JP3575185B2 - チャイルドシート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は幼児を着席させるためのチャイルドシートに係り、詳しくは車両の座席に被係止部材を設けておき、チャイルドシート固定用ベルトを該被係止部材に係止させ、次いでベルトを緊張させてチャイルドシートを固定するようにしたチャイルドシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
幼児を着席させるためのチャイルドシートを車両の座席に固定する従来構造として、車両の座席に被係止部材を設けておき、チャイルドシート内に設けられたベルト巻取部材からベルトを引き出して該ベルトの先端を該被係止部材に係止し、次いで該巻取部材によってベルトをきつく巻き取ってチャイルドシートを座席に固定するようにしたものがある(特開平5−254367号公報)。この従来例においては、円盤形の操作ノブを手で把んで回転させることによりベルトを巻き取るようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例にあっては、ベルトを巻き取るに際して、該操作ノブを強く握ることが必要であり、不便である。
【0004】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決し、チャイルドシートを車両の座席に容易にしかも確実にしっかりと固定することができるようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のチャイルドシートは、車両に設けられた被係止部材に対し先端側が係止可能とされたベルトと、該被係止部材に先端側が係止された該ベルトを緊張させることにより該シート本体を該座席に固定するための緊張装置とを備えてなるチャイルドシートであって、該緊張装置は、該ベルトの長手方向の途中部分を挟持可能な第1の挟持部と、該第1の挟持部よりもベルトの後端側において該ベルトを挟持可能な第2の挟持部と、該第1の挟持部及び第2の挟持部にそれぞれ設けられている、該ベルトの後端側への通過を許容すると共に該ベルトの先端側への通過を阻止可能なベルトクランプ手段と、該第1の挟持部と第2の挟持部との間のベルトを、これらの挟持部を結ぶ方向と交叉方向に引張る引張手段とを備えてなることを特徴とするものである。
【0006】
かかるチャイルドシートを車両の座席に固定するには、ベルトの先端側を車両の座席の被係止部材に係止した後、ベルトの後部を引く。この際、ベルトは各挟持部のベルトクランプ手段をベルト後方に向って通過する。なお、これらのベルトクランプ手段は、ベルトが前方に向って移動することを阻止する。これにより、ベルトがある程度ピンと張った状態となる。なお、ベルトの後部に把手を設けておけば、このベルト引き操作を行い易い。
【0007】
そこで、次に引張手段を操作することによって両挟持部の間のベルトを挟持部同士を結ぶ方向と交叉方向に引っ張る。この際、第2の挟持部のベルトクランプ手段はベルトが先端側へ向って通過するのを阻止するため、この引張操作によって第1の挟持部よりも先端側のベルトだけが第1の挟持部を通過し、チャイルドシートが座席に強く引き付けられる。必要に応じこの引張操作を複数回繰り返すことによりベルトが十分に緊張され、チャイルドシートが座席に対ししっかりと固定される。
【0008】
本発明では、第1の挟持部と第2の挟持部とはベース部材によって連結されており、前記引張手段は、基端側が該連結部材に対し回動可能に連結され、先端側が該ベース部材に対し接離方向に移動自在となっているレバーを備え、該レバーに前記ベルトが掛けられており、該レバーの先端側をベース部材から離れる方向に該レバーを回動させることにより該ベルトが引張られるよう構成されていることが好ましい。
【0009】
この場合、レバーを引くことによりきわめて容易にベルトを緊張させることができる。
【0010】
このレバー等の緊張部材をチャイルドシートの側方に配置しておくと、緊張操作し易い。とくに、レバーの回動方向がチャイルドシートから離れる方向となるようにしておくことにより、レバーに強い力を加え易い。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して実施の形態について説明する。第1図は実施の形態に係るチャイルドシートを車両の座席に取り付ける状態を示す側面図、第2図は同斜視図である。第3図は緊張装置の斜視図、第4図はレバーを引き上げた状態における緊張装置の斜視図、第5図は第4図においてベルトを取り除いた状態を示す斜視図、第6図は緊張装置の分解斜視図である。第7,8,9図はこの緊張装置の作動を示す断面図である。
【0012】
第1,2図のように、車両の座席10に対し、チャイルドシート12が載置され、ベルト14及び緊張装置16を介してこのチャイルドシート12が座席10に固定される。座席10は、そのシートクッション10aとシートバック10bとの交叉隅部付近に座席側ベルト18が設けられており、この座席側ベルト18の先端に被係止部材としてのトング20が取り付けられている。ベルト14の先端には、このトング20が係合するバックル22が設けられている。ベルト14の後端には、このベルト14を引張るための把手24が取り付けられている。
【0013】
第3図に示す通り、この緊張装置16はベース30に対し後端側が回動自在に枢着されたレバー32を備えており、該レバー32を第3図の矢印A方向に引き上げることによりベルト14を緊張させることができる。
【0014】
次に、第4,5,6図を参照してこの緊張装置16の構成について詳細に説明する。
【0015】
第4,5図に示す通り、ベース30にはベルト14を挟んで保持するために、バックル22側の第1の挟持部34と、把手24側の第2の挟持部36が設けられている。第1の挟持部34は、ベース30から立設された一対の第1起立片38と、この第1起立片38,38の間に配置された第1カム40と、該第1カム40を第1起立片38に対し枢支する第1カムピン42と、第1カム40の歯40gに対峙するようにベース30に固着された第1ティース44と、第1カム40の歯40gが第1ティース44に対面するように該第1カム40を付勢する第1カムスプリング46を備えている。
【0016】
第1カム40は、第1カムスプリング46のコイル部46aを収容する凹部40aを備えている。この凹部40aに臨むように設けられたピン挿通孔40bに対し第1カムピン42が挿通され、且つこの第1カムピン42がコイル部46aに挿通される。なお、第1カムピン42は、第1起立片38に設けられた開孔38aにも挿通される。
【0017】
第1カムスプリング46の脚部46bを第1起立片38に設けたノッチ38bに係合させ、且つコイル部46a,46a同士を連結しているタイ部46cを凹部40aの内面に当接させることにより、第1カム40が第1カムスプリング46によって第4,5,6図の時計回り方向に付勢される。
【0018】
第2の挟持部36はベース30から起立された一対の第2起立片50と、この第2起立片50,50同士の間に配置された第2カム52と、該第2カム52の歯52gに対峙する第2ティース54と、第2カム52を第4,5,6図の時計回り方向に付勢するための第2カムスプリング56と、第2カム52を起立片50に枢支する第2カムピン58とを備えている。
【0019】
第2起立片50には、この第2カムピン58の挿通孔50aが設けられており、第2カムピン58は、この挿通孔50aと、第2カム52の孔52bと、第2カムスプリング56のコイル部56aとに挿通されている。
【0020】
なお、この第2カムピン58は、さらに後述のレバースプリング62のコイル部にも挿通されている。
【0021】
第2カムスプリング56の脚部56bは、第2起立片50に設けられたノッチ50bに係止されている。第2カムスプリング56のコイル部56a,56a同士を結ぶタイ部56cは、第2カム52の凹部52aの内面に当接し、これにより第2カムスプリング56が時計回り方向に付勢されている。
【0022】
なお、前記第1ティース44及び第2ティース54は、それぞれ第1起立片38,38、第2起立片50,50の間に配置され、ベース30に設けられたティース取り付け孔30a,30bを利用して該ベース30に固定されている。これらのティース44,54には、ベルト14を係止するために歯が設けられている。
【0023】
前記レバー32は、その後端側に、第2カムピン58の端部が係合するカムピン係合部64を有しており、このカムピン58によって回動自在にベース30に対し連結されている。このレバー32の基端側には、前記第2カム52のフック部66に当接するカム押えバー68が設けられている。このカム押えバー68は、第2カムピン58と平行方向に延在している。
【0024】
さらに、レバー32の基端側には、カムピン係合部64に近接してレバースプリング係止用凸部69が設けられており、レバースプリング62の脚部62aがこの凸部69に係止されている。レバースプリング62の他方の脚部62bは第2起立片50に係止されている。このレバースプリング62はレバー32を反時計方向に付勢している。
【0025】
レバー32の長手方向の途中部分に、カムピン58と平行方向に延在するベルト掛けバー70が設けられている。前記ベルト14は、このベルト掛けバー70とレバー32との間に挿通されている。
【0026】
なお、前記ベース30には、緊張装置16をチャイルドシート12に固定するためのボルト孔72が設けられている。
【0027】
次に、このように構成された緊張装置16を有するチャイルドシート12を座席10に固定する方法について説明する。
【0028】
まず、第1図に示すように、チャイルドシート12を座席10上に載置し、トング20とバックル22とを係合させる。なお、このベルト14及び緊張装置16は、チャイルドシート12の左右両側に配置されており、左右両側のベルト14のバックル22,22をそれぞれ座席10に設けられたトング20,20に対し係合させる。
【0029】
次いで、好ましくはチャイルドシート12を座席10に押し付けた状態で、把手24を把んでベルト14を上方に引張る。これにより、ベルト14がある程度緊張した状態となる。
【0030】
そこで、次にレバー32の先端側を把み、該レバー32を第1図矢印A方向に所要回数回動させ、ベルト14をきつく緊張させてチャイルドシート12を固定する。レバー32を回動させるときの緊張装置16の作動について第7,8,9図を参照して説明する。
【0031】
第7図はレバー32を回す前の状態を示すものであり、この状態にあっては第1カム40の歯40gと第1ティース44との間にベルト14が噛み込まれている。第2カム52は、そのフック部66がカム押えバー68によって反時計方向に押圧され、歯52gが第2ティース54から離反している。
【0032】
なお、第1カム40は第1カムスプリング46によって時計方向に付勢されているが、その歯40gが第7図の右方向を向くように偏向して設けられているため、歯40gと第1ティース44との間に噛み込まれたベルト14は、この噛み込まれた状態においても第7図の右方向に移動可能とされている。ただし、ベルト14が第7図の左方向に移動しようとすると、歯40gがベルト14に深く食い込み、このベルト14の左方向への移動が阻止される。
【0033】
第8図の如く、レバー32を回動し始めると、カム押えバー68が第2カムピン58の軸心を回動中心として時計方向に回動し、これに伴って第2カム52が第2カムスプリング56に付勢されて時計方向に回動する。そして、第2カム52の歯52gが第2ティース54との間でベルト14を挟持するようになる。この歯52gも第8図の右方向を向くように偏向しており、歯52gと第2ティース54の間に噛み込まれたベルト14は、第8図の右方向への動きが許容されるが左方向への動きは阻止される。
【0034】
レバー32を矢印A方向に回動させることにより、ベルト掛けバー70がベルト14を第8図の上方(挟持部34,36を結ぶ方向と交叉方向)に引張る。前記の通り、この状態においては、ベルト14は第2ティース54と歯52gとの間を左方向に通過できない。一方、第1ティース44と歯40gとの間にあってはベルト14は右方向に通り抜け可能である。従って、ベルト掛けバー70がベルト14を上方に引張ると、第1の挟持部34よりも左側のベルト14が矢印B方向に引張られる。これにより、第1の挟持部34とバックル32との間のベルト14が緊張される。
【0035】
第9図の如く、レバー32をさらに深く矢印A方向に回動させることにより、ベルト14がさらに強く緊張される。
【0036】
第9図の状態から第7図の状態にレバー32を戻すと、挟持部34,36間においてベルト14がたるんだ状態となる。そこで把手24を把んでベルト14を引張り、挟持部34,36間のベルト14のゆるみを除去する。次に、レバー32を再び第8,9図の如く回動させ、ベルト14の緊張をさらに強める。このレバー32の回動及びベルト14の引張り(緩み除去)を所要回数繰り返すことにより、ベルト14の緊張力が十分に高まり、チャイルドシート12が座席10に対ししっかりと固定される。なお、上述の説明では、レバー32の回動を複数回繰り返す場合について説明したが、レバー32の回動は一回のみでよい場合があることは言うまでもない。
【0037】
このように、この実施の形態のチャイルドシート12によると、緊張装置16のレバー32を回すことによりベルト14の緊張力を高めるようにしているため、従来のように操作ダイヤルを把んで回すものに比べ、ベルト14に対しきわめて強い張力を容易に加えることができる。
【0038】
なお、この実施の形態にあっては、第1図の如くレバー32がチャイルドシート12の側面に配置され、レバー32の全体がチャイルドシート12の外面に露出しているため、レバー32を極めて容易に操作することができる。さらに、このレバー32の回動方向(矢印A方向)がチャイルドシート12から側方に離れる方向となるため、レバー32を回動させるときに手や腕が車体部材に対し干渉することがなく、レバー回動作業が容易である。
【0039】
なお、座席10に固定したチャイルドシート12を座席10から取り外す場合には、レバー32に設けられた開孔74を通して第1カム40を第7図の矢印C方向に回転させる。そうすると、第1ティース44と第1カム40との間をベルト14が第7図の左方向に通り抜け可能となり、ベルト14を緩めることができる。このベルト14を緩めた後、トング20とバックル22との係合を解除し、チャイルドシート12を座席10から取り外すことができる。
【0040】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によると、チャイルドシートを車両の座席に対しきわめて容易に固定することができる。本発明にあっては、レバーを引張ることによりベルトの緊張力を高めることができ、従来例に比べ握力の弱い人であってもチャイルドシートを十分に且つにきわめて容易に座席に対ししっかりと固定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係るチャイルドシートを座席に装着する状態を示す側面図である。
【図2】実施の形態に係るチャイルドシートの斜視図である。
【図3】緊張装置の斜視図である。
【図4】緊張装置の斜視図である。
【図5】ベルトを取り除いた状態における緊張装置の斜視図である。
【図6】緊張装置の分解斜視図である。
【図7】緊張装置の断面図である。
【図8】レバーを回動させてベルトの緊張力を高めている状態を示す断面図である。
【図9】レバーを回動させてベルトの緊張力を高めている状態を示す断面図である。
【符号の説明】
10 座席
12 チャイルドシート
14 ベルト
16 緊張装置
18 座席側ベルト
20 トング(被係止部材)
22 バックル
24 把手
30 ベース
40 第1カム
40f 歯
44 第1ティース
46 第1カムスプリング
52 第2カム
52f 歯
54 第2ティース
56 第2カムスプリング
62 レバースプリング
68 カム押えバー
70 ベルト掛けバー
Claims (5)
- 車両に設けられた被係止部材に対し先端側が係止可能とされたベルトと、
該被係止部材に先端側が係止された該ベルトを緊張させることによりチャイルドシートを該座席に固定するための緊張装置と
を備えてなるチャイルドシートであって、該緊張装置は、
該ベルトの長手方向の途中部分を挟持可能な第1の挟持部と、
該第1の挟持部よりもベルトの後端側において該ベルトを挟持可能な第2の挟持部と、
該第1の挟持部及び第2の挟持部にそれぞれ設けられている、該ベルトの後端側への通過を許容すると共に該ベルトの先端側への通過を阻止可能なベルトクランプ手段と、
該第1の挟持部と第2の挟持部との間のベルトを、これらの挟持部を結ぶ方向と交叉方向に引張る引張手段と
を備えてなることを特徴とするチャイルドシート。 - 請求項1において、前記第1の挟持部と第2の挟持部とはベース部材によって連結されており、
前記引張手段は、基端側が該連結部材に対し回動可能に連結され、先端側が該ベース部材に対し接離方向に移動自在となっているレバーを備え、
該レバーに前記ベルトが掛けられており、該レバーの先端側をベース部材から離れる方向に該レバーを回動させることにより該ベルトが引張られることを特徴とするチャイルドシート。 - 請求項1又は2において、前記緊張手段は前記チャイルドシートの側面の外部に配置されていることを特徴とするチャイルドシート。
- 請求項2において、前記ベース部材は前記チャイルドシートの側面の外部に配置され、
且つ、前記レバーのベルト引張方向への回動方向が該チャイルドシートの側面から離反する方向となるように該ベース部材が該チャイルドシートに対し取り付けられていることを特徴とするチャイルドシート。 - 請求項1ないし4のいずれか1項において、前記ベルトの後端部に、手で把んで該ベルトを引くための把手が設けられていることを特徴とするチャイルドシート。
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