JPH0260186B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

産業上の利用分野 本発明は電子写真現像剤、特にトナーとキヤリ
ヤーとからなる二成分系現像剤におけるキヤリヤ
ー成分として有用なマグネタイト粒子に関する。 従来の技術 電子写真プリロスにおいて、感光体上に形成さ
れた静電荷像（潜像）を磁気ブラシ法により現像
する際に使用される電子写真現像剤はトナーとキ
ヤリヤーとの二成分系である。かかる二成分系現
像剤は、通常相対的に細かいトナー粒子と相対的
に粒度の大きいキヤリヤー粒子よりなり、トナー
粒子の接触により生ずる反対極性の静電力によつ
てキヤリヤー粒子表面上にトナー粒子が保持され
る。そして、このような状態の現像剤が感光体上
の静電荷像と接触するとトナー粒子が静電荷像に
引き付けられてトナー像を形成し、次いでこのト
ナー像が記録紙上に転写される。このようなプロ
セスにおいて、トナー粒子は感光体上の所望の潜
像領域へ優先的にかつ適切な量で引き付けられる
ような正確な帯電性及び電荷の大きさを有しなけ
ればならない。 他方、キヤリヤーについて要求される特性とし
ては、適切な摩擦帯電性を有してトナー粒子を保
持しかつ潜像へトナー粒子を引き渡すこと、粒子
破壊を起こさない程度に充分な機械的強さを有す
ること、流動性のよいこと、個々のキヤリヤー粒
子が電気的及び機械的特性において均一であるこ
と、湿度等の環境因子の変化に対して安定である
こと、長時間の使用に耐え得るだけの充分な耐久
性を有すること、等である。 従来かかるキヤリヤーとして種々の材料が使用
されてきているが、最も多く用いられているのは
鉄粉キヤリヤーである。鉄粉の表面を酸化処理し
たもの、あるいは粉粉の表面を樹脂で被覆したも
の等があるが、耐久性の面及び得られる画像の点
で充分満足すべきものではない。 またキヤリヤーとして酸化物磁性材料であるフ
エライトを用いることが提案されているが、従来
のフエライトキヤリヤーは耐久性の面では比較的
満足しうるものの、湿度等の環境因子変化に対し
て不安定であり、従つて安定した品質のコピー画
像を維持できない欠点がある。またフエライトの
特性として、電気抵抗が一般に高いため、コピー
画像のトーンが単調となり、従つて使用される用
途範囲が狭いという難点がある。フエライトキヤ
リヤーの環境依存性を改善するためにフエライト
粒子表面を樹脂被覆することも提案されている
が、それによりさらに電気抵抗の高いキヤリヤー
となり、この場合も画質（モノトーン傾向）の点
から用途範囲が限定されると共に、比較的高コス
トであり経済性の面でも不利である。 発明が解決しようとする問題点 本発明の主要な目的は、上述のような従来の電
子写真現像剤用キヤリヤーが有する諸欠点を解消
すること、及び画像特性のすぐれた耐久性のある
電子写真現像剤用キヤリヤーを提供することにあ
る。 問題点を解決するための手段 従つて、本発明によれば、30〜200μmの粒子
径、10重量％以下のウスタイト（FeO）有率及び
20容量％以下の表面空孔率を有する実質的に球状
のマグネタイト粒子が樹脂被覆されたものよりな
る電子写真現像剤用キヤリヤーが提供される。 球形マグネタイトは、フエライトに比較して電
気抵抗が低いため、その表面に樹脂を被覆するこ
とにより電気抵抗値を低い値から高い値にまで広
範囲にわたつて調節できるという特徴を有してい
る。耐久性を向上させる目的で、球形マグネタイ
トの表面を酸化処理してから、さらに樹脂被覆す
ることも可能であり、そのような追加の表面酸化
処理は公知の方法で実施しうる。従つて、このよ
うな手段によつて、種々の複写装置につき最適な
特性を有するキヤリヤーを調製し、供給すること
ができる。 球形マグネタイトは、その形状故に流動性が良
好である。また球状マグネタイトは見掛比重が比
較的低いので耐久性の面で有利である。 球形マグネタイトは次の方法により製造でき
る。 マグネタイト粉末を球状に造粒し、所定の雰囲
気及び温度で焼成を行ない、焼成終了後、粒子を
解砕ないし分散させ、次いで所望の粒度に分級す
る。一般的に造粒時にはバインダーを用いるの
で、造粒した粒子中のバインダーが焼成時に還元
剤として作用し、マグネタイト（Fe₃O₄）を還元
するため、可成りの量のウスタイト（FeO）が生
成する。通常15〜20％のウスタイトが生成する
が、これが多量に生成するとキヤリヤーとしての
磁気特性を低下させるので好ましくない。特に飽
和磁化の低下は、磁気ブラシからキヤリヤーの飛
散を招き、コピー画像の黒ベタ部での自斑、文字
部での文字抜け等の致命的欠陥を引き起こす。 本発明者等はウスタイト含有率が10％以下、特
に好ましくは３％以下の場合、球形マグネタイト
がキヤリヤーとして使用しうることを見い出し
た。この様なマグネタイトは前記製法における焼
成後の冷却工程において温度及び雰囲気をコント
ロールすることによつて得られる。 例えば、冷却工程中の800℃から150℃程度まで
の温度範囲で、雰囲気を水蒸気と窒素との混合ガ
スからなるようにし、その水蒸気含量を約40％と
することにより、ウスタイト（FeO）の含有率を
10％以下に調整することができる。 マグネタイトのウスタイト含有率はＸ線回析法
によつて測定することができ、Ｘ線回析図のマグ
ネタイトの最強回析線の面積（Sm）とウスタイ
トの最強回析線の面積（Sw）を、Ｘ線回析図か
ら作図により求め、次式により算出した。 FeO（％）＝Sw／Sm＋Sw×100 また本発明の球形マグネタイトの粒子径は30〜
200μmであることがキヤリヤーとして好ましい。 前述の通り、本発明の球形マグネタイトの表面
は、耐久性向上のためにさらに酸化処理して酸化
層で覆うことができ、しかる後に樹脂でさらに被
覆することもできる。 本発明の球状マグネタイトの表面空孔率もキヤ
リヤー性能上及び実用経済性からみて非常に重量
であることが判明した。この理由は空孔率が高い
と表面酸化工程においてコア材であるマグネタイ
トの内部にまで酸化が進み、キヤリヤーとしての
磁気的特性を低下させ、結果としてコピー画質の
低下を招く。また空孔率が高いと樹脂被覆する場
合、被覆に必要な樹脂の使用量が増加し、製造コ
ストを高くする。従つて本発明における球形マグ
ネタイトの表面空孔率は、20容量％以下、特に好
ましくは10％以下とすべきである。この表面空孔
率はポロシメーター〔カルロ・エルバ（Carlo
Erba）社製の「Porosiometro Mod200」（商
標）〕を用いキヤリヤー粒子の水銀浸透度を測定
することにより求めた。 ウスタイト含有率が10％以下であり、かつ表面
空孔率が20％以下の30〜200μmの球形マグネタイ
トに樹脂被覆する場合は、メチルエチルケトン、
キシレン、ｎ−ブタノール、メチルシクロヘキサ
ン、メチルイソブチルケトン、トルエン等の溶剤
に樹脂成分を溶解し、この樹脂溶液にコア材であ
るマグネタイトを浸漬するか、あるいはコア材を
流動化させてそれに樹脂溶液をスプレーする。被
覆後は、使用した樹脂の種類により所定の温度で
熱処理を行ない、被覆キヤリヤーを得ることがで
きる。 本発明のマグネタイトキヤリヤーの被覆材とし
て使用する樹脂には特に制限はなく、通常の溶剤
に可溶な樹脂であれば任意に使用できる。樹脂被
覆の量は、樹脂の種類及び複写機の種類によつて
その最適量が変るが、塩化ビニル樹脂、フエノー
ル樹脂、アクリル樹脂及びシリコン樹脂等のキヤ
リヤー被覆材として一般的に用いられているもの
では、コア材に対して0.1〜３％の範囲が適当で
あろう。 〔実施例〕 本発明を以下の実施例によりさらに説明する。 実施例 １ 粒子径が75〜150ミクロンで、ウスタイトの含
有率が19％、13％、８％及び２％の球形マグネタ
イトＡ，Ｂ，Ｃ及びＤ（表面空孔率10〜６％）を
コア材として用い、これらのそれぞれのコア材に
対してアクリル樹脂を１％被覆して、被覆マグネ
タイトキヤリヤーとした。これらの被覆マグネタ
イトキヤリヤー各970ｇ及び市販の磁気ブラシ用
負（陰）帯電トナー各30ｇを１ポリエチレンビ
ンに秤りとり、75rpmで１時間撹拌混合して現像
剤を調製した。 これらの現像剤を用いてSe感光体上の静電潜
像を現像した際のSe感光体上へのキヤリヤー上
りについての結果を、キヤリヤーの諸特性（FeO
％、磁気特性、見掛け密度）と共に表１に示す。

【表】 Ａキヤリヤーを用いた場合は、キヤリヤー上り
が多く、初期画像の段階で文字抜け等が顕著であ
り使用に耐えないものであつた。Ｂキヤリヤーの
場合はキヤリヤー上りは少ないが約10000枚の連
続コピーを行なつた時点で、Se感光体上の傷が
顕著となり、コピー品質の著しい低下をきたし
た。これに対しＣ及びＤキヤリヤーは、50000枚
の連続コピー後でも初期の画像品質を維持した鮮
明なコピー画像が得られ、耐久性も優れているこ
とが判明した。 実施例 ２ 粒子径が75〜150μmで表面空孔率の異なる３種
の球形マグネタイトについて、コア材の表面空孔
率と、100Vで測定した場合のキヤリヤー電流
（電気抵抗値）によつてみた磁気特性を同一にす
るために必要な樹脂量との関係を求めた。その結
果を表２に示す。

【表】

【表】 球形マグネタイトの表面空孔率が高いと低いも
のに比較して同様の抵抗値を得るために多量の樹
脂を必要とする。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 30〜200μmの粒子径、10重量％以下のウスタ
   イト（FeO）含有率及び20容量％以下の表面空孔
   率を有する実質的に球状のマグネタイト粒子が樹
   脂被覆されたものよりなる電子写真現像剤用キヤ
   リヤー。 ２ マグネタイト粒子の表面が追加的に酸化処理
   されている特許請求の範囲第１項に記載のキヤリ
   ヤー。 ３ マグネタイト粒子の表面が樹脂により被覆さ
   れている特許請求の範囲第１または２項に記載の
   キヤリヤー。