JP3587678B2 - 磁界センサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外部磁界の変化を電気信号に変換する磁界センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
磁界センサは、外部磁界の変化を電気信号に変換する素子であり、強磁性体や半導体薄膜等の磁界検出膜をパターニングし、そのパターンに電流を流し電圧変化として外部磁界の変化を電気信号に変換するものである。
【0003】
例えば、強磁性磁気抵抗効果センサは、強磁性体金属の電気抵抗が外部磁界により変化する現象(磁気抵抗効果、MR効果)を利用して磁界強度を測定する。単層膜では古くから知られている強磁性体金属膜の磁気異方性磁気抵抗効果(以下、単にAMR効果と呼ぶ)を利用していたが、最近では、例えば特開平5−259530号公報に開示されているように、多層構造からなる膜による結合型巨大磁気抵抗効果(GMR効果)を用いたセンサも開発されている。
【0004】
また、IEEE Trans.Mag.(32)366〜371(1996)には、スピンバルブと呼ばれる交換バイアス非結合型GMR効果を利用したセンサが紹介されている。
【0005】
ところで、巨大磁気抵抗効果膜は、一般に、▲1▼(強磁性体/非磁性導電体)構造のアンチフェロ(結合)型、▲2▼(高保磁力強磁性体/非磁性導電体/低保磁力強磁性体)構造の誘導フェリ(非結合)型、▲3▼(反強磁性体/強磁性体/非磁性導電体/強磁性体)構造のスピンバルブ型、▲4▼Co/Ag系統の非固溶系グラニュラー型に大別される。さらに、トンネル電流検出型やペロブスカイト構造型も知られている。すなわち、巨大磁気抵抗効果とは、強磁性体薄膜のAMR効果を超える抵抗変化率を有する磁気抵抗効果と位置づけることができる。
【0006】
これらの巨大磁気抵抗効果膜はその構造、組成により検出可能な磁界強度、すなわち磁気抵抗効果の飽和磁界強度が大きく異なる。例えば、(Fe/Cr)系アンチフェロ型では10KOe以上、(CoNiFe/Cu)系アンチフェロ型では0.1から1KOeまで、(NiFe/Cu/Co/Cu)系誘導フェリ型では5から20Oe程度、(FeMn/NiFe/Cu/NiFe)系スピンバルブ型では数Oe、そしてグラニュラー型では100から5KOe程度までの磁界検出が可能である。
【0007】
AMR効果を示す磁性膜素子では、電流方向を磁化容易軸方向と平行に設定し、磁場を磁化困難軸方向に印加した場合にのみ抵抗変化が検出できる。そして、得られる抵抗変化は、磁化方向と電流方向とが平行の時に最大値を示し、両者が直交した場合に最小値を示す。AMR効果膜を利用した磁界センサでは、膜をストライプ状に形成し、磁化容易軸を長手方向に一致させている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
これに対して、GMR効果を示す膜においては、その原理からすれば、得られる抵抗変化は磁界と電流の相対角度によらず等方的である。従って、外部磁場の方向が面内で変化したとしても、磁場の大きさが同じあれば、抵抗変化の値は常に一定となる。
【0009】
しかしながら、現実には、特開平7−77531号公報に開示されているように、GMR効果膜といえどもパターンの形状による反磁界効果が形態に依存してしまうために形状異方性を持ち、外部磁場の面内での方向が変化すれば抵抗変化の値は変わってしまう。従って、例えば、図12に示されるような従来公知の細長い矩形のパターン形状(磁気抵抗効果膜)220を備えるGMR効果型の磁界センサ200(符号210は、導電体電極膜を表す)を例にとって考えるならば、電流方向すなわちパターンのストライプ方向に対して磁界が平行な場合(矢印α方向)の方が、パターンのストライプ方向に対して磁界が直交する場合(矢印β方向)より飽和磁界Hkが小さくなってしまう(形状異方性が生じる)。
【0010】
このような実状のもとに本発明は創案されたものであって、その目的は、抵抗変化が等方的であり、高感度で、面内(2次元)の磁界に対して等方的に磁界検出が可能な磁界センサを提供することにある。さらには、これを発展させ、簡単な構造で高感度な、3次元方向においても等方的に磁界が検出できる磁界センサを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、磁界検出のための磁気抵抗効果膜を基板の上に備えてなる磁界センサにおいて、前記磁気抵抗効果膜は、線体で描かれる螺旋状形状であるパターン形状をなし、当該パターン形状は、下記式(1)の条件を満たすように、少なくともパターン形状の中に湾曲部または湾曲相当部を有してなるように構成される。
ΔH=(Hkmax−Hkmin)/Hkmin ≦0.3 … 式(1)
(上記式(1)において、Hkmaxは磁気抵抗効果膜の面内最大飽和磁界を、Hkminは磁気抵抗効果膜の面内最小飽和磁界を表す)
【0012】
また、本発明は、磁界検出のための磁気抵抗効果膜を基板の上に備えてなる磁界センサにおいて、前記磁気抵抗効果膜は、線体で描かれる略半円形状ないしは略半楕円形状をつなぎ合わせた蛇行形状であるパターン形状をなし、当該パターン形状は、下記式(1)の条件を満たすように、少なくともパターン形状の中に湾曲部または湾曲相当部を有してなるように構成される。
ΔH=(Hkmax−Hkmin)/Hkmin ≦0.3 … 式(1)
(上記式(1)において、Hkmaxは磁気抵抗効果膜の面内最大飽和磁界を、Hkminは磁気抵抗効果膜の面内最小飽和磁界を表す)
【0019】
また、本発明の磁界センサは、前記平面状の磁界センサを3つ準備し、これらを、互いに直交する3面に立体配置してなるように構成される。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0021】
図1は、本発明の磁界センサ1の好適な第1の実施の形態を示す平面図である。図1に示されるように本発明の磁界センサ1は、基板8の上に、好適な形態として、線体で環状形状のパターン11に形成された磁気抵抗効果膜10を備えている。本発明でいう『線体』とは、長さはもちろんのこと、幅および厚さをも備えている線状のものを言う。磁気抵抗効果膜10の環状形状のパターンの一部は、完全に繋がっておらず、欠損部分があり、この欠損部分により形成される環状形状パターンの端部10a,10aには、導電体電極膜(電極パッド)91,95が接続される。本実施例における導電体電極膜91,95は、環状形状のパターン11を有する磁気抵抗効果膜10との接合が容易になるように、突出部91a,95aを備えている。
【0022】
本発明における発明の要部は、基板8の上に形成される磁気抵抗効果膜10が、線体で所定のパターンに描かれたパターン形状11をなしており、当該パターン形状11は、下記式(1)の条件を満たすように、少なくともパターン形状11の中に湾曲部または湾曲相当部を有して構成されている点にある。図1に示されるパターン形状11は、一定の曲率の湾曲部のみからなる環状形状のパターン11から構成されている。
【0023】
ΔH=(HKmax−HKmin)/HKmin ≦0.3 … 式(1)
上記の式(1)において、HKmaxは、磁気抵抗効果膜の面内最大飽和磁界を、HKminは、磁気抵抗効果膜10の面内最小飽和磁界を、それぞれ表している。図1において、図面の横方向がx軸方向、縦方向がy軸方向、紙面の奥行き方向がz軸方向であり、磁気抵抗効果膜10の面内とは、図1におけるx−y平面を示しており、このx−y平面のあらゆる方向からの外部磁場を考えた場合、ある方向の磁場に対して得られた最も大きい飽和磁界をHKmaxとし、ある方向の磁場に対して得られた最も小さい飽和磁界をHKminとしている。
【0024】
上記の式(1)において、ΔHの値が0.3を超えると、磁気抵抗効果膜10の面内の等方的な磁界検出ができなくなってしまう。すなわち、磁気抵抗効果膜10のx−y平面での異方性が顕著になってしまう。式(1)において、ΔHの好ましい値は0.1以下、さらに好ましくは0.05以下、さらに好ましくは0.03以下である。
【0025】
飽和磁界Hk の求め方は、例えば図11に示されるように、横軸に磁界強度(Oe)をとり、縦軸に抵抗変化率(%)をとった場合に、得られた磁気抵抗曲線(MR曲線)の直線相当部分の直線化を図って延長し、横軸と交わる点を飽和磁界Hk としている(面内の最大値がHKmax、最小値がHKmin)。
【0026】
磁気抵抗効果膜10に接続される導電体電極膜(電極パッド)91,95は、磁気抵抗効果膜10に電流を流すために形成され、さらにこの導電体電極膜91,95には、ハンダ付け、ワイヤーボンディング等により外部回路との接合が行われる。
【0027】
本発明で用いられる磁界検出用の磁気抵抗効果膜10(磁性膜)は、磁気抵抗効果を有する膜であり、単層膜構造、多層膜構造のいずれであってもよい。磁気抵抗効果とは、磁場の変化によって電気抵抗が変化する現象をいう。素子を構成する磁性膜は、特に検出感度が高くて検出する磁界強度を大きく変化させることが可能な巨大磁気抵抗効果膜(GMR膜)を用いることが好ましい。巨大磁気抵抗効果膜は、金属人工格子(藤森啓安、アグネ技術センター、1995年発行)347ページに紹介されているように、強磁性体膜と非磁性体膜との多層膜であり、その多層膜の界面散乱変化により抵抗が変化することが知られている。
【0028】
巨大磁気抵抗効果膜としては、▲1▼(強磁性体/非磁性導電体)構造のアンチフェロ(結合)型、▲2▼(高保磁力強磁性体/非磁性導電体/低保磁力強磁性体)構造の誘導フェリ(非結合)型、▲3▼(半強磁性体/強磁性体/非磁性導電体/強磁性体)構造のスピンバルブ型、▲4▼Co/Ag系統の非固溶系グラニュラー型に大別される。
【0029】
これらの各巨大磁気抵抗効果膜は、その構造や組成により、検出可能な磁界強度、すなわち、磁気抵抗効果の飽和磁界強度が大きく異なる。例えば、(Fe/Cr)系アンチフェロ型では10KOe以上、(CoNiFe/Cu)系アンチフェロ型では、0.1Oeから1KOe、(NiFe/Cu/Co/Cu)系誘導フェリ型では、5Oeから20Oe程度、(FeMn/NiFe/Cu/NiFe)系スピンバルブ型では、数Oe、そして、グラニュラー型では100Oeから5KOe程度までの磁界検出が可能である。磁界感度は、最大磁気抵抗変化率を飽和磁界強度で割り算したものであり、最大磁気抵抗変化率が大きくても、飽和磁界が大きい場合には磁界感度は悪い。反対に、最大磁気抵抗変化率が小さくても、飽和磁界が非常に小さい場合には磁界感度は良い。このため、検出すべき磁界強度により最高の磁界感度が得られるように、上記の各種の巨大磁気抵抗効果膜から、基本系を選択し、さらに組成系の変更や細かな構造を最適化して用いる。
【0030】
このような磁気抵抗効果膜10(磁性膜)は、真空成膜法、例えば、蒸着法、スパッタ法などにより成膜される。より具体的には、基板8の全面に磁気抵抗効果膜を成膜した後、所望のパターン形状にパターニングして磁界検出用の磁気抵抗効果膜10とし、さらに、この膜10に接合され電流を流すための導電体電極膜91,95(電極)を所定のパターンに形成する。導電体電極膜91,95は、磁気抵抗効果膜である磁性膜部分に比べて小さな抵抗を有することが重要である。このため導電体電極膜91,95は、導電性の高い金属、例えば銅、金、アルミニウム等を用いて比較的厚い仕様、例えば、0.3から5.0μm厚に成膜される。導電体電極膜91,95の形成には、真空成膜法に加えて湿式成膜法も利用可能である。また、最初に、導電体電極膜91,95導電層を形成してから磁気抵抗効果膜10を形成しても差し支えない。
【0031】
また、このように磁気抵抗効果膜10および導電体電極膜91,95を個別に異種の材料から構成するのではなくて、磁気抵抗効果膜10および導電体電極膜91,95をすべて同一材質から一体的に形成(成膜)させてもよい。ただし、この場合には磁気抵抗効果膜10および導電体電極膜91,95の各々の機能が発揮できる範囲内での同一材質とすることが必要である。磁性膜の部分は感磁パターン部であり、導電体電極膜の部分は、感磁パターン部である必要はない。そこで、感磁パターン部と電極部の電流密度を変化させるために、電極部の幅は感磁パターン部の幅よりも広く設計される。すなわち、同一材質で構成されたパターンの両端部分の幅を広くすることで導電体電極膜としての機能を付与できる。同一材質から構成することにより、1回のパターニング工程で感磁部分である磁気抵抗効果膜10と電極部である導電体電極膜91,95が同時に形成でき、極めて高い生産性を実現することができる。このことは後述するすべての実施の態様においても同様に適用される。
【0032】
磁気抵抗効果膜10は、一般に、200nm以下の薄膜として形成されるために、使用環境における耐食性が問題となることが多い。このため、少なくとも磁気抵抗効果膜10の上層に保護膜を設け、周囲の雰囲気から磁気抵抗効果膜10を保護することが好ましい。保護膜の材質としては、SiO やAl 等の無機材料や、ポリイミド樹脂、ノボラック樹脂等の有機材料を用いることが好ましい。
【0033】
本発明に用いられる基板8の材質は、特に制限されるものではなく、ガラス、シリコン、セラミック等の無機系のものや、樹脂等の有機系のものいずれを用いてもよい。これらのなかでは特に、いわゆる可撓性に優れ、薄くて軽いものを用いることが好ましく、例えば、印刷配線板等として広く使用されているプラスチックフィルムと同様の基板が好適に使用できる。より具体的には、プラスチックフィルム材質として公知の各種の材料、例えば、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリポロピレン(PP)、テフロン等が利用可能である。なかでも特に、導電体電極膜の端部でのハンダによる接合を考慮して、耐熱性の高いポリイミドフィルムを用いるのが好ましい。
【0034】
基板8の厚さは、特に限定されるものではないが、通常、1〜300μmの厚さのものが好ましい。
【0035】
図2には、本発明の第2の実施の形態が示される。図2に示される磁界センサ2が、前記図1に示される磁界センサ1と特に異なるのは、磁気抵抗効果膜20のパターン形状21が、螺旋状形状である点にある。螺旋状の形状パターンの両端部20a,20bはそれぞれ反対に位置する最外部に形成されている。この場合も、磁気抵抗効果膜20のパターン形状21は実質的に湾曲部のみから形成されており、本発明の効果を発現させるべく上記式(1)を満足するような設計仕様は容易に実現できる。
【0036】
図3には、本発明の第3の実施の形態が示される。図3に示される磁界センサ3における磁気抵抗効果膜30のパターン形状31もまた、図2に示される磁気抵抗効果膜20の場合と同様に螺旋状形状である。図3に示される第3の実施の形態の場合、螺旋状の形状パターンの両端部30a,30bがパターンの最外部と中央部にあり、これの両端部がそれぞれ導電体電極膜91,95(91a,95b)に接続されている。図3に示される構成では、基板10の上に螺旋状のパターン形状30が形成され、この上に、絶縁膜37が形成され、この絶縁膜37のパターン中央部30b位置に開孔された開孔部を介して、螺旋状形状パターンの中央部30bと導電体電極膜95(95b)が接続される。この場合も、磁気抵抗効果膜30のパターン形状31は実質的に湾曲部のみから形成されており、本発明の効果を発現させるべく上記式(1)を満足するような設計仕様は容易に実現できる。
【0037】
図4には、本発明の第4の実施の形態が示される。図4に示される磁界センサ4における磁気抵抗効果膜40のパターン形状41は、略半円状41a(実質的な半円)を交互につなぎ合わせた蛇行形状で形成される(図面におけるR1とR2の関係:R1=R2)。この場合も、磁気抵抗効果膜40のパターン形状41は実質的に湾曲部のみから形成されており、本発明の効果を発現させるべく上記式(1)を満足するような設計仕様は容易に実現できる。
【0038】
図5には、本発明の第5の実施の形態が示される。図5に示される磁界センサ5における磁気抵抗効果膜50のパターン形状51は、前記第4の実施の形態の変形例でもあり、略半楕円形状51a(実質的な半楕円)を交互につなぎ合わせた蛇行形状で形成される(実質的に湾曲部のみから形成される)。この場合、図面におけるR1とR2の比、R1/R2が0.75〜1.3程度まで変形可能であるが、厳密には、上記式(1)を満足する範囲に限定される。
【0039】
図6には、本発明の第6の実施の形態が示される。図6に示される磁界センサ6における磁気抵抗効果膜60のパターン形状61は、多角形形状、特に6角以上の多角形形状、さらには好ましくは8角以上の多角形形状とされる(図6は、好ましい態様の一例として8角形が例示されている)。この場合、磁気抵抗効果膜60のパターン形状61は実質的に『湾曲相当部』のみから形成されており、本発明の効果を発現させるべく上記式(1)を満足するような設計仕様は容易に実現できる。本発明で言う『湾曲相当部』とは、上記第1〜第5の実施の形態で使用されている『湾曲部』と実質的に同じ作用を果たす形状として定義される。このことは、円形状が、多角形化を無限に進めた結果物であることにより、容易に理解されよう。なお、6角未満の多角形となると、等方的な磁界検出が困難となる。
【0040】
図7には、本発明の磁界センサ4の使用例の一例が示される。図7に示される磁界センサ4は、第4の実施の形態のセンサ4(図4)、すなわち、略半円状をつなぎ合わせた蛇行形状の磁気抵抗効果膜が例示されており、このものは回転着磁体100の回転速度を非接触で検出するためにギャップGの距離を離して設置される。回転着磁体100は、この例では、円盤形状をなし、その周側面には図示のごとくN−S極が交互に着磁されている。この場合、磁界センサ(基板と磁気抵抗効果膜)は、図7に示される回転着磁体100の周側面の曲率に合わせて(基板を曲げて)曲率を付けておくことにより、高精度な検出が可能になる。この点を考慮し、基板8は、可撓性に優れる樹脂基板を用いることが好ましい。また、磁界センサの検出部である磁気抵抗効果膜が形成されている基板がポリイミド等の可撓性を備えているものであれば、この基板を変形させることにより磁気抵抗効果膜に応力を加え、その効果により等方的に磁界検出することも可能である。
【0041】
また、図8に示されるように回転する被検出体が、軟磁性体からなる円盤ギヤ形状の被検出体110である場合、検出のための磁界感度を上げるために図8に示されるように本発明の磁界センサ4(あるいは他の磁界センサ1〜3,5〜6)とポールピース体130を組み合わせることができる。ポールピース体130は、中央部に位置し、板状かつ軟磁性体からなるポールピース131と、このポールピース131の両側に固着された2つのマグネット133,138とを備えている。マグネット133,138は、ギヤの回転周方向に磁極面を有し、図示のごとくその中央部がそれぞれ同極(図示例では、N極)、さらにその外側部も同極(図示例では、S極)となるように配置されている。磁界センサ4は、図示のごとくポールピース131が被検出体110(ギヤ)に対向する側に対して反対側に配置される。このような構造とすることにより、被検出体110のギヤの凹凸部の回動進行に伴い、ポールピース131の近傍に磁界の変化が生じ、この変化が磁界センサ4により検出される。
【0042】
図9には他の形態からなるポールピース体140が示される。このポールピース体140は、中央部に位置しその両端がN−S極に着磁されたマグネット143と、その両端に固着された板状かつ軟磁性体からなるポールピース141,145を備えている。磁界センサ4は、ポールピース141,145の間に位置し、被検出体110(ギヤ)に対向する側の反対側に配置される。被検出体110のギヤの凸部が磁界センサ4に近づくと、ギヤの凸部を貫流する磁束の量が増加するから、磁界センサ4側に貫流する磁束の量が減少する。一方、被検出体110のギヤの凹部が磁界センサ4に近づくと、ギヤの凹部を貫流する磁束の量が減少するから、磁界センサ4側に貫流する磁束の量が増加する。このように被検出体110のギヤの凹凸の進行に伴い磁界センサ4で検出される磁束が変化する。これによりギヤの回転量が測定される。
【0043】
図10には、上述してきた磁界センサ、すなわち、面内(2次元)の磁界に対して等方的に磁界検出が可能な磁界センサを3つ組み合わせ、x−y−z3次元方向においても等方的に磁界が検出できる磁界センサ70の好適例が示されている。磁界センサ70は、例えば、上記の平面状の磁界センサ4を3つ準備し、これらを、図10に示されるごとく互いに直交する3面(x−y面;x−z面;y−z面)に立体配置して構成される。3つの磁気抵抗効果膜40は、連結用の中継パッド98,98を介して、直列に接続される。そして接続パッド92,96が外部端子に接続されるようになっている。
【0044】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0045】
(実施例1)
3インチ径、厚さ0.7mmのガラス基板上に、ポリイミドレジストを塗布し、硬化させたものを基板とした。硬化後の厚さは75μmであった。この基板をアルミ製の基板固定台に取りつけた後、イオンビームスパッタ装置にて、200Å−Ti(15Å−NiFeCo/20Å−Cu)×30の多層GMR膜を成膜した。基板固定台は、温度25℃に制御された循環冷却水により冷却させた。ここで膜構造は最初に200ÅのTi、次に15ÅのNiFeCo合金と20ÅのCuを順に各々30層づつ積層した全厚1250Åの多層膜である。なお、密着性を向上させるために、GMR膜を成膜する前に、アルゴンイオンにより基板表面のイオンミリングを行った。用いたターゲットはいずれも純度99.9%以上のターゲット組成とし、到達圧力として4×10−7Torrまで真空引きした後にアルゴンガスを導入し、成膜中の真空度は1.4×10−4Torrとした。成膜時のアルゴンイオンの加速電圧は300V、ビーム電流(アルゴンイオン量に比例)は30mA、NiFeCoおよびCuの平均成膜速度は0.03nm/secであった。
【0046】
成膜後、フォトリソグラフィ手法により感磁部である磁気抵抗効果膜のパターンを形成した。パターン形状は、下記表1に示すような種々の形状とした。導電体電極膜(電極パッド)は、別途、1μmの金膜をスパッタ法により形成した。上記のウエハプロセス終了後に、フッ酸にてガラス基板を溶解させた。これにより、厚さ75μmのポリイミドフィルムの上にパターンが形成された状態になった。導電体電極膜(電極パッド)にハンダ付けにて錫メッキ銅線を接合し、さらに磁気抵抗効果膜(素子)の自己発熱を防止するために、磁気抵抗効果膜の上にシリコン樹脂を主成分とする熱伝導性の良い材料を形成し、下記表1に示すような種々の磁界センサのサンプルを作製した。これらのサンプルについて、1mAの電流を流し、外部磁界100Oeにて四端子法により抵抗の磁界依存性(いわゆるMR曲線)を評価した。飽和磁界Hk は前述したように(図11)、MR曲線の直線部を外挿する方法で求めた。さらに、面内方向(図1におけるx−y平面)で素子を回転させ、磁気抵抗効果膜の面内最大飽和磁界HKmax、および磁気抵抗効果膜の面内最小飽和磁界HKminを求めた。なお、各サンプルにおけるMR比(MR Ratio) は、いずれも14〜15%であった。
【0047】
結果を下記表1に示す。
【0048】
【表1】
Figure 0003587678
【0049】
【発明の効果】
上記の結果より本発明の効果は明らかである。すなわち、本発明の磁界センサは、磁界検出のための磁気抵抗効果膜を基板の上に備え、前記磁気抵抗効果膜は、線体で描かれるパターン形状をなし、当該パターン形状は、下記式(1)の条件を満たすように、少なくともパターン形状の中に湾曲部または湾曲相当部を有して構成される。
【0050】
ΔH=(HKmax−HKmin)/HKmin ≦0.3 … 式(1)
(上記式(1)において、HKmaxは、磁気抵抗効果膜の面内最大飽和磁界を、HKminは、磁気抵抗効果膜の面内最小飽和磁界を表す)
従って、このような構成からなる本発明の磁界センサは、抵抗変化が等方的であり、高感度で、面内(2次元)の磁界に対して等方的に磁界検出が可能となるという極めて優れた効果を発揮する。
【0051】
さらに、平面状の磁界センサを3つ準備し、これらを、互いに直交する3面に立体配置して組み合わせた磁界センサは、3次元方向においても等方的に磁界が検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁界センサの好適な実施の一形態としての平面図である。
【図2】本発明の磁界センサの好適な実施の一形態としての平面図である。
【図3】本発明の磁界センサの好適な実施の一形態としての平面図である。
【図4】本発明の磁界センサの好適な実施の一形態としての平面図である。
【図5】本発明の磁界センサの好適な実施の一形態としての平面図である。
【図6】本発明の磁界センサの好適な実施の一形態としての平面図である。
【図7】本発明の磁界センサの使用例の一例を示す斜視図である。
【図8】本発明の磁界センサの使用例の一例を示す平面図である。
【図9】本発明の磁界センサの使用例の一例を示す平面図である。
【図10】平面状の磁界センサを3つ準備し、これらを、互いに直交する3面に立体配置して組み合わせて形成した磁界センサの概略斜視図である。
【図11】磁界センサのいわゆるMR曲線を示すグラフである。
【図12】従来公知の細長い矩形のパターン形状を備える磁界センサの平面図である。
【符号の説明】
1,2,3,4,5,6…磁界センサ
8…基板
10,20,30,40,50,60…磁気抵抗効果膜
11,21,31,41,51,61…磁気抵抗効果膜のパターン形状
91,95…導電体電極膜

Claims (3)

  1. 磁界検出のための磁気抵抗効果膜を基板の上に備えてなる磁界センサにおいて、
    前記磁気抵抗効果膜は、線体で描かれる螺旋状形状であるパターン形状をなし、
    当該パターン形状は、下記式(1)の条件を満たすように、少なくともパターン形状の中に湾曲部または湾曲相当部を有していることを特徴とする磁界センサ。
    ΔH=(Hkmax−Hkmin)/Hkmin ≦0.3 … 式(1)
    (上記式(1)において、Hkmaxは磁気抵抗効果膜の面内最大飽和磁界を、Hkminは磁気抵抗効果膜の面内最小飽和磁界を表す)
  2. 磁界検出のための磁気抵抗効果膜を基板の上に備えてなる磁界センサにおいて、
    前記磁気抵抗効果膜は、線体で描かれる略半円形状ないしは略半楕円形状をつなぎ合わせた蛇行形状であるパターン形状をなし、
    当該パターン形状は、下記式(1)の条件を満たすように、少なくともパターン形状の中に湾曲部または湾曲相当部を有していることを特徴とする磁界センサ。
    ΔH=(Hkmax−Hkmin)/Hkmin ≦0.3 … 式(1)
    (上記式(1)において、Hkmaxは磁気抵抗効果膜の面内最大飽和磁界を、Hkminは磁気抵抗効果膜の面内最小飽和磁界を表す)
  3. 前記請求項1または請求項2に記載の平面状の磁界センサを3つ準備し、これらを、互いに直交する3面に立体配置してなることを特徴とする磁界センサ。
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