JP3582783B2 - トリポート型等速ジョイントの筒状ハウジング部材の内周面の高周波移動焼入方法およびその方法に使用する高周波コイル - Google Patents
トリポート型等速ジョイントの筒状ハウジング部材の内周面の高周波移動焼入方法およびその方法に使用する高周波コイル Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、不等肉厚部を有する筒状体、すなわち、自動車部品であるトリポート型等速ジョイントの筒状ハウジング部材の内周面の高周波移動焼入方法およびその方法に使用する高周波コイルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の高周波移動焼入方法が適用される、不等肉厚部を有する筒状体として、例えば、近年採用されているトリポート型自在継手のハウジング部材1は、図5に示すように、軸心に直角な面での断面肉厚形状は、各部によって形状が著しく異なり、かつ、より複雑で、内周面に凹凸部が設けられている。
すなわち、該トリポートハウジング部材1は、図示しない球面ローラが転動するローラ溝2を挟んで、その両側のローラ転動面2aを接続する接続部3は、最も肉厚が薄く、ローラ溝2とこれに隣接するローラ溝2とを接続する区画部4は、最も肉厚が厚くなっている。
【0003】
かかる不等肉厚部を有する前記ハウジング部材1の内面を高周波加熱方法により移動焼入する、従来の焼入方法は、図6ないし図9により説明すると、以下のようである。
まず、図6は、図7に示す高周波コイル6を内蔵する高周波焼入装置5により、前記ハウジング部材1の内面を焼入するときの、全体の要部配置を示す斜視図、図7は前記高周波コイル6の斜視図、図8は、前記ハウジング部材1の内面を焼入するときの要部縦断面図、図9は、図8のB−B線による、第2の冷却部を含む横断面図である。
【0004】
前記高周波コイル6は、図5および図7に示すように、銅などの導体からなる中空状の角管で形成されており、その中空内部には冷却液が、循環するようになっている。
該高周波コイル6は、高周波焼入時に、図5の前記ハウジング部材1の3箇所のローラ溝2内に挿入され、ほぼ水平に配置されるように、単巻コイル6a,6b,6cからなる。これらの各単巻コイル6a,6b,6cは、各ローラ溝2のローラ転勤面2aに対応する部位に、該転動面2aに沿って弧状に形成され、該転動面2aとの間隙をほぼ一定としている。
【0005】
また、前記ハウジング部材1の、最も薄肉部である前記接続部3に対応する部位では、前記単巻コイル6a,6b,6cは、ほぼ直線状に形成され、該接続部3の内面3aと所定の間隙をもって、配置、移動し得るようになっている。これは、前記接続部3の過熱を防ぐためのものである。同時に、該ハウジング部材1の最厚肉部たる前記区画部4に対応して配置される加熱導体部分には、図7に示すように、前記ハウジング部材1に軸心に平行で、該単巻コイル6a,6b,6cのそれぞれの立上り部分を形成する垂直コイル部6d,6e,6d,6e,7,8が形成、接続されている。
【0006】
すなわち、各単巻コイル6a,6b,6cの両端部は、前記区画部4の対応位置で水平方向から垂直方向へ折曲されて前記垂直コイル部6d,6e,6d,6e,7,8として、互いに平行に近接して形成され、該垂直コイル部6d,6e,6d,6e,7,8は、それぞれの間に電気的絶縁体9を挟持させて、所定の長さに延設され、図7に示すように、その頂部を相互に接続されている。この場合、前記単巻コイル6cと6a間の前記垂直コイル部7,8間だけは、絶縁体9で絶縁されたまま延設され、後述するように、リード管として高周波電源に接続されている。
【0007】
このため、前記高周波コイル6は、全体して、前記各単巻コイル6a,6b,6cが、前記垂直コイル部6d,6e,6d,6e,7,8のそれぞれを介して、直列に接続されたコイルを形成し、高周波コイル6全体を通して高周波電流が流れるとともに、その中空部内を冷却水が循環するように構成されている。
この場合、前記区画部4に対向して配置される前記垂直コイル部6d,6e,6d,6e,7,8では、対となる、それぞれの垂直コイル部6d,6e;6d,6e;7,8間では流れる高周波電流の方向は、相互に逆方向になり、前記区画部4を誘導加熱しない。
なお、その間に前記絶縁物9が介在される、前記コイル立上り部としての前記垂直コイル部6d,6e;6d,6e;7,8間の間隙は支障のない範囲で極力狭くなっている。
【0008】
前記高周波焼入装置8は、かかる前記高周波コイル6を内蔵する加熱部12と第1の冷却部13とからなる内部ユニット11と、第2の冷却部14を備えている。
図6および図8に示すように、前記内部ユニット11は、基台15に穿設した貫通穴16内を挿通して上方に突出、配置された柱状体17の先端17aに、前記高周波コイル6の形状に合わせて3方向方に等分して振り分け、配設されている。
該内部ユニット11を構成する加熱部12および第1の冷却部13は、図8に示すように、高周波焼入装置5の昇降方向(前記ハウジング部材1の軸方向1a)に沿って、前記加熱部12が該昇降方向の上方に、また、前記第1の冷却部13が下方に位置するように、一体的に成形されている。
【0009】
前記加熱部12は、前記高周波コイル6と、該高周波コイル6の各単巻コイル6a,6b,6cで、その前記軸方向1aの前後側面(図8における上下側面)を覆いながら、前記ハウジング部材1の内周面と対向する側面のみを露出して、高周波電流による誘導加熱効果を高めるダストコアまたは珪素鋼板のような強磁性体18で成型される。
前記高周波コイル6の前記垂直コイル部7,8は、適宜、リード線(図示せず)を介して、図示しない高周波電源に接続されるとともに、該一対の垂直コイル部7,8の一方が給水源に連結された給水管に、また他方が排水管にそれぞれ接続されている。
【0010】
そして、図6に示す前記柱状体17自体も絶縁材で成型されており、前記第1の冷却部13は、図8に示すように、前記加熱部12の下部に各々一体的に組み付けられ、内部に中空部を形成した液室部13aには、外周方向に向かって放射状の冷却液用のノズル穴13bが複数穿設され、加熱された前記ローラ溝2の内周面2b全面に冷却液を噴射するようになっている。
なお、前記ノズル穴13bの方向は、図8において若干下向きに穿設、形成されている。
前記加熱部12と同様に、3方向に等分割して振り分けられた3個の前記第1の冷却部13は、各々適宜管路(図示せず)により前記柱状体17内に配管された冷却液圧送管19に連結されている。該圧送管19の下部は、図示しなし冷却液タンクに連結され、適宜圧送手段により冷却液を前記各冷却部13内に圧送する。
【0011】
前記第2の冷却部14は、複数個(図では、3個)の円弧形状の液室部14aをなし、前記ハウジング部材1の前記接続部3の外周面3bおよび前記区画部4の外周面4bと、それぞれある間隙をおいて対向、配置され、中空部を形成する液室部14aのうち、前記外周面3bおよび4bに対向する面には、複数のノズル穴14bが穿設され、前記冷却部14と図示しない冷却液タンクとを結ぶ圧送管20により冷却液が供給される。なお、図6の前記内部ユニット11と第2の冷却部14とは、全て略同一高さだけ、基台15から突出配置されている。
【0012】
次いで、本高周波焼入装置5の作用について説明する。
前記高周波コイル6を内蔵する前記高周波焼入装置5により、前記ハウジング部材1の内面を焼入するに際しては、まず図6に示すように、高周波焼入装置5を所定の位置で固定しておき、その直上に配置された前記ハウジング部材1を、図示しない昇降手段により下方向に所定速度で連続して下降させる。
該ハウジング部材1の下端の開口部1bを、前記高周波焼入装置5の内部ユニット11内の高周波コイル6が通過して、該ハウジング部材1内に挿入され、図9に示すように水平状の各単巻コイル6a,6b,6cを前記ローラ構2内に配置するとともに、前記垂直コイル部6d,6e,6d,6e,7,8を、該ハウジグ部材1の軸心方向に沿って前記区画部4の内面に対して平行に配置して、該高周波コイル6に高周波電流を供給する。
【0013】
前記ハウジング部材1に対し、相対的にある速度で、前記高周波コイル6を上方への移動するにつれて、前記各単巻コイル6a,6b,6cと対向するローラ溝2の内周面2bは、その表面に誘導電流を発生し、ジュール熱により瞬時(比較的短時間)に加熱される。
次いで、加熱された該内周面2bが所定の温度に達したとき、前記高周波コイル6の下方に配設された第1の冷却部13から、前記加熱面に向けて冷却液が噴射され、該加熱面を急激に冷却して、加熱面である前記ローラ溝2の内周面2b全面に焼入層(T)を形成する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記高周波焼入装置5を用いて、被焼入体である3つのローラ溝2が形成される前記ハウジング部材1の内周面を焼入するとき、該焼入装置5の前記高周波コイル6の前記各単巻コイル6a,6b,6cと溝内周面との間隙(空隙)にバラツキがないことが必要条件となる。すなわち、前記間隙にバラツキがあると、焼入温度にバラツキを引き起こし、従って、前記焼入層にバラツキを生ずる。該焼入層のバラツキは焼入歪の発生原因となり、また焼割れの原因ともなる。
【0015】
前記高周波コイル6と前記ハウジング部材1の溝内周面との相対的位置精度を確保し、均一な焼入層を形成するためには、該焼入装置8の機械的精度と前記ハウジング部材1の位置決め精度を高めなければならない。すなわち、該焼入装置5は、前記ハウジング部材1の軸心に対する前記3つのローラ溝2の位置精度のバラツキを小さくしなければならない。また、同時に、前記ハウジング部材1のローラ溝2の位置と軸心を、正確かつ自動的に位置決めする機械装置が必要となる。
【0016】
しかしながら、前記機械的精度を有する前記焼入装置5と、前記位置決め精度を有する、前記ハウジング部材1であるワーク位置決め装置は、非常に高価なものになるという問題点があった。特に、精度の高い前記ワーク位置決め装置より構成される、前記ハウジング部材1の移動焼入機械装置の価格は、全高周波焼入装置の約80%となっている。
【0017】
本発明はかかる点に鑑みなされたものであって、その目的は前記問題点を解消し、安価な焼入装置および移動焼入機構を用いて、高品質の焼入可能な、トリポート型等速ジョイントの筒状ハウジング部材の内周面の高周波移動焼入方法を提案することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための本発明のトリポート型等速ジョイントの筒状ハウジング部材の内周面の高周波移動焼入方法の構成は、加熱用の高周波コイルとトリポート型等速ジョイントの筒状ハウジング部材とを相対的に移動させながら、前記筒状ハウジング部材の内周面を加熱し、その直後、加熱された前記内周面に、冷却液を噴射して、前記内周面を焼入するに際し、前記筒状ハウジング部材の最小径内周面から、ある間隔を隔てて、円環状の高周波コイルを前記筒状ハウジング部材の内周面内に配設し、前記筒状ハウジング部材を前記筒状ハウジング部材の軸心方向を中心として回転させるとともに、前記高周波コイルと前記筒状ハウジング部材とを前記軸心方向に沿って相対的に移動させながら、前記高周波コイルに高周波電流を供給して、前記筒状ハウジング部材の内周面を高周波加熱し、その直後、該加熱面に対して、前記高周波コイルの下部に配設されたる第1の冷却手段により冷却液を噴射して、前記内周面を移動焼入するとともに、前記筒状ハウジング部材の外周に、該外周面から、ある距離を離間して配置される第2の冷却手段により、冷却液を、前記高周波加熱に先行、または該高周波加熱に並行して噴射して、前記筒状ハウジング部材の最薄肉部の過熱を抑える方法である。
【0021】
前記方法において、前記高周波電流の周波数が5kHz〜150kHzの範囲である方法である。
【0023】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。
図1ないし図4は、本発明の不等肉厚部を有する筒状体内面の高周波移動焼入方法と、該高周波移動焼入方法に使用される高周波加熱コイルの一実施例を示す図で、図1は、図2に示す高周波コイル26を内蔵する高周波焼入装置25により、不等肉厚部を有する筒状体としての、前記トリポートハウジング部材(筒状ハウジング部材)1の内面を焼入するときの、全体の要部配置を示す縦断面図、図2は前記高周波コイル26の斜視図、図3は、前記ハウジング部材1の内面を焼入するときの要部縦断面図、図4は、図1のA−A線による、第2の冷却部34を含む横断面図である。図5ないし図9と同一部材には、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0024】
図2に示す高周波コイル26は、銅などの導体からなる中空状の角管で形成されており、その中空内部には冷却液が、循環するようになっている。
該高周波コイル26は、高周波焼入時に、前記ハウジング部材1内に挿入され、該ハウジング部材1の軸心に直角な、ほぼ水平面に配置される円環状の単巻コイル部26aと,該単巻コイル部26aの両端からコイル中心に向けて曲げられ、該コイル中心付近から垂直に曲げられた、立上り部分として、前記軸心に沿って配設される垂直コイル部26b,26cに、それぞれ接続されて、1つの直列のコイルを形成する。前記垂直コイル部26b,26c間は、絶縁体9で絶縁されたまま延設され、その端部は、リード管として高周波電源41に接続されるようになっている。なお、前記それぞれの垂直コイル部26b,26c間では、流れる高周波電流の方向は、相互に逆方向になり、誘導加熱はしない。
【0025】
該高周波コイル26は、本実施例においては、前記ハウジング部材1の最小径内周面4cとある所要の間隙を隔てて、単巻の円環形コイル26aに巻回され、前記最小径内周面4cの内に、該ハウジング部材1と相対的に、該ハウジング部材1の軸心方向1aに移動可能に挿入、配設されている。
【0026】
本実施の形態における高周波焼入装置25は、次の如く構成されている。
該高周波焼入装置25は、かかる前記高周波コイル26を内蔵する加熱部32と第1の冷却部33からなる内部ユニット31と、第2の冷却部34を備えている。
図1および図3に示すように、前記内部ユニット21は、前記高周波焼入装置25の基台35に穿設した貫通穴36内を挿通して上方に突出、配置された柱状体37の先端37aに、前記高周波コイル26の形状に合わせて、配設されている。
該内部ユニット31を構成する前記加熱部32と第1の冷却部33は、図3に示すように、前記高周波焼入装置25の昇降方向(前記ハウジング部材1の軸方向1a)に沿って、前記加熱部32が該昇降方向の上方に、また、第1の冷却部33が下方に位置するように一体的に形成されている。
【0027】
前記加熱部32は、前記高周波コイル26と、該高周波コイル26の単巻コイル26aの前記軸方向の前後側面(図3における上下側面)を覆いながら、前記ハウジング部材1の内周面と対向するコイル側面のみを露出して、高周波電流による誘導加熱効果を高めるダストコアまたは珪素鋼板のような磁性体38とから成型されている。
前記高周波コイル26は、その端部でリード線40を介して、加熱用高周波電源41に接続されるとともに、該コイル26の一端は給水源に連結され、また他端は排水管へと連結される。
【0028】
前記第1の冷却部33は、図3に示すように、加熱部32の下部に一体的に組み付けられ、内部に中空部を形成した液室部33aには、その外周面に放射状に冷却液のノズル穴33bが複数設けられ、前記ハウジング部材1のローラ溝2の内周面2b全面に冷却液を噴射しうるようになっている。
なお、前記ノズル穴33bの方向は、図3においてある所要角度をもって下向きに穿設、形成されている。
該第1の冷却部33は、冷却液圧送管19に連結されており、該圧送管19の下部は、図示しない冷却液タンクに連結され、適宜圧送手段により冷却液を前記冷却部33内に圧送する。
【0029】
前記第2の冷却部34は、前記ハウジング部材1の外周面3bと、焼入時にある所要の間隔を隔てて、前記ハウジング部材1の全外周面に対向して、円環状の液室をなすように形成、配設され、中空部を形成する液室部34aには、前記ハウジング部材1の全外周面に対向する面に、複数のノズル穴34bが穿設される。そして、該第2の冷却部34と図示しない冷却液タンクとを結ぶ圧送管20を介して、冷却液が供給されるようになっている。
【0030】
次いで、本実施の形態における前記高周波焼入装置25の作用について説明する。
前記高周波コイル26を内蔵する前記高周波焼入装置25により、前記ハウジング部材1の全内面を焼入するに際しては、まず、図1に示すように、高周波焼入装置25を所定位置で固定しておき、その直上に配置された前記ハウジング部材1を、その軸心上で、図示しない回転駆動装置により、ある所要回転数で回転させながら、該ハウジング部材1を適宜昇降機構により下方向に、ある所定速度で連続して下降させる。この場合、前記ハウジング部材1の回転中は、その回転中心が偏心しないようにする。
【0031】
前記ハウジング部材1の下端の開口部1bを、前記高周波焼入装置25の内部ユニット31内の高周波コイル26が通過して、該ハウジング部材1内に挿入され、図4に示すように、水平状に前記単巻コイル26aを配置するとともに、前記垂直コイル部26b,26cを、該ハウジグ部材1の軸心方向に沿って配置し、前記コイル26に高周波電流を供給する。
【0032】
前記ハウジング部材1を前記軸心を中心とし七、ある所定回転数で回転させながら、該ハウジング部材1に対し、相対的に、前記軸心方向にある速度で、前記高周波コイル26を上方へ移動すると、前記単巻コイル26aと対向する前記ハウジング部材1の内周面2bは、その表面に誘導電流を発生し、ジュール熱により瞬時、または比較的短時間に加熱される。
次いで、加熱された該内周面2bが所定の温度に達したとき、前記高周波コイル26の下方に配設された第1の冷却部33から、前記加熱面に向けて冷却液が噴射され、該加熱面を急速に冷却して、該内周面に焼入層(T)を形成する。
【0033】
この際、図3に示すように、前記ハウジング部材1の前記区画部4の内周面4c(最小径内周面)からある所要の間隙(空隙)を隔てて、円環状の前記高周波コイル26の単巻コイル26aが配置される。このように、該単巻コイル26aの外周面と前記区画部4の前記内周面46とが近接しており、前記ローラ溝2よりローラ溝2の前記接続部3の内周面3bと、該単巻コイル26aの外周面との間隙は大きくなっているが、前記区画部4の熱容量が最も大きく、前記ローラ転動面2aから前記接続部3にかけて熱容量が徐々に小さくなるので、高周波電源41の周波数を5kHz〜150kHzの範囲で、適切に選択することにより、該ハウジング部材1の内周面全面を略均一な硬化層を得ることが可能となる。
【0034】
また、最薄肉部である前記接続部3の部分では、前記高周波コイル26は、その内周面3aと最も間隔距離があり、かつ該接続部3の外周面3bには、前記第2の冷却部34から冷却水が、前記加熱に先行し、または該加熱と並行して噴射されるので、前記ローラ溝2の内周面2bのうち前記ローラ転動面2aほどは前記内周面3aは加熱されず、従って、前記第1の冷却部33による焼入層の深さ(t)も相対的に薄くなる。
【0035】
かくして、焼入される前記ハウジング部材1の内周面は、回転されながら加熱、冷却されるため、むらなく均一に高周波焼入層を形成することができ、従来のように、高周波コイル26とワーク(ハウジング部材1)との位置精度を確保するための機械装置を必要とせず、また焼入装置そのものも、従来の焼入装置並の精度は必要としない。同時に、さらに、従来以上の品質が確保できる。
【0036】
図3に示すように、前記ハウジング部材1が回転しながら下降して、該部材1の底面1c近くまで焼入層(T)が形成されると、前記高周波コイル26の高周波電流の供給を断ち、しかる後、該ハウジング部材1の回転を止めながら、上昇させればよい。
なお、始めのハウジング部材1の焼入が完了すれば、次のハウジング部材1が移動してきて、前記焼入装置25の直上に配置され、回転、下降を開始するようにすれば、そのハウジング部材1の連続焼入作業が可能になる。
【0037】
以下に、本実施例における具体例を示す。
【0038】
前記具体例では、被焼入体として、ハウジング部材1を例示したが、本発明に係わる高周波コイルは、他の任意な、不等肉厚断面を有する筒形体の内面焼入に適用しうるものである。
また、前記具体例の被焼入体のように有底筒状体に限らず、無底の筒状体にも適用される。
【0039】
なお、本発明の技術は前記実施例における技術に限定されるものではなく、同様な機能を果たす他の態様の手段によってもよく、また本発明の技術は前記構成の範囲内において種々の変更、付加が可能である。
【0040】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明のトリポート型等速ジョイントの筒状ハウジング部材の内周面の高周波移動焼入方法によれば、前記筒状ハウジング部材の最小径内周面から、ある間隔を隔てて、円環状の高周波コイルを前記筒状ハウジング部材の内周面内に配設し、前記筒状ハウジング部材を前記筒状ハウジング部材の軸心方向を中心として回転させるとともに、前記高周波コイルと前記筒状ハウジング部材とを前記軸心方向に沿って相対的に移動させながら、前記高周波コイルに高周波電流を供給して、前記筒状ハウジング部材の内周面を高周波加熱し、その直後、該加熱面に対して、前記高周波コイルの下部に配設されたる第1の冷却手段により冷却液を噴射して、前記内周面を移動焼入するとともに、前記筒状ハウジング部材の外周に、該外周面から、ある距離を離間して配置される第2の冷却手段により、冷却液を、前記高周波加熱に先行、または該高周波加熱に並行して噴射して、前記筒状ハウジング部材の最薄肉部の過熱を抑えるようにしているので、安価な焼入装置および移動焼入機構を用いて、高品質の焼入加工が可能になる効果を奏する。すなわち、本発明によれば、複雑かつ高価な機構が不要となる上に形状の単純な円環状の高周波コイルを用いれば済むため、焼入設備が従来と比較して極めて安価なものとなり、しかも焼入対象物を回転させることにより従来の焼入方法と比較して高品質な焼入(各溝部の焼入硬化層が均一になる)が可能となる。
【0041】
また、前記高周波電流の周波数を5kHz〜150kHzとし、また、前記円環状の高周波コイルを単巻き、または複数巻きに形成されるので、前記焼入装置9は、3つの溝位置精度に関係なく焼入が可能となり、また、前記ハウジング部材1の溝位置および軸心を正確に、かつ自動的に位置決めする機械装置も必要としない。従って、本移動焼入装置は、従来のものと比較して、極めて安価なものとなり、かつ、従来以上の高品質の焼入加工が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトリポート型等速ジョイントの筒状ハウジング部材の内周面の高周波移動焼入方法の一実施例を示し、図2に示す高周波コイルを内蔵する高周波焼入装置により、不等肉厚部を有する筒状体としてのトリポートハウジング部材の内周面を焼入する、全体の要部配置を示す縦断面図である。
【図2】本発明の高周波移動焼入方法に使用される高周波加熱コイルの一実施例を示す斜視図である。
【図3】前記ハウジング部材1の内面を焼入するときの要部縦断面図である。
【図4】図1のA−A線による、第2の冷却部を含む横断面図である。
【図5】従来の高周波移動焼入装置に装着されたトリポートハウジング部材の軸心に直角な面での横断面図である。
【図6】従来の高周波移動焼入装置で、図7に示す高周波コイル9を内蔵する該焼入装置により、ハウジング部材の内面を焼入する、全体の要部配置を示す斜視図である。
【図7】従来の高周波移動焼入装置に使用される高周波コイルを示す斜視図である。
【図8】従来の高周波移動焼入装置により、ハウジング部材の内面を焼入するときの要部縦断面図である。
【図9】図8のB−B線による、第2の冷却部を含む横断面図である。
【符号の説明】
1 ハウジング部材
2 ローラ溝
2b,3a,4c 内周面
3 接続部
3b、4b 外周面
4 区画部
9 絶縁体
25 高周波焼入装置
26 高周波コイル
26a 単巻コイル
31 内部ユニット
32 加熱部
33 第1の冷却部
33a,34a 液室部
33b,34b ノズル穴
34 第2の冷却部
37 柱状体
38 強磁性体
41 高周波電源
Claims (2)
- 加熱用の高周波コイルとトリポート型等速ジョイントの筒状ハウジング部材とを相対的に移動させながら、前記筒状ハウジング部材の内周面を加熱し、その直後、加熱された前記内周面に、冷却液を噴射して、前記内周面を焼入するに際し、
前記筒状ハウジング部材の最小径内周面から、ある間隔を隔てて、円環状の高周波コイルを前記筒状ハウジング部材の内周面内に配設し、前記筒状ハウジング部材を前記筒状ハウジング部材の軸心方向を中心として回転させるとともに、前記高周波コイルと前記筒状ハウジング部材とを前記軸心方向に沿って相対的に移動させながら、前記高周波コイルに高周波電流を供給して、前記筒状ハウジング部材の内周面を高周波加熱し、その直後、該加熱面に対して、前記高周波コイルの下部に配設されたる第1の冷却手段により冷却液を噴射して、前記内周面を移動焼入するとともに、前記筒状ハウジング部材の外周に、該外周面から、ある距離を離間して配置される第2の冷却手段により、冷却液を、前記高周波加熱に先行、または該高周波加熱に並行して噴射して、前記筒状ハウジング部材の最薄肉部の過熱を抑えることを特徴とするトリポート型等速ジョイントの筒状ハウジング部材の内周面の高周波移動焼入方法。 - 前記高周波電流の周波数が5kHz〜150kHzの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のトリポート型等速ジョイントの筒状ハウジング部材の内周面の高周波移動焼入方法。
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