JP3587222B2 - 研磨装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はガラス、金属、シリコンウエハ、フォトマスク、セラミック等の研磨装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図9及び図10に示すように、本件出願人は特願平6─161959号公報でリモートセンタコンプライアンスメカニズム(以下、RCC機構と称す)の研磨部材支持機構12を使用した研磨装置10を提案している。これらの図に示すように、研磨装置10のRCC機構12は4本のジョイントリンク14を有している。4本のジョイントリンク14はそれぞれ支持板16及び研磨板18の4角を連結し、ジョイントリンク14の両端部は支持板16及び研磨板18にボールジョイント部材を介して連結されている。従って、ジョイントリンク14は支持板16及び研磨板18に対して任意の方向に揺動自在に支持される。そして、支持板16及び研磨板18に連結されている4本のジョイントリンク14の延長線は研磨板18の中心軸線上の仮想中心A点で交差し、仮想中心A点は研磨板18の研磨面から僅かに下方に位置している。
【0003】
このように、仮想中心A点がガラス板20の研磨面から僅かに下方に位置するので、研磨面圧分布を略均等に設定することにより研磨むらが発生することを防止し、また、摩擦反力F1 が生じた時にも研磨板18を上方に逃がして、研磨板18のスティックを防止することができるので、ガラス板20に研磨むらが生じない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、4本のジョイントリンク14はそれぞれ支持板16及び研磨板18の4角にボールジョイント部材を介して連結されているので、連結部は金属同士が接触している。従って、連結部にすべりが生じる為、摩耗によるガタが発生するという問題がある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、連結部に摩耗によるガタの発生を防止することができる研磨装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために、研磨部材を被加工部材の加工面に相対的に揺動可能に支持し、前記被加工部材に前記研磨部材を押し付けた状態で前記研磨部材を前記被加工部材の研磨面に水平な方向に相対運動させて前記被加工部材を研磨する研磨装置において、前記研磨部材を支持部材と連結して支持する研磨部材支持機構を積層ゴム部材で構成し、該積層ゴム部材の変形で前記研磨部材が揺動することを特徴としている。
【0007】
また、本発明は、前記研磨部材と前記研磨部材に回転トルクを伝達する回転伝達部材との間に、該回転伝達部材の回転力を伝達すると共に前記研磨部材の揺動運動に追従して変形する積層ゴム部材を介在させたことを特徴としている。
本発明によれば、研磨部材支持機構の積層ゴム部材で研磨部材を揺動可能に支持し、揺動中心位置を被加工部材の研磨面近傍に設定した。そして、研磨部材支持機構の積層ゴム部材の連結部を固定した状態で、積層ゴム部材を変形することにより研磨部材が揺動する。これにより、連結部の金属同士の摩耗が防止される。
【0008】
また、研磨部材に回転トルクを伝達する回転トルク伝達手段を備え、回転トルク伝達手段を積層ゴム部材で構成した。この積層ゴム部材は研磨部材の揺動運動に追従して変形する。これにより、連結部の金属同士の摩耗が防止される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係る研磨装置の好ましい実施の形態について詳説する。
図1には本発明に係る研磨装置の斜視図が示されている。図1に示すように、研磨装置30は研磨部材支持機構(以下、RCC機構と称す)34及び回転トルク伝達手段36を備えている。RCC機構34は4本の積層ゴム部材37を有している。積層ゴム部材37の下端部は円錐台38の周面に90°の間隔をおいて固定され、円錐台38は研磨板(研磨部材)40の表面に形成されている。
【0010】
図2に示すように、この積層ゴム部材37、37…は一定の傾斜角で上方を向いて配設され、それぞれの上端部は支持板43(回転伝達部材)に取り付けられている。これにより、研磨板40は積層ゴム部材37、37…を介して支持板43に連結される。この場合、4本の積層ゴム部材37の延長線は研磨板40の中心軸線上の仮想中心A点で交差し、仮想中心A点は研磨板40の研磨面から僅かに下方に位置している。
【0011】
積層ゴム部材37は、図3に示すように、複数の金属プレート37A、37A…が微小間隔をおいてゴム37B内に埋設され、ゴム37Bは円柱状に形成されている。また、ゴム37Bの両端部にはそれぞれ取付け部37C、37Dが形成され、取付け部37C、37Dは支持板43、研磨板40に固定される(図2参照)。この積層ゴム部材37は垂直荷重に対しては変形量が非常に小さく(図3参照)、図2に示す押圧力Pが支持板43に作用した場合、押圧力Pは4本の積層ゴム部材37を介して研磨板40に伝達される。
【0012】
また、積層ゴム部材37は水平荷重に対しては変形量が大きく(図4参照)、研磨板40に摩擦反力F1 が生じた場合、研磨板40を上方に逃がして研磨板40のスティックを防止する。これにより、ガラス板42に研磨むらが発生することを防止して、ガラス板42を均一に研磨する。
図1、図5に示すように、回転トルク伝達手段36は矩形状の枠体46を有し、枠体46を形成する左右辺には中央に取付け部46A、46Aが形成されている。また、枠体46を形成する上下辺には中央に取付け部46B、46Bが形成されている。取付け部46Aには積層ゴム部材48、48の一端が固定され、積層ゴム部材48、48の他端はU字ブロック50の端部に固定されている。この場合、積層ゴム部材48、48は同軸上に配設される。また、U字ブロック50、50は研磨板40に固定されている。
【0013】
取付け部46Bには積層ゴム部材49、49の一端が固定され、積層ゴム部材49、49の他端はU字ブロック52の端部に固定されている。この場合、積層ゴム部材49、49は同軸上に配設され、U字ブロック52の上面52A(図1参照)は支持板43に固定される。従って、例えば支持板43が公転した場合、支持板43の回転力はU字ブロック52、52を介して積層ゴム部材49、49に伝達される。
【0014】
この場合、回転力は積層ゴム部材49、49の軸線方向に作用するので、積層ゴム部材49、49に伝達された回転力は取付け部46B、46B及び枠体46を介して取付け部46A、46Aに伝達される。取付け部46A、46Aに伝達された回転力は、積層ゴム部材48、48の軸線方向に作用して、積層ゴム部材48、48及びU字ブロック50、50を介して研磨板40に伝達される。これにより、支持板43に回転力が作用した場合でも、研磨板40は支持板43に追従して移動して、研磨板40のねじり運動が阻止される。
【0015】
一方、上述したように研磨板40に摩擦反力F1 (図1、図2及び図7参照)が生じた場合、研磨板40を上方に逃がして研磨板40のスティックを防止する。このように、研磨板40に摩擦反力F1 が発生した場合、同軸上に配設された積層ゴム部材48、48にスライド方向の荷重が作用して、積層ゴム部材48、48が、図6に示すようにスライド変形する。また、研磨板40が傾斜して上方に逃げるために、図7に示すように積層ゴム部材49、49に曲げが発生する。
【0016】
前記の如く構成された本発明に係る研磨装置の作用について説明する。先ず、支持板43に下方向への押圧力Pを付与した状態で支持板43をガラス板42に沿って公転すると、押圧力PがRCC機構34の4本の積層ゴム部材37を介して研磨板40に伝達され、研磨板40が回転トルク伝達手段36を介して公転する。すなわち、支持板43の公転力は、回転トルク伝達手段36の積層ゴム部材48、48…、及び積層ゴム部材49、49…を介して研磨板40に伝達される。これにより、研磨板40は支持板43に追従して移動して研磨板40のねじり運動が阻止される。
【0017】
一方、研磨板40に摩擦反力F1 が生じた場合、RCC機構34により研磨板40を上方に逃がして研磨板40のスティックを防止するように作動する。この場合、摩擦反力F1 により回転トルク伝達手段36の積層ゴム部材48、48にスライド方向の荷重が作用して、積層ゴム部材48、48が、図6に示すようにスライド変形する。また、図7に示すように積層ゴム部材49、49に曲げが発生して研磨板40が傾斜して上方に逃げる。
【0018】
このように、回転トルク伝達手段36を使用することにより、研磨板40の捩じりを防止し、さらにRCC機構34の動作を抑制せずに研磨板40を上方に逃がして研磨板40のスティックを防止することができる。
また、RCC機構34は4本の積層ゴム部材37が変形することにより研磨板40が揺動するので連結部の金属同士の摩耗が防止される。さらに、回転トルク伝達手段36を積層ゴム部材48…、49…で構成し、積層ゴム部材48…、49…を研磨部材40の揺動運動に追従して変形させるので、連結部の金属同士の摩耗が防止される。
【0019】
前記実施例ではRCC機構34に使用した4本の積層ゴム部材37に圧縮力が作用するようにRCC機構34を構成した場合について説明したが、これに限らず、図8に示すように、積層ゴム部材37に引張力が作用するようにRCC機構34を構成してもよい。尚、図8上で前記実施例と同一類似部材については同一符号を付し説明を省略する。
【0020】
前記実施例ではガラス板42を研磨する場合について説明したが、ガラス板42等の板状材に限らず、アルミニューム材等のその他の被加工部材の研磨に使用してもよい。
また、前記実施例によれば摩擦反力F1 がX方向に作用した場合について説明したが、これに限らず、摩擦反力F1 がY方向(図1参照)に作用した場合にも同様に研磨板40を揺動移動させて上方に逃がすことが可能である。
【0021】
前記実施例によればRCC機構34及び回転トルク伝達手段36を介して支持板43に研磨板40を支持した場合について説明したが、これに限らず、支持板43にバイト等のその他の研磨、研削工具等を取り付けてもよい。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る研磨装置によれば、研磨部材支持機構で支持した研磨部材の揺動中心位置を被加工部材の研磨面近傍に設定した。そして、研磨部材支持機構を構成する積層ゴム部材の連結部を固定した状態で、積層ゴム部材を変形することによりすべりを生じないで研磨部材が揺動する。これにより、連結部の金属同士の摩耗が防止されので、摩耗による研磨部材のガタの発生を抑制することができる。
【0023】
また、本発明に係る研磨装置によれば、研磨部材に回転トルクを伝達する回転トルク伝達手段を積層ゴム部材で構成した。この積層ゴム部材は研磨部材の揺動運動に追従して変形する。これにより、連結部の金属同士の摩耗が防止されるので、摩耗による研磨部材のガタの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る研磨装置の斜視図
【図2】本発明に係る研磨装置の研磨部材支持機構に使用されたRCC機構を示す側面図
【図3】本発明に係る研磨装置に使用された積層ゴム部材の動作を説明する側面図
【図4】本発明に係る研磨装置に使用された積層ゴム部材の動作を説明する側面図
【図5】本発明に係る研磨装置の研磨部材支持機構に使用された回転トルク伝達手段を示す平面図
【図6】本発明に係る研磨装置の研磨部材支持機構に使用された回転トルク伝達手段の作用を説明する平面図
【図7】本発明に係る研磨装置の研磨部材支持機構に使用された回転トルク伝達手段の作用を説明する側面図
【図8】本発明に係る研磨装置の他の実施例を示す側面図
【図9】従来のRCC機構を示す斜視図
【図10】従来のRCC機構を示す側面図
【符号の説明】
30…研磨装置
34…研磨部材支持機構(RCC機構)
36…回転トルク伝達手段
37、48、49…積層ゴム部材
40…研磨板(研磨部材)
42…ガラス板(被加工部材)
43…支持板(回転伝達部材)
Claims (2)
- 研磨部材を被加工部材の加工面に相対的に揺動可能に支持し、前記被加工部材に前記研磨部材を押し付けた状態で前記研磨部材を前記被加工部材の研磨面に水平な方向に相対運動させて前記被加工部材を研磨する研磨装置において、
前記研磨部材を支持部材と連結して支持する研磨部材支持機構を積層ゴム部材で構成し、該積層ゴム部材の変形で前記研磨部材が揺動することを特徴とする研磨装置。 - 前記研磨部材と前記研磨部材に回転トルクを伝達する回転伝達部材との間に、該回転伝達部材の回転力を伝達すると共に前記研磨部材の揺動運動に追従して変形する積層ゴム部材を介在させたことを特徴とする請求項1の研磨装置。
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JP21367895A JP3587222B2 (ja) | 1995-08-22 | 1995-08-22 | 研磨装置 |
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---|---|---|---|
JP21367895A JP3587222B2 (ja) | 1995-08-22 | 1995-08-22 | 研磨装置 |
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JPH0957615A JPH0957615A (ja) | 1997-03-04 |
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Family
ID=16643168
Family Applications (1)
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JP21367895A Expired - Lifetime JP3587222B2 (ja) | 1995-08-22 | 1995-08-22 | 研磨装置 |
Country Status (1)
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-
1995
- 1995-08-22 JP JP21367895A patent/JP3587222B2/ja not_active Expired - Lifetime
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