JP3576254B2 - 現像剤用キャリヤおよびその製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は電子写真現像剤用のキャリヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
光導電性材料の表面上に静電気的手段により像を形成して現像する電子写真像形成法のうち,いわゆる磁気ブラシ現像法が広く普及している。この現像法は,トナーと磁性キャリヤ粒子からなる現像剤をブラシ様に配列させ,この磁気ブラシを静電像支持体表面と接触させてトナー粒子をブラシから潜像に静電気力により引き付けることにより可視像を形成し,この可視像を紙あるいはその他の支持体に転写せしめた後,熱等により定着することによって完了する。
【0003】
この磁気ブラシ法に用いられる微粉状のキャリヤ物質としては,強磁性を示す物質たとえば鉄粉,各種のフェライト粒子,マグネタイト粉等の各種のものが提案されているが,現在はフェライト系が主流を占めるようになっている。
【0004】
しかし最近,地球環境を守る動きが活発となり,廃棄物の規制に関しても従来の規制枠の大幅強化や規制元素の新規追加が行なわれるようになってきた。フェライトキャリヤは一般に二価金属のNi,Cu,Zn,Ba,Cd等を構成元素とするものであるから,該規制も強化される動きがある。かようなフエライト系キャリヤに代わる,有害元素を含有しない磁性材料としては鉄粉とマグネタイト等がある。
【0005】
マグネタイトすなわち Feの粒子を電子写真現像剤用キャリヤとして使用することに関しては,これまでにも数々の技術的な改良がなされてきた。
【0006】
例えばマグネタイトを該キャリヤ材料の構成の全部または一部とするものとして,特開昭59−228664 号公報,特開昭60−458号公報(特公平2−51505 号公報に対応),特開昭60−144758 号公報,特開昭61−20054号公報,特開昭61−284774 号公報,特開昭62−145256 号公報,特開昭62−238580 号公報,特公平2−60186 号公報および特開平6−329418〜9号公報等に記載された公知例がある。
【0007】
これら公知例のものは,いずれもそれなりの特徴を有するが,実際にキャリヤ材料として使用するとなると,それなりの問題を有しており,成功裏に使用されているものは殆んど見当たらない。
【0008】
例えば特公平2−51505 号公報には,純度が95%以上の微細なマグネタイトを原料としてこれを造粒し,1000℃以上で焼成して見掛け比重が2.0〜2.5の球形マグネタイト(Fe)とすることが記載されている。また特公平2−60186 号公報には,前述の特公平2−51505 号公報と同じ製法によって,ウスタイト含有率を10重量%以下,表面空孔率を20容量%以下とした球状マグネタイト粒子をキャリヤ材料とすることが記載されている。このウスタイトの生成は,原料マグネタイトを造粒する際のバインダーが焼成時に還元剤として作用するからであるとされており,ウスタイトが多いとキャリヤとしての磁気特性を劣化させ,磁気ブラシからキャリヤの飛散が発生すると指摘されている。
【0009】
また,特開昭62−238580 号公報には,前記2件の公報のようにマグネタイトを焼成して製造したキャリヤでは,中間調の再現性が悪く,コントラストの高い,高画質とは言えない画像しか得られないことが比較例で示され,このために,ヘマタイト粉末とマグネタイト粉末を均一に混合した水スラリーをスプレードライヤーにて噴霧造粒した後,焼結,解砕,分級する方法,或いは球形マグネタイト粒子を酸化する方法によって,ヘマタイトを含有するマグネタイト粒子とすることが提案され,これらの方法で得られたキャリヤの飽和磁化は40〜80emu/gの範囲のものが記載されている。しかし,かような方法では,各粒子の均一性を確保することが難しい。
【0010】
さらに,特開昭62−145256 号公報には,弱酸性の不活性ガス雰囲気下でマグネタイトを部分的にガス還元することによって,マグネタイト母相中にヘマタイト相を固溶させたキャリヤ粒子を得ることが記載されている。しかし,このガス還元では,ヘマタイトがマグネタイト相中に均一に固溶した状態の粒子となるので粒子表面部にもヘマタイトが存在することになる。このため,マグネタイト本来の磁気特性が十分に発揮できない。事実,その実施例ではその飽和磁化は63または78emu/gであると記載されている。
【0011】
さらに,特開平6−329418号公報および特開平6−329419号公報には,ヘマタイト粉に,炭素原子同士の単結合又は二重結合を有する液状又は粉末状物質を不活性ガス中で1200〜1450℃に加熱処理することによって,マグネタイト単相のキャリヤ粒子を得ることが記載されている。例えば, ポリビニールアルコール, ポリアクリルアミド, ポリカルボン酸塩,アセチレンブラック, グラフアイト等を還元剤として不活性ガス中で加熱処理すると,ヘマタイトはマグネタイトに完全に還元でき,単相マグネタイト粉が得られると記載されている。しかし,雰囲気や温度コントロールを誤るとヘマタイト相が残留するようになり,この場合には電気抵抗率の高い好ましくない粒子になると記載されている。このことは表面にヘマタイト相が残存することを表している。そして,かような化合物を還元剤とする場合には,化合物の分解を伴うのでその還元に寄与する量を厳密に調整することが難しい。すなわち,ヘマタイトをマグネタイトに還元するに必要十分な化学量論量に相当する当該還元剤量を求めることが難しいので,過少の還元剤量であれば前記のような形態でヘマタイトが残留し,過剰であればマグネタイト中に二価のFeすなわちFeO成分の量が多くなり,前記の特公平2−60186 号公報や特公平2−51505 号公報と同様にウスタイトの存在が問題となる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
前述のようにマグネタイト粒子を電子写真現像剤キャリヤとする各種の提案が種々なされてきたが,それぞれ得失があり,マグネタイトが本来有する磁気特性が完全に発揮でき且つ強度的にも電気抵抗の面でも良好なマグネタイト系キャリヤを安定して得る技術はこれまでのところ完成されていない。
【0013】
本発明は,このような背景のもとに,新規なマグネタイト系キャリヤの提供を目的としたものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば,マグネタイト系のキャリヤ粒子を用いた現像剤用キャリヤにおいて,前記のキャリヤ粒子が,中心部にヘマタイトからなる核を有し,このヘマタイト核の外側にマグネタイトからなる外側層が被着した複層構造の粒子であることを特徴とする現像剤用キャリヤを提供する。ここで,当該複層構造の粒子は,外側層のマグネタイト量が粒子全体の20〜95重量%の範囲にあり, 粒径が20〜500μmの実質上球形の粒子である。この複層構造の粒子はその個々がキャリヤ粒子の個々となるものであり,実際にはその個々の粒子に樹脂被覆されたうえ現像剤に供される。
【0015】
また,本発明によれば,ヘマタイトの造粒粉に対し,固体炭素質からなる粉状還元剤を,該造粒粉中のヘマタイトを全量マグネタイトに還元に要する量に満たない粉状還元剤の量比で均一に混合し,この混合物を非酸化性雰囲気または不活性ガス雰囲気下で950〜1300℃の温度に加熱保持することからなる,ヘマタイト核の外側にマグネタイト層をもつ複層構造粒子の製造法を提供する。そのさい,ヘマタイトの造粒粉はバインダーを用いて造粒することもできるが,造粒時のバインダーとして還元剤として作用するものを使用する場合には,当該粉状還元剤とバインダー中の還元剤との合計量が,ヘマタイトを全量マグネタイトに還元に要する量に満たない量とする。本発明で使用する固体炭素質の粉状還元剤は,コークス粉,木炭,チャー粉,カーボンブラック等の微粉である。
【0016】
【作用】
図1に,本発明のキャリヤ粒子の複層構造例をその断面写真で示した。図示の粒子は,外側のマグネタイト層が全体の約70重量%で,中心のヘマタイト核が約30重量%である。粒子の全体の粒径は約100μmであり,マグネタイト層の厚みは約17μmである。
【0017】
図1に見られるように,本発明のキャリヤ粒子は,ヘマタイト核の外側にマグネタイト層が被着した複層構造を有するものであり,外側は完全にマグネタイト層である。したがって,マグネタイトが本来有する理想的な磁気特性をそのまま具備する。そして,本発明粒子の飽和磁化はヘマタイト核の大きさによって自由に調節ができるという特質がある。すなわち飽和磁化を小さくしたければ,ヘマタイト核の大きさを大きくすればよい。その場合にも,外側はマグネタイトであるから電気特性や磁気特性にはバラツキが少ない。
【0018】
したがって,飽和磁化を小さくしても,その低い値が個々の粒子全体に均一に保持される結果,キャリヤ材として使用した場合に,得られる複写像は階調性に優れるという,これまでのものにはない特性を示す。すなわち,低磁力の場でもその磁力に応じたトナーを運ぶことができる結果,階調性のよい複写像が得られる。
【0019】
また,外側のマグネタイト層は比較的多孔質であるから,樹脂被覆が良好に行えるという特徴がある。そして,マグネタイト層が比較的多孔質であっても,中心部の緻密なヘマタイト核に接合しているので,粒子全体としては強度的に安定しており,使用中でも形状の崩れが少ないという特徴がある。
【0020】
そして電気的特性例えば電気抵抗について見ても,表面が均一なマグネタイト組成であるために粒子の接触点の変動による変化がなく,また帯電特性も均一であるといった特徴がある。したがって,本発明のキャリヤは,その表面にトナーを均一に担持できるのでむらのない高画質が得られる。
【0021】
本発明に従う複層構造のキャリヤ粒子は,ヘマタイトを微粉状の固体還元剤で直接部分還元することによって製造できる。すなわち,ヘマタイトと固体還元剤とを接触させた状態で,固体・固体同士の直接還元反応が起きるに十分な高温に不活性ガス中で加熱保持すると,固体還元剤と接触しているヘマタイトの表層部から還元が進行する。そのさい,ヘマタイトを全量マグネタイトに還元に要する量に満たない粉状還元剤の量比でヘマタイトと固体還元剤を均一に混合しておくと,この直接還元の進行がヘマタイトの中心に達するまでの途中の段階で停止する。つまり,固体還元剤による部分還元を行わせるのである。同じ部分還元でもガス還元では複層構造とはならない。還元性ガスが内部まで侵入してしまうからである。
【0022】
この固体還元剤によるヘマタイトの部分還元においては,還元剤がヘマタイトを全量マグネタイトに還元するに要する量より少ないのであるから,マグネタイトに全量還元されないことはもとより,FeOまで還元されることはないので遊離のウスタイトが生成することはない。
【0023】
本発明法で使用する原料ヘマタイトは,鉄鉱石を粉砕したもの,鋼板の酸洗い廃液より回収されたもの等が使用できるが,好ましくは一般フェライト用酸化鉄粉を使用するのが良い。
【0024】
本発明法によるヘマタイトの部分還元処理において,使用する粉状固体還元剤の量と種類並びに混合状態,還元雰囲気および還元温度は,当該複層構造の粒子とするうえで適切に選定されることが必要である。以下にこれらについて個別に説明する。
【0025】
粉状還元剤の量は前述のとおり,ヘマタイトを全量マグネタイトに還元に要する量に満たない量とし,この量比の選定により,複層構造のヘマタイトとマグネタイトの量比が実質上決定される。本発明のキャリヤ粒子は,外側のマグネタイト層が20〜95重量%,好ましくは50〜95重量%,さらに好ましくは70〜90重量%の割合で含有し,残部は実質的にヘマタイト核である。配合する還元剤の量は,目的とするこのマグネタイト層の含有量に応じて決定する。
【0026】
ヘマタイトの粉状炭素質還元剤による直接還元は次式で表される。
【0027】
3Fe + 1/2C→2Fe + 1/2CO
【0028】
したがって, Feを全量 Feに還元するに要するC量は Feの1/6 モルであり,これを重量%で表せば, ヘマタイト量に対し1.25%のC量が当量となるから,C量を1.25%より少ない割合で配合すればよい。
【0029】
粉状還元剤としては,コークス粉,木炭,チャー粉またはカーボンブラック等の微粉を使用する。いわゆる無定形炭素の微粉であるのがよい。これらは微粉であればあるほど好ましく,粒状や顆粒状のものであれば,これをすりつぶして微粉体として使用する。そして,この微粉状還元剤がヘマタイト粒子 (造粒粉) の表面を均一に覆うように,原料ヘマタイト (造粒粉) と均一に混合する。したがって,粉状還元剤は原料ヘマタイトの粒子に比べて一層小さな粒子であることが必要であり,数μm以下の微粉状で使用する。
【0030】
ヘマタイトの造粒粉はヘマタイト粉に適量の水と少量のバインダーを混合し,造粒・乾燥することによってえられるが,このバインダーが高温に加熱されたときに分解して還元作用を供するものでは,その還元作用を有する還元剤量も予め決定しておく必要がある。これは実験的に予め求めておくことができるので,バンイダー使用量から還元剤量を換算し,この還元剤量と粉状還元剤量の総量が,ヘマタイトを全量マグネタイトに還元に要する量に満たない量となるように調整する。いずれにしても,このバインダー中の還元剤量は粉状還元剤に比べて極僅かとなるようにすることが肝要である。さもないと,良好な複層構造の粒体とならない。
【0031】
この混合物を還元反応が進行するに十分な温度,具体的には950〜1300℃の温度範囲で不活性ガス中で加熱保持する。処理温度が950℃未満では焼結が不十分で強度不足となり,また1300℃を越える温度では粒子間の焼結が進みすぎて歩留りの低下をきたすので950〜1300℃の範囲,好ましくは1050〜1200℃の或る温度に一定に保持するのがよい。なお,本発明法によればウスタイト(FeO)が発生することはないので,焼成後の冷却過程での温度や雰囲気を特別にコントロールする必要性は全くない。加熱温度に保持する時間は,加熱温度によって異なるが,配合した還元剤の全てが還元に供されるに十分な時間であればよく,通常は3〜6時間の範囲にある。
【0032】
この還元処理は,密閉容器内に該混合物を装填した状態で前記の加熱温度に保持するのがもっとも便宜である。そのさい,密閉容器中には窒素やアルゴンなどの不活性ガスを封入し,加熱処理中は外部から還元性ガスも酸化性ガスも容器内に侵入するようなことはできるだけ避ける。もっとも,容器内容積の殆んどを占めるように混合物を装填する場合には,容器内に存在する酸素量は僅かであるので,この容器を密閉した状態で加熱処理した場合には,容器内は実質的に非酸化性雰囲気とすることができ,必ずしも不活性ガスを封入しなくてもよい場合がある。
【0033】
この還元処理によって,図1に示すような積層構造のキャリヤ粒子を得ることができるが,前記のようにグリーンペレットとして還元処理した場合には,これを解粒し,これを分級することによって,目標とする粒度をもつ複層構造の粒子が得られる。そして,従来のものと同様に樹脂被覆を施すことによって,キャリヤ粒子が得られる。
【0034】
本発明法によって得られる粒子は,従来提案されたマグネタイト系キャリヤ粒子と比べると次のような特徴的な性質がある。
【0035】
先ず本発明の粒子は,特開昭62−238580 号公報に記載されているような飽和磁化が40emu/g未満での粒子の磁気的な不均一性がない。この理由としては次のように考えられる。従来のヘマタイトを含むマグネタイト粒子は,ミクロ的に観察すると磁気を有するマグネタイトと磁気を有さないヘマタイトが一体的に混在した集合体に他ならない。従って,工業規模で製造されたキャリヤではヘマタイトの偏析等により磁気的な不均一さは避けられないと考えられる。これに対し,本発明の粒子ではヘマタイトとマグネタイトは相分離しており,表面の外側はマグネタイトであって,ヘマタイトは実質的に表出していない。このために,ヘマタイトの存在によって飽和磁化が例えば40emu/g未満のように低くなっていても,この低い値は各粒子の全体について示すのであり,粒子間のバラツキが発生しない。すなわち,飽和磁化が低くてもそのバラツキがない点で新規な特性を示し,これによって,本発明粒子をキャリヤとした場合には,階調性のよい画像を得ることができる。
【0036】
他方,ヘマタイト核を相対的に小さくすれば,飽和磁化の高いマグネタイト本来の特性を有するキャリヤ粒子となり,この場合には,外側部のマグネタイトは完全なマグネタイト単相となり,二価と三価のFeの配分比は化学量論量の当量となるから,ヘマタイト成分やウスタイト成分の変動がない。したがって,ヘマタイト成分やウスタイト成分による,マグネタイトの磁気特性のバラツキが発生せず,理想状態のマグネタイトが本来有する磁気特性と電気特性をそのまま具備し,高い飽和磁化を均一に有した粒子が得られる。
【0037】
また,中心部のヘマタイト核の大きさは粉状還元剤の配合量によって決定できるので,意図する磁気特性および電気特性の粒子を精度よく製造できる。この場合,磁気特性および電気特性をどのように調整しても,外側のマグネタイト層は比較的多孔質であるので,樹脂被覆性がよいという特徴がある。
【0038】
また,本発明法によれば,従来のマグネタイトキャリヤに比較して残留磁化を著しく低減することが出来る。従来提案された既述の公報記載のマグネタイトキャリヤは,残留磁化について明文の記載はないが,本発明のようにヘマタイトとマグネタイトが完全に相分離せず,一体的に混在しているもの,或いはウスタイト成分が多いものでは,本発明者らの実験では,残留磁化は150G以上を示した。これは市販のフェライトキャリヤの0〜80Gに比較して非常に大きな値である。これをトナーと混合し現像剤を作ってコピー機で実写すると,現像槽内での流動性が悪くなり,トナーに充分で均一な帯電付与が行なえず画質が劣化する結果となった。これに対し,本発明法によるマグネタイトキャリヤは残留磁化が100G以下となり現像剤として流動性が良好で,画質の劣化も認められなかった。なお,この実験での磁気特性は直流磁化測定器(横河北辰電機製 TYPE3257)を用いて測定した。
【0039】
【実施例】
〔実施例1〕
20Kgのヘマタイト粉末(同和鉱業株式会社製の商品名 DP−80)に,10Kgの水およびバインダーとしてポリビニールアルコール(信越化学株式会社製)50gを加えて混練してスラリーとした。このスラリーを200℃の温度でスプレードライヤーを用いて造粒乾燥した。得られた造粒粉に198gのカーボンブラック(三菱化学株式会社製の商品名MA−7)を均一に混合した。
【0040】
混合粉の全炭素量を分析すると1.12%であり,これはヘマタイトを全量マグネタイトに還元するに要する還元剤量の0.9倍に等しい。この混合粉を窒素を封入した容器内で1100℃の温度で3時間焼成した。得られた焼成品をハンマーミルで解粒,振動篩で分級し,65〜150μmの球状マグネタイト粒子を得た。
【0041】
得られた粒子を,表面磁場の強さが600Gの磁気選別機で磁選したところ,非磁性粉(弱磁性粉を含む)の量は1ppm以下であった。
【0042】
そして,該粒子を樹脂に埋め込み,粒子断面が現れるように研磨して粒子断面を顕微鏡観察したところ,いずれも中心の核のまわりに色調の異なる外部層の存在する複層構造を有することが観察され,これを分析すると,核はヘマタイトからなり,外部層はマグネタイト層であって,そのマグネタイトは粒子中平均90重量%であった。また,遊離のFeOは検出されなかった。
【0043】
この複層構造の粒子の磁気特性(飽和磁化σ, 残留磁化Br)を測定した。その結果を表1に示した。
【0044】
次いで,この複層構造の粒子5000gを,トルエンで固形分5%に希釈したアクリル樹脂(東亜合成化学株式会社製の商品名S−3103)の液100gに投入し,加熱しながら溶剤を蒸発させるディッピング法により該粒子に樹脂被覆を施し,樹脂被覆キャリヤを得た。
【0045】
このキャリヤを市販のトナー(三田工業株式会社製のDC1205用)とを混合して現像剤とし,乾式複写機で8万枚のコピーをしたところ中間調の再現が良好でキャリヤ上がりも発生しない良質の画像が最後まで継続して得られた。
【0046】
〔実施例2〕
カーボンブラックを66g,ポリビニールアルコールを50gとした以外は,実施例1と同様の処理を行って実施例1と同様の複層構造の粒子(粒径:65〜150μm)を得た。実施例1と同様に磁選処理したところ,非磁性粉(弱磁性粉を含む)の量は1ppm以下であった。得られた粒子は,ヘマタイト核が62重量%,外側層のマグネタイトが38重量%の複層構造を有していた。また遊離のFeOは検出されなかった。
【0047】
この粒子の磁気特性(飽和磁化σ, 残留磁化Br)を測定し,その結果を表1に示した。また,実施例1と同様に樹脂被覆して得たキャリヤを用いて,実写テトスを行ったところ,該粒子は飽和磁化が35emu/gと低いにも拘わらず,階調性のよい画質が得られ,8万枚のコピーをしてもその再現性が良好に保持された。
【0048】
〔比較例1〕
原料としてマグネタイト粉末20Kg(チタン工業株式会社製)を使用し,これをポリビニールアルコール(信越化学株式会社製)100gと共に水10Kgに加えて造粒原料とし,得られた造粒粉を実施例1と同様の方法で焼成,解粒,篩分けした。得られた粒子の諸物性値を表1に示した。この粒子は,X線回折の結果FeOのピークが観測された。この粒子を実施例1同様に樹脂被覆し,このキャリヤを用いて実施例1と同様の方法で実写テストを行なったが中間調の再現が悪く,初期からキャリヤ上がりも発生した。
【0049】
〔比較例2〕
原料としてマグネタイト粉末8Kg(チタン工業製)とヘマタイト粉末12Kg(同和鉱業製 DP−80)を使用し,これをポリビニールアルコール(信越化学製)100gと共に水10Kgに加えて造粒原料とし,得られ造粒粉を窒素雰囲気下で1200℃の温度で2時間焼成し,解粒,篩分けした。得られた粒子を,表面磁化600Gの磁気選別機で磁気選別したところキャリヤあがりの原因となる非磁性粉,弱磁性粉は100PPM発生した。また,得られた粒子の諸物性値を表1に示した。
【0050】
【表1】
Figure 0003576254
【0051】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複層構造のキャリヤ粒子の断面を示す金属顕微鏡写真である。

Claims (8)

  1. マグネタイト系のキャリヤ粒子を用いた現像剤用キャリヤにおいて,前記のキャリヤ粒子が,中心部にヘマタイトからなる核を有し,このヘマタイト核の外側にマグネタイトからなる外側層が被着した複層構造の粒子であることを特徴とする現像剤用キャリヤ。
  2. 複層構造の粒子は,マグネタイト量が20〜95重量%である請求項1に記載の現像剤用キャリヤ。
  3. 複層構造の粒子は,粒径が20〜500μmの実質上球形の粒子である請求項1または2に記載の現像剤用キャリヤ。
  4. 複層構造の粒子は,樹脂被覆されたうえ現像剤に供される請求項1,2または3に記載の現像剤用キャリヤ。
  5. ヘマタイトの造粒粉に対し,固体炭素質からなる粉状還元剤を,該造粒粉中のヘマタイトを全量マグネタイトに還元に要する量に満たない粉状還元剤の量比で均一に混合し,この混合物を非酸化性雰囲気または不活性ガス雰囲気下で950〜1300℃の温度に加熱保持することからなる,ヘマタイト核の外側にマグネタイト層をもつ複層構造粒子の製造法。
  6. 該混合物は,不活性ガス雰囲気下で950〜1300℃の温度に加熱保持され,その焼成品が解粒される請求項5に記載の製造法。
  7. 造粒時に使用されるバインダーが還元剤として作用するさいには,該粉状還元剤とバインダー中の還元剤との合計量が,ヘマタイトを全量マグネタイトに還元に要する量に満たない量とする請求項6に記載の製造法。
  8. 複層構造の粒子は,ウスタイトを含有しない請求項5,6または7に記載の製造法。
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