JP3575850B2 - 腰掛 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、後方の着座者用の足載せ装置を備えた腰掛に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄道車両、自動車、或いは船舶などに配置される腰掛に、その後方の腰掛の着座者が足を載せ、安楽な姿勢をとることができるように、後方の着座者用の足載せ装置を設けることは従来より周知である。
【0003】
図7は鉄道車両の車室内に配置された腰掛の従来例を示す概略図であり、ここに示した腰掛1Aは、車室のフロア2Aに不動に支持された脚台3Aと、この脚台3Aに支持された台枠4Aと、この台枠4Aに支持されたシートクッション5A及びシートバック6Aと、後方の着座者によって使用される足載せ装置7Aとを有していて、台枠4Aの側部には、アームレスト8Aが固定されている。鉄道車両の車室内には、このような腰掛がその車両の前後方向に多数配列されていて、図7には、上述した腰掛1Aの前方と後方に配置された腰掛9A,10Aが示されている。腰掛1Aのシートクッション5Aは、これに着座した図示していない着座者の尻部を支え、シートバック6Aはその着座者の背部を支える。またアームレスト8Aは着座者が肘を載せるものである。
【0004】
図7に示した足載せ装置7Aは、脚台3Aに固定されたベース部材11Aと、その自由端側に枢着された足載せ部材12Aを有し、その足載せ部材12Aは実線で示した使用位置と一点鎖線で示した格納位置との間を回動可能である。後方の腰掛10Aの着座者P1が足載せ装置7Aを使用するときは、その足載せ部材12Aを実線で示した使用位置にもたらし、その上に足を載せる。足載せ装置7Aを使用しないときは、足載せ部材12Aを一点鎖線で示した格納位置に収め、これが着座者P1の邪魔とならないようにする。
【0005】
ここで、鉄道車両の腰掛は、その車両の進行方向がいずれのときも、着座者が常に前方を向けるように、台枠4Aが脚台3A上に回転可能に支持されている。すなわち、腰掛1Aの台枠4Aは、脚台3Aが固定されたフロア2Aの上面に対してほぼ平行な平面を少なくとも180°の角度範囲、回転可能に脚台3Aに支持されており、他の腰掛9A,10Aにおいても同様である。
【0006】
図7は、鉄道車両が矢印Pで示す方向に前進するときの各腰掛の第1の向きを示しているが、その鉄道車両が図8に示すように矢印Qの方向に前進するときは、各腰掛の台枠4Aがこれに支持されたシートクッション5A及びシートバック6Aと共に、180°回転され、各腰掛は図8に示した第2の向きにセットされる。
【0007】
ここで、腰掛1Aが図7に示した第1の向きを占めているときは、その腰掛1Aの後方に位置する腰掛10Aの着座者P1によって、その腰掛1Aの足載せ装置7Aが使用されるが、腰掛1Aが図8に示した第2の向きを占めると、図7の状態ではその前方に位置していた腰掛9Aが、その後方の位置を占めることになる。従って、このとき腰掛1Aの後方に位置する腰掛9Aの着座者P2用の足載せ装置7Bを、その腰掛1Aに設ける必要がある。このように1つの腰掛1Aの脚台3Aに、それぞれベース部材と足載せ部材を有する2つの足載せ装置7A,7Bを設けなければならないのであるが、これによって腰掛のコストが上昇する欠点を免れない。
【0008】
また、図7に示した足載せ装置7Aを使用する着座者P1の身長の低いとき、足載せ部材12Aの長さが短かいと、その着座者の足が足載せ部材12Aに届かないことがある。このような不具合を阻止するには、図7に破線で示す如く、足載せ部材12Aの長さを大きく設定すればよい。ところが、この構成によると、足載せ部材12Aを点線で示すように格納位置に回動させたとき、その足載せ部材12Aが脚台3Aよりも上方に突出することになり、従ってこの状態で台枠4Aを前述のように回転させようとしても、台枠4Aの後部、例えばその台枠4Aの図示していない後部カバーが点線で示した足載せ部材12Aに干渉し、台枠4Aを回転させることができなくなる。このため、足載せ部材12Aの長さをあまり大きく設定することができず、これによって身長の低い着座者P1が足載せ部材12Aに足を載せることができないことがあったのである。
【0009】
また、身長の低い着座者の足が届くように、足載せ装置のベース部材11Aを長く形成することも考えられるが、このようにすると、使用されていない足載せ装置のベース部材が着座者の踵に当ってしまうおそれがある。例えば、図7に符号111Aで示したベース部材を長くすると、着座者P1の踵がこのベース部材111Aに当り、着座者に不快感を与えることになる。このため、ベース部材についても、これをあまり長く形成することはできず、身長の低い着座者が足載せ部材に足を載せることができないことがあった。
【0010】
上述した各種の不具合を除去するため、図9に示すように、腰掛1Aの脚台3Aではなく、その台枠4Aの方に回動アーム11Cを上下方向に揺動可能に枢支すると共に、その回動アーム11Cの自由端側に足載せ部材12Cを支持した足載せ装置7Cが提案されている。この足載せ装置7Cを使用するときは、その回動アーム11Cと足載せ部材12Cを図9に実線で示した位置にもたらし、腰掛1Aの後方の着座者P1がその足載せ部材12Cの上に足を載せる。足載せ装置7Cを使用しないときは、その回動アーム11Cと足載せ部材12Cを図9に一点鎖線で示した格納位置に跳ね上げる。このとき、足載せ部材12Cと回動アーム11Cは、共に脚台3Aよりも上方の位置を占めている。
【0011】
上述した構成によれば、台枠4Aをシートバック6A及びシートクッション5Aと共に180°回転させ、これらを図10に示した第2の向きにセットするとき、足載せ装置7Cの回動アーム11Cは台枠4Aに支持されているので、その足載せ装置7Cは台枠4Aと一緒に回転する。従って、腰掛1Aが図10に示した第2の向きを占めると、その足載せ装置7Cは、このとき後方に位置する腰掛9Aに対向する。このため、このときの後方の腰掛9Aの着座者P2は、同じ足載せ装置7Cを使用することができる。すなわち、腰掛1Aに1つの足載せ装置7Cを設けておけば、その腰掛1Aがいずれの向きを占めたときも、その後方に位置する腰掛の着座者が同じ足載せ装置7Cを使用することができるのである。このため、1つの腰掛1Aに1つの足載せ装置7Cを設けるだけで足り、腰掛のコストを確実に低減することができる。
【0012】
しかも、足載せ装置7Cの回動アーム11Cは台枠4Aに支持され、その足載せ装置7Cの非使用時には、回動アーム11Cと足載せ部材12Cが脚台3Aよりも上方に退避しているので、足載せ部材12Cを長く形成しても、台枠4Aの回転時に回動アーム11Cと足載せ部材12Cが脚台3Aに干渉することはなく、台枠4Aを支障なく回転させることができる。また、足載せ装置7Cの非使用時に、その回動アーム11Cが着座者の踵に当る不具合も回避できる。このように足載せ部材12Cを長く形成し、これをその後方の着座者の側に大きく張り出すことができるので、身長の低い着座者も確実に足載せ部材12Cに足を載せることができる。
【0013】
上述の如く、図9及び図10に示した腰掛は、図7及び図8に示した腰掛の欠点を除去することができる。ところが、図9及び図10に示した腰掛1Aにおいては、その足載せ装置7Cの回動アーム11Cが腰掛1Aの台枠4Aに支持されているので、その後方の着座者P1又はP2が足載せ部材12Cに勢いよく足を載せるなどして、足載せ部材12Cに衝撃力を加えると、これが直に台枠4Aに伝えられる。従って、その衝撃はシートクッション5Aを介して腰掛1Aの図示していない着座者に直接的に伝達され、その着座者に多大な不快感を与えることになる。
【0014】
図9及び図10に示した腰掛にはこのような欠点があるため、従来は一般に図7及び図8に示した形式の腰掛が採用されている。ところが、これによると前述した各種の欠点を免れない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述した従来の各種の欠点を一挙に解決した腰掛を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、フロアに不動に支持された脚台と、該脚台が固定されたフロア上面に対してほぼ平行な平面を少なくとも180°の角度範囲、回転可能に前記脚台に支持された台枠と、該台枠に支持されたシートクッションと、台枠に支持されたシートバックと、後方の着座者によって使用される足載せ装置とを有し、前記台枠、シートクッション及びシートバックを、第1の向きと、この第1の向きに対して、フロア面に対しほぼ平行な平面をほぼ180°回転させた第2の向きとのいずれかの向きにセットして使用する腰掛において、前記足載せ装置が、後方の着座者用の足載せ部材と、該足載せ部材を自由端側に支持すると共に、当該足載せ部材が前記脚台よりも上方に退避した格納位置と該格納位置よりも下方の使用位置との間を移動できるように、前記台枠の後部に、上方位置と下方位置との間を回動可能に枢支された回動アームとを具備し、前記台枠、シートクッション及びシートバックが前記第1の向きにセットされ、又は前記第2の向きにセットされた状態で、前記足載せ部材を使用位置にもたらしたとき、前記回動アームを前記脚台に対して不動に係止する第1及び第2のロック装置を脚台にそれぞれ設け、前記回動アームを上方位置にもたらしたとき、該回動アームも、前記脚台よりも上方の位置を占めるように、当該回動アームの回動角度範囲を設定したことを特徴とする腰掛を提案する。
【0017】
その際、前記各ロック装置は、前記回動アームをその下方位置にもたらしたとき、当該回動アームに付設された係合部に係合して、該回動アームをその下方位置に停止させると共に、回動アームを上方位置にもたらすべきときは、当該係合部との係合を解除されるロック部を有し、前記回動アームには、当該回動アームを下方位置にもたらしたとき、脚台の側に当接して回動アームをその下方位置に停止させるストッパ部が付設され、前記ロック部と係合部が互いに係合したとき、その係合位置が、前記脚台に対する回動アームの枢支部よりも下方の位置を占め、かつ前記ストッパ部が脚台の側に当接したとき、その当接位置が、ロック部と係合部の係合位置よりも下方の位置を占めるように、回動アームの枢支部の位置と、該回動アームに対する係合部とストッパ部の配設位置と、ロック部の位置とをそれぞれ設定すると有利である。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に従って詳細に説明する。
【0019】
図1及び図2は本発明一実施例の腰掛1の概略を示す側面図であり、図3はその腰掛1を斜め後方から見た斜視図である。これらの図に示すように、腰掛1は鉄道車両の車室内に配置されていて、その車室のフロア2上に不動に支持された脚台3と、この脚台3上に支持された台枠4と、さらにこの台枠4の上に着脱可能に支持されたシートクッション5と、同じく台枠4の後部に傾倒可能に支持されたシートバック6と、後方の着座者P1又はP2によって使用される足載せ装置7とを有しており、台枠4の側部にはアームレスト8が固定されている。本例では、シートバック6の骨格を構成するシートバックフレーム(図示せず)の下部が、台枠4の後部の台枠パイプに枢着されている。かかるシートバック6は腰掛1の着座者(図示せず)の背部を支え、シートクッション5はその着座者の尻部を支え、さらにアームレスト8は着座者の肘を支える用をなす。
【0020】
台枠4は、脚台3が固定されたフロア上面に対してほぼ平行な平面を少なくとも180°の角度範囲、回転可能に脚台3上に支持されている。これにより、鉄道車両が図1に矢印Pで示した向き(本例では、これを第1の向きとする)に前進するとき、腰掛1は図1に示した前方の向きを占め、鉄道車両が図2に矢印Qで示した向き(同じく、これを第2の向きとする)に前進するときも、腰掛1は図2に示した前方の向きを占めることができる。図1及び図2に示した例では、台枠4に突設された回転中心ピン14が脚台3に設けられた孔15に回転自在に嵌合し、これによって台枠4が脚台3に対して回転可能に支持される。腰掛1の前後に位置する腰掛9,10も全く同様に構成されている。
【0021】
上述のように、腰掛1は、その台枠4、シートクッション5、及びシートバック6を、第1の向きと、この第1の向きに対して、フロア面に対しほぼ平行な平面をほぼ180°回転させた第2の向きとのいずれかに向きにセットして使用するものである。
【0022】
ここで、先ず足載せ装置7の概略構成を明らかにする。図1、図3、図4及び図5に示すように、足載せ装置7は後方の着座者P1用の足載せ部材12と、台枠4に上下方向に回転可能に支持された左右一対の回動アーム11を有している。足載せ部材12は、一対の回動アーム11の自由端側に、同心状の一対の枢ピン40を介して回動可能に支持されており、かかる足載せ部材12は、図1、図3及び図4に実線で示した突出位置と、破線で示した折り畳み位置との間を回動することができる。足載せ部材12は、これを突出位置にもたらしたとき、回動アーム11に付設された図示していないストッパに当り、当該足載せ部材12がその位置に保持される。また足載せ部材12を折り畳み位置にもたらしたときも、回動アーム11に突設されたストッパ16に足載せ部材12が当り、これがその折り畳み位置に保持される。
【0023】
回動アーム11は、台枠4の後部、本例ではその台枠パイプ13に後に詳しく説明する態様で回動可能に枢支されている。すなわち、足載せ部材12が、図1、図3及び図4に一点鎖線で示したように脚台3よりも上方に退避した格納位置と、これらの図に実線又は破線で示した如く上記格納位置よりも下方の使用位置との間を移動できるように、回動アーム11が、台枠4の後部に回動可能に枢支されているのである。回動アーム11は、図1、図3及び図4に実線で示した下方位置と、一点鎖線で示した上方位置との間を回動可能に台枠4の後部に枢支され、かかる回動アーム11が下方位置を占めることによって、足載せ部材12が使用位置にもたらされ、回動アーム11が上方位置に回動することによって、足載せ部材12が格納位置に収められる。その際、回動アーム11を一点鎖線で示した上方位置にもたらしたとき、これに伴って格納位置に収められた足載せ部材12だけでなく、回動アーム11も、脚台3より上方の位置を占めるように、回動アーム11の回動角度範囲が設定されている。
【0024】
なお、回動アーム11を上述の如くその上方位置と下方位置との間で回動させるとき、足載せ部材12は、突出位置を占めていても、また折り畳み位置を占めていてもよい。図1、図3及び図4の一点鎖線は、足載せ部材12を折り畳み位置にもたらした状態で、回動アーム11を上方位置に回動させ、その足載せ部材12を格納位置に収めた状態を示している。
【0025】
また、腰掛1には、その台枠4、シートクッション5、及びシートバック6が図1に示した第1の向きにセットされ、又は図2に示した第2の向きにセットされた状態で、回動アーム11を下方位置に下げて足載せ部材12を使用位置にもたらしたとき、回動アーム11を脚台3に対して不動に係止する第1のロック装置17と第2のロック装置117が脚台3にそれぞれ設けられている。これらのロック装置の具体的構成と作用は後に詳しく説明するが、かかるロック装置17,117は、鉄道車両の前後方向でもある腰掛1の前後方向における脚台3の一方の側と他方の側に対称に配置されている。
【0026】
ここで、腰掛1を図1に示した第1の向きにセットした状態で、その後方に位置する腰掛10の着座者P1が、腰掛1の足載せ装置7を使用するときは、その回動アーム11を実線で示した下方位置に回動させ、足載せ部材12を実線又は破線で示した使用位置にもたらす。このとき、回動アーム11は脚台3に設けられた第1のロック装置17によって脚台3に不動に係止される。この状態で後方の着座者P1は、その足載せ部材12上に足を載せ、安楽な姿勢をとることができる。その際、着座者P1の身長が小なるときは、足載せ部材12を実線で示した突出位置にもたらし、その足載せ部材12を着座者P1の近くに配置する。身長の大なる着座者P1が足載せ装置7を使用するときは、これを破線で示した折り畳み位置に回動させ、これを着座者P1から離れた位置に配置する。このように、本例の足載せ部材12は、図1、図3及び図4に実線で示した突出位置と、破線で示した折り畳み位置のいずれかの使用位置で用いられるのである。
【0027】
足載せ装置7を使用しないときは、回動アーム11を図1、図3及び図4に一点鎖線で示した上方位置に回動させ、足載せ部材12を格納する。これにより、足載せ部材12と回動アーム11が着座者P1の邪魔となることはない。
【0028】
腰掛1の向きを変えるときは、回動アーム11を上方位置に跳ね上げて足載せ部材12を格納し、この状態で、台枠4をシートクッション5とシートバック6と共にフロア2の面に対してほぼ平行な平面上にて180°回転させる。これによって、台枠4、シートクッション5及びシートバック6を図2に示す第2の向きに回転させることができる。このとき、回動アーム11は台枠4に支持されているので、その台枠4の回転時に、回動アーム11と足載せ部材12も台枠4と共に回転し、腰掛1が図2に示した第2の向きにセットされたとき、足載せ装置7は、このときの腰掛1の後方に位置する腰掛9に対向して位置する。従って、その後方の腰掛9の着座者P2が、足載せ装置7を上述したところと全く同様にして使用することができる。その使用時に、回動アーム11は、脚台3に設けられた前述の第1のロック装置17と反対側に設けられた第2のロック装置117によって脚台3に不動に係止される。このように腰掛1には、脚台3に付設された2つのロック装置17,117が設けられており、他の腰掛9,10においても同様である。
【0029】
上述したところと全く同様にして、台枠4を再び図1に示した第1の向きに回転させることによって、足載せ装置7はその後方の着座者P1によって使用される。
【0030】
台枠4を上述のように回転させるとき、足載せ部材12と回動アーム11は共に脚台3よりも上方の位置を占めているので、これらが脚台3に干渉することはなく、支障なく台枠4を回転させることができる。
【0031】
上述した構成によれば、腰掛1を図1又は図2に示した第1と第2のいずれの向きにセットしたときも、同一の足載せ装置7が、その腰掛1の後方に位置する腰掛10,9に向き合うので、そのいずれの腰掛10,9の着座者も使用することができ、よって各腰掛に1つの足載せ装置を設ければよい。のみならず、足載せ装置7の非使用時に、足載せ部材12と回動アーム11を脚台3よりも上方に退避させることができるので、足載せ部材12を長く形成しても、台枠4の回転時に、その足載せ部材12が脚台3に干渉することはなく、しかも非使用状態にある足載せ部材12に着座者の踵が当る不具合も阻止できる。このように足載せ部材12を長く形成し、これを後方の着座者の側に大きく張り出させることによって、身長の低い着座者の足も充分に足載せ部材12に届くことになる。特に本例では、足載せ部材12を、突出位置と折り畳み位置とに回動可能に、回動アーム11に支持したので、上述した効果をより一層確実なものにすることができる。このようにして、本例の腰掛1によっても、図9及び図10に示した腰掛と全く同様な利点が得られ、図7及び図8に示した従来の腰掛の欠点を除去することができる。
【0032】
しかも、足載せ装置7を使用しているとき、その回動アーム11が、第1又は第2のロック装置17又は117によって脚台3に不動に係止されるので、腰掛1の後方の着座者P1又はP2が、足載せ部材12上に足を勢いよく載せたときも、その衝撃力は脚台3で受け止められ、ここで吸収され、その衝撃が腰掛1の図示していない着座者に直に伝えられることを抑制でき、その着座者に不快感を与える不具合を除去できる。
【0033】
上述の如く、本例の腰掛1によれば、図7乃至図10に示した従来の腰掛の欠点を全て除去することができる。
【0034】
次に、上述した足載せ装置7のより具体的な構成例を図3乃至図6を参照して説明する。
【0035】
図3乃至図5に示すように、台枠4の後部の台枠パイプ13は腰掛1の横方向に延びており、かかるパイプ13に逆U字形の支持部材18が固着され、その長手方向各端部領域にそれぞれブラケット19が一体に固着されている。これらブラケット19には筒状部材42が固着され、両ブラケット19と筒状部材42には腰掛1の横方向に延びる支持軸20が貫通し、この支持軸20が両ブラケット19に固定されている。さらに、この支持軸20の長手方向各端部が、互いに平行に位置する左右の回動アーム11の基端部にそれぞれ一体に固着された筒部11aに嵌合し、各回動アーム11に形成された貫通孔に、それぞれねじ41が挿入され、その各ねじ41が支持軸20の各端面に形成されたねじ孔20aに螺着されている。各回動アーム11は、ねじ41に対して回転自在である。このようにして、回動アーム11が台枠4の後部に回動可能に枢支されるのである。これらの回動アーム11の自由端側に、枢ピン40を介して足載せ部材12が枢支されていることは先に述べた通りである。
【0036】
また支持軸20の各端部領域には、各筒部11aに収容された状態で、回動アーム付勢手段の一例であるねじりコイルばね21のコイル部がそれぞれ巻回され、その各ばね21の一方の端部はブラケット19に係止され、他方の端部は回動アーム11にそれぞれ係止されている。これによって回動アーム11は、図3及び図4に一点鎖線で示した上方位置へ向けて付勢される。このようにして足載せ装置7の非使用時に、回動アーム11はその上方位置に持ち上げられ、足載せ部材12が格納位置に収められる。このとき、台枠4の側に設けた図示していないストッパに回動アーム11が当接して、その回動アーム11が上方位置にて不動に停止する。なお、図3及び図4に符号37で示すものは、台枠パイプ13を覆う台枠4の後部カバーである。
【0037】
両回動アーム11の間には、係合部の一例であるロックピン32と、ストッパ部の一例であるストップピン35が配置され、これらのピン32,35の各端部が各回動アーム11に固定されている。
【0038】
一方、第1のロック装置17は、図6にも示すように、脚台3に不動に固定されたケース22を有し、脚台3と反対側のケース部分には切欠23が形成され、しかもこのケース22の下部は開口している。ケース22の内部には、腰掛1の横方向に延び、ケース22の両側壁に回転自在に支持された支軸24が配置されており、この支軸24には規制リンク25の上部が固着されている。規制リンク25は、支軸24と共に、矢印Aで示すように腰掛1の前後方向に揺動することができる。この規制リンク25は、その下部がケース22の下部開口からケース外に突出し、その下部には、腰掛1の横方向に延びる連結棒26の一端が固定されている。
【0039】
また図3及び図6に示すように、脚台3にはペダル支持部材27が固着され、この支持部材27にピン28を介して足載せ跳ね上げ用のペダル29の上部が枢着されている。かかるペダル29は、ピン28を中心として、矢印B又はCで示すように腰掛1の前後方向に揺動することができるが、通常は図示していないばねによって、図6に示した位置に付勢され、この位置に停止している。またペダル29の下部に、前述の連結棒26の他端が固定されている。
【0040】
支軸24には、図4及び図6に示すように、ロック部の一例である一対のロック部片30が固着され、また規制リンク25とケース22との間には引張ばね31の各端部がそれぞれ係止され、そのばね31の作用によって規制リンク25は図4及び図6における反時計方向に回動付勢され、通常は、そのばね力でケース22に当接してこれらの図に示した位置で停止している。このように、ロック装置17は、ロック部片30より成るロック部を有しているが、その作用は後述する。
【0041】
また、規制リンク25には、伝動部材の一例であるワイヤ38の一端が連結され、このワイヤ38は脚台3の内部に延びている。
【0042】
以上が第1のロック装置17の構成であるが、もう一方の第2のロック装置117は上述した第1のロック装置17と対称に構成されているほかは同一構造であるので、その説明は省略する。これらのロック装置17,117の上述したワイヤ38は、共にその他端が、脚台3に揺動自在に支持された腰掛回転ペダル39(図3)に連結され、このペダル39によって後述するように作動される。
【0043】
ここで、図1に示した着座者P1が足載せ装置7を使用すべく、図1、図3及び図4に一点鎖線で示した上方位置にある回動アーム11を、ねじりコイルばね21の作用に抗して同図に実線で示した下方位置へ、手又は足による操作により回動させると、回動アーム11に一体に連結され、腰掛1の横方向に延びる前述のロックピン32が、第1のロック装置17のケース22に形成された切欠23に入り込み、ロック部片30の先端面33(図4)に当ってこれを押し込む。ロック部片30がロックピン32によって押圧されていない状態のときの先端面33は、図4に示すように傾斜したテーパ面となっているので、その先端面33がロックピン32によって押圧されると、ロック部片30は、支軸24と共に引張ばね31(図6)の作用に抗して図4における時計方向にわずかに回動する。そして、ロックピン32がロック部片30の先端面33を乗り越えると、ロック部片30は引張ばね31の作用によって再び図4に示した位置に回動し、このときロックピン32がロック部片30のロック溝34に係合する。この係合状態は引張ばね31によって維持され、回動アーム11は図1、図3及び図4に実線で示した下方位置にロックされ、足載せ部材12がその使用位置を占める。これにより、着座者P1(図1)は、足載せ部材12を図1、図3及び図4に実線で示した突出位置又は破線で示した折り畳み位置に保持して、これに足を載せることができる。
【0044】
上述のように、ロック部片30より成るロック部は、回動アーム11をその下方位置にもたらしたとき、回動アーム11に付設されたロックピン32より成る係合部に係合して、回動アーム11をその下方位置に停止させる。
【0045】
また回動アーム11を下方位置にもたらしたとき、その回動アーム11に付設されたストップピン35より成るストッパ部が、脚台3の側に当接して回動アーム11をその下方位置に停止させる。本例では、回動アーム11が下方位置に回動したとき、これに固定されたストップピン35がロック装置17のケース22の前壁面に固着されたゴムシートなどから成る弾性部材36に当り、回動アーム11が下方位置に止められる。このように本例では、回動アーム11が下方位置に回動したとき、ストップピン35が弾性部材36を介してケース22に当接するので、このときの衝撃を緩和し、大きな衝撃音の発生を阻止することができる。ストップピン35の方に弾性部材を設けて衝撃音の発生を抑えるように構成してもよい。また本例では、ストップピン35をケース22に当接させて回動アーム11を下方位置に停止させるように構成したが、このストップピン35を脚台3ないしはこれに固定された弾性部材などに当接させるようにしてもよく、要は、ストップピン35を脚台3の側に当接させて回動アーム11を下方位置に停止させればよいのである。
【0046】
上述のように、回動アーム11は、ロックピン32とロック部片30の係合と、ストップピン35のケース22への当接とによって下方位置に止められ、ロックピン32とロック部片30の係合によってその下方位置にロックされる。その際、図4から明らかなように、このようにロック部片30より成るロック部と、ロックピン32より成る係合部が互いに係合したとき、その係合位置は、脚台3に対する回動アーム11の枢支部、すなわちねじ41の中心軸線の位置よりも下方の位置を占める。同様にストップピン35より成るストッパ部が、脚台3の側、すなわちケース22の弾性部材36に当接したとき、その当接位置がロック部片30とロックピン32の係合位置よりも下方の位置を占める。このような各関係が得られるように、回動アーム11の枢支部、すなわちねじ41の位置と、回動アーム11に対するロックピン32とストップピン35の配設位置と、ロック部片30の位置とがそれぞれ設定されているのである。
【0047】
前述のように、回動アーム11が下方位置に回動したとき、この回動アーム11はロック装置17によって脚台3に係止され、これによって足載せ部材12に加えられた振動が腰掛1の着座者に伝えられることを抑制できるが、本例では、上述した構成によって、その効果をより一層高めることができる。
【0048】
すなわち、図4に示したように回動アーム11が下方位置にロックされたとき、足載せ部材12に対して、例えばその上方から衝撃的な外力Fが加えられたとすると、回動アーム11は、弾性部材36を介してケース22に当接したストップピン35を中心として図4における時計方向に回転しようとする。もし、実際に回動アーム11がこの方向に少しでも回転したとすれば、回動アーム11の枢支部、すなわちねじ41がストップピン35を中心として、図4における時計方向にわずかに回転することになり、これによって台枠4に衝撃力が伝えられ、腰掛1の着座者に不快感を与えることになる。ところが、図4に示した構成では、外力Fが加えられて、回動アーム11がストップピン35を中心として時計方向に回転しようとしたとき、このストップピン35とねじ41との間の高さ位置にあるロック部片30とロックピン32が互いに係合しているので、回動アーム11の回転が阻止される。このため、衝撃力が台枠4に伝えられることはなく、着座者に不快感を与える不具合を確実に阻止することができるのである。
【0049】
次に、足載せ部材12を上方の格納位置に収めるときは、着座者P1が足載せ跳ね上げ用のベダル29を足で踏んで、これを前述のばねの作用に抗して腰掛1の前方側、すなわち図6に矢印Bで示した方向に回動させる。これにより、このベダル29に連結棒26を介して連結された規制リンク25が、引張ばね31の作用に抗して、前方側、すなわち矢印D方向に回動する。これに伴って、ロック部片30が支軸24と共に、同じ矢印D方向に回動し、ロック部片30とロックピン32との係合が解除される。このため、回動アーム11は足載せ部材12と共に、図5に示したねじりコイルばね21の作用で上方に回動し、一点鎖線で示した上方位置へ跳ね上げられ、足載せ部材12が格納位置に収められる。このように、回動アーム11を上方位置にもたらすべきときは、ロック部片30とロックピン32との係合が解除され、回動アーム11は支障なく上方位置に回動することができる。
【0050】
腰掛1を図2に示した第2の向きにセットしたときも、足載せ装置7と第2のロック装置117は上述したところと全く同様に作用する。
【0051】
ところで、脚台3上に支持された台枠4とこれに支持されたシートクッション5及びシートバック6が、図1又は図2に示した第1又は第2の向きの位置にセットされているとき、台枠4は図示していないロックによって脚台3に係止され、その各位置から回転しないように保持される。台枠4、シートクッション5及びシートバック6を回転させるときは、図3に示した前述の腰掛回転ペダル39を足で踏み、これを下方に回動させる。すると、上述したロックが解除され、台枠4が脚台3に対して自由に回転できる状態となるので、台枠4をシートクッション5及びシートバック6と共に図1又は図2の向きに回転させることができる。その回転終了後、上述のロックが掛かり、台枠4、シートクッション5及びシートバック6はその所定の位置に不動に保持される。
【0052】
上述した構成自体は従来の腰掛と変りはない。ここで、台枠4を上述の如く脚台3に対して回転させるとき、回動アーム11が図1、図3及び図4に実線で示した下方位置を占め、足載せ部材12が使用位置を占めたままであれば、台枠4の回転時に、これらが脚台3に干渉する。従って、台枠4の回転動作時には、回動アーム11と足載せ部材12を一点鎖線で示した位置に跳ね上げておく必要があるが、着座者がこの操作をし忘れて台枠4を回転させてしまうおそれがある。
【0053】
そこで、本例においては、先にも説明したように第1のロック装置17のワイヤ38の他端が腰掛回転ペダル39に連結されており、台枠4を回転させるべく、このペダル39を踏み込むと、ワイヤ38が引かれ、規制リンク25が矢印D方向に回動する。従って、このとき回動アーム11が下方位置にあり、足載せ部材12が使用位置を占めていたとしても、ロック部片30とロックピン32との係合が解除されるので、回動アーム11と足載せ部材12はそれぞれ上方位置と格納位置へ跳ね上げられる。このように、腰掛回転ペダル39の操作に連動して、回動アーム11と足載せ部材12が上方に退避するので、台枠4の回転時にこれらが脚台3に干渉するおそれはない。他方の第2のロック装置117も全く同様に作用する。
【0054】
以上、鉄道車両の腰掛に関しての実施例を説明したが、本発明は自動車、船舶などの腰掛にも広く適用できるものである。
【0055】
【発明の効果】
請求項1に記載の構成によれば、足載せ装置の回動アームが台枠に支持され、しかもその回動アームとこれに支持された足載せ部材を脚台よりも上方の位置に収めることができるので、腰掛に1つの足載せ装置を設けるだけでよく、また台枠の回転時に足載せ装置が脚台に干渉することもない。さらに、足載せ部材を使用位置にもたらしたとき、これを支持する回動アームがロック装置によって脚台に係止されるので、その足載せ部材に対し衝撃力が加えられても、これが腰掛の着座者に直に伝えられることはなく、着座者に不快感を与える不具合を阻止できる。
【0056】
請求項2に記載の構成によれば、回動アームが下方位置にロックされた状態で、足載せ部材に衝撃力が加えられたとき、回動アームはこれに付設されたストッパ部を中心として回転しようとするが、その回転が、互いに係合したロック部と係合部とによって阻止されるので、衝撃力が台枠に伝えられることをより確実に阻止でき、腰掛の着座者に不快感を与える不具合をより効果的に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明一実施例の腰掛を示す側面図である。
【図2】図1に示した腰掛の台枠を180°回転させた状態を示す側面図である。
【図3】腰掛を斜め後方から見たときの斜視図である。
【図4】足載せ装置とロック装置の構成を示す図であって、シートバックとシートクッションを省略し、かつ台枠の一部だけを示した部分断面側面図である。
【図5】足載せ装置の分解斜視図である。
【図6】ロック装置の一部の要素を分解して示した斜視図である。
【図7】従来の腰掛の一例を示した側面図である。
【図8】図7に示した腰掛の台枠を180°回転させた状態を示す側面図である。
【図9】腰掛の他の従来例を示す側面図である。
【図10】図9に示した腰掛の台枠を180°回転させた状態を示す側面図である。
【符号の説明】
1 腰掛
2 フロア
3 脚台
4 台枠
5 シートクッション
6 シートバック
7 足載せ装置
11 回動アーム
12 足載せ部材
17 第1のロック装置
117 第2のロック装置
P1 着座者
P2 着座者
Claims (2)
- フロアに不動に支持された脚台と、該脚台が固定されたフロア上面に対してほぼ平行な平面を少なくとも180°の角度範囲、回転可能に前記脚台に支持された台枠と、該台枠に支持されたシートクッションと、台枠に支持されたシートバックと、後方の着座者によって使用される足載せ装置とを有し、前記台枠、シートクッション及びシートバックを、第1の向きと、この第1の向きに対して、フロア面に対しほぼ平行な平面をほぼ180°回転させた第2の向きとのいずれかの向きにセットして使用する腰掛において、
前記足載せ装置が、後方の着座者用の足載せ部材と、該足載せ部材を自由端側に支持すると共に、当該足載せ部材が前記脚台よりも上方に退避した格納位置と該格納位置よりも下方の使用位置との間を移動できるように、前記台枠の後部に、上方位置と下方位置との間を回動可能に枢支された回動アームとを具備し、前記台枠、シートクッション及びシートバックが前記第1の向きにセットされ、又は前記第2の向きにセットされた状態で、前記足載せ部材を使用位置にもたらしたとき、前記回動アームを前記脚台に対して不動に係止する第1及び第2のロック装置を脚台にそれぞれ設け、前記回動アームを上方位置にもたらしたとき、該回動アームも、前記脚台よりも上方の位置を占めるように、当該回動アームの回動角度範囲を設定したことを特徴とする腰掛。 - 前記各ロック装置は、前記回動アームをその下方位置にもたらしたとき、当該回動アームに付設された係合部に係合して、該回動アームをその下方位置に停止させると共に、回動アームを上方位置にもたらすべきときは、当該係合部との係合を解除されるロック部を有し、前記回動アームには、当該回動アームを下方位置にもたらしたとき、脚台の側に当接して回動アームをその下方位置に停止させるストッパ部が付設され、前記ロック部と係合部が互いに係合したとき、その係合位置が、前記脚台に対する回動アームの枢支部よりも下方の位置を占め、かつ前記ストッパ部が脚台の側に当接したとき、その当接位置が、ロック部と係合部の係合位置よりも下方の位置を占めるように、回動アームの枢支部の位置と、該回動アームに対する係合部とストッパ部の配設位置と、ロック部の位置とをそれぞれ設定した請求項1に記載の腰掛。
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1994
- 1994-12-29 JP JP33864994A patent/JP3575850B2/ja not_active Expired - Fee Related
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