JP3568290B2 - 電解水生成装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム等を主要成分として含有して殺菌作用、消毒作用を有する電解水を生成するための電解水生成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム等を主要成分として含有して殺菌作用、消毒作用を有する電解水を生成するための電解水生成装置の一形式として、特公平7−8768号公報に示されているように、電解槽内を隔膜にて区画して形成された一対の隔室にそれぞれ電極を配置して陽極室と陰極室とを構成し、これら両電極室に供給される希薄食塩水を両電極間で電解する電解水生成装置がある。当該電解水生成装置においては、陽極室内で生成される陽極室側生成水が主として次亜塩素酸を含む酸性水であり、また陰極室内で生成される陰極室側生成水がアルカリ性水である。
【0003】
ところで、当該電解水生成装置においては、両電極室に供給される希薄食塩水が未電解の状態で電解水とともに流出されるものであるため、多くの食塩が無駄に消費されることになる。また、当該電解水生成装置においては、無駄に消費される食塩をできるだけ少なくすべく希薄食塩水が採用されることから、電気伝導度が低くて電解効率が悪く消費電力の増大を招くという問題がある。これらの問題に対処すべく、特開平7−155760号公報には、上記した希薄食塩水より高濃度の食塩水を採用して、電解時にこの高濃度の食塩水を循環して使用可能とすることにより、食塩の無駄を減少させるとともに電解効率を高めて消費電力の低減を図った電解水生成装置が提案されている。
【0004】
当該電解水生成装置は、イオン透過能を有する一対の隔膜にて内部を中間室および同中間室の両側に位置する第1,第2側室に区画形成された電解槽と、第1側室に配設された陽極と、第2側室に配設された陰極を有し、中間室に供給される高濃度の食塩水を陽極と陰極間で電解するように構成したものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、当該電解水生成装置においては、中間室に供給された高濃度の食塩水は電解時にはイオン化されて、中間室中の陰イオンが隔膜を透過して第1側室へ移動して同側室では主として塩素イオンが電解されるとともに、中間室中の陽イオンが隔膜を透過して第2側室へ移動して主として水素イオンが電解される。このため、中間室では電解が進行するにしたがってナトリウムイオンが漸次滞留して、中間室内の生成水のアルカリ性が増大する。
【0006】
この結果、中間室内の生成水中に存在する微量のカルシウムイオン、マグネシウムイオン等が水酸化物や炭酸塩等の不溶性物質となって徐々に析出する。これらの不溶性物質はスケールとして隔膜の細孔を目詰りさせるとともに、各電極に付着して電解効率を低下させ、また各管路の内面に付着して管路抵抗を増大させるという問題を引き起こす。
【0007】
従って、本発明の目的は、上記した一対の隔膜にて区画形成された中間室、および両側室を備えた形式の電解水生成装置において、中間室でのスケールの発生を防止し、または抑制することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は電解水生成装置に関し、本発明の第1の発明は、イオン透過能を有する一対の隔膜にて内部を中間室および同中間室の両側に位置する第1,第2側室に区画形成された電解槽と、前記第1側室に配設された陽極と、前記第2側室に配設された陰極と、前記中間室に配設された第2の陽極を有し、前記中間室に供給される食塩水を前記陽極と前記陰極間で電解する主電解工程と、前記第2の陽極と前記陰極間で電解する副電解工程を備えていることことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の第2の発明は、イオン透過能を有する一対の隔膜にて内部を中間室および同中間室の両側に位置する第1,第2側室に区画形成された電解槽と、前記第1側室に配設された陽極と、前記第2側室に配設された陰極と、前記第1側室にて前記陽極に対して直列的に配設された第2の陰極と、前記中間室にて前記第2の陰極に対向して配設された第2の陽極を有し、前記中間室に供給される食塩水を前記陽極と前記陰極間で電解する主電解工程と、前記第2の陽極と前記第2の陰極間で電解する副電解工程を備えていることことを特徴とするものである。
【0010】
【発明の作用・効果】
本発明の第1の発明に係る電解水生成装置においては、中間室へ高濃度の食塩水が供給されるとともに、各側室へは水または希薄食塩水が供給された状態で運転が開始される。中間室に供給された高濃度の食塩水は、第1側室の陽極と第2側室の陰極間での主電解工程と、中間室の第2の陽極と第2側室の陰極間での副電解工程とにより電解される。
【0011】
しかして、主電解工程においては、中間室に供給された高濃度の食塩水中の陰イオンは第1側室へ移動し、陽極表面では主として塩素イオンが塩素になって次亜塩素酸として溶解するとともに酸素が発生し、第1側室では酸性水が生成される。また、中間室の高濃度の食塩水中の陽イオンは第2側室へ移動し、陰極表面では主として水素イオンが水素になって発生し、第2側室ではアルカリ性水が生成される。一方、副電解工程では、中間室が陽極室に第2側室が陰極室になって、中間室では塩素と酸素が発生し、塩素が水中に溶解して中間室の生成水を酸性側へ移行させる。
【0012】
このため、当該電解水生成装置においては、副電解工程での電解の程度を調整することにより、中間室での生成水を酸性側へ移行させることができる。副電解工程での電解の程度を調整する手段としては、可変抵抗器を使用して主電解工程と副電解工程で付与する電気量を調整する手段、両側室へ供給する水または食塩水の流速、導電率により制御する手段、隔膜の種類を選定してイオン透過能を調整する手段等を採用することができる。
【0013】
従って、当該電解水生成装置によれば、任意の運転条件を採用することにより、中間室での生成水をアルカリ性から酸性へ移行させることができて、アルカリ性に起因するスケールの発生を防止し、または抑制することができる。
【0014】
また、本発明の第2の発明に係る電解水生成装置においても、中間室へ高濃度の食塩水が供給されるとともに、各側室へは水または希薄食塩水が供給された状態で運転が開始される。中間室に供給された高濃度の食塩水は、第1側室の陽極と第2側室の陰極間での主電解工程と、中間室の第2の陽極と第1側室の第2の陰極間での副電解工程とにより電解される。
【0015】
しかして、主電解工程においては、中間室に供給された高濃度の食塩水中の陰イオンは第1側室へ移動し、陽極表面では主として塩素イオンが塩素になって次亜塩素酸として溶解するとともに酸素が発生し、第1側室内では酸性水が生成される。また、中間室の高濃度の食塩水中の陽イオンは第2側室へ移動し、陰極表面では主として水素イオンが水素になって発生し、第2側室ではアルカリ性水が生成される。
【0016】
一方、副電解工程では、中間室が陽極室に第1側室が陰極室になって、中間室の生成水中の陽イオンが第1側室へ移動し、第2の陰極表面では主として水素イオンが水素になって発生し、第1側室の生成水をアルカリ性側へ移行させる。また、第1側室の生成水中の陰イオンは中間室へ移動し、第2の陽極表面では主とし塩素イオンが塩素になって次亜塩素酸として溶解するとともに酸素が発生し、中間室の生成水を酸性側へ移行されせる。
【0017】
このため、当該電解水生成装置においては、副電解工程での電解の程度を調整することにより、中間室での生成水を酸性側へ移行させることができるとともに、第1側室の生成水のpHをアルカリ性側へ調整することができる。副電解工程での電解の程度を調整する手段としては、第1の発明に係る電解水生成装置と同様の手段を採用することができ、これにより、当該電解水生成装置によれば任意の運転条件を採用することによって、中間室での生成水をアルカリ性から酸性へ移行させて、アルカリ性に起因するスケールの発生を防止しまたは抑制することができるとともに、第1側室で生成される酸性水のpHを3〜7の範囲の任意の値に容易に調整することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下本発明を図面に基づいて説明するに、図1には本発明に係る電解水生成装置の一例が示されている。当該電解水生成装置は、電解槽11、第1,第2隔膜12a,12b、第1,第2陽極13a,13b、陰極14を備えている。各隔膜12a,12bはイオン透過能を有するもので、電解槽11内に所定間隔を保持して配設されて、電解槽11の内部を中間室15a、および中間室15aの両側に位置する第1,第2側室15b,15cに区画形成している。
【0019】
かかる電解槽11においては、中間室15aに連通する供給管路11aおよび流出管路11bと、第1側室15bに連通する供給管路11cおよび流出管路11dと、第2側室15cに連通する供給管路11eおよび流出管路11fを備えており、第1側室15bには第1陽極13aが配設され、第2側室15cには陰極14が配設され、かつ中間室15aには第2陽極13bが配設されている。これら各陽極13a,13bおよび陰極14は、互いに対向して位置している。
【0020】
直流電源16に対しては、第1陽極13aおよび第2陽極13bは正極に接続され、かつ陰極14は負極に接続されているとともに、第2陽極13bと直流電源16の接続回路には可変抵抗器17が介装されている。これにより、第1陽極13aと陰極14間に主電解工程が構成され、かつ第2陽極13bと陰極14間に副電解工程が構成される。
【0021】
このように構成した当該電解水生成装置においては、中間室15aへ高濃度の食塩水が供給されるとともに、各側室15b,15cへは水または希薄食塩水が供給された状態で運転が開始されるが、電解では電気伝導度が高い水溶液が有利であることから、各側室15b,15cへは希薄食塩水を供給することが好ましい。中間室15aに供給された高濃度の食塩水は、第1側室15bの第1陽極13aと第2側室15cの陰極14間での主電解工程と、中間室15aの第2陽極13bと第2側室15cの陰極14間での副電解工程とにより電解される。
【0022】
しかして、主電解工程においては、中間室15aに供給された高濃度の食塩水中の陰イオンは第1側室15bへ移動し、第1陽極13aの表面では主として塩素イオンが塩素になって次亜塩素酸として溶解するとともに酸素が発生し、第1側室15bでは酸性水が生成される。また、中間室15aの高濃度の食塩水中の陽イオンは第2側室15cへ移動し、陰極14の表面では主として水素イオンが水素になって発生し、第2側室15cではアルカリ性水が生成される。一方、副電解工程では、中間室15aが陽極室で第2側室15cが陰極室となって、中間室15aでは塩素と酸素が発生し、塩素が水中に溶解して中間室15aの生成水を酸性側へ移行させる。
【0023】
このため、当該電解水生成装置においては、副電解工程での電解の程度を調整することにより、中間室15aの生成水を酸性側へ移行させることができる。副電解工程での電解の程度を調整する手段としては、可変抵抗器17を使用して抵抗値を変更することにより、主電解工程と副電解工程で付与する電気量を調整する手段が採用される。従って、当該電解水生成装置によれば、任意の運転条件を採用することにより、中間室15aの生成水をアルカリ性から酸性側へ移行させることができて、中間室15aでのアルカリ性に起因するスケールの発生を防止し、または抑制することができる。
【0024】
図2には、本発明に係る電解水生成装置の他の一例が示されている。当該電解水生成装置は、電解槽21、第1,第2隔膜22a,22b、第1,第2陽極23a,23b、第1,第2陰極24a,24bを備えている。各隔膜22a,22bはイオン透過能を有するもので、電解槽21内に所定間隔を保持して配設されて、電解槽21の内部を中間室25a、および中間室25aの両側に位置する第1,第2側室25b,25cに区画形成している。
【0025】
かかる電解槽21においては、中間室25aに連通する供給管路21aおよび流出管路21bと、第1側室25bに連通する供給管路21cおよび流出管路21dと、第2側室25cに連通する供給管路21eおよび流出管路21fを備えており、第1側室25bには第1陽極23aと第2陰極24bが直立的に配設され、第2側室15cには第1陰極24aが配設され、かつ中間室25aには第2陽極23bが配設されている。これら各電極のうち、第1陽極23aと第1陰極24aとは両隔膜22a,22bを挟んで互いに並列して対向し、かつ第2陽極23bと第2陰極24bとは第1隔膜22aを挟んで互いに並列して対向している。
【0026】
当該電解水生成装置においては、直流電源としては2個の第1,第2電源26a,26bが採用されており、第1電源26aに対しては、第1陽極23aが正極に接続されているとともに、第1陰極24aが負極に接続され、また第2電源16bに対しては、第2陽極23bが正極に接続されているとともに、第2陰極24bが負極に接続されている。これにより、第1陽極23aと第1陰極24a間に主電解工程が構成され、かつ第2陽極23bと第2陰極24b間に副電解工程が構成される。
【0027】
このように構成した当該電解水生成装置においては、中間室25aへ高濃度の食塩水が供給されるとともに、各側室25b,25cへは希薄食塩水が供給された状態で運転が開始される。中間室25aに供給された高濃度の食塩水は、第1側室25bの第1陽極23aと第2側室25cの第1陰極24a間での主電解工程と、中間室25aの第2陽極23bと第1側室25bの第2陰極23d間での副電解工程とにより電解される。
【0028】
しかして、主電解工程においては、中間室25aに供給された高濃度の食塩水中の陰イオンは第1側室25bへ移動し、第1陽極23aの表面では主として塩素イオンが塩素になって次亜塩素酸として溶解するとともに酸素が発生し、第1側室25bでは酸性水が生成される。また、中間室25aの高濃度の食塩水中の陽イオンは第2側室25cへ移動し、第1陰極24aの表面では主として水素イオンが水素になって発生し、第2側室25cではアルカリ性水が生成される。
【0029】
一方、副電解工程では、中間室25aが陽極室に第1側室25bが陰極室になって、中間室25aの第2陽極23bと第1側室25bの第2陰極24b間で電解が生じて、中間室25aの生成水中の陽イオンが第1側室25bへ移動し、第2陰極24bの表面では主として主として水素イオンが水素になって発生し、第1側室25bの生成水をアルカリ性側へ移行させる。また、第1側室25bの生成水中の陰イオンは中間室25aへ移動し、第2陽極23bの表面では主とし塩素イオンが塩素になって次亜塩素酸として溶解するとともに酸素が発生し、中間室25aの生成水を酸性側へ移行されせる。
【0030】
このため、当該電解水生成装置においては、副電解工程での電解の程度を調整することにより、中間室での生成水を酸性側へ移行させることができるとともに、第1側室25b内の生成水のpHをアルカリ性側へ調整することができる。副電解工程での電解の程度を調整する手段としては、両電源26a,26bとして適宜の電気容量のものを選定して、両電解工程に付与される電気量を調整することによりなされる。
【0031】
これにより、当該電解水生成装置によれば任意の運転条件を採用することによって、中間室25a内の生成水をアルカリ性から酸性側へ移行させてアルカリ性に起因するスケールの発生を防止しまたは抑制することができるとともに、第1側室25bで生成される酸性水のpHを3〜7の範囲の任意の値に容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電解水生成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る電解水生成装置の他の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
11,21…電解槽、12a,12b,22a,22b…隔膜、13a,23a…第1陽極、13b,23b…第2陽極、14…陰極、24a…第1陰極、24b…第2陰極、15a,25a…中間室、15b,25b…第1側室、15c,25c…第2側室、16,26a,26b…電源、17…可変抵抗器。
【発明の属する技術分野】
本発明は、次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム等を主要成分として含有して殺菌作用、消毒作用を有する電解水を生成するための電解水生成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム等を主要成分として含有して殺菌作用、消毒作用を有する電解水を生成するための電解水生成装置の一形式として、特公平7−8768号公報に示されているように、電解槽内を隔膜にて区画して形成された一対の隔室にそれぞれ電極を配置して陽極室と陰極室とを構成し、これら両電極室に供給される希薄食塩水を両電極間で電解する電解水生成装置がある。当該電解水生成装置においては、陽極室内で生成される陽極室側生成水が主として次亜塩素酸を含む酸性水であり、また陰極室内で生成される陰極室側生成水がアルカリ性水である。
【0003】
ところで、当該電解水生成装置においては、両電極室に供給される希薄食塩水が未電解の状態で電解水とともに流出されるものであるため、多くの食塩が無駄に消費されることになる。また、当該電解水生成装置においては、無駄に消費される食塩をできるだけ少なくすべく希薄食塩水が採用されることから、電気伝導度が低くて電解効率が悪く消費電力の増大を招くという問題がある。これらの問題に対処すべく、特開平7−155760号公報には、上記した希薄食塩水より高濃度の食塩水を採用して、電解時にこの高濃度の食塩水を循環して使用可能とすることにより、食塩の無駄を減少させるとともに電解効率を高めて消費電力の低減を図った電解水生成装置が提案されている。
【0004】
当該電解水生成装置は、イオン透過能を有する一対の隔膜にて内部を中間室および同中間室の両側に位置する第1,第2側室に区画形成された電解槽と、第1側室に配設された陽極と、第2側室に配設された陰極を有し、中間室に供給される高濃度の食塩水を陽極と陰極間で電解するように構成したものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、当該電解水生成装置においては、中間室に供給された高濃度の食塩水は電解時にはイオン化されて、中間室中の陰イオンが隔膜を透過して第1側室へ移動して同側室では主として塩素イオンが電解されるとともに、中間室中の陽イオンが隔膜を透過して第2側室へ移動して主として水素イオンが電解される。このため、中間室では電解が進行するにしたがってナトリウムイオンが漸次滞留して、中間室内の生成水のアルカリ性が増大する。
【0006】
この結果、中間室内の生成水中に存在する微量のカルシウムイオン、マグネシウムイオン等が水酸化物や炭酸塩等の不溶性物質となって徐々に析出する。これらの不溶性物質はスケールとして隔膜の細孔を目詰りさせるとともに、各電極に付着して電解効率を低下させ、また各管路の内面に付着して管路抵抗を増大させるという問題を引き起こす。
【0007】
従って、本発明の目的は、上記した一対の隔膜にて区画形成された中間室、および両側室を備えた形式の電解水生成装置において、中間室でのスケールの発生を防止し、または抑制することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は電解水生成装置に関し、本発明の第1の発明は、イオン透過能を有する一対の隔膜にて内部を中間室および同中間室の両側に位置する第1,第2側室に区画形成された電解槽と、前記第1側室に配設された陽極と、前記第2側室に配設された陰極と、前記中間室に配設された第2の陽極を有し、前記中間室に供給される食塩水を前記陽極と前記陰極間で電解する主電解工程と、前記第2の陽極と前記陰極間で電解する副電解工程を備えていることことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の第2の発明は、イオン透過能を有する一対の隔膜にて内部を中間室および同中間室の両側に位置する第1,第2側室に区画形成された電解槽と、前記第1側室に配設された陽極と、前記第2側室に配設された陰極と、前記第1側室にて前記陽極に対して直列的に配設された第2の陰極と、前記中間室にて前記第2の陰極に対向して配設された第2の陽極を有し、前記中間室に供給される食塩水を前記陽極と前記陰極間で電解する主電解工程と、前記第2の陽極と前記第2の陰極間で電解する副電解工程を備えていることことを特徴とするものである。
【0010】
【発明の作用・効果】
本発明の第1の発明に係る電解水生成装置においては、中間室へ高濃度の食塩水が供給されるとともに、各側室へは水または希薄食塩水が供給された状態で運転が開始される。中間室に供給された高濃度の食塩水は、第1側室の陽極と第2側室の陰極間での主電解工程と、中間室の第2の陽極と第2側室の陰極間での副電解工程とにより電解される。
【0011】
しかして、主電解工程においては、中間室に供給された高濃度の食塩水中の陰イオンは第1側室へ移動し、陽極表面では主として塩素イオンが塩素になって次亜塩素酸として溶解するとともに酸素が発生し、第1側室では酸性水が生成される。また、中間室の高濃度の食塩水中の陽イオンは第2側室へ移動し、陰極表面では主として水素イオンが水素になって発生し、第2側室ではアルカリ性水が生成される。一方、副電解工程では、中間室が陽極室に第2側室が陰極室になって、中間室では塩素と酸素が発生し、塩素が水中に溶解して中間室の生成水を酸性側へ移行させる。
【0012】
このため、当該電解水生成装置においては、副電解工程での電解の程度を調整することにより、中間室での生成水を酸性側へ移行させることができる。副電解工程での電解の程度を調整する手段としては、可変抵抗器を使用して主電解工程と副電解工程で付与する電気量を調整する手段、両側室へ供給する水または食塩水の流速、導電率により制御する手段、隔膜の種類を選定してイオン透過能を調整する手段等を採用することができる。
【0013】
従って、当該電解水生成装置によれば、任意の運転条件を採用することにより、中間室での生成水をアルカリ性から酸性へ移行させることができて、アルカリ性に起因するスケールの発生を防止し、または抑制することができる。
【0014】
また、本発明の第2の発明に係る電解水生成装置においても、中間室へ高濃度の食塩水が供給されるとともに、各側室へは水または希薄食塩水が供給された状態で運転が開始される。中間室に供給された高濃度の食塩水は、第1側室の陽極と第2側室の陰極間での主電解工程と、中間室の第2の陽極と第1側室の第2の陰極間での副電解工程とにより電解される。
【0015】
しかして、主電解工程においては、中間室に供給された高濃度の食塩水中の陰イオンは第1側室へ移動し、陽極表面では主として塩素イオンが塩素になって次亜塩素酸として溶解するとともに酸素が発生し、第1側室内では酸性水が生成される。また、中間室の高濃度の食塩水中の陽イオンは第2側室へ移動し、陰極表面では主として水素イオンが水素になって発生し、第2側室ではアルカリ性水が生成される。
【0016】
一方、副電解工程では、中間室が陽極室に第1側室が陰極室になって、中間室の生成水中の陽イオンが第1側室へ移動し、第2の陰極表面では主として水素イオンが水素になって発生し、第1側室の生成水をアルカリ性側へ移行させる。また、第1側室の生成水中の陰イオンは中間室へ移動し、第2の陽極表面では主とし塩素イオンが塩素になって次亜塩素酸として溶解するとともに酸素が発生し、中間室の生成水を酸性側へ移行されせる。
【0017】
このため、当該電解水生成装置においては、副電解工程での電解の程度を調整することにより、中間室での生成水を酸性側へ移行させることができるとともに、第1側室の生成水のpHをアルカリ性側へ調整することができる。副電解工程での電解の程度を調整する手段としては、第1の発明に係る電解水生成装置と同様の手段を採用することができ、これにより、当該電解水生成装置によれば任意の運転条件を採用することによって、中間室での生成水をアルカリ性から酸性へ移行させて、アルカリ性に起因するスケールの発生を防止しまたは抑制することができるとともに、第1側室で生成される酸性水のpHを3〜7の範囲の任意の値に容易に調整することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下本発明を図面に基づいて説明するに、図1には本発明に係る電解水生成装置の一例が示されている。当該電解水生成装置は、電解槽11、第1,第2隔膜12a,12b、第1,第2陽極13a,13b、陰極14を備えている。各隔膜12a,12bはイオン透過能を有するもので、電解槽11内に所定間隔を保持して配設されて、電解槽11の内部を中間室15a、および中間室15aの両側に位置する第1,第2側室15b,15cに区画形成している。
【0019】
かかる電解槽11においては、中間室15aに連通する供給管路11aおよび流出管路11bと、第1側室15bに連通する供給管路11cおよび流出管路11dと、第2側室15cに連通する供給管路11eおよび流出管路11fを備えており、第1側室15bには第1陽極13aが配設され、第2側室15cには陰極14が配設され、かつ中間室15aには第2陽極13bが配設されている。これら各陽極13a,13bおよび陰極14は、互いに対向して位置している。
【0020】
直流電源16に対しては、第1陽極13aおよび第2陽極13bは正極に接続され、かつ陰極14は負極に接続されているとともに、第2陽極13bと直流電源16の接続回路には可変抵抗器17が介装されている。これにより、第1陽極13aと陰極14間に主電解工程が構成され、かつ第2陽極13bと陰極14間に副電解工程が構成される。
【0021】
このように構成した当該電解水生成装置においては、中間室15aへ高濃度の食塩水が供給されるとともに、各側室15b,15cへは水または希薄食塩水が供給された状態で運転が開始されるが、電解では電気伝導度が高い水溶液が有利であることから、各側室15b,15cへは希薄食塩水を供給することが好ましい。中間室15aに供給された高濃度の食塩水は、第1側室15bの第1陽極13aと第2側室15cの陰極14間での主電解工程と、中間室15aの第2陽極13bと第2側室15cの陰極14間での副電解工程とにより電解される。
【0022】
しかして、主電解工程においては、中間室15aに供給された高濃度の食塩水中の陰イオンは第1側室15bへ移動し、第1陽極13aの表面では主として塩素イオンが塩素になって次亜塩素酸として溶解するとともに酸素が発生し、第1側室15bでは酸性水が生成される。また、中間室15aの高濃度の食塩水中の陽イオンは第2側室15cへ移動し、陰極14の表面では主として水素イオンが水素になって発生し、第2側室15cではアルカリ性水が生成される。一方、副電解工程では、中間室15aが陽極室で第2側室15cが陰極室となって、中間室15aでは塩素と酸素が発生し、塩素が水中に溶解して中間室15aの生成水を酸性側へ移行させる。
【0023】
このため、当該電解水生成装置においては、副電解工程での電解の程度を調整することにより、中間室15aの生成水を酸性側へ移行させることができる。副電解工程での電解の程度を調整する手段としては、可変抵抗器17を使用して抵抗値を変更することにより、主電解工程と副電解工程で付与する電気量を調整する手段が採用される。従って、当該電解水生成装置によれば、任意の運転条件を採用することにより、中間室15aの生成水をアルカリ性から酸性側へ移行させることができて、中間室15aでのアルカリ性に起因するスケールの発生を防止し、または抑制することができる。
【0024】
図2には、本発明に係る電解水生成装置の他の一例が示されている。当該電解水生成装置は、電解槽21、第1,第2隔膜22a,22b、第1,第2陽極23a,23b、第1,第2陰極24a,24bを備えている。各隔膜22a,22bはイオン透過能を有するもので、電解槽21内に所定間隔を保持して配設されて、電解槽21の内部を中間室25a、および中間室25aの両側に位置する第1,第2側室25b,25cに区画形成している。
【0025】
かかる電解槽21においては、中間室25aに連通する供給管路21aおよび流出管路21bと、第1側室25bに連通する供給管路21cおよび流出管路21dと、第2側室25cに連通する供給管路21eおよび流出管路21fを備えており、第1側室25bには第1陽極23aと第2陰極24bが直立的に配設され、第2側室15cには第1陰極24aが配設され、かつ中間室25aには第2陽極23bが配設されている。これら各電極のうち、第1陽極23aと第1陰極24aとは両隔膜22a,22bを挟んで互いに並列して対向し、かつ第2陽極23bと第2陰極24bとは第1隔膜22aを挟んで互いに並列して対向している。
【0026】
当該電解水生成装置においては、直流電源としては2個の第1,第2電源26a,26bが採用されており、第1電源26aに対しては、第1陽極23aが正極に接続されているとともに、第1陰極24aが負極に接続され、また第2電源16bに対しては、第2陽極23bが正極に接続されているとともに、第2陰極24bが負極に接続されている。これにより、第1陽極23aと第1陰極24a間に主電解工程が構成され、かつ第2陽極23bと第2陰極24b間に副電解工程が構成される。
【0027】
このように構成した当該電解水生成装置においては、中間室25aへ高濃度の食塩水が供給されるとともに、各側室25b,25cへは希薄食塩水が供給された状態で運転が開始される。中間室25aに供給された高濃度の食塩水は、第1側室25bの第1陽極23aと第2側室25cの第1陰極24a間での主電解工程と、中間室25aの第2陽極23bと第1側室25bの第2陰極23d間での副電解工程とにより電解される。
【0028】
しかして、主電解工程においては、中間室25aに供給された高濃度の食塩水中の陰イオンは第1側室25bへ移動し、第1陽極23aの表面では主として塩素イオンが塩素になって次亜塩素酸として溶解するとともに酸素が発生し、第1側室25bでは酸性水が生成される。また、中間室25aの高濃度の食塩水中の陽イオンは第2側室25cへ移動し、第1陰極24aの表面では主として水素イオンが水素になって発生し、第2側室25cではアルカリ性水が生成される。
【0029】
一方、副電解工程では、中間室25aが陽極室に第1側室25bが陰極室になって、中間室25aの第2陽極23bと第1側室25bの第2陰極24b間で電解が生じて、中間室25aの生成水中の陽イオンが第1側室25bへ移動し、第2陰極24bの表面では主として主として水素イオンが水素になって発生し、第1側室25bの生成水をアルカリ性側へ移行させる。また、第1側室25bの生成水中の陰イオンは中間室25aへ移動し、第2陽極23bの表面では主とし塩素イオンが塩素になって次亜塩素酸として溶解するとともに酸素が発生し、中間室25aの生成水を酸性側へ移行されせる。
【0030】
このため、当該電解水生成装置においては、副電解工程での電解の程度を調整することにより、中間室での生成水を酸性側へ移行させることができるとともに、第1側室25b内の生成水のpHをアルカリ性側へ調整することができる。副電解工程での電解の程度を調整する手段としては、両電源26a,26bとして適宜の電気容量のものを選定して、両電解工程に付与される電気量を調整することによりなされる。
【0031】
これにより、当該電解水生成装置によれば任意の運転条件を採用することによって、中間室25a内の生成水をアルカリ性から酸性側へ移行させてアルカリ性に起因するスケールの発生を防止しまたは抑制することができるとともに、第1側室25bで生成される酸性水のpHを3〜7の範囲の任意の値に容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電解水生成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る電解水生成装置の他の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
11,21…電解槽、12a,12b,22a,22b…隔膜、13a,23a…第1陽極、13b,23b…第2陽極、14…陰極、24a…第1陰極、24b…第2陰極、15a,25a…中間室、15b,25b…第1側室、15c,25c…第2側室、16,26a,26b…電源、17…可変抵抗器。
Claims (2)
- イオン透過能を有する一対の隔膜にて内部を中間室および同中間室の両側に位置する第1,第2側室に区画形成された電解槽と、前記第1側室に配設された陽極と、前記第2側室に配設された陰極と、前記中間室に配設された第2の陽極を有し、前記中間室に供給される食塩水を前記陽極と前記陰極間で電解する主電解工程と、前記第2の陽極と前記陰極間で電解する副電解工程を備えていることことを特徴とする電解水生成装置。
- イオン透過能を有する一対の隔膜にて内部を中間室および同中間室の両側に位置する第1,第2側室に区画形成された電解槽と、前記第1側室に配設された陽極と、前記第2側室に配設された陰極と、前記第1側室にて前記陽極に対して直列的に配設された第2の陰極と、前記中間室にて前記第2の陰極に対向して配設された第2の陽極を有し、前記中間室に供給される食塩水を前記陽極と前記陰極間で電解する主電解工程と、前記第2の陽極と前記第2の陰極間で電解する副電解工程を備えていることことを特徴とする電解水生成装置。
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