JP2003013190A - 高級無方向性電磁鋼板 - Google Patents
高級無方向性電磁鋼板Info
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Abstract
ラップを積極活用し、同時に、鉄損特性の優れた無方向
性電磁鋼板を提供することである。 【解決手段】重量%で、C≦0.004%、Si:1.6〜3.5%、Mn≦
1%、P≦0.05% 、S≦0.002%、Al:0.1〜3%、N≦0.004%、
さらに Cu:0.05〜1%、Ni:0.01〜0.2%、Cr:0.01〜0.2%、
Sn:0.003〜0.1%を含有し、残部が実質的にFeからな
り、製品厚み0.1〜0.4mm、平均結晶粒径が40〜170μm
で、絶縁被膜を除去した表面状態での鋼板表面の内部酸
化量と外部酸化量が下式で表されることを特徴とする高
級無方向性電磁鋼板。 鋼板表面の内部酸化量×0.20/板厚≦200 20≦鋼板表面の外部酸化量×0.20/板厚≦500 ただし、T−O:ppm 、板厚:mm
Description
能にする成分系を前提として、鉄損の優れた高級無方向
性電磁鋼板を提供することを目的とする。
未来的な状況の中で、いろいろな分野で資源の再利用の
動きが急である。このため、鉄鋼業でも各種の鉄スクラ
ップ−例えば、自動車、洗濯機、エアコンなど−を製鉄
原料として利用する必要が生じてきている。このために
は、従来、有害とされてきたCu,Ni,Cr,Snな
どを積極的に利用する必要性が生じている。周知の如
く、無方向性電磁鋼板には100年の歴史があるが、そ
こで払われてきた工業的な努力は、SiとAl以外の不
純物とされるC,S,N,Ti,Nbなどを如何に低減
するかの歴史に尽きると言っても過言ではない。このた
め、鉄リサイクルで増加するCu,Sn,Ni,Crな
ども、特に高級品には必要ないものとして長い間考えら
れてきた。
ーの無駄づかいをなくそうとの動きも強まっている。モ
ータの分野でも、例えば、一般家庭用のエアコンに見ら
れるように、消費電力低下による電気代が安いものが求
められている。このため、無方向性電磁鋼板には鉄損が
少ないものが求められている。特開平7−268568
号公報および特開平11−293338号公報で、我々
は、これらCu,Sn,Ni,Crの有効活用技術を提
案した。しかしながら、特に製品板厚の薄くて、且つ、
SiとAl量とが多い成分系で、高周波鉄損のバラツキ
が大きい問題があった。その原因は不明であった。な
お、特開平8−97023号公報では、Sbを添加する
ことで、酸化層を少なくして磁気特性を改善することが
開示されている。しかし、Sbは高価な上、人体に有害
でもあること、また、酸化層を少なくした状態において
も磁気特性、特に高周波鉄損特性が改善されない場合が
あった。
み、地球環境問題からの鉄スクラップの積極活用と同時
に、課題であった、高級無方向性電磁鋼板の高周波鉄損
を改善する無方向性電磁鋼板を提供することを目的とす
る。
に本発明は(1)質量%で、 C ≦0.004%、 Si:1.6〜3.5%、 Mn≦1%、 P ≦0.05%、 S ≦0.002%、 Al:0.1〜3%、 N ≦0.004% を含有し、残部が実質的にFe及び不可避的不純物から
なり、製品厚み0.1〜0.4mm、平均結晶粒径が40
〜170μmで、絶縁被膜を除去した表面状態での鋼板
表面の内部酸化量と外部酸化量が下式で表されることを
特徴とする高級無方向性電磁鋼板。 鋼板表面の内部酸化量×0.20/板厚≦200 20≦鋼板表面の外部酸化量×0.20/板厚≦500 ただし、酸化量はT−Oで表す:ppm 、板厚:mm (2)質量%で、 Cu:0.05〜1%、 Ni:0.01〜0.2%、 Cr:0.01〜0.2%、 Sn:0.003〜0.1% をさらに含有することを特徴とする前項(1)に記載の
高級無方向性電磁鋼板。
本発明者らは、いわゆる熱延板焼鈍を有する無方向性電
磁鋼板の製造方法において、種々の研究を鋭意重ねた結
果、絶縁被膜を除去した表面状態での鋼板表面の内部酸
化量と外部酸化量を規定することによって、鉄損特性の
優れた高級無方向性電磁鋼板を製造することに成功し
た。
改善を考える場合、主磁束が鋼板表面近傍を流れること
から、鋼板表面をいかに制御するかが重要であると考え
た。特に本発明のCu,Sn,Ni,Cr複合含有系で
は、鋼板表面の酸化が生じ易い。そこで焼鈍条件変更に
よる酸化を抑制することを志向したが、高周波鉄損が大
きく改善されない結果となり、詳細な調査をした。その
結果、焼鈍雰囲気中の窒素が鋼中に進入して、窒化によ
る鉄損劣化が生じていることが明らかになった。そこ
で、本発明者らは、鋼板の窒化を防ぐとともに、鉄損に
影響をおよぼしにくいような酸化の形態制御を検討し
た。その結果、適度な外部酸化層は、窒化を防止すると
ともに、地鉄界面の凹凸が内部酸化層と比べて、極めて
少ないため、主磁束が鋼板表面近傍を流れる高周波励磁
における鉄損の改善を図ることに成功した。
C量を0.004%以下に規定したのは、これを超える
量では磁気時効が生じるからである。
Siは鉄損を小さくするのに有効で、1.6%未満では
高周波鉄損が不満である。また,3.5%超では、冷間脆化
で打ち抜きの鋼板割れが生じるので、避ける。
れを防止する作用があるが、多すぎると添加コストの問
題もあるので、1%以下とする。
結晶粒成長を阻害して、製品結晶粒径を細粒化するため
少ない方が好ましいが、この限界が0.05%である。
硫化物を形成して高周波鉄損を劣化させる。この限界
が、0.002%である。
損を小さくするが、0.1%未満では鉄損が不満で、ま
た、3%超では、冷間脆化で打ち抜きの鋼板割れが生じ
るので、避ける。
窒化物を形成して鉄損を劣化させる。この限界が、0.
004%である。
ラップの有効活用の意味は、0.05%以上のCuであ
り、また、1%を越えるとCuへげと称される熱延での
鋼板表面割れが発生するので避ける。特にこのCuへげ
は、Snが0.003%以上含有される系で発生しやす
いので注意を要する。
スクラップの有効活用の意味は、0.01%以上のNi
であり、また、0.2%を越えると結晶粒成長が阻害さ
れるため不可とする。
スクラップの有効活用の意味は、0.01%以上のCr
であり、また、実用上、鉄スクラップから0.2%を越
えることはないので、0.01〜0.2%とする。
鉄スクラップの有効活用の意味は、0.003%以上の
Snであり、また、実用上、鉄スクラップから0.1%
を越えることはないので、0.01〜0.1%とする。
ための公知のB,Moなどを添加しても本発明として有
害なものではない。但し、添加コストの問題があるの
で、それぞれ0.1%以下が好ましい。また、公知の有
害元素、Ti,Nbは0.01%以下が好ましい。ま
た、本発明は高価なSbを添加しないので、製鋼作業の
不可避的不純物としてのSb量は、0.01%未満であ
る。
ラブは、通常の熱間圧延を行われて熱延板とされる。
鈍されなくても良い。熱延板焼鈍を実施したほうが、磁
束密度が改善されるが本発明の目的は鉄損改善なので、
熱延板焼鈍を省略することも可能である。熱延板焼鈍
は、通常の800〜1200℃が好ましい。
る。焼鈍後の鋼板の平均結晶粒径は、40μm以上、1
70μm以下とする。40μm未満でも、170μm超
でも高周波鉄損が悪くなる。結晶粒径を制御するために
は、通常の温度×時間制御をすればよい。
化量は、下式の範囲に制御する必要がある。 鋼板表面の内部酸化量×0.20/板厚≦200 ただし、鋼板表面の内部酸化量はT−Oで表す:ppm 、
板厚:mm 鋼板表面の内部酸化量が上記範囲を越えると、鉄損の劣
化が大きいためである。ここでいう鋼板表面の内部酸化
量とは、図1(a)に示すような、地鉄合金内に拡散
し、固溶した酸素が、主として溶媒金属より酸化されや
すい溶質金属と反応した量のことで、Si,Al,Mn
などがリッチの酸化層のことである。
は、地鉄と境界面の凹凸が一般的に大きいので、基本的
に磁束の流れを阻害して、鉄損を著しく劣化させると考
えられる。したがって、その量は少なければ少ないほど
よいと考えられる。即ち、鋼板表面の内部酸化量×0.
20/板厚≦200を逸脱すると、ヒステリシス損失が
著しく増大して、鉄損を著しく劣化すると考えられる。
なお、内部酸化量の下限についてはゼロも含み、内部酸
化がゼロで外部酸化のみの状態でも本発明は含まれる。
囲に制御する必要がある。 20≦鋼板表面の外部酸化量×0.20/板厚≦500 ただし、鋼板表面の外部酸化量はT−Oで表す:ppm 、
板厚:mm 鋼板表面の外部酸化量が上記範囲を越えると、鉄損の劣
化が大きいためである。ここでいう鋼板表面の外部酸化
量とは、図1(b)に示すような、地鉄合金内の溶質元
素の外方拡散によって生じる酸化層の量のことである。
ある適正範囲があるが、20≦鋼板表面の外部酸化量×
0.20/板厚を逸脱した場合は、鋼板に焼鈍雰囲気か
らの窒化が生じ、これが磁束の流れを阻害して、鉄損を
著しく劣化させていると考えられる。一方、鋼板表面の
外部酸化量×0.20/板厚≦500を逸脱した場合
は、鋼板断面に占める非磁性物としての割合が多くなる
ため、鉄損特性に影響を及ぼすと考えられる。
量は、鋼板断面の研磨面をSEM−EDAXで、500
0倍以上の倍率で、まず、それぞれの酸化層として同定
して、その後、その部分を化学分析することによって得
ることができる。具体的には、製品板全体のT−O量を
分析して、その後SEM−EDAXで、鋼板表面の酸化
層が外部酸化層か内部酸化層かを観察する。SEM−E
DAXの観察結果、内部酸化層と外部酸化層が共存して
いる場合は、酸洗で外部酸化層を除去した後のT−O量
を分析して、内部酸化量とし、前記製品板全体のT−O
量との差を外部酸化量とした。なお、鋼板表面の内部酸
化量、外部酸化量を制御する方法としては、例えば、P
H2 O/PH2 制御がある。
損特性に影響を及ぼす理由を、本発明者らは以下のよう
に考えている。
は、地鉄と境界面の凹凸が一般的に大きいので、基本的
に磁束の流れを阻害して、鉄損を著しく劣化させると考
えられる。したがって、その量は少なければ少ないほど
よいと考えられる。即ち、上述した範囲を逸脱すると、
ヒステリシス損失が著しく増大して、鉄損を著しく劣化
すると考えられる。
うに、ある適正範囲があるが、適正酸化量未満の場合
は、鋼板に焼鈍雰囲気からの窒化が生じ、これが磁束の
流れを阻害して、鉄損を著しく劣化させていると考えら
れる。
る非磁性物としての割合が多くなるため、鉄損特性に影
響を及ぼすと考えられる。
燥されて出荷される。出荷された後は、打ち抜き、積層
固定され、そのまま、または焼鈍されて(特に固定子
が、磁性改善のために焼鈍される場合がある)モータコ
アや小型トランスコアとなる。以下、実施例で説明す
る。
1に示す各種成分のインゴットを作成した。これを10
50℃に加熱してから、10mm厚の鋼片に分塊した。次
いで、更に、1050℃に加熱してから、1.8mmの熱
延板を作成した。次いで、1100℃で30秒均熱の窒
素中焼鈍を行ってから大気中放冷した。酸洗後、冷延し
て0.35mm厚とした。次いで、脱脂して、1000℃
で30秒の焼鈍を、PH2 0/PH2 を0.01〜0.
50に変化させて実施した。100mm角試料を切り出し
てから、圧延方向とそれと直角の方向の400Hz 鉄損
を測定し、平均して表1に示した。また、鋼板断面の平
均結晶粒径を圧延方向の直線をよこぎる結晶粒径の粒界
個数をカウントして求めた。さらにSEM−EDAX
で、鋼板表面の酸化層が内部酸化層か外部酸化層である
かを同定して、化学分析によって、その量を調べた。定
量化は、次の通りに行った。まず、製品板全体のT−O
量(total酸素量) を分析して、その後SEM−EDAX
で、鋼板表面の酸化層が外部酸化層か内部酸化層かを観
察する。SEM−EDAXの観察結果、内部酸化層と外
部酸化層が共存している場合は、酸洗で外部酸化層を除
去した後のT−O量を分析して、内部酸化量とし、前記
製品板全体のT−O量との差を外部酸化量とした。
れるもの、内部および外部酸化量をはずれるものは、鉄
損特性が不良となった。なお、製品での成分分析も実施
したが、インゴットでの分析結果と同じであった。
C、2.2%Si、0.18%Mn、0.01%P、
0.0035%S、2.1%Al、0.0015%N、
0.001%Nb、0.5%Cu、0.08%Sn、
0.08%Ni、0.11%Cr、0.001%Ti、
0.002%Mo、0.001%V、0.0001%
B、0.0002%Sbを含むスラブを1050℃で加
熱してから、2.5mm厚の熱延コイルを製造した。次い
で、850℃×10秒の窒素中焼鈍をして、酸洗した。
酸化層を調査したが、認められなかった。次いで、0.
2mmまで冷延し、脱脂後、均熱温度を表2のように変更
して10秒均熱の焼鈍を、PH2 0/PH2 を0.01
〜0.50に変化させて実施した。次いで、有機、無機
混合の絶縁皮膜を1μm厚で焼き付けした。次いで、エ
プスタイン試料に切断してから、磁気特性を測定した。
また、鋼板表面の内部酸化量、外部酸化量、結晶粒径を
実施例1に示した方法で測定して、表2に示した。
径、鋼板表面の内部酸化量、外部酸化量で優れた磁気特
性が得られた。
l量とを調整した連続鋳造スラブを供試材として用い
た。その他の成分としては、実験No.1〜9について
は、0.002%C、0.2%Mn、0.03%P、
0.0002%S、0.0009%N、0.25%C
u、0.04%Sn、0.05%Ni、0.05%Cr
に固定した。また、実験No.1,0と11のみ、0.
001%C、0.2%Mn、0.03%P、0.000
2%S、0.0009%Nで、Cu、Sn、Ni、Cr
についてはそれぞれ0.0002%以下とした。このス
ラブを1100℃で加熱してから、1.6mm厚の熱延コ
イルを製造した。次いで、900℃で60秒の焼鈍をN
2 中で実施した。酸洗してから、0.25mmまで冷延し
た。この冷延板で表層酸化層を観察調査したが、酸化層
は存在しなかった。脱脂後、1100℃×20秒の均熱
焼鈍を、PH2 0/PH2 を0.01〜0.50に変化
させて実施した。その後、絶縁皮膜(クロム酸、マグネ
シュウム、アクリル系の半有機皮膜)を約1.5μm厚
焼き付けた。また、エプスタイン試験片で磁気特性を測
定した。鋼板表面の内部酸化量、外部酸化量は実施例1
で示した方法で調べた。なお製品の平均結晶粒径は、い
づれも150〜155μmであった。
酸化量、外部酸化量を本発明範囲に制御したものは、優
れた鉄損特性を示した。なお、最終の鋼板の成分をチェ
ックしたが、スラブ成分と同一であった。
活用し、同時に、高周波鉄損特性を改善した無方向性電
磁鋼板およびその製造方法を提供することができた。
化、(b)は外部酸化を示す。
Claims (2)
- 【請求項1】質量%で、 C ≦0.004%、 Si:1.6〜3.5%、 Mn≦1%、 P ≦0.05%、 S ≦0.002%、 Al:0.1〜3%、 N ≦0.004% を含有し、残部が実質的にFe及び不可避的不純物から
なり、製品厚み0.1〜0.4mm、平均結晶粒径が40
〜170μmで、絶縁被膜を除去した表面状態での鋼板
表面の内部酸化量と外部酸化量が下式で表されることを
特徴とする高級無方向性電磁鋼板。 鋼板表面の内部酸化量×0.20/板厚≦200 20≦鋼板表面の外部酸化量×0.20/板厚≦500 ただし、酸化量はT−Oで表す:ppm 、板厚:mm - 【請求項2】質量%で Cu:0.05〜1%、 Ni:0.01〜0.2%、 Cr:0.01〜0.2%、 Sn:0.003〜0.1% をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の高
級無方向性電磁鋼板。
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