ小さくされる。
【0006】
このようにして作られるαは図20に示すように、周期的な波形となる。
【0007】
一方、空燃比フィードバック制御中に下流側Oセンサ出力に基づいて空燃比フィードバック制御の制御定数(たとえば比例分PL)の修正制御を行うため、下流側Oセンサ出力とスライスレベルとの比較により修正値LPが次のように作られる。
【0008】
リーンであるときは空燃比を全体としてリッチ側にシフトするため、修正値LPが一定値ΔLPずつ大きくされ、またリッチであるときは空燃比をリーン側にシフトするため、修正値LPが一定値ΔLPずつ大きくされる(図20参照)。
【0009】
このようにして作られる修正値LPは、リッチからリーンへの反転直後に比例分PLに加算され、リーンからリッチへの反転直後には比例分PRから減算される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、触媒の働きは排気温度や排気流量によっても多少変化し、たとえば排気温度が低いときは空燃比の制御中心が理論空燃比よりもややリッチ側にシフトしているほうが良好な排気浄化性能が得られることがあり、このような要求がある場合には、空燃比フィードバック制御の制御定数の基本値を運転条件(たとえばTpとNe)によって区分けされた領域毎にマッチングしておけばよい。
【0011】
しかしながら、下流側O 2 センサが活性化している限り基本的にすべての運転領域で制御定数の修正制御を行う従来のダブルO 2 センサシステムでは、すべての運転領域で空燃比フィードバック制御の制御中心が理論空燃比となるため、領域により空燃比をシフトさせたい要求が無視されてしまう。
【0012】
そこで本発明は、空燃比フィードバック制御域のうち空燃比をシフトさせたい要求がある領域では比例分修正制御を中止する。具体的には所定の修正制御条件の成立時に修正値を算出するとともに、その修正値に基づいて学習値を算出しておき、修正制御条件を外れた非成立時に学習値を修正値として用いることにより、要求に合わせて意図的に空燃比フィードバック制御の制御中心を理論空燃比からシフトさせるように制御定数を運転領域毎に設定している場合にも、その設定を無意味なものにすることなく触媒の性能を最大限に引き出すことをも目的とする。
【0013】
ところで、走行中の運転条件の変動などによって空燃比フィードバック制御を行っていても制御結果としての空燃比にばらつきを生じるため、修正値がばらつきをもって演算され、また、修正値によって制御定数をリッチシフトあるいはリーンシフトさせる場合に、空燃比変化の排気系内の応答によって修正値に対する実際の空燃比シフトの感度が異なってくる。
そこで本発明は、所定の修正制御条件の成立時に修正値を算出するとともに、その修正値に基づいて学習値を算出しておき、修正制御条件を外れた非成立時に学習値を修正値として用いる前述の場合に、修正値の算出中(修正制御条件の成立時)とそれ以外の場合(修正制御条件の非成立時)とで制御定数の基本値の大きさを変えることにより、修正値の算出精度を向上して、排気エミッションをより良好に維持することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
第1の発明では、図21に示すように、触媒の上流側と下流側の各空燃比センサ31、32と、空燃比フィードバック制御の基本制御定数(たとえば比例分PL、PR、積分分IL、IR、上流側空燃比センサと比較するスライスレベルSLF等)を演算する手段33と、前記空燃比フィードバック制御を行う制御域の中にあって空燃比フィードバック制御を行う制御域よりも狭い所定の修正制御域に運転条件があることを条件の一つに含む前記制御定数の修正制御条件の成立時かどうかを判定する手段41と、この判定結果より修正制御条件の成立時に前記下流側空燃比センサ32の出力に基づいて修正値を演算する手段42と、前記修正制御条件の成立時に前記基本制御定数を増大補正する手段43と、
この増大補正された基本制御定数を前記修正値で修正して第一制御定数を演算する手段44と、前記修正制御条件の成立時に前記修正値に基づいて学習値を演算する手段46と、前記修正制御条件の非成立時にこの学習値で前記基本制御定数を修正して第二制御定数を演算する手段47と、前記修正制御条件の成立時には前記第一制御定数を、また前記修正制御条件の非成立時には前記第二制御定数を用いて前記上流側空燃比センサ31の出力に基づく空燃比のフィードバック制御を行う手段45とを設けた。
【0017】
【作用】
触媒の働きは排気温度や排気流量によっても多少変化し、たとえば排気温度が低いときは空燃比の制御中心が理論空燃比よりもややリッチ側にシフトしているほうが良好な排気浄化性能が得られることがあり、このような要求がある場合には、空燃比フィードバック制御の基本制御定数を運転条件に応じて演算するようにしておけばよいのであるが、下流側空燃比センサが活性化している限り基本的にすべての運転領域で制御定数の修正制御を行うのでは、すべての運転領域で空燃比フィードバック制御の制御中心が理論空燃比となるため、領域により空燃比をシフトさせたい要求が無視されてしまう。
【0018】
このとき第1の発明では、修正制御条件の非成立時になると、基本制御定数を修正値により修正することがなく、代わって基本制御定数を学習値で修正した値を用いて空燃比のフィードバック制御を行う(つまり制御定数の修正制御を中止する)ので、要求に合わせて意図的に空燃比フィードバック制御の制御中心を理論空燃比からシフトさせるように制御定数を運転領域毎に設定している場合にも、その設定を無意味なものにすることがなく、触媒の性能を最大限に引き出すことができる。
【0019】
一方、走行中の運転条件の変動などによって空燃比フィードバック制御を行っていても制御結果としての空燃比にばらつきを生じるため、修正値がばらつきをもって演算され、また、修正値によって制御定数をリッチシフトあるいはリーンシフトさせる場合に、空燃比変化の排気系内の応答によって修正値に対する実際の空燃比シフトの感度が異なってくるのであるが、このとき第1の発明では、修正値の演算中における基本制御定数を増大補正することによって、修正値に対する空燃比シフトの感度(対象とする排気系の空燃比の応答)を高めることが可能となることから、走行中の運転条件の変動などによって修正値にばらつきが生じる場合においても、修正値のばらつきが同一であるなら、排気エミッションのばらつきをより小さく抑えることができる。この逆に、同一の排気エミッションのばらつきを保つための修正値の許容ばらつき幅を大きくすることもできる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1において、1はエンジン本体で、その吸気通路8には吸気絞り弁5の下流に位置して燃料噴射弁7が設けられ、コントロールユニット(図ではC/Uで略記)2からの噴射信号により運転条件に応じて所定の空燃比となるように、吸気中に燃料を噴射供給する。
【0021】
コントロールユニット2にはクランク角センサ4からのRef信号(基準位置信号)とPos信号(1°信号)、エアフローメータ6からの吸入空気量信号、水温センサ11からのエンジン冷却水温信号等が入力され、これらに基づいて基本噴射パルス幅Tpを算出するとともに、排気通路9の三元触媒10の上流側に設置した酸素センサ3からの空燃比(酸素濃度)信号に基づいて空燃比のフィードバック制御を行い、さらにその空燃比フィードバック制御に使用する比例分を、三元触媒10の下流側に設置した酸素センサ13からの空燃比(酸素濃度)信号により修正する。
【0022】
ここで、空燃比フィードバック制御は、排気空燃比が理論空燃比を中心として周期的に振らすようにした制御であり、このとき排気通路9に設けた三元触媒10が最大の転換効率をもって、排気中のNOxの還元とHC、COの酸化を行う。
【0023】
図2のフローチャートは上流側Oセンサ出力OSR1に基づいて空燃比フィードバック補正係数αを計算するためのルーチンで、回転同期(Ref信号同期)、あるいは所定時間ごと(たとえば4msごと)で実行する。
【0024】
S10では、空燃比のフィードバック制御条件が成立しているかどうかをみる。▲1▼冷却水温Twが所定値以下のとき、▲2▼上流側Oセンサが不活性のとき、▲3▼高負荷時等はいずれも空燃比フィードバック制御条件の成立しない場合であり、このときはS25に進んで、αに1を入れて(αをクランプ)、図2のフローを終了する。
【0025】
上記の▲1▼〜▲3▼等のいずれでもないとき(空燃比フィードバック制御条件の成立時)はS11に進んで上流側Oセンサ出力OSR1をA/D変換して取り込み、S12においてOSR1とスライスレベルSLFを比較する。OSR1>SLFであればリッチ側にあると判断し、S13でフラグAFF1に“1”を入れ、OSR1≦SLFであるときはリーン側にあると判断し、S14においてフラグAFF1に“0”を入れる。AFF1=0はリーン側にあることを、AFF1=1はリッチ側にあることを表す。
【0026】
S15ではフラグAFF0の値を読み込む。フラグAFF0は前回に空燃比がリッチあるいはリーンのいずれの側にあったかを示すフラグであり、AFF0=0は前回リーン側にあったことを、AFF0=1は前回リッチ側にあったことを表す。
【0027】
S16では2つのフラグAFF0、AFF1を比較し、両者の値が等しくないときは、OSR1がリッチからリーンへの反転直後あるいはその反対にリーンからリッチへの反転直後にあると判断し、S17で比例分PL、PRを演算する。この比例分PL、PRの演算は図3のフローチャートで説明する。
【0028】
図3のS30では比例分の基本値PL0、PR0を読み込む。PL0、PR0は、上流側Oセンサ3や触媒10に劣化のない状態でマッチングしたときの基本値で、図4、図5に示したように回転数Neとエンジン負荷相当の基本噴射パルス幅Tpとをパラメータとするマップで割り付けており、このマップを検索して求める。
【0029】
S31では比例分修正制御条件(図6のS40でまとめて説明する)かどうかみて、比例分修正制御条件の成立時は、S32、S33で修正値LPを読み込み、基本値PL0に修正値LPを加算した値を比例分PL、また基本値PR0から修正値LPを差し引いた値を比例分PRとおくことによって比例分PL、PRを演算し、そのあと図2のS18に戻る。なお、S61、S62のPL1、PR1については後述する。
【0030】
これに対して比例分修正制御条件の非成立時には、S31からS34、S35に進んで、学習値LPAを読み込み、これをLPとおく。
【0031】
図2に戻りS18ではフラグAFF1の値をみる。AFF1=0であればリッチからリーンへの反転直後にあると判断し、S19で空燃比フィードバック補正係数α(初期値は0)を比例分PLだけ大きくし、またAFF1=1であるときはリーンからリッチへの反転直後にあると判断し、S20においてαを比例分PRだけ小さくする。
【0032】
一方、2つのフラグAFF0、AFF1の値が等しいときは、反転直後でないと判断し、S21に進んで、フラグAFF1の値をみる。AFF1=0であれば前回、今回ともリーンであると判断し、S22でαを積分分ILだけ大きくし、またAFF1=1であるときは前回、今回ともリッチであると判断し、S23においてαを積分分IRだけ小さくする。
【0033】
S24ではAFF1の値をAFF0に移して図2のフローを終了する。
【0034】
図6のフローチャートは、上記の修正値LPを演算するためのもので、図2、図3とは独立にRef信号に同期して実行する。
【0035】
S40では比例分修正制御条件かどうかをみる。▲4▼下流側Oセンサが非活性のとき、▲5▼運転条件の変化が所定の範囲より大きいとき等に比例分修正制御条件が非成立となる。
、比例分修正制御条件の成立時は、S41以降に進むが、S41〜S54は図2のS11〜S16、S18〜S24とほぼ同様である。
【0036】
S41では下流側Oセンサ出力OSR2を読み込み、このOSR2をS42においてスライスレベルSLRと比較する。OSR2>SLRであれば、S43でフラグAFR1に“1”を、またOSR2≦SLRであるときは、S44においてフラグAFR1に“0”を入れる。AFR1=0はリーン側に、またAFR1=1はリッチ側にあることを表している。
【0037】
S45ではフラグAFR0の値を読み込む。AFF0=0は前回にリーン側にあったことを、またAFF0=1は前回リッチ側にあったことを表す。
【0038】
S46では2つのフラグAFR0、AFR1を比較し、両者の値が等しいときは、反転直後でないと判断し、S51に進んで、フラグAFR1の値をみる。AFR1=0であれば前回、今回ともリーンであると判断し、S52で修正値LP(初期値は0)を所定値DLPだけ増加させ、またAFF1=1であるときは前回、今回ともリッチであると判断し、S53においてLPを所定値DLPだけ減少させる。
【0039】
これに対して、2つのフラグAFR0、AFR1の値が等しくないときは、OSR1が反転した直後にあると判断し、S47に進んでフラグAFR1の値をみる。AFR1=0であればリッチからリーンへの反転直後にあると判断し、S48、S49に進み、またAFR1=1であるときはリーンからリッチへの反転直後にあると判断し、S50に進む。
【0040】
ここで、図2のS19、S20に相当する部分が図6のほうにないため、修正値LPは、αと相違して図8に示したように、漸増と漸減とを繰り返す波形となる。
【0041】
その一方で、図2にないS48、S49、S50が図6に追加されている。
【0042】
図6においてS50へと流れるのは図8においてt2、t4のタイミング(リーンからリッチへの反転直後)であり、このタイミングでのLPをLPRに移すと、LPRにはLPの最新の極大値が入る。
【0043】
また、S48、S49へと流れるのは図8においてt1、t3のタイミング(リッチからリーンへの反転直後)であり、このタイミングでのLP(つまりLPの極小値)とLPRの平均値LPMを求め、この平均値LPMから学習値LPAを、
LPA←LPM×n+LPA×(1−n) …(1)
ただし、n:加重平均係数(n<1)
の式により計算する。学習値LPAはバックアップRAMに記憶させる。
【0044】
S54では次回制御のためAFR1の値をAFR0に移したあとで、比例分PL、PRの演算を終了する。
【0045】
図9のフローチャートは、燃料噴射パルス幅Tiを演算するためのもので、たとえば4ms周期で実行する。
【0046】
S1では吸入空気量Qaと回転数Neを読み込み、これらから基本噴射パルス幅TpをTp=K・Qa/Ne(ただしKは定数)の式により求め、このTpをS3において各種補正係数の和Co、空燃比フィードバック補正係数αおよび無効パルス幅Tsで補正することにより燃料噴射パルス幅Tiを算出し、これをS4においてレジスタにセットすることで、クランク角センサの出力にしたがって所定の噴射タイミングでの噴射に備える。
【0047】
このようにして、上流側Oセンサや触媒に劣化のない状態でマッチングして得た基本値PL0、PR0と上流側Oセンサや触媒の劣化状況を考慮するための修正値LPとから比例分PL、PRを算出(図3のS33)する場合に、修正値LPとして、比例分修正制御中であれば、触媒下流位置の空燃比に応じて算出した値をそのまま使用し(図3のS32、図6)、比例分修正制御中でなくなると、学習値LPAを使用している(図3のS35)。
【0048】
さて、触媒の働きは排気温度や排気流量によっても多少変化し、たとえば排気温度が低いときは空燃比の制御中心が理論空燃比よりもややリッチ側にシフトしているほうが良好な排気浄化性能が得られることがあり、このような要求がある場合には、上記の基本値PL0、PR0をTpとNeをパラメータとするマップ値としておけばよい。
【0049】
しかしながら、下流側Oセンサが活性化している限り基本的にすべての運転領域で比例分修正制御を行う従来のダブルOセンサシステムでは、すべての運転領域で空燃比フィードバック制御の制御中心が理論空燃比となるため、領域により空燃比をシフトさせたい要求が無視されてしまう。
【0050】
これに対処するため本発明(第1実施形態)では、空燃比フィードバック制御域のうち空燃比をシフトさせたい要求がある領域では学習値LPAを用いる。具体的には、図3のS31、図6のS40での比例分修正制御条件に、〈6〉運転条件が所定の比例分修正制御域にあるときを加え、上記の〈4〉、〈5〉とともに〈6〉をも満足する場合に限って図3においてはS32に、また図6においてはS41に進ませるようにする。〈6〉の比例分修正制御域Aは、図7に示したように、たとえば空燃比をシフトさせたい要求がない領域でかつ学習値LPAの算出に関しノイズ(上流側O2センサや触媒の劣化以外の要因による理論空燃比からのずれ)の少ない一部の領域を設定しておけばよい。
【0051】
このように、空燃比フィードバック制御を行う領域のうち空燃比をシフトさせたい要求がある領域では修正値LPに代えて学習値LPAを用いることで、要求に合わせて意図的に空燃比フィードバック制御の制御中心を理論空燃比からシフトさせるように制御定数を運転領域毎に設定している場合にも、その設定を無意味なものにすることがなく、触媒の性能を最大限に引き出すことができる。すなわち、運転領域毎に比例分に対する要求が異なる場合に、触媒や上流側O2センサの経時劣化等による特性変化に対応させる運転領域を、空燃比をシフトさせたい要求のない領域に絞ったわけである。
【0052】
一方、走行中の運転条件の変動、これに伴う空燃比や排気組成の変動あるいは排気流の変化に伴いどの気筒の空燃比の影響を大きく受けるか等、さまざまな条件の変動によって、空燃比フィードバック制御を行っていても制御結果としての空燃比にばらつきを生じるため、従来のダブルOセンサシステムにおいても、修正値LPがばらつきをもって算出される。また、修正値LPによって制御定数をリッチシフトあるいはリーンシフトさせる場合に、実際に空燃比が変化する大きさは、空燃比の変化が排気系の中でどのように伝達されるかによって異なってくる(すなわち、空燃比変化の排気系内の応答によって修正値LPに対する実際の空燃比シフトの感度が異なる)。
【0053】
この点に着目し、本発明(第1実施形態)では修正値LPの算出中(修正制御条件の成立時)とそれ以外の場合(修正制御条件の非成立時)とで比例分の基本値の大きさを変える。具体的には図3において比例分修正制御条件の成立時に進む流れの中にS61、S62を新たに追加する。増大補正値PL1、PR1を読み込み、これらPL1、PR1を、対応する基本値PL0、PR0に加算した値を改めて基本値PL0、PR0とおくことによって、修正値LPの算出中における基本値PL0、PR0を増大補正するのである。
【0054】
PL1、PR1は、修正値LPに対する空燃比シフトの感度を高めるため、修正値LPの算出中に付与される値で、図10、図11に示したように回転数Neと基本噴射パルス幅Tpとをパラメータとするマップで割り付けており、このマップを検索して求める。
【0055】
数値を挙げて説明すると、たとえばPR0=PL0=5%、PR1=PL1=3%としたとき、修正値LPの算出中においては、PL、PRとも8%を基本値として、この値を修正値LPによって修正した値で空燃比フィードバック制御を行いつつ、学習値LPAの更新を行う。その結果、学習値LPAが0.1%に収束した(つまりPR=7.9%、PL=8.1%で理論空燃比が得られた)とすると、比例分修正制御条件の非成立時には、PL、PRとも5%を基本値として、学習値LPA(=0.1%)によってリッチシフトされたPR=4.9%、PL=5.1%を用いて空燃比フィードバック制御が行われる。
【0056】
ここで、同一の修正値LPであっても、比例分の基本値の大きさによって修正値に対する空燃比シフトの感度が変化し、基本値が大きくなるほど空燃比シフトの感度が高くなる理由を説明すると、図12において、LPがばらつきによって誤算出されたものと仮定したとき、同一のLPのばらつき幅であっても、PR、PLが小さい場合(図12の(A)参照)に比べ、大きい場合(図12の(B)参照)のほうが、空燃比シフト量が増大するからである。なお、図12において、空燃比フィードバック補正係数αの一周期波形のうち理論空燃比相当レベル(破線)より上の部分の面積から理論空燃比相当レベルより下の部分の面積を差し引いた面積(つまり斜線部面積)が空燃比のリッチシフトに貢献する面積であり、この面積が大きいほうが空燃比のリッチシフト量が増大する。このことから、PR、PLが大きい場合はLPの誤差に対する空燃比シフト量が大きいため、下流側Oセンサ出力のLPに対する感度が高くなり、より精度の高いLPの算出が可能となるわけである。また、PR、PLが小さい場合にはLPの誤差に対する空燃比シフト量が小さいため、LPにばらつきが生じた場合でも、排気エミッションのばらつきが小さく抑えられる。
【0057】
このように、比例分の基本値を変更することによって、修正値に対する空燃比シフトの感度(対象とする排気系の空燃比の応答)を変化させることが可能となることから、修正値LPの算出中に比例分の基本値を増大補正することによって、走行中の運転条件の変動、これに伴う空燃比や排気組成の変動あるいは排気流の変化に伴いどの気筒の空燃比の影響を大きく受けるか等、さまざまな条件の変動によって修正値にばらつきが生じる場合においても、修正値のばらつきが同一であるなら、排気エミッションのばらつきをより小さく抑えることができる。この逆に、同一の排気エミッションのばらつきを保つための修正値の許容ばらつき幅を大きくすることもできる。
【0058】
なお、修正値に対する空燃比シフト感度が高いとは、LPが適正値(空燃比フィードバック制御による制御中心が目標空燃比となるときの修正値の値)からずれたときに、空燃比フィードバック制御による制御中心の目標空燃比からのシフト量が大きくなることを意味する(図13参照)。このとき、LPに対する空燃比シフトの感度を変化させてもLPの適正値は変化しないことが前提であり、逆にいうと、空燃比シフトの感度のみが高くなりLPの適正値は変化しないような増大補正量PL1、PR1を予め設定しておく必要がある。この必要が満たされるのであれば、PL1、PR1はマップ値に限らず、所定の固定値でもかまわない。
【0059】
図14、図15、図19の各フローチャートは第実施形態で、それぞれ第実施形態の図2、図3、図6に対応する。
【0060】
実施形態が比例分PL、PRを修正制御の対象としていたのに対し、第実施形態は、上流側O2センサ出力OSR1と比較するためのスライスレベル(これも空燃比フィードバック制御の制御定数である)を修正制御の対象とする場合である。
【0061】
修正制御の対象の違いによる部分を先に説明すると、図14においては、S70〜S77が比例分の場合と相違する。スライスレベルにはヒステリシスを持たせるために、下限SLLと上限SLHがあり、S71、S73からS75へと流れる場合(つまりOSR1がSLLとSLHの間のヒステリシスにある場合)には、フラグAFF0をみて、AFF0=0のとき(前回リーン側にあったとき)、S76でフラグAFF1に“0”を、AFF0=1のとき(前回リッチ側にあったとき)、AFF1に“1”を入れている。なお、OSR1がSLLより小さいとき、AFF1に“0”を(S71、S72)、またOSR1がSLHを超えているとき、AFF1に“1”を入れる(S71、S73、S74)ことはいうまでもない。
【0062】
図15においてはS80〜S85が、また図19においてはS90〜S94が比例分の場合と相違するが、その違いの第1は記号であり、図15、図19においてSLL0がスライスレベル下限の基本値(図16参照)、SLH0(SLH0>SLL0)がスライスレベル上限の基本値(図17参照)、LSLが修正値、LSLAが学習値である。違いの第2は、修正値LSLを基本値SLL0、SLH0に対していずれも加算する点である(図15のS85)。なお、スライスレベル修正制御条件は、比例分修正制御条件と同じである。
【0063】
さて、第実施形態では、修正値の算出中とそれ以外とでスライスレベルのヒステリシス幅(SLH0−SLL0)の大きさを変えるため、図15においてS83、S84を新たに追加する。新たに追加した部分で、増大補正値SL1を読み込み、基本値SLL0からこのSL1を差し引いた値を改めて基本値SLL0、また基本値SLH0にこのSL1を加算した値を改めて基本値SLH0とおくことによって、修正値の算出中におけるヒステリシス幅を2×SL1だけ大きくする。
【0064】
ここで、SL1は、修正値LSLに対する空燃比シフトの感度を高めるため、修正値の算出中に付与される値で、図18に示したように回転数Neと基本噴射パルス幅Tpとをパラメータとするマップで割り付けており、このマップを検索して求める。
【0065】
実施形態でも数値を挙げて説明すると、たとえばSLH0=550mV、SLL0=450mV、SL1=100mVとしたとき、修正値LSLの算出中おいては、SLH=650mV、SLL=350mVを基本値として、この値を修正値LSLによって修正した値で空燃比フィードバック制御を行いつつ、学習値LSLAの更新を行う。その結果、学習値LSLAが−50mVに収束した(つまりSLH=600mV、SLL=300mVで理論空燃比が得られた)とすると、修正値LSLの算出を行わないときは、SLH=550mV、SLL=450mVを基本値として、学習値LSLA(=−50mV)によってリッチシフトされたSLH=500mV、SLL=400mVを用いて空燃比フィードバック制御が行われる。
【0066】
実施形態では、スライスレベルのヒステリシス幅SLH0−SLL0を大きくとることで、空燃比フィードバック制御時の空燃比のオーバーシュート量が大きくなるため、比例分の基本値を大きくしたのと同様に、修正値の算出中における修正値に対する空燃比シフトの感度を高めることができる。
【0067】
実施形態では修正制御の対象となる制御定数と空燃比シフトの感度を高めるための制御定数との両者がともに比例分、また第実施形態では両者がともにスライスレベルであったが、両者が同じであることは必須でない。たとえば、修正制御の対象となる制御定数を比例分、空燃比シフトの感度を高めるための制御定数をスライスレベルとする組み合わせや、この逆に修正制御の対象となる制御定数をスライスレベル、空燃比シフトの感度を高めるための制御定数を比例分とする組み合わせ等、さまざまな組み合わせが可能である。
【0068】
第1実施形態では、比例分を対象として修正制御を行う場合で説明したが、比例分に限られるものでない。
【0069】
【発明の効果】
第1の発明では、修正制御条件の非成立時になると、基本制御定数を修正値により修正することがなく、代わって基本制御定数を学習値で修正した値を用いて空燃比のフィードバック制御を行う(つまり制御定数の修正制御を中止する)ので、要求に合わせて意図的に空燃比フィードバック制御の制御中心を理論空燃比からシフトさせるように制御定数を運転領域毎に設定している場合にも、その設定を無意味なものにすることがなく、触媒の性能を最大限に引き出すことができる。
【0070】
また第1の発明では、修正値の演算中における基本制御定数を増大補正することによって、修正値に対する空燃比シフトの感度(対象とする排気系の空燃比の応答)を高めることが可能となることから、走行中の運転条件の変動などによって修正値にばらつきが生じる場合においても、修正値のばらつきが同一であるなら、排気エミッションのばらつきをより小さく抑えることができる。この逆に、同一の排気エミッションのばらつきを保つための修正値の許容ばらつき幅を大きくすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の制御システム図である。
【図2】空燃比フィードバック補正係数αの演算を説明するためのフローチャートである。
【図3】比例分PL、PRの演算を説明するためのフローチャートである。
【図4】比例分の基本値PL0のマップを表す図である。
【図5】比例分の基本値PR0のマップを表す図である。
【図6】修正値LPの演算を演算するためのフローチャートである。
【図7】所定運転域Aの領域図である。
【図8】修正値LPの波形図である。
【図9】燃料噴射パルス幅Tiの演算を説明するための波形図である。
【図10】増大補正値値PL1のマップを表す図である。
【図11】増大補正値PR1のマップを表す図である。
【図12】同一の修正値LPであっても、比例分の基本値の大きさによって修正値に対する空燃比シフトの感度が変化する理由を説明するための波形図である。
【図13】修正値に対する空燃比シフト感度が高い、低いを説明するための特性図である。
【図14】第実施形態の空燃比フィードバック補正係数αの演算を説明するためのフローチャートである。
【図15】第実施形態のスライスレベル下限SLL、スライスレベル上限SLHの演算を説明するためのフローチャートである。
【図16】スライスレベル下限の基本値SLL0のマップを表す図である。
【図17】スライスレベル上限の基本値SLH0のマップを表す図である。
【図18】増大補正値SL1のマップを表す図である。
【図19】修正値LSLの演算を演算するためのフローチャートである。
【図20】従来のOセンサ出力OSR1、OSR2、空燃比フィードバック補正係数α、修正値PL、PRの各波形図である。
【図21】第1の発明のクレーム対応図である。
【符号の説明】
2 コントロールユニット
3 上流側Oセンサ(上流側空燃比センサ)
4 クランク角センサ
6 エアフローメータ
7 燃料噴射弁
9 排気通路
10 三元触媒
13 下流側Oセンサ(下流側空燃比センサ)

Claims (1)

  1. 触媒の上流側と下流側の各空燃比センサと、
    空燃比フィードバック制御の基本制御定数を演算する手段と、
    前記空燃比フィードバック制御を行う制御域の中にあって空燃比フィードバック制御を行う制御域よりも狭い所定の修正制御域に運転条件があることを条件の一つに含む前記制御定数の修正制御条件の成立時かどうかを判定する手段と、
    この判定結果より修正制御条件の成立時に前記下流側空燃比センサの出力に基づいて修正値を演算する手段と、
    前記修正制御条件の成立時に前記基本制御定数を増大補正する手段と、
    この増大補正された基本制御定数を前記修正値で修正して第一制御定数を演算する手段と、
    前記修正制御条件の成立時に前記修正値に基づいて学習値を演算する手段と、
    前記修正制御条件の非成立時にこの学習値で前記基本制御定数を修正して第二制御定数を演算する手段と、
    前記修正制御条件の成立時には前記第一制御定数を、また前記修正制御条件の非成立時には前記第二制御定数を用いて前記上流側空燃比センサの出力に基づく空燃比のフィードバック制御を行う手段と
    を設けたことを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
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