JP3568404B2 - 石英ガラスルツボの製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばシリコン単結晶の引上げ装置に用いられる石英ガラスルツボの製造方法及び製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体ディバイスの基板として用いられるシリコン単結晶は、主にチョクラルスキー法(CZ法)により製造されている。この方法は、ルツボ内に多結晶シリコン原料を装填し、ルツボを周囲から加熱することによって多結晶シリコン原料を溶融させて、吊り下げられた種結晶をシリコン融液に浸して除々に引き上げることによって、シリコン単結晶インゴットを成長させるものである。
従来、前記したCZ法を実施するルツボとしては、石英ガラス製のルツボが多く用いられてきた。この種の石英ガラスルツボの製造方法については、例えば特開平1−160836号公報等に開示されている。
【0003】
すなわち、これに開示されている製造方法は、所定の気孔率と通気率を有するカーボン質材料からなる中空の型を回転させて、その内部に石英ガラス原料粉末を装填し、遠心力により原料粉末を層状に形成させた後にアーク等の熱源によって原料粉末を溶融しつつ、真空装置により中空型の外側を減圧することで石英ガラスルツボを得るようにしている。
前記したCZ法により単結晶インゴットを生成するためのこの種の石英ガラスルツボは、単結晶インゴットの結晶欠陥等の発生を防止するために、より良好な内面状態や、特にルツボ全周におけるより高い肉厚寸法精度が求められ、前記した工程によってルツボを製造するに際しても、熟練工がほとんど手作業により原料としての石英ガラス原料粉末を供給しつつ製造しているのが現状である。
【0004】
一方、石英ガラスルツボは、シリコン融液への均熱伝達を行うため外周側に多数の閉気孔を均一に分散させた不透明石英ガラス層を形成し、またシリコン融液への浸食を極力低減し、さらに融液面の安定性を確保するなどのために、内周側に気泡を実質的に皆無にした透明石英ガラス層を形成したいわゆる二層ルツボが一般に使用されている。
そして、このような二層ルツボを製造するためには、前記した製造方法において、回転されたカーボン質中空型内に石英ガラス原料粉末を装填する際に、初めに粗粒の原料粉末を装填し、さらにその内表面にこれより微粒の原料粉末を装填する方法が通常行われており、この装填も熟練工が手作業によりなされるのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、たとえ熟練工が為すにあたっても、ルツボの内面状態や肉厚の寸法精度にバラツキが発生することは免れないものであり、特に前記した二層ルツボを製造するにあたっては、製造工程が繁雑で充分な作業能率が得られていないという技術的課題を有している。
本発明は、前記したような技術的課題に着目してなされたものであり、ルツボの内表面に凹凸が形成されず、またルツボの肉厚をルツボ全周にわたり、略均一にしたり、また例えばルツボ底部の小R部のみの肉厚を厚くするなどの任意の肉厚制御を高精度に達成することができる製造方法及び製造装置を提供することを目的とするものである。またルツボの内面状態及び寸法精度等の品質にバラツキが発生し難く、加えて前記したような二層のルツボを製造するにあたっても、その作業能率を向上し得る製造方法及び製造装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記した目的を達成するためになされた本発明にかかる石英ガラスルツボの製造方法は、内周面が円筒状に形成され、軸心が垂直方向となるように回転可能に配置された有底状の外枠と、外周面が円柱状に形成され、軸心が垂直方向となるように前記外枠内に上部より挿入され、且つ軸心を前記外枠の軸心とずらして回転可能に配置された内枠とを共に同一方向に回転させて、前記外枠と内枠とで形成される隙間のうち、狭い隙間部分の上部より石英ガラス原料粉末を供給することにより、前記外枠内周面に原料粉末層を形成させる工程と、前記外枠の軸心と内枠の軸心とをほぼ一致させて内枠を上部に移動させることにより、外枠から内枠を引き出す工程と、回転状態の前記外枠内に加熱手段を外枠内周部に挿入して溶融し、石英ガラス層を形成させる工程とにより石英ガラスルツボを得るようになされる。
【0007】
また、本発明にかかる石英ガラスルツボの製造方法は、内周面が円筒状に形成され、軸心が垂直方向となるように回転可能に配置された有底状の外枠と、外周面が円柱状に形成され、軸心が垂直方向となるようにして前記外枠内に上部より挿入された回転可能な内枠とを共に同一方向に回転させて、前記外枠と内枠とで形成される隙間の上部より外枠側と内枠側とにそれぞれ異なる石英ガラス原料粉末を供給することで、前記外枠内周面に肉厚方向に異なった原料による複数の粉末層を形成させる工程と、前記内枠を上部に移動させることにより、外枠から内枠を引き出す工程と、回転状態の前記外枠内に加熱手段を外枠内周部に挿入して溶融し、異なった原料による石英ガラス層を肉厚方向に層状に形成させる工程とにより石英ガラスルツボを得るようになされる。
【0008】
この場合、前記外枠と内枠とで形成される隙間の上部より、外枠側と内枠側との間にそれぞれ異なる石英ガラス原料粉末を供給するために、内部に仕切り板を設けて同時にそれぞれ異なる石英ガラス原料粉末を吐出する原料粉末供給装置を用いることが好ましい。
そして、前記した多層の石英ガラスルツボを製造する場合においても、好ましくは外枠の軸心と内枠の軸心とをずらした状態で配置され、外枠と内枠とを共に同一方向に回転させて、前記外枠と内枠とで形成される隙間のうち、狭い隙間部分の上部より石英ガラス原料粉末を供給するようになされる。
さらに、前記したいずれの製造方法を採用する場合であっても、加熱手段は好ましくは一対の電極間に発生するアーク熱を利用するようになされ、また前記外枠及び内枠の回転速度は、共に70〜85rpmの範囲に設定されるのが望ましい。
【0009】
一方、本発明にかかる石英ガラスルツボの製造装置は、内周面が円筒状に形成され、軸心が垂直方向となるように回転可能に配置された有底状の外枠と、外周面が円柱状に形成され、軸心が垂直方向となるようにして前記外枠内に配置され、且つ前記外枠内への挿入状態において軸心が前記外枠の軸心とずらした状態で外枠と共に同一方向に回転駆動される内枠と、前記外枠と内枠とで形成される隙間のうち、狭い隙間部分の上部より原料粉末を供給し、外枠内周面に原料粉末層を形成させるように配置された原料粉末供給装置と、前記外枠から内枠を引き出した状態において、外枠内に挿入されて外枠内周面に形成された原料粉末層を溶融することで、石英ガラスルツボを形成させる加熱手段とを具備したことを基本構成としている。
【0010】
この場合、前記原料粉末供給装置には、内部に仕切り板が配置され、前記外枠側と内枠側との間に肉厚方向に異なった原料粉末を供給することで、多層の石英ガラスルツボを得るように構成される。
そして、好ましくは前記原料粉末供給装置の供給口が、外枠の軸心と内枠の軸心とを結ぶ水平線上における狭い隙間部分であって、当該線上を挟む内枠の軸心を中心とした±10度の範囲に配置されていることが望ましく、前記位置は外枠の軸心と内枠の軸心とを結ぶ水平線上における回転方向の手前側とすることがより望ましい。
【0011】
前記した石英ガラスルツボの製造方法及び製造装置によると、互いに軸心が垂直方向となるように回転可能に配置された有底状の外枠と、前記外枠内に配置された内枠とが、共に同一方向に回転駆動される。そして、外枠の軸心に対して内枠の軸心をずらして配置することによって形成される両者の隙間のうち、狭い隙間部分の上部より石英ガラス原料粉末が供給される。
これにより、供給された原料粉末が外枠の回転に伴う遠心力により、外枠内面側に保持されて原料層を形成すると共に、この原料層は外枠と内枠との狭い隙間部分によって押し圧され、均一な厚さに形成される。
【0012】
一方、外枠と内枠とは共に同方向に回転駆動され、また両者の軸心のずれによる狭い隙間部分の上部より石英ガラス原料粉末が供給されるように成されるため、原料粉末の供給による原料層を介した外枠と内枠との間の摩擦作用を極力低減させつつ、均一な厚さの原料層を外枠内周面に形成させることが可能となる。
そして、回転状態の外枠内周部に例えばアーク加熱手段を挿入して原料層を加熱溶融することで、石英ガラスルツボの完成品を得ることができる。
【0013】
さらに、前記外枠と内枠とで形成される隙間の上部より、外枠側と内枠側とにそれぞれ異なる石英ガラス原料粉末を供給することで、前記外枠内周面に複数の原料粉末層をほぼ均一な厚さに形成させることができる。
これには、例えば内部に仕切り板を設けて同時にそれぞれ異なる石英ガラス原料粉末を吐出する原料供給ホッパーを用いることができ、前記と同様にアーク回転溶融法によって、多層の原料粉末層を同時に溶融して多層構造の石英ガラスルツボの完成品を得ることができる。
この製造方法によると、上述した従来の製造方法に比較して遥かに能率的に石英ガラスルツボの完成品を得ることが可能であり、その生産性を向上させることができる。
【0014】
そして、前記したいずれの製造方法を採用するにおいても、外枠及び内枠の回転速度を共に70〜85rpmの範囲とすることが好ましい。すなわち、その回転速度が70rpm未満である場合においては、外枠内周面に形成される原料粉末層が崩れるという問題が発生し、ルツボ完成品の歩留りが低下する。また、その回転速度が85rpmを越えると、供給された原料粉末が外枠の下底部まで侵入せずに上部にとどまる現象が発生し、また全体が肉薄状となって、同様にルツボ完成品の歩留りが低下する。
【0015】
さらに前記したように原料粉末の供給位置を、外枠の軸心と内枠の軸心とを結ぶ水平線上における狭い隙間部分において、当該線上を挟む内枠の軸心を中心とした±10度の範囲に設定することで、より均質なルツボ完成品を得ることができる。すなわちこの範囲を越えた場合には、底部の方に原料粉末がたまり易く、粉末成形体の側壁部分の形成が困難となるという問題が発生する。またたとえ外枠内周面にルツボ形状の粉末成形体が形成されても、その底部と側壁部で、原料粉末の充填密度の差(底部が密で側壁部が疎)が発生し、アーク溶融した場合のルツボの嵩密度、言い換えれば閉気孔の分布においてバラツキが発生するという問題を発生させる。
【0016】
特に原料粉末の供給位置を、外枠の軸心と内枠の軸心とを結ぶ水平線上を起点とした回転方向の手前側である0〜10度の範囲に設定することがより好ましい。原料粉末の供給位置を前記した範囲に設定することにより、粉末成形体の側壁部における原料粉末の埋まりが良好となり、密度の均質性、肉厚の均一性に優れた石英ガラスルツボが得られ易い。
【0017】
ここで、前記外枠はカーボン質材料、特には灰分10ppm以下の高純度黒鉛を用いることが好ましい。その理由は内枠によって原料粉末を押しつけてルツボ形状の粉末成形体を形成するにあたって、ある程度の摩擦係数を有するものであり、かつ比較的多孔質であるため、通常の機械加工によって、ある程度に粗い表面状態となる材料だからである。また前記材料は高純度化も容易である。
一方、前記内枠はシリカ質材料、特には高純度石英ガラスが好ましい。またその他として溶融石英を粉砕し分級した粉を主原料とした溶融石英質耐火物も使用し得る。その理由は内枠は原料粉末とこすれる度合いが大きく、耐摩耗性が重要となる。しかも摩耗は避けられないものであるから、高純度であることがより好ましい。特に外枠と同様にカーボン材とした場合には、カーボン粉末が粉末成形体中に混入し、アーク溶融した際に異常発泡が生じてしまうおそれがあるからである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる石英ガラスルツボの製造方法及び製造装置について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。図1は本発明にかかる製造方法にしたがって石英ガラスルツボを製造する各工程を断面図によって順に示したものである。なお図1(a)〜(e)における上半部は、垂直方向の中央断面状態で示し、また(a)〜(d)における下半部は、それぞれの水平方向の中央断面状態で示している。
図1(a)に示すように、内周面が円筒状に形成され、軸心1aが垂直方向となるように回転可能に配置された有底状の外枠1と、外周面が円柱状に形成され、軸心2aが垂直方向となるように前記外枠内1に上部より挿入された回転可能な内枠2とが具備されている。
【0019】
前記外枠1は、全体が例えばカーボン質材料により形成されており、その内底部は内周面の径に沿った半球状に成されている。また前記内枠2は、全体が例えば石英ガラス質材料により形成されており、その下端部は外周面の径に沿った半球状に成されている。そして、図1(a)に示す状態においては、内枠2の軸心2aは前記外枠1の軸心1aに対してずらした状態で配置されている。
例えば、18インチの石英ガラスルツボを製造する場合においては、前記各軸心1a,2aのずれ量は2〜3mm程度となされる。
そして、前記外枠1及び内枠2はそれぞれの軸心を回転中心として、共に同一方向に回転駆動されるように構成されている。
【0020】
図1(a)に示す符号3は、石英ガラス原料粉末を供給する原料粉末供給装置としてのホッパーであり、このホッパー3の原料供給口3aは、共に回転状態とされている前記外枠1と内枠2とで形成される隙間のうち、狭い隙間部分の上部に位置され、この狭い隙間部分より石英ガラス原料粉末Gが外枠1と内枠2との間に供給される。
図1(b)は、外枠1と内枠2との間に原料粉末Gが前記ホッパー3より供給され、供給された原料粉末Gが外枠1の内周面に層状に形成された状態を示している。
【0021】
また図2は、外枠1と内枠2との間に原料粉末Gを供給して外枠1の内周面に原料粉末層を形成させた状態を水平方向の断面図で示している。前記ホッパー3の原料供給口3aは、共に回転状態とされている前記外枠1と内枠2とで形成される隙間のうち、狭い隙間部分における回転方向の若干手前側、すなわち図2における符号4で示す位置に配置されている。
この符号4で示す原料粉末供給装置の供給口端面は、この中心部が前記したとおり外枠1の軸心1aと内枠2の軸心2aとを結ぶ水平線L1を挟む内枠の軸心2aを中心とした±10度の範囲に設定することが好ましく、この実施の形態においては、粉末供給口端面4は線L1の回転方向の手前側10度の位置に配置されている。
【0022】
この場合、前記したように18インチの石英ガラスルツボを製造する場合においては、各軸心1a,2aのずれ量は2〜3mm程度となされ、さらに狭い隙間部分における両者の間隔は15mm程度とされる。
したがって、外枠1と内枠2との間に供給された原料粉末Gは、偏心状態の内枠2の外周面、特に外枠1の内周面に接近した部分により、外枠1の内周面に押しつけられ、且つ遠心力により、前記した15mm程度の均一な層状に形成される。
【0023】
この様にして外枠1の内周面に原料粉末層Gを形成させた状態で図1(c)に示すように、前記外枠1の軸心1aと内枠2の軸心2aとを一致させると共に、図1(d)に示すように内枠2を上部に移動させることにより、外枠1から内枠2が引き出される。
続いて、図1(e)に示すように回転状態の前記外枠1内に、加熱手段としての一対の電極5a,5bからなるアーク放電装置がその上部から挿入され、電極5a,5bに発生するアーク放電熱により、外枠1の内周面に形成された前記原料粉末層Gを溶融して石英ガラス層と成し、外枠1内に石英ガラスルツボを形成させる。このようにして外枠1内に形成された石英ガラスルツボは、前記外枠1から取り外され、ルツボ完成品とされる。
【0024】
ここで、例えば実公平6−16926号公報には石英ガラスルツボの上縁部の肉厚を全周にわたって他の部分の肉厚に対して薄く形成し、内面に肉薄部による段差を持たせたルツボの構成について開示されている。
図3は、例えばこのような構成の石英ガラスルツボを得る場合においてなされる好ましい形態を示したものである。すなわち、図3(a)及び図3(b)は、前述した図1(a)及び図1(b)にそれぞれ対応するもので、それぞれ若干拡大して示している。
【0025】
図3に示すように、内枠2の上部には、内枠2の軸心2aと同軸となるように径太部2bが配置されており、このような構成の内枠2を用いて外枠1の内周面に原料粉末層Gを形成させる。この場合、原料粉末層における肉薄部Gtの厚さは内枠2の上端部の外径及びその下方円柱部の径を選定することによって、適宜調整する。
このようにして粉末成形体を形成させた後の処理は、図1に示す(c)〜(e)と同様である。そして、アーク回転溶融法によりルツボ本体を形成させる。
【0026】
次に図4及び図5は、石英ガラスルツボの製造においてなされる他の好ましい形態を示したものである。すなわち図5は共に同一方向に回転される外枠と内枠とで形成される隙間の上部より、外枠側と内枠側とにそれぞれ異なる石英ガラス原料粉末を供給することで、肉厚方向に異なった原料による複数の粉末層を形成させる状態を示したものである。なお図4において符号1及び2は、外枠及び内枠の一部を示している。
この実施の形態においては、外枠1側と内枠2側との隙間にそれぞれ異なる石英ガラス原料粉末G1及びG2を供給するために、内部に仕切り板3bを設けた原料供給ホッパー3が用いられる。
【0027】
すなわち、前記仕切り板3bはホッパー3の中央部に配置され、ホッパー3内を2つに区画すると共に、この仕切り板3bはホッパー3の原料供給口3aに至る部分まで配置されている。したがって、2つに区画されたホッパー内部にそれぞれ異なる原料粉末G1及びG2を供給することで、同時にそれぞれ異なる原料粉末が吐出され、隙間の肉厚方向に異なった原料による複数の粉末層G1,G2を形成させることができる。
なお、前記した異なる石英ガラス粉末とは、例えば平均粒径を互いに相違させたもの(G1:粗粒、G2:微粒)であったり、また種類を相違させたもの(G1:天然水晶、G2:合成シリカ)を意味する。
【0028】
この様にして原料粉末を層状に形成させた後の処理工程は、図1に示した場合と同様である。そして、図5はアーク回転溶融の工程を経て、外枠1から脱形させたルツボ完成品の状態を断面状態で示している。図5に示すように外側に原料粉末G1による石英ガラス層が形成され、また内側に原料粉末G2による石英ガラス層が形成された二層構造のルツボを得ることができる。これにより各層の境界部が適度に入り交った多層構造の石英ガラスルツボを能率的に生産することができる。
【0029】
この場合、外側に供給する石英ガラス原料粉末G1として、例えば平均100μmの粗い粒子からなる石英ガラス原料粉末を用い、また内側に供給する石英ガラス原料粉末G2として、例えば平均50μmの細かい粒子からなる石英ガラス原料粉末を用いることで、外側に微小気泡を含むことで均一な熱分布を得られると共に、その内表面がほぼ無気泡で、表面が平滑な透明石英ガラス層を形成させた二層構造の石英ガラスルツボを得ることができる。
【0030】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明にかかる石英ガラスルツボの製造方法及び製造装置によると、外枠及び内枠とを若干偏心させて共に同方向に回転駆動させると共に、両者の隙間のうち、狭い隙間部分より石英ガラス粉末を供給するようになされるので、外枠と内枠との狭い隙間部分によって設定される均一な厚さに原料粉末層を形成させることができる。したがって、ルツボ完成品は凹凸が極力低減された良好な内面状態及び特にルツボ全周におけるより高い肉厚寸法精度を確保することができ、単結晶インゴットの結晶欠陥等の発生を低減させることが可能となる。
【0031】
また、上縁部の肉厚を全周にわたって他の部分の肉厚に対して薄く形成した構成の石英ガラスルツボを得る場合においても、内枠の上端部の外径及びその下方円柱部の径を選定することによって、上縁部の肉厚を自在に調整することが可能であり、高い寸法精度を確保することができると共に、その作業能率を向上させることができる。
さらに、例えば内部に仕切り板を設けて同時にそれぞれ異なる石英ガラス原料粉末を吐出する原料供給ホッパーを用いることで、多層の原料粉末層を同時に成形させることが可能であり、アーク回転溶融法を併用することにより境界部が適度に入り交った多層構造の石英ガラスルツボを能率的に生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる石英ガラスルツボの製造方法を工程順に説明する断面図である。
【図2】図1に示す工程における原料粉末の供給位置を示す拡大断面図である。
【図3】本発明にかかる他の好ましい製造方法の一部の工程を示した断面図である。
【図4】本発明にかかるさらに他の好ましい製造方法の一部の工程を示した断面図である。
【図5】図4に示す製造方法によって製造された製品の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 外枠
1a 外枠軸心
2 内枠
2a 内枠軸心
2b 径太部
3 原料粉末供給装置(ホッパー)
3a 原料供給口
3b 仕切り板
4 原料供給口端面
5a,5b 電極(加熱手段)
G,G1,G2 原料粉末(原料粉末層)
Claims (8)
- 内周面が円筒状に形成され、軸心が垂直方向となるように回転可能に配置された有底状の外枠と、外周面が円柱状に形成され、軸心が垂直方向となるように前記外枠内に上部より挿入され、且つ軸心を前記外枠の軸心とずらして回転可能に配置された内枠とを共に同一方向に回転させて、前記外枠と内枠とで形成される隙間のうち、狭い隙間部分の上部より石英ガラス原料粉末を供給することにより、前記外枠内周面に原料粉末層を形成させる工程と、
前記外枠の軸心と内枠の軸心とをほぼ一致させて内枠を上部に移動させることにより、外枠から内枠を引き出す工程と、
回転状態の前記外枠内に加熱手段を外枠内周部に挿入して溶融し、石英ガラス層を形成させる工程
とにより石英ガラスルツボを得る石英ガラスルツボの製造方法。 - 内周面が円筒状に形成され、軸心が垂直方向となるように回転可能に配置された有底状の外枠と、外周面が円柱状に形成され、軸心が垂直方向となるようにして前記外枠内に上部より挿入された回転可能な内枠とを共に同一方向に回転させて、前記外枠と内枠とで形成される隙間の上部より外枠側と内枠側とにそれぞれ異なる石英ガラス原料粉末を供給することで、前記外枠内周面に肉厚方向に異なった原料による複数の粉末層を形成させる工程と、
前記内枠を上部に移動させることにより、外枠から内枠を引き出す工程と、
回転状態の前記外枠内に加熱手段を外枠内周部に挿入して溶融し、異なった原料による石英ガラス層を肉厚方向に層状に形成させる工程
とにより石英ガラスルツボを得る石英ガラスルツボの製造方法。 - 前記外枠と内枠とで形成される隙間の上部より、外枠側と内枠側との間にそれぞれ異なる石英ガラス原料粉末を供給するために、内部に仕切り板を設けて同時にそれぞれ異なる石英ガラス原料粉末を吐出する原料粉末供給装置を用いることを特徴とする請求項2記載の石英ガラスルツボの製造方法。
- 外枠の軸心と内枠の軸心とをずらした状態で配置され、外枠と内枠とを共に同一方向に回転させて、前記外枠と内枠とで形成される隙間のうち、狭い隙間部分の上部より石英ガラス原料粉末を供給する請求項2または請求項3記載の石英ガラスルツボの製造方法。
- 前記外枠及び内枠の回転速度が70〜85rpmである請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の石英ガラスルツボの製造方法。
- 内周面が円筒状に形成され、軸心が垂直方向となるように回転可能に配置された有底状の外枠と、
外周面が円柱状に形成され、軸心が垂直方向となるようにして前記外枠内に配置され、且つ前記外枠内への挿入状態において軸心が前記外枠の軸心とずらした状態で外枠と共に同一方向に回転駆動される内枠と、
前記外枠と内枠とで形成される隙間のうち、狭い隙間部分の上部より原料粉末を供給し、外枠内周面に原料粉末層を形成させるように配置された原料粉末供給装置と、
前記外枠から内枠を引き出した状態において、外枠内に挿入されて外枠内周面に形成された原料粉末層を溶融することで、石英ガラスルツボを形成させる加熱手段
とを具備してなる石英ガラスルツボの製造装置。 - 前記原料粉末供給装置には、内部に仕切り板が配置され、前記外枠側と内枠側との間に肉厚方向に異なった原料粉末を供給することで、多層の石英ガラスルツボを得るように構成した請求項6記載の石英ガラスルツボの製造装置。
- 前記原料粉末供給装置の供給口が、外枠の軸心と内枠の軸心とを結ぶ水平線上における狭い隙間部分であって、当該線上を挟む内枠の軸心を中心とした±10度の範囲に配置されている請求項6または請求項7記載の石英ガラスルツボの製造装置。
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