JP3747238B2 - めっき無し溶接用ソリッドワイヤ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はめっきを施さないめっき無し溶接用ソリッドワイヤに関し、特に中板(2mm〜4mmの厚さの板)又は薄板(2mm未満の厚さの板)の半自動溶接又は自動溶接において、ワイヤ送給性及びアークスタート性が優れためっき無し溶接用ソリッドワイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
特に、自動車業界等の薄板溶接施工においては、現在、高能率化が進み、溶接速度も高速化している。一方で、溶接品質は落としたくないがために、アークが発生した直後からアークが安定するまでの時間を可能な限り短くできるような方法、即ちアークスタート性の向上が求められている。また、アークのオン/オフを頻繁に繰り返す場合等においても同様である。
【0003】
ところが、銅めっき有りのワイヤの場合、コンジットライナ及びチップ内部等に銅めっき屑が堆積し、送給性を阻害しやすいため、優れたアークスタート性を長時間にわたって実現することは難しい。
【0004】
しかし、銅めっき処理を無くしても、アークスタート性の向上に繋がるものではない。つまり、銅めっきが無いために、アーク直上付近でワイヤ表面の酸化が促進され、溶接終了後のワイヤ先端部に酸化皮膜が付着しやすくなるというデメリットが存在する。そして、この状態でアークを発生させようとすると、酸化皮膜が絶縁物の役目を果たし、アークスタート性が悪くなる。よって、銅めっき無しのワイヤにおいて、アークスタート性を向上させようとすれば、酸化皮膜を極力低減させることが望ましい。この酸化皮膜は、そのほとんどがソリッドワイヤの主要成分であるSi,Mn,Tiの酸化物から構成されるものであることから、アークスタート性を良好に保つためには、これらの成分(Si,Mn,Ti)の添加量を抑制することが必要である。
【0005】
コンジットライナ及びインナーチューブ等を長期間交換又は清掃せずとも、優れたアークスタート性を維持しつづけるためには、金属屑の詰まり量の低減、ワイヤ送給性の向上、アーク安定性の向上は勿論のこと、化学成分の最適化、更にはワイヤ先端に多少の絶縁物があってもそれを突き破って安定通電する力、即ちワイヤの高強度化の全てを実現することが必要となる。
【0006】
従来、アークスタート性の向上(アーク安定性及びワイヤ送給性向上等も含む)に関する従来技術として、銅めっき無しワイヤに限定したものでは、特開1999−342494及び特開1999−47981等があり、また特に銅めっき無しに限定せずにワイヤの化学成分を規定した従来技術として、特開2001−129683、特開1994−23584及び特開1993−23884等がある。しかし、これらの従来技術は、いずれも、ワイヤの引張強度との組合せで上記要望を満足しようとしており、ワイヤ先端に付着する酸化皮膜の抑制に着目したような従来技術は存在しない。このため、上述の従来技術では、アークスタート性を十分に向上させるには限界がある。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、ワイヤ送給性及びアークスタート性の双方を向上させることができるめっき無し溶接用ソリッドワイヤを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るめっき無し溶接用ソリッドワイヤは、C:0.04乃至0.12質量%、Si:0.5乃至1.1質量%、Mn:1.0乃至1.7質量%を含有し、Ti:0.03質量%以下に規制し、更に、Si,Mn,Tiの含有量を数式Si+Mn+(10×Ti)が2.5以下になるように規制し、ワイヤの引張強度が900乃至1300(N/mm)であり、ワイヤ表面上及び/又は表面直下に、K化合物と、MoSと、ポリイソブテン及びポリイソブテンを主成分として含む油とが存在し、このときのK化合物の存在量がK換算値で2乃至10ppmであり、MoSの存在量がワイヤ10kg当り0.01乃至0.5gであり、前記油の存在量がワイヤ10kg当り0.3乃至1.5gであることを特徴とする。
【0009】
このめっき無し溶接用ソリッドワイヤにおいて、前記MoSの粒径が0.1乃至10μmであることが好ましい。また、前記K化合物がホウ酸Kであることがより好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について更に詳細に説明する。MAG溶接用ソリッドワイヤについて、本発明を適用することの作用効果について、以下に詳細に説明する。
【0011】
従来技術の問題点として説明したように、銅めっき有りソリッドワイヤの場合、ライナー又はチップ内部へのめっき屑の堆積が問題となり、送給性及びアークスタート性を阻害する可能性が高くなる。そこで、銅めっき無しソリッドワイヤをベースにして、送給性及びアークスタート性の改善を試みたが、別の問題として、溶接終了後のワイヤ先端付近に、銅めっき有りソリッドワイヤの場合よりも明らかに多い酸化皮膜の形成が認められた。図1(a)は銅メッキを施したワイヤの場合であり、ワイヤ先端に付着する酸化皮膜は薄いものであり、アークスタート時の通電は容易である。これに対し、図1(b)は銅メッキを施さないワイヤの場合であり、ワイヤ先端に付着する酸化皮膜は厚く、アークスタート時の通電が困難である。
【0012】
これはめっき無しワイヤの場合、溶接中にアーク直上にてワイヤ表面の酸化が促進されるためである。本願発明者等は、この酸化皮膜に関して、スラグ形成剤であるSi,Mn,Tiについて上限を設けてその含有量を規制し、これらのスラグ形成剤の添加量を適正量とすることによって、低減が可能であることを見いだした。
【0013】
また、仮にワイヤ先端に付着している酸化皮膜を薄く、かつ少量に保つことができたとしても、この酸化皮膜が絶縁物である以上は少なからず通電が阻害される傾向にある。よりスムーズなアークスタート性を得るためには、この絶縁物を少しでも早く突き破り、電流を流す必要がある。これを実現する方法として、ワイヤ引張強度の高張力化がある。ワイヤの引張強度を高めに設定することによって、溶接対象物へのワイヤ先端の押し付け力が強くなり、その結果、迅速な絶縁物破壊により速やかなアーク発生を実現することができる。
【0014】
図2(a)はワイヤの引張り強度が低い場合、図2(b)はワイヤの引張り強度が高い場合のアークスタート時の通電状況を示す。ワイヤの引張り強度が高い場合は、ワイヤの押し付け力が高く、ワイヤ先端の絶縁物を迅速に破壊することができる。
【0015】
また、アルカリ金属であるKがワイヤ表面上又はワイヤ表面直下に適量存在することによって、電子の放出が容易になるため、溶滴上部までアークがはい上がることが促進される。図3(a)はワイヤ表面にKが存在しない場合、(b)はワイヤ表面にKが存在する場合において、アークスタート時のアークのはい上がりの相違を示す図である。この図に示すように、ワイヤ表面にKが存在する場合は、アークのはい上がりが促進される。その結果、安定したアークスタート性が実現される。
【0016】
なお、アーク安定剤として使用するK源はホウ酸Kが望ましい。ホウ酸Kは微細粒子のものが入手しやすく、粘度調整剤としての油と共存することにより、ワイヤ表面から脱落し難くなる。この油は、鉱物油、動植物油及び合成油からなる群から選択された少なくとも1種の油である。一方、伸線潤滑剤等に使用されるステアリン酸K等の炭素鎖の長い有機Kでは、油と共存しても脱落し易い。
【0017】
MoS及び油は、ワイヤ表面上又はワイヤ表面直下に適量存在することによって、ワイヤの送給性を安定させる効果がある。アークスタートの瞬間にも安定してワイヤを送ることができるので、これらの成分がワイヤ表面上又はワイヤ表面直下に存在すると、アークスタートミスを極力抑制することができる。また、油はMoSを効果的にワイヤ表面に保持する油としても最適である。
【0018】
次に、各成分の分析方法について説明する。
【0019】
<K分析方法>
Kが付着しているワイヤのカットサンプルを、約20mm乃至30mmの長さで20g程度用意する。石英ビーカに、塩酸と過酸化水素の混合液体を注ぎ、この中に前記カットサンプルを入れて数秒間浸漬した後、カットサンプルを取り出し、残った液体をろ過する。ろ過後の液体中のK濃度を原子吸光法で測定し、ワイヤ10kg当たりのKの付着量を定量する。
【0020】
<MoSの分析方法>
ワイヤを有機溶媒(例えば、エタノール、アセトン、石油エーテル等)で洗浄した後、洗浄液をろ紙でろ過し、その後ろ紙を乾燥する。このろ紙を白煙処理することにより、MoSを溶解し、原子吸光法によってMo(a)を定量化する。また、エタノール洗浄した後のワイヤを塩酸(HCl:HO=1:1)に浸漬して溶解し、MoSを遊離させる。これをろ紙でろ過した後、白煙処理によってMoSを溶解し、原子吸光法によってMo(b)を定量化する。そして、Mo(a)+Mo(b)の合計量をMoSに換算し、ワイヤ質量で除することによって、ワイヤ10kg当たりのMoS塗布量を測定する。
【0021】
〈油量定量分析方法〉
鉱物油、動植物油及び合成油からなる群から選択された少なくとも1種の油を一定濃度含有する四塩化炭素溶液を準備し、これを基準液として使用する。ワイヤのカットサンプルを、約20mm乃至30mm長さで20g程度用意する。そして、カットサンプルを四塩化炭素中で浸漬洗浄し、洗浄液を赤外吸収法で測定し、基準液と比較することにより、ワイヤ10kg当たりの油付着量を測定する。
【0022】
次に、本発明のワイヤ組成における各成分の添加理由及び組成限定理由について説明する。
【0023】
「C:0.04乃至0.12質量%」
Cの添加量が0.04質量%よりも低いと、ワイヤ引張強度の低下から、アークスタート性が悪くなる。また、Cが0.12質量%を超えると、ワイヤ引張強度が高くなりすぎるため、ワイヤ送給性を阻害する。
【0024】
「Si:0.5乃至1.1質量%」
Siの添加量が0.5質量%よりも低いと、ワイヤ引張強度の低下から、アークスタート性が悪くなる。また、Siが1.1質量%を超えると、ワイヤ先端部に酸化物が形成されやすくなり、同様にアークスタート性が悪くなる。
【0025】
「Mn:1.0乃至1.7質量%」
Mnの添加量が1.0質量%よりも低いと、ワイヤ引張強度の低下から、アークスタート性が悪くなる。また、Mnが1.7質量%を超えると、ワイヤ先端部に酸化物が形成されやすくなり、同様にアークスタート性が悪くなる。
【0026】
「Ti:0.03質量%以下」
Tiはアーク安定性を向上させるために効果的な元素であるが、最もスラグ形成の原因になりやすい成分の一つである。よって、Tiは添加成分とせず、しかもその量を0.03質量%以下に規制することが必要である。Tiの含有量が0.03質量%を超えると、ワイヤ先端部に酸化物が形成されやすくなり、アークスタート性が悪くなる。
【0027】
「数式Si+Mn+(10×Ti)の値:2.5以下」
Si+Mn+(10×Ti)の値が2.5を超えると、ワイヤ先端部に酸化物を形成しやすくなり、アークスタート性が悪くなる。Si+Mn+(10×Ti)を2.5以下とすることにより、確実にスラグを低減することができる。
【0028】
「ワイヤの引張強度:900乃至1300N/mm
ワイヤの引張強度が900N/mmより低いと、ワイヤの強度不足から、アークスタート性が悪くなる。また、ワイヤの引張り強度が1300N/mmを超えると、ワイヤ引張強度が高くなりすぎるため、ワイヤ送給性を阻害する。
【0029】
ワイヤの引張強度を任意に制御するための方法として、溶接用ワイヤの製造方法があげられる。溶接用ワイヤの製造設備としては、製造コストをいかに低く押えるかということも極めて重要であり、本発明の溶接ワイヤに関しても、製造工程から焼鈍工程を省略した設備によって製造することを前提としている。具体的な製造方法について説明する。先ず、熱間圧延により、溶接ワイヤの「原線」を製造する。この原線を塩酸等により酸洗処理した後、冷間加工により伸線していく。酸洗処理は、熱間圧延により生じる原線の酸化スケールを化学的に除去するための工程であるが、この酸化スケールについては、曲げる及び捩じる等の方法により、機械的に除去しても良い。MoS及びK等については、伸線していく過程で塗布しても良いし、最終製品径まで加工した後、ポリイソブテンを含む油と混ぜて塗布しても良い。最終製品径においてワイヤ引張強度を請求範囲内に制御するためには、原線に加工する過程の熱間圧延の圧延温度及び減面率を調整するか、又は冷間加工の伸線過程における減面率を調整することにより可能である。
【0030】
最終製品径までの伸線工程においては、穴ダイス、マイクロミル又はローラダイスを使用することにより、ワイヤを加工する。製造工程からの焼鈍工程の省略は、熱間圧延の条件の最適化、即ち圧延温度の制御及び減面率の最適化により可能となる。仮に、このような状況下においてもワイヤの引張強度が1300(N/mm)を超えてしまうような場合には、マイクロミル又はローラダイスを使用して伸線することで、加工硬化を極力抑制し、所定の強度に制御することも一つの方法である。
【0031】
その他にワイヤ引張強度の値を制御する手段としては、C(炭素)の添加量を適宜調整することが有効である。Si,Mn,Ti等の添加によってもワイヤ引張強度を高くすることはできるが、前述のとおり、これらはワイヤ先端の酸化皮膜の原因となる。Cの場合は酸素と反応してもCO又はCOになり、シールドガス中に還元されるだけなので、酸化皮膜の原因とはならずに、ワイヤ引張強度のレベルを制御することができる。但し、ワイヤの化学成分であるCによってワイヤ引張強度を制御する場合は、当然のことながら溶接金属の機械性能を充分満足する状態であることが前提となる。
【0032】
K化合物の存在量(K換算値):2乃至10ppm」
ワイヤ表面又はワイヤ表面直下へのK化合物の付着量がK換算値で2ppmよりも低いと、溶滴上部へのアークのはい上がりが実現しにくく、良好なアークスタート性が得られない。また、K化合物の付着量がK換算値で10ppmを超えると、コンジットライナー内部の詰まりの原因となり、送給性が悪くなる。
【0033】
「粒径が0.1乃至10μmのMoSの付着量:ワイヤ10kg当り0.01乃至0.5g」
MoSの粒径は0.1乃至10μmが望ましい。MoSの粒径が0.1μm未満では、滑り性が実現せず、良好な送給性は得られない。一方、MoSの粒径が10μm以上では、滑り性は得られるが、表面から剥離しやすく、詰まりの原因となり、送給性が悪くなる。MoSの付着量がワイヤ10kg当り0.01gより少ないと、滑り性が不十分で送給が安定しない。また、MoSの付着量が0.5gを超えると、詰まりの原因となり、送給性が悪くなる。
【0034】
「鉱物油、動植物油及び合成油からなる群から選択された少なくとも1種の油:ワイヤ10kg当り0.3乃至1.5g」
鉱物油、動植物油及び合成油からなる群から選択された少なくとも1種の油の付着量がワイヤ10kg当り0.3gより少ないと、滑り性が不十分で送給が安定しない。また、この油が1.5gを超えると、詰まりの原因となり、送給性が悪くなる。合成油の一例として、ポリイソブテンが挙げられる。また、動植物油の例としては、牛脂、菜種油、パーム油等が挙げられる。更に、鉱物油の例としては、マシン油、スピンドル油等が挙げられる。
【0035】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、本発明の範囲から外れる比較例と比較して説明する。下記表1は溶接条件を示し、下記表2はアークスタート性の評価基準を示す。なお、以下は、全てワイヤ直径が1.2mmの溶接ワイヤでの実施例・比較例である。また、この実施例・比較例で使用した油は、全てポリイソブテンを主成分に含む油である。
【0036】
【表1】
Figure 0003747238
【0037】
【表2】
Figure 0003747238
【0038】
そして、溶接試験において、アーク発生時間3秒、アーク停止時間30秒の操作を1セットとし、これを100セット繰り返す。この100セットのうち、評価点の合計が何点になるかによって、下記表3の基準に基づいてランク分けした。
【0039】
【表3】
Figure 0003747238
【0040】
その結果を下記表4及び表5に示す。比較例1,3,5,11,13,15,17は、請求項1にて規定した条件を1項目又は2項目下回るものであり、アークスタート性が悪いものである。特に、比較例15,17はワイヤの滑り性が著しく劣るため、アークスタート性も極めて悪くなる。また、比較例2,4,6,7,8,9,10,12,14,16,18は請求項1にて規定した条件を1項目又は2項目上回るものであり、同様に、アークスタート性が悪い。特に、比較例2,12はワイヤの引張強度が高すぎて送給性を阻害するため、アークスタート性も極めて悪くなる。更に、比較例14,16,18は長時間溶接により、詰まり物が生じやすい。このような状況ではアークスタート性も極めて悪くなる。一方、請求項1を満足する実施例19乃至29はいずれもアークスタート性が優れている。実施例20A,24Aは、K原として、ステアリン酸カリウムを使用したものである。これ以外の例は、全て、ホウ酸カリウムを使用している。
なお、ステアリン酸カリウムを使用した実施例20A,24Aは、連続的な溶接において、アークスタート性が若干劣っていた。実施例20B,24Bは、MoSの粒径が、夫々請求項2の下限値を外れる0.07(μm)のものと、請求項2の上限を外れる18(μm)のものとであるので、いずれも実施例20,24に比べて、送給安定性が若干劣り、アークスタート性も多少劣る結果となった。
【0041】
【表4】
Figure 0003747238
【0042】
【表5】
Figure 0003747238
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、めっきを施さないめっき無し溶接用ソリッドワイヤにおいて、極めて優れたアークスタート性が得られるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)、(b)は溶接時のワイヤ先端の状況を示す図である。
【図2】(a)、(b)はアークスタート時の通電状況を示す図である。
【図3】(a)、(b)はアークスタート時に及ぼすKの効果を示す図である。

Claims (3)

  1. C:0.04乃至0.12質量%、Si:0.5乃至1.1質量%、Mn:1.0乃至1.7質量%を含有し、Ti:0.03質量%以下に規制し、更に、Si,Mn,Tiの含有量を数式Si+Mn+(10×Ti)が2.5以下になるように規制し、ワイヤの引張強度が900乃至1300(N/mm)であり、ワイヤ表面上及び/又は表面直下に、K化合物と、MoSと、ポリイソブテン及びポリイソブテンを主成分として含む油とが存在し、このときのK化合物の存在量がK換算値で2乃至10ppmであり、MoSの存在量がワイヤ10kg当り0.01乃至0.5gであり、前記油の存在量がワイヤ10kg当り0.3乃至1.5gであることを特徴とするめっき無し溶接用ソリッドワイヤ。
  2. 前記MoSの粒径が0.1乃至10μmであることを特徴とする請求項1に記載のめっき無し溶接用ソリッドワイヤ。
  3. 前記K化合物がホウ酸Kであることを特徴とする請求項1又は2に記載のめっき無し溶接用ソリッドワイヤ。
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