JP3589315B2 - ポリエステル嵩高布帛 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ポリエステル繊維からなる嵩高で軽量なドレープ性の良いポリエステル嵩高布帛及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、婦人服においては、素材の多様化が進んでおり、特に素材の複合化が盛んに行なわれている。
そして、これらの素材からなる織物として風合、外観の変わったいわゆる審美性に訴えるものが多く登場している。
しかし、これらの織物は、軽量、嵩高、ドレープ性の点で不充分である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のポリエステル繊維100%からなる織物の嵩高、ドレープ性に改良を加えたポリエステル嵩高布帛及びその製造法を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するために次の手段をとるものである。すなわち、本発明は、偏平率4.0〜10.0の偏平ポリエステルステープルと、丸断面又は3角断面のポリエステル繊維とからなる糸が経糸及び/緯糸に用いてなる布帛であって、嵩高度(cm3 /g)が1.5〜10.0の範囲にあって、ドレープ係数が30〜65の範囲にあることを特徴とするポリエステル嵩高布帛である。
【0006】
以下に本発明を詳細に説明する。まず、本発明のポリエステル嵩高布帛について説明する。本発明では偏平率4.0〜10.0のポリエステルステープルを用いることが必須である。これは、偏平ステープルと、丸断面又は3角断面の繊維と混合したときに繊維間に空隙をつくり、軽量、嵩高を狙うためである。
偏平率が4.0未満になると繊維間の空隙が少なくなり、嵩高性が減少するので好ましくなく、10.0をこえると混合率の斑が発生しやすくなり、かつ、可紡性が悪くなるので好ましくない。好ましいのは4.0〜9.0である。
【0007】ここに、偏平率(%)とは、図1の断面において、一方の長さaに対する他方の長さbの比で定義される。
【0008】
なお、偏平ポリエステルステープルの太さは0.5〜2.5デニールが好ましく、さらに好ましくは1.0〜2.0デニールである。0.5デニール未満の場合には嵩高度が少なくなり好ましくない。他方、2.5デニールをこえると嵩高度は良いが風合いが粗硬になり、ドレープ性が悪くなるので好ましくない。
【0009】
偏平ポリエステルステープルは、等長カットでも又はバリアブルカットのいずれでも良い。また、長さは32〜51mmのものが好ましい。
【0010】
他方、前記ポリエステルステープルと混合して用いられるポリエステル繊維は丸断面又は3角断面でなければならない。
ここで、丸断面又は3角断面のポリエステル繊維を用いるのは、混合された状態での繊維間の空隙をつくるためである。
【0011】
前記3角断面のポリエステル繊維は異型度が1.5〜2.5のものが好ましい。異型度が1.5未満になると3角断面の効果によるドライタッチ風合いの効果が少なくなり好ましくない。
他方、2.5をこえると減量加工による繊維損傷度が大きくなって好ましくない。
【0012】
ここに、異型度は、図2に示す外接円直径c、内接円直径dの比c/dで定義される。
【0013】
つぎに、偏平ポリエステルステープルは、丸断面又は3角断面のポリエステル繊維と30〜70重量%:70〜30重量%の割合で混合されている。
前者の偏平率4.0〜10.0の偏平ポリエステルステープルについては、30重量%未満になると、糸横断面の繊維空隙が少なくなり、他方、70重量%をこえると糸横断面で偏平ポリエステルステープルが集合して平行的に重なって糸条を形成するので嵩高性が少なくなり好ましくない。
【0014】
後者のポリエステル繊維が70重量%をこえると糸横断面でポリエステルステープル間の空隙が少なくなって好ましくなく、他方、30重量%未満になると糸の横断面内で偏平ポリエステルステープルが平行に重なって糸条を形成し、嵩高度が少なくなるので好ましくない。
【0015】
前記のポリエステル繊維としてはフイラメント又はステープルのいずれであってもよい。
ポリエステルステープルとしては0.5〜2.5デニール、さらに好ましくは1〜2デニールである。0.5デニール未満のときには嵩高度が小さくなり、他方、2.5デニールをこえると風合が粗硬になりドレープ性が悪くなるので好ましくない。
ステープルの長さは、等長又はバリアブルカットのいずれでも良い。例えば、32〜51mmの範囲のものが好ましい。
【0016】
ポリエステル繊維がポリエステルフイラメントの場合にも太さは0.5〜2.5デニールのものが好ましい。
【0017】
今迄に述べてきたポリエステルとは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ベンゾエート、共重合ポリエステルなどを意味する。
【0018】
前記偏平ポリエステルステープルとポリエステル繊維とは、所定の割合で混合され、好ましくは撚係数2.5〜4.5、さらに好ましくは3.0〜4.0で実撚をかけられる。撚係数が2.5未満のときには嵩高に富むものの、腰と張りが不足し、ドレープ性が悪くなるので好ましくない。他方、4.5をこえると糸の横断面における繊維間の空隙が少なくなるので嵩高度が低くなって好ましくない。ここに撚係数は、T(t/in.)=K・Ne1/2 の式においてKで与えられる。Neは英式綿番手である。
【0019】
糸の番手としては、英式綿番手で10〜80’Sが好ましく、さらに好ましくは20〜60’Sの範囲のものが好ましい。
【0020】
そして、混合されてなる糸は、経糸及び/または緯糸に用いて布帛に形成されるが、該布帛は嵩高度(cm3 /g)が1.5〜10.0の範囲になければならない。1.5cm3 /g未満になると嵩高度が少なく、ペーパーライクとなって好ましくなく、他方10.0cm3 /gをこえると嵩高度が大きすぎてフカツキが大きくなり、ドレープ性が悪くなって好ましくない。
【0021】
嵩高度(cm3 /g)は、JIS L 1018の6.12かさ高度に従って測定される。具体的には、かさ高度(cm3 /g)=(T/W)×103 の式によって求められる。ここに、Tは厚さ(mm)であり、Wは質量(g/m2 )である。
【0022】
また、ドレープ係数は30〜65の範囲になければならない。30未満のときには着用時のフイット性が悪くなり、他方65をこえるときには着用時にまとわりついて好ましくない。
【0023】
なお、ドレープ係数は、JIS L 1096の6.19.7ドレープ係数の測定法によった。具体的には、ドレープ係数=(Ad−S1 )/(S2 −S1 )によって求めた。Ad:試験片の垂直投影面積(ドレープ形状面積)(mm2 )、S1 :試料台の面積(mm2 )、S2 :試料の面積(mm2 )である。
【0024】
ここで、本発明の製造法について説明する。
まず、偏平率4.0〜10.0の偏平ポリエステルステープルと、丸断面又は3角断面のポリエステル繊維とからなる糸を製造する。
ポリエステル繊維がポリエステルステープルの場合には、前記偏平ポリエステルステープルと、丸断面又は3角断面のポリエステルステープルと夫々混綿で又は練条工程で混合して混紡糸にする。
【0025】
ポリエステル繊維がポリエステルフイラメントの場合には、偏平ポリエステルステープルからなる原綿を用いて混綿、カード、練条、粗紡工程をへて得られる粗糸を精紡機に仕掛ける。
その際、丸断面又は3角断面のフイラメントからなるポリエステルマルチフイラメント糸を電気開繊し、前記精紡機のフロントローラの直前の上流に供給し、紡出されつつある偏平ポリエステルステープルのフリースに重ねてフロントローラから紡出し、例えば実撚をかけて糸にする。
【0026】
ついで、この糸を経糸及び/または緯糸に用いて布帛にする。その後この布帛を精練糊抜きし、必要に応じて苛性ソーダなどにて減量加工する。その後、液流染色機で染色加工を施す。かくして得られた織物は、嵩高性に富み、ドレープ性豊かなものとなる。
【0027】
【実施例】
実施例1
偏平ポリエステルステープル(1.2d、カット長38mm)と、丸断面のポリエステルステープル(1.0d、カット長38mm)とを60重量%:40重量%の割合で混打綿混紡して、40/1’Sの紡績糸(撚係数3.5)を紡出した。この際、偏平ポリエステルステープルの偏平率を種々変更した。
ついで、該糸を経糸および緯糸に使用して145本/in×90本/inの生機密度で2/1ツイルを織成した。
該生機を精練糊抜き後、苛性ソーダーで25%の減量加工を施し、液流染色機で染色加工を施し、仕上加工を施した。この際、仕上加工の前にプレス加工を施した場合と施さない場合とを夫々表1に示した。なお、◎は最も良好、○は良好、△はやや悪し、×は悪しを意味する。
【0028】
【表1】
【0029】
表1から次のことが確認された。NO2、4、5は本発明の範囲内のものであり、NO1、3、6は嵩高度が低く、総合的に不合格であった。NO7、8は混紡斑による糸条斑があって仕上加工布の外観が悪かった。NO2、3、5はレデイースドレス地として良好であった。
【0030】
実施例2
偏平ポリエステルステープル(1.2d、カット長38mm)からなる原綿を用いて混打綿、カード、練条、粗紡をへて粗糸をつくり、精紡機に仕掛け、フロントローラから紡出する際に、3角断面のポリエステルマルチフイラメント糸(50d/36f)を5.5KVの電圧をかけて電気開繊してフロントローラの直前の上流に供給して偏平ポリエステルステープルのフリースに重ねて一緒に紡出して撚係数3.5(24.7t/in)の実撚をかけて50/1’Sの紡績糸を製造した。この際、偏平ポリエステルステープルの偏平率を種々変更した。
【0031】
ついで、該糸を経糸および緯糸に用いて158本/in×95本/inの生機密度でサテン組織で織成した。該生機を精練糊抜き後苛性ソーダーで25%の減量加工を施した後、液流染色機で染色加工後、カレンダー加工せずに仕上加工を施した。得られた織物の物性を表2に示した。なお、表2中の◎は最も良好、○は良好、△はやや良好、×は悪いを意味する。
【0032】
【表2】
【0033】
表2から次のことが確認された。NO7、8は糸斑が多く外観評価が悪かった。NO4、5、7は嵩高度が良好であり、NO2、3、4、6はドレープ性が良好で、総合評価についてはNO2、4、5が良好であった。
【0034】
【発明の効果】
本発明の布帛は、嵩高でドレープ性に優れたものであり、また、その製造法はかかる布帛を再現性良く安定して製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】偏平率を説明するための繊維の断面図である。
【図2】異型度を説明するための繊維の断面図である。
【符号の説明】
a 繊維断面における一方の長さ
b 繊維断面における他方の長さ
c 繊維断面における外接円直径
d 繊維断面における内接円直径
Claims (4)
- 偏平率4.0〜10.0の偏平ポリエステルステープルと、丸断面又は3角断面のポリエステル繊維とからなる糸が経糸及び/又は緯糸に用いてなる布帛であって、嵩高度(cm3 /g)が1.5〜10.0の範囲にあって、ドレープ係数が30〜65の範囲にあることを特徴とするポリエステル嵩高布帛。
- 3角断面の異型度が1.5〜2.5である請求項1に記載のポリエステル嵩高布帛。
- ポリエステル繊維がポリエステルステープルである請求項1又は2に記載のポリエステル嵩高布帛。
- ポリエステル繊維がポリエステルフイラメントである請求項1又は2に記載のポリエステル嵩高布帛。
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1994
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