JP3569935B2 - フルオロトラン誘導体 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は電気光学的表示材料として有用な、新規なフルオロトラン誘導体である液晶化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子は、時計、電卓をはじめとして、最近では、ワープロ、コンピュータ端末ディスプレイ等、情報表示素子として用いられ、電子装置と人とのインターフェースとして重要性を増してきている。
【0003】
液晶を用いた表示方式は、(1)電界効果(FEM)型、(2)動的散乱(DSM)型及び(3)熱効果(TEM)型の3つに大別される。これらの効果を利用して種々の表示方式が提案されているが、現在までのところ、実用化されているのは電界効果型を用いた表示方式である。また、電界効果型にはねじれネマチック(TN)型、超ねじれネマチック(STN)型、ゲスト−ホスト(GH)型、電界制御複屈折(ECB)型、コレステリック−ネマチック相転移(CN−PT)型、表面安定化強誘電性液晶(SSFLC)型等がある。この中で、現在主流となっているのはTN型及びSTN型である。このうち、STN型では駆動方式の改良等により、ある程度までは容量の増加は可能となったが、近年の大表示容量要求に対してはもはや限界となった。そこで、表示画素ごとに、しきい特性をもつ非線形素子を用いる表示方式、例えば、MIM(Metal Insurator Metal)方式、能動素子を用いたTFT(Thin Film Transistor)方式等のアクティブマトリックス方式が実用化され、大容量化に向けて急速に発展しつつある。
【0004】
これらの液晶表示方式に用いられる液晶材料には、各々の表示方式の特徴に応じて種々の特性が要求されているが、広い温度範囲で動作可能なこと、低電圧駆動が可能であること及び応答が高速であることは、共通して特に重要な要求特性である。低電圧駆動を満足させるためには、液晶組成物に混合した際に、しきい値電圧を低下させる化合物が必要であり、広い温度範囲で駆動を可能とするためには、ネマチック相−等方性液体相転移温度(以下、N−I点という。)を上昇させる化合物が必要である。
【0005】
応答時間を速くするためには、液晶組成物の粘度を低くすることが必要であるが、以下のような方法によっても応答時間を速くすることが可能である。
【0006】
液晶表示TN型セルにおいて、セルの厚さをd(μm)、応答時間をτとすると、d2とτとの間で比例関係があり、dの値を小さくすることにより応答時間の速い液晶セルを得ることができる。しかしながら、セル外観を損なう原因となるセル表面での干渉縞の発生を防止するために、セルに充填させる液晶材料の屈折率異方性(Δn)とセルの厚さ(d)μmの積(d・Δn)をある特定の値に設定する必要がある。実用的に使用される液晶セルでは、Δn・dの値が0.5、1.0、1.6又は2.2のいずれかに設定されている。このようにΔn・dの値が一定値に設定されているため、dを小さくして応答を高速化するためには、Δnの値の大きな液晶材料が必要である。
【0007】
また、強い白濁性を要求されるポリマー分散型液晶表示素子にも、Δnの大きな液晶材料が有効である。
【0008】
従って、N−I点が高く、Δnの値が大きく、且つ組成物のしきい値電圧を低下させることが可能な化合物は、上記要求を満足させる液晶組成物の調製のために非常に重要であることが理解できるが、しかしながら、そのような化合物は、ほとんど知られていなかった。
【0009】
このような点に基づいて検討を行った結果、最近本発明者らは、N−I点が高く、Δnの値が大きく、且つ組成物のしきい値電圧を低下させることが可能な式(a)及び式(b)
【0010】
【化4】
【0011】
の化合物を見いだした。(特願平4−192065号)しかしながら、上記の式(a)及び式(b)の化合物は、現在汎用されている母体液晶に混合した際、Δn及びN−I点を十分に上昇させるものの、しきい値電圧については、決して充分満足できるものとはいえず、更に改良が必要であった。
【0012】
【発明が解決しようとする問題点】
本発明が解決しようとする課題は、液晶組成物に混合した際に、N−I点を上昇させ、Δnを大きくし、且つしきい値電圧を効果的に低下させる新規化合物、及びこの化合物を含有する液晶組成物を提供することにあり、また、その化合物の合成中間体として有用な化合物を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、一般式(I)
【0014】
【化5】
【0015】
(式中、Rは炭素原子数1〜10の直鎖状アルキル基又は炭素原子数2〜17の直鎖状アルコキシアルキルを表わし、好ましくは炭素原子数2〜5の直鎖状アルキル基又は一般式(Ia)
【0016】
【化6】
で表わされる直鎖状アルコキシアルキル基を表わし、一般式(Ia)においてR1は炭素原子数1〜10の直鎖状アルキル基を表わし、nは1〜7の整数を表わすが、一般式(Ia)において特に好ましくは、R1がメチル基であり、nが1〜4の整数を表わす。Jは単結合又は−CH2CH2−を表わす。mは0又は1の整数を表わし、X及びYは各々独立的に、水素原子又はフッ素原子を表わすが、Rが炭素原子数1〜10の直鎖状アルキル基である場合には、X及びYのうち、少なくとも一方はフッ素原子を表わす。Zはフッ素原子又はトリフルオロメチル基を表わし、シクロヘキサン環はトランス配置を表わす。)で表わされる化合物を提供する。
【0017】
更に、本発明の一般式(I)の化合物を製造するための中間体として一般式(II)
【0018】
【化7】
【0019】
(式中、Rは炭素原子数1〜10の直鎖状アルキル基又は炭素原子数2〜17の直鎖状アルコキシアルキル基を表わし、Jは単結合又は−CH2CH2−を表わし、mは0又は1の整数を表わし、X及びYは各々独立的に、水素原子又はフッ素原子を表わすが、Rが炭素原子数1〜10の直鎖状アルキル基である場合には、X及びYのうち、少なくとも一方はフッ素原子を表わし、Qは臭素原子又は沃素原子を表わし、シクロヘキサン環はトランス配置を表わす。)で表わされる化合物を提供する。
【0020】
本発明の一般式(I)で表わされる化合物は、例えば、次の製造方法に従って製造することができる。
【0021】
【化8】
【0022】
(上記中、R、J、m、X、Y、Z及びシクロヘキサン環の配置は一般式(I)におけると同じ意味を表わし、Q及びQ’は各々独立的に、沃素原子又は臭素原子を表わす。)
【0023】
第1段階:一般式(II)の化合物を銅とパラジウム等触媒の存在下、2−メチル−3−ブチン−2−オールと反応させることにより、一般式(III)の化合物を製造する。
第2段階:一般式(III)の化合物を水素化ナトリウム等の強塩基と反応させ、一般式(IV)の化合物を製造する。
第3段階:一般式(IV)の化合物を銅とパラジウム等触媒の存在下、一般式(V)の化合物と反応させ、本発明の一般式(I)の化合物を製造する。
【0024】
また、本発明の一般式(I)で表わされる化合物は、次の製造方法に従っても製造することができる。
【0025】
【化9】
【0026】
(上記中、R、J、m、X、Y、Z及びシクロヘキサン環の配置は一般式(I)におけると同じ意味を表わし、Q及びQ’は各々独立的に、沃素原子又は臭素原子を表わす。)
【0027】
第1段階:一般式(V)の化合物を銅とパラジウム等触媒の存在下、2−メチル−3−ブチン−2−オールと反応させることにより、一般式(VI)の化合物を製造する。
第2段階:一般式(VI)の化合物を水酸化ナトリウム等の塩基と反応させ、一般式(VII)の化合物を製造する。
第3段階:一般式(VII)の化合物を銅とパラジウム等触媒の存在下、一般式(II)の化合物と反応させ、本発明の一般式(I)の化合物を製造する。
【0028】
ここで、一般式(II)の化合物は、例えば、次の製造方法に従って製造することができる。
【0029】
【化10】
【0030】
(上記中、R、J、m、X、Y及びシクロヘキサン環の配置は一般式(I)におけると同じ意味を表わし、Q、Q’は前述と同じ意味を表わす。)
【0031】
第1段階:一般式(VIII)の化合物をマグネシウムと反応させてグリニャール試剤とした後、一般式(IX)の化合物と反応させ、一般式(X)の化合物を製造する。
第2段階:一般式(X)の化合物を酸触媒の存在下に脱水し、一般式(XI)の化合物を製造する。
第3段階:一般式(XI)の化合物をパラジウムカーボン等の触媒の存在下に接触還元した後、塩基の存在下に異性化し、一般式(XII)の化合物を製造する。
第4段階:一般式(XII)の化合物を過沃素酸の存在下、沃素と反応させるか、鉄の存在下、臭素と反応させるか、あるいは、ニトロ化し、還元してアミノ基とした後、ジアゾ分解により、沃素又は臭素化することにより、一般式(II)の化合物を製造する。また、特に、X及びYが共にフッ素原子である場合には、一般式(XII)の化合物をブチルリチウム等を用いてリチオ化した後、沃素等のハロゲンと反応させることにより、一般式(II)の化合物を製造する。
【0032】
本発明の一般式(I)で表わされる化合物の優れた特徴は、後述の実施例にも示したが、例えば、以下の例からも明らかである。下記第1表は、現在汎用されている低いしきい値電圧を有する母体液晶(A)80重量%及び本発明に係わる(No.1)〜(No.6)の化合物各20重量%からなる各混合液晶について測定した、N−I点、20℃におけるΔn及びしきい値電圧を掲示したものである。ただし、(No.7)の化合物については(No.7)の化合物10重量%及び母体液晶(A)90重量%からなるものである。また、比較のために母体液晶(A)80重量%及び式(a)の化合物20重量%、母体液晶(A)80重量%及び式(b)の化合物20重量%からなる各混合液晶、更に母体液晶(A)自体についても同様に測定した、N−I点、20℃におけるΔn及びしきい値電圧を掲示したものである。
【0033】
尚、母体液晶(A)は、
【0034】
【化11】
【0035】
からなるものであり、(No.1)〜(No.7)の化合物は、
【0036】
【化12】
【0037】
で表わされるものである。
【0038】
【表1】
【0039】
上記第1表から、本発明の(No.1)〜(No.7)の各化合物は、母体液晶のN−I点及びΔnを上昇させ、しかもしきい値電圧を低下あるいは大きく低下させる効果を有することが明らかである。
【0040】
これに対して、式(a)及び式(b)の化合物は、N−I点及びΔnを大きく上昇させるものの、しきい値電圧を大きく低下させることはできないことが明らかである。
【0041】
このような違いは、本発明の一般式(I)の化合物と従来化合物との構造の違い、即ち、本発明の一般式(I)の化合物は、中央のベンゼン環がフッ素原子によって置換されており、あるいは、シクロヘキサン環側の末端基がアルコキシアルキル基であることにより、誘電率異方性が上昇するとともに、弾性定数が変化しており、これらの相乗効果によって得られるものと考えられる。
【0042】
本発明の一般式(I)で表わされる化合物と混合して使用することのできるネマチック液晶化合物の好ましい代表例としては、例えば、4−置換安息香酸4−置換フェニルエステル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4−置換フェニルエステル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4’−置換ビフェニリルエステル、4−(4−置換シクロヘキサンカルボニルオキシ)安息香酸4−置換フェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4−置換フェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4−置換シクロヘキシルエステル、4,4’−置換ビフェニル、1−(4−置換フェニル)−4−置換シクロヘキサン、4,4”−置換ターフェニル、1−(4’−置換ビフェニリル)−4−置換シクロヘキサン、1−(4−置換シクロヘキシル)−4−(4−置換フェニル)シクロヘキサン、2−(4−置換フェニル)−5−置換ピリミジン、2−(4−置換ビフェニリル)−5−置換ピリミジン、1−(4−置換シクロヘキシル)−2−(4−置換シクロヘキシル)エタン、1−(4−置換シクロヘキシル)−2−(4−置換フェニル)エタン、1−[4−(4−置換シクロヘキシル)シクロヘキシル]−2−(4−置換フェニル)エタン、1−[4−(4−置換フェニル)シクロヘキシル]−2−(4−置換シクロヘキシル)エタン、1−(4−置換フェニル)−2−(4−置換フェニル)エチン、1−[4−(4−置換シクロヘキシル)シクロヘキシル]−2−(4−置換フェニル)エチンなどを挙げることができる。
【0043】
特に、アクティブマトリックス用としては、4,4’−置換ビフェニル、1−(4−置換フェニル)−4−置換シクロヘキサン、4,4”−置換ターフェニル、1−(4’−置換ビフェニリル)−4−置換シクロヘキサン、1−(4−置換シクロヘキシル)−4−(4−置換フェニル)シクロヘキサン、1−(4−置換シクロヘキシル)−2−(4−置換シクロヘキシル)エタン、1−(4−置換シクロヘキシル)−2−(4−置換フェニル)エタン、1−[4−(4−置換シクロヘキシル)シクロヘキシル]−2−(4−置換フェニル)エタン、1−[4−(4−置換フェニル)シクロヘキシル]−2−(4−置換シクロヘキシル)エタン、1−(4−置換フェニル)−2−(4−置換フェニル)エチン、1−[4−(4−置換シクロヘキシル)シクロヘキシル]−2−(4−置換フェニル)エチンなどを挙げることができる。
【0044】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示し、本発明を更に説明する。また、実施例中に使用した化合物 (No.1) 〜 (No.7) の合成方法を ( 合成例 ) として示す。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0045】
( 合成例 1) 2−フルオロ−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−1−ヨードベンゼンの合成
(1) 1−(3−フルオロフェニル)−4−プロピルシクロヘキセンの合成
【0046】
【化13】
【0047】
マグネシウム3.6gをテトラヒドロフラン10mlに懸濁し、これに3−フルオロ−1−ブロモベンゼン25.7g(0.148モル)のテトラヒドロフラン120ml溶液を、テトラヒドロフランが穏やかに還流を続ける速度で滴下した。滴下終了後、更に1時間室温で攪拌した。この溶液に、4−プロピルシクロヘキサノン18.7g(0.134モル)のテトラヒドロフラン100ml溶液を室温で30分間滴下し、更に室温で1時間攪拌した。反応終了後、反応液が弱酸性になるまで10%塩酸を加え、反応生成物をトルエン200mlで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を溜去した。得られた油状物をトルエン200mlに溶解し、硫酸水素カリウム3.0gを加え、1時間加熱還流させた。室温まで放冷し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を溜去して、1−(3−フルオロフェニル)−4−プロピルシクロヘキセン30.3g(0.140モル)を得た。
【0048】
(2) 1−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−3−フルオロベンゼンの合成
【0049】
【化14】
【0050】
上記(1)で得られた1−(3−フルオロフェニル)−4−プロピルシクロヘキセン30.3g(0.14モル)を酢酸エチル300mlに溶解し、5%パラジウムカーボン3.0gを加え、水素圧3気圧で、3時間反応させた。反応終了後、触媒を濾別し、溶媒を溜去した後、N,N−ジメチルホルムアミド150mlに溶解し、t−ブトキシカリウム3.0gを加え、80℃で4時間攪拌した。水150mlを加え、反応生成物をヘキサン150mlで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を溜去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)を用いて精製して、1−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−3−フルオロベンゼン26.0g(0.120モル)を得た。
【0051】
(3) 2−フルオロ−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−1−ヨードベンゼンの合成
【0052】
【化15】
【0053】
上記(2)で得られた1−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−3−フルオロベンゼン5.0g(23ミリモル)を酢酸25mlに溶解し、これに沃素5.7g、水5ml、過沃素酸二水和物4.3gを加えて3時間加熱還流させた。室温まで放冷し、反応生成物をヘキサン50mlで抽出した。有機層を10%亜硫酸ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を溜去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)を用いて精製して、2−フルオロ−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−1−ヨードベンゼン2.6g(7.5ミリモル)を得た。
【0054】
(合成例 2) 1−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−3,5−ジフルオロ−4−ヨードベンゼンの合成
(1) 1−(3,5−ジフルオロフェニル)−4−プロピルシクロヘキセンの合成
【0055】
【化16】
【0056】
マグネシウム6.9gをテトラヒドロフラン10mlに懸濁し、これに3,5−ジフルオロ−1−ブロモベンゼン50.0g(0.259モル)のテトラヒドロフラン200ml溶液を、テトラヒドロフランが穏やかに還流を続ける速度で滴下した。滴下終了後、更に1時間室温で攪拌した。この溶液に、4−プロピルシクロヘキサノン29.0g(0.207モル)のテトラヒドロフラン80ml溶液を室温で30分間滴下し、更に室温で1時間攪拌した。反応終了後、反応液が弱酸性になるまで10%塩酸を加え、反応生成物をトルエン300mlで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を溜去した。得られた油状物をトルエン300mlに溶解し、p−トルエンスルホン酸1水和物2.0gを加え、3時間加熱還流させた。室温まで放冷し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を溜去して、1−(3,5−ジフルオロフェニル)−4−プロピルシクロヘキセン48.0g(0.203モル)を得た。
【0057】
(2) 1−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−3,5−ジフルオロベンゼンの合成
【0058】
【化17】
【0059】
上記(1)で得られた1−(3,5−ジフルオロフェニル)−4−プロピルシクロヘキセン48.6g(0.203モル)を酢酸エチル250mlに溶解し、5%パラジウムカーボン5gを加え、水素圧3気圧で、3時間反応させた。触媒を濾別し、溶媒を溜去した後、N,N−ジメチルホルムアミド250mlに溶解し、t−ブトキシカリウム24.3gを加え、室温で3時間攪拌した。水250mlを加え、反応生成物をヘキサン200mlで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を溜去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)を用いて精製して、1−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−3,5−ジフルオロベンゼン30.2g(0.127モル)を得た。
【0060】
(3) 1−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−3,5−ジフルオロ−4−ヨードベンゼンの合成
【0061】
【化18】
【0062】
上記(2)で得られた1−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−3,5−ジフルオロベンゼン14.8g(62.2ミリモル)をテトラヒドロフラン80mlに溶解し、−50℃以下に冷却した。−50℃以下の温度を保つ速度でn−ブチルリチウムヘキサン溶液(1.68mol/l)45mlを滴下した。次に、沃素17.4gのテトラヒドロフラン180ml溶液を−50℃以下の温度を保つ速度で滴下し、更に−50℃以下で30分間攪拌した。水50mlを加えて室温に戻し、反応生成物をヘキサン200mlで抽出した。有機層を10%亜硫酸ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を溜去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)を用いて精製して、1−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−3,5−ジフルオロ−4−ヨードベンゼン22.0g(60.4ミリモル)を得た。
【0063】
(合成例 3) 1−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]−3,5−ジフルオロ−4−ヨードベンゼンの合成
【0064】
【化19】
【0065】
合成例 2において、4−プロピルシクロヘキサノンに代えて4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキサノンを用いた以外は合成例 2と同様にして、1−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]−3,5−ジフルオロ−4−ヨードベンゼンを得た。
【0066】
(合成例 4) 4−[トランス−4−(3−メトキシプロピル)シクロヘキシル]−1−ヨードベンゼンの合成
合成例 1において、3−フルオロ−1−ブロモベンゼンに代えて、ブロモベンゼンを用い、4−プロピルシクロヘキサノンに代えて4−(3−メトキシプロピル)シクロヘキサノンを用いた以外は合成例 1と同様にして、4−[トランス−4−(3−メトキシプロピル)シクロヘキシル]−1−ヨードベンゼンを得た。
【0067】
(合成例 5) 2−フルオロ−4−[トランス−4−(3−メトキシプロピル)シクロヘキシル]−1−ヨードベンゼンの合成
合成例 1において、4−プロピルシクロヘキサノンに代えて4−(3−メトキシプロピル)シクロヘキサノンを用いた以外は合成例 1と同様にして、2−フルオロ−4−[トランス−4−(3−メトキシプロピル)シクロヘキシル]−1−ヨードベンゼンを得た。
【0068】
(合成例 6) 1−[トランス−4−(3−メトキシプロピル)シクロヘキシル]−3,5−ジフルオロ−4−ヨードベンゼンの合成
合成例 1において、3−フルオロ−1−ブロモベンゼンに代えて、3,5−ジフルオロ−1−ブロモベンゼンを用い、4−プロピルシクロヘキサノンに代えて4−(3−メトキシプロピル)シクロヘキサノンを用いた以外は合成例 1と同様にして、1−[トランス−4−(3−メトキシプロピル)シクロヘキシル]−3,5−ジフルオロ−4−ヨードベンゼンを得た。
【0069】
(実施例 1) 1−[2−フルオロ−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)フェニルエチニル]−3,4,5−トリフルオロベンゼン(No.1の化合物)の合成
(1) 4−[2−フルオロ−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)フェニル]−2−メチル−3−ブチン−2−オールの合成
【0070】
【化20】
【0071】
合成例 1で得られた2−フルオロ−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−1−ヨードベンゼン7.40g(18.8ミリモル)及び2−メチル−3−ブチン−2−オール2.36g(25.1ミリモル)をトリエチルアミン30mlに溶解した。この溶液にヨウ化銅(I)0.1gとジクロロ−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)0.1gを加え、1時間室温で攪拌した。反応終了後、水100mlを加え、反応生成物を酢酸エチル100mlで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、更に無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を溜去して、4−[2−フルオロ−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)フェニル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール6.49g(18.4ミリモル)を得た。
【0072】
(2) 2−フルオロ−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)フェニルエチンの合成
【0073】
【化21】
【0074】
水素化ナトリウム1gをトルエン20mlに懸濁し、上記(1)で得られた4−[2−フルオロ−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)フェニル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール6.49g(18.4ミリモル)のトルエン40ml溶液を室温で30分間滴下した。滴下終了後、更に1時間加熱還流させた。室温まで放冷し、水100mlに加え、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を溜去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)を用いて精製して、2−フルオロ−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)フェニルエチン2.60g(10.7ミリモル)を得た。
【0075】
(3) 1−[2−フルオロ−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)フェニルエチニル]−3,4,5−トリフルオロベンゼンの合成
【0076】
【化22】
【0077】
上記(2)で得た2−フルオロ−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)フェニルエチン2.08g(8.52ミリモル)及び1−ブロモ−3,4,5−トリフルオロベンゼン1.80g(8.53ミリモル)を、トリエチルアミン10ml及びジメチルホルムアミド10mlに溶解した。ヨウ化銅(I)0.1gとジクロロ−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)0.1gを加え、30分間室温で攪拌し、更に1時間加熱還流させた。反応終了後、水100mlを加え、反応生成物をトルエン100mlで抽出し、更に有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を溜去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)を用いて精製して、1−[2−フルオロ−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)フェニルエチニル]−3,4,5−トリフルオロベンゼン2.10g(5.61ミリモル)を得た。更に、これをエタノールから再結晶させて精製物を得た。この化合物は、70.5℃で結晶相からネマチック相に、91.6℃でネマチック相から等方性液体相に相転移した。
【0078】
(合成例 7) 1−[2,6−ジフルオロ−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)フェニルエチニル]−3,4,5−トリフルオロベンゼン(No.2の化合物)の合成
(1) 4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−2−メチル−3−ブチン−2−オールの合成
【0079】
【化23】
【0080】
1−ブロモ−3,4,5−トリフルオロベンゼン300g(1.42モル)と2−メチル−3−ブチン−2−オール144g(1.71モル)をN,N−ジメチルホルムアミド900ml及びトリエチルアミン300mlに溶解した。この溶液にヨウ化銅(I)1.4g及びジクロロ−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)5.0gを加え、80℃で30分加熱攪拌した。室温まで放冷し、水1.2lを加え、反応生成物をヘキサン1.4lで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、更に無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を溜去し、蒸留により精製(b.p.94〜100℃/1mmHg)して、4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−2−メチル−3−ブチン−2−オール275g(1.29モル)を得た。
【0081】
(2) 3,4,5−トリフルオロフェニルエチンの合成
【0082】
【化24】
【0083】
上記(1)で得られた4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−2−メチル−3−ブチン−2−オール50g(0.234モル)に水酸化カリウム0.23gを加えて80℃で3時間加熱攪拌した。室温まで放冷し、そのまま蒸留により精製(b.p.138℃/760mmHg)して、3,4,5−トリフルオロフェニルエチン22.2g(0.142モル)を得た。
【0084】
(3) 1−[2,6−ジフルオロ−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)フェニルエチニル]−3,4,5−トリフルオロベンゼンの合成
【0085】
【化25】
【0086】
上記(2)で得られた3,4,5−トリフルオロフェニルエチン5.2g(33.3ミリモル)及び合成例 2で得られた1−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−3,5−ジフルオロ−4−ヨードベンゼン10.0g(27.5ミリモル)を、トリエチルアミン30ml及びジメチルホルムアミド30mlに溶解した。ヨウ化銅(I)0.1gとジクロロ−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)0.4gを加え、3時間加熱還流させた。室温まで放冷した後、水100mlを加え、反応生成物をトルエン100mlで抽出し、更に有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を溜去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)を用いて精製して、1−[2,6−ジフルオロ−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)フェニルエチニル]−3,4,5−トリフルオロベンゼン10.4g(26.5ミリモル)を得た。更に、これをエタノールから再結晶させて精製物を得た。この化合物は、92℃で結晶相からネマチック相に、102℃でネマチック相から等方性液体相に相転移した。
【0087】
(合成例 8) 1−[2,6−ジフルオロ−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)フェニルエチニル]−3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチルベンゼン(No.3の化合物)の合成
【0088】
【化26】
【0089】
合成例 7において、1−ブロモ−3,4,5−トリフルオロベンゼンに代えて、1−ブロモ−3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチルベンゼンを用いた以外は合成例 7と同様にして、1−[2,6−ジフルオロ−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)フェニルエチニル]−3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチルベンゼンを得た。この化合物の融点は81.0℃であった。
【0090】
(合成例 9) 1−[4−[トランス−4−(3−メトキシプロピル)シクロヘキシル]フェニルエチニル]−3,4,5−トリフルオロベンゼン(No.4の化合物)の合成
(1) 4−[4−[トランス−4−(3−メトキシプロピル)シクロヘキシル]フェニル]−2−メチル−3−ブチン−2−オールの合成
【0091】
【化27】
【0092】
合成例 4で得られた4−[トランス−4−(3−メトキシプロピル)シクロヘキシル]−1−ヨードベンゼン30.0g(83.8ミリモル)と2−メチル−3−ブチン−2−オール11.0g(131ミリモル)をトリエチルアミン90mlに溶解した。この溶液にヨウ化銅(I)0.2gとジクロロ−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)0.2gを加え、1時間室温で攪拌した。反応終了後、水200mlを加え、反応生成物を酢酸エチル200mlで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を溜去し、ヘキサンから再結晶させて精製して、4−[4−[トランス−4−(3−メトキシプロピル)シクロヘキシル]フェニル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール22.1g(70.4ミリモル)を得た。
【0093】
(2) 4−[トランス−4−(3−メトキシプロピル)シクロヘキシル]フェニルエチンの合成
【0094】
【化28】
【0095】
水素化ナトリウム1gをトルエン20mlに懸濁し、上記(1)で得た4−[4−[トランス−4−(3−メトキシプロピル)シクロヘキシル]フェニル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール22.1g(70.4ミリモル)のトルエン200ml溶液を、室温で30分間滴下した。滴下終了後、更に1時間加熱還流させた。室温まで放冷し、水100mlに加え、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を溜去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン)を用いて精製して、4−[トランス−4−(3−メトキシプロピル)シクロヘキシル]フェニルエチン13.0g(50.8ミリモル)を得た。
【0096】
(3) 1−[4−[トランス−4−(3−メトキシプロピル)シクロヘキシル]フェニルエチニル]−3,4,5−トリフルオロベンゼンの合成
【0097】
【化29】
【0098】
上記(2)で得られた4−[トランス−4−(3−メトキシプロピル)シクロヘキシル]フェニルエチン9.40g(36.7ミリモル)及び1−ブロモ−3,4,5−トリフルオロベンゼン7.80g(37.0ミリモル)を、トリエチルアミン20ml及びジメチルホルムアミド50mlに溶解した。この溶液にヨウ化銅(I)0.1gとジクロロ−ビス)トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)0.1gを加え、30分間室温で攪拌し、更に1時間加熱還流させた。反応終了後、水100mlを加え、反応生成物をトルエン100mlで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を溜去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン)を用いて精製して、1−[4−[トランス−4−(3−メトキシプロピル)シクロヘキシル]フェニルエチニル]−3,4,5−トリフルオロベンゼン9.10g(23.6ミリモル)を得た。更に、これをメタノールから再結晶させて精製物を得た。この化合物は、63.5℃で結晶相からネマチック相に、108.6℃でネマチック相から等方性液体相に相転移した。
【0099】
(実施例2) 1−[2−フルオロ−4−[トランス−4−(3−メトキシプロピル)シクロヘキシル]フェニルエチニル]−3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチルベンゼン(No.5の化合物)の合成
【0100】
【化30】
【0101】
合成例 9において、4−[トランス−4−(3−メトキシプロピル)シクロヘキシル]−1−ヨードベンゼンに代えて合成例 5で得られた2−フルオロ−4−[トランス−4−(3−メトキシプロピル)シクロヘキシル]−1−ヨードベンゼンを用い、1−ブロモ−3,4,5−トリフルオロベンゼンに代えて、1−ブロモ−3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチルベンゼンを用いた以外は合成例 9と同様にして、1−[2−フルオロ−4−[トランス−4−(3−メトキシプロピル)シクロヘキシル]フェニルエチニル]−3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチルベンゼンを得た。
【0102】
(合成例 10) 1−[2,6−ジフルオロ−4−[トランス−4−(3−メトキシプロピル)シクロヘキシル]フェニルエチニル]−3,4,5−トリフルオロベンゼン(No.6の化合物)の合成
【0103】
【化31】
【0104】
合成例 9において、4−[トランス−4−(3−メトキシプロピル)シクロヘキシル]−1−ヨードベンゼンに代えて合成例 6で得られた1−[トランス−4−(3−メトキシプロピル)シクロヘキシル]−3,5−ジフルオロ−4−ヨードベンゼンを用いた以外は合成例 9と同様にして、1−[2,6−ジフルオロ−4−[トランス−4−(3−メトキシプロピル)シクロヘキシル]フェニルエチニル]−3,4,5−トリフルオロベンゼンを得た。
【0105】
(合成例 11) 1−[2,6−ジフルオロ−4−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]フェニルエチニル]−3,4,5−トリフルオロベンゼン(No.7の化合物)の合成
【0106】
【化32】
【0107】
合成例 7において、1−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−3,5−ジフルオロ−4−ヨードベンゼンに代えて、合成例 3で得られた1−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]−3,5−ジフルオロ−4−ヨードベンゼンを用いた以外は合成例 7と同様にして、1−[2,6−ジフルオロ−4−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]フェニルエチニル]−3,4,5−トリフルオロベンゼンを得た。この化合物は、155℃で結晶相からネマチック相に相転移し、ネマチック相−等方性液体相転移温度は300℃以上であった。
【0108】
(実施例3) 液晶組成物の調製(1)
【0109】
【化33】
【0110】
からなる母体液晶(A)を調製し、N−I点、20℃におけるΔn及びしきい値電圧を測定したところ、次の通りであった。
この母体液晶(A)80重量%及び実施例1の(No.1)
【0111】
【化34】
【0112】
の化合物20重量%からなる混合液晶を調製し、N−I点、20℃におけるΔn及びしきい値電圧を測定したところ、次の通りであった。
このことから、(No.1)の化合物は、母体液晶のΔnを大きく上昇させ、N−I点を上昇させ、同時にしきい値電圧を大きく低下させる効果を有することが理解できる。
【0113】
(実施例4) 液晶組成物の調製(2)
実施例3と同様に、母体液晶(A)80重量%及び合成例 7の(No.2)
【0114】
【化35】
【0115】
の化合物20重量%からなる混合液晶を調製し、N−I点、20℃におけるΔn及びしきい値電圧を測定したところ、次の通りであった。
このことから、(No.2)の化合物は、母体液晶のΔnを大きく上昇させ、N−I点をやや上昇させ、同時にしきい値電圧を大きく低下させる効果を有することが理解できる。
【0116】
(実施例5) 液晶組成物の調製(3)
実施例3と同様に、母体液晶(A)80重量%及び合成例 8の(No.3)
【0117】
【化36】
【0118】
の化合物20重量%からなる混合液晶を調製し、N−I点、20℃におけるΔn及びしきい値電圧を測定したところ、次の通りであった。
このことから、(No.3)の化合物は、母体液晶のΔn、N−I点を大きく上昇させ、同時にしきい値電圧を大きく低下させる効果を有することが理解できる。
【0119】
(実施例6) 液晶組成物の調製(4)
実施例3と同様に、母体液晶(A)80重量%及び合成例 9の(No.4)
【0120】
【化37】
【0121】
の化合物20重量%からなる混合液晶を調製し、N−I点、20℃におけるΔn及びしきい値電圧を測定したところ、次の通りであった。
このことから、(No.4)の化合物は、母体液晶のΔn、N−I点を大きく上昇させ、同時にしきい値電圧を低下させる効果を有することが理解できる。
【0122】
(実施例7) 液晶組成物の調製(5)
実施例3と同様に、母体液晶(A)80重量%及び実施例2の(No.5)
【0123】
【化38】
【0124】
の化合物20重量%からなる混合液晶を調製し、N−I点、20℃におけるΔn及びしきい値電圧を測定したところ、次の通りであった。
このことから、(No.5)の化合物は、母体液晶のΔnを大きく上昇させ、N−I点を上昇させ、同時にしきい値電圧を大きく低下させる効果を有することが理解できる。
【0125】
(実施例8) 液晶組成物の調製(6)
実施例3と同様に、母体液晶(A)80重量%及び合成例 10の(No.6)
【0126】
【化39】
【0127】
の化合物20重量%からなる混合液晶を調製し、N−I点、20℃におけるΔn及びしきい値電圧を測定したところ、次の通りであった。
このことから、(No.6)の化合物は、母体液晶のΔnを大きく上昇させ、N−I点をやや上昇させ、同時にしきい値電圧を大きく低下させる効果を有することが理解できる。
【0128】
(実施例9) 液晶組成物の調製(7)
実施例3と同様に、母体液晶(A)90重量%及び合成例 11の(No.7)
【0129】
【化40】
【0130】
の化合物10重量%からなる混合液晶を調製し、N−I点、20℃におけるΔn及びしきい値電圧を測定したところ、次の通りであった。
このことから、(No.7)の化合物は、小量の添加で母体液晶のΔn、N−I点を大きく上昇させ、同時にしきい値電圧をやや低下させる効果を有することが理解できる。
【0131】
(比較例1)実施例3と同様に、母体液晶(A)80重量%及び式(a)
【0132】
【化41】
【0133】
の化合物20重量%からなる混合液晶を調製し、N−I点、20℃におけるΔn及びしきい値電圧を測定したところ、次の通りであった。
このことから、式(a)の化合物は、母体液晶のΔn、N−I点を大きく上昇させるが、しきい値電圧の低下はわずかであることが明らかである。
【0134】
(比較例2)実施例3と同様に、母体液晶(A)80重量%及び式(b)
【0135】
【化42】
【0136】
の化合物20重量%からなる混合液晶を調製し、N−I点、20℃におけるΔn及びしきい値電圧を測定したところ、次の通りであった。
このことから、式(b)の化合物も、母体液晶のΔn、N−I点を大きく上昇させるが、しきい値電圧はあまり大きく低下できないことが明らかである。
【0137】
【発明の効果】
本発明の一般式(I)で表わされる化合物は、ネマチック液晶として現在汎用されている母体液晶との相溶性に優れており、母体液晶のΔn、N−I点を上昇させ、同時にしきい値電圧を大きく低下させることができる。
【0138】
従って、本発明の一般式(I)で表わされる化合物を用いた液晶組成物は、ワープロ、液晶テレビ等の高速応答性を重視する液晶表示に有用な液晶材料である。
Claims (10)
- 一般式(I)において、Rが炭素原子数1〜10の直鎖状アルキル基である請求項2記載の化合物。
- 一般式(I)において、Zがフッ素原子である請求項2記載の化合物。
- 一般式(I)において、Zがトリフルオロメチル基である請求項2記載の化合物。
- 一般式(I)において、Jが単結合である請求項2から6のいずれかの請求項に記載の化合物。
- 請求項2から8のいずれかの請求項に記載の化合物を含有することを特徴とする液晶組成物。
- アクティブマトリクス用であることを特徴とする請求項1又は9記載の液晶組成物。
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