JP3586625B2 - 圧力炊飯器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、炊飯鍋内の圧力投入時間を調整することができる圧力炊飯器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の圧力炊飯器は、沸騰温度を高くして粘りのあるおいしいご飯を炊き上げるために、蓋体に調圧弁が配設されている。この調圧弁は、蓋体の内蓋側に設けた排気口を自重によって閉じる加圧機構を備えている。そして、炊飯開始時は排気口を開放しておき、炊飯鍋の内部が所定温度に上昇すると、または、所定時間経過すると、前記加圧機構を動作させて排気口を閉じ、炊飯鍋内を大気圧以上の圧力まで上昇させる。そして、炊飯鍋内の圧力が所定の圧力より高くなると、その圧力で加圧機構が押し上げられ、蒸気とともに圧力が大気に開放され、圧力が下がると、加圧機構が降下する。このように、加圧機構が上下動することで、炊飯鍋内が設定したピーク圧力に保持される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記圧力炊飯器は、炊飯可能な最大容量が10サイズ(5.5カップ)や18サイズ(10カップ)等、種々のサイズのものが存在する。また、ユーザが実際に炊飯する際には、炊飯容量や炊飯メニュー等の条件が異なる。そのため、種々のサイズに拘わらず略同一の制御フローで炊飯可能とするためには、炊飯鍋内に投入するピーク圧力を同一にする必要がある。この場合、前記調圧弁の加圧機構をサイズ別に専用に設ける必要があり、生産性が悪いうえ、コスト高になるという問題がある。
【0004】
なお、コストダウンを図るために、各サイズの圧力炊飯器に、同一の加圧機構を適用すると、加圧機構の上下動が変化して炊飯鍋内のピーク圧力が変わるため、安定したおいしい炊き上がり状態を確保できない。
【0005】
そこで、本発明では、サイズ、実際の炊飯容量、炊飯メニュー等の炊飯条件に応じて最適な圧力投入を可能とし、安定したおいしいご飯を炊飯できるようにすることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の圧力炊飯器は、炊飯鍋と、該炊飯鍋を収容する炊飯器本体と、前記炊飯鍋を加熱する加熱手段と、前記炊飯器本体に開閉可能に取り付けられ前記炊飯鍋の開口部を閉塞する蓋体と、該蓋体に設けた圧力投入手段とを備えた圧力炊飯器において、炊飯可能な最大容量に応じて前記圧力投入手段による圧力投入時間を設定する圧力投入時間設定手段を設けた構成としている。
【0007】
前記圧力炊飯器によれば、炊飯可能な最大容量(サイズ)に応じて圧力を投入する時間を設定するため、サイズが異なる炊飯器でも、同一の圧力投入手段を搭載し、同一のプログラムで炊飯制御を実行することができる。
【0008】
前記圧力炊飯器では、前記炊飯器本体または蓋体は炊飯メニューを選択するスイッチを備え、ユーザが設定した炊飯メニューに応じて前記圧力投入時間を調節するようにすることが好ましい。
また、実際の炊飯容量を検出する炊飯容量検出手段を設け、検出した炊飯容量に応じて圧力投入時間を調節するようにすることが好ましい。
これらのようにすれば、安定したおいしい炊き上がり状態を確保できる。
【0009】
さらに、前記圧力投入時間の設定とは別に、前記炊飯鍋が所定温度に上昇すると前記圧力投入手段を動作させるようにすることが好ましい。
この場合、前記圧力投入手段を動作させる温度を、炊飯メニューまたは実際の炊飯容量に応じて設定するようにすることが好ましい。
これらのようにすれば、より一層、安定したおいしい炊き上がり状態を確保できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
図1は、本発明の圧力炊飯器1を示す。この圧力炊飯器1は、炊飯鍋2と、該炊飯鍋2を収容する炊飯器本体3と、該炊飯器本体3にヒンジ接続により開閉可能に取り付けられる蓋体8とからなる。
【0011】
前記炊飯鍋2は、熱伝導率が高いアルミ等からなる鍋母材の外面に、後述する誘導加熱コイル6への高周波電流の通電時に生じる渦電流によって電磁誘導加熱される強磁性材料をコーティングや接合等を施したものである。
【0012】
前記炊飯器本体3は、有底筒形状をなす胴体4の内部に、前記炊飯鍋2を収容する非導電性材料からなる保護枠5を備えている。これら胴体4と保護枠5との間には、加熱手段である誘導加熱コイル6と、炊飯鍋用温度センサ7と、マイコン33を実装した制御基板32とが配設されている。
【0013】
また、前記炊飯器本体3の正面には、図2に示す操作パネル35が配設されている。この操作パネル35には、中央に配設された液晶表示36の周りに、炊飯条件を入力するための複数のスイッチの操作部37〜43が配設されている。ここで、37は、炊飯制御の実行スイッチである炊飯スイッチの操作部、38は、保温制御の実行スイッチである保温スイッチの操作部、39は、希望に応じてタイマ予約を選択するための予約スイッチの操作部、40は、炊飯メニューを選択するためのメニュースイッチの操作部、41は、時スイッチの操作部、42は、分スイッチの操作部、そして、43は、とりけしスイッチの操作部である。
【0014】
前記誘導加熱コイル6は、前記保護枠5の下面に配設され、高周波電流が通電されることにより、前記炊飯鍋2を電磁誘導加熱するものである。
【0015】
前記炊飯鍋用温度センサ7は、前記保護枠5の側部に配設され、その先端の検出部を前記保護枠5に設けた貫通孔を通して炊飯鍋2の側面に接触させ、該炊飯鍋2の温度をマイコン33に出力するものである。
【0016】
前記蓋体8は、前記炊飯器本体3の開口部を閉塞するもので、上板9と、下板11と、該下板11の底面に着脱可能に取り付けられ炊飯鍋2の開口部を密閉する内蓋19とからなる。そして、この蓋体8の内部には、図示しない蓋用温度センサと、安全弁21と、圧力投入手段である調圧器22とが配設されている。
【0017】
前記上板9には、炊飯時に炊飯鍋2内の圧力が設定したピーク圧力を越えると、その圧力とともに蒸気を外部(大気)に排気する排気口10が設けられ、この排気口10の下側縁を囲むように、後述するダクト17が配設されている。
【0018】
前記下板11には、従来と同様に下面に放熱板12が配設されるとともに、該放熱板12と下板11との間に蓋ヒータ13が配設されている。この下板11は、後述する調圧器22の取付部分が開口され、この開口を囲繞するように調圧器22の加圧機構23を収容するケース14が取り付けられている。このケース14には、後述する駆動機構であるソレノイド30を配設する側にプランジャを挿通させる挿通口15が設けられ、この挿通口15に炊飯鍋2からの蒸気の漏れを防止するシール部材16が配設されている。また、このケース14の下部には、該ケース14内と前記上板9の排気口10と連通させるためのダクト17が一体に設けられている。このダクト17の上端縁には、上板9の下面に圧接されるパッキン18が配設されている。
【0019】
前記内蓋19には、炊飯鍋2の上端縁に圧接して該炊飯鍋2内を密閉するパッキン20が全周にかけて配設されている。また、この内蓋19には、前記下板11の開口と対応する位置が開口され、この開口に調圧器22を構成する加圧機構23が一体に取り付けられている。
【0020】
前記蓋用温度センサは、炊飯鍋2の上部の温度を検出することによって、炊飯する米の温度(飯温)を検出し、その検出温度を後述する制御手段に出力するものである。
【0021】
前記安全弁21は、何等かの要因で前記炊飯鍋2の内圧が設定したピーク圧力以上の異常圧力に昇圧することを防止するもので、前記炊飯鍋2の内部を臨むように前記内蓋19に配設されている。
【0022】
前記調圧器22は、内蓋19の開口に配設され、前記炊飯鍋2内に圧力を投入する加圧機構23と、前記蓋体8の下板11に配設され、前記加圧機構23を駆動させる駆動機構であるソレノイド30とからなる。
【0023】
前記加圧機構23は、逆止弁24と、台座部材26と、開口27を閉塞する調圧ボール28と、キャップ29とからなり、前記炊飯鍋2内を大気圧以上に維持するものである。前記逆止弁24は、内蓋19の開口に固定されるもので、その中央には炊飯鍋2と連通する流入口25が設けられている。前記台座部材26は、前記流入口25を囲繞する大きさのドーム形で、その頂部に開口27が設けられている。前記調圧ボール28は、自重によって炊飯鍋2内に連通する前記台座部材26上に載って開口27を閉塞するもので、本実施形態では、規格が18サイズの炊飯鍋2の場合、その内圧が約1.15atmを越えると、その圧力で浮き上がる重さのものを使用している。前記キャップ29は、前記調圧ボール28を内部に収容した状態で台座部材26に着脱可能に取り付けられるもので、後述するソレノイド30のプランジャを挿通する挿通孔と、ダクト17に連通する多数の通気口が設けられている。
【0024】
なお、本実施形態では、10サイズおよび18サイズ等の圧力炊飯器1による炊飯可能な最大容量に関わらず、全ての規格において、前記と同一の加圧機構23を適用する。そのため、規格が10サイズの場合には炊飯鍋2の内部に投入される圧力は前記1.15atmを越え、約1.23atmまで昇圧するようになる。
【0025】
前記駆動機構であるソレノイド30は、前記下板11におけるケース14の側部に配設されている。本実施形態のソレノイド30は、非通電状態でプランジャを進出位置を維持し、調圧ボール28を開口27上から退避させる一方、通電状態で、プランジャを退避させ、前記調圧ボール28を開口27上に自重で転動させ、炊飯鍋2内に圧力を投入するものである。
【0026】
前記制御基板32に実装されたマイコン33は、記憶されたプログラムに従って、予熱、中ぱっぱ、電力制御、炊き上げ、むらし、及び、保温の各工程を順次実行して炊飯動作を実行する。また、この炊飯動作中に、前記炊飯鍋用温度センサ7、および、蓋用温度センサからの出力に基づいて、前記加熱手段による炊飯鍋2の加熱量を調節するとともに、調圧器22による炊飯鍋2内の圧力投入を実行するものである。
【0027】
そして、本実施形態のマイコン33は、前記のように、炊飯可能な最大容量に拘わらず同一の加圧機構23を適用できるようにするため、図3に示すように、炊飯可能な最大容量に応じて前記調圧器22による初期圧力投入時間を設定する圧力投入時間設定手段の役割をなす。また、マイコン33は、その初期設定時間を、図4に示すように、ユーザが選択した炊飯メニューに応じて調節する。さらに、その設定時間を、図5に示すように、実際の炊飯容量を検出した結果に応じて更に調節する。本実施形態では、この圧力投入時間は、圧力を投入する開始時間を設定することによって圧力を投入する総時間を設定し、かつ、実際の炊飯容量および炊飯メニューに応じ、更に圧力投入時間を微調節するようになっている。なお、前記炊飯鍋2による炊飯可能な最大容量を意味する圧力炊飯器1の型式は、搭載された記憶部に予め記憶され、その情報に応じてマイコン33が炊飯可能な最大容量を判別するようになっている。
【0028】
さらに、本実施形態では、この設定した圧力の投入時間の制御とは別に、炊飯容量および炊飯メニューに応じ、炊飯鍋用温度センサ7を介して検出した炊飯鍋2の温度が所定温度を超えると強制的に圧力投入を行うようにしている。
【0029】
次に、前記圧力投入の時間設定について具体的に説明する。例えば、炊飯鍋2による炊飯可能な最大容量が10サイズである場合には初期設定時間を25分とする。そして、下記の表1に示すように、実際の炊飯容量およびユーザが設定した炊飯メニューに応じ、圧力投入時間を遅らせることにより、前記設定時間が短くなるように調節する。また、時間に関わらず炊飯鍋2内に圧力を投入する温度を下記の表2に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
これらの表に示すように、各炊飯メニューと実際の炊飯容量に応じて、前記初期設定時間からの総合遅延時間を設定し、圧力投入時間を調節する。なお、これらの表において、ランクDの容量異常とは、何等かの原因で炊飯鍋用温度センサ7が温度を検出できず、容量判別ができなかった時のものである。
【0033】
また、炊飯鍋2による炊飯可能な最大容量が18サイズである場合には初期設定時間を30分とする。そして、この初期設定時間に対して10サイズの場合と同様に、実際の炊飯容量とユーザが設定した炊飯メニューに応じて前記設定時間を微調節する。なお、これらの調節時間は、前記表1において、炊飯容量ランクのA,B,C,E,Fが、それぞれ2倍のカップ数となるだけで、調節時間は同一である。即ち、表1において、ランクAが2カップ、ランクBが4カップ、ランクCが6カップ、ランクEが8カップ、ランクFが10カップを示す。また、時間調節と並行して行われる温度も表2において、各ランクが2倍のカップ数となるだけで温度は同一である。
【0034】
次に、前記マイコン33による炊飯制御について説明する。
ユーザが前記操作パネル35の各スイッチの操作部37〜43を操作してスイッチの操作部37を操作すると、または、炊飯予約をセットして炊飯開始時刻になると、マイコン33は、図6に示すように、まず、ステップS1で、タイマ計測をスタートする。
【0035】
ついで、ステップS2で、記憶された自身のサイズを検出した後、ステップS3で、初期圧力投入時間を25分または30分に設定する。これにより、圧力投入を行う初期投入時間が設定される。
【0036】
その後、ステップS4で、ユーザが設定した炊飯メニューを検出した後、ステップS5で、後述する圧力投入時間の第1調節処理を実行し、圧力投入時間を遅延することにより、圧力を投入する時間を調節する。
【0037】
そして、ステップS6で、誘導加熱コイル6をオンして予熱工程を開始する。ついで、ステップS7で、炊飯鍋2の温度が50℃になるまで待機し、50℃になると、ステップS8で、炊飯メニューによって予め設定された時間、温度調節処理を実行する。
【0038】
ついで、ステップS9で、設定された予熱時間が経過したか否かを検出し、予熱時間が経過すると、ステップS10で、誘導加熱コイル6に対して100%の電力通電を開始する。
【0039】
その後、図7に示すように、ステップS11で、実際の炊飯容量の判別処理を実行する。なお、この容量判別処理は、従来と同様の方法であり、前記誘導加熱コイル6による加熱で、炊飯鍋2が温度上昇する勾配によって判別するものである。
【0040】
そして、ステップS12で、判別した実際の炊飯容量に応じ、後述する圧力投入時間の第2調節処理を実行し、圧力投入時間を再び遅延することにより、圧力を投入する時間を再調節する。
【0041】
ついで、ステップS13で、後述する圧力投入を開始する判別処理を実行する。これにより、圧力投入を開始条件になったと判別すると、ステップS14で、ソレノイド30への通電を開始することによってプランジャを退避させ、調圧ボール28を開口27上に転動させることにより、炊飯鍋2内に圧力を投入する。
【0042】
その後、ステップS15で、従来と同様に、炊飯鍋2内が所定の圧力を維持するように周知の電力制御処理を実行した後、ステップS16で、ドライアップしたか否かを検出する。そして、ドライアップを検出しない場合にはステップS15に戻り、ドライアップを検出した場合にはステップS17に進む。即ち、ドライアップを検出するまで、前記電力制御処理を行う。
【0043】
ステップS17では、誘導加熱コイル6に対して100%の電力通電を開始して炊き上げを実行した後、ステップS18で、むらしを実行する。これにより、炊飯鍋2内の圧力は減圧される。
【0044】
そして、むらしが完了すると、ステップS19で、ソレノイド30への通電を遮断し、プランジャを進出させることによって調圧ボール28を転動させ、開口27を開放することにより炊飯鍋2内への圧力投入を解除する。
【0045】
最後に、ステップS20で、露とばしを実行し、この露とばしが終了すると、炊飯制御が終了し、従来と同様に保温制御処理に移行する。
【0046】
次に、前記圧力投入時間の第1調節処理について説明する。
この圧力投入時間第1調節処理では、マイコン33は、図8に示すように、まず、ステップS5−1で、ユーザによって設定された炊飯メニューが「ふつう」であるか否かを検出する。そして、炊飯メニューが「ふつう」である場合にはステップS5−2に進み、圧力投入時間を2分遅延させてリターンする。一方、炊飯メニューが「ふつう」でない場合にはステップS5−3に進む。
【0047】
ステップS5−3では、ユーザによって設定された炊飯メニューが「かため」であるか否かを検出する。そして、炊飯メニューが「かため」である場合にはステップS5−4に進み、圧力投入時間を4分遅延させてリターンする。一方、炊飯メニューが「かため」でない場合には「やわらかめ」であると判断し、ステップS5−5に進み、圧力投入時間を0分遅延させてリターンする。即ち、初期設定時間の通りとする。
【0048】
次に、前記圧力投入時間の第2調節処理について説明する。
この圧力投入時間第2調節処理では、マイコン33は、図9に示すように、まず、ステップS12−1で、ステップ11の容量判別処理によって判別した容量ランクが「A」であるか否かを検出する。そして、容量ランクが「A」である場合にはステップS12−2に進み、圧力投入時間を0分遅延させてリターンする。一方、容量ランクが「A」でない場合にはステップS12−3に進む。
【0049】
ここで、前記ステップS12−2を経てリターンした場合には、前記第1調節処理と合わせると、炊飯メニューが「ふつう」である場合には2分、「かため」である場合には4分、「やわらかめ」である場合には0分、それぞれ初期設定時間より遅延させて圧力が投入されることになり、総圧力投入時間が変更される。
【0050】
ステップS12−3では、ステップ11の容量判別処理によって判別した容量ランクが「B」であるか否かを検出する。そして、容量ランクが「B」である場合にはステップS12−4に進み、圧力投入時間を0分遅延させてリターンする。一方、容量ランクが「B」でない場合にはステップS12−5に進む。
【0051】
ここで、前記ステップS12−4を経てリターンした場合には、前記第1調節処理と合わせると、炊飯メニューが「ふつう」である場合には2分、「かため」である場合には4分、「やわらかめ」である場合には0分、それぞれ初期設定時間より遅延させて圧力が投入されることになり、総圧力投入時間が変更される。
【0052】
ステップS12−5では、ステップ11の容量判別処理によって判別した容量ランクが「C」であるか否かを検出する。そして、容量ランクが「C」である場合にはステップS12−6に進み、圧力投入時間を2分遅延させてリターンする。一方、容量ランクが「C」でない場合にはステップS12−7に進む。
【0053】
ここで、前記ステップS12−6を経てリターンした場合には、前記第1調節処理と合わせると、炊飯メニューが「ふつう」である場合には4分、「かため」である場合には6分、「やわらかめ」である場合には2分、それぞれ初期設定時間より遅延させて圧力が投入されることになり、総圧力投入時間が変更される。
【0054】
ステップS12−7では、ステップ11の容量判別処理によって判別した容量ランクが「D」であるか否かを検出する。そして、容量ランクが「D」である場合にはステップS12−8に進み、圧力投入時間を2分遅延させてリターンする。一方、容量ランクが「D」でない場合にはステップS12−9に進む。
【0055】
ここで、前記ステップS12−8を経てリターンした場合には、前記第1調節処理と合わせると、炊飯メニューが「ふつう」である場合には4分、「かため」である場合には6分、「やわらかめ」である場合には2分、それぞれ初期設定時間より遅延させて圧力が投入されることになり、総圧力投入時間が変更される。
【0056】
ステップS12−9では、ステップ11の容量判別処理によって判別した容量ランクが「E」であるか否かを検出する。そして、容量ランクが「E」である場合にはステップS12−10に進み、圧力投入時間を4分遅延させてリターンする。一方、容量ランクが「E」でない場合には容量ランクが「F」であると判断してステップS12−11に進み、圧力投入時間を同様に4分遅延させてリターンする。
【0057】
ここで、これら場合には、前記第1調節処理と合わせると、炊飯メニューが「ふつう」である場合には6分、「かため」である場合には8分、「やわらかめ」である場合には4分、それぞれ初期設定時間より遅延させて圧力が投入されることになり、総圧力投入時間が変更される。
【0058】
次に、前記圧力投入の開始判断処理について説明する。
この圧力投入開始判断処理では、マイコン33は、図10に示すように、まず、ステップS13−1で、ユーザによって設定された炊飯メニューを読み込んだ後、ステップS13−2で、ステップS11の容量判別処理で判別した容量ランクを読み込む。
【0059】
ついで、ステップS13−3で、その炊飯メニューおよび容量ランクに応じた表2に示すしきい値温度T0を読み込んだ後、ステップS13−4で、前記ステップS3、ステップS5およびステップS12を経て設定した圧力投入開始時間を読み込む。
【0060】
その後、ステップS13−5で、炊飯鍋用温度センサ7によって現時点での炊飯鍋2の温度T1をを検出した後、ステップS13−6で、実際の温度T1がしきい値温度T0以上(T1≧T0)であるか否かを検出する。そして、実際の温度T1がしきい値温度T0以上である場合には、圧力投入を開始する条件になったと判断してリターンする。一方、実際の温度T1がしきい値温度T0より小さい場合(T1<T0)には、ステップS13−7に進む。
【0061】
ステップS13−7では、設定した圧力投入開始時間になったか否かを検出する。そして、圧力投入開始時間になった場合には、圧力投入を開始する条件になったと判断してリターンする。一方、圧力投入開始時間になっていない場合には、ステップS13−5に戻る。
【0062】
なお、本発明の圧力炊飯器1は、前記実施形態の構成に限定されるものではない。
例えば、前記実施形態では、炊飯開始当初に、その圧力炊飯器1による炊飯可能な最大容量を検出して圧力を投入する初期設定時間を設定し、炊飯メニューおよび実際の炊飯容量に応じてそれぞれ設定時間を調節するようにしたが、炊飯容量を検出した後に、前記表1に基づいて両方の条件に基づいて1回のみ時間調節するようにしてもよい。
【0063】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の圧力炊飯器では、炊飯可能な最大容量(サイズ)に応じて圧力を投入する時間を設定するようにしているため、サイズが異なるものでも、同一の圧力投入手段を搭載し、同一のプログラムで炊飯制御を実行することができる。
【0064】
そのため、各圧力炊飯器のサイズに応じて異なる圧力投入手段を設ける必要がない。その結果、製造メーカに必要な総合的な部品点数を削減できるとともに、部品管理が容易になる。そのうえ、サイズに応じて適合する部品を選択する必要がないため、作業性の向上を図ることができる。その結果、トータルコストを大幅に削減できる。
【0065】
また、前記圧力投入時間をユーザが設定した炊飯メニュー、または、実際の炊飯容量に応じて調節するしているため、さらに、この圧力投入時間の設定とは別に、炊飯メニューまたは実際の炊飯容量に応じて前記圧力投入手段を動作させる温度を設定しているため、常に安定したおいしい炊き上がり状態を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧力炊飯器を示す断面図である。
【図2】圧力炊飯器に搭載する操作パネルを示す正面図である。
【図3】サイズ毎に圧力投入時間を設定する状態を示すグラフである。
【図4】炊飯メニュー毎に圧力投入時間を調節する状態を示すグラフである。
【図5】実際の炊飯容量毎に圧力投入時間を調節する状態を示すグラフである。
【図6】本発明の圧力炊飯器に実装したマイコンによる制御を示すフローチャートである。
【図7】図6の続きのフローチャートである。
【図8】図6の圧力投入時間第1調節処理を示すフローチャートである。
【図9】図7の圧力投入時間第2調節処理を示すフローチャートである。
【図10】図7の圧力投入開始判別処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…圧力調理器、2…炊飯鍋、3…炊飯器本体、6…誘導加熱コイル、7…炊飯鍋用温度センサ、8…蓋体、22…調圧器、23…加圧機構、28…調圧ボール、30…ソレノイド、32…制御基板、33…マイコン、37〜43…スイッチの操作部。
Claims (5)
- 炊飯鍋と、該炊飯鍋を収容する炊飯器本体と、前記炊飯鍋を加熱する加熱手段と、前記炊飯器本体に開閉可能に取り付けられ前記炊飯鍋の開口部を閉塞する蓋体と、該蓋体に設けた圧力投入手段とを備えた圧力炊飯器において、
炊飯可能な最大容量に応じて前記圧力投入手段による圧力投入時間を設定する圧力投入時間設定手段を設けたことを特徴とする圧力炊飯器。 - 前記炊飯器本体または蓋体は炊飯メニューを選択するスイッチを備え、ユーザが設定した炊飯メニューに応じて前記圧力投入時間を調節するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の圧力炊飯器。
- 実際の炊飯容量を検出する炊飯容量検出手段を設け、検出した炊飯容量に応じて圧力投入時間を調節するようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧力炊飯器。
- 前記炊飯鍋が所定温度に上昇すると前記圧力投入手段を動作させるようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の圧力炊飯器。
- 前記圧力投入手段を動作させる温度を、炊飯メニューまたは実際の炊飯容量に応じて設定するようにしたことを特徴とする請求項4に記載の圧力炊飯器。
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