JP3584461B2 - ブレーキ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両に用いられるブレーキ装置に関し、特に、ブレーキペダルの踏込み状態を検出するための手段に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用ブレーキ装置としては、ブレーキペダルに対する踏力をマスタシリンダにより油圧等の流体圧に変換し、その流体圧を各車輪ブレーキにおけるホイールシリンダに伝えて制動力を発生させるものが一般的である。
【0003】
また、ABS(Anti−lock Braking System)を初めとして、VSC(Vehicle Stability Control)システムやブレーキアシストシステム等のブレーキ制御システムを採用するブレーキ装置もある。ここで、ABSとは制動時の操縦性・安定性を主目的としたシステム、VSCシステムとは強いアンダステア又は強いオーバステアを緩和する車両の旋回方向の安定性を主目的としたシステム、ブレーキアシストシステムとは緊急制動時等に踏力を補助し確実な制動力を発揮させるためのシステムをいう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述したようなブレーキ制御システムを採用したブレーキ装置においては、ブレーキペダルが踏み込まれたか否かを検出するための検出手段が必要となる。また、VSCシステムやブレーキアシストシステムでは、ブレーキペダルが急激に踏まれた場合等を判断してブレーキ装置における流体圧回路のソレノイドバルブを制御するため、運転者の制動操作の意思を判定する必要がある。
【0005】
ブレーキペダルの踏込みの有無を検出する手段としては、従来、ストップランプスイッチが流用されていた。しかし、従来一般のストップランプスイッチは、ブレーキペダルの動きに応じてオン・オフされるリミットスイッチであるため、ストップランプスイッチのみでは、運転者が意識的に制動操作を行ったか否かを判定することはできなかった。
【0006】
運転者の制動操作の意思については、従来、マスタシリンダ圧力センサを用いてマスタシリンダ内の圧力変動からブレーキペダルに対する踏力(踏込み量)及び踏込み速度を求め、間接的に検出することとしていたが、ブレーキ制御システムの精度をより向上させるために、運転者の意思をブレーキペダルの動きや踏力等から直接的に検出できる手段が求められている。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、ブレーキペダルに対する踏込み状態を検出することのできるブレーキ装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明によるブレーキ装置は、車体に対して回動可能に支持されたブレーキペダルと、ブレーキペダルに加えられた踏力を流体圧に変換するマスタシリンダと、ブレーキペダルに取り付けられ、ブレーキペダルに加えられた踏力をマスタシリンダに伝える入力ロッドと、マスタシリンダで発生された流体圧により作動されるホイールシリンダを有する、車輪を制動するためのブレーキと、踏力を検出するための踏力検出装置とを具備している。踏力検出装置は、所定の第1踏力以上の踏力でブレーキペダルが踏まれた場合を検出する第1の検出手段と、前記第1踏力よりも大きな所定の第2踏力以上の踏力でブレーキペダルが踏まれた場合を検出する第2の検出手段とを有している。
【0009】
また、踏力検出装置は、第1の検出手段及び第2の検出手段を構成する2接点式スイッチであって、ブレーキペダルの回動中心と入力ロッドのブレーキペダルに対する取付位置との間にて、ブレーキベダルに取り付けられた前記2接点式スイッチと、ブレーキペダルに取り付けられ、ブレーキペダルに加えられた踏力の大きさに応じた量で変位する変位部材とを備えて、変位部材により2接点式スイッチの可動ロッドが動作されるようになっていることを特徴としている。
【0010】
かかる構成においては、1つの踏力検出装置で大小2つの踏力を検出することができ、その検出結果から種々の踏込み状態を精度よく検出することが可能となる。
【0011】
また、入力ロッドが、ブレーキペダルに対して踏込み方向において一定範囲で相対移動可能に取り付けられている場合、変位部材は、一部がブレーキペダルに回動可能に取り付けられると共に、他の部分が入力ロッドに回動可能に取り付けられた回動レバーからなることとし、更に、回動レバーに、入力ロッドからブレーキペダルを踏込み方向とは反対方向に離間させるよう、弾性的な付勢力を作用させることが好ましい。この場合、ブレーキペダルの踏み始めにおいて回動レバーが動作し始めた際に、2接点式スイッチを第1の検出手段として第1踏力を検出するように用いることができる。また、ブレーキペダルの踏み始めには入力ロッドは移動しないが、やがて踏力が大きくなり所定値以上となり、入力ロッドが動作し始める。2接点式スイッチは、この入力ロッドの動作開始の際に第2の検出手段として第2踏力を検出するよう用いることができる。
【0012】
一方、例えば、第1の検出手段がプレーキペダルに対する第1踏力での踏込みを検出してから、第2の検出手段が第2踏力での踏込みを検出するまでの時間を検出し、前記時間が所定値よりも短い場合には、緊急制動の意思が運転者にあると判断することができる。請求項4に係る発明は、これを利用したものであり、緊急制動の意思ありと判断した場合には、ホイールシリンダに供給する流体圧を増加させ制動力を補助する手段を設けることを特徴としている。
【0013】
更に、請求項5に記載の本発明によるブレーキ装置は、マスタシリンダで発生された流体圧を検出する圧力検出手段と、前記第1の検出手段がブレーキペダルに対する第1踏力での踏込みを検出した時点における流体圧を圧力検出手段により検出すると共に、前記第2の検出手段がブレーキペダルに対する第2踏力での踏込みを検出した時点における流体圧を圧力検出手段により検出し、これらの流体圧検出値がそれぞれの所定の許容範囲内にあるか否かを判断し、前記流体圧検出値の少なくとも一方が許容範囲外であると判断された場合に異常があると判定する手段とを更に備えることを特徴としている。
【0014】
この構成においては、1回の踏込み動作において正常か異常かの検出の機会が第1踏力検出時点及び第2踏力検出時点の2度となり、異常検出の精度が向上する。
【0015】
また、請求項6に記載の通り、本発明によるブレーキ装置は、マスタシリンダで発生された流体圧を検出する圧力検出手段と、前記第2の検出手段が第2踏力以上への踏込み及び第2踏力以下へとの踏み戻しを検出した際のそれぞれの流体圧を圧力検出手段により検出し、これらの流体圧検出値から踏力検出装置が正常であるときの基準流体圧を決定する手段と、圧力検出手段により検出された流体圧と基準流体圧とを比較して踏力検出装置の異常を検出する手段とを更に備えたものとしても好適である。
【0016】
この構成では、第2の検出手段が第2踏力以上への踏込み及び第2踏力以下へとの踏み戻しを検出した際のそれぞれの流体圧を圧力検出手段により検出するため、ヒステリシス等による誤判定を防止することができる。また、踏込み及び踏み戻しの度に基準流体圧が更新されるため、異常検出の精度が向上する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面と共に本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態であるブレーキ装置を示している。このブレーキ装置は、ブレーキペダル10から入力された踏力をブースタ12により助勢した後、マスタシリンダ14において油圧(流体圧)に変換して各車輪ブレーキのホイールシリンダ16R,16L,18R,18Lに供給し制動を行うものである。
【0019】
ブレーキペダル10には、大小2つの踏力を検出し、これらの踏力に対応する踏力信号を出力する踏力検出装置20が取り付けられている。この踏力検出装置20については後述する。
【0020】
マスタシリンダ14と各ホイールシリンダ16R,16L,18R,18Lとの間には各種の2ポジション型ソレノイドバルブ22〜28が配置されており、これらのソレノイドバルブ22〜28はコントロールユニット(図2参照)からの制御信号に従ってポジションの切替えが行われるようになっている。
【0021】
より詳細に述べるならば、図1のブレーキ装置は前後2系統式であり、タンデム型のマスタシリンダ14の一方の加圧室(図示せず)には左右前輪のそれぞれのブレーキを作動させるホイールシリンダ16R,16Lが接続されている。また、他方の加圧室(図示せず)には左右後輪のそれぞれのブレーキを作動させるホイールシリンダ18R,18Lが接続されている。なお、前輪ブレーキ系統と後輪ブレーキ系統とは構成が共通するため、以下、前輪ブレーキ系統のみを説明し、後輪ブレーキ系統については同一又は相当部分に同一符号を付し、その説明を省略する。
【0022】
マスタシリンダ14の加圧室からは、常開型の2ポジション型ソレノイドバルブ22を有する主流路30が延びている。この主流路30は2本の分岐流路32R,32Lに分岐され、それぞれ左前輪のホイールシリンダ16Rと右前輪のホイールシリンダ16Lとに接続されている。各分岐流路32R,32Lにはそれぞれ常開の開閉弁24R,24Lが介設されている。ソレノイドバルブ22と開閉弁24R,24Lとの間の主流路30には、ポンプ34を有するポンプ流路36が接続され、このポンプ流路36の他端側には作動油を保持するリザーバ38が接続されている。また、各分岐流路32R,32Lには、開閉弁24R,24Lと前輪ホイールブレーキ16R,16Lとの間で、リザーバ38に通ずるリザーバ流路40R,40Lが接続されている。このリザーバ流路40R,40Lには常閉型の開閉弁26R,26Lが介設されている。更に、マスタシリンダ14とソレノイドバルブ22との間の主流路30から、リザーバ38とポンプ34との間のポンプ流路36には、常閉型の開閉弁28を有する補給流路42が延びている。
【0023】
なお、主流路30中のソレノイドバルブ22は、開ポジジョンから切り替えられると、リリーフ弁44が機能するようになる。このリリーフ弁44は、ポンプ34の吐出圧がマスタシリンダ14の油圧より固定差圧以上、高くなろうとすると開いて、ポンプ34からマスタシリンダ14に向かう作動油の流れを許容し、ホイールシリンダ16R,16Lとマスタシリンダ14との差圧が一定となるように制御するものである。また、図1において、符号46,48はそれぞれ逆止弁であり、逆止弁46は、マスタシリンダ14からホイールシリンダ16R,16Lへの作動油の流れを確保するためのもの、逆止弁48は、マスタシリンダ14からの作動油が高圧のままリザーバ38に送られるのを防止するためのものである。更に、符号50はダンパであり、ポンプ34の脈動を軽減するためのものである。
【0024】
このようなブレーキ装置におけるソレノイドバルブ等を制御するコントロールユニットは、CPU、ROM及びRAMを含むマイクロコンピュータを主体として構成されている。図2に示すように、コントロールユニット52の出力部には、適当なドライバ54〜62を介して、ソレノイドバルブ22〜28、前記ポンプ34を駆動するポンプモータ64及びストップランプ66が接続されている。また、コントロールユニット52の入力部には、各車輪の車輪速度を検出し、その速度に対応する車輪速度信号を出力する車輪速度センサ68、マスタシリンダ14の出力部(主流路30)における圧力(以下「マスタシリンダ圧力」という)を検出し、そのマスタシリンダ圧力に対応する圧力信号を出力するマスタシリンダ圧力センサ70、及び、踏力検出装置20等が接続されている。
【0025】
コントロールユニット52は、入力される各種信号情報に基づいて車両の走行状態や制動状態を検知し、その状態に応じてソレノイドバルブ22〜28のポジションを切り替えたりポンプモータ64の回転数を調整したりしてアンチロック制御や、VSC制御、ブレーキアシスト制御等を行うようになっている。
【0026】
かかるコントロールユニット52の入力部に接続されている踏力検出装置20は、前述したように、比較的小さな踏力(第1踏力)と、この第1踏力よりも大きな踏力(第2踏力)とを検出し、それぞれに対応する検出信号を発するよう構成されている。
【0027】
踏力検出装置20は、図3に明示するように、ブレーキペダル10に設けられている。ブレーキペダル10は、上端部がピン72により車体に回動可能に支持されたペダルレバー74と、このペダルレバー74の下端に取り付けられ足で押動操作されるペダル本体76とから構成されている。
【0028】
ペダルレバー74の中間部の適宜位置にはブースタ12の入力ロッド78の先端が連結されている。図4にも明示するように、入力ロッド78の先端にはクレビス80が固着されており、このクレビス80の互いに対向する1対の部分80a,80b間にペダルレバー74を配置し、部分80a,80b及びペダルレバー74にピン82を貫通させることでブレーキペダル10及び入力ロッド78とが互い連結される。ピン82が通されるペダルレバー74の貫通孔84は入力ロッド78の軸線にほぼ平行に延びる長穴となっており、より具体的には、ブレーキペダル10のピン72を中心とした円弧状の長穴となっている。従って、図3及び図4において符号Cで示す「クリアランス(間隙)」がブレーキペダル10とブースタ12の入力ロッド78との間に形成されている。なお、ブレーキペダル10は、図示しないリターンスプリングによって、非操作位置(図3及び図4の位置)に常時付勢されているため、非操作位置ではクリアランスCはブースタ12とは反対(踏込み方向とは反対)の側に形成される。
【0029】
このようなブレーキペダル10に設けられた踏力検出装置20は、クレビス80の一方の部分80aとペダルレバー74の一方の側面86との間に配置された回動レバー(変位部材)88を備えている。この回動レバー88はペダルレバー74の長手方向にほぼ沿って延び、その中間部に設けられた貫通孔90にクレビス80のピン82が嵌挿されている。貫通孔90の内径はピン82の外径とほぼ等しくされているため、回動レバー88はブースタ12の入力ロッド78に対して回動可能となっていると共に、入力ロッド78の軸方向の移動に伴って一体的に動作される。
【0030】
また、回動レバー88の下端部はペダルレバー74にピン92により回動可能に支持されている。従って、前記クリアランスCの範囲で入力ロッド78をブレーキペダル10に対して相対的に動作させた場合、入力ロッド78の動きに伴って回動レバー88もブレーキペダル74に対しピン92を中心として回動する。
【0031】
回動レバー88の上端部には、ペダルレバー74の側面86に対してほぼ直角の方向に突出する係合部片94が設けられている。回動レバー88の係合部片94の、ブースタ12とは反対側の面(ペダル踏込み方向とは反対側の面)に対向して、ばね取付部片96がペダルレバー74の側面上に突設されている。回動レバー88の係合部片96とペダルレバー74のばね取付部片96との間には圧縮ばね98が配置されており、これにより回動レバー88がブースタ12の方向に常時弾性的に付勢され、且つまた、入力ロッド78とブレーキレバー10とが互いに離間するよう作用する。
【0032】
ペダルレバー74の側面86には、ばね取付部片96の上方の位置に踏力スイッチ100が固定されている。この踏力スイッチ100は、図5及び図6に明示するように、ペダルレバー74に固定されるスイッチ本体102と、このスイッチ本体102に対して移動可能に取り付けられた可動ロッド104とから構成されている。可動ロッド104は、図示しないリターンスプリングによってスイッチ本体102から突出する方向に付勢されている。また、可動ロッド104は、ブースタ12の入力ロッド78とほぼ平行に延び且つその先端が回動レバー88の係合部片94に常に接するよう位置決めされている。従って、回動レバー88が矢印A方向に回動された場合、可動ロッド104はスイッチ本体102内に押し込まれる。
【0033】
踏力スイッチ100は2接点式のスイッチであり、可動ロッド104に設けられた可動接点106とスイッチ本体102に設けられた固定接点108,110,112との関係は図5及び図6に概略的に示す通りである。すなわち、可動ロッド104が初期位置にある場合には、可動接点106は固定接点108〜112のいずれにも接しておらず(図6の(a))、可動ロッド104が初期位置から僅かに押されて第1位置となった場合には、可動接点106は固定接点108と固定接点110とを接続する(図6の(b))。そして可動ロッド106が第1位置から第2位置へと押し込まれた場合、可動接点106は固定接点108と固定接点110の接続を維持したまま、更に固定接点110と固定接点112とを接続する(図6の(c))。
【0034】
踏力スイッチ100の状態を検出するための電気回路114としては、図6の(a)及び図6の(a)の回路を等価回路で表した図7に示すようなものが考えられる。このような検出用電気回路114において、点116と点118との間に電圧VBを印加すると、点116と点120との間の電圧VSは、可動ロッド104が初期位置にあるとき「ゼロ」、第1位置にあるとき「{r0/(r0+r1)}×VB=V1」、第2位置にあるとき「{(r0×r1+r0×r2)/(r0×r1+r0×r2+r1×r2)}×VB=V2」となる。よって、この電圧計測結果を信号としてコントロールユニット52に送ることで、踏力スイッチ100の状態、ひいては以下で述べるように踏力を判断することが可能となる。
【0035】
このような構成の踏力検出装置20の作用は次の通りである。まず、回動レバー88とブレーキペダル10とが一体的に動作する場合、ペダル本体76に対する踏力をFP、ブレーキペダル固有の倍力比をRPとすれば、ブースタ12の入力ロッド78に作用する力FBは、
FB=FP×RP ・・・ (1)
で表される。なお、ブレーキペダル10にはリターンスプリングが設けられているため、実際にはFBの値は上記(1)式の値よりも小さいが、説明のため、ここではリターンスプリングのばね力は無視することとする。
【0036】
また、クレビス80のピン82から回動レバー88には上記FBと同じ大きさの反力FB′が作用する。この反力FB′が大きくなると、圧縮ばね98のばね力FSに抗して回動レバー88をブレーキペダル10に対して回動させることになる。すなわち、ピン92の中心からクレビス80のピン82の中心までの距離をR1、ピン92の中心から圧縮ばね98の作用点までの距離をR2とした場合、
FB′>FS×(R2/R1) ・・・ (2)
FB>FP×RP×(R2/R1) ・・・ (3)
が成り立つと、回動レバー88が回動する。なお、(2)式及び(3)式においては、簡単のため、踏力スイッチ100に設けられているリターンスプリングのばね力は無視している。
【0037】
このような関係において、ブレーキペダル10のペダル本体76を踏むと、ペダルレバー74がピン72を中心にして矢印Bの方向に回動する。この時、踏込みの初期段階では、踏力FPが小さく、上記(3)式を満たさないため、回動レバー88及びクレビス80のピン82がブレーキペダル10と一体的に移動し、回動レバー88がペダルレバー74に対して回動することはない。従って、ブレーキペダル10の動きは回動レバー88、ピン82及びクレビス80を介してブースタ12の入力ロッド78に伝えられ、入力ロッド78がブースタ12へと押される。
【0038】
その後、ブレーキペダル10を更に強く踏み込んだ場合、入力ロッド78からの反力FB′が大きくなり、上記(2)式又は(3)式を満たした時点から、回動レバー88がブレーキペダル10に対してピン92を中心にして矢印A方向に回動し始める。これにより、踏力スイッチ100の可動ロッド104が回動レバー88の係合部片94により押され、スイッチ本体102内へと移動する。この間、ブレーキペダル10に対する踏力FPを一定に維持した場合、踏力FPと圧縮ばね98のばね力とが釣り合い、踏力FPに応じた位置で回動レバー88は静止状態となる。
【0039】
クレビス80のピン82はペダルレバー74の長穴84の範囲内に限り移動できるので、ブレーキペダル10に対する踏力FPを増していくにつれて、最終的にはクリアランスCが消滅し、再度、入力ロッド78とブレーキペダル10、そして回動レバー88は一体的に動作することになる。
【0040】
ここで、本実施形態では、回動レバー88がプレーキペダル10に対して移動し始めた直後に踏力スイッチ100の可動ロッド104が第1位置となるよう、踏力スイッチ100の位置等が調整されている。また、回動レバー88の移動が進んでクリアランスCが消滅する直前或いは消滅した時点で、可動ロッド104が第2位置となるよう、調整されている。踏力スイッチ100の可動ロッド104が第1位置となる状態における踏力を第1踏力FP1とし、第2位置となる状態における踏力を第2踏力FP2とした場合、踏力と踏力スイッチ100に接続された検出用電気回路114の出力電圧VSとの関係は図8に示す通りである。また、本実施形態では、第1踏力FP1は、従来であればストップランプスイッチがオンとなる程度の力となるよう調整されている。また、第2踏力FP2は、ブレーキペダル10の踏込みに応じてマスタシリンダ出力部の圧力が上昇し始めてからの適当な時点における踏力に調整されている。これらの調整は、圧縮ばね98のばね力、クリアランスCの大きさ、R1/R2、踏力スイッチ100の取付位置等を調整することで行うことができる。
【0041】
このような構成の踏力検出装置20においては、検出用電気回路114の出力電圧VSが踏力に対応する信号としてコントロールユニット52に入力されるようになっている。コントロールユニット52では、踏力検出装置20からの信号に基づいて、ブレーキペダル10の種々の踏込み状態を判断することが可能となっている。図9は、ペダル踏込み状態を判断する処理の一例を示すフローチャートである。
【0042】
まず、踏力検出装置20からの信号により、出力電圧VSの値が「ゼロ」であるか「V1」であるかの判断を行う(ステップ200)。「ゼロ」である場合、ブレーキペダル10は踏み込まれていない状態、或いは極く軽く足をペダル本体に載せている状態であると判断する(ステップ202)。すなわち制動操作の意思はないものと判断し、スタートに戻る。
【0043】
一方、出力電圧VSが「V1」となっている場合、ステップ204に移行し計時処理のためのカウントを開始する。そして、踏力スイッチ100の可動ロッド104が第1位置にあり、図8からも明らかな通り、第1踏力FP1以上の力でブレーキペダル10が踏まれていると判断する(ステップ206)。この際、コントロールユニット52は、ストップランプ66のドライバ62に点灯制御信号を発し、ストップランプ66を点灯する(ステップ208)。
【0044】
次いで、ステップ210において、出力電圧VSが「ゼロ」に戻ったか「V2」となったかを判断する。「ゼロ」となった場合は、ブレーキペダル10の踏込みが停止され、制動操作の意思が無くなったと判断し(ステップ212)、この処理ルーチンのスタートに戻る。「V2」となった場合には、踏力スイッチ100の可動ロッド104が第1位置から第2位置に移動し、制動操作の意思をもってブレーキペダルが第2踏力FP2以上の踏力で踏み込まれたと判断する(ステップ214)。そして、ステップ216に移行して計時処理のカウントを停止し、踏力が第1踏力FP1から第2踏力FP2に達するまでの踏力変化時間ΔTを求める(ステップ218)。
【0045】
次に、ステップ218で求めた踏力変化時間ΔTが予め定めた時間αよりも短いか否かを判断し(ステップ220)、短い場合には緊急制動操作(ステップ222)、所定時間α以上である場合には通常の制動操作であるとする(ステップ224)。
【0046】
この後、出力電圧VSが「ゼロ」になった場合、制動操作が解除されたと判断し、ストップランプを消灯し、この処理ルーチンのスタートに戻る(ステップ226,228,230)。
【0047】
このように、コントロールユニット52ではブレーキペダル10の踏力や踏込み状態、運転者の制動意思を把握することができる。従って、その結果に基づきアンチロック制御やブレーキアシスト制御、VSC制御を行うことが可能となる。なお、VSCシステムのようにブースタ12に加圧式、すなわち自動的にブースタ12の倍力機能を作動させて制動作用を行うことができる形式のブースタを採用したブレーキ装置では、運転者がフレーキペダル10を踏んでいなくてもVSC等の制御開始時に入力ロッド78がブースタ12に引き込まれる動作が生じる。この場合、上記のように踏力FPは生じていないため、当然、力FB及びFB′は生じることはない。従って、可動ロッド104がスイッチ本体102内に移動することはなく、運転者がブレーキペダル10を踏んでいないことを検出することができる。また、その後、運転者がブレーキペダル10を踏む動作を行った場合は、運転者による踏力が上昇するに従って、力FBが上昇し、その反力FB′が所定の値を越えた場合に可動ロッド104が移動し、運転者によるブレーキペダル10の踏込みを検出することができる。このように、本実施形態のブレーキ装置は、運転者による踏込みの有無を判断して的確な制御を行うことができ、有効である。
【0048】
なお、上記のブレーキペダル踏込み状態の判断処理ルーチン(図9)によれば、それぞれ異なる踏力でオンオフする2つの踏力スイッチを設けて、その出力信号により同様な処理を行うことも可能であると考えられる。しかしながら、2つの踏力スイッチを設けた場合、機構が冗長となり大型化すると共に、両スイッチの初期設定の調整が困難となる。この点、2接点式の踏力スイッチ100を用いた場合、スイッチ間の調整が不要となり、且つまた、踏力検出装置20のコンパクト化にも寄与するので好ましい。
【0049】
また、ブレーキアシスト制御を行う場合には、ブレーキアシストを開始する踏力よりも低い値に第2踏力FP2を設定することが好ましい。これにより、緊急制動の意思を確認した後にブレーキアシスト制御を実行することが可能となる。この場合、コントロールユニット52は、ブレーキ装置のソレノイドバルブ22のポジションを開状態から切り替えると共に、ポンプ34を作動させ、ポンプ34で発生させた油圧をホイールシリンダ16,18に導くことで高い制動力を発生させる。
【0050】
ここで、図10は踏力とマスタシリンダ圧力との関係を示すグラフであり、ブースタ正常時の静特性を実線で、ブースタ異常により倍力機能が働かなくなった場合(例えばエンジンの吸気圧を助勢力に利用した負圧式のブースタ12において何らかの原因で吸気圧が生じなかった場合)を一点鎖線で示したものである。この図から明らかなように、ブースタ正常時は、ブレーキペダル10に対する踏力を増していくと、ブレーキペダル10の遊び領域においてマスタシリンダ圧力が緩やかに増加した後、ある踏力範囲でマスタシリンダ圧力が急峻に立ち上がり、その後、踏力の増加に正規に対応してマスタシリンダ圧力も増加する。一方、ブースタ異常が生じた場合、正常時のマスタシリンダ圧力を下回ることになる。
【0051】
マスタシリンダ圧力は踏力に対してこのような挙動を示すことから、上記構成によるブレーキ装置では、ブースタ異常を精度よく検出することが可能となる。すなわち、所定の大きさの第2踏力FP2でブレーキペダル10が踏まれたことを踏力検出装置20からの信号で検出したならば、その時点でのマスタシリンダ圧力をマスタシリンダ圧力センサ70からの信号により検出し、その圧力値と、前もってコントロールユニット52のROMに記憶したブースタ正常時の当該第2踏力FP2における圧力値とを比較し、その差圧が一定の許容範囲内にあれば、ブースタ12は正常であると判断でき、逆に許容範囲外であれば、ブースタ異常であると判断することができる。
【0052】
ブースタ異常の検出は、従来一般に、エンジンの吸気圧を検出する手段等により行っているが、上記方法によれば、ブースタ12の倍力機能が実際に失われたことを、より精度よく検出することができる。
【0053】
ブースタ異常を検出した場合、ポンプ34を作動させてホイールシリンダ16,18に対する油圧を高める。具体的には、ブースタ異常の検出後、マスタシリンダ圧力が所定値に達したならば、ポンプで圧力PSP分の助勢を行ってマスタシリンダ圧力が所望の圧力Pとなるように制御を行う(図10の二点鎖線を参照)。
【0054】
前記の方法では、第2踏力FP2でブレーキペダル10が踏まれた時点でのマスタシリンダ圧力からブースタ異常を検出しているが、踏力スイッチ100は2接点式であり、大小2つの踏力を検出できることに鑑みて、ブースタ異常を検出するには、第2踏力FP2をブレーキペダル10に加えた時のマスタシリンダ圧力のみならず、第1踏力FP1を加えた時のマスタシリンダ圧力をも検出することとしてもよい。すなわち、第1踏力FP1と第2踏力FP2のそれぞれでブースタ異常を検出することができる。この場合、二度判定により異常検出の精度が更に向上する。
【0055】
かかる場合、第1踏力FP1と第2踏力FP2の大きさは適宜定めることができるが、例えば、ブースタ正常時の静特性において、図10に示すような関係で第1踏力FP1と第2踏力FP2を設定することが好ましい。図10に示す第1踏力FP1は、前記のポンプ助勢圧力に相当するマスタシリンダ圧力が発生する時の踏力値であり、ブレーキペダル10を踏み込んでいきマスタシリンダ圧力が立ち上がった直後における値である。別言するならば、この踏力値は、制動の意思をもってブレーキペダル10を踏み込んだことを常に検出することのできる最小値である。一方、図10に示す第2踏力FP2は、マスタシリンダ圧力が前記の所望の圧力Pとなる時の踏力値よりも十分に大きな値である。
【0056】
このように第1踏力FP1と第2踏力FP2の大きさを定めた場合も、各踏力において上記と同様な方法でブースタ異常を検出する。従って、制動操作の意思をもってブレーキペダル10を踏み込んでいくと、まず、コントロールユニット52は第1踏力FP1でブレーキペダル10が踏まれたことを踏力検出装置20からの信号で認識し、その時点でのマスタシリンダ圧力とROMに記憶された正常時の圧力値とを比較し、正常か否かを判断する。更に、ブレーキペダル10を踏み込み、その踏力が第2踏力FP2となったところで、再度、コントロールユニット52はブースタ12が正常か否かを判断する。
【0057】
この実施形態では、第1踏力FP1を小さく設定しているため、ブースタ異常検出の機会が増加する。すなわち、実質的に制動操作のたびにブースタ異常検出を行うことができる。また、ブレーキペダル10を踏み込んでいく際の比較的早い時点で異常を検出することができるため、迅速な対応が可能となる。なお、第1踏力FP1を小さく設定することは、踏力スイッチ100のスイッチング頻度が高まるので、踏力スイッチ100における機械的な固着(スティッキング)を抑制することができ、且つまた、スイッチング時に行うことが可能な電気的な故障検出の機会も増える。
【0058】
更に、第2踏力FP2においてもブースタ異常の検出を行うため、二度判定によって異常検出の精度がより一層向上することになる。特に、ブースタ異常時には所望の圧力P以上にマスタシリンダ圧力が上昇することはないので、上述の如く踏力値を第2踏力FP2として設定した場合には、より確実にブースタ異常を検出することができる。
【0059】
なお、第1踏力FP1ではブースタ正常と判定されたにも拘わらず、第2踏力FP2ではブースタ異常と判定された場合、或いはその逆の場合、ブレーキ装置に何らかの異常があると判定するようにしてもよい。
【0060】
また、上記構成によるブレーキ装置では、マスタシリンダ油圧センサ70のゼロ点補正の簡便化を図ることが可能となる。図10を参照して前述したように、ブレーキペダルの遊びの領域を越えた後、マスタシリンダ圧力が立ち上がることが分っている。そこで、踏力検出装置20で検出される第1踏力FP1を、マスタシリンダ圧力が立ち上がる踏力以下に定めておき、第1踏力FP1が加えられていない時におけるマスタシリンダ油圧センサ70の出力を「ゼロ」と判定すれば、マスタシリンダ油圧センサ70のゼロ点補正が簡便化される。
【0061】
更に、上記検出用電気回路114(図7参照)では、ショート等の異常時、出力電圧VSは「ゼロ」、「V1」、「V2」以外の値をとるため、踏力スイッチ100又は検出用電気回路114の異常を迅速に検知する事が可能となる。また、上記のゼロ点補正が完了した後、出力電圧VSが「ゼロ」を示した時、正常時にはマスタシリンダ圧力センサ70からの出力も「ゼロ」となるが、その出力が所定の圧力値(絶対値)以上であることを示した場合には、断線等の異常が生じたと判定することができる。
【0062】
踏力検出装置20の異常を検出する手段としては、第2踏力FP2を検出した時点におけるマスタシリンダ圧力に基づいて行う手段もある。かかる手段は、図1〜図7を参照して上述した構成において、コントロールユニット52にて踏力検出装置20及びマスタシリンダ圧力センサ70からの信号を処理することで実行することができる。その具体的な処理手順の一例を示したものが図11のフローチャートである。
【0063】
図11に示す実施形態は、踏力スイッチ100における固定接点110と固定接点112とを可動接点106によりオン・オフする際(図7におけるスイッチ(第2の検出手段)SW2のオン・オフの際)に電気回路114から出力される信号とマスタシリンダ圧力から、踏力検出装置20、特に踏力スイッチ100の異常を検出するものである。
【0064】
図12に示すように、ヒステリシスにより、踏力スイッチ100におけるスイッチSW2がオンからオフに切り替わる時(以下「オン→オフ時」という)とオフからオンに切り替わる時(以下「オフ→オン時」という)との間にタイミングのずれが生じ、そのために、オン→オフ時のマスタシリンダ圧力aとオフ→オン時のマスタシリンダ圧力aとが相違する。このようにヒステリシスが原因となってスイッチSW2の切替え時におけるマスタシリンダ圧力は一定とはならないが、踏力検出装置20が正常であれば、スイッチSW2がオンの時のマスタシリンダ圧力は圧力aよりも大きくなり、オフの時は圧力aよりも小さくなるはずである。しかしながら、現実には、正常であってもスイッチ切替え時の圧力a,aは変動する値であり、図12の圧力a,aを一定値として扱うことはできない。本実施形態はかかる事情を考慮したものである。
【0065】
イグニッションスイッチが投入されて図11の踏力スイッチ異常検出処理ルーチンに入ると、コントロールユニット52は、検出用電気回路114の出力信号がVからVに変動するか否かに基づいて、踏力スイッチ100のスイッチSW2がオフからオンに切り替わるか否かを検出する(ステップ302)。そして、オフ→オン時には、マスタシリンダ圧力センサ70からの信号により切替り時点におけるマスタシリンダ圧力を検出し、その圧力検出値aをコントロールユニット52内のRAMに記憶する(ステップ304)。
【0066】
次に、コントロールユニット52は、ブレーキペダル10に対する踏力が弱められて踏力スイッチ100のスイッチSW2がオンからオフに切り替わるか否かを、検出用電気回路114の出力信号から検出する(ステップ306)。そして、オン→オフ時には、前述と同様にして、切替り時のマスタシリンダ圧力を検出し、その圧力検出値aをRAMに記憶する(ステップ308)。
【0067】
この後、ステップ310において圧力検出値a,aの記憶処理が行われたことを確認した後、ステップ312において、先に記憶された圧力検出値a,aに基づいて踏力検出装置20の異常判定のための基準となる圧力(判定基準値)b,bを決定し、RAMに記憶する。判定基準値bは圧力検出値aよりも適当な所定値だけ小さい圧力値とし、判断基準値bは圧力検出値aよりも適当な所定値だけ大きい圧力値とする。
【0068】
判定基準値b,bの記憶処理の後、一定時間経過したならば、スイッチSW2の状態を検出用電気回路114の出力信号から検出する(ステップ314)。そして、スイッチSW2がオンであるならば、その時のマスタシリンダ圧力の検出値Pと判定基準値bとを比較し(ステップ316)、圧力検出値Pが判定基準値b以上である場合には、踏力検出装置20は正常であるとして処理を終了し、圧力検出値Pが判定基準値bよりも小さい場合は異常であると判定する(ステップ318)。また、スイッチSW2がオフならば、圧力検出値Pと判定基準値bとを比較し(ステップ320)、圧力検出値Pが判定基準値b以下である場合には、踏力検出装置20は正常であるとし、圧力検出値Pが判定基準値bよりも大きい場合は異常であると判定する(ステップ318)。異常であると判定した場合は、コントロールユニット52に接続された警告ランプ(図示せず)を点灯する等の異常警告処理を行い(ステップ322)、異常検出処理ルーチンを終了する。
【0069】
上記判定方法は、図12からも理解されるように、正常時、スイッチSW2がオンである場合のマスタシリンダ圧力Pは判定基準値bを下回ることはあり得ず、逆にスイッチSW2がオフである場合のマスタシリンダ圧力Pは判定基準値bを越えることはあり得ない、という知見に基づいている。また、判定基準値b,bは最新のマスタシリンダ圧力の検出値a,aから適当なマージンをもって設定されたものであるため、上記ステップでの判定結果は極めて信頼性が高く、また特別なセンサを追加する必要もないので、安価に異常検出手段を提供することができる。
【0070】
なお、異常検出処理ルーチンに入ってから踏力が第2踏力FP2に達せず、スイッチSW2がオンとならなかった場合は、ステップ302,306,310を経てルーチンを抜ける。
【0071】
図11のフローは、踏力スイッチ100がオン・オフするようなブレーキペダル10の踏込みがあった場合に踏力スイッチ100の正常異常を検出するものであるが、車両始動後一度も踏力スイッチが作動していないようなときは、予めROMに記憶されている圧力値a,a(若しくは判定基準値b,b)を用いてもよいし、前回の走行時に検出した判定基準値b,bを記憶して用いてもよい。また、早期異常検出のためには、例えば車両始動後5ms毎に図11のフローを用いて踏力スイッチの異常の有無を常時検出することが望ましいが、これに限らず、ブレーキペブルの踏込み或いは踏み戻しがあったとき、すなわち、圧力検出値a又はaが更新されたときのみ正常異常の判定を行ってもよい。この場合には、常に最新の圧力検出値a,aを用いて判断できるため、判断の精度が向上すると共に、常時判断を行っている場合に比べてコントロールユニット52の負担を少なくできるという効果がある。
【0072】
また、異常検出の精度を高めるため、判定基準値b,bを定めるに際しては、圧力検出値a,aとの差を可能な限り小さなものとすることが好ましい。
【0073】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0074】
例えば、上記実施形態では、圧縮ばね98を踏力スイッチ100とは別の位置に設けているが、踏力スイッチ100のリターンスプリング(図示せず)に上記圧縮ばね98の機能を持たせることもできる。
【0075】
また、踏力スイッチ100は常開型であるが、常閉となるような接点配列としてもよく、検出用電気回路114の構成についても上記実施形態のものに限らない。
【0076】
更に、踏力スイッチ100で検出する踏力も上記実施形態で述べた値に限られず、適宜設定可能である。
【0077】
更にまた、上記実施形態では、踏力に応じて移動する回動レバー88により踏力スイッチ100のスイッチングを行うこととしているが、踏力に応じた量で変位する他の型式の変位部材を用いて踏力スイッチやその他のスイッチのスイッチング制御を行うことも可能である。
【0078】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、ブレーキペダルの踏込み操作状態や運転者の制動操作意思を確実に検出することができる。従って、ABS制御やVSC制御、ブレーキアシスト制御をより高精度で実行することが可能となり、車両の操縦性・安定性を更に高めることが可能となる。
【0079】
また、本発明によるブレーキ装置における踏力検出装置は大小2つの踏力を検出することができ、且つまた、ストップランプスイッチとしても用いることができるので、従来のストップランプスイッチに代えて設置することが可能であり、スペース占有率を低下させることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるブレーキ装置の一実施形態を示す系統図である。
【図2】本発明によるプレーキ装置の信号処理系統の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明によるブレーキ装置における踏力検出装置を示す拡大側面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿っての端面図である。
【図5】図3のV−V線に沿っての端面図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿っての断面図であり、(a)は初期位置、(b)は第1踏力での踏込み時、(c)は第2踏力での踏込み時における踏力スイッチの接点状態をそれぞれ示す図である。
【図7】踏力スイッチの状態を検出するための電気回路を示す図である。
【図8】図7の電気回路の出力電圧と踏力との関係を示すグラフである。
【図9】踏力検出装置からの出力に基づきブレーキペダルの踏込み状態を判断する処理を示すフローチャートである。
【図10】踏力とマスタシリンダ圧力との関係を示すグラフである。
【図11】踏力検出装置の異常を検出するための処理を示すフローチャートである。
【図12】正常な踏力スイッチにおけるスイッチSW2のオフ→オン時とオン→オフ時のマスタシリンダ圧力の違いを示すグラフである。
【符号の説明】
10…ブレーキペダル、12…ブースタ、14…マスタシリンダ、16R,16L,18R,18L…ホイールシリンダ、20…踏力検出装置、52…コントロールユニット、88…回動レバー(変位部材)、98…圧縮ばね、100…2接点式の踏力スイッチ(第1の検出手段及び第2の検出手段)、114…検出用電気回路。

Claims (6)

  1. 車体に対して回動可能に支持されたブレーキペダルと、
    前記ブレーキペダルに加えられた踏力を流体圧に変換するマスタシリンダと、
    前記ブレーキペダルに取り付けられ、前記ブレーキペダルに加えられた踏力を前記マスタシリンダに伝える入力ロッドと、
    前記マスタシリンダで発生された流体圧により作動されるホイールシリンダを有する、車輪を制動するためのブレーキと、
    所定の第1踏力以上の踏力で前記ブレーキペダルが踏まれた場合を検出する第1の検出手段と、前記第1踏力よりも大きな所定の第2踏力以上の踏力で前記ブレーキペダルが踏まれた場合を検出する第2の検出手段とを有する踏力検出装置と、
    を具備し、
    前記踏力検出装置が、
    前記第1の検出手段及び前記第2の検出手段を構成する2接点式スイッチであって、前記ブレーキペダルの回動中心と前記入力ロッドの前記ブレーキペダルに対する取付位置との間にて、前記ブレーキベダルに取り付けられた前記2接点式スイッチと、
    前記ブレーキペダルに取り付けられ、前記ブレーキペダルに加えられた踏力の大きさに応じた量で変位する変位部材と
    を備え、
    前記変位部材により前記2接点式スイッチの可動ロッドが動作されるようになっており、
    前記入力ロッドは、前記ブレーキペダルに対して踏込み方向において一定範囲で相対移動可能に取り付けられており、
    前記変位部材は、一部が前記ブレーキペダルに回動可能に取り付けられると共に、他の部分が前記入力ロッドに回動可能に取り付けられた回動レバーからなり、
    当該回動レバーには、前記入力ロッドから前記ブレーキペダルを踏込み方向とは反対方向に離間させるよう、弾性的な付勢力が作用されており、
    前記2接点式スイッチは、前記ブレーキペダルの踏み始めにおいて前記回動レバーが動作し始めた際に前記第1の検出手段として前記第1踏力を検出し、前記ブレーキペダルの前記入力ロッドが動作し始めた際に前記第2の検出手段として前記第2踏力を検出するようになっている
    ことを特徴とする、ブレーキ装置。
  2. 前記入力ロッドの一端が、前記ブレーキペダルに形成された長穴に嵌挿され該長穴に沿って移動可能であるピンを有しており、
    前記回動レバーの前記他の部分が前記ピンに回動可能に取り付けられることで前記入力ロッドに取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のブレーキ装置。
  3. 前記第1の検出手段が前記ブレーキペダルに対する前記第1踏力での踏込みを検出してから、前記第2の検出手段が前記ブレーキペダルに対する前記第2踏力での踏込みを検出するまでの時間を検出し、前記時間が所定値よりも短い場合に前記ホイールシリンダに供給する流体圧を増加させる手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のブレーキ装置。
  4. 前記マスタシリンダで発生された流体圧を検出する圧力検出手段と、
    前記第1の検出手段が前記ブレーキペダルに対する前記第1踏力での踏込みを検出した時点における前記マスタシリンダで発生された流体圧を前記圧力検出手段により検出すると共に、前記第2の検出手段が前記ブレーキペダルに対する前記第2踏力での踏込みを検出した時点における前記マスタシリンダで発生された流体圧を前記圧力検出手段により検出し、前記検出された2つの流体圧がそれぞれの所定の許容範囲内にあるか否かを判断し、前記検出された2つの流体圧の少なくとも一方が許容範囲外であると判断された場合に異常があると判定する手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のブレーキ装置。
  5. 前記マスタシリンダで発生された流体圧を検出する圧力検出手段と、
    前記第2の検出手段が前記第2踏力以上への踏込み及び前記第2踏力以下へとの踏み戻しを検出した際のそれぞれの前記マスタシリンダで発生された流体圧を前記圧力検出手段により検出し、前記検出された流体圧から前記踏力検出装置が正常であるときの基準流体圧を決定する手段と、
    前記圧力検出手段により検出された流体圧と前記基準流体圧とを比較して前記踏力検出装置の異常を検出する手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のブレーキ装置。
  6. 前記第1の検出手段により前記第1踏力以上の踏力で前記ブレーキペダルが踏まれたことを検出した場合にストップランプが点灯されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のブレーキ装置。
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