JP2000180524A - 磁界センサ - Google Patents

磁界センサ

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JP2000180524A
JP2000180524A JP10357069A JP35706998A JP2000180524A JP 2000180524 A JP2000180524 A JP 2000180524A JP 10357069 A JP10357069 A JP 10357069A JP 35706998 A JP35706998 A JP 35706998A JP 2000180524 A JP2000180524 A JP 2000180524A
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magnetic field
bias
film
magnetoresistive elements
field sensor
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JP10357069A
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Hideyuki Suzuki
英之 鈴木
Osamu Shinoura
治 篠浦
Yukio Asakawa
幸雄 浅川
Daisuke Miyauchi
大助 宮内
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TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 量産性が良く、オフセットが小さく、高感度
で小型な磁界センサを提供する。 【解決手段】 所定の間隔を空けて配列された複数の磁
気抵抗効果素子を有し、これらの磁気抵抗効果素子に対
応するように所定の間隔を空けて配置された複数のバイ
アス磁石を有する磁界センサであって、前記複数のバイ
アス磁石は、保磁力が実質的に異なる2種の磁石体から
なり、これら2種の磁石体が所定の間隔を空けて磁気抵
抗効果素子の配列方向に沿って配置され、かつ複数の磁
気抵抗効果素子にそれぞれ印加されるバイアス磁界の絶
対値が実質的に等しくなるように配置されてなるように
構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気自動車のバッ
テリー残量を監視するための回路に流れる電流の大きさ
を検出したり、ロータリーエンコーダ、リニヤスケール
等に使われる着磁体からの信号磁界に対し、位相差によ
らず磁界を検出することが可能なリニアリティを持った
磁界センサに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電気自動車のバッテリー残量を監
視するための回路に流れる電流の大きさを検出したり、
ロータリエンコーダ、リニヤスケール等に使われる着磁
体からの信号磁界に対し、位相差によらず磁界を検出す
ることが可能なリニアリティを持った小型で安価な磁界
センサが求められている。
【0003】一般に、直流磁界を直線性良く検出する場
合には、ホール効果を使った磁界センサが利用されてい
るが、ホール素子の感度は、5mV/100Oeと低い
ため、50〜1000Oeの範囲の磁界を検出するには
適しているが、それ以下の小さな磁界を検出することは
難しい。
【0004】一方、強磁性磁気抵抗素子は、強磁性体金
属の電気抵抗が外部磁界により変化する現象(磁気抵抗
効果、MR効果)を利用して磁界強度を測定する。単層
膜では古くから知られている強磁性体金属膜の磁気異方
性磁気抵抗効果(以下、単にAMR効果と呼ぶ)を利用
していたが、最近では、例えば特開平5−259530
号公報に開示されているように、多層構造からなる膜に
よる結合型巨大磁気抵抗効果(GMR効果)を用いたセ
ンサも開発されている。
【0005】GMR効果を示す磁性膜を利用した磁界セ
ンサでは、GMR素子の抵抗変化が膜面内における磁界
の方向には依存せず、絶対値のみで決まる。また、素子
単体では磁界変化に対する抵抗変化も直線的でない。そ
のため、IEEE Trans. Mag. (30) 4608 〜 4610 (1994)
や、Sensors and Actuators A (59) 30 〜 37 (1997)
に示されているように、通常、GMR素子をブリッジ接
続し、ペアとなるGMR素子に反対方向のバイアス磁界
を印加することにより、磁界の変化に対して直線的に応
答する磁界センサを形成している。これらの技術はすで
に周知であり、参考のため、図6には、4個のGMR素
子をブリッジ接続した場合の等価回路とバイアスを印加
した状態でのそれぞれのGMR素子の磁気抵抗曲線が示
される。また、図7にはブリッジ接続した場合の出力波
形が示されている。図7の斜線部は、直流磁界を検出す
る際に使われる実際の作動領域を示す。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記先行技術である、
IEEE Trans. Mag. (30) 4608 〜 4610 (1994) には、
一つの永久磁石(バイアス磁石)を用い、ブリッジ接続
した4個のGMR素子のうちの2つのペアの中心部か
ら、互いに外方向に向けた逆方向のバイアス磁界を印加
させる手段が開示されている。
【0007】しかしながら、上記の手段では、オフセッ
ト値(理想的にはゼロが望ましい)と抵抗が所望の値に
なるように、ブリッジ接続したGMR素子に対し、最も
適切な位置に一つのバイアス磁石を配置させなければな
らず、磁石の位置調整に時間がかかるという問題があ
る。また、この方法では、バイアス磁石の内側の領域に
4個の磁気抵抗素子を配置することができないと考えら
れ、磁界センサそのものを小型化することが難しいと言
える。
【0008】また、上記先行技術である、Sensors and
Actuators A (59) 30 〜 37 (1997)には、当該文献中の
第11図等に示されるように、コバルト白金からなる硬
磁性膜の磁石を紫外線硬化樹脂によりGMR素子上に貼
り付け、所望のバイアス磁界を印加する方法が提案され
ている。この文献では、コバルト白金の硬磁性膜とGM
R素子が同一基板上に形成されていない。もし、仮に、
コバルト白金からなる硬磁性膜をGMR素子が形成され
ている基板の裏面に形成し、貼り付けの工程及び、位置
調整の時間を節約することができたとしても、こうして
形成されたコバルト白金磁性膜の磁界分布は、当該文献
中の第7図および図12に示されているように均一では
なくなる。すなわち、着磁された硬磁性膜の真下にある
磁気抵抗効果素子に印加されるバイアス磁界と、着磁さ
れた硬磁性膜と硬磁性膜の間に置かれた磁気抵抗効果素
子に印加されるバイアス磁界は大きく異なっている。そ
の結果、4個の磁気抵抗効果素子に均一なバイアス磁界
が印加されないため、オフセットの値が0からずれると
いう問題が生じる。オフセットは一般に、増幅、温度補
償などの機能を持つ電子回路を使っても補正するのは難
しく、そのため、素子を作製する段階でできるだけ小さ
くしておくことが望ましい。また、上記文献に紹介され
ている硬磁性膜の直下と硬磁性膜間の磁界分布は相関が
極めて強いため、硬磁性膜直下の磁界分布が変化する
と、硬磁性膜間の磁界分布も複雑に変化する。そのた
め、煩雑なシュミレーションなどを行い、最適な磁石幅
や磁石厚さを計算しなければならないという問題もあ
る。
【0009】このような実状のもとに本発明は創案され
たものであって、その目的は、保磁力が実質的に異なる
2種の磁石体を所定配置し、バイアス磁石として機能さ
せることにより、量産性が良く、オフセットが小さく、
高感度で小型な磁界センサを実現化させることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、所定の間隔を空けて配列された複数の磁
気抵抗効果素子を有し、これらの磁気抵抗効果素子に対
応するように所定の間隔を空けて配置された複数のバイ
アス磁石を有する磁界センサであって、前記複数のバイ
アス磁石は、保磁力が実質的に異なる2種の磁石体から
なり、これら2種の磁石体が所定の間隔を空けて磁気抵
抗効果素子の配列方向に沿って配置され、かつ複数の磁
気抵抗効果素子にそれぞれ印加されるバイアス磁界の絶
対値が実質的に等しくなるように配置されてなるように
構成される。
【0011】また、本発明においては、隣り合う磁気抵
抗効果素子に及ぼすバイアス磁界が互いに逆方向となる
ように、磁気抵抗効果素子の配列方向に沿って2種の磁
石体がそれぞれ交互に配置されるように構成される。
【0012】また、本発明において、前記複数のバイア
ス磁石は、2種の磁石体の配列方向の任意方向に向け
て、2種の磁石体の着磁方向が同一となるように第1の
着磁操作が行われ、しかる後、保磁力の小さい磁石体の
みが磁化反転するように、前記任意方向とは逆の方向に
第2の着磁操作が行われて形成される。
【0013】また、本発明の好ましい態様として、前記
複数の磁気抵抗効果素子の配列ピッチDと、前記複数の
バイアス磁石の配列ピッチPが同じで、磁気抵抗効果素
子とバイアス磁石とは、実質的に同じ位置関係に配列さ
れる。
【0014】また、本発明の好ましい態様として、前記
2種の磁石体の保磁力の差が、200Oe以上となるよ
うに構成される。
【0015】また、本発明の好ましい態様として、4n
(n:正の整数)個の磁気抵抗効果素子を備え、これら
の磁気抵抗効果素子がブリッジ接続されてなるように構
成される。
【0016】また、本発明の好ましい態様として、前記
磁気抵抗効果素子が巨大磁気抵抗効果を示す磁性膜から
形成されるように構成される。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
を図面を参照しつつ説明する。
【0018】図1には、本発明の磁界センサ1の平面図
が示され、図2には図1のA−A断面矢視図が示され
る。なお、図1においては、発明の理解を容易するため
に基板5および絶縁膜8は図面上、省略されている。こ
れらの図面(特に、図2)に示されるように、本発明の
磁界センサ1は、基板5の上に所定の間隔を空けて配列
・形成された複数のバイアス磁石(21,25)と、こ
れらのバイアス磁石(21,25)を埋めるように形成
された絶縁膜8と、この絶縁膜8の上に形成された4つ
の磁気抵抗効果素子11,12,13,14(素子の有
効長さはL;図1)を有している。4つの磁気抵抗効果
素子11,12,13,14は、図2に示されるように
複数のバイアス磁石(21,25)に対応する位置関係
に配置されている。
【0019】本発明の実施の形態において、4つの磁気
抵抗効果素子11,12,13,14は、図示のごとく
所定の間隔D(素子の間隔Dは、素子の中心と中心との
間の距離であり、図1の例では等間隔であるためすべて
一定の値となっている)を空けて配列されており、これ
らの磁気抵抗効果素子11,12,13,14の位置を
基準にして考えるならば、図1および図2の状態はこれ
らの磁気抵抗効果素子11,12,13,14に対応す
るように複数のバイアス磁石(21,25)が配置形成
されているといえる。
【0020】本発明で用いられる複数のバイアス磁石
(21,25)は、一言でまとめてバイアス磁石と呼ん
でいるものの、実際は、より好ましい態様として、残留
磁束密度が実質的に等しく、保磁力が実質的に異なる2
種の磁石体21と磁石体25を用いている。そして、こ
れら2種の磁石体21と25とが所定の間隔K(図1)
を空けて磁気抵抗効果素子の配列方向(図2:矢印
(α)方向)に沿って交互に配置されている。なお、磁
石体21と磁石体25の幅W(図1)は通常、双方同じ
一定の幅とされ、図1および図2に示される実施の形態
では、複数のバイアス磁石(21,25)の配列ピッチ
Pと前記磁気抵抗効果素子の配列ピッチDが同じで、磁
気抵抗効果素子とバイアス磁石とは、実質的に同じ位置
関係に配列されている。
【0021】図1および図2に示されるように交互に配
置される磁石体21と磁石体25は、磁気抵抗効果素子
11,12,13,14にバイアス磁界を印加するため
に設けられている。図1の例では、4つの磁気抵抗効果
素子に関し、隣り合う磁気抵抗効果素子に及ぼすバイア
ス磁界が互いに逆方向となるように、磁石体21と磁石
体25は、交互に配置されておりしかも互いの磁化方向
が逆方向になるように設定されている。本発明において
は、磁石体21と磁石体25を薄膜プロセスを用いて所
定のパターンに形成した後に、互いの磁化方向が反対と
なるように所定の着磁操作が行われる。すなわち、成膜
後、未着磁の状態にある磁石体21と磁石体25は、2
種の磁石体の配列方向の任意方向に向けて、2種の磁石
体の着磁方向が同一となるように第1の着磁操作が行わ
れ、しかる後、保磁力の小さい磁石体のみが磁化反転す
るように、前記任意方向とは逆の方向に第2の着磁操作
が行われる。その結果、最終的に図1および図2に示さ
れるような磁石体21,25の着磁が行われる。第1お
よび第2の着磁操作は、電磁石等を用いて、発生磁界を
それぞれ変えて行えばよい。
【0022】前述したように、本発明においては、保磁
力が実質的に異なる2種の磁石体21と磁石体25を用
いており、これらは所定の間隔Kを空けて交互に配置さ
れているので、所定の大小2種の磁場を用いた第1およ
び第2の着磁操作を順次行うことにより、図1および図
2に示されるような磁石体21,25の着磁が行われ
る。しかも、このような着磁操作が行われた後の磁石体
21と磁石体25による、各素子に及ぼすバイアス磁界
の絶対値は等しくなるように設定される。素子に印加さ
れるバイアス磁界の絶対値が実質的に等しいとは、磁界
センサ内の複数の素子に印加されるバイアス磁界の最大
値と最小値の差が30Oe以下、より好ましくは15O
e以下であることをいう。
【0023】本実施の形態の場合、一つの好適な手段と
して残留磁束密度が実質的に等しい磁石体21と磁石体
25を用いることにより、本願所望のバイアス磁界が得
られる。
【0024】2種の磁石体21と磁石体25とにおける
残留磁束密度および保磁力との関係をさらに詳述する。
磁石体21の残留磁束密度をBr1 、保磁力をHc1
し、磁石体25の残留磁束密度をBr2 、保磁力をHc2
(Hc2<Hc1)とした場合、2種の磁石体の保磁力は実
質的に異なり、両者の差(Hc1−Hc2)は、200Oe
以上であることが好ましく、より好ましくは400Oe
以上、さらに好ましくは500Oeである。両者の差
(Hc1−Hc2)の値が200Oe未満となると、保磁力
の小さな方の磁石体25を反対方向に着磁する際(第2
の着磁操作)、保磁力の大きな磁石体21の着磁状態が
影響を受け、保磁力の大きな磁石体21の残留磁束密度
が意図したBr1 値よりも若干小さくなる傾向が生じ
る。また、本発明において、各素子に及ぼすバイアス磁
界の絶対値を等しくするための好適な手段として磁石体
21の残留磁束密度Br1 と磁石体25の残留磁束密度
Br2 とは実質的に等しく設定されている。実質的に等
しいとは、(Br1 −Br2 )/(Br1 +Br2 )の
値の絶対値が10%以内の範囲、より好ましくは5%以
内の範囲をいう。この範囲を超えて(Br1 −Br2
/(Br1 +Br2 )の値の絶対値が大きくなると、磁
界センサのオフセットが大きくなり、実用的でなくなる
傾向が生じる。
【0025】磁石体21と磁石体25は、前述したよう
に薄膜プロセスを用いて所定のパターンに形成すること
が好ましい。しかもこれらの磁石体21,25は、残留
磁束密度および保磁力との関において、前記の所定の関
係を満たす必要がある。このような要件を備える薄膜磁
石の材料としては、Co−Pt、Co−Ir、Co−N
i、Co−Rh、Co−Pd、Co−Cr、Co−S
m、Co−R(Rは希土類)などのCo合金や、Nd−
Fe−B、Fe−R(Rは希土類)、MnAlCなどが
挙げられる。例えばCo−Ptにおいては、Ptが20
〜30at%の組成範囲で残留磁束密度は0.9T(テ
スラ)とほぼ一定値をとり、保磁力は930〜1430
Oeと大きく変化する。従って、例えば、Ptが20a
t%のCo−Ptと、Ptが30at%のCo−Ptを
それぞれ磁石体21と磁石体25の薄膜磁石材料として
用いることができる。Co−Irの場合、Irの組成が
10at%になると、残留磁束密度がほぼ0.9T(テ
スラ)で保磁力は400Oeとなる。従って、他の組み
合わせ例として、Irが10at%のCo−IrとPt
が20at%のCo−Ptとをそれぞれ磁石体21と磁
石体25の薄膜磁石材料として用いることができる。磁
気抵抗効果素子に印加するバイアス磁界の大きさは残留
磁束密度が一定の場合には、薄膜磁石の厚さにある程度
比例することから、従来例のように、シュミレーション
による煩雑な計算を行わずに、磁石の厚さだけでバイア
ス磁界の強さを調整することができる。
【0026】また、バイアイス磁石の材料として、コバ
ルト−白金などのように成膜後に、その膜自体を600
℃前後での熱処理を必要とする材料を用いる場合、磁気
抵抗効果素子の特性を劣化させないようにすることが重
要である。そのため、図1および図2に示されるよう
に、基板上に薄膜磁石パターンを形成した後、所定の熱
処理をし、この上に絶縁膜を形成し、この絶縁膜の上に
磁気抵抗効果素子を形成することが望ましい。しかしな
がら、薄膜磁石(バイアス磁石(21,25))が高温
での熱処理を必要としない場合には、図1および図2に
おけるバイアス磁石(21,25)と磁気抵抗効果素子
11,12,13,14との位置関係を反対にしてもよ
い。
【0027】また、図1に示されるような磁気抵抗効果
素子とバイアス磁石の配置において、ブリッジ接続した
4個の磁気抵抗効果素子11,12,13,14の等価
回路は、図6に示されるようになり、隣り合う2つの素
子に、絶対値が等価で、方向が逆の反対のバイアス磁界
が印加されるために、1個の磁気抵抗効果素子が持つの
と同じ大きさの抵抗変化率が得られるだけでなく、外部
磁界に対する出力波形が直線的になる。
【0028】なお、磁石体21と磁石体25の2つの磁
石の性能、すなわち外部磁界強度が互いに異なる場合で
も、同じ強さのバイアス磁界を素子(感磁部)に加える
ことは可能である。例えば、磁石と素子(感磁部)の距
離、すなわち介在される絶縁層の厚さを変えることで容
易に対応できる。
【0029】図3には、本発明の磁界センサ1の使用例
の一例が示されており、図3に示される磁界センサ1
は、回転着磁体300の回転速度を非接触で検出するた
めにギャップGの距離を離して設置されている。回転着
磁体300は、この例では、円盤形状をなし、その周側
面には図示のごとくN−S極が交互に着磁されており、
この場合の着磁ピッチは、Qで示されている。図3に示
されるように、着磁ピッチQの被検出体からの漏洩磁界
を検出する際、従来であれば、Q/2の間隔(位相差1
80度)に配置された磁気抵抗素子を使って検出をしな
ければならず、磁界センサを着磁ピッチQのオーダーよ
りも小型化することができなかった。しかしながら、本
発明の磁界センサを用いることにより、被検出体の着磁
ピッチよりも狭い間隔で磁気抵抗素子を配列できるた
め、すなわち、被検出体の持つQ/2の位相差をバイア
ス磁界により内蔵させていると考えることができるた
め、磁界センサを被検出体の着磁ピッチQのオーダーよ
り小さく作製することができ、その結果、1枚のウエー
ハから面積の無駄なく小型の磁界センサを多量得ること
ができる。
【0030】さらに、残留磁束密度の等しい薄膜磁石を
使っているので、4個の素子に印加される磁界が等しく
なり、4個の素子の形状が同一であればオフセット電圧
は常にゼロとなる。図6に示されるようなブリッジ構造
では、外部の磁界変化を、ブリッジ回路の中点(B点と
D点)における電位差の変化として読み取ることが一般
に行われている。ブリッジ接続の場合、磁気抵抗効果素
子の数は、4n(n:正の整数、通常はn=1)個が一
組となる。
【0031】図4および図5には、本発明のセンサ使用
の応用態様が示される。図4はこの応用態様を示す平面
図であり、技術的理解を容易にするために図4において
は磁界発生用電極50と磁気抵抗効果素子11,12,
13,14のみが示されている。また、図5は図4のB
−B断面図である。図5に示される磁界センサ2は、図
2に示される磁界センサ1の最上部にさらに絶縁膜9を
形成したものであり、この保護膜9の上に、磁界発生用
電極50が形成されている。磁界発生用電極50は、図
4および図5に示されように複数の板状の磁界発生部分
55を備えており、この磁界発生部分55に電流Iが流
されることにより、図5に示されるような磁界55aが
発生し、これらが外部磁界Hをキャンセルするように作
用する(外部磁界Hと磁界55aとの磁界方向が逆とな
っている)。そして、図4および図5に示されるように
外部磁界Hをキャンセルするように作用する磁界発生用
電極50(磁界発生部分55)を磁気抵抗効果素子1
1,12,13,14の上に設けて、ブリッジ回路の中
点の電位差が常にゼロとなるように磁界を供給するよう
にして外部磁界Hを検出してもよいのである。すなわ
ち、磁界発生用電極50に流す電流の値から外部の磁界
の強さを測定することができる。ここで、磁界発生用電
極50は、Cu、Au、Al、Ag等の材料から真空成
膜法や電気めっき法などにより形成することができる。
磁界発生用電極50を形成するに際しては、上述したよ
うに予め、SiO2 等からなる絶縁膜9を磁気抵抗効果
素子11,12,13,14の表面に形成した後、この
絶縁膜9の上に所定のパターンで磁界発生用電極50が
形成される。
【0032】バイアス磁界についてさらに詳細に説明す
ると、本発明における磁界センサは、磁気抵抗効果素子
の配列方向に沿って、磁極が変化するようにバイアイス
磁石21,25が配置される。すなわち、4個の磁気抵
抗効果素子11,12,13,14が配列される方向
(図2;矢印(α)方向)を含む平面と、バイアイス磁
石21,25の磁極が変化する方向(図2;矢印(β)
方向)を含む平面が平行になっており、かつ、磁気抵抗
効果素子11,12,13,14とバイアイス磁石2
1,25との間隔が一定(図2において縦方向の間隔)
となるように配置される。
【0033】より具体的に、磁気抵抗効果素子が配列さ
れる方向とは、図2に示されるように隣合う磁気抵抗効
果素子を結ぶ直線に平行な方向を指している。一方、バ
イアイス磁石21,25の磁極が変化する方向とは、図
2に示されるように、S→N→S→N…と変化する磁極
の変化する方向を示している。バイアイス磁石21,2
5の好適な成膜および着磁方法は前述した通りである
が、樹脂、溶剤を適宜選定することで、流動性の高い磁
性塗料とし、このものをスピンコーターで塗布し磁石層
を基材の上に直接形成することも可能である。
【0034】本発明に用いられる磁界検出用の磁気抵抗
効果素子(磁性膜)11,12,13,14は、磁気抵
抗効果を有する膜であり、単層膜構造、多層膜構造のい
ずれであってもよい。磁気抵抗効果とは、磁場の変化に
よって電気抵抗が変化する現象をいう。素子を構成する
磁性膜は、特に検出感度が高くて検出する磁界強度を大
きく変化させることが可能な巨大磁気抵抗効果膜(GM
R膜)を用いることが好ましい。
【0035】巨大磁気抵抗効果膜は、金属人工格子(藤
森啓安、アグネ技術センター、1995年発行)347
ページに紹介されているように、強磁性体膜と非磁性体
膜との多層膜であり、その多層膜の界面散乱変化により
抵抗が変化することが知られている。
【0036】巨大磁気抵抗効果膜としては、(強磁性
体/非磁性導電体)構造のアンチフェロ(結合)型、
(高保磁力強磁性体/非磁性導電体/低保磁力強磁性
体)構造の誘導フェリ(非結合)型、(半強磁性体/
強磁性体/非磁性導電体/強磁性体)構造のスピンバル
ブ型、Co/Ag系統の非固溶系グラニュラー型に大
別される。
【0037】これらの各巨大磁気抵抗効果膜は、その構
造や組成により、検出可能な磁界強度、すなわち、磁気
抵抗効果の飽和磁界強度が大きく異なる。例えば、(F
e/Cr)系アンチフェロ型では10KOe以上、(C
oNiFe/Cu)系アンチフェロ型では、0.1Oe
から1KOe、(NiFe/Cu/Co/Cu)系誘導
フェリ型では、5Oeから20Oe程度、(FeMn/
NiFe/Cu/NiFe)系スピンバルブ型では、数
Oe、そして、グラニュラー型では100Oeから5K
Oe程度までの磁界検出が可能である。磁界感度は、最
大磁気抵抗変化率を飽和磁界強度で割り算したものであ
り、最大磁気抵抗変化率が大きくても、飽和磁界が大き
い場合には磁界感度は悪い。反対に、最大磁気抵抗変化
率が小さくても、飽和磁界が非常に小さい場合には磁界
感度は良い。このため、検出すべき磁界強度により最高
の磁界感度が得られるように、上記の各種の巨大磁気抵
抗効果膜から、基本系を選択し、さらに組成系の変更や
細かな構造を最適化して用いる。
【0038】好ましい巨大磁気抵抗効果膜の構造として
は(Co/Cu), (NiFe/Cu), (NiFeCo/Cu), (CoFe/Cu), (NiF
eCo/Cu/Co/Cu), (NiFe/Cu/Co/Cu), (CoFe/Cu/NiFe/Cu)
等の構造を5回以上繰り返して成膜した多層膜構造であ
る。これらの多層膜構造を有する巨大磁気抵抗効果膜に
おいては最も薄い層の層厚が10nm以下であることが
好ましく、特に好ましくは3nm以下である。最も薄い
層の層厚が10nmを越えると高いMR変化率が得られ
にくくなるという傾向が生じる。
【0039】磁気抵抗効果素子は、強磁性体金属から構
成されているため、その抵抗温度係数(TCR:Temper
ature coefficient of resistivity)は、正の値にな
る。例えば、(NiFeCo/Cu) の構造を5回以上繰り返して
成膜した多層膜構造を持つ結合型巨大磁気抵抗効果素子
は、NiFeCoの厚さが1.5nmで、Cuの層厚さ
が2.0nmの場合、TCRの値が1000×10-6
Kになる。しかしながら、Cuの層厚さを薄くしたり、
NiFeCoの層厚さを厚くすると、TCRの値が大き
くなり、逆にCuの層厚さを厚くしたり、NiFeCo
の層厚さを薄くすると、TCRの値が小さくなる。例え
ば、NiFeCoの層厚さを5.0nm、Cuの層厚さ
を2.0nmとするとTCRの値は2500×10-6
Kとなる。また、例えば、NiFeCoの層厚さを1.
5nm、Cuの層厚さを1.0nmとするとTCRの値
は1800×10-6/Kとなる。このようにTCRの値
を大きくし、磁界センサを定電流駆動させることによ
り、負の温度係数を持つMR変化率(温度が上昇するに
従って減少するMR変化率)の影響を低減し、センサの
出力温度特性を改善することが可能である。
【0040】上述したようなTCRの傾向(特性)は、
他の材料にもあてはまる。(Co/Cu)の構造を5回以上繰
り返して成膜した多層構造を持つ巨大磁気抵抗効果素子
の場合にも、例えばCoの層厚さを1.5nm、Cuの
層厚さを2.0nmにするとTCRの値は1200×1
-6/Kとなる。また、Coの層厚さを1.5nm、C
uの層厚さを1.0nmにするとTCRの値は1800
×10-6/Kとなる。
【0041】本発明の磁界センサにおいて、図7に示さ
れるような作動領域の幅、すなわち、作動する磁界領域
を増加させる場合には素子のストライプ幅を狭くし、形
状異方性の効果を利用することにより実現が可能であ
る。例えば、NiFeCoの層厚さが1.5nm、Cu
の層厚さが2.0nmの(NiFeCo/Cu) の構造を20回繰
り返した多層膜であって、ストライプ幅が15μmの場
合、飽和磁界は140Oeであるが、ストライプ幅が
1.5μmになると、飽和磁界は320Oeとなる。
【0042】また、(巨大)磁気抵抗効果膜を成膜する
際、その膜が形成される基板の表面の粗さが(巨大)磁
気抵抗効果膜の特性に影響を与える。例えば、NiFe
Coの層厚さが1.5nm、Cuの層厚さが2.0nm
の(NiFeCo/Cu) の構造を20回繰り返した多層膜を、硬
質なガラス基板やシリコン基板上に成膜する際、基板の
中心線平均粗さ(Ra)が30nmを超えるとMR変化
率が劣化し始め、特に、90nmより大きくなるとMR
変化率は80%以下に低下する。逆に、成膜した膜の抵
抗率は、Raが大きくなるにつれて増加する傾向にあ
り、Raが30nmを超えると抵抗率が増え始め、Ra
が300nmになると抵抗率は30μΩcmになり、そ
の後もRaが増加するにつれ抵抗率は大きくなる。
【0043】また、(巨大)磁気抵抗効果素子に、大電
流が流れると、素子の温度が上昇し、素子そのものが破
断してしまうことがある。従って、素子に流す電流値を
大きくする場合には、素子の線幅を広くしたり、膜厚を
厚くすれば素子そのものの破断は防止できる。例えば、
NiFeCoの層厚さが1.5nm、Cuの層厚さが
2.0nmの(NiFeCo/Cu) の構造を20回繰り返した多
層膜を、ポリイミド基板の上に作製する場合、ストライ
プの幅が15μmの場合には7mA、ストライプの幅が
50μmの場合には13mAの電流を流すことが可能と
なる。流すことが可能な電流値は、素子の表面に放熱用
の樹脂を塗布することによりさらに改善できる。シリコ
ーン樹脂を塗布すると、ストライプの幅が15μmの場
合には、10mA、ストライプの幅が50μmの場合に
は20mAの電流を流すことが可能となる。
【0044】このような磁気抵抗効果膜(磁性膜)は、
真空成膜法、例えば、蒸着法、スパッタ法などにより成
膜される。より具体的には、例えば、基材の全面に磁気
抵抗効果膜を成膜した後、所望のパターン形状にパター
ニングして磁界検出用の磁気抵抗効果素子とし、さら
に、この膜に接合され電流を流すための導電体電極膜3
1(図1)を所定のパターンに形成する。導電体電極膜
31は、磁気抵抗効果素子である磁性膜部分に比べて小
さな抵抗を有することが重要である。このため導電体電
極膜は、導電性の高い金属、例えば銅、金、アルミニウ
ム等を用いて比較的厚い仕様、例えば、0.3から5.
0μmの厚さに成膜される。導電体電極膜の形成には、
真空成膜法に加えて湿式成膜法も利用可能である。ま
た、最初に、導電体電極膜の導電層を形成してから磁気
抵抗効果素子を形成しても差し支えない。
【0045】また、このように磁気抵抗効果素子および
導電体電極膜を個別に異種の材料から構成するのではな
くて、磁気抵抗効果素子および導電体電極膜をすべて同
一材質から一体的に形成(成膜)させてもよい。ただ
し、この場合には磁気抵抗効果素子および導電体電極膜
の各々の機能が発揮できる範囲内での同一材質とするこ
とが必要である。磁性膜の部分は感磁パターン部であ
り、導電体電極膜の部分は、感磁パターン部である必要
はない。そこで、感磁パターン部と電極部の電流密度を
変化させるために、電極部の幅は感磁パターン部の幅よ
りも広く設計される。すなわち、同一材質で構成された
パターンの両端部分の幅を広くすることで導電体電極膜
としての機能を付与できる。同一材質から構成すること
により、1回のパターニング工程で感磁部分である磁気
抵抗効果素子と電極部である導電体電極膜が同時に形成
でき、極めて高い生産性を実現することができる。
【0046】磁気抵抗効果素子は、一般に、200nm
以下の薄膜として形成されるために、使用環境における
耐食性が問題となることが多い。このため、少なくとも
磁気抵抗効果素子の上層に保護膜を設け、周囲の雰囲気
から磁気抵抗効果素子を保護することが好ましい。保護
膜の材質としては、SiO2 やAl23 等の無機材料
や、ポリイミド樹脂、ノボラック樹脂等の有機材料を用
いることが好ましい。本発明に用いられる基板5の材質
は、特に制限されるものではなく、ガラス、シリコン、
セラミック等の無機系のものや、樹脂等の有機系のもの
いずれを用いてもよい。これらのなかでは特に、いわゆ
る可撓性に優れ、薄くて軽いものを用いることが好まし
く、例えば、印刷配線板等として広く使用されているプ
ラスチックフィルムと同様の基板が好適に使用できる。
より具体的には、プラスチックフィルム材質として公知
の各種の材料、例えば、ポリイミド、ポリエチレンテレ
フタレート(PET)、ポリポロピレン(PP)、テフ
ロン等が利用可能である。
【0047】本発明の磁界センサに用いられる基板5の
厚さは、通常、500μmが好ましく、特に好ましくは
100μm以下(1〜100μm)である。
【0048】なお、本発明において図1に示されるよう
に素子をブリッジ接続することにより、いわゆる強さに
傾斜のある外部磁界(漸増的および/または漸減的に変
化する外部磁界)を検出する傾度測定器として、この磁
界センサをギアツゥースセンサ等に応用することも可能
となる。
【0049】上述してきたように、本発明の磁界センサ
は、保磁力の異なる磁石を所定の間隔を空けて配置し、
これらをバイアス磁石として機能させ、かつ複数の磁気
抵抗効果素子にそれぞれ印加されるバイアス磁界の絶対
値が実質的に等しくなるように配置しているので、オフ
セットが小さく、高感度となる。しかもバイアス磁石を
含む磁界センサを一連の薄膜プロセスによって簡易かつ
小型して形成させることができ、さらには、バイアス磁
石と素子との位置関係を極めて正確な状態で形成させる
ことができる。
【0050】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。 (実施例1)
【0051】表面が酸化された厚さ300μmのシリコ
ン基板を250℃に加熱し、その基板の上にデュアルイ
オンビームスパッタ装置にてコバルト白金膜(Ptが2
0at%のCo−Pt、残留磁束密度Br1 =0.9T
(テスラ)、保磁力HC1=1430Oe)を1500Å
厚さに成膜し、その後、フォトリソグラフィ手法により
フォトレジストを用い、マスクを通じて露光、現像し
て、所定のパターンを形成後、イオンミリングでエッチ
ングして磁石体21のパターンを形成した。
【0052】次いで、同様の薄膜プロセス手法で、コバ
ルト白金膜(Ptが30at%のCo−Pt、残留磁束
密度Br2 =0.9T(テスラ)、保磁力HC2=930
Oe)を1500Å厚さに成膜し、その後、フォトリソ
グラフィ手法によりフォトレジストを用い、マスクを通
じて露光、現像して、所定のパターンを形成後、イオン
ミリングでエッチングして磁石体25のパターンを形成
した。なお、2種類の磁石体21,25のパターンは、
図1および図2に示されるように各パターン配置が交互
となるように形成した。2種類の磁石体21,25のパ
ターンを形成した後、これらの薄膜磁石を600℃で2
時間熱処理した。磁石体21,25のパターンの各幅は
50μmとした。
【0053】このようにして形成された磁石体21,2
5のパターンの上に、デュアルイオンビームスパッタ装
置を用いてSiO2 からなる絶縁膜を2000Åの厚さ
に成膜した。
【0054】絶縁膜形成後、デュアルイオンビームスパ
ッタ装置を用いて、100Å−Ti(15Å−NiFe
Co/20Å−Cu)×20の多層GMR膜(磁気抵抗
効果素子)を成膜した。ここで膜構造は最初に100Å
のTi、次に15ÅのNiFeCo合金と20ÅのCu
を順に各々20層ずつ積層した全厚800Åの多層膜で
ある。
【0055】デュアルイオンビームスパッタ装置内にて
用いたターゲットはいずれも純度99.9%以上のター
ゲット組成であり、到達圧力として4×10-7Torr
まで真空引きした後にアルゴンガスを導入し、成膜中の
真空度は1.4×10-4Torrとした。成膜時のアル
ゴンイオンの加速電圧は300V、ビーム電流(アルゴ
ンイオン量に比例)は30mA、CoPt(磁石体)、
NiFeCoおよびCuの平均成膜速度は0.03nm
/secであった。
【0056】GMR膜を成膜後、フォトリソグラフィ手
法によりマスクを通じて露光、現像して、図1および図
2に示されるような磁気抵抗効果素子のパターンを磁石
体の配列ピッチに合わせて形成した。素子のストライプ
幅は10μm、素子の抵抗率は27μΩcmであった。
【0057】このように素子を製作した後に、外部から
1500Oeの磁界を磁石体の配列方向の一方向に印加
して、磁石体21および磁石体25を一方向に着磁し
た。次いで、この印加方向とは逆の方向に外部から11
00Oeの磁界を印加して、磁石体25の磁化方向を反
転させた。
【0058】このようにして実施例1の磁界センサのサ
ンプルを完成させた。
【0059】(実施例2)表面が酸化された厚さ300
μmのシリコン基板を250℃に加熱し、その基板の上
にデュアルイオンビームスパッタ装置にてコバルト白金
膜1(Ptが12at%のCo−Pt、残留磁束密度B
1 =1.15T(テスラ)、保磁力HC1=1000O
e)を1500Å厚さに成膜し、その後、フォトリソグ
ラフィ手法によりフォトレジストを用い、マスクを通じ
て露光、現像して、所定のパターンを形成後、イオンミ
リングでエッチングして磁石体21のパターンを形成し
た。
【0060】次いで、同様の薄膜プロセス手法で、コバ
ルト白金膜(Ptが35at%のCo−Pt、残留磁束
密度Br2 =0.9T(テスラ)、保磁力HC2=500
Oe)を1500Å厚さに成膜し、その後、フォトリソ
グラフィ手法によりフォトレジストを用い、マスクを通
じて露光、現像して、所定のパターンを形成後、イオン
ミリングでエッチングして磁石体25のパターンを形成
した。なお、2種類の磁石体21,25のパターンは、
図1および図2に示されるように各パターン配置が交互
となるように形成した。2種類の磁石体21,25のパ
ターンを形成した後、これらの薄膜磁石を600℃で2
時間熱処理した。磁石体21,25のパターンの各幅は
50μmとした。
【0061】このようにして形成された磁石体21,2
5のパターンの上に、デュアルイオンビームスパッタ装
置を用いてSiO2 からなる絶縁膜を2000Åの厚さ
に成膜した。さらに、絶縁膜の全面にフォトレジストを
塗布し、コバルト白金1(磁石体21)上にSiO2
堆積されるようにリフトオフ用のレジストパターンを形
成し、SiO2 膜を1250Åの厚さに成膜した。この
ように外部磁界強度の大きいコバルト白金1の表面上の
絶縁層の厚さを、外部磁界強度の小さいコバルト白金2
(磁石体25)の絶縁層より厚くすることにより、磁気
抵抗効果素子に逆方向で絶対値の等しいバイアス磁界が
印加されるようにした。
【0062】絶縁膜形成後、デュアルイオンビームスパ
ッタ装置を用いて、100Å−Ti(15Å−NiFe
Co/20Å−Cu)×20の多層GMR膜(磁気抵抗
効果素子)を成膜した。ここで膜構造は最初に100Å
のTi、次に15ÅのNiFeCo合金と20ÅのCu
を順に各々20層ずつ積層した全厚800Åの多層膜で
ある。
【0063】デュアルイオンビームスパッタ装置内にて
用いたターゲットはいずれも純度99.9%以上のター
ゲット組成であり、到達圧力として4×10-7Torr
まで真空引きした後にアルゴンガスを導入し、成膜中の
真空度は1.4×10-4Torrとした。成膜時のアル
ゴンイオンの加速電圧は300V、ビーム電流(アルゴ
ンイオン量に比例)は30mA、CoPt(磁石体)、
NiFeCoおよびCuの平均成膜速度は0.03nm
/secであった。
【0064】GMR膜を成膜後、フォトリソグラフィ手
法によりマスクを通じて露光、現像して、図1および図
2に示されるような磁気抵抗効果素子のパターンを磁石
体の配列ピッチに合わせて形成した。素子のストライプ
幅は10μm、素子の抵抗率は27μΩcmであった。
【0065】このように素子を製作した後に、外部から
1200Oeの磁界を磁石体の配列方向の一方向に印加
して、磁石体21および磁石体25を一方向に着磁し
た。次いで、この印加方向とは逆の方向に外部から70
0Oeの磁界を印加して、磁石体25の磁化方向を反転
させた。
【0066】このようにして実施例2の磁界センサのサ
ンプルを完成させた。
【0067】このようにして準備した実施例1および実
施例2の磁界センサの各サンプルについて、バイアス磁
界のばらつきを下記の要領で評価した。
【0068】(1)バイアス磁界のばらつき ブリッジ接続された4個のGMR素子にそれぞれ印加さ
れているバイアス磁界のばらつきを評価した。すなわ
ち、それぞれの素子の抵抗を測定した後、それぞれの素
子に印加されたバイアス磁界を、磁気抵抗効果曲線を用
いて換算し、求めた。
【0069】より詳しくは、磁気抵抗曲線を測定するた
めに、ブリッジ接続された4個のGMR素子と同じ材料
と形状を持つ素子を予め作製しておき、その素子の磁気
抵抗曲線をバイアスを印加しない状態で測定した。この
ような磁気抵抗効果曲線を用い、測定した素子の抵抗値
を横軸の値(磁界)に換算し、素子に印加されているバ
イアス磁界を求めた。サンプル数10とし、各サンプル
におけるバイアス磁界の最大値と最小値の差をそれぞれ
求め、サンプル数10における最大値と最小値の差の平
均値を求めた。
【0070】その結果、上記実施例1の本発明のサンプ
ルについては、バイアス磁界の差の平均値は13Oeと
なり、また、上記実施例2の本発明のサンプルについて
は、バイアス磁界の差の平均値は14Oeとなり、双方
極めて優れた効果が発現することが確認できた。バイア
ス磁界の差の平均値を小さくすることにより、オフセッ
トを小さくすることができる。
【0071】ちなみに、比較例として、予め別に作製さ
れた貼り付けタイプのバイアス磁石を用い、このものを
所定の間隔に基板に貼り付けてバイアス磁石として用い
た磁界センサを作製して(GMR膜の成膜方法は上記実
施例と同じ)、上記と同様な要領でバイアス磁界の差の
平均値を求めたところ、65Oeとなり、良好とは言え
なかった。
【0072】
【発明の効果】上記の結果より本発明の効果は明らかで
ある。すなわち、本発明の磁界センサは、所定の間隔を
空けて配列された複数の磁気抵抗効果素子を有し、これ
らの磁気抵抗効果素子に対応するように所定の間隔を空
けて配置された複数のバイアス磁石を有する磁界センサ
であって、前記複数のバイアス磁石は、保磁力が実質的
に異なる2種の磁石体からなり、これら2種の磁石体が
所定の間隔を空けて磁気抵抗効果素子の配列方向に沿っ
て配置され、かつ複数の磁気抵抗効果素子にそれぞれ印
加されるバイアス磁界の絶対値が実質的に等しくなるよ
うに配置されている。
【0073】従って、量産性が良く、オフセットが小さ
く、高感度で小型な磁界センサを提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁界センサの平面図である。
【図2】図1のA−A断面矢視図である。
【図3】本発明の磁界センサの使用例の一例を示す斜視
図である。
【図4】本発明の磁界センサの使用例の一例を示す平面
図である。
【図5】本発明の磁界センサの使用例の一例を示す断面
図であり、図4のB−B断面矢視図である。
【図6】ブリッジ接続した磁気抵抗素子の等価回路を説
明するための図面である。
【図7】ブリッジ接続した場合の出力波形を説明するた
めの図面である。
【符号の説明】
1…磁界センサ 5…基板 11,12,13,14…磁気抵抗効果素子 21,25…バイアス磁石(磁石体)
フロントページの続き (72)発明者 浅川 幸雄 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 宮内 大助 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 Fターム(参考) 2F077 AA45 CC02 NN03 NN19 NN26 PP07 PP14 RR09 VV01 VV33 2G017 AA02 AB07 AB09 AC09 AD55 AD56 AD65 BA09

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の間隔を空けて配列された複数の磁
    気抵抗効果素子を有し、これらの磁気抵抗効果素子に対
    応するように所定の間隔を空けて配置された複数のバイ
    アス磁石を有する磁界センサであって、 前記複数のバイアス磁石は、保磁力が実質的に異なる2
    種の磁石体からなり、これら2種の磁石体が所定の間隔
    を空けて磁気抵抗効果素子の配列方向に沿って配置さ
    れ、かつ複数の磁気抵抗効果素子にそれぞれ印加される
    バイアス磁界の絶対値が実質的に等しくなるように配置
    されてなることを特徴とする磁界センサ。
  2. 【請求項2】 隣り合う磁気抵抗効果素子に及ぼすバイ
    アス磁界が互いに逆方向となるように、磁気抵抗効果素
    子の配列方向に沿って2種の磁石体がそれぞれ交互に配
    置される請求項1に記載の磁界センサ。
  3. 【請求項3】 前記複数のバイアス磁石は、2種の磁石
    体の配列方向の任意方向に向けて、2種の磁石体の着磁
    方向が同一となるように第1の着磁操作が行われ、しか
    る後、保磁力の小さい磁石体のみが磁化反転するよう
    に、前記任意方向とは逆の方向に第2の着磁操作が行わ
    れてなる請求項1または請求項2に記載の磁界センサ。
  4. 【請求項4】 前記複数の磁気抵抗効果素子の配列ピッ
    チDと、前記複数のバイアス磁石の配列ピッチPが同じ
    で、磁気抵抗効果素子とバイアス磁石とは、実質的に同
    じ位置関係に配列される請求項1ないし請求項3のいず
    れかに記載の磁界センサ。
  5. 【請求項5】 前記2種の磁石体の保磁力の差が、20
    0Oe以上である請求項1ないし請求項4のいずれかに
    記載の磁界センサ。
  6. 【請求項6】 4n(n:正の整数)個の磁気抵抗効果
    素子を備え、これらの磁気抵抗効果素子がブリッジ接続
    されてなる請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の
    磁界センサ。
  7. 【請求項7】 前記磁気抵抗効果素子が巨大磁気抵抗効
    果を示す磁性膜から形成される請求項1ないし請求項6
    のいずれかに記載の磁界センサ。
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