JP2018054460A - 薄膜磁気センサ - Google Patents

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恵史 小山
巡 戸塚
Jun Totsuka
巡 戸塚
明 光田
Akira Mitsuta
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Abstract

【課題】消費電力の増大や素子の大型化を招くことなく、相対的に大きなバイアス磁界を正確に印加することが可能な薄膜磁気センサを提供すること。【解決手段】薄膜磁気センサ10aは、基板12と、基板12上に形成された、外部磁界の変化を検出するための高感度素子20と、基板12上に形成され、かつ、高感度素子20に直列に接続された、温度変化に起因する抵抗値の変動を補償するための低感度素子30と、高感度素子30に対してバイアス磁界を印加するための薄膜磁石50と、高感度素子20と薄膜磁石50との間に挿入された絶縁膜(A)58aとを備えている。薄膜磁石50は、少なくともGMR膜(A)22の真下(基板12側)又は真上(表面側)に配置されている。高感度素子20及び低感度素子30は、同一平面上に配置されているのが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、薄膜磁気センサに関し、さらに詳しくは、電力消費の増大や素子の大型化を招くことなく、高感度素子に対して相対的に大きなバイアス磁界を正確に印加することが可能な薄膜磁気センサに関する。
磁気センサは、電磁気力(例えば、電流、電圧、電力、磁界、磁束など。)、力学量(例えば、位置、速度、加速度、変位、距離、張力、圧力、トルク、温度、湿度など。)、生化学量等の被検出量を、磁界を介して電圧に変換する電子デバイスである。磁気センサは、磁界の検出方法に応じて、ホールセンサ、異方的磁気抵抗(AMR: Anisotropic Magneto-Resistivity)センサ、巨大磁気抵抗(GMR: Giant Magneto Resistance)センサ等に分類される。
これらの中でもGMRセンサは、
(1)AMRセンサに比べて電気比抵抗の変化率の最大値(すなわち、MR比=△ρ/ρ0(△ρ=ρH−ρ0:ρHは、外部磁界Hにおける電気比抵抗、ρ0は、外部磁界ゼロにおける電気比抵抗))が極めて大きい、
(2)ホールセンサに比べて抵抗値の温度変化が小さい、
(3)GMR効果を有する材料が薄膜材料であるために、マイクロ化に適している、
等の利点がある。そのため、GMRセンサは、コンピュータ、電力、自動車、家電、携帯機器等に用いられる高感度マイクロ磁気センサとしての応用が期待されている。
GMR効果を示す材料としては、強磁性層(例えば、パーマロイ等)と非磁性層(例えば、Cu、Ag、Au等)の多層膜、あるいは、反強磁性層、強磁性層(固定層)、非磁性層及び強磁性層(自由層)の4層構造を備えた多層膜(いわゆる、「スピンバルブ」)からなる金属人工格子、強磁性金属(例えば、パーマロイ等)からなるnmサイズの微粒子と、非磁性金属(例えば、Cu、Ag、Au等)からなる粒界相とを備えた金属−金属系ナノグラニュラー材料、スピン依存トンネル効果によってMR(Magneto-Resistivity)効果が生ずるトンネル接合膜、nmサイズの強磁性金属合金微粒子と、非磁性・絶縁性材料からなる粒界相とを備えた金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料等が知られている。
これらの内、スピンバルブに代表される多層膜は、一般に、低磁界における感度が高いという特徴がある。しかしながら、多層膜は、種々の材料からなる薄膜を高精度で積層する必要があるために、安定性や歩留まりが悪く、製作コストを抑えるには限界がある。そのため、この種の多層膜は、専ら付加価値の大きなデバイス(例えば、ハードディスク用の磁気ヘッド)にのみ用いられ、単価の安いAMRセンサやホールセンサとの価格競争を強いられる磁気センサに応用するのは困難であると考えられている。また、多層膜間の拡散が生じやすく、GMR効果が消失しやすいため、耐熱性が悪いという大きな欠点がある。
一方、ナノグラニュラー材料は、一般に、作製が容易で、再現性も良い。そのため、これを磁気センサに応用すれば、磁気センサを低コスト化することができる。特に、金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料は、
(1)その組成を最適化すれば、室温において10%を越える高いMR比を示す、
(2)電気比抵抗ρが桁違いに高いので、磁気センサの超小型化と低消費電力化が同時に実現可能である、
(3)耐熱性の悪い反強磁性膜を含むスピンバルブ膜と異なり、高温環境下でも使用可能である、
等の利点がある。しかしながら、金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料は、低磁界における磁界感度が非常に小さいという問題がある。そのため、このような場合には、GMR膜の両端に軟磁性材料からなるヨークを配置し、GMR膜の磁界感度を上げることが行われる。
磁界の変化に対して偶関数特性を示す磁気センサを用いて磁界の方向を検出する場合、磁気センサに対してバイアス磁界を印加するのが一般的である。また、磁気センサにバイアス磁界を印加するために、磁気センサの外部にコイルや永久磁石を配置するのが一般的である。あるいは、センサデバイスを小型化するために、センサ素子の下層部又は上層部に薄膜磁石を形成することも行われている。
例えば、特許文献1には、巨大磁気抵抗薄膜の両端に、軟磁性薄膜と硬磁性薄膜の多層膜を配置した磁界センサが開示されている。
同文献には、電気抵抗変化が磁界の方向に依存しない磁気センサに対して、硬磁性薄膜によって生じた磁界をバイアス磁界として印加すると、外部磁界の大きさ及び極性を同時に検出することができる点が記載されている。
また、特許文献2には、高い透磁率を有する帯状の磁性薄膜が形成された基板の一面に、反強磁性膜及び被磁化方向固定膜を備えた積層体が絶縁膜を介して固着された磁気インピーダンス効果素子が開示されている。
同文献には、
(a)被磁化方向固定膜は、反強磁性膜と磁気交換結合により結合して磁化方向が磁性薄膜の長手方向に固定される点、及び、
(b)これによって、磁性薄膜にはその長手方向にバイアス磁界が付与される点
が記載されている。
磁気センサにバイアス磁界を与える場合において、コイルを用いる時には、電流を流す必要がある。そのため、(1)専用の電源及び回路が必要になる、(2)小型化が難しい、(3)電力消費が大きい、などの問題がある。
また、永久磁石を用いる時には、電力を消費しない。しかし、磁石との距離により磁界が変化するので、取り付け位置を精緻に決める必要がある。そのため、製造上の困難を伴うという問題がある。
一方、薄膜磁石を用いる時には、薄膜磁石はセンサ素子と同様の微細加工プロセスで作製されるため、取り付け位置を比較的正確に決めることができる。しかし、薄膜磁石は磁力が弱く、十分な磁界をかけにくいという問題があった。
特開2003−078187号公報 特開2002−043648号公報
本発明が解決しようとする課題は、消費電力の増大や素子の大型化を招くことなく、高感度素子に対してバイアス磁界を正確に印加することが可能な薄膜磁気センサを提供することにある。
本発明が解決しようとする他の課題は、このような薄膜磁気センサにおいて、バイアス磁界の大きさを相対的に大くすることにある。
上記課題を解決するために本発明に係る薄膜磁気センサは、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記薄膜磁気センサは、
基板と、
前記基板上に形成された、外部磁界の変化を検出するための高感度素子と、
前記基板上に形成され、かつ、前記高感度素子に直列に接続された、温度変化に起因する抵抗値の変動を補償するための低感度素子と、
前記高感度素子に対してバイアス磁界を印加するための薄膜磁石と、
前記高感度素子と前記薄膜磁石との間に挿入された絶縁膜(A)と
を備えている。
(2)前記高感度素子は、
巨大磁気抵抗効果を有するGMR膜(A)と、
前記GMR膜(A)の両端に電気的に接続された軟磁性材料からなる一対の薄膜ヨーク(A)と
を備えている。
(3)前記低感度素子は、
巨大磁気抵抗効果を有するGMR膜(B)と、
前記GMR膜(B)の両端に電気的に接続された軟磁性材料からなる一対の薄膜ヨーク(B)と
を備えている。
(4)前記薄膜磁石は、少なくとも前記GMR膜(A)の真下(前記基板側)又は真上(表面側)に配置されている。
高感度素子と低感度素子を直列に接続した薄膜磁気センサにおいて、少なくともGMR膜(A)の真上又は真下に、絶縁膜(A)を介して薄膜磁石を挿入すると、消費電力の増大や素子の大型化を招くことなく、高感度素子にバイアス磁界を正確に印加することができる。また、薄膜磁石の大きさを最適化すると、高感度素子に相対的に大きなバイアス磁界を印加することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気センサの平面図(図1(A))及びそのA−A’線断面図(図1(B))である。 本発明の第2の実施の形態に係る薄膜磁気センサの平面図(図2(A))及びそのA−A’線断面図(図2(B))である。 本発明の第3の実施の形態に係る薄膜磁気センサの平面図(図3(A))及びそのA−A’線断面図(図3(B))である。 本発明の第4の実施の形態に係る薄膜磁気センサの平面図(図4(A))及びそのA−A’線断面図(図4(B))である。
薄膜磁石の幅が異なる薄膜磁気センサの平面図である。 図5に示す薄膜磁気センサのMR曲線である。 バイアス磁界の磁石幅/ヨーク幅比依存性を示す図である。 ヨーク長、磁石長及び磁石幅の異なる薄膜磁気センサのMR曲線である。
磁石幅とバイアス磁界との関係(図9(A))、及び磁石幅/ヨーク幅比とバイアス磁界との関係(図9(B))を示す図である。 磁石長とバイアス磁界との関係(図10(A))、及び磁石長/全長比とバイアス磁界との関係(図10(B))を示す図である。 磁石厚とバイアス磁界との関係を示す図である。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 薄膜磁気センサ(1)]
図1に、本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気センサの平面図、及びそのA−A’線断面図を示す。図1において、薄膜磁気センサ10aは、
基板12と、
基板12上に形成された、外部磁界の変化を検出するための高感度素子20と、
基板12上に形成され、かつ、高感度素子20に直列に接続された、温度変化に起因する抵抗値の変動を補償するための低感度素子30と、
高感度素子20に対してバイアス磁界を印加するための薄膜磁石50と、
高感度素子20と薄膜磁石50との間に挿入された絶縁膜(A)58aと
を備えている。
[1.1. 基板]
基板12は、その表面に、高感度素子20、低感度素子30、及び薄膜磁石50を形成するためのものである。基板の材料や形状は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な材料及び形状を選択することができる。
[1.2. 高感度素子]
高感度素子20は、巨大磁気抵抗効果を有するGMR膜(A)22と、GMR膜(A)22の両端に電気的に接続された軟磁性材料からなる一対の薄膜ヨーク(A)24、26とを備えている。高感度素子20の表面は、保護膜28により覆われている。さらに、高感度素子20の一端には出力を取り出すための電極42が接合され、他端には低感度素子30と連結するための電極44が接合されている。
[1.2.1. GMR膜(A)]
GMR膜(A)22は、外部磁界の変化を電気抵抗Rの変化として感じ、結果的に電圧の変化として検出するためのものであり、巨大磁気抵抗(GMR)効果を有する材料からなる。外部磁界の変化を高い感度で検出するためには、GMR膜(A)22のMR比の絶対値は、大きいほど良い。GMR膜(A)22のMR比の絶対値は、具体的には、5%以上が好ましく、さらに好ましくは、10%以上である。
また、GMR膜(A)22は、薄膜ヨーク(A)24、26と直接、電気的に接続されるので、GMR膜(A)22には、薄膜ヨーク(A)24、26より高い電気比抵抗ρを有するものが用いられる。一般に、GMR膜(A)22の電気比抵抗ρが小さすぎると、センサ全体の電気抵抗に対する配線などの抵抗の比率が相対的に大きくなり、その結果としてMR比が低下するので好ましくない。一方、GMR膜(A)22の電気比抵抗ρが高すぎる場合には、ノイズが増加し、外部磁界の変化を電圧変化として検出するのが困難となる。
GMR膜(A)22の電気比抵抗ρは、具体的には、103μΩcm以上1012μΩcm以下が好ましく、さらに好ましくは、104μΩcm以上1011μΩcm以下である。
このような条件を満たす材料には、種々の材料があるが、中でも上述した金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料が特に好適である。金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料は、高いMR比と高い電気比抵抗ρを有するだけでなく、僅かな組成変動によってMR比が大きく変動することがないので、安定した磁気特性を有する薄膜を、再現性良く、かつ低コストで作製することができるという利点がある。
GMR膜(A)22として用いられる金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料としては、具体的には、
(1)Co−Y23系ナノグラニュラー合金、Co−Al23系ナノグラニュラー合金、Co−Sm23系ナノグラニュラー合金、Co−Dy23系ナノグラニュラー合金、FeCo−Y23系ナノグラニュラー合金等の酸化物系ナノグラニュラー合金、
(2)Fe−MgF2、FeCo−MgF2、Fe−CaF2、FeCo−AlF3等のフッ化物系ナノグラニュラー合金、
などがある。
[1.2.2. 薄膜ヨーク(A)]
薄膜ヨーク(A)24、26は、ギャップを介して対向しており、GMR膜(A)22は、ギャップ内又はその近傍において、薄膜ヨーク(A)24、26と電気的に接続される。
ここで、「ギャップ近傍」とは、薄膜ヨーク(A)24、26先端に発生する増幅された大きな磁界の影響を受ける領域をいう。薄膜ヨーク(A)24、26間に発生する磁界は、ギャップ内が最も大きくなるので、GMR膜(A)22は、ギャップ内に形成するのが最も好ましいが、GMR膜(A)22に作用する磁界が実用上十分な大きさであるときは、その全部又は一部がギャップ外(例えば、薄膜ヨーク(A)24、26の上面側又は下面側)にあっても良いことを意味する。
薄膜ヨーク(A)24、26は、GMR膜(A)22の磁界感度を高めるためのものであり、軟磁性材料からなる。弱磁界に対する高い磁界感度を得るためには、薄膜ヨーク(A)24、26には、透磁率μ及び/又は飽和磁化Msの高い材料を用いるのが好ましい。また、薄膜ヨーク(A)24、26の材料は、使用する外部磁界の範囲で磁気飽和のないものが好ましい。一方、軟磁性材料の透磁率μは、高いほど好ましく、例えば、5000以上が好ましい。
このような条件を満たす軟磁性材料としては、具体的には、
(a)40〜90%Ni−Fe合金、Fe74Si9Al17、Fe12Ni82Nb6、Fe75.6Si13.28.5Nb1.9Cu0.8、Fe83Hf611、Fe85Zr105合金、Fe93Si34合金、Fe711118合金、
(b)40〜90%Ni−Fe合金/SiO2多層膜、
(c)Fe71.3Nd9.619.1ナノグラニュラー合金、Co70Al1020ナノグラニュラー合金、Co65Fe5Al1020ナノグラニュラー合金、
(d)Co35Fe35Mg1020ナノグラニュラー合金、
(e)Co88Nb6Zr6アモルファス合金、(Co94Fe6)70Si1515アモルファス合金、
などがある。
[1.2.3. 高感度素子の形状及び寸法]
高感度素子20は、外部磁界の変化を検出するためのものである。そのため、感磁方向の磁界感度は大きいほど良い。
ここで、「感磁方向」とは、GMR膜(A)22の磁界感度が最大となるときの外部磁界の印加方向をいう。
高感度素子20の各部の形状及び寸法は、感磁方向の磁界感度に影響を与える。一般に、ギャップの長さ(GMR膜(A)22の感磁方向の長さ)g1が短くなるほど、漏れ磁束が少なくなるので高感度となる。また、薄膜ヨーク(A)24、26の感磁方向の長さが長くなるほど、薄膜ヨーク(A)24、26の反磁界係数が小さくなるので高感度となる。そのため、高感度素子20の各部の形状及び寸法は、目的とする感度が得られるように、最適な形状及び寸法を選択するのが好ましい。
[1.2.4. 保護膜]
保護膜28は、大気中の水分から高感度素子20を保護するためのものである。このような機能を奏する限りにおいて、保護膜28の材料や厚さは、特に限定されない。保護膜28には、例えば、アルミナ、SiO2、Si34などを用いることができる。
[1.3. 低感度素子]
低感度素子30は、巨大磁気抵抗効果を有するGMR膜(B)32と、GMR膜(B)32の両端に電気的に接続された軟磁性材料からなる一対の薄膜ヨーク(B)34、36とを備えている。低感度素子30の表面は、保護膜38により覆われている。さらに、低感度素子30の一端には、高感度素子20と連結するための電極44が接合され、他端には、出力を取り出すための電極46が接合されている。
ここで、「低感度素子30」とは、高感度素子20よりも磁界感度が低い素子をいう。
[1.3.1. GMR膜(B)]
GMR膜(B)32の材料は、高感度素子20のGMR膜(A)22と異なる材料でも良いが、同一材料の方がより好ましい。GMR膜(B)32及びGMR膜(A)22に同一材料を用いると、1工程で双方のGMR膜を同時に形成することができるので、製造コストを低減することができる。また、同一材料の場合は温度による抵抗変化量が同じになるので、ブリッジ回路を形成した際の中点電位が温度変化しないという利点がある。
GMR膜(B)32の材料に関するその他の点は、GMR膜(A)22と同様であるので、説明を省略する。
[1.3.2. 薄膜ヨーク(B)]
薄膜ヨーク(B)34、36の材料は、高感度素子20の薄膜ヨーク(A)24、26と異なる材料でも良く、あるいは、同一材料でも良い。薄膜ヨーク(B)34、36及び薄膜ヨーク(A)24、26に同一材料を用いると、1工程で双方の薄膜ヨークを同時に形成することができるので、製造コストを低減することができる。
薄膜ヨーク(B)34、36の材料に関するその他の点は、薄膜ヨーク(A)24、26と同様であるので、説明を省略する。
[1.3.3. 磁界感度]
低感度素子30は、温度変化に起因する抵抗値の変動を補償するためのものである。そのため、低感度素子30の磁界感度は、小さいほどよい。
低感度素子30の磁界感度を小さくする方法としては、低感度素子30の磁界感度そのものを小さくする方法と、磁気シールドを用いて間接的に小さくする方法とがある。しかし、磁気シールドのみで完全に外部磁界を遮断することは難しく、かつ、磁気シールドを製造する工程も増える。そのため、低感度素子30の磁界感度そのものを小さくするのが好ましい。
低感度素子30の各部の寸法を最適化すると、低感度素子30の磁界感度は、高感度素子20のそれの1/2以下にすることができる。低感度素子30の磁界感度は、好ましくは、高感度素子20のそれの1/5以下、さらに好ましくは、1/10以下である。
ここで、「磁界感度」とは、外部磁界(厳密には素子の感磁方向成分の外部磁界)の変化に伴う、素子の電気比抵抗の変化し易さをいう。従って、「磁界感度が小さい」とは、外部磁界が大きく変化しても電気比抵抗が変化しにくい性質を意味する.一方、「磁界感度が大きい」とは、外部磁界の僅かな変化に対しても電気比抵抗が変化しやすい性質を意味する。本発明では、この両者を用いることで、環境温度が変化しても高性能な磁気センサとすることができる。
磁界感度を変化させる方法としては、特に限定されないが、例えば、薄膜ヨーク長さ(感磁方向と平行方向の長さ)、及び、薄膜ヨーク長さ/薄膜ヨーク幅で示されるアスペクト比を変更する方法が挙げられる。
薄膜ヨーク34、36の長さが短くなると磁界感度が小さくなるため、低感度素子30の薄膜ヨーク34、36の長さは、高感度素子20の薄膜ヨーク24、26の長さよりも短い方が好ましい。
さらに、アスペクト比が小さくなると磁界感度が小さくなるため、低感度素子30のアスペクト比は、高感度素子20のアスペクト比より小さいほうが好ましい。
前記した方法は1つだけ用いても良いが、複数用いることでより磁界感度を変化させることができる。したがって、図1では、前記した方法を全て採用している。
[1.3.4. 保護膜]
保護膜38は、大気中の水分から低感度素子30を保護するためのものである。保護膜38の詳細については、保護膜28と同様であるので、説明を省略する。
[1.4. 薄膜磁石]
本発明において、「薄膜磁石」とは、薄膜プロセスにより製造される磁石であって、厚さの制限は特にないが、30μm以下であると好ましい。薄膜磁石50は、以下の条件を満たしているのが好ましい。
[1.4.1. 薄膜磁石の位置]
薄膜磁石50は、高感度素子20に対してバイアス磁界を印加するためのものである。薄膜磁石50は、高感度素子20の上(表面側)に配置されていても良く、あるいは、高感度素子20の下(基板12側)に配置されていても良い。
薄膜磁石50は、一般に高い磁気特性を得るために熱処理が必要となる場合が多い。この場合、高感度素子20の上に薄膜磁石50を配置すると、薄膜磁石50の熱処理時に高感度素子20も加熱され、高感度素子20の磁気特性が低下する場合がある。従って、薄膜磁石は、高感度素子20の下(基板12側)に配置されているのが好ましい。
さらに、少量の薄膜磁石50を用いて高感度素子20に大きなバイアス磁界を印加するためには、薄膜磁石50は、少なくともGMR膜(A)22の真下(基板12側)又は真上(表面側)に配置されている必要がある。
薄膜磁石50は、GMR膜(A)22を中心として、x方向及び/又はy方向に対称に配置されていてもよく、あるいは、非対称に配置されていても良い。薄膜磁石50がGMR膜(A)22に対して非対称に配置されている場合であっても、少なくともGMR膜(A)22の真下又は真上に薄膜磁石50があれば、高感度素子20に大きなバイアス磁界を印加することができる。
なお、本発明において、低感度素子30の上又は下には、薄膜磁石を配置しない。これは、高感度素子20及び低感度素子30の双方に、厚さが同等である薄膜磁石50を配置すると、低感度素子30により大きなバイアス磁界が作用し、これによりGMR膜(B)32の抵抗値がより大きく変化し、中点電位が大きくずれてしまうためである。
[1.4.2. 薄膜磁石の寸法]
薄膜磁石50の寸法は、高感度素子20に印加されるバイアス磁界の大きさに影響を与える。従って、薄膜磁石50の寸法は、目的に応じて最適な値を選択するのが好ましい。
[A. 厚さ]
薄膜磁石50の厚さ(tM:z方向の長さ)が薄くなりすぎると、高感度素子20に十分な大きさのバイアス磁界を印加することができない。従って、薄膜磁石の厚さ(tM)は、0.1μm以上が好ましい。薄膜磁石の厚さ(tM)は、さらに好ましくは、1μm以上である。
一方、薄膜磁石の厚さ(tM)が厚くなりすぎると、成膜に要する時間が長くなり、また、原材料が多く必要になるのでコストアップに繋がる。また、膜厚が厚くなると、膜応力により基板の反りや割れにつながる場合がある。従って、薄膜磁石の厚さ(tM)は、5μm以下が好ましい。
[B. 感磁方向の長さ]
薄膜磁石50は、高感度素子20の感磁方向の一端にN極が位置し、他端にS極が位置するように配置される。N極から流出した磁束は、ループを描いてS極に流入する。このループの中に高感度素子20を置くと、高感度素子20に適切な大きさのバイアス磁界を印加することができる。
しかしながら、薄膜磁石50の感磁方向の長さ(LM:x方向の長さ)が短すぎると、高感度素子20に十分な大きさのバイアス磁界を印加することができない。従って、LMは、g1以上が好ましい。g1の目安としては、1μm程度である。LMは、さらに好ましくは、5μm以上である。ここで、「g1」は、GMR膜(A)22の感磁方向の長さ(ギャップ長)である。
一般に、LMが長くなるほど、バイアス磁界は大きくなるが、LMがある臨界値を超えると、バイアス磁界が急激に低下する。従って、LMは、1.1L以下が好ましい。LMは、さらに好ましくは、1.0L以下である。ここで、「L」は、高感度素子20の感磁方向の全長(=GMR膜(A)22の感磁方向の長さ+薄膜ヨーク(A)24の感磁方向の長さ+薄膜ヨーク(A)26の感磁方向の長さ)である。
[C. 幅]
薄膜磁石50の幅(WM:y方向の長さ)が短すぎると、高感度素子20に十分な大きさのバイアス磁界を印加することができない。従って、WMは、0.9W以上が好ましい。WMは、好ましくは、5W以上である。ここで、「W」は、薄膜ヨーク(A)24、26の幅である。
一方、WMを必要以上に大きくしても、効果に差がなく、実益がない。従って、WMは、20W以下が好ましい。WMは、より好ましくは、10W以下である。
なお、本発明において「幅」という時は、薄膜磁石50又は薄膜ヨーク(A)24、26の幅の最大値をいう。
[1.5. 絶縁膜(A)]
絶縁膜(A)58aは、高感度素子20と薄膜磁石50とを電気的に絶縁するためのものであり、高感度素子20と薄膜磁石50との間に挿入されている。薄膜磁石50を高感度素子20の真下又は真上に配置する場合において、両者の間に絶縁膜(A)58aがない時には、高感度素子20が短絡する。そのため、薄膜磁石50と高感度素子20との間には、絶縁膜(A)58aを介在させる必要がある。
一般に、絶縁膜(A)58aの厚さが薄くなるほど、高感度素子20が短絡しやすくなる。一方、絶縁膜(A)58bが厚くなりすぎると、GMR膜(A)22に作用するバイアス磁界が過度に小さくなる。従って、絶縁膜(A)58aの厚さは、これらの点を考慮して、最適な厚さを選択するのが好ましい。絶縁膜(A)58aの厚さは、具体的には、0.5μm〜2μmが好ましい。
絶縁膜(A)58aの材料は、非磁性の絶縁体であれば良い。絶縁膜(A)58aの材料としては、例えば、アルミナ、SiO2、Si34、MgO、MgF2などがある。
絶縁膜(A)58aの形状、あるいは、厚さ以外の寸法は、特に限定されない。図1に示す例において、基板12の表面全面には、非磁性膜(A)54が形成されている。また、非磁性膜(A)54の表面には薄膜磁石50が形成され、その周囲には非磁性膜(B)56が形成されている。非磁性膜(A)54及び非磁性膜(B)56は、高感度素子20及び低感度素子30のz方向の位置を調整するためのものである。そのため、非磁性膜(A)54及び非磁性膜(B)56は、少なくとも非磁性体であれば良く、必ずしも絶縁体である必要はない。また、非磁性膜(A)54及び非磁性膜(B)56は、同種材料であっても良く、あるいは、異種材料であっても良い。
さらに、薄膜磁石50及び非磁性膜(B)56の表面全面には、絶縁膜(A)58aが形成されている。高感度素子20及び低感度素子30は、絶縁膜(A)58aの表面に形成されており、高感度素子20及び低感度素子30は、同一平面上に配置されている。
後述するように、絶縁膜(A)58a及び薄膜磁石50の形成方法によっては、高感度素子20と低感度素子30が同一平面上に配置されない場合がある。この場合、高感度素子20と低感度素子30の高さが異なるので、微細加工時の露光工程でピントずれが生ずる場合がある。ピントずれが生じると、高感度素子20と低感度素子30の大きさがずれ、抵抗値のずれとばらつきが大きくなることがある。
これに対し、高感度素子20及び低感度素子30が同一平面上に配置されるように、非磁性膜(A)54、非磁性膜(B)56、絶縁膜(A)58a及び薄膜磁石50を積層すると、抵抗値のずれやばらつきを小さくすることができる。
[2. 薄膜磁気センサ(2)]
図2に、本発明の第2の実施の形態に係る薄膜磁気センサの平面図、及びそのA−A’線断面図を示す。図2において、薄膜磁気センサ10bは、
基板12と、
基板12上に形成された、外部磁界の変化を検出するための高感度素子20と、
基板12上に形成され、かつ、高感度素子20に直列に接続された、温度変化に起因する抵抗値の変動を補償するための低感度素子30と、
高感度素子20に対してバイアス磁界を印加するための薄膜磁石50と、
高感度素子20と薄膜磁石50との間に挿入された絶縁膜(A)58bと
を備えている。
図2に示す薄膜磁気センサ10bにおいて、基板12の表面全面に絶縁膜(B)60aが形成され、その表面には薄膜磁石50が形成されている。また、薄膜磁石50の表面及び側面のみを覆うように絶縁膜(A)58bが形成されている。さらに、絶縁膜(A)58bの表面に高感度素子20が形成され、絶縁膜(B)60aの表面に低感度素子30が形成されている。そのため、高感度素子20と低感度素子30は、同一平面上にない。この点が第1の実施の形態と異なる。絶縁膜(A)58b及び絶縁膜(B)60aは、同種材料であっても良く、あるいは、異種材料であっても良い。
その他の点については、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
図2に示す薄膜磁気センサ10bは、高感度素子20と低感度素子30が同一平面上に配置されていないため、微細加工時に高感度素子20と低感度素子30の大きさがずれるおそれがある。しかしながら、特に高い精度が求められない場合には、このような構造であっても外部磁界の大きさ及び極性をある程度正確に知ることができる。
[3. 薄膜磁気センサ(3)]
図3に、本発明の第3の実施の形態に係る薄膜磁気センサの平面図、及びそのA−A’線断面図を示す。図3において、薄膜磁気センサ10cは、
基板12と、
基板12上に形成された、外部磁界の変化を検出するための高感度素子20と、
基板12上に形成され、かつ、高感度素子20に直列に接続された、温度変化に起因する抵抗値の変動を補償するための低感度素子30と、
高感度素子20に対してバイアス磁界を印加するための薄膜磁石50と、
高感度素子20と薄膜磁石50との間に挿入された絶縁膜(A)58cと
を備えている。
図3に示す薄膜磁気センサ10cにおいて、基板12の表面には薄膜磁石50が形成され、薄膜磁石50の表面にのみ絶縁膜(A)58cが形成されている。また、薄膜磁石50及び絶縁膜(A)58cの周囲には、これらの厚さの総和にほぼ等しい厚さを持つ絶縁膜(B)60bが形成されている。この点が第1の実施の形態とは異なる。高感度素子20は、絶縁膜(A)58cの上に形成され、低感度素子30は、絶縁膜(B)60bの上に形成されている。そのため、高感度素子20と低感度素子30は、同一平面上にある。
その他の点については、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
[4. 薄膜磁気センサ(4)]
図4に、本発明の第4の実施の形態に係る薄膜磁気センサの平面図、及びそのそのA−A’線断面図を示す。図4において、薄膜磁気センサ10dは、
基板12と、
基板12上に形成された、外部磁界の変化を検出するための高感度素子20と、
基板12上に形成され、かつ、高感度素子20に直列に接続された、温度変化に起因する抵抗値の変動を補償するための低感度素子30と、
高感度素子20に対してバイアス磁界を印加するための薄膜磁石50と、
高感度素子20と薄膜磁石50との間に挿入された絶縁膜(A)58aと
を備えている。
図4に示す薄膜磁気センサ10dにおいて、基板12の表面には薄膜磁石50が形成され、薄膜磁石50の周囲には、薄膜磁石50とほぼ同等の厚さを持つ非磁性膜(B)56が形成されている。また、薄膜磁石50及び非磁性膜(B)56の表面全面に絶縁膜(A)58aが形成されている。すなわち、薄膜磁気センサ10dは、非磁性膜(A)54を備えていない。この点が第1の実施の形態と異なる。高感度素子20及び低感度素子30は、絶縁膜(A)58aの上に形成されているため、高感度素子20と低感度素子30は、同一平面上にある。
その他の点については、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
[3. 薄膜磁気センサの製造方法]
本発明に係る薄膜磁気センサ10a〜10dは、基板12の表面に、所定の組成を持つ薄膜を所定の順序で積層することにより製造することができる。各薄膜の積層条件は、特に限定されるものではなく、薄膜の組成に応じて最適な条件を選択するのが好ましい。
[4. 作用]
磁界の変化に対して偶関数特性を示す磁気センサを用いて磁界の方向を検出する場合、磁気センサに対してバイアス磁界を印加するのが一般的である。磁気センサにバイアス磁界を印加する方法としては、
(a)磁気センサの外部にコイルを配置する方法、
(b)磁気センサの外部に永久磁石を配置する方法、
(c)磁気センサの下層部又は上層部に薄膜磁石を形成する方法
などが知られている。
しかしながら、磁気センサにバイアス磁界を与える場合において、コイルを用いる時には、電流を流す必要がある。そのため、(1)専用の電源及び回路が必要になる、(2)小型化が難しい、(3)電力消費が大きい、などの問題がある。
また、永久磁石を用いる時には、電力を消費しない。しかし、磁石との距離により磁界が変化するので、取り付け位置を精緻に決める必要がある。そのため、製造上の困難を伴うという問題がある。
一方、薄膜磁石を用いる時には、薄膜磁石はセンサ素子と同様の微細加工プロセスで作製されるため、取り付け位置を比較的正確に決めることができる。しかし、薄膜磁石は磁力が弱く、十分な磁界をかけにくいという問題がある。
これに対し、高感度素子と低感度素子を直列に接続した薄膜磁気センサにおいて、少なくともGMR膜(A)の真上又は真下に、絶縁膜(A)を介して薄膜磁石を挿入すると、消費電力の増大や素子の大型化を招くことなく、高感度素子にバイアス磁界を正確に印加することができる。また、薄膜磁石の大きさ(すなわち、薄膜磁石の長さ、幅及び厚さ)を最適化すると、高感度素子に相対的に大きなバイアス磁界を印加することができる。
(実施例1〜3)
[1. 試験方法]
図5に、薄膜磁石の幅が異なる薄膜磁気センサの平面図を示す。図5に示すように、薄膜ヨーク(A)24、26のヨーク長(1つの薄膜ヨーク(A)の感磁方向長さ)、ヨーク幅、並びに、薄膜磁石50の磁石長は同一であるが、磁石幅(又は、磁石幅/ヨーク幅比)が異なる薄膜磁気センサを作製し、その特性を評価した(実施例1〜3)。なお、ギャップ長は、いずれも1μmとした。表1に、各薄膜磁気センサのヨーク長、ヨーク幅、磁石長、磁石幅、及び磁石幅/ヨーク幅比を示す。
Figure 2018054460
[2. 結果]
図6に、実施例1〜3で得られた薄膜磁気センサのMR曲線を示す。また、図7に、実施例1〜3で得られた薄膜磁気センサに印加されるバイアス磁界の磁石幅/ヨーク幅比依存性を示す。図6及び図7より、磁石幅(又は、磁石幅/ヨーク幅比)が大きくなるほど、MR曲線のマイナス方向へのシフト量(すなわち、バイアス磁界の大きさ)が増大することがわかる。
(実施例4〜7)
[1. 試験方法]
ヨーク長、磁石長及び磁石幅が異なる以外は、実施例1と同様にして薄膜磁気センサを作製し、その特性を評価した。ヨーク長は、100μm(実施例4)、50μm(実施例5)、27μm(実施例6)、又は、18μm(実施例7)とした。また、磁石厚はすべて同一とし、磁石長はヨーク長の約2倍、磁石幅はヨーク幅と同一とした。
[2. 結果]
図8に、ヨーク長、磁石長及び磁石幅の異なる薄膜磁気センサのMR曲線を示す。なお、図8には、実施例1の結果も併せて示した。図8より、以下のことがわかる。
(1)ヨーク長が短くなるほど、MR曲線のマイナス方向へのシフト量(すなわち、バイアス磁界の大きさ)が増大した。
(2)高感度素子20のヨーク長が短くなるほど、外部磁界に対する感度が低下した。一方、このような高感度素子20の真下に高感度素子20の全長にほぼ等しい薄膜磁石50を配置する場合において、ヨーク長が短くなるほど、高感度素子20に印加されるバイアス磁界が増大した。これは、薄膜磁石50の感磁方向長さが短くなるほど、漏れ磁束が少なくなり、より強いバイアス磁界が高感度素子20に印加されるためと考えられる。
(3)ヨーク長を短くして感度を低下させた素子は、動作磁界範囲が広いという特徴があり、有用である。動作範囲の広い素子にはより大きなバイアス磁界を作用させる必要があるが、上記の結果から、動作範囲の広い素子に対しても十分なバイアス磁界を作用させることができることが分かる。
(実施例21〜32)
[1. 試験方法]
磁石長、磁石幅及び磁石厚が異なる以外は、実施例1と同様にして薄膜磁気センサを作製し、その特性を評価した。ヨーク長は350μm、ヨーク幅は100μm、ギャップ長は1μmとした。
[2. 結果]
表2に、その結果を示す。また、図9(A)に、磁石幅とバイアス磁界との関係を示す。図9(B)に、磁石幅/ヨーク幅比とバイアス磁界との関係を示す。図10(A)に、磁石長とバイアス磁界との関係を示す。図10(B)に、び磁石長/全長比とバイアス磁界との関係を示す。さらに、図11に、磁石厚とバイアス磁界との関係を示す。表1及び図9〜図11より、以下のことがわかる。
(1)磁石幅/ヨーク幅比が大きくなるほど、バイアス磁界が大きくなった。また、磁石幅/ヨーク幅比が10を超えると、バイアス磁界が飽和する傾向が認められた。
(2)磁石長がギャップ長と同等である場合であっても、1[Oe]程度のバイアス磁界が高感度素子に作用した。また、磁石長/全長比が大きくなるほど、バイアス磁界が高くなった。しかし、磁石長/全長比が1.0を超えると、バイアス磁界が急激に低下し、磁石長/全長比=1.1でのバイアス磁界は、ピークの半分以下となった。
(3)磁石厚が厚くなるほど、バイアス磁界が高くなった。
Figure 2018054460
(比較例1)
[1. 試験方法]
特許文献1に記載の薄膜磁気センサ(すなわち、GMR膜の両端に薄膜ヨークと薄膜磁石の積層体が形成されており、かつ、薄膜ヨークと薄膜磁石の間に絶縁膜がない薄膜磁気センサ)を作製し、その特性を評価した(比較例1)。各部の寸法は、GMR膜(A)22の真下に薄膜磁石がない点を除き、実施例21と同一とした。
[2. 結果]
実施例21の薄膜磁気センサにおいて、バイアス磁界は4.4[Oe]であった。一方、比較例1の薄膜磁気センサにおいて、バイアス磁界は2.0[Oe]であった。すなわち、GMR膜(A)22の真下に、絶縁膜(A)58aを介して薄膜磁石50を配置することによって、バイアス磁界の大きさが2倍以上になることがわかった。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る薄膜磁気センサは、自動車の車軸、ロータリーエンコーダ、産業用歯車等の回転情報の検出、油圧式シリンダ/空気式シリンダのストロークポジション、工作機械のスライド等の位置・速度情報の検出、工業用溶接ロボットのアーク電流等の電流情報の検出、地磁気方位コンパスなどに用いることができる。
また、GMR膜とその両端に配置された薄膜ヨークを備えた磁気抵抗素子は、磁気センサとして特に好適であるが、磁気抵抗素子の用途は、これに限定されるものではなく、磁気メモリ、磁気ヘッド等としても用いることができる。
10a〜10d 薄膜磁気センサ
20 高感度素子
22 GMR膜(A)
24、26 薄膜ヨーク(A)
30a、30b 低感度素子
32 GMR膜(B)
34、36 薄膜ヨーク(B)
50 薄膜磁石
58a〜58c 絶縁膜(A)

Claims (5)

  1. 以下の構成を備えた薄膜磁気センサ。
    (1)前記薄膜磁気センサは、
    基板と、
    前記基板上に形成された、外部磁界の変化を検出するための高感度素子と、
    前記基板上に形成され、かつ、前記高感度素子に直列に接続された、温度変化に起因する抵抗値の変動を補償するための低感度素子と、
    前記高感度素子に対してバイアス磁界を印加するための薄膜磁石と、
    前記高感度素子と前記薄膜磁石との間に挿入された絶縁膜(A)と
    を備えている。
    (2)前記高感度素子は、
    巨大磁気抵抗効果を有するGMR膜(A)と、
    前記GMR膜(A)の両端に電気的に接続された軟磁性材料からなる一対の薄膜ヨーク(A)と
    を備えている。
    (3)前記低感度素子は、
    巨大磁気抵抗効果を有するGMR膜(B)と、
    前記GMR膜(B)の両端に電気的に接続された軟磁性材料からなる一対の薄膜ヨーク(B)と
    を備えている。
    (4)前記薄膜磁石は、少なくとも前記GMR膜(A)の真下(前記基板側)又は真上(表面側)に配置されている。
  2. 前記高感度素子及び前記低感度素子は、同一平面上に配置されている請求項1に記載の薄膜磁気センサ。
  3. 前記薄膜磁石の厚さ(tM)は、0.1μm以上5μm以下である請求項1又は2に記載の薄膜磁気センサ。
  4. 前記薄膜磁石の感磁方向の長さ(LM)は、g1以上1.1L以下(g1は前記GMR膜(A)の感磁方向の長さ、Lは前記高感度素子の感磁方向の全長)である請求項1から3までのいずれか1項に記載の薄膜磁気センサ。
  5. 前記薄膜磁石の幅(WM)は、0.9W以上(Wは、前記薄膜ヨーク(A)の幅)である請求項1から4までのいずれか1項に記載の薄膜磁気センサ。
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JP2021047169A (ja) * 2019-09-13 2021-03-25 株式会社東芝 磁気センサ及び診断装置

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