JP3576472B2 - 低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼用溶接材料および低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材のアーク溶接方法 - Google Patents

低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼用溶接材料および低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材のアーク溶接方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材のアーク溶接に係り、とくに予熱、後熱を必要とせず、低温靱性および耐食性に優れた溶接部を得ることができる溶接材料およびアーク溶接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、生産される石油・天然ガスは、湿潤な炭酸ガスや硫化水素を含有するものが増加している。このような湿潤な炭酸ガスや硫化水素を含む石油・天然ガスは、炭素鋼や低合金鋼を著しく腐食することが知られている。こうした腐食性の石油・天然ガスをパイプラインで輸送するに際しては、ラインパイプ(鋼管)の防食対策として、腐食抑制剤の添加が一般的であった。しかし、腐食抑制剤の添加はコストの増加をもたらし、さらには環境汚染の問題もあって、その使用は困難となりつつあり、最近では、腐食抑制剤の添加を必要としない耐食性に優れた鋼管が指向されるようになってきた。
【0003】
耐食性に優れたラインパイプ用材料として、これまでは二相ステンレス鋼が一部利用されていたが、材料コストが高いことが課題となっていた。そのため、適度な耐食性を有し、二相ステンレス鋼ほどに高価ではないマルテンサイト系ステンレス鋼をラインパイプに適用することが要望されていた。
このような要望に対し、例えば、特開平4−99154号公報、特開平4−99155号公報には、CおよびNを低減し、オーステナイト安定化元素を添加した、11〜15%程度のCrを含有する、溶接性に優れかつ耐炭酸ガス含有環境での耐食性に優れたラインパイプ用低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼管が提案されている。
【0004】
この低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼管は、CおよびNの低減により、溶接性が向上するため、予熱および後熱を省略することができ、溶接施行性が従来のマルテンサイト系ステンレス鋼管に比べ格段に向上する。
ラインパイプは円周溶接により接続されるが、この低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼管を円周溶接するに際して、従来から幾つかの溶接材料が利用されてきたが、それぞれ種々の問題点を含んでいた。
【0005】
例えば、共金系材料であるマルテンサイト系ステンレス鋼溶接材料に関しては、従来のものは、溶接金属の靱性が低い点、また溶接金属の硬さが非常に硬くなり溶接金属の低温割れが発生しやすいため、予熱もしくは後熱処理を必須とし、溶接施工性が低下する点で問題があった。
一方、オーステナイト系ステンレス鋼あるいはNi基超合金溶接材料に関しては、溶接部の耐食性に優れるが、溶接部強度が母材強度に比べ低くなる、いわゆるアンダーマッチングになりやすいという問題があった。
【0006】
また、二相系ステンレス鋼溶接材料に関しては、マルテンサイト系ステンレス鋼ラインパイプの一般的な強度であるX80級強度を溶接部で得るためには、22Cr系二相ステンレス鋼溶接材料では強度が不足することがあり、より高価な25Cr系二相ステンレス鋼溶接材料で溶接する必要がある。また、一般に二相ステンレス鋼は温度上昇に伴う強度低下がマルテンサイト系ステンレス鋼より大きいため、25Cr系二相ステンレス鋼を用いても常温ではオーバーマッチングであっても100 〜200 ℃ではアンダーマッチングになることがある。さらに、二相ステンレス鋼溶接材料で溶接すると溶接部と母材部との化学成分の相違に起因した選択腐食が懸念されている。
【0007】
このような状況から、低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼の溶接材料として、安価で高強度が得やすい共金系溶接材料で、高靱性、高耐食性の溶接金属が得られる、溶接施工性に優れた溶接材料が要望されていた。
このような要望に対し、特開平7−185879 号公報には、マルテンサイト系ステンレス鋼用溶接線材として、C:0.01〜0.04wt%、かつC+N:0.02〜0.06wt%、Si:0.01〜0.5 wt%、Mn:0.1 〜2.0 wt%、Cr:11.0〜15.0wt%、Ni:3.5 〜7.0wt %、Mo:0.7 〜3.0 wt%、Nb:0.01〜0.2 wt%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分系が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平7−185879 号公報に記載された技術では、得られる溶接金属の靱性は、0℃でのシャルピー吸収エネルギーが100 J程度の靱性レベルであり、しかもこの程度の靱性を有する溶接金属を得るために1hr以上の後熱処理を要するなど、溶接施工性に問題を残していた。
【0009】
パイプラインの敷設には、短時間の施工が要求される。とくに、海底パイプラインの敷設は、一般に、ラインパイプを敷設船上で円周溶接するが、敷設船の賃貸料が高価なため、敷設船上での溶接時間を短時間とすることが必須条件となる。したがって、長時間を要する予熱や後熱を必要とする溶接材料の使用は敬遠されることになる。また、パイプラインは厳寒の地に敷設されることも多いことから、ラインパイプには低温、例えば−40℃での高靱性が要求される場合が多い。
【0010】
本発明は、上記した従来技術の問題を有利に解決し、主としてラインパイプ用として使用される低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼管の溶接材料として、共金系で、予熱、後熱処理の省略が可能で、高靱性でかつ耐食性に優れた溶接金属が得られる、安価な低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼用溶接材料を提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、高靱性でかつ耐食性に優れた溶接金属を有する低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接構造物を製造できる低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材のアーク溶接方法を提案することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した課題を達成するために、マルテンサイト系ステンレス鋼溶接金属の靱性、および耐食性、とくに耐選択腐食性におよぼす要因について鋭意考究した。
その結果、溶接金属の靱性は、C+N量を0.02質量%以下に低減することにより、顕著に向上するという知見を得た。また、本発明者らは、溶接金属の選択腐食は、溶接金属部を母材部にくらべ電気化学的に貴とすることにより防止できることに想到し、Cr、Ni、Mo、Cuが電気化学的に貴とするのに有効であり、とくに溶接金属部のCr、Ni、Mo、Cu含有量を母材部のCr、Ni、Mo、Cu含有量とくらべ特定範囲内で多くすることが重要であるという知見を得た。しかし、溶接金属部の合金元素量が母材にくらべ過剰になると、逆に溶接熱影響部や母材部が選択腐食しやすくなる。このようなことから、本発明者らは、とくに、炭酸ガスを飽和したNaCl水溶液のような、低pHの塩化物溶液中での選択腐食は、次パラメータX
X=(Cr−Cr)+(Ni−Ni)/2+(Mo−Mo)+(Cu−Cu) /4
(ここに、Cr、Ni、Mo、Cu:溶接金属の各元素の含有量(質量%)、Cr、Ni、Mo、Cu:低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼の各元素の含有量(質量%)
を−0.5 〜5.0 とすることにより防止できることを見いだした。
【0012】
本発明は、上記した知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、第1の本発明は、質量%で、C+N:0.02%以下、Si:0.5 %以下、Mn:0.2 〜3%、Cr:11〜15%、Ni:2〜7%を含み、さらにREM を0.3 %以下含みあるいはさらに、Cu:2%以下、Mo:4%以下のうちの1種または2種、および/またはV、Tiのうちの1種または2種を合計で0.3 %以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼用溶接材料である
【0013】
また、第2の本発明は、質量%で、C:0.05%以下、Cr:10〜14%、Ni:1.0 〜7.0 %を含み、あるいはさらにMo:0.2 〜3.5 %および/またはCu:0.2 〜2.0 %を含む低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材をアーク溶接により溶接する方法であって、前記アーク溶接で用いる溶接材料を、質量%で、C+N:0.02%以下、Si:0.5 %以下、Mn:0.2 〜3%、Cr:11〜15%、Ni:2〜7%を含み、あるいはさらに、Cu:2%以下、Mo:4%以下のうちの1種または2種、を含有し、かつCr、Ni、Mo、Cuを溶接金属のCr含有量(CrW )、Ni含有量(NiW )、Mo含有量(MoW )、Cu含有量(CuW )が、前記低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材のCr含有量(CrB )、Ni含有量(NiB )、Mo含有量(MoB )、Cu含有量(CuB )との関係で、次(1)式(Xが0以下の場合を除く)
−0.5 ≦X≦5.0 ………(1)
(ここに、X=(CrW −CrB )+(NiW −NiB )/2+(MoW −MoB )+(CuW −CuB )/4、CrW 、NiW 、MoW 、CuW :溶接金属中の各元素の含有量(質量%)、CrB 、NiB 、MoB 、CuB :低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼中の各元素の含有量(質量%))を満足する溶接金属となるように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する溶接材料とすることを特徴とする低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材のアーク溶接方法である。また、第2の本発明では、前記溶接材料を、前記組成に加えてさらに、V、Tiのうちの1種または2種を合計で0.3 質量%以下含有する組成の溶接材料とすることが好ましい。また、第2の本発明は、質量%で、C: 0.05 %以下、 Cr 10 14 %、 Ni 1.0 7.0 %を含み、あるいはさらに Mo 0.2 3.5 %および/または Cu 0.2 2.0 %を含む低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材をアーク溶接により溶接する方法であって、前記アーク溶接で用いる溶接材料を、質量%で、C+N: 0.02 %以下、 Si 0.5 %以下、 Mn 0.2 〜3%、 Cr 11 15 %、 Ni :2〜7%を含み、さらにREM を0.3 以下含み、あるいはさらに、 Cu :2%以下、 Mo :4%以下のうちの1種または2種、を含有し、かつ Cr Ni Mo Cu を溶接金属の Cr 含有量( Cr W )、 Ni 含有量( Ni W )、 Mo 含有量( Mo W )、 Cu 含有量( Cu W )が、前記低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材の Cr 含有量( Cr B )、 Ni 含有量( Ni B )、 Mo 含有量( Mo B )、 Cu 含有量( Cu B )との関係で、次(1)式
0.5 ≦X≦ 5.0 ………(1)
(ここに、X=( Cr W Cr B )+( Ni W Ni B /2 +( Mo W Mo B )+( Cu W Cu B /4 Cr W Ni W Mo W Cu W :溶接金属中の各元素の含有量(質量%)、 Cr B Ni B Mo B Cu B :低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼中の各元素の含有量(質量%))を満足する溶接金属となるように含有し、残部 Fe および不可避的不純物からなる組成を有する溶接材料とすることを特徴とする低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材のアーク溶接方法であり、前記組成に加えてさらに、V、 Ti のうちの1種または2種を合計で 0.3 質量%以下含有する組成の溶接材料とすることが好ましい。
【0014】
また、第2の本発明では、前記アーク溶接をガスメタルアーク溶接とし、一般に用いられるワイヤをプラス側(逆極)とする逆極性での直流溶接としても、あるいはワイヤをマイナス側(正極)とする正極性での直流溶接としてもよく、また、該ガスメタルアーク溶接の溶接電源として交流電源を用いる交流溶接としてもよい。なお、ガスメタルアーク溶接を、正極性での直流溶接、または交流溶接で行う場合には、前記アーク溶接で用いる溶接材料を、質量%で、C+N: 0.02 %以下、 Si 0.5 %以下、 Mn 0.2 〜3%、 Cr 11 15 %、 Ni :2〜7%を含み、あるいはさらに、 Cu 2 %以下、 Mo :4%以下のうちの1種または2種を含有し、かつ溶接金属の Cr 含有量( Cr W )、 Ni 含有量( Ni W )、 Mo 含有量( Mo W )、 Cu 含有量( Cu W )が、前記低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材の Cr 含有量( Cr B )、 Ni 含有量( Ni B )、 Mo 含有量( Mo B )、 Cu 含有量( Cu B )との関係で、下記(1)式
0.5 ≦X≦ 5.0 ………(1)
(ここに、X=( Cr W Cr B )+( Ni W Ni B /2 +( Mo W Mo B )+( Cu W Cu B /4 Cr W Ni W Mo W Cu W :溶接金属中の各元素の含有量(質量%)、 Cr B Ni B Mo B Cu B :低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼中の各元素の含有量(質量%))を満足する溶接金属となるように、 Cr Ni Mo Cu を含有し、残部 Fe および不可避的不純物からなる組成を有する溶接材料とすることが好ましい。また第2の本発明では、前記溶接材料が前記組成に加えてさらに質量%で、V、 Ti のうちの1種または2種を合計で 0.3 %以下、および/または REM 0.3 %以下含有する組成の溶接材料とすることが好ましい。
【0015】
また、第3の本発明は、質量%で、C:0.05%以下、Cr:10〜14%、Ni:1.0 〜0.7 %を含み、あるいはさらにMo:0.2 〜2.5 %および/またはCu:0.2 〜2.0 %を含む低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材同士を溶接してなる溶接構造物であって、前記溶接で形成される溶接金属のCr含有量(CrW )、Ni含有量(NiW )、Mo含有量(MoW )、Cu含有量(CuW )が、前記低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼のCr含有量(CrB )、Ni含有量(NiB )、Mo含有量(MoB )、Cu含有量(CuB )との関係で、次(1)式(Xが0以下の場合を除く)
−0.5 ≦X≦5.0 ………(1)
(ここに、X=(CrW −CrB )+(NiW −NiB )/2+(MoW −MoB )+(CuW −CuB )/4、CrW 、NiW 、MoW 、CuW :溶接金属中の各元素の含有量(質量%)、CrB 、NiB 、MoB 、CuB :低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼中の各元素の含有量(質量%))
を満足することを特徴とする低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接構造物である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の溶接材料は、主としてガスタングステンアーク溶接(GTAW)、ガスメタルアーク溶接(GMAW)用であるが、サブマージアーク溶接(SAW)用、あるいは被覆アーク溶接(SMAW)用としても使用できる。
まず、本発明の溶接材料の成分限定理由について説明する。なお、以下、組成における質量%は、単に%と記す。
【0017】
C+N:0.02%以下
C、Nは、いずれも溶接金属の強度を大きく増加させる元素であるが、過剰の含有は靱性を劣化させる。このため、本発明では所望の強度が確保できる範囲でできるだけ低減するのが好ましい。C+Nが0.02%を超えると、溶接金属の靱性を著しく低下させるため0.02%を上限とした。なお、強度確保の観点からはC+Nは0.01%以上とするのが好ましい。
【0018】
Si:0.5 %以下
Siは、α相安定化元素であり、過剰の含有はδ−フェライト相を形成するため靱性劣化の原因となる。また、Siは脱酸元素であり、しかもアークを安定させ溶接作業性を向上させる作用を有する。このような効果は0.01%以上の含有で顕著に認められ、0.01%以上含有することが望ましいが、0.5 %を超える含有は靱性を劣化させる。このため、Siは0.5 %以下に限定した。
【0019】
Mn:0.2 〜3%
Mnは、溶接金属の脱酸剤として作用するとともに、溶接金属の強度を増加させる。このような効果は0.2 %以上の含有で認められるが、一方、3 %を超える含有は強度が高くなりすぎ製造時に困難を伴う。このため、Mnは0.2 〜3 %の範囲に限定した。
【0020】
Cr:11〜15%
Crは、溶接金属の耐食性と強度を向上させる元素であり、本発明では、11%以上の含有を必要とする。一方、15%を超えて含有すると、溶接金属にδ−フェライトが残存し靱性が劣化する。このため、Crは11〜15%の範囲に限定した。
Ni:2〜7%
Niは、オーステナイト安定化元素であり、δ− フェライトの生成を抑制し、溶接金属の靱性向上に有効に作用する。溶接金属の靱性確保の観点から2%以上の含有を必要とする。一方、7 %を超える含有は残留オーステナイト量が過大となり強度が低下する。このため、Niは2〜7%の範囲に限定した。なお、より安定な靱性確保の観点から、好ましくは、5〜7%である。
【0021】
本発明の溶接材料では、上記した主成分に加え、必要に応じ、つぎの各種元素を添加できる。
Cu:2%以下、Mo:4%以下のうちの1種または2種
Cu、Moは、溶接金属の耐食性と強度を増加させる作用を有し、必要に応じ1種または2種を含有できる。しかし、4%を超えるMoの含有は、溶接金属中にδ− フェライトが残存するとともに、金属間化合物を形成することで靱性を劣化させる。このため、Moは4%以下に限定するのが好ましい。なお、より安定な特性確保の観点から、好ましくは、2〜3%である。
【0022】
また、2%を超えるCuの含有は、溶接材料の製造性を低下させる。このようなことから、Cuは2%以下に限定するのが好ましい。なお、より好ましくは0.5 〜1.5 %である。
V、Tiのうちの1種または2種を合計で0.3 %以下
V、Tiは、いずれも炭化物、窒化物を形成し強度を増加させる効果を有する元素であり、必要に応じ選択して1種または2種を含有できる。V、Tiの合計量が0.3 %を超えると、靱性劣化が著しくなるため、0.3 %を上限とするのが好ましい。より好ましくは、合計で0.03〜0.15%である。
【0023】
REM:0.3 %以下
REM(希土類元素)は、とくにCO、O等の活性ガスを含まないAr、He等の純不活性ガス雰囲気中のGMAWの場合でもアークを安定化させることができる効果を有し、本発明では必要に応じ含有できる。REMの含有により、溶接金属の靱性低下の原因となる酸化物を低減できるため溶接金属の靱性を向上させることができる。なお、0.3 %を超える含有は、溶接金属の靱性を劣化させるうえ、加工性も劣化させる。このため、本発明では、REMは0.3 %以下に限定するのが好ましい。
【0024】
残部Feおよび不可避的不純物
上記した成分以外の残部は実質的にFeである。不可避的不純物としては、S:0.01%以下、P:0.03%以下、O:0.01%以下が許容できる。
なお、溶接材料のCr、Ni、Mo、Cu量は、被溶接材である低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材(母材)のCr、Ni、Mo、Cu量に応じ、溶接金属のCr、Ni、Mo、Cu量と母材のそれとの差で定義される値(X)が所定範囲となるように、上記した範囲内で選択される。
【0025】
本発明の溶接材料でアーク溶接される被溶接材は、公知の低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材がいずれも好適である。本発明で対象とする低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材は、つぎのような化学組成範囲を有する鋼材が好ましい。
低炭素系マルテンサイト鋼材は、質量%で、C:0.05%以下、Si:1.0 %以下、Mn:0.10〜3.0 %、P:0.03%以下、S:0.01%以下、Cr:10〜14%、N:0.03%以下、Ni:1.0 〜7.0 %を含み、あるいはさらにMo:0.2 〜3.5 %および/またはCu:0.2 〜2.0 %を含み、残部Feおよび不可避的不純物とするのが好ましく、あるいはさらに、V:0.005 〜0.20%、Nb:0.005 〜0.20%、およびTi:0.005 〜0.10%、Zr:0.005 〜0.10%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する鋼材とするのが好ましい。本発明で対象とする低炭素系マルテンサイト鋼材では、母材靱性、溶接性を向上させるため、C、Nが低減される。Cは、0.05%以下、好ましくは0.02%以下、Nは0.05%以下、好ましくは0.02%以下である。なお、本発明における鋼材は、鋼管、鋼板、鋼帯を含むものとする。
【0026】
本発明の溶接方法においては、用いる溶接材料を、上記した範囲内の組成を有し、かつ、被溶接材である低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材(母材)のCr、Ni、Mo、Cu含有量に応じ、(1)式を満足するようにCr、Ni、Mo、Cuを含有した溶接材料として、アーク溶接する。(なお、逆極性の直流溶接法で REM を含有しない溶接材料を用いる場合は(1)式でXが0以下の場合を除く。)
−0.5 ≦X≦5.0 ………(1)
ここに、X=(CrW −CrB )+(NiW −NiB )/2+(MoW −MoB )+(CuW −CuB )/4、
Cr W、NiW 、MoW 、CuW :溶接金属中の各元素の含有量(質量%)、CrB 、NiB 、MoB 、CuB :低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼中の各元素の含有量(質量%)
母材と溶接金属のCr、Ni、Mo、Cu含有量のそれぞれの差の関数として、(1) 式中に定義されるXを特定範囲とすることにより選択腐食の発生を防止できる。Xが−0.5 未満では、溶接金属部が母材部にくらべ電気化学的に卑となり、溶接金属に選択腐食が発生する。一方、Xが5.0 を超えると、溶接金属部が母材にくらべ電気化学的に貴となり、母材、溶接熱影響部に選択腐食が発生する。なお、(1)式中のXの計算は、含有しない元素がある場合には、その元素の含有量を0として計算するものとする。
【0027】
溶接材料中のCr、Ni、Mo、Cu含有量は、アーク溶接条件に応じ母材の希釈率を考慮し溶接金属のCr、Ni、Mo、Cu含有量を予測して、(1)式を満足するように各成分の上記した範囲内で調整するのが好ましい。
また、アーク溶接では、通常、消耗電極であるワイヤをプラス側に接続して溶接する逆極性の直流溶接法を適用することが多いが、本発明の溶接材料では、この逆極性の直流溶接法に加え、ワイヤをマイナス側とする正極性の直流溶接法で溶接しても、また、直流溶接法に代えて、溶接電源を交流電源としてアーク溶接しても、なんら問題なく優れた特性の溶接部が得られる。本発明の溶接材料を用いて、正極性の直流溶接法で溶接することにより、あるいは交流溶接とすることにより、より広範囲からの溶接条件の選択が可能となる。
【0028】
本発明では、質量%で、C:0.05%以下、Cr:10〜14%、Ni:1.0 〜7.0 %、を含み、あるいはさらにMo:0.2 〜3.5 %および/またはCu:0.2 〜2.0 %を含む低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材同士を、上記した(1)式を満足するようにCr、Ni、Mo、Cuを含有する溶接材料を用い、アーク溶接して低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接構造物とする。本発明の溶接構造物では、溶接部の溶接金属が(1)式を満足する量のCr、Ni、Mo、Cuを含み、溶接部での選択腐食の発生を防止できる。溶接構造物としては、ラインパイプを円周溶接したもの(パイプライン)、化学プラント用配管、橋梁などが例示される。
【0029】
【実施例】
(実施例1)
表1に示す化学成分を有する低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼管(219 mmφ×12.7mm肉厚)を母材とし、表2に示す化学組成を有する、3.2mm φのワイヤ(溶接材料)を用いて、Ar雰囲気中で入熱11〜17kJ/cm とするGTAW(ガスタングステンアーク溶接)により円周溶接して、溶接構造物(鋼管継手)を作製した。開先形状は70゜のV開先とした。従来例(溶接材料No.15 )として二相ステンレス鋼系溶接材料も使用した。なお、溶接金属のCr、Ni、Mo、Cu量を母材組成、溶接条件から予め予測し、溶接材料のCr、Ni、Mo、Cu量を調整した。また、円周溶接前後の熱処理は行わなかった。
【0030】
【表1】
Figure 0003576472
【0031】
【表2】
Figure 0003576472
【0032】
これら溶接構造物の円周溶接部について、API Standard 1104 に準拠して試験片を採取し、引張試験により継手部強度を、シャルピー衝撃試験により靱性を評価した。なお、引張試験結果は、溶接金属で破断した場合にはUMと表示し、溶接金属以外で破断した場合には○で表示した。また、シャルピー衝撃試験結果は、破面遷移温度が−40 ℃超の場合には×、−40 ℃以下の場合には○で表示した。
【0033】
また、溶接部の腐食試験を実施した。腐食試験は、5.0 MPa の炭酸ガスを飽和した10%NaCl水溶液(液温:165 ℃)中に、試験片を浸漬し、選択腐食の有無を目視および光学顕微鏡で観察した。浸漬時間は168hr とした。浸漬後の観察で選択腐食が発生した場合にはその部位を表示し、発生しなかった場合には○で表示した。
【0034】
それらの結果を表3に示す。
【0035】
【表3】
Figure 0003576472
【0036】
本発明例は、予熱および後熱を必要とせず、優れた強度および靱性を有する溶接金属が得られ、しかも溶接金属の選択腐食もなく、優れた耐食性の溶接部を有する低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接構造物となっている。
一方、本発明の範囲を外れる比較例(継手No.T−4 、No.T−5 、No.T−6 、No.T−7 、No.T−8 、No.T−9 、No.T−12 、No.T−16 、No.T−18 、No.T−19 )は、溶接金属の強度が低いか、溶接金属の靱性が劣化しているか、溶接金属部(WM)、熱影響部(HAZ)、母材部(BM)のいずれかに選択腐食が見られた。また、二相ステンレス鋼溶接材料を用いた従来例(継手No.W− 17)では、選択腐食がHAZ、BMで発生した。
【0037】
本発明の溶接材料を用い、本発明のアーク溶接方法を採用することにより、低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材の溶接が生産性高く、しかも安定して施工でき、優れた特性を有する溶接部が得られる。
(実施例2)
表1に示す化学成分を有する低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼管(219 mmφ×12.7mm肉厚)を母材とし、表2に示す化学組成を有する、0.9 〜1.2mm φのワイヤ(溶接材料)を用いて、GMAW(ガスメタルアーク溶接)により円周溶接して、溶接構造物(鋼管継手)を作製した。アーク溶接条件は、シールドガスをAr(Arと記す)、Ar+30vol %He(Ar/He と記す)、Ar+1vol %CO(Ar/COと記す)、Ar+30vol %He+1vol%CO(Ar/He/CO と記す)の4種、極性を逆極性とする直流溶接、正極性とする直流溶接、および電源を交流とする溶接の3種の中からそれぞれ選択し組み合わせたシールドガス、極性のGMAWとした。なお、入熱は12〜22kJ/cm とした。開先形状は70゜のV開先とした。なお、実施例1と同様に、溶接金属のCr、Ni、Mo、Cu量を母材組成、溶接条件から予め予測し、溶接材料のCr、Ni、Mo、Cu量を調整した。また、実施例1と同様に、円周溶接前後の熱処理は行わなかった。
【0038】
これら溶接構造物の円周溶接部について、実施例1と同様に、引張試験により継手部強度を、シャルピー衝撃試験により靱性を評価した。なお、引張試験結果、シャルピー衝撃試験結果の評価は、実施例1と同様に、溶接金属以外で破断した場合には○で、また、破面遷移温度が−40 ℃超の場合には×、−40 ℃以下の場合には○で表示した。
【0039】
また、溶接部の腐食試験を、実施例1と同様に実施し、耐食性の評価を実施例1と同様に、浸漬後の観察で選択腐食が発生した場合にはその部位を表示し、発生しなかった場合には○で表示した。
それらの結果を表4に示す。
【0040】
【表4】
Figure 0003576472
【0041】
本発明例は、シールドガス、極性等のアーク溶接条件を変化しても、予熱および後熱を必要とせず、優れた強度および靱性を有する溶接金属が得られ、しかも溶接金属の選択腐食もなく、優れた耐食性の溶接部を有する低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接構造物となっている。
一方、本発明の範囲を外れる比較例(継手No.M−6、No.M−7、No.M−17 )は、溶接金属の強度が低いか、溶接金属の靱性が劣化しているか、溶接金属部(WM)に選択腐食が見られた。
【0042】
本発明の溶接材料を用い、本発明のアーク溶接方法を採用することにより、低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材の溶接が生産性高く、しかも安定して施工でき、優れた特性を有する溶接部が得られる。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、予熱、後熱処理の省略が可能で、耐食性に優れ高靱性の溶接部を有する低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接構造物を生産性高く製作でき、産業上格段の効果を奏する。

Claims (11)

  1. 質量%で、
    C+N:0.02%以下、 Si:0.5 %以下、
    Mn:0.2 〜3 %、 Cr:11〜15%、
    Ni:2〜7%
    を含み、さらに、REM を0.3 %以下含み、あるいはさらに、Cu:2%以下、Mo:4%以下のうちの1種または2種
    を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼用溶接材料。
  2. 前記組成に加えてさらに、V、Tiのうちの1種または2種を合計で0.3 質量%以下含有する組成とすることを特徴とする請求項に記載の低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼用溶接材料。
  3. 質量%で、C:0.05%以下、Cr:10〜14%、Ni:1.0 〜7.0 %を含み、あるいはさらにMo:0.2 〜3.5 %および/またはCu:0.2 〜2.0 %を含む低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材をアーク溶接により溶接する方法であって、前記アーク溶接で用いる溶接材料を、質量%で、
    C+N:0.02%以下、 Si:0.5 %以下、
    Mn:0.2 〜3%、 Cr:11〜15%、
    Ni:2〜7%
    を含み、あるいはさらに、Cu:2 %以下、Mo:4%以下のうちの1種または2種を含有し、かつ溶接金属のCr含有量(CrW )、Ni含有量(NiW )、Mo含有量(MoW )、Cu含有量(CuW )が、前記低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材のCr含有量(CrB )、Ni含有量(NiB )、Mo含有量(MoB )、Cu含有量(CuB )との関係で、下記(1)式(Xが0以下の場合を除く)を満足する溶接金属となるように、Cr、Ni、Mo、Cuを含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する溶接材料とすることを特徴とする低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材のアーク溶接方法。

    −0.5 ≦X≦5.0 ………(1)
    ここに、X=(CrW −CrB )+(NiW −NiB )/2+(MoW −MoB )+(CuW −CuB )/4
    CrW 、NiW 、MoW 、CuW :溶接金属中の各元素の含有量(質量%)
    CrB 、NiB 、MoB 、CuB :低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材中の各元素の含有量(質量%)
  4. 前記溶接材料が、前記組成に加えて、さらに質量%で、V、Tiのうちの1種または2種を合計で0.3 %以下を含む組成を有する溶接材料であることを特徴とする請求項に記載の低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材のアーク溶接方法。
  5. 質量%で、C:0.05%以下、Cr:10〜14%、Ni:1.0 〜7.0 %を含み、あるいはさらにMo:0.2 〜3.5 %および/またはCu:0.2 〜2.0 %を含む低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材をアーク溶接により溶接する方法であって、前記アーク溶接で用いる溶接材料を、質量%で、
    C+N:0.02%以下、 Si:0.5 %以下、
    Mn:0.2 〜3%、 Cr:11〜15%、
    Ni:2〜7%
    を含み、さらにREM を0.3 %以下含み、あるいはさらに、Cu:2 %以下、Mo:4%以下のうちの1種または2種を含有し、かつ溶接金属のCr含有量(CrW )、Ni含有量(NiW )、Mo含有量(MoW )、Cu含有量(CuW )が、前記低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材のCr含有量(CrB )、Ni含有量(NiB )、Mo含有量(MoB )、Cu含有量(CuB )との関係で、下記(1)式を満足する溶接金属となるように、Cr、Ni、Mo、Cuを含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する溶接材料とすることを特徴とする低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材のアーク溶接方法。

    −0.5 ≦X≦5.0 ………(1)
    ここに、X=(CrW −CrB )+(NiW −NiB )/2+(MoW −MoB )+(CuW −CuB )/4
    CrW 、NiW 、MoW 、CuW :溶接金属中の各元素の含有量(質量%)
    CrB 、NiB 、MoB 、CuB :低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材中の各元素の含有量(質量%)
  6. 前記溶接材料が、前記組成に加えて、さらに質量%で、V、Tiのうちの1種または2種を合計で0.3 %以下を含む組成を有する溶接材料であることを特徴とする請求項に記載の低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材のアーク溶接方法。
  7. 質量%で、C:0.05%以下、Cr:10〜14%、Ni:1.0 〜7.0 %を含み、あるいはさらにMo:0.2 〜3.5 %および/またはCu:0.2 〜2.0 %を含む低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材をアーク溶接により溶接する方法であって、前記アーク溶接で用いる溶接材料を、質量%で、
    C+N:0.02%以下、 Si:0.5 %以下、
    Mn:0.2 〜3%、 Cr:11〜15%、
    Ni:2〜7%
    を含み、あるはさらに、Cu:2 %以下、Mo:4%以下のうちの1種または2種を含有し、かつ溶接金属のCr含有量(CrW )、Ni含有量(NiW )、Mo含有量(MoW )、Cu含有量(CuW )が、前記低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材のCr含有量(CrB )、Ni含有量(NiB )、Mo含有量(MoB )、Cu含有量(CuB )との関係で、下記(1)式を満足する溶接金属となるように、Cr、Ni、Mo、Cuを含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する溶接材料とし、前記アーク溶接をガスメタルアーク溶接とし、ワイヤをマイナス側(正極)とする正極性で溶接することを特徴とする低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材のアーク溶接方法。

    −0.5 ≦X≦5.0 ………(1)
    ここに、X=(CrW −CrB )+(NiW −NiB )/2+(MoW −MoB )+(CuW −CuB )/4
    CrW 、NiW 、MoW 、CuW :溶接金属中の各元素の含有量(質量%)
    CrB 、NiB 、MoB 、CuB :低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材中の各元素の含有量(質量%)
  8. 前記溶接材料が、前記組成に加えてさらに質量%で、V、Tiのうちの1種または2種を合計で0.3 %以下、および/またはREM を0.3 %以下を含む組成を有する溶接材料であることを特徴とする請求項に記載の低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材のアーク溶接方法。
  9. 質量%で、C:0.05%以下、Cr:10〜14%、Ni:1.0 〜7.0 %を含み、あるいはさらにMo:0.2 〜3.5 %および/またはCu:0.2 〜2.0 %を含む低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材をアーク溶接により溶接する方法であって、前記アーク溶接で用いる溶接材料を、質量%で、
    C+N:0.02%以下、 Si:0.5 %以下、
    Mn:0.2 〜3%、 Cr:11〜15%、
    Ni:2〜7%
    を含み、あるいはさらに、Cu:2 %以下、Mo:4%以下のうちの1種または2種を含有し、かつ溶接金属のCr含有量(CrW )、Ni含有量(NiW )、Mo含有量(MoW )、Cu含有量(CuW )が、前記低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材のCr含有量(CrB )、Ni含有量(NiB )、Mo含有量(MoB )、Cu含有量(CuB )との関係で、下記(1)式を満足する溶接金属となるように、Cr、Ni、Mo、Cuを含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する溶接材料とし、前記アーク溶接をガスメタルアーク溶接とし、該ガスメタルアーク溶接の溶接電源として交流電源を用いることを特徴とする低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材のアーク溶接方法。

    −0.5 ≦X≦5.0 ………(1)
    ここに、X=(CrW −CrB )+(NiW −NiB )/2+(MoW −MoB )+(CuW −CuB )/4
    CrW 、NiW 、MoW 、CuW :溶接金属中の各元素の含有量(質量%)
    CrB 、NiB 、MoB 、CuB :低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材中の各元素の含有量(質量%)
  10. 前記溶接材料が、前記組成に加えてさらに質量%で、V、Tiのうちの1種または2種を合計で0.3 %以下、および/またはREM を0.3 %以下を含む組成を有する溶接材料であることを特徴とする請求項に記載の低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材のアーク溶接方法。
  11. 質量%で、C:0.05%以下、Cr:10〜14%、Ni:1.0 〜7.0 %を含み、あるいはさらにMo:0.2 〜3.5 %および/またはCu:0.2 〜2.0 %を含む低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材同士を溶接してなる溶接構造物であって、前記溶接で形成される溶接金属のCr含有量(CrW )、Ni含有量(NiW )、Mo含有量(MoW )、Cu含有量(CuW )が、前記低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材のCr含有量(CrB )、Ni含有量(NiB )、Mo含有量(MoB )、Cu含有量(CuB )との関係で、下記(1)式(Xが0以下の場合を除く)を満足することを特徴とする低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接構造物。

    −0.5 ≦X≦5.0 ………(1)
    ここに、X=(CrW −CrB )+(NiW −NiB )/2+(MoW −MoB )+(CuW −CuB )/4
    CrW 、NiW 、MoW 、CuW :溶接金属中の各元素の含有量(質量%)
    CrB 、NiB 、MoB 、CuB :低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼材中の各元素の含有量(質量%)
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