JP3566643B2 - 溶接用ワイヤ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はソリッドワイヤ又はフラックス入りワイヤからなる溶接ワイヤに関し、特に、銅メッキ工程を使用することなく製造され、溶接時のスパッタ発生量が少なく送給ローラのグリップ性がよい溶接用ワイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、最終製品において送給性及び防錆性等の向上を図るため、ソリッドワイヤ及びシームレスフラックス入りワイヤにおいて、伸線途中で銅メッキを施す方法がある。銅メッキは、それ自体が優れた固体潤滑剤として作用し、伸線性の向上にも寄与している。しかし、銅メッキ工程は、メッキ液の濃度管理並びに銅及び対電極の管理等の煩雑なライン管理が必要である。このため、銅メッキ工程はワイヤの製造コストを考慮すると、極めてコストの負担がかかる重荷な工程である。更に、この銅メッキ工程は作業雰囲気中に酸ミストを撒き散らし廃液処理及び産業廃棄物処理を伴うため、環境への配慮からも銅メッキ無しの溶接ワイヤの送給性等の特性向上が必要である。
【0003】
一般に、アーク溶接用ワイヤの送給性を向上させる方法としては、ワイヤの表面に滑り性を有する潤滑剤を塗布する方法がある。ワイヤ表面に塗布する潤滑剤としては、特開平6−285678号公報及び特開平9−70684号公報に開示されているように、MoS、WS、PTFE、C、フッ化黒鉛又は金属石鹸がある。これらは全てワイヤの送給性を向上し、且つ送給を安定化させる目的で塗布されている。
【0004】
また、スパッタ発生量を低減することを目的とし、特願2000−050349号には、銅メッキ無しのアーク溶接用ワイヤにおいて、結晶性が良好な黒鉛をワイヤ表面又は表面直下に存在させる方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平6−285678号公報及び特開平9−70684号公報に記載の技術のように、送給抵抗を低減させることを目的として、ワイヤ表面に滑り性を有するMoS、WS、PTFE、C、フッ化黒鉛又は金属石鹸を塗布すると、給電チップ及びスプリングライナ内部での摩擦係数が低減すると共に、送給ローラでの滑りが発生しやすくなるため、逆にワイヤの送給性が悪化するという問題点がある。従って、給電チップ及びスプリングライナ内部での送給安定性及び送給ローラにおける滑り防止を両立させることはできないという問題点がある。
【0006】
また、特願2000−050349号においては、ワイヤ表面又は表面直下に結晶性が良好な黒鉛が存在していると、ワイヤ表面での滑り性は向上するが、スプリングライナ内部での摩擦抵抗を低減させる効果以上に送給ローラでの滑りが顕著となるため、逆に送給が不安定となってしまう。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、銅メッキを施さず、給電チップ及びスプリングライナ内部での送給性を損なうことなく、且つ送給ローラでのワイヤ滑りをなくし、ワイヤ送給性が安定した溶接用ワイヤを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る溶接用ワイヤは、銅メッキを施していないソリッドワイヤ又は銅メッキを施していないフラックス入りワイヤであって、CuKαを線源としたとき、黒鉛の(002)回折線に相当するX線回折ピークの回折角2θが24.0乃至26.5゜の範囲にあり、前記X線回折ピークの半値幅が2.0゜以上である炭素が前記ワイヤの表面上及び/又は表面直下に存在することを特徴とする。なお、ワイヤの表面とは、ソリッドワイヤの場合はその線材の表面であり、フラックス入りワイヤの場合はシースの外周面である。
【0009】
本発明においては、ワイヤ表面に炭素を塗布することによって、溶接中のスパッタの発生を低減することができる。しかしながら、炭素の中でも結晶性が良好な黒鉛を使用すると、極圧添加剤として過剰に作用する。即ち、供給チップ及びスプリングライナ内部での摩擦抵抗を低減する以上に送給ローラでの滑りが顕著となる。送給抵抗を低減し、同時に送給ローラでのグリップ性を向上させるためには、結晶性が良好な黒鉛と比較して結晶性が悪い炭素、即ち、黒鉛の(002)回折線に相当する回折ピークの回折角2θが24.0乃至26.5゜の範囲内にあり、その回折ピークの半値幅が2.0゜以上である炭素を使用する。これにより、スパッタ発生量を低減し、ワイヤの送給を安定させることができる。
【0010】
前記ワイヤの表面上及び/又は表面直下に、(002)回折線のピーク位置から求めた面間隔d002が0.3353nm乃至0.3372nmである黒鉛が存在してもよい。なお、本発明の炭素及び黒鉛は、ワイヤ表面又は直下に粒及び油と混ざり合った状態で存在する。
【0011】
また、前記炭素又は前記炭素及び黒鉛は、前記ワイヤの表面上及び/又は表面直下にワイヤ10kg当たり0.05乃至5g存在することが好ましい。
【0012】
更に、粒径が0.1乃至10μmのMoSが前記ワイヤの表面上及び/又は表面直下に前記ワイヤ10kg当たり0.01乃至1.0g存在することが好ましい。粒径が0.1乃至10μmのMoSが炭素と共に存在することにより、炭素のみと比較して、送給性が向上するためスパッタ発生量低減の効果が増大する。
【0013】
更にまた、植物油、動物油、鉱物油及び合成油からなる群から選択された少なくとも1種以上の油が総量で前記ワイヤの表面にワイヤ10kg当たり0.2乃至3g存在することが好ましい。適正量の油を存在させることにより、グリップ性を損なうことなく、ワイヤの軽荷重における送給性を向上させ、スパッタの発生量を低減させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本願発明者等は、給電チップ及びスプリングライナにおける滑り性が高くワイヤ送給性が優れていると共に、送給ローラでの滑りを防止することを目的として、銅メッキ無しワイヤの表面近傍の付着物の作用効果を鋭意実験研究した。その結果、付着物の量、付着状態、並びに付着物の組成及び粒径を適正化し、炭素を銅メッキ無しワイヤの表面及び/又は表面直下に存在させることにより、送給ローラでのワイヤ滑りを防止すると共にスパッタを効果的に低減させることができることを見出した。また、本願発明者等は、ワイヤ送給性及び送給ローラでの滑り防止を改善するためには、銅メッキ無しワイヤ表面及び/又は表面直下に存在する炭素の量及び粒径と共にその結晶性が重要であることを見い出した。即ち、黒鉛の(002)回折線に相当するX線回折ピークが24.0乃至26.5゜の範囲内にあり、CuKαを線源としたとき、その回折ピークの半値幅が2.0゜以上であることが必要である。
【0015】
本発明では、このような結晶性が悪い炭素をワイヤ表面上及び/又はワイヤ表面直下に存在させることを特徴とする。ワイヤ表面の炭素は脱酸剤として作用して直接的にスパッタ発生量を低減する効果を有する。しかし、ワイヤ表面に炭素が存在しても送給性が悪いと、アークが不安定になり、スパッタ発生量が増大する。結晶性が悪い炭素がワイヤ表面上及び/又は表面直下に存在すると、送給ローラでのグリップを確保することができ、送給性が安定するため、間接的にスパッタ発生量を低減することができる。更に、炭素と共にMoSが存在すると、供給チップ及びスプリングライナでの滑り性を確保することができ、これによりワイヤ送給性が安定し、更にスパッタ発生量を低減することができる。なお、本発明の溶接ワイヤは、銅メッキを施していないソリッドワイヤ又は銅メッキを施していないフラックス入りワイヤであり、また、ワイヤの表面とは、ソリッドワイヤの場合はその線材の表面であり、フラックス入りワイヤの場合はシースの外周面である。
【0016】
以下、本発明に係る溶接用ワイヤについて詳細に説明する。先ず、本発明の溶接用ワイヤの組成物、組成物の粒径及び組成物の量の限定理由について説明する。
【0017】
CuKαを線源としたときに黒鉛の(002)回折線に相当するX線回折ピークの回折角2θが24.0乃至26.5゜の範囲にあり、前記X線回折ピークの半値幅が2.0゜以上である炭素
CuKαを線源としたときに黒鉛の(002)回折線に相当するX線回折ピークの回折角2θが24.0乃至26.5゜の範囲にある炭素をワイヤの表面上及び/又は表面直下に存在させると、給電チップ及びスプリングライナにおける滑り性が高く送給性が優れていると共に、送給ローラでの滑りを防止することができる。
【0018】
また、CuKαを線源としたとき、黒鉛の(002)回折線に相当するX線回折ピークの半値幅が2.0゜より小さい炭素、即ち結晶性が良好な炭素(以下、黒鉛という)をワイヤに塗布した場合、スプリングライナでの滑りは良好であるが、送給ローラで滑りが発生し、送給が不安定になる。従って、スパッタ発生量は増加してしまう。一方、CuKαを線源としたとき、黒鉛の(002)回折線に相当するX線回折ピークの半値幅が2.0゜以上の炭素、即ち前記黒鉛より結晶性が悪い炭素をワイヤに塗布したものは、送給ローラでのグリップ性が良好で、送給が安定するため、スパッタ発生量が低減する。従って、黒鉛の(002)回折線に相当するX線回折ピークの位置が24.0乃至26.5゜の範囲内にあり、その半値幅が2.0゜以上である炭素が最適である。これにより、送給ローラでのグリップ性が向上し、給電チップ及びスプリングライナ内部における送給量が安定するため、スパッタ発生量が減少する。
【0019】
炭素がワイヤ表面に存在しているか否かはワイヤ表面を有機溶剤等で洗浄し、洗浄液をろ過することにより検知できる。そして、このろ液について、X線回折を行い、黒鉛の(002)回折線に相当するX線回折ピークの回折角2θが24.0乃至26.5゜の範囲内にあり、CuKαを線源としたときの半値幅が2.0以上であるか否かを測定することにより、効果的に給電チップ及びスプリングライナ内部における滑り性を確保し、送給ローラでの滑りを防止できる炭素がワイヤ表面に存在しているか否かを区別することができる。
【0020】
ワイヤの表面上及び/又は表面直下に(002)回折線のピーク位置から求めた面間隔d 002 が0.3353nm乃至0.3372nmである黒鉛が存在する
上述のCuKαを線源としたときに黒鉛の(002)回折線に相当するX線回折ピークの回折角2θが24.0乃至26.5゜の範囲にあり、前記X線回折ピークの半値幅が2.0゜以上である炭素に対し、ワイヤの表面上及び/又は表面直下に(002)回折線のピーク位置から求めた面間隔d002が0.3353nm乃至0.3372nmである結晶性がよい黒鉛が含まれていても同様の効果を奏する。そして、上述の炭素に結晶性がよい黒鉛が含まれているもの(以下、黒鉛含有炭素という)の場合においても、炭素と同様にX線回折により同定することができる。黒鉛含有炭素のX線回折を行うと、黒鉛が混合された炭素は、黒鉛以外の黒鉛より結晶性が悪い炭素による幅が広いブロードのピークと、結晶性がよい黒鉛による鋭いピークとが観測される。この2種類のX線回折ピークの線形分離を行い、幅が広いX線回折ピークの回折角2θが24.0乃至26.5゜の範囲内にあり、X線回折ピークの半値幅が2.0゜以上であり、また、幅が狭いX線回折ピーク位置から求めた面間隔d002が0.3353乃至0.3372nmであるか否かを測定する。この幅が狭いX線回折ピークは黒鉛によるもので、黒鉛のなかでもその面間隔d002が0.3353乃至0.3372nmである結晶性がよい黒鉛がスパッタ発生量低減の効果を有する。このように、X線回折により、炭素のX線回折ピークの位置、回折ピークの半値幅、面間隔等を測定することにより、黒鉛含有炭素がワイヤ表面に存在しているか否かを区別することができる。但し、この結晶性がよい黒鉛は黒鉛混合炭素の総質量に対して90%以下とする。
【0021】
炭素又は炭素及び黒鉛がワイヤ10kg当たり0.05乃至5g存在する
ワイヤの表面上及び/又は表面直下に存在する炭素量がワイヤ10kg当たり0.05g未満では、スパッタ発生量を低減する効果が少ない。一方、ワイヤの表面上及び/又はワイヤ表面直下に存在する炭素量が5gより多いと、溶滴の脱離が阻害され、アークが不安定になるため、逆にスパッタを増加させると共に、溶接金属中のCの質量%が0.05質量%程度増加し、溶接金属の強度設計値を変化させるという不具合が生じる場合がある。従って、5gワイヤの表面上及び/又はワイヤ表面直下に存在する炭素量はワイヤ10kg当たり0.05乃至5gとすることが好ましい。なお、この炭素量とは、結晶性がよい黒鉛を含む場合は、この炭素及び黒鉛の総量である。
【0022】
また、本願発明者等は炭素のワイヤ表面への付着状態としては、炭素はワイヤの表面及び表面直下であってよく、ワイヤの表面近傍に存在していればよいことを知見した。即ち、例えば、伸線潤滑剤として炭素、又は炭素と他の潤滑剤である例えば金属石鹸、ワックス、油脂、グリース及び水等とを混合して使用し、伸線工程でワイヤ表面の凹部に埋め込んだものと、表面直下に埋め込まれ伸線工程で表面が薄い銅皮で覆われているものとではスパッタを低減させる効果に差はなかった。これは、ワイヤ表面近傍に炭素又は黒鉛含有炭素が残留すればよく、従って、炭素を最終製品径で粉体塗布しても、水分散布しても、又は油分散液して塗布してもスパッタを低減することができることを意味する。必要に応じて、ワイヤ表面に固着させるのり材を炭素と一緒に塗布してもよい。
【0023】
粒径0.1乃至10μmのMoS がワイヤの表面上及び/又は表面直下にワイヤ10kg当たり0.01乃至1.0g存在する
本願発明者等は、黒鉛と同様にして銅メッキ無しのワイヤのスパッタ発生量とMoSの粒径及び付着量に関しても実験研究したところ、MoSがワイヤ表面近傍に存在することにより、スプリングライナ及び給電チップでの送給性が安定し、この結果、ワイヤのスパッタ発生量が低減することを見い出した。このMoSの存在位置は、炭素と同様にワイヤ表面近傍にあればよい。MoSは炭素と共にワイヤ表面近傍に存在すると、スパッタ発生量低減効果が炭素のみの場合と比較して飛躍的に向上する。更に、本願発明者等が鋭意研究した結果、炭素と共に存在するMoSの粒径が0.1乃至10μm、MoSの付着量がワイヤ10kg当たり0.1乃至1gであると、スパッタ発生量が著しく減少することを知見した。MoSの粒径が0.1乃至10μmであると、MoSのワイヤの表面への付着性が良好になる。また、MoSの粒径が0.1μm未満又は10μmを超えるとMoSのワイヤ表面への付着性が悪くなり、スパッタ発生量の低減効果が小さくなる。従って、粒径が0.1乃至10μmであるMoSがワイヤ10kg当たり0.01乃至1g存在することが好ましい。
【0024】
更に、銅メッキを有しないワイヤのスパッタ発生量とワイヤ表面の油量との関係については、炭素及びMoSが適正量塗布されたワイヤに油をワイヤ10kg当たり0.2乃至3g塗布すると、更にスパッタ量が低減する。この油としては、植物油、動物油、鉱物油及び合成油からなる群から選択された少なくとも1種以上の油を含有していればよい。
【0025】
次に、本発明におけるワイヤの表面に存在する炭素の結晶性の分析方法並びに黒鉛、MoS及び油の量の測定方法について詳細に説明する。
【0026】
以下、炭素量の測定方法について説明する。先ず、ワイヤを例えばエタノール、アセトン又は石油エーテル等有機溶媒で洗浄する。この洗浄液をガラスフィルタで濾過した後、このガラスフィルタを乾燥する。そして、ガラスフィルタに捕集された炭素量を測定する。この測定量を(a)とする。
【0027】
一方、有機溶媒で洗浄した後のワイヤは、硝酸溶液(濃硝酸が1、水が2の割合で混合した水溶液)に120秒間浸漬し、ワイヤの表面のみを溶解し、溶液をガラスフィルタで濾過する。その後、このガラスフィルタを乾燥させる。そして、このままの状態のガラスフィルタにて捕集された炭素量を測定する。この測定量を(b)とする。
【0028】
上述の各工程で使用される各ガラスフィルタについて、測定前に炭素量を測定し、これをブランク値(c1、c2)とし、各測定値から差し引く。これにより、ワイヤの表面近傍に存在していた炭素のみの量が測定される。なお、溶解されたワイヤ中に固溶している炭素はフィルタには捕集されず、濾液に溶解する。即ち、ワイヤの表面に付着又はワイヤの表面直下に埋め込まれた遊離炭素のみがフィルタに捕集される。従って、ワイヤの表面に付着又は表面直下に埋め込まれた炭素の総量(D)は下記数式1により算出することができる。
【0029】
【数1】
(D)=((a)+(b))−((c1)+(c2))
【0030】
この炭素の総量(D)をワイヤの質量で除した値からワイヤ10kg当たりの炭素の量を算出することができる。
【0031】
次に、炭素の結晶性の測定方法について説明する。先ず、CuKα線を使用し、走査速度を0.25°/分として粉末X線回折を行う。回折角度の補正は高純度のシリコンをメノウ製の乳鉢にて粉砕し、この粉末を黒鉛に10乃至20質量%添加し、シリコンの(111)回折ピークを使用して補正することができる。そして、上述したように、黒鉛の(002)回折線に相当するX線回折ピークの回折角2θ、回折ピークの半値幅が2゜、また、必要によっては線形分離し、幅の狭い方のピークから面間隔を求めることにより結晶性を測定することができる。
【0032】
X線回折の測定には、黒鉛が0.05乃至0.1g程度必要である。この黒鉛はワイヤを10kg程度上記方法で洗浄し、洗浄液で濾過することにより、捕集できる。
【0033】
また、ワイヤ表面から炭素を捕集する別の方法としては、先ず、溶接で使用するスプリングライナを3m程度準備し、このライナをアセトン等の有機溶媒で脱脂洗浄する。次に、このライナを8字に曲げ、ワイヤを連続的にこのライナ内を通過させる。このとき、スプリングライナ内部にはワイヤ表面から黒鉛が剥離し、堆積する。次に、この堆積物及びスプリングライナを有機溶媒で超音波洗浄し、洗浄液を濾過する。そして、ろ紙に残留した黒鉛を捕集すれば容易に0.1g程度のワイヤ付着物を得ることができ、これをX線回折に供することができる。
【0034】
図1乃至図5は横軸に回折角度をとり、縦軸に回折強度をとって、捕集された炭素のX線回折の測定結果を示す回折図である。図1及び図2は、結晶性が悪い炭素を測定したもの、図3及び図4は結晶性が良好な黒鉛を測定したもの、図5は結晶性が悪い炭素中に少量の結晶性が良好な黒鉛を混合したものについて測定したものを示す。なお、図1乃至図5において、縦軸は任意単位である。
【0035】
図1及び図2において、黒鉛の(002)に相当する回折ピークの半値幅が夫々6.937゜及び5.704゜であった。また、図3及び図4において、半値幅は夫々1.779゜及び0.470゜であった。更に、図5では幅が広い方のピークの半値幅が6.932゜、幅が狭い方のピークの面間隔d002は、0.3468nmであった。
【0036】
図1及び図2に示すように、本発明の溶接ワイヤの表面上及び/又は表面直下に存在する炭素は、黒鉛の(002)回折線に相当する回折ピークの回折角2θが24.0乃至26.5゜の範囲内にあって、半値幅が2゜以上のブロードのピークを示す。また、図3及び図4に示すように、回折ピークの半値幅が2゜未満で鋭いピークを有する結晶性がよい炭素(黒鉛)は極圧添加剤として過剰に作用し、ワイヤの供給チップ及びスプリングライナ内部における摩擦抵抗を低減する以上に送給ローラでの滑りを増大させてしまう。また、図5に示すように、結晶性が悪い炭素中にX線回折より明確なピークが観察できる程度の結晶性が良好な黒鉛が存在している場合は、チップ先端及びスプリングライナ内部での送給性を損なわず、送給ローラでの滑りを防止し、スパッタ発生量を低減させる効果を有する。なお、図1乃至図5に示す回折角2θが28.5゜における回折ピークはSiの(111)の回折ピークである。
【0037】
次に、MoSの量の測定方法について説明する。先ず、ワイヤを有機溶媒(エタノール、アセトン及び石油エーテル等)で洗浄し、洗浄液をろ紙で濾過した後、ろ紙を乾燥させる。このろ紙を混合水溶液(硫酸(濃硫酸:水が1:1)が1、濃過塩素酸が1、濃硝酸が1の割合で混合した水溶液)によりろ紙とMoSとを分解(白煙処理)し、MoSを溶解する。そして、原子吸光法によりMoを定量化する。この測定量を(e)とする。有機溶媒で洗浄した後のワイヤを塩酸溶液(濃度が35質量%の塩酸が1、水が1の割合で混合した水溶液)に浸漬して溶解し、ワイヤからMoSを遊離させる。そして、この溶液をろ紙で濾過した後、白煙処理によってMoSを溶解し、原子吸光法によってMo量を定量化する。このMo量を(f)とする。ワイヤの表面に付着又は表面直下に埋め込まれたMoの総量(G)は下記数式2により算出することができる。
【0038】
【数2】
(G)=(e)+(f)
【0039】
そして、Moの総量(G)を、MoSに換算し、ワイヤの質量で除した値からワイヤ10kg当たりのMoSの量を算出することができる。
【0040】
次に、MoSの粒径の測定方法について説明する。MoSの粒径については、上述の如く、ワイヤを有機溶媒で洗浄し、洗浄液をろ紙で濾過した後、ろ紙を乾燥させる。この後、走査型電子顕微鏡でMoSの結晶粒を観察し、その粒径を測定する。
【0041】
一方、ワイヤの表面直下に埋め込まれたMoSの粒径については、上述の如く、ワイヤを有機溶媒(エタノール、アセトン及び石油エーテル等)で洗浄し、その後、ワイヤを塩酸溶液(塩酸が1、水が1の割合で混合した水溶液)に浸漬して溶解し、ワイヤからMoSを遊離させる。そして、濾液をろ紙で濾過した後、ろ紙を乾燥させる。この後、走査型電子顕微鏡でMoSの結晶粒を観察し、その粒径を測定する。
【0042】
油量の測定方法については、ワイヤの表面を四塩化炭素で洗浄した後、赤外線吸収法により油量を定量測定すればよい。
【0043】
【実施例】
以下、本発明の範囲に入る溶接用ワイヤの実施例について、その特性を比較例と比較した結果について具体的に説明する。
【0044】
JIS Z3312のYGW11に相当する銅メッキ無しソリッドワイヤ及びJIS Z3313のYFW−C50DMに相当する銅メッキ無しフラックス入りワイヤ(フラックス率:13%)を使用し、供試材を作製した。炭素(黒鉛)及びMoSは伸線潤滑剤の中に混入して使用し、積極的にワイヤ表面に埋め込んだ。更に、最終製品径で炭素(黒鉛)及びMoSを油に分散させてワイヤの表面に塗布した。このようにして、直径1.2mmである実施例及び比較例のワイヤを試作した。
【0045】
このワイヤの表面及び表面直下に存在する黒鉛の面間隔、黒鉛の量(黒鉛塗布量)、MoSの粒径、MoSの塗布量及び油量を上述の測定方法により測定した。
【0046】
また、溶接電流が300A、溶接電圧が37V、ワイヤの突き出し長さが25mm、溶接速度が30cm/分の溶接条件でビードオンプレート溶接を行った。溶接の際に、溶接ビードの左右に飛散する全てのスパッタを銅製の容器で捕集し、1分間当たりに発生したスパッタ質量を測定した。JIS Z3312のYGW11に相当する銅メッキ無しソリッドワイヤについては下記表1及び表2に、JIS Z3313のYFW−C50DMに相当する銅メッキ無しフラックス入りワイヤについては下記表3及び表4に示す。なお、表1乃至4に示す「Tr.」は、その量が微量であることを示す。
【0047】
スリップ限界の測定は、図6に示す定量試験装置を使用して行った。図6(a)はスリップ限界の定量試験装置を示す模式図、図6(b)は、送給ローラ部を拡大して示す模式図である。図6(a)及び(b)に示すように、送給ローラ1にワイヤ2に対してワイヤ締め付け加重Fを加えた。先ず、送給ローラ1でのワイヤ締付け荷重Fをソリッドワイヤが156.8N、フラックス入りワイヤが98Nの一定値とし、各ワイヤの送給抵抗値Rを測定した。そして、送給抵抗Rを適当な方法で大きくしていった場合に、送給ローラ1とワイヤ2との接触部4で滑りが発生し始めたときの送給抵抗値をスリップ限界Rとして測定した。
【0048】
【表1】
Figure 0003566643
【0049】
【表2】
Figure 0003566643
【0050】
【表3】
Figure 0003566643
【0051】
【表4】
Figure 0003566643
【0052】
上記表1及び表3に示すように、実施例No.1乃至15及び23乃至34は、ワイヤの表面上及び/又は表面直下に存在する炭素の回折ピークの半値幅が2゜以上であったため、スパッタ発生量が小さく、送給抵抗値Rはスプリングライナ内での滑り性を十分確保できる程度に小さい。更に、スリップ限界Rが大きく、送給ローラでの滑りを十分防止することができた。
【0053】
一方、上記表2に示すように、比較例No.16は、炭素のX線回折ピークの半値幅が本発明の下限値未満であるため、スリップ限界Rが小さくなり、スリップが発生して送給が不安定になったため、スパッタ発生量が増大した。比較例No.17は、炭素のX線回折ピークの半値幅が本発明の下限値未満であり、更に、MoSを塗布しなかったため、スパッタ発生量が更に増加した。比較例No.18は、炭素のX線回折ピークの半値幅が本発明の下限値未満であり、更に炭素塗布量が本発明の好ましい範囲の上限を超えたため、スリップ限界Rが小さくなり、送給が不安定になったため、スパッタ発生量が増大した。比較例No.19は、炭素のX線回折ピークの半値幅が本発明の下限値未満であり、更に炭素塗布量が本発明の好ましい範囲の下限未満であり、更に油を塗布しなかったため、スリップ限界Rが小さくなり、送給が不安定になったため、スパッタ発生量が増大した。比較例No.20乃至22は、炭素のX線回折ピークの半値幅が本発明の下限値未満であり、更に油量が本発明の好ましい範囲の上限を超えたため、初期抵抗Rは小さいものの、スリップ限界Rが小さくなり、スリップが発生して送給が不安定になったため、スパッタ発生量が増大した。
【0054】
また、上記表4に示すように、比較例No.35は、炭素のX線回折ピークの半値幅が本発明の下限値未満であるため、初期抵抗Rは小さかったものの、スリップ限界Rが小さくなり、スリップが発生して送給が不安定になったため、スパッタ発生量が増大した。比較例No.36は、炭素のX線回折ピークの半値幅が本発明の下限値未満であり、更に、MoSを塗布しなかったため、スリップ限界Rが低下し、送給ローラでのグリップ並びに給電チップ及びスプリングライナにおける滑り性が確保できず、送給が不安定になったため、スパッタ発生量が増大した。比較例No.37は、炭素のX線回折ピークの半値幅が本発明の下限値未満であり、その塗布量が本発明の好ましい範囲の上限を超えたため、初期抵抗Rは小さいものの、スリップ限界Rが小さくなり、スリップが発生して送給が不安定になったため、スパッタ発生量が増大した。比較例No.38は、炭素のX線回折ピークの半値幅が本発明の下限値未満であり、油を塗布しなかったため、スリップ限界Rが低下し、スリップが発生して送給が不安定になったため、スパッタ発生量が増大した。比較例No.39及び40は、炭素のX線回折ピークの半値幅が本発明の下限値未満であるため、スリップ限界Rが小さくなり、スリップが発生して送給が不安定になったため、スパッタ発生量が増大した。
【0055】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、ワイヤの表面上又は表面直下に存在する黒鉛の面間隔及びその量を適切に規定したので、銅メッキが表面に施されていないワイヤであっても、スパッタ発生量を低減し、給電チップ及びスプリングライナ内部の送給性を確保すると共に送給ローラでの滑りを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】横軸に回折角度をとり、縦軸に回折強度をとって、捕集された炭素の測定結果を示す回折図である。
【図2】横軸に回折角度をとり、縦軸に回折強度をとって、捕集された他の炭素の測定結果を示す回折図である。
【図3】横軸に回折角度をとり、縦軸に回折強度をとって、捕集された黒鉛の測定結果を示す回折図である。
【図4】横軸に回折角度をとり、縦軸に回折強度をとって、捕集された他の黒鉛の測定結果を示す回折図である。
【図5】横軸に回折角度をとり、縦軸に回折強度をとって、捕集された黒鉛含有炭素の測定結果を示す回折図である。
【図6】(a)はスリップ限界の定量試験装置を示す模式図、(b)は送給ローラ部を拡大して示す模式図である。
【符号の説明】
1;送給ローラ
2;ワイヤ
3;スプリングライナ

Claims (5)

  1. 銅メッキを施していないソリッドワイヤ又は銅メッキを施していないフラックス入りワイヤであって、CuKαを線源としたとき、黒鉛の(002)回折線に相当するX線回折ピークの回折角2θが24.0乃至26.5゜の範囲にあり、前記X線回折ピークの半値幅が2.0゜以上である炭素が前記ワイヤの表面上及び/又は表面直下に存在することを特徴とする溶接用ワイヤ。
  2. 前記ワイヤの表面上及び/又は表面直下に、(002)回折線のピーク位置から求めた面間隔d002が0.3353nm乃至0.3372nmである黒鉛が存在することを特徴とする請求項1に記載の溶接用ワイヤ。
  3. 前記炭素又は前記炭素及び黒鉛は、前記ワイヤの表面上及び/又は表面直下にワイヤ10kg当たり0.05乃至5g存在することを特徴とする請求項1又は2に記載の溶接用ワイヤ。
  4. 粒径が0.1乃至10μmのMoSが前記ワイヤの表面上及び/又は表面直下に前記ワイヤ10kg当たり0.01乃至1.0g存在することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の溶接用ワイヤ。
  5. 植物油、動物油、鉱物油及び合成油からなる群から選択された少なくとも1種以上の油が総量で前記ワイヤの表面にワイヤ10kg当たり0.2乃至3g存在することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の溶接用ワイヤ。
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