JP3589506B2 - 等速自在継手のブーツ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車や産業機械等に用いられる等速自在継手を被覆するためのブーツの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
等速自在継手では、継手内部に砂塵等が侵入するのを防止するため、駆動軸等と継手との間をゴム材料や樹脂材料で成形されたブーツで被覆するのが一般的である。図4は、従来におけるブーツの取り付け構造を示す図であり、ブーツ(21)の大径端部(21a)は、金属製のブーツアダプタ(24)を介して外輪(29)の外周面に固定されている。一方、ブーツ(21)の小径端部(21b)は、肉厚に形成したブーツ固定部(23)を駆動軸等のシャフト(22)外周面に設けた係合部(25)に嵌合させた後、ブーツ固定部(23)にバンド(26)を巻き付け、これを締め付けてシャフト(22)に固定されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来におけるブーツ小径端部の固定用バンド(26)としては、ワンタッチバンドや手締めバンド等があるが、何れのバンドもブーツとは別部品として準備する必要があり、また、このバンドを巻き付け、締め付けるための治具、工具や設備、さらには相応の人手が必要となることから、製造コストが高騰する傾向にあった。
【0004】
そこで、本発明は、ブーツの小径端部をシャフトにワンタッチで取り付け可能とし、低コスト化を図ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的の達成のため、本発明では、大径端部と小径端部とを有し、小径端部に設けたブーツ固定部をシャフト外周面に設けた係合部と係合させてシャフトに固定するものにおいて、前記ブーツ固定部に環状の補強部材を一体成形すると共に、補強部材にその継手側の端部を内径側に屈曲させて押し込み部を設け、ブーツ固定部と押し込み部とでシャフトの凸状の段部を軸方向両側から挟む込むこととした。
【0006】
補強部材をブーツ固定部に内在させるとよい。
【0008】
補強部材の外周面を周方向の一又は二以上の箇所で内径側に切り起こして係合爪を設けてもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のブーツ(1)をシャフト(2)に取り付ける前(実線で示す)と、取り付けた後(二点鎖線で示す)の状態を示す軸方向の断面図である。
【0010】
ブーツ(1)は、ゴム材料又は樹脂材料等の可撓性材料によって形成される。このブーツ(1)は、等速自在継手の外輪(図示省略)に固定される大径端部(1a)と、シャフト(2)に固定される小径端部(1b)とを具備し、大径端部(1a)と小径端部(1b)との間には、シャフト(2)の軸方向移動に追従してブーツ(1)が屈伸できるよう屈曲部(1c)が設けられている。
【0011】
小径端部(1b)には、他の部分よりも厚肉にしてブーツ固定部(3)が形成される。ブーツ固定部(3)は、シャフト(2)の外周面に設けられた溝状の係合部(5)と係合可能であり、係合部(5)との係合時には、ブーツ(1)の抜け止めとして機能すると共に、内周面(3a)とシャフト(2)表面との密着によって等速自在継手(B:図2参照)内部のシールを行なう。
【0012】
ブーツ固定部(3)の内部には、環状の補強部材(6)が埋め込まれる。この補強部材(6)は、円筒部(6a)と、円筒部(6a)の継手側(図面右側)端部に設けられたフランジ状の押し込み部(6b)とからなり、ある程度の弾性と少なくともブーツ固定部(3)の成形材料よりも高い剛性とを有する材料、例えば金属(鋼板等)や樹脂等で一体形成されている。補強部材(6)の押し込み部(6b)は、環状に形成するのが望ましいが、円周方向に間欠的に設けても構わない。
【0013】
補強部材(6)は、防錆及びシール性確保の観点からその全ての部分をブーツ固定部(3)の成形材料で被覆し、ブーツ固定部(3)に内在させておくのが望ましいが、押し込み部(6b)は被覆しなくても特に不都合はない。
【0014】
図1において、ブーツ固定部(3)のうち、押し込み部(6b)を図面A方向に押圧すると、ブーツ固定部(3)の先端がシャフト(2)の段部(7)に接触する。さらに押し込みを継続すると、ブーツ固定部(3)の内周面(3a)がゴム等の弾性によって拡径し、その後、段部(7)を乗り越えて係合部(5)に達する。係合部(5)に達したブーツ固定部(3)は、その内周面(3a)の緊迫力によって初期の内径まで弾性復帰し、その結果、ブーツ固定部(3)とシャフト外周面とが密着嵌合してブーツ(1)の抜け止めとシール性とが確保される。その後、図2に示すように、シャフト(2)の端部に等速自在継手(B)を組み付け、ブーツ(1)の大径端部(1a)を外輪(9)の外周面に固定して完成品を得る。図2では、大径端部(1a)を、小径端部(1b)と同様に、ブーツ固定部(13)の内周面(13a)のゴムの緊迫力で外輪(9)の外周面に固定する構造を示しているが、固定方法は、これに限られず、従来と同様にブーツアダプタ(24)を使用したり(図4参照)、あるいは、ボルト等を使用して固定してもよい。また、図1及び図2では、大径端部(1a)と小径端部(1b)との間に屈曲部(1c)を設けたブーツ(1)を開示しているが、両端部(1a)(1b)間を蛇腹状に形成したブーツであっても同様の構成が適用可能である。
【0015】
このように、本発明によれば、ブーツ(1)の小径端部(1b)をシャフト(2)に固定するに際し、ブーツ(1)を軸方向に押圧するだけで行なえるので、従来のように、バンドを巻き付けて締め付ける場合に比べると、巻き付け、締め付け用の治具、工具等やこれらを使用しての巻き付け、締め付け工程が不要となる。さらに、従来では、作業の邪魔にならないよう、屈曲部(1c)を伸ばした状態でバンドの巻き付け、締め付け等を行なう必要があったが、本発明によれば予めブーツ(1)の屈曲部(1c)を伸ばしておく必要もない。従って、製造設備や製造工程を簡略化することができ、また、部品点数も削減されるので、製造コストの低減を図ることができる。
【0016】
図3は、本発明の他の実施例であって、補強部材(6)の円筒部(6a)の一部を内径側に切り起こして係合爪(8)を設けたものである。この構成であれば、係合爪(8)がシャフト(2)の段部(7)と係合するので、ブーツ(1)の抜けをより確実に防止することができる。この係合爪(8)は、円筒部(6a)の一箇所のみならず、周方向の複数箇所に設けてもよい。
【0017】
【発明の効果】
ブーツ固定部に環状の補強部材を一体成形すれば、ブーツの小径端部をシャフトに固定するに際し、ブーツを軸方向に押圧するだけでワンタッチで行なえるので、従来のように、バンドを巻き付けて締め付ける場合に比べると、巻き付け、締め付け用の治具、工具等やこれらを使用しての巻き付け、締め付け工程が不要となる。従って、製造設備や製造工程を簡略化することができ、また、部品点数も削減されるので、製造コストの低減を図ることができる。
【0018】
補強部材をブーツ固定部に内在させれば、補強部材の防錆性が確保されるので、ブーツの耐久性を向上させることができる。
【0019】
補強部材の継手側の端部を内径側に屈曲させて押し込み部を設ければ、ブーツの軸方向への押し込みをより一層容易に行うことができる。
【0020】
補強部材の外周面を周方向の一又は二以上の箇所で内径側に切り起こして係合爪を設ければ、シャフトからのブーツの抜けをより一層確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる等速自在継手のブーツを示す軸方向の断面図である。
【図2】等速自在継手の組み込み後を示す軸方向の断面図である。
【図3】本発明の他の実施例を示す要部拡大断面図であり、補強部材に係合爪を設けた場合を示す。
【図4】従来のブーツの取り付け構造を示す軸方向の断面図である。
【符号の説明】
1 ブーツ
1a 大径端部
1b 小径端部
2 シャフト
3 ブーツ固定部
5 係合部
6 補強部材
6b 押し込み部
8 係合爪
B 等速自在継手
Claims (3)
- 大径端部と小径端部とを有し、小径端部に設けたブーツ固定部をシャフト外周面に設けた係合部と係合させてシャフトに固定するものにおいて、前記ブーツ固定部に環状の補強部材を一体成形すると共に、補強部材にその継手側の端部を内径側に屈曲させて押し込み部を設け、ブーツ固定部と押し込み部とでシャフトの凸状の段部を軸方向両側から挟む込むことを特徴とする等速自在継手のブーツ。
- 補強部材をブーツ固定部に内在させたことを特徴とする請求項1記載の等速自在継手のブーツ。
- 補強部材の外周面を周方向の一又は二以上の箇所で内径側に切り起こして係合爪を設けたことを特徴とする請求項1記載の等速自在継手のブーツ。
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1995
- 1995-07-28 JP JP19281695A patent/JP3589506B2/ja not_active Expired - Fee Related
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