JP3570773B2 - 図形処理装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はCAD(Computer Aided Design) 機能を有する図形処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の図形処理装置は、線分や円等の表示要素を格納しているデータベース中のすべての表示要素を単にそのまま表示するという方式、または、データベース中のすべての表示要素のうち図形の概形を示す概形表示要素のみを表示するという方式のいずれかを採用している。
図15は従来の図形処理装置の要部の概略構成を表すものである。この装置は、キーボードやマウス等を備えた入力装置1と、コマンド解析部2と、基本作図処理部3と、図形編集処理部4と、全体表示処理部5と、データベース6と、表示処理部7と、表示装置8と、概形表示要素登録処理部9とを備えている。
【0003】
次に、以上のような構成の図形処理装置の動作を説明する。図形を作成するためのコマンドが入力装置1から入力されると、コマンド解析部2は入力されたコマンドを解析する。基本作図処理部3は、解析されたコマンドに応じて、線分、円等の図形データ(すなわち表示要素)をデータベース6に登録する。表示処理部7は、データベース6に登録された表示要素を表示装置8に表示する。
【0004】
このような処理を繰り返すことにより、複数の表示要素が作成される。
【0005】
概形表示要素登録処理部9は、既に作成してある表示要素のうち、図面の概形となる表示要素(すなわち概形表示要素)をコマンド解析部2から入力し、概形表示要素であるという情報をデータベース6に登録する。表示処理部7は、データベース6に登録されている表示要素のうち、概形表示要素のみを表示することもできるようになっている。図形編集処理部4は、入力装置1およびコマンド解析部2より編集対象の表示要素および編集操作の種類(移動、回転等)を得て、該当する編集処理を行い、これにより変更された表示要素をデータベース6に登録する。全体表示処理部5は、データベース6に登録されている各々の表示要素を表示処理部7を通して表示する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の図形処理装置は、以上のような構成および動作となっていたので、次のような問題点があった。
【0007】
(a)図面全体を表示する場合、すべての表示要素をそのまま表示するか、概形表示要素のみを表示するかのいずれかを選択しなければならない。このうち、すべての表示要素の表示を選択した場合は、図面全体についてすべての表示要素が詳細に表示されるため、表示処理に多くの時間を要する。したがって、概形さえ認識されればよい場合には適しない。一方、概形表示要素のみの表示を選択した場合は、図面全体について概形表示要素のみが表示される。このため、図面の一部についてすべての表示要素を表示して細部の修正を行おうとする場合には、修正を行う箇所が概形表示要素しか表示されないので、不都合である。したがって、この場合には、図面の細かい修正を行うたびに図面全体のすべての表示要素を表示させなければならない。ところが、これでは必要のないところまですべての表示要素が表示されるので、時間の無駄が生ずる。
【0008】
(b)複数の表示要素で構成されている図形のかたまり全体を編集処理(移動、回転等)する場合、その図形のかたまりを構成するすべての表示要素を編集対象要素として入力する必要がある。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、図面全体を表示するのに、概形だけ認識できればよい部分は概形表示要素だけ表示し、詳細まで表示したい部分はすべての表示要素を表示することにより、全体としての概形情報を失うことなく、かつ部分的な編集処理に支障をきたすことなく、全体としての表示速度を向上させることができると共に、複数の表示要素で構成されている図形のかたまり全体を編集処理(移動、回転等)する場合の入力を簡素化することができる図形処理装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の図形処理装置は、一群の表示要素からなる図形グループに含まれるすべての表示要素と、前記図形グループを表す名称と、前記一群の表示要素のうちその図形グループの概形を形成する表示要素である概形表示要素とを入力する入力手段と、各表示要素を格納するデータベースと、前記入力手段からの入力に基づき、前記データベース上の各表示要素に対し、その表示要素が所属する図形グループの名称とその表示要素が概形表示要素であるか否かを示す情報とを付加して登録する概形表示要素登録処理手段と、前記データベースの内容に基づき、グループ化されていない表示要素と、グループ化された表示要素のうちの概形表示要素とを表示する表示処理手段とを備えている。
【0011】
請求項2記載の図形処理装置は、請求項1記載の図形処理装置において、前記表示処理手段が、グループ化された表示要素のうちの概形表示要素を、グループ化されていない表示要素と視覚的に異なる態様で表示するように構成したものである。
【0012】
請求項3記載の図形処理装置は、請求項1記載の図形処理装置において、前記概形表示要素登録処理手段が、概形表示要素として入力された表示要素が閉領域を形成する場合に、それらの概形表示要素によって囲まれるすべての表示要素をその図形グループを構成する全表示要素として自動的に判別するように構成したものである。
【0013】
請求項4記載の図形処理装置は、請求項1記載の図形処理装置において、前記データベースが、各図形グループごとに、概形表示要素のみを表示するか、あるいはその図形グループに属する全表示要素を表示するかを示す概形表示フラグを有し、前記表示処理手段が、前記データベースの内容に基づき、グループ化されていない表示要素と、全表示要素を表示するという内容の概形表示フラグを有する図形グループに属する全表示要素と、概形表示要素のみ表示するという内容の概形表示フラグを有する図形グループに属する概形表示要素とを表示し、さらに、前記データベース上の一部またはすべての図形グループの概形表示フラグを任意の時点で変更して表示に反映させる処理を行う表示変更処理手段を備えている。
【0014】
請求項5記載の図形処理装置は、請求項4記載の図形処理装置において、さらに、前記データベース上のすべての表示要素の表示に際して、グループ化された表示要素に関し、すべての図形グループについて全表示要素を表示するモードと、すべての図形グループについて概形表示要素を表示するモードと、各図形グループに付随する概形表示フラグの内容に基づいて表示を行うモードのいずれかを設定すると共に、前記表示処理手段に、この設定されたモードに従って全体表示を行わせる全体表示処理手段を備えている。
【0015】
請求項6記載の図形処理装置は、請求項1記載の図形処理装置において、前記概形表示要素登録処理手段が、必要に応じ、既存の図形グループを解除し、その図形グループを構成する表示要素を変更し、またはその図形グループの概形表示要素を変更するように構成したものである。
【0016】
請求項7記載の図形処理装置は、請求項1記載の図形処理装置において、さらに、グループ化された表示要素についてはその図形グループを一つのまとまりとして編集処理を行う図形編集処理手段を備えている。
【0017】
請求項8記載の図形処理装置は、請求項7記載の図形処理装置において、前記図形編集処理手段が、データベース上の図形グループの編集を図形グループ全体としてまとめて行うモードと、図形グループを構成する個々の表示要素ごとに編集を行うモードとを有し、編集対象として指定された表示要素がいずれかの図形グループに属し、かつその図形グループを構成する個々の表示要素ごとに編集を行うモードが選択された場合には、その図形グループに付随する概形表示フラグの内容を、全表示要素を表示するという内容に自動的に変更するように構成したものである。
【0018】
【作用】
請求項1記載の図形処理装置では、概形表示要素登録処理手段により、既にデータベースに登録され表示されている表示要素の中から、複数の表示要素で構成される図形のかたまり(すなわち図形グループ)を定義することができ、さらにその図形グループを構成する表示要素の中から、その図形グループの概形を表す複数の表示要素(すべての概形表示要素)を指定することができる。また、このような図形グループは複数個指定することができる。こうして定義した図形グループに関する情報はデータベース上に保持される。この結果、表示処理手段により、図形グループとして定義された表示要素に関しては概形表示要素のみ表示されるため、図形全体としての概形情報が失われることなく、実際に表示する表示要素の個数が減少する。
【0019】
請求項2記載の図形処理装置では、データベースに登録された表示要素を表示する際に、グループ化された表示要素の中の概形表示要素に関してはグループ化されていない表示要素と異なる態様(色、輝度、またはブリンク等)で表示が行われる。このため、グループ化されていない表示要素とグループ化されている表示要素の区別が明瞭となる。
【0020】
請求項3記載の図形処理装置では、概形表示要素登録処理手段によって図形グループを定義する際に、概形表示要素を指定するだけで足りる。この場合、指定された概形表示要素によって囲まれた表示要素が、その図形グループに属するすべての表示要素として自動的に認識される。
【0021】
請求項4記載の図形処理装置では、概形表示要素登録処理手段により定義された各図形グループに対し、表示変更処理手段により、各図形グループごとに、概形表示要素のみを表示するか、あるいはその図形グループに属する全表示要素を表示するかを任意の時点で設定することができる。この設定は、概形表示フラグとしてデータベース上に保持される。表示処理手段は、この概形表示フラグの内容に応じ、各図形グループについて、概形表示要素のみを表示し、またはすべての表示要素の表示を行う。なお、概形表示フラグは、各図形グループごとに設定するのでなく、全図形グループについて一括設定することも可能である。
【0022】
請求項5記載の図形処理装置では、グループ化された表示要素に関しては、すべての図形グループについて全表示要素を表示するか、すべての図形グループについて概形表示要素を表示するか、あるいは各図形グループに付随する概形表示フラグの内容に基づいて表示を行うか、のいずれかを設定することができる。表示処理手段は、このようにして設定されたモードに従って、グループ化された表示要素の表示方法を変更し、全体表示を行う。
【0023】
請求項6記載の図形処理装置では、概形表示要素登録処理手段によって、必要に応じ、既存の図形グループの解除、その図形グループを構成する表示要素の変更、またはその図形グループの概形表示要素の変更が行われる。このため、一旦定義した図形グループの解除、変更等が可能となる。
【0024】
請求項7記載の図形処理装置では、図形編集処理手段によって、グループ化された表示要素についてはその図形グループを一つのまとまりとして編集処理(移動、回転等)が行われる。
【0025】
請求項8記載の図形処理装置では、図形編集処理手段により、データベース上の図形グループの編集を図形グループ全体としてまとめて行うか、あるいは図形グループを構成する個々の表示要素ごとに編集を行うか、に応じて、グループ化された表示要素の表示方法が変更される。さらに、編集対象の表示要素がいずれかの図形グループに属し、かつ個々の表示要素ごとに編集を行う場合において、その図形グループの概形表示フラグの内容が概形表示要素のみを表示するという内容になっているときには、これは自動的に、全表示要素を表示するという内容に変更される。
【0026】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
図1は本発明の一実施例に係る図形処理装置の構成を表わすものである。この図で、従来例(図15)と同一構成要素には同一符号を付す。
【0028】
この図形処理装置は、入力装置1と、入力装置1からの入力データを受けるコマンド解析部2と、コマンド解析部2から指令を受ける基本作図処理部3、図形編集処理部4、全体表示処理部5、概形表示要素登録処理部9、モード設定処理部10および表示変更処理部11と、基本作図処理部3、図形編集処理部4、全体表示処理部5、概形表示要素登録処理部9、表示変更処理部11および表示処理部7からアクセス可能なデータベース6と、基本作図処理部3、図形編集処理部4、全体表示処理部5、概形表示要素登録処理部9または表示変更処理部11からの指令を受けて必要な情報を表示装置8に表示させる表示処理部7と、表示処理部7の制御によって必要な情報を表示する表示装置8と、図形編集処理部4、全体表示処理部5、概形表示要素登録処理部9およびモード設定処理部10との間でアクセスが行われるモード記憶部12とを備えている。
【0029】
入力装置1はマウス、キーボード、タブレット等を備え、座標、表示要素および数値等を入力するためのものである。コマンド解析部2は、ユーザから入力されたコマンドを解析し、入力装置1から入力された座標、表示要素および数値等に基づき各コマンドの処理を起動する。基本作図処理部3は、線分や円弧等の基本図形を作成し、その結果をデータベース6に登録して表示処理を行うようになっている。図形編集処理部4は、作成済みの図形に対して移動、回転等の編集処理を行い、結果をデータベース6に登録して表示処理を行うものである。全体表示処理部5は、データベース6に既に登録してあるすべての内容を表示する。データベース6は、作成された図形データ(表示要素)の内容を記憶する。表示処理部7は、データベース6に登録してある表示要素を表示装置8に表示する。概形表示要素登録処理部9は、複数の図形からなる図形のかたまりを、そのすべての構成要素および概形を表す要素(概形表示要素)と共に図形グループとしてデータベース6に登録し、表示処理を行う。モード設定処理部10は、この図形処理装置の動作モードを設定するためのもので、ここで設定された動作モードはモード記憶部12に記憶されるようになっている。表示変更処理部11は、グループ化された表示要素の表示状態を変更してデータベース6に登録し表示処理を行うためのものである。そして、図形編集処理部4、全体表示処理部5および概形表示要素登録処理部9は、モード記憶部12に記憶されている動作モードを参照し、その動作モードに応じて動作を変更するようになっている。
【0030】
図2はデータベース6の構造を表すものである。この図に示すように、データベース6は図形データベースとグループデータベースとを有している。図形データベースは個々の図形データ(表示要素)を格納するためのもので、図形データの座標値等の他に、その表示要素が属する図形グループの番号、および概形表示要素か否かを示す情報が格納されている。表示要素がどの図形グループにも属していない場合はグループ番号“0”として表される。図形グループデータベースは、概形表示要素登録処理部9により登録された図形グループの情報を格納するためのもので図形グループの名称および概形表示フラグが格納される。概形表示フラグは、概形表示要素のみを表示するか、あるいはすべての表示要素を表示するかを示す情報である。
【0031】
図3はモード記憶部12の構造を表すものである。このモード記憶部12には以下の3つのモード情報が格納される。
【0032】
(1)概形表示要素登録処理部9が図形グループを定義する際に、概形表示要素を入力した後のその図形グループに属する他のすべての要素の決定方法を示すモード情報であり、この決定方法には次の2つのモードがある。
【0033】
(i) 概形表示要素により囲まれるすべての要素を自動認識して、それを図形グループに属する全要素とするという自動判別モード。
【0034】
(ii)上記の自動判別を行わず、ユーザからの入力を利用するモード。
【0035】
(2)全体表示処理部5がグループ化された表示要素を表示する場合の表示方法を示すモード情報であり、この表示方法には次の3つのモードがある。
【0036】
(i) すべての図形グループとも概形表示要素のみ表示するというモード。
【0037】
(ii)すべての図形グループとも全表示要素を表示するというモード。
【0038】
(iii) 各図形グループのデータベース6に記憶されている概形表示フラグに従うというモード。
【0039】
(3)図形編集処理部4のグループ化された表示要素に対する編集対象を指定するためモード情報であり、次の2つのモードがある。
【0040】
(i) 個々の表示要素ごとに編集処理するモード。
【0041】
(ii)図形グループ全体として編集処理するモード。
【0042】
次に、以上のような構成の図形処理装置の動作を説明する。
【0043】
最初に図10を参照して概形表示要素登録処理部9の動作を説明する。まず、コマンド解析部2から図形グループ名および概形表示要素を入力する(ステップS101)。概形表示要素が閉ループ(閉じた形状)を形成している場合には(ステップS102;Y)、モード記憶部12から動作モードを読み出す(ステップS103)。この動作モードが、図形グループの全構成要素を自動判別するモードであれば、概形表示要素で囲まれるすべての表示要素を抽出し、その図形グループの全構成要素とする(ステップS106)。一方、概形表示要素が閉ループを形成していない場合(ステップS102;N)、または動作モードがユーザからの入力を利用するモードの場合は(ステップS104;N)、コマンド解析部2から図形グループの全構成要素を入力する(ステップS105)。こうして得た図形グループ名、概形表示要素および図形グループの構成要素の情報をデータベース6に登録すると共に(ステップS107)、そのデータを表示処理部7によって表示する(ステップS108)。
【0044】
なお、図10に図示はしないが、概形表示要素登録処理部9は、上記のようにして登録した図形グループを解除することも任意にできるようになっている。これは、データベース6(図2)における図形グループデータベース中の図形グループ名称(“AAA”等)を削除すると共に図形データベース中の該当する表示要素の図形グループ番号を“0”にすることで可能となる。また、既存の図形グループを構成する表示要素またはその図形グループの概形表示要素を任意に変更することも可能である。これは、データベース6における図形データベース中の該当する表示要素の図形グループ番号を変更することで可能となる。
【0045】
次に、図11を参照して表示処理部7の動作を説明する。まず、表示の対象となる表示要素のデータをデータベース6から取り出す(ステップS201)。その表示要素が図形グループに属し(ステップS202;Y)、かつその図形グループの概形表示フラグが“概形表示要素のみ表示”になっている場合において(ステップS203;Y)、その表示要素が概形表示要素である場合には(ステップS204;Y)、これを太線で表示装置8に表示し(ステップS205)、概形表示要素でない場合は(ステップS204;N)、何も表示しない。表示要素が図形グループに属していない場合(ステップS202;N)、または図形グループに属していてもその図形グループの概形表示フラグが“全表示要素を表示”となっている場合には(ステップS203;N)、普通の線で表示装置8に表示する(ステップS206)。なお、概形表示要素であることの表示は太線に限らず、他の表示方法(例えば異なる色や輝度、またはブリンク)で表示するようにしてもよい。
【0046】
図4〜図7はこの図形処理装置の動作の具体例を表すものである。図4を初期状態とする。まず、モード設定処理により、図形グループに属する全要素を概形表示要素から自動判別するモードに設定する。モード設定処理部10は、この動作モードをモード記憶部12に記憶する。次に、概形表示要素登録処理部9により概形表示要素登録処理を行う。例えば、図形グループ名として“AAA”、概形表示要素として図4の表示装置8に表示された左側上段の図形の外枠をなす4本の線分a,b,c,dを入力する。これらの4本の線分は閉ループを形成し、また、動作モードは図形グループに属する全表示要素を自動判別するモードになっているため、概形表示要素登録処理部9は4本の線分a,b,c,dに囲まれた線分をこの図形グループの残りの全表示要素として認識し、結果をデータベース6に登録して表示を行う。
【0047】
こうして登録されたデータの内容は図2に示すようになる。この図で、図形データベースの番号1,4,5,8のデータはそれぞれ図4の線分a,c,d,bに対応している。また、図形グループデータベースには、“AAA”という図形グループ名が登録されると共に、この図形グループの概形表示フラグとして“概形表示要素のみ表示”が登録される。
【0048】
上記の概形表示要素登録処理を実行した後の表示装置8の状態は図5に示すようになる。この図に示すように、上記処理により登録された図形グループに属する表示要素のうち概形表示要素のみが他の表示要素とは区別して太線で表示される。
【0049】
また、図5の右側中段の図形Sと右側下段の図形Tに対して同様の処理を実行すると、表示装置8の表示は図6に示すようになる。さらに、図5の左側下段の図形Qに対して同様の処理を実行すると、図7に示すようになる。
【0050】
次に、表示変更処理部11によって、既に登録されている図形グループの概形表示フラグを変更する場合の処理方法を図12を参照して説明する。まず、コマンド解析部2から、個々の図形グループに対する処理か、あるいはすべての図形グループに対する一括処理かを示すデータを入力する(ステップS301)。このとき、個々の図形グループに対する処理の場合には、対象となる表示データを入力する。
【0051】
一括処理が指定された場合は(ステップS302;Y)、データベース6のすべてのデータの内容を読み出す(ステップS303)。そして、“概形表示要素のみ表示”が指定された場合は(ステップS304;Y)、すべての図形グループの概形表示フラグを“概形表示要素のみ表示”に設定し(ステップS305)、“全表示要素を表示”が指定された場合には(ステップS304;N)、すべての図形グループの概形表示フラグを“全要素表示”に設定し(ステップS306)、表示を行う(ステップS307)。ここでの表示処理は、概形表示フラグを変更した図形グループに属する全表示要素について行われる。
【0052】
一方、個々の図形グループに対する処理が指定された場合は(ステップS302;N)、対象となる表示要素のデータをデータベース6から読み込む(ステップS308)。そして、対象となる表示要素がどの図形グループにも属していない場合は(ステップS309;N)、そのまま終了する。一方、いずれかの図形グループに属している場合は、その図形グループの概形表示フラグを変更(現設定と逆に設定)する。すなわち、概形表示フラグが“概形表示要素のみ表示”になっているときには(ステップS310;Y)、“全表示要素を表示”に設定し(ステップS311)、概形表示フラグが“全表示要素を表示”になっているときには(ステップS310;N)、“概形表示要素のみ表示”に設定して(ステップS312)、表示処理を行う(ステップS313)。ここでの表示処理は、図形グループ内のすべての表示要素について行われる。
【0053】
次に、表示変更処理の具体的動作例を説明する。ここでは、図7を初期状態とする。図12の表示変更処理において個々のグループに対する処理を選択し(図12ステップS302;N)、例えば図7の表示装置8の左側下段の図形eを入力すると、表示変更処理部11はまず、この要素の内容をデータベース6から読み込む。その結果、この要素はグループに属していることが判明する。この図形グループの概形表示フラグは“概形表示要素のみ表示”になっているので、その図形グループの概形表示フラグを“全表示要素を表示”に変更し、表示処理を行う。これにより、表示装置8の表示は図6に示すようになる。
【0054】
同様の処理を図6の右側中段の図形fおよび右側下段の図形gに対して実行すると、表示装置8の表示は図5に示すようになる。さらに、同様の処理を図5の左側上段の図形hに対して実行すると図4に示すようになる。図4において、表示変更処理によって個々の図形グループに対する処理を選択し、同図の左側上段の図形aを入力すると、今度はその要素の属している図形グループの概形表示フラグが“全表示要素を表示”になっているので、その図形グループの概形表示フラグを“概形表示要素のみ表示”に変更し、表示処理を行う。その実行結果は図5となる。さらに、図5において、表示変更処理で一括処理を選択し、“概形表示要素のみ表示”を選択すると、表示変更処理部11はデータベース6からすべてのデータを検索してすべての図形グループの概形表示フラグを“概形表示要素のみ表示”に設定し、表示処理を行う。この結果は図7に示すようになる。
【0055】
次に、全体表示処理部5によって、既に登録されている表示要素の全体を表示する場合の処理方法を図13を参照して説明する。まず、データベース6からすべてのデータを読み込み(ステップS401)、続いてモード記憶部12から動作モードを読み出す(ステップS402)。動作モードが“すべての図形グループに対して概形表示要素のみ表示”であれば(ステップS403;(i) )、すべての図形グループの概形表示フラグとして“概形表示要素のみ表示”を設定する(ステップS404)。動作モードが“すべての図形グループに対して全表示要素を表示”であれば(ステップS403;(ii))、すべての図形グループの概形表示フラグとして“全表示要素を表示”を設定する(ステップS405)。動作モードが、“データベース6上のそれぞれの図形グループの概形表示フラグに従う”になっていれば(ステップS403;(iii) )、何も設定しない。そして、その後、すべての表示要素に対して表示処理を行う(ステップS406)。
【0056】
次に、全体表示処理の具体的動作例を説明する。ここでは、図5を初期状態とする。まず、動作モード設定処理で、動作モードを“すべての図形グループに対して概形表示要素のみ表示”に設定する。モード設定処理部10は、この動作モードをモード記憶部12に設定する。続いて図13に従って全体表示処理を実行する。全体表示処理部5は、先ずデータベースからすべてのデータを読み込む。モード記憶部12から取り出した動作モードは“すべての図形グループに対して概形表示要素のみ表示”であるため、すべての図形グループの概形表示フラグとして“概形表示要素のみ表示”を設定し、表示処理を行う。この実行結果は図7に示すようになる。
【0057】
一方、当初の動作モードを“すべての図形グループに対して全表示要素を表示”に設定して同様に実行すると、実行結果は図4に示すようになる。さらに、当初の動作モードを“データベース上のそれぞれの概形表示フラグに従う”に設定して実行すると、実行結果は図5に示すようになる。
【0058】
次に、図形編集処理部4によって、既に登録されている表示要素の編集を行う場合の処理方法を図14を参照して説明する。
【0059】
まず、コマンド解析部2から編集対象の表示要素を入力し(ステップS501)、その表示要素のデータ内容をデータベース6から読み込む(ステップS502)。この表示要素が図形グループに属していなければ(ステップS503;N)、その要素に対してのみ編集処理を実行し(ステップS509)、表示処理を行う(ステップS510)。一方、その表示要素が図形グループに属していた場合は(ステップS503;Y)、モード記憶部12から動作モードを読み出す(ステップS504)。この動作モードが図形グループ全体を編集対象とするモードであれば(ステップS505;Y)、その表示要素を含む図形グループ全体にに対して編集処理を実行し(ステップS506)、表示処理を行う(ステップS510)。一方、動作モードが個々の要素を編集対象とするモードであって(ステップS505;N)、かつ図形グループの概形表示フラグが“概形表示要素のみ表示”であった場合には(ステップS507;Y)、その表示要素を含む図形グループの概形表示フラグを“全表示要素を表示”に変更し(ステップS508)、その表示要素に対してのみ編集処理を実行し(ステップS509)、表示処理を行う(ステップS510)。また、動作モードが個々の要素を編集対象とするモードであって(ステップS505;N)、かつ図形グループの概形表示フラグが“全表示要素を表示”であった場合には(ステップS507;N)、その表示要素に対してのみ編集処理を実行し(ステップS509)、表示処理を行う(ステップS510)。
【0060】
次に、図形編集処理の具体的動作例を説明する。ここでは、図5を初期状態とする。まず、動作モード設定処理で、動作モードを“図形グループ全体に対しての編集処理”に設定する。モード設定処理部10は、この動作モードをモード記憶部12に設定する。続いて図14の図形編集処理を実行する。すなわち、図5の左側上段の正方形の右辺hを選択する。図形編集処理部4は、この表示要素の内容をデータベース6から読み出す。ここでは、選択された表示要素(h)は図形グループに属しているので、モード記憶部12から動作モードを取り出す。この場合、動作モードは“図形グループ全体に対する編集処理”になっているので、この表示要素が属する図形グループ全体が編集の対象となり、編集処理を実行する。ここでは右方向へ移動する編集を行うものとする。その実行結果は図8に示すようになる。
【0061】
また、動作モードを“個々の表示要素を編集対象”にした場合には、次のようになる。すなわち、上記と同様に図形編集処理により図5の左側上段の正方形の右辺hを選択する。図形編集処理部4は、動作モードが“個々の表示要素を編集対象”になっているため、この表示要素を含む図形グループの概形表示フラグを“全表示要素を表示”に変更し、この表示要素のみを右方向に移動する。その実行結果は図9に示すようになる。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の図形処理装置によれば、既にデータベースに登録され表示されている表示要素の中から、複数の表示要素で構成される図形のかたまり(すなわち図形グループ)を定義可能とし、その図形グループを構成する表示要素の中から、その図形グループの概形を表す複数の表示要素(すべての概形表示要素)を指定可能とし、さらにこうして定義した図形グループに関する情報をデータベース上に保持すると共に、図形グループとして定義された表示要素に関しては概形表示要素のみを表示するようにしたので、図形全体としての概形情報が失われることなく、実際に表示する表示要素の個数を減少させることができ、図面全体としての表示が高速化する。また、一度定義した図形グループに関する情報は保持されるため、ユーザは、作業の都度定義操作を繰り返す必要がない。
【0063】
請求項2記載の図形処理装置によれば、データベースに登録された表示要素を表示する際に、グループ化された表示要素の中の概形表示要素に関してはグループ化されていない表示要素と異なる態様(色、輝度、またはブリンク等)で表示するようにしたので、グループ化されていない表示要素とグループ化されている表示要素の区別が明瞭となる。このため、ユーザはどの表示要素がグループ化されているかを常時認識しながら作業を行うことができるという効果がある。
【0064】
請求項3記載の図形処理装置によれば、指定された概形表示要素によって囲まれた表示要素を、その図形グループに属するすべての表示要素として自動的に認識するようにしたので、ユーザは図形グループを定義する際に概形表示要素を指定するだけで足り、その図形グループに属するすべての表示要素を逐一指定する必要がなくなる。このため、操作が簡単になる。なお、必要に応じて、このような自動認識機能を解除するように構成することも可能である。
【0065】
請求項4記載の図形処理装置によれば、各図形グループに対し、概形表示要素のみを表示するか、あるいはその図形グループに属する全表示要素を表示するかを任意の時点で設定可能とし、この設定を概形表示フラグとしてデータベース上に保持すると共に、この概形表示フラグの内容に応じ、各図形グループについて、概形表示要素のみを表示し、またはすべての表示要素の表示を行うようにしたので、任意の時点で、各図形グループの概形表示フラグの内容を、概形表示要素のみの表示または全表示要素の表示に変更することができる。このため、ユーザは、作業内容に応じて図面全体のうちの必要な部分のみを詳細に表示させることができる。また、概形表示フラグの内容はデータベース上に保持するようにしたので、ユーザは作業の都度各図形グループについて設定を行う必要がなく、操作が簡単になる。なお、概形表示フラグは、各図形グループごとに設定するのでなく、全図形グループについて一括設定することも可能である。
【0066】
請求項5記載の図形処理装置によれば、グループ化された表示要素に関しては、すべての図形グループについて全表示要素を表示するか、すべての図形グループについて概形表示要素を表示するか、あるいは各図形グループに付随する概形表示フラグの内容に基づいて表示を行うか、のいずれかを設定可能にすると共に、設定されたモードに従って、グループ化された表示要素の表示方法を変更し、全体表示を行うようにしたので、ユーザは作業開始時において初めて図面全体を表示する場合に、グループ化された表示要素についての表示方法を任意に選択することができる。
【0067】
請求項6記載の図形処理装置によれば、必要に応じ、既存の図形グループの解除、その図形グループを構成する表示要素の変更、またはその図形グループの概形表示要素の変更を可能としたので、一旦定義した図形グループの解除、変更等が可能となる。
【0068】
請求項7記載の図形処理装置によれば、グループ化された表示要素についてはその図形グループを一つのまとまりとして編集処理(移動、回転等)を行うようにしたので、図形グループ全体として編集処理をする場合に、その図形グループを構成するすべての表示要素を逐一指定して入力する必要がなく、1回の指定操作のみで編集対象の表示要素を指定することができる。
【0069】
請求項8記載の図形処理装置によれば、データベース上の図形グループの編集を図形グループ全体としてまとめて行う方法、あるいは図形グループを構成する個々の表示要素ごとに編集を行う方法のいずれかの方法に従って、グループ化された表示要素の表示方法を変更するようにしたので、ユーザは図形編集処理に際し、図形グループ全体を編集対象とするのかあるいは個々の表示要素を編集対象とするのかを自由に選択することができると共に、グループ化されている表示要素を個別に編集したい場合であっても、図形グループを解除することなく編集処理を行うことができる。また、編集対象の表示要素がいずれかの図形グループに属し、かつ図形グループの個々の表示要素ごとの編集が指定された場合において、その図形グループの概形表示フラグの内容が概形表示要素のみを表示するという内容になっているときには、これを自動的に、全表示要素を表示するという内容に変更するようにしたので、概形表示要素のみを表示するように設定された図形グループの表示要素を個別に編集しようとする場合であっても、その図形グループの概形表示フラグの内容を変更する操作を行う必要がなく、操作が簡単となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る図形処理装置の構成を表すブロック図である。
【図2】図1の図形処理装置におけるデータベースの構造を表す説明図である。
【図3】図1の図形処理装置におけるモード記憶部の内容を表す説明図である。
【図4】図1の図形処理装置の動作を説明するための具体的表示例である。
【図5】図1の図形処理装置の動作を説明するための具体的表示例である。
【図6】図1の図形処理装置の動作を説明するための具体的表示例である。
【図7】図1の図形処理装置の動作を説明するための具体的表示例である。
【図8】図1の図形処理装置の動作を説明するための具体的表示例である。
【図9】図1の図形処理装置の動作を説明するための具体的表示例である。
【図10】図1の図形処理装置における概形表示要素登録処理部の動作を説明するための流れ図である。
【図11】図1の図形処理装置における表示処理部の動作を説明するための流れ図である。
【図12】図1の図形処理装置における表示変更処理部の動作を説明するための流れ図である。
【図13】図1の図形処理装置における全体表示処理部の動作を説明するための流れ図である。
【図14】図1の図形処理装置における図形編集処理部の動作を説明するための流れ図である。
【図15】従来の図形処理装置の構成を表すブロック図である。
【符号の説明】
1 入力装置、2 コマンド解析部、3 基本作図処理部、4 図形編集処理部、5 全体表示処理部、6 データベース、7 表示処理部、8 表示装置、9 概形表示要素登録処理部、10 モード設定処理部、11 表示変更処理部、12 モード記憶部。
【産業上の利用分野】
本発明はCAD(Computer Aided Design) 機能を有する図形処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の図形処理装置は、線分や円等の表示要素を格納しているデータベース中のすべての表示要素を単にそのまま表示するという方式、または、データベース中のすべての表示要素のうち図形の概形を示す概形表示要素のみを表示するという方式のいずれかを採用している。
図15は従来の図形処理装置の要部の概略構成を表すものである。この装置は、キーボードやマウス等を備えた入力装置1と、コマンド解析部2と、基本作図処理部3と、図形編集処理部4と、全体表示処理部5と、データベース6と、表示処理部7と、表示装置8と、概形表示要素登録処理部9とを備えている。
【0003】
次に、以上のような構成の図形処理装置の動作を説明する。図形を作成するためのコマンドが入力装置1から入力されると、コマンド解析部2は入力されたコマンドを解析する。基本作図処理部3は、解析されたコマンドに応じて、線分、円等の図形データ(すなわち表示要素)をデータベース6に登録する。表示処理部7は、データベース6に登録された表示要素を表示装置8に表示する。
【0004】
このような処理を繰り返すことにより、複数の表示要素が作成される。
【0005】
概形表示要素登録処理部9は、既に作成してある表示要素のうち、図面の概形となる表示要素(すなわち概形表示要素)をコマンド解析部2から入力し、概形表示要素であるという情報をデータベース6に登録する。表示処理部7は、データベース6に登録されている表示要素のうち、概形表示要素のみを表示することもできるようになっている。図形編集処理部4は、入力装置1およびコマンド解析部2より編集対象の表示要素および編集操作の種類(移動、回転等)を得て、該当する編集処理を行い、これにより変更された表示要素をデータベース6に登録する。全体表示処理部5は、データベース6に登録されている各々の表示要素を表示処理部7を通して表示する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の図形処理装置は、以上のような構成および動作となっていたので、次のような問題点があった。
【0007】
(a)図面全体を表示する場合、すべての表示要素をそのまま表示するか、概形表示要素のみを表示するかのいずれかを選択しなければならない。このうち、すべての表示要素の表示を選択した場合は、図面全体についてすべての表示要素が詳細に表示されるため、表示処理に多くの時間を要する。したがって、概形さえ認識されればよい場合には適しない。一方、概形表示要素のみの表示を選択した場合は、図面全体について概形表示要素のみが表示される。このため、図面の一部についてすべての表示要素を表示して細部の修正を行おうとする場合には、修正を行う箇所が概形表示要素しか表示されないので、不都合である。したがって、この場合には、図面の細かい修正を行うたびに図面全体のすべての表示要素を表示させなければならない。ところが、これでは必要のないところまですべての表示要素が表示されるので、時間の無駄が生ずる。
【0008】
(b)複数の表示要素で構成されている図形のかたまり全体を編集処理(移動、回転等)する場合、その図形のかたまりを構成するすべての表示要素を編集対象要素として入力する必要がある。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、図面全体を表示するのに、概形だけ認識できればよい部分は概形表示要素だけ表示し、詳細まで表示したい部分はすべての表示要素を表示することにより、全体としての概形情報を失うことなく、かつ部分的な編集処理に支障をきたすことなく、全体としての表示速度を向上させることができると共に、複数の表示要素で構成されている図形のかたまり全体を編集処理(移動、回転等)する場合の入力を簡素化することができる図形処理装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の図形処理装置は、一群の表示要素からなる図形グループに含まれるすべての表示要素と、前記図形グループを表す名称と、前記一群の表示要素のうちその図形グループの概形を形成する表示要素である概形表示要素とを入力する入力手段と、各表示要素を格納するデータベースと、前記入力手段からの入力に基づき、前記データベース上の各表示要素に対し、その表示要素が所属する図形グループの名称とその表示要素が概形表示要素であるか否かを示す情報とを付加して登録する概形表示要素登録処理手段と、前記データベースの内容に基づき、グループ化されていない表示要素と、グループ化された表示要素のうちの概形表示要素とを表示する表示処理手段とを備えている。
【0011】
請求項2記載の図形処理装置は、請求項1記載の図形処理装置において、前記表示処理手段が、グループ化された表示要素のうちの概形表示要素を、グループ化されていない表示要素と視覚的に異なる態様で表示するように構成したものである。
【0012】
請求項3記載の図形処理装置は、請求項1記載の図形処理装置において、前記概形表示要素登録処理手段が、概形表示要素として入力された表示要素が閉領域を形成する場合に、それらの概形表示要素によって囲まれるすべての表示要素をその図形グループを構成する全表示要素として自動的に判別するように構成したものである。
【0013】
請求項4記載の図形処理装置は、請求項1記載の図形処理装置において、前記データベースが、各図形グループごとに、概形表示要素のみを表示するか、あるいはその図形グループに属する全表示要素を表示するかを示す概形表示フラグを有し、前記表示処理手段が、前記データベースの内容に基づき、グループ化されていない表示要素と、全表示要素を表示するという内容の概形表示フラグを有する図形グループに属する全表示要素と、概形表示要素のみ表示するという内容の概形表示フラグを有する図形グループに属する概形表示要素とを表示し、さらに、前記データベース上の一部またはすべての図形グループの概形表示フラグを任意の時点で変更して表示に反映させる処理を行う表示変更処理手段を備えている。
【0014】
請求項5記載の図形処理装置は、請求項4記載の図形処理装置において、さらに、前記データベース上のすべての表示要素の表示に際して、グループ化された表示要素に関し、すべての図形グループについて全表示要素を表示するモードと、すべての図形グループについて概形表示要素を表示するモードと、各図形グループに付随する概形表示フラグの内容に基づいて表示を行うモードのいずれかを設定すると共に、前記表示処理手段に、この設定されたモードに従って全体表示を行わせる全体表示処理手段を備えている。
【0015】
請求項6記載の図形処理装置は、請求項1記載の図形処理装置において、前記概形表示要素登録処理手段が、必要に応じ、既存の図形グループを解除し、その図形グループを構成する表示要素を変更し、またはその図形グループの概形表示要素を変更するように構成したものである。
【0016】
請求項7記載の図形処理装置は、請求項1記載の図形処理装置において、さらに、グループ化された表示要素についてはその図形グループを一つのまとまりとして編集処理を行う図形編集処理手段を備えている。
【0017】
請求項8記載の図形処理装置は、請求項7記載の図形処理装置において、前記図形編集処理手段が、データベース上の図形グループの編集を図形グループ全体としてまとめて行うモードと、図形グループを構成する個々の表示要素ごとに編集を行うモードとを有し、編集対象として指定された表示要素がいずれかの図形グループに属し、かつその図形グループを構成する個々の表示要素ごとに編集を行うモードが選択された場合には、その図形グループに付随する概形表示フラグの内容を、全表示要素を表示するという内容に自動的に変更するように構成したものである。
【0018】
【作用】
請求項1記載の図形処理装置では、概形表示要素登録処理手段により、既にデータベースに登録され表示されている表示要素の中から、複数の表示要素で構成される図形のかたまり(すなわち図形グループ)を定義することができ、さらにその図形グループを構成する表示要素の中から、その図形グループの概形を表す複数の表示要素(すべての概形表示要素)を指定することができる。また、このような図形グループは複数個指定することができる。こうして定義した図形グループに関する情報はデータベース上に保持される。この結果、表示処理手段により、図形グループとして定義された表示要素に関しては概形表示要素のみ表示されるため、図形全体としての概形情報が失われることなく、実際に表示する表示要素の個数が減少する。
【0019】
請求項2記載の図形処理装置では、データベースに登録された表示要素を表示する際に、グループ化された表示要素の中の概形表示要素に関してはグループ化されていない表示要素と異なる態様(色、輝度、またはブリンク等)で表示が行われる。このため、グループ化されていない表示要素とグループ化されている表示要素の区別が明瞭となる。
【0020】
請求項3記載の図形処理装置では、概形表示要素登録処理手段によって図形グループを定義する際に、概形表示要素を指定するだけで足りる。この場合、指定された概形表示要素によって囲まれた表示要素が、その図形グループに属するすべての表示要素として自動的に認識される。
【0021】
請求項4記載の図形処理装置では、概形表示要素登録処理手段により定義された各図形グループに対し、表示変更処理手段により、各図形グループごとに、概形表示要素のみを表示するか、あるいはその図形グループに属する全表示要素を表示するかを任意の時点で設定することができる。この設定は、概形表示フラグとしてデータベース上に保持される。表示処理手段は、この概形表示フラグの内容に応じ、各図形グループについて、概形表示要素のみを表示し、またはすべての表示要素の表示を行う。なお、概形表示フラグは、各図形グループごとに設定するのでなく、全図形グループについて一括設定することも可能である。
【0022】
請求項5記載の図形処理装置では、グループ化された表示要素に関しては、すべての図形グループについて全表示要素を表示するか、すべての図形グループについて概形表示要素を表示するか、あるいは各図形グループに付随する概形表示フラグの内容に基づいて表示を行うか、のいずれかを設定することができる。表示処理手段は、このようにして設定されたモードに従って、グループ化された表示要素の表示方法を変更し、全体表示を行う。
【0023】
請求項6記載の図形処理装置では、概形表示要素登録処理手段によって、必要に応じ、既存の図形グループの解除、その図形グループを構成する表示要素の変更、またはその図形グループの概形表示要素の変更が行われる。このため、一旦定義した図形グループの解除、変更等が可能となる。
【0024】
請求項7記載の図形処理装置では、図形編集処理手段によって、グループ化された表示要素についてはその図形グループを一つのまとまりとして編集処理(移動、回転等)が行われる。
【0025】
請求項8記載の図形処理装置では、図形編集処理手段により、データベース上の図形グループの編集を図形グループ全体としてまとめて行うか、あるいは図形グループを構成する個々の表示要素ごとに編集を行うか、に応じて、グループ化された表示要素の表示方法が変更される。さらに、編集対象の表示要素がいずれかの図形グループに属し、かつ個々の表示要素ごとに編集を行う場合において、その図形グループの概形表示フラグの内容が概形表示要素のみを表示するという内容になっているときには、これは自動的に、全表示要素を表示するという内容に変更される。
【0026】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
図1は本発明の一実施例に係る図形処理装置の構成を表わすものである。この図で、従来例(図15)と同一構成要素には同一符号を付す。
【0028】
この図形処理装置は、入力装置1と、入力装置1からの入力データを受けるコマンド解析部2と、コマンド解析部2から指令を受ける基本作図処理部3、図形編集処理部4、全体表示処理部5、概形表示要素登録処理部9、モード設定処理部10および表示変更処理部11と、基本作図処理部3、図形編集処理部4、全体表示処理部5、概形表示要素登録処理部9、表示変更処理部11および表示処理部7からアクセス可能なデータベース6と、基本作図処理部3、図形編集処理部4、全体表示処理部5、概形表示要素登録処理部9または表示変更処理部11からの指令を受けて必要な情報を表示装置8に表示させる表示処理部7と、表示処理部7の制御によって必要な情報を表示する表示装置8と、図形編集処理部4、全体表示処理部5、概形表示要素登録処理部9およびモード設定処理部10との間でアクセスが行われるモード記憶部12とを備えている。
【0029】
入力装置1はマウス、キーボード、タブレット等を備え、座標、表示要素および数値等を入力するためのものである。コマンド解析部2は、ユーザから入力されたコマンドを解析し、入力装置1から入力された座標、表示要素および数値等に基づき各コマンドの処理を起動する。基本作図処理部3は、線分や円弧等の基本図形を作成し、その結果をデータベース6に登録して表示処理を行うようになっている。図形編集処理部4は、作成済みの図形に対して移動、回転等の編集処理を行い、結果をデータベース6に登録して表示処理を行うものである。全体表示処理部5は、データベース6に既に登録してあるすべての内容を表示する。データベース6は、作成された図形データ(表示要素)の内容を記憶する。表示処理部7は、データベース6に登録してある表示要素を表示装置8に表示する。概形表示要素登録処理部9は、複数の図形からなる図形のかたまりを、そのすべての構成要素および概形を表す要素(概形表示要素)と共に図形グループとしてデータベース6に登録し、表示処理を行う。モード設定処理部10は、この図形処理装置の動作モードを設定するためのもので、ここで設定された動作モードはモード記憶部12に記憶されるようになっている。表示変更処理部11は、グループ化された表示要素の表示状態を変更してデータベース6に登録し表示処理を行うためのものである。そして、図形編集処理部4、全体表示処理部5および概形表示要素登録処理部9は、モード記憶部12に記憶されている動作モードを参照し、その動作モードに応じて動作を変更するようになっている。
【0030】
図2はデータベース6の構造を表すものである。この図に示すように、データベース6は図形データベースとグループデータベースとを有している。図形データベースは個々の図形データ(表示要素)を格納するためのもので、図形データの座標値等の他に、その表示要素が属する図形グループの番号、および概形表示要素か否かを示す情報が格納されている。表示要素がどの図形グループにも属していない場合はグループ番号“0”として表される。図形グループデータベースは、概形表示要素登録処理部9により登録された図形グループの情報を格納するためのもので図形グループの名称および概形表示フラグが格納される。概形表示フラグは、概形表示要素のみを表示するか、あるいはすべての表示要素を表示するかを示す情報である。
【0031】
図3はモード記憶部12の構造を表すものである。このモード記憶部12には以下の3つのモード情報が格納される。
【0032】
(1)概形表示要素登録処理部9が図形グループを定義する際に、概形表示要素を入力した後のその図形グループに属する他のすべての要素の決定方法を示すモード情報であり、この決定方法には次の2つのモードがある。
【0033】
(i) 概形表示要素により囲まれるすべての要素を自動認識して、それを図形グループに属する全要素とするという自動判別モード。
【0034】
(ii)上記の自動判別を行わず、ユーザからの入力を利用するモード。
【0035】
(2)全体表示処理部5がグループ化された表示要素を表示する場合の表示方法を示すモード情報であり、この表示方法には次の3つのモードがある。
【0036】
(i) すべての図形グループとも概形表示要素のみ表示するというモード。
【0037】
(ii)すべての図形グループとも全表示要素を表示するというモード。
【0038】
(iii) 各図形グループのデータベース6に記憶されている概形表示フラグに従うというモード。
【0039】
(3)図形編集処理部4のグループ化された表示要素に対する編集対象を指定するためモード情報であり、次の2つのモードがある。
【0040】
(i) 個々の表示要素ごとに編集処理するモード。
【0041】
(ii)図形グループ全体として編集処理するモード。
【0042】
次に、以上のような構成の図形処理装置の動作を説明する。
【0043】
最初に図10を参照して概形表示要素登録処理部9の動作を説明する。まず、コマンド解析部2から図形グループ名および概形表示要素を入力する(ステップS101)。概形表示要素が閉ループ(閉じた形状)を形成している場合には(ステップS102;Y)、モード記憶部12から動作モードを読み出す(ステップS103)。この動作モードが、図形グループの全構成要素を自動判別するモードであれば、概形表示要素で囲まれるすべての表示要素を抽出し、その図形グループの全構成要素とする(ステップS106)。一方、概形表示要素が閉ループを形成していない場合(ステップS102;N)、または動作モードがユーザからの入力を利用するモードの場合は(ステップS104;N)、コマンド解析部2から図形グループの全構成要素を入力する(ステップS105)。こうして得た図形グループ名、概形表示要素および図形グループの構成要素の情報をデータベース6に登録すると共に(ステップS107)、そのデータを表示処理部7によって表示する(ステップS108)。
【0044】
なお、図10に図示はしないが、概形表示要素登録処理部9は、上記のようにして登録した図形グループを解除することも任意にできるようになっている。これは、データベース6(図2)における図形グループデータベース中の図形グループ名称(“AAA”等)を削除すると共に図形データベース中の該当する表示要素の図形グループ番号を“0”にすることで可能となる。また、既存の図形グループを構成する表示要素またはその図形グループの概形表示要素を任意に変更することも可能である。これは、データベース6における図形データベース中の該当する表示要素の図形グループ番号を変更することで可能となる。
【0045】
次に、図11を参照して表示処理部7の動作を説明する。まず、表示の対象となる表示要素のデータをデータベース6から取り出す(ステップS201)。その表示要素が図形グループに属し(ステップS202;Y)、かつその図形グループの概形表示フラグが“概形表示要素のみ表示”になっている場合において(ステップS203;Y)、その表示要素が概形表示要素である場合には(ステップS204;Y)、これを太線で表示装置8に表示し(ステップS205)、概形表示要素でない場合は(ステップS204;N)、何も表示しない。表示要素が図形グループに属していない場合(ステップS202;N)、または図形グループに属していてもその図形グループの概形表示フラグが“全表示要素を表示”となっている場合には(ステップS203;N)、普通の線で表示装置8に表示する(ステップS206)。なお、概形表示要素であることの表示は太線に限らず、他の表示方法(例えば異なる色や輝度、またはブリンク)で表示するようにしてもよい。
【0046】
図4〜図7はこの図形処理装置の動作の具体例を表すものである。図4を初期状態とする。まず、モード設定処理により、図形グループに属する全要素を概形表示要素から自動判別するモードに設定する。モード設定処理部10は、この動作モードをモード記憶部12に記憶する。次に、概形表示要素登録処理部9により概形表示要素登録処理を行う。例えば、図形グループ名として“AAA”、概形表示要素として図4の表示装置8に表示された左側上段の図形の外枠をなす4本の線分a,b,c,dを入力する。これらの4本の線分は閉ループを形成し、また、動作モードは図形グループに属する全表示要素を自動判別するモードになっているため、概形表示要素登録処理部9は4本の線分a,b,c,dに囲まれた線分をこの図形グループの残りの全表示要素として認識し、結果をデータベース6に登録して表示を行う。
【0047】
こうして登録されたデータの内容は図2に示すようになる。この図で、図形データベースの番号1,4,5,8のデータはそれぞれ図4の線分a,c,d,bに対応している。また、図形グループデータベースには、“AAA”という図形グループ名が登録されると共に、この図形グループの概形表示フラグとして“概形表示要素のみ表示”が登録される。
【0048】
上記の概形表示要素登録処理を実行した後の表示装置8の状態は図5に示すようになる。この図に示すように、上記処理により登録された図形グループに属する表示要素のうち概形表示要素のみが他の表示要素とは区別して太線で表示される。
【0049】
また、図5の右側中段の図形Sと右側下段の図形Tに対して同様の処理を実行すると、表示装置8の表示は図6に示すようになる。さらに、図5の左側下段の図形Qに対して同様の処理を実行すると、図7に示すようになる。
【0050】
次に、表示変更処理部11によって、既に登録されている図形グループの概形表示フラグを変更する場合の処理方法を図12を参照して説明する。まず、コマンド解析部2から、個々の図形グループに対する処理か、あるいはすべての図形グループに対する一括処理かを示すデータを入力する(ステップS301)。このとき、個々の図形グループに対する処理の場合には、対象となる表示データを入力する。
【0051】
一括処理が指定された場合は(ステップS302;Y)、データベース6のすべてのデータの内容を読み出す(ステップS303)。そして、“概形表示要素のみ表示”が指定された場合は(ステップS304;Y)、すべての図形グループの概形表示フラグを“概形表示要素のみ表示”に設定し(ステップS305)、“全表示要素を表示”が指定された場合には(ステップS304;N)、すべての図形グループの概形表示フラグを“全要素表示”に設定し(ステップS306)、表示を行う(ステップS307)。ここでの表示処理は、概形表示フラグを変更した図形グループに属する全表示要素について行われる。
【0052】
一方、個々の図形グループに対する処理が指定された場合は(ステップS302;N)、対象となる表示要素のデータをデータベース6から読み込む(ステップS308)。そして、対象となる表示要素がどの図形グループにも属していない場合は(ステップS309;N)、そのまま終了する。一方、いずれかの図形グループに属している場合は、その図形グループの概形表示フラグを変更(現設定と逆に設定)する。すなわち、概形表示フラグが“概形表示要素のみ表示”になっているときには(ステップS310;Y)、“全表示要素を表示”に設定し(ステップS311)、概形表示フラグが“全表示要素を表示”になっているときには(ステップS310;N)、“概形表示要素のみ表示”に設定して(ステップS312)、表示処理を行う(ステップS313)。ここでの表示処理は、図形グループ内のすべての表示要素について行われる。
【0053】
次に、表示変更処理の具体的動作例を説明する。ここでは、図7を初期状態とする。図12の表示変更処理において個々のグループに対する処理を選択し(図12ステップS302;N)、例えば図7の表示装置8の左側下段の図形eを入力すると、表示変更処理部11はまず、この要素の内容をデータベース6から読み込む。その結果、この要素はグループに属していることが判明する。この図形グループの概形表示フラグは“概形表示要素のみ表示”になっているので、その図形グループの概形表示フラグを“全表示要素を表示”に変更し、表示処理を行う。これにより、表示装置8の表示は図6に示すようになる。
【0054】
同様の処理を図6の右側中段の図形fおよび右側下段の図形gに対して実行すると、表示装置8の表示は図5に示すようになる。さらに、同様の処理を図5の左側上段の図形hに対して実行すると図4に示すようになる。図4において、表示変更処理によって個々の図形グループに対する処理を選択し、同図の左側上段の図形aを入力すると、今度はその要素の属している図形グループの概形表示フラグが“全表示要素を表示”になっているので、その図形グループの概形表示フラグを“概形表示要素のみ表示”に変更し、表示処理を行う。その実行結果は図5となる。さらに、図5において、表示変更処理で一括処理を選択し、“概形表示要素のみ表示”を選択すると、表示変更処理部11はデータベース6からすべてのデータを検索してすべての図形グループの概形表示フラグを“概形表示要素のみ表示”に設定し、表示処理を行う。この結果は図7に示すようになる。
【0055】
次に、全体表示処理部5によって、既に登録されている表示要素の全体を表示する場合の処理方法を図13を参照して説明する。まず、データベース6からすべてのデータを読み込み(ステップS401)、続いてモード記憶部12から動作モードを読み出す(ステップS402)。動作モードが“すべての図形グループに対して概形表示要素のみ表示”であれば(ステップS403;(i) )、すべての図形グループの概形表示フラグとして“概形表示要素のみ表示”を設定する(ステップS404)。動作モードが“すべての図形グループに対して全表示要素を表示”であれば(ステップS403;(ii))、すべての図形グループの概形表示フラグとして“全表示要素を表示”を設定する(ステップS405)。動作モードが、“データベース6上のそれぞれの図形グループの概形表示フラグに従う”になっていれば(ステップS403;(iii) )、何も設定しない。そして、その後、すべての表示要素に対して表示処理を行う(ステップS406)。
【0056】
次に、全体表示処理の具体的動作例を説明する。ここでは、図5を初期状態とする。まず、動作モード設定処理で、動作モードを“すべての図形グループに対して概形表示要素のみ表示”に設定する。モード設定処理部10は、この動作モードをモード記憶部12に設定する。続いて図13に従って全体表示処理を実行する。全体表示処理部5は、先ずデータベースからすべてのデータを読み込む。モード記憶部12から取り出した動作モードは“すべての図形グループに対して概形表示要素のみ表示”であるため、すべての図形グループの概形表示フラグとして“概形表示要素のみ表示”を設定し、表示処理を行う。この実行結果は図7に示すようになる。
【0057】
一方、当初の動作モードを“すべての図形グループに対して全表示要素を表示”に設定して同様に実行すると、実行結果は図4に示すようになる。さらに、当初の動作モードを“データベース上のそれぞれの概形表示フラグに従う”に設定して実行すると、実行結果は図5に示すようになる。
【0058】
次に、図形編集処理部4によって、既に登録されている表示要素の編集を行う場合の処理方法を図14を参照して説明する。
【0059】
まず、コマンド解析部2から編集対象の表示要素を入力し(ステップS501)、その表示要素のデータ内容をデータベース6から読み込む(ステップS502)。この表示要素が図形グループに属していなければ(ステップS503;N)、その要素に対してのみ編集処理を実行し(ステップS509)、表示処理を行う(ステップS510)。一方、その表示要素が図形グループに属していた場合は(ステップS503;Y)、モード記憶部12から動作モードを読み出す(ステップS504)。この動作モードが図形グループ全体を編集対象とするモードであれば(ステップS505;Y)、その表示要素を含む図形グループ全体にに対して編集処理を実行し(ステップS506)、表示処理を行う(ステップS510)。一方、動作モードが個々の要素を編集対象とするモードであって(ステップS505;N)、かつ図形グループの概形表示フラグが“概形表示要素のみ表示”であった場合には(ステップS507;Y)、その表示要素を含む図形グループの概形表示フラグを“全表示要素を表示”に変更し(ステップS508)、その表示要素に対してのみ編集処理を実行し(ステップS509)、表示処理を行う(ステップS510)。また、動作モードが個々の要素を編集対象とするモードであって(ステップS505;N)、かつ図形グループの概形表示フラグが“全表示要素を表示”であった場合には(ステップS507;N)、その表示要素に対してのみ編集処理を実行し(ステップS509)、表示処理を行う(ステップS510)。
【0060】
次に、図形編集処理の具体的動作例を説明する。ここでは、図5を初期状態とする。まず、動作モード設定処理で、動作モードを“図形グループ全体に対しての編集処理”に設定する。モード設定処理部10は、この動作モードをモード記憶部12に設定する。続いて図14の図形編集処理を実行する。すなわち、図5の左側上段の正方形の右辺hを選択する。図形編集処理部4は、この表示要素の内容をデータベース6から読み出す。ここでは、選択された表示要素(h)は図形グループに属しているので、モード記憶部12から動作モードを取り出す。この場合、動作モードは“図形グループ全体に対する編集処理”になっているので、この表示要素が属する図形グループ全体が編集の対象となり、編集処理を実行する。ここでは右方向へ移動する編集を行うものとする。その実行結果は図8に示すようになる。
【0061】
また、動作モードを“個々の表示要素を編集対象”にした場合には、次のようになる。すなわち、上記と同様に図形編集処理により図5の左側上段の正方形の右辺hを選択する。図形編集処理部4は、動作モードが“個々の表示要素を編集対象”になっているため、この表示要素を含む図形グループの概形表示フラグを“全表示要素を表示”に変更し、この表示要素のみを右方向に移動する。その実行結果は図9に示すようになる。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の図形処理装置によれば、既にデータベースに登録され表示されている表示要素の中から、複数の表示要素で構成される図形のかたまり(すなわち図形グループ)を定義可能とし、その図形グループを構成する表示要素の中から、その図形グループの概形を表す複数の表示要素(すべての概形表示要素)を指定可能とし、さらにこうして定義した図形グループに関する情報をデータベース上に保持すると共に、図形グループとして定義された表示要素に関しては概形表示要素のみを表示するようにしたので、図形全体としての概形情報が失われることなく、実際に表示する表示要素の個数を減少させることができ、図面全体としての表示が高速化する。また、一度定義した図形グループに関する情報は保持されるため、ユーザは、作業の都度定義操作を繰り返す必要がない。
【0063】
請求項2記載の図形処理装置によれば、データベースに登録された表示要素を表示する際に、グループ化された表示要素の中の概形表示要素に関してはグループ化されていない表示要素と異なる態様(色、輝度、またはブリンク等)で表示するようにしたので、グループ化されていない表示要素とグループ化されている表示要素の区別が明瞭となる。このため、ユーザはどの表示要素がグループ化されているかを常時認識しながら作業を行うことができるという効果がある。
【0064】
請求項3記載の図形処理装置によれば、指定された概形表示要素によって囲まれた表示要素を、その図形グループに属するすべての表示要素として自動的に認識するようにしたので、ユーザは図形グループを定義する際に概形表示要素を指定するだけで足り、その図形グループに属するすべての表示要素を逐一指定する必要がなくなる。このため、操作が簡単になる。なお、必要に応じて、このような自動認識機能を解除するように構成することも可能である。
【0065】
請求項4記載の図形処理装置によれば、各図形グループに対し、概形表示要素のみを表示するか、あるいはその図形グループに属する全表示要素を表示するかを任意の時点で設定可能とし、この設定を概形表示フラグとしてデータベース上に保持すると共に、この概形表示フラグの内容に応じ、各図形グループについて、概形表示要素のみを表示し、またはすべての表示要素の表示を行うようにしたので、任意の時点で、各図形グループの概形表示フラグの内容を、概形表示要素のみの表示または全表示要素の表示に変更することができる。このため、ユーザは、作業内容に応じて図面全体のうちの必要な部分のみを詳細に表示させることができる。また、概形表示フラグの内容はデータベース上に保持するようにしたので、ユーザは作業の都度各図形グループについて設定を行う必要がなく、操作が簡単になる。なお、概形表示フラグは、各図形グループごとに設定するのでなく、全図形グループについて一括設定することも可能である。
【0066】
請求項5記載の図形処理装置によれば、グループ化された表示要素に関しては、すべての図形グループについて全表示要素を表示するか、すべての図形グループについて概形表示要素を表示するか、あるいは各図形グループに付随する概形表示フラグの内容に基づいて表示を行うか、のいずれかを設定可能にすると共に、設定されたモードに従って、グループ化された表示要素の表示方法を変更し、全体表示を行うようにしたので、ユーザは作業開始時において初めて図面全体を表示する場合に、グループ化された表示要素についての表示方法を任意に選択することができる。
【0067】
請求項6記載の図形処理装置によれば、必要に応じ、既存の図形グループの解除、その図形グループを構成する表示要素の変更、またはその図形グループの概形表示要素の変更を可能としたので、一旦定義した図形グループの解除、変更等が可能となる。
【0068】
請求項7記載の図形処理装置によれば、グループ化された表示要素についてはその図形グループを一つのまとまりとして編集処理(移動、回転等)を行うようにしたので、図形グループ全体として編集処理をする場合に、その図形グループを構成するすべての表示要素を逐一指定して入力する必要がなく、1回の指定操作のみで編集対象の表示要素を指定することができる。
【0069】
請求項8記載の図形処理装置によれば、データベース上の図形グループの編集を図形グループ全体としてまとめて行う方法、あるいは図形グループを構成する個々の表示要素ごとに編集を行う方法のいずれかの方法に従って、グループ化された表示要素の表示方法を変更するようにしたので、ユーザは図形編集処理に際し、図形グループ全体を編集対象とするのかあるいは個々の表示要素を編集対象とするのかを自由に選択することができると共に、グループ化されている表示要素を個別に編集したい場合であっても、図形グループを解除することなく編集処理を行うことができる。また、編集対象の表示要素がいずれかの図形グループに属し、かつ図形グループの個々の表示要素ごとの編集が指定された場合において、その図形グループの概形表示フラグの内容が概形表示要素のみを表示するという内容になっているときには、これを自動的に、全表示要素を表示するという内容に変更するようにしたので、概形表示要素のみを表示するように設定された図形グループの表示要素を個別に編集しようとする場合であっても、その図形グループの概形表示フラグの内容を変更する操作を行う必要がなく、操作が簡単となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る図形処理装置の構成を表すブロック図である。
【図2】図1の図形処理装置におけるデータベースの構造を表す説明図である。
【図3】図1の図形処理装置におけるモード記憶部の内容を表す説明図である。
【図4】図1の図形処理装置の動作を説明するための具体的表示例である。
【図5】図1の図形処理装置の動作を説明するための具体的表示例である。
【図6】図1の図形処理装置の動作を説明するための具体的表示例である。
【図7】図1の図形処理装置の動作を説明するための具体的表示例である。
【図8】図1の図形処理装置の動作を説明するための具体的表示例である。
【図9】図1の図形処理装置の動作を説明するための具体的表示例である。
【図10】図1の図形処理装置における概形表示要素登録処理部の動作を説明するための流れ図である。
【図11】図1の図形処理装置における表示処理部の動作を説明するための流れ図である。
【図12】図1の図形処理装置における表示変更処理部の動作を説明するための流れ図である。
【図13】図1の図形処理装置における全体表示処理部の動作を説明するための流れ図である。
【図14】図1の図形処理装置における図形編集処理部の動作を説明するための流れ図である。
【図15】従来の図形処理装置の構成を表すブロック図である。
【符号の説明】
1 入力装置、2 コマンド解析部、3 基本作図処理部、4 図形編集処理部、5 全体表示処理部、6 データベース、7 表示処理部、8 表示装置、9 概形表示要素登録処理部、10 モード設定処理部、11 表示変更処理部、12 モード記憶部。
Claims (8)
- 一群の表示要素からなる図形グループに含まれるすべての表示要素と、前記図形グループを表す名称と、前記一群の表示要素のうちその図形グループの概形を形成する表示要素である概形表示要素とを入力する入力手段と、
各表示要素を格納するデータベースと、
前記入力手段からの入力に基づき、前記データベース上の各表示要素に対し、その表示要素が所属する図形グループの名称とその表示要素が概形表示要素であるか否かを示す情報とを付加して登録する概形表示要素登録処理手段と、
前記データベースの内容に基づき、グループ化されていない表示要素と、グループ化された表示要素のうちの概形表示要素とを表示する表示処理手段と、
を備えたことを特徴とする図形処理装置。 - 前記表示処理手段は、グループ化された表示要素のうちの概形表示要素を、グループ化されていない表示要素と視覚的に異なる態様で表示することを特徴とする請求項1記載の図形処理装置。
- 前記概形表示要素登録処理手段は、概形表示要素として入力された表示要素が閉領域を形成する場合に、それらの概形表示要素によって囲まれるすべての表示要素をその図形グループを構成する全表示要素として自動的に判別する判別手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の図形処理装置。
- 前記データベースは、各図形グループごとに、概形表示要素のみを表示するか、あるいはその図形グループに属する全表示要素を表示するかを示す概形表示フラグを有し、
前記表示処理手段は、前記データベースの内容に基づき、グループ化されていない表示要素と、全表示要素を表示するという内容の概形表示フラグを有する図形グループに属する全表示要素と、概形表示要素のみ表示するという内容の概形表示フラグを有する図形グループに属する概形表示要素とを表示し、
さらに、前記データベース上の一部またはすべての図形グループの概形表示フラグを任意の時点で変更して表示に反映させる処理を行う表示変更処理手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の図形処理装置。 - さらに、前記データベース上のすべての表示要素の表示に際して、グループ化された表示要素に関し、すべての図形グループについて全表示要素を表示するモードと、すべての図形グループについて概形表示要素を表示するモードと、各図形グループに付随する概形表示フラグの内容に基づいて表示を行うモードのいずれかを設定すると共に、前記表示処理手段に、この設定されたモードに従って全体表示を行わせる全体表示処理手段を備えたことを特徴とする請求項4記載の図形処理装置。
- 前記概形表示要素登録処理手段は、必要に応じ、既存の図形グループを解除し、その図形グループを構成する表示要素を変更し、またはその図形グループの概形表示要素を変更する手段を有することを特徴とする請求項1記載の図形処理装置。
- さらに、グループ化された表示要素については、その図形グループを一つのまとまりとして編集処理を行う図形編集処理手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の図形処理装置。
- 前記図形編集処理手段は、データベース上の図形グループの編集を図形グループ全体としてまとめて行うモードと、図形グループを構成する個々の表示要素ごとに編集を行うモードとを有し、
編集対象として指定された表示要素がいずれかの図形グループに属し、かつその図形グループを構成する個々の表示要素ごとに編集を行うモードが選択された場合には、その図形グループに付随する概形表示フラグの内容を、全表示要素を表示するという内容に自動的に変更することを特徴とする請求項7記載の図形処理装置。
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