JP3558972B2 - 静電荷像現像用トナー及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法のごとき画像形成方法における静電荷像を現像してトナー画像を形成するためのトナーと該トナーによる画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機及びレーザービームプリンタのごとき電子写真技術を用いた画像形成装置の機能が多用化し、より一層の画像の高精細化、高画質化が求められている。それに伴いトナー粒子は、粒子径が従来以上に細かいものを使用する傾向にある。しかしトナー粒子の粒径を小径化しキャリアを高抵抗化した場合、画像の高精細化は達成されるが、画像濃度低下及びカブリ現象が発生しやすくなる。また脱落した磁性微分によって感光体ドラムへの融着がしばしば問題となっていた。
【0003】
上記問題を解決する手段として、特開平11−194533号において、結着樹脂及び内添マグネタイト物性を規定することにより、トナー内での原材料相互間での分散性を向上させ、トナー粒子表面上に存在する磁性微粉体の存在状態を制御した新しいトナーの提案及び新しい製造方法が提案されている。しかし、本方法に記載されている材料分散性を向上させた樹脂を使用した場合、システム条件によっては定着直後の画像面に剥離爪が摺擦し、摺擦部のトナーがかきとられ、画像に白い筋状の爪痕が残り、画質劣化を引き起こす原因の一つとなっていた。
【0004】
この現象は、本発明に用いられるデジタル画像形成の場合、特に顕著であった。これは本方式の場合、トナーとドラム感光体及び定着ローラーの3つの電荷極性はその画像形成方法上同じとなる。しかし、転写紙はトナーを電気的に転写させるため前記極性とは逆極性の電荷を付与されることになる。そのため転写紙と定着ローラは互いに逆電荷を持ち、定着ローラと定着ローラを通過した紙は互いに静電気的に引かれ合うこととなる。従って定着直後の転写紙はそのまま定着ローラーに付着し、剥離爪により物理的に分離されることになる。従ってアナログ画像形成に比べ定着直後の画像面がより剥離爪に摺擦されやすい構造を有するためである。さらにこの場合、トナー材料の分散性のみを重視した結着樹脂の場合、その軟化点が低く硬化性に劣るため、定着爪の摺擦を受けやすくその痕跡を留めることがしばしば問題となっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、定着樹脂及び内添マグネタイト物性を規定することにより、トナー内での原材料相互間での分散性を向上させ、かつ定着直後の画像面に剥離爪が摺擦しても定着剥離爪痕による画質劣化のないトナーを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決するために種々検討の結果、トナー中での各種材料の分散性及び製造されたトナー粒子の定着性を満足させる物性値を持つ樹脂を使用することにより、結着樹脂と磁性微粉体の濡れ性及び原材料相互間の分散性が良好であり、かつシステム条件によらず定着爪痕による画質劣化を引起さないトナー画像が得られることを見出して本発明を完成した。
【0007】
即ち、本発明は、少なくとも結着樹脂、着色剤、帯電防止剤及び磁性微粉体をトナー粒子中に含有している静電荷像現像用トナーにおいて、
▲1▼上記結着樹脂は軟化点が145℃〜165℃のスチレン系重合体で、該結着樹脂の損失弾性率G”が140℃において1×104dyne/cm2〜2×104dyne/cm2であり、▲2▼上記トナー粒子は、重量平均粒子径が7.5〜10.5μmで、かつ該トナー粒子の真比重が1.1〜1.3であり、
【0008】
さらにトナーは、磁性微粉体の含有量が1〜10重量%で、79.58kA/m(1Kエルステッド)の磁界下におけるトナーの飽和磁化[σs(Am2/kg)]が下記条件を満足し、
0.1<σs<3.0
かつ、トナーは、その誘電体損失[tanδ(×10−3)]と電気抵抗[R(×10+9)]が、下記条件を満足していることを特徴とする。
1.5<tanδ<4.0、 200<R<350
【0009】
さらに、本発明の画像形成方法は、上記した静電荷像現像用トナーに磁性キャリヤを混合した二成分現像剤として、マグネットが設置された現像剤担持体表面に帯電付着させ、静電荷像保持体上の静電荷像へ上記トナーを付着させて現像させることを特徴とする。この場合、静電荷像保持体とトナーを保有する現像剤担持体のクリアランスが1mm以上で画像形成装置本体に着脱可能なカートリッジとして組み込まれた画像形成装置において使用されることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
先ず、本発明の静電荷像現像用トナーの重量平均粒子径が7.5〜10.5μmで、真比重(g/cc)が1.1〜1.3である。ここでトナー粒子又はトナーの真比重は比重計ピクノメーターセルを用いて測定できる。また重量平均粒径は、コールターカウンター法により測定できる。コールターカウンター法によるトナー粒子及びトナーの平均粒径の測定装置としては、例えばコールターカウンターTA−II或いはコールターマルチサイザー(コールター社製)が用いられる。電解液は、1級塩化ナトリウムを用いて、約1%NaCl水溶液を調製する。例えば、ISOTON−II(コールター社製)が使用できる。その測定方法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を、0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。
【0011】
試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチヤーとして1300μmアパーチヤーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。それから、トナー粒子又はトナーの重量基準の重量平均粒径(D4)を求める。上記測定法において、トナー粒子に外添剤が外添されていても、トナーの重量平均粒径は、トナー粒子の重量平均粒径と実質的に同一の値を通常は示す。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
【0012】
ここで感光体ドラム上の1ドット単位の静電荷潜像を忠実に再現するにはトナーの粒子径は10.5μm以下が好ましい。但し、平均径が7.5μm以下になると本願発明の現像システムにおいてはトナー飛散が増大する結果となる。これはトナー粒子径が低下するに従って静電気力に支配されない粒子が増加するためである。通常、現像剤担持体のスリーブと感光体ドラムのクリアランスが1mm以下と狭い場合、上述の上記トナーの飛散は少ないが、本発明の画像形成装置本体に着脱可能なカートリッジにおいては、上記のクリアランスが1mm以上となるためその影響がより顕著となるためである。
【0013】
また、本発明のトナーの真比重(g/cc)は1.1〜1.3が好ましい。但し真比重は1.1以下では、磁性キャリアとの比重差が大きくなりすぎるため、混合効率の低下を招き、補給、トナーの帯電不良によるトナー飛散、カブリを引起す原因の一つとなる点で好ましくない。また真比重は1.3以上では、現像スリーブの回転に従って強い遠心力を受ける。この遠心力が磁力と静電気力を合わせた力より大きくなるとトナーは飛散することになる点で好ましくない。かかる真比重の調整は、トナー中に含有させる磁性微粉体や顔料等の配合量によって行うことができる。
【0014】
発明のトナーが好ましく用いられる現像方法としては、トナー及び磁性キャリアを混合した二成分現像剤とし、現像剤担持体内にマグネットが設置され、このマグネットでトナー及び磁性キャリアの二成分現像剤を保持し、現像担持体(キャリア)上で摩擦帯電を行ない、帯電したトナーを静電荷像保持体の静電荷像に付着して現像する方法が挙げられる。かかる本発明のトナーにおいては、79.58kA/m(1kエルステッド)の磁界下における飽和磁化〔σs(Am2/kg)〕が、0.1<σs<3.0の条件を満足していることが好ましい。飽和磁化σsが0.1Am2/kg以下では磁気拘束力が弱くカブリ現象を抑制できない点で好ましくない。飽和磁化σsが3.0Am2/kg以上では、磁気拘束力が支配的となり画像濃度が薄くなる点で好ましくない。またこの場合、79.58kA/m(1kエルステッド)の磁界下における磁性微粉体の残留磁化〔σr(Am2/kg)〕と飽和磁化〔σs(Am2/kg)〕の関係がσr/σs<0.25であることが好ましい。
【0015】
このような現像方法において、本発明のトナーを構成する重量平均粒径7.5〜10.5μmのトナー粒子を用いた場合、高温・高湿環境下における、カブリ、耐久時におけるベタ黒濃度薄の現象及び低温・低湿環境下において磁性微粉体のドラム融着現象が生じ易くなる。これらの問題は、トナー中の磁性微粉体の磁気力(σr/σs)をコントロールすることで効果的に解決することが可能となる。高温・高湿環境においては、摩擦帯電量が低くなったトナーのカブリ現像を抑制可能な様にトナーに磁気力を与えてやることで、画像濃度を維持し、カブリの発生をより良好に防止することができる。
【0016】
さらに、溶融混練条件、磁性微粉量の最適化によりトナー担持体表面の磁性微粉量をコントロールすることにより低温・低湿環境の耐久時における感光体ドラムへの磁性粉融着を防止することが可能となる。また、高温・高湿環境においても、摩擦帯電量の高いトナー粒子が選択的に現像され易くかぶり飛散を抑制することが出来る。
トナー中の磁性微粉体の磁気力σr/σsが0.25以上の磁性微粉体を用いた場合には、磁気的拘束力が効果的に作用しないため、高温・高湿環境においてカブリやすく、耐久時のベタ黒濃度薄現象が生じ易く、低温・低湿環境においてはドラム融着現象が生じ易くなる。また、σr/σsが0.05未満の場合には、逆に磁気的拘束力が支配的となり、全環境において画像濃度低下を招きやすいので好ましくない。より好ましい範囲としては、0.1〜0.2の場合である。ここで、磁気特性はVSMP−1−10(東英工業社製)を用いて、外部磁場79.58kA/mで測定を行なったものである。
【0017】
本発明のトナーには磁性微粉体が含有される。ここで用いられる磁性微粉体としては、鉄、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、ケイ素の如き元素を含む磁性を有する金属酸化物がある。これらの磁性微粉体の重量平均粒径は好ましくは0.05〜0.30μmである。重量平均粒径が0.05μmより小さい場合、物理的剪断力によっては分散不良傾向にあり、トナーの場合その磁力が均一でなく磁界方向によって磁気拘束力に差が出来るため好ましくない。また、重量平均粒径が0.30μmより大きい場合は、本発明のように少量の磁性微粉体を均一分散させるための必要個数が少なくこれも磁気拘束力バラツキが大きくなり好ましくない。また、本発明に用いられる磁性微粉体の構成する磁性微粒子の形状としては、八面体、六面体、球形が挙げられる。分散過程における自転を防ぎ高分散にするにはより物理的剪断力を受けやすい八面体形状のものが画像濃度とカブリのラチチュードを広くとり得るため好ましい。
【0018】
さらに本発明の課題をより高度なレベルで満足させるためには、該磁性微粉体を構成する磁性微粒子は少なくともアミノシラン基を有し、電気抵抗が1×103〜9×103であることが好ましい。電気抵抗が1×103以下の場合、磁性微粉体粒子の表面アミノシラン基の存在が非常にまばらな状態であるため、混練時結着樹脂と磁性微粉体との濡れ性が低下し、トナー製造時にトナー粒子から磁性微粉体が離脱し易くなり、この遊離した磁性微粉体を原因としたドラム融着が生じ易くなる。また電気抵抗が9×103より大きい場合、トナー全体が高抵抗化しチャージアップによる濃度低下を引き起こす原因となる。より好ましい抵抗範囲は3×103〜5×103である。
【0019】
トナー粒子中の磁性微粉体の含有量は10重量%以下、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%が望ましい。1重量%より少ない場合は重量平均粒径7.5〜9.5μmのトナー粒子においては、カブリ現象の発生を抑制することが困難となり、10重量%より多い場合は、磁気拘束力が支配的となり画像濃度薄、脱落磁性粉が増加しドラム融着が発生しやすくなる。これは磁性粉の含有量が多いとトナーの真比重が1.3以上に大きくなり、前記した如く現像スリーブの回転に従ってより強い遠心力を受けてトナーは飛散することになる。また磁性粉含有量が少ない場合、トナーの真比重は1.1以下に小さくなり、前記した如く二成分現像剤としての磁性キャリアとの比重差が大きくなりすぎて混合効率の低下を招き補給トナーの帯電不良によるトナー飛散、カブリを引き起こす原因の1つとなる。
【0020】
本発明のトナー粒子は、ワックスを含有している。ワックスとしては、パラフィンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体、フイツシヤートロプシュワックス及びその誘導体、ポリオレフインワックス及びその誘導体、カルナバワックス及びその誘導体、長鎖カルボン酸及びその誘導体、長鎖アルコール及びその誘導体が挙げられる。誘導体としては酸化物や、ビニル系モノマーとワックスとのブロック共重合物、ビニル系モノマーとワックスとのグラフト変性物を含む。
【0021】
本発明で好ましく用いられるワックスは、低分子量ポリプロピレンワックスが望ましくゲルパーミェーションクロマトグラフィ(GPC)による数量平均分子量(Mn)が6000〜8000であることが好ましい。
一般的に従来の混練条件において、混練機から混練物が吐出した直後における混練温度が混練状態を知る重要なパラメーターである。PPワックスの軟化点に対して15〜30℃高い混練温度においてワックスの結着樹脂への分散性は良好であり、かつこの様な場合においては、結着樹脂と磁性微粉体との濡れ性も良好となり、本発明の課題がより良好に達成できる。
【0022】
本発明のトナーに使用される結着樹脂のスチレン系樹脂について以下に述べる。
本発明に使用されるトナーの結着樹脂としては、例えば、ポリスチレン;ポリ−P−クロルスチレン、ポリビニルトルエンの如きスチレン置換体の単重合体;スチレン−P−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレンビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体の如きスチレン系共重合体等が挙げられる。なおた架橋されたスチレン系樹脂も好ましい結着樹脂である。
【0023】
またその他の樹脂を適宜添加しても良い。例えばその他の樹脂としてはポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メフクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルアチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂等が挙げられる。
【0024】
なおスチレン系共重合体を製造する場合のスチレンモノマーに対するコモノマーとしては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルへキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドのような二重結合を有するモノカルボン酸もしくはその置換体;マレイン酸、マレイン酸ブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチルのような二重結合を有するジカルボン酸及びその置換体:塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニルのようなビニルエステル;エチレン、プロピレン、ブチレンのようなエチレン系オレフイン;ビニルメチルケトン、ビニルへキシルケトンのようなビニルケトン;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテルが挙げられる。
【0025】
これらのビニル単量体が単独もしくは組合せてスチレンモノマーとともに用いられる。また架橋されたスチレン系樹脂をうるための架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられる。例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンのような芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフイド、ジビニルスルホンの如きジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物が挙げられる。これら架橋剤は単独もしくは混合して使用される。
【0026】
またスチレン系樹脂は、ゲルパーミェーションクロマトグラフィ(GPC)において重量平均分子量(Mw)が、15×104〜25×104、数平均分子量(Mn)が、2×103〜4×103が良い。
さらに本発明に使用するスチレン系樹脂は、軟化点が145℃〜165℃であり、かつ、140℃における損失弾性率G”が1×104dyn/cm2〜2×104dyn/cm2であることが必要である。
【0027】
ここで損失弾性率G”は定着性、耐オフセット性、材料分散性と大きな関連性があり、140℃における損失弾性率G”が1×104dyn/cm2よりも低いと定着性と材料分散性は良くなるが耐オフセット性は低下する。一方損失弾性率G”が2×104dyn/cm2よりも高いと上記とは逆になる。上記範囲内の場合、定着性と材料分散性が良くなる傾向を示す。しかし、軟化点が低すぎる場合、定着爪痕を発生しやすいが、損失弾性率G”が上記範囲の場合、定着直後にトナーは軟化点以下となって硬化するため剥離爪と摺擦されてもその痕跡を留めることがなく高品位の画像を得ることができる。従って本発明は製造時に他の材料との分散性が良いばかりでなく、定着性、硬化性に優れた結着樹脂を使用することを特徴とする。
【0028】
本発明のトナーには、荷電制御剤として有機金属化合物を用いることが好ましい。有機金属化合物のうちでも、特に気化性や昇華性に富む有機有機化合物を配位子や対イオンとして含有するものが有用である。このような、有機金属化合物としては、次に示した一般式で表わされるアゾ系金属錯体がある。この様なアゾ系金属錯体の中でも中心金属にCrを含有する下記化学構造式(1)又は化学構造式(2)に示すような荷電制御剤を用いることが好ましい。荷電制御剤は、トナー100重量部に対して0.5〜3重量部の範囲で添加されるのが好ましい。
【0029】
【化1】
【0030】
【化2】
【0031】
本発明で用いられる着色剤としては一般に染料、顔料、カーボンブラックなどで、例えば、ニグロシン染料、カーマイン染料、各種の塩基性染料、酸性染料、油性染料、アントラキノン染料のような染料;ベンジジン系黄色有機顔料、キナントリン系有機顔料、ローダミン系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタンなどがある。カーボンブラックとしてはフアーネスブラック、アセチレンブラック、サーマル、ブラックなどをあげることができる。カーボンブラックの中でも樹脂中での分散性に優れた1次粒子径が15〜30nmのものが望ましく、またトナー生産時において他の原材料特性を損なうことのない酸性(pH7以下)のものが望ましい。
さらに本発明のトナーには着色成分として磁性微粒子が添加されているためカーボンブラック等の着色剤の添加量が少量で良く、通常樹脂100重量部当たりに対して3〜7重量部でその機能を充分満足することが可能である。
【0032】
本発明のトナーにおいては、その他に帯電安定性、現像性、流動性、耐久性向上のため、トナー粒子に無機微粉体を外添することが好ましい。これは本発明に於けるドラムカートリッジの構成と密接に関係している。通常のカートリッジにおいてはクリーニング部材により回収されたトナーは感光体ドラム上とは反対の重力方向に自重により回収されスパイラル部材などによりボックスに回収されている。本発明のドラムカートリッジは近来の小型化傾向によりクリーニングスペースも小型化されている。そのためクリーニング部材により回収されたトナーは感光体ドラムを圧接されながらボックスに回収される構造となっている。このためより磁性微粉体のドラム融着が顕著となる。
【0033】
かかる不具合をなくすためにはトナー自体の流動性を向上させドラムとの摩擦係数を低減させる必要がある。このため本ドラムカートリッジの様な構造では通常より多量な無機微粉体を外添し上記のような不具合を未然に防止している。ただしこの様な微粉体は通常強い負帯電性を持っており過剰な外添はトナー全体のチャージアップを引き起こし画像濃度低下といった不具合を発生させる要因の1つとなる。従って無機微粉体の添加量としてはトナー100重量部に対して無機微粉体0.3〜1重量部使用するのが良い。
【0034】
無機微粉体としては、例えばシリカ微粉体、酸化チタン微粉体、アルミナ微粉体等が挙げられる。特に、BET法で測定した窒素吸着により比表面積が90〜150m2/gの範囲内の無機微粉体が良好な結果を与える。また、無機微粉体は、必要に応じ、疎水化、帯電性コントロールの目的でシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物の如き処理剤で処理されていることも好ましい。処理剤は2種類以上使用しても良い。特に、シリコーンオイルで表面処理されたシリカ微粉体が好ましい。
【0035】
その他の添加剤として、例えばテフロン、ステアリン酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデン、シリコーンオイル粒子(約40%のシリカ含有)の如き滑剤が好適に用いられる。また、酸化セリウム、炭化ケイ素、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウムの如き研磨剤が好ましく用いられ、中でもチタン酸ストロンチウムが好ましい。また、ケーキング防止剤;カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化スズの如き導電性付与剤;トナー粒子と逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子を現像性向上剤として少量用いても良い。
【0036】
本発明のトナーによる画像形成方法においては、下記に説明する磁性キャリヤ100重量部に対して本発明のトナー1〜10重量部を混合した二成分系現像剤として使用することが好ましい。この場合に用いられる磁性キャリアとしては鉄粉系キャリアが望ましい。これは本発明の画像形成方法に好適なプロセスカートリッジにおける現像スリーブ(現像剤担持体)とドクターブレードとのクリアランスが1.0mm以上と広いためである。このような広いクリアランスはカートリッジ自体の精度がラフで良いため生産コストがかからないと言うメリットがある。その反面、現像剤担持体上の現像剤の穂が長くなりキャリア付着が発生しやすくなる。また、本カートリッジはその回転部材のギヤ配置の簡素化、低コスト化のためスリーブの回転方向とドラムの回転方向が逆である。このためいっそう現像剤の穂に対するストレスが大きくキャリア付着が発生しやすい現像システムとなっている。この様な現像システムにおいて、例えば特公昭56−52305号公報に記載されているフェライトキャリアは、飽和磁化が低く、担体粒子を小粒径化してゆくとキャリア付着が発生し、感光体及びクリーニングブレードに傷を生ぜしめ、この部材の耐久性を著しく短くする欠点がある。このためより磁力の強い鉄粉系キャリアが本発明に適することになる。
【0037】
現在、一般に実用化されている鉄粉系キャリアは、その外見的形状により次の二種類に分類される。その一つは、形の定まらない不規則な形状を有するものである。これは特公昭55−40863号公報に記載されている様に、原料鉄粉を焼結、粉砕、分級してなるため、不定形鉄粉担体となり、形状異方性によって現像磁場において磁束密度が高く穂が硬くなり、Solid部(ベタ黒部)にハキ目(トナー剥離部分)が生じ易い。また、現像剤の搬送の過程で「割れ」や「欠け」が発生しやすく、これらが感光体表面を損傷し、結果的に画像を悪化させる。さらに現像剤の流動性が悪く、現像剤の劣化を早めたり、搬送の過程での現像ローラーにかかるトルクが大きくなるという欠点を有している。
【0038】
他の一つは、球形あるいは球形に近い粒状の形をもった一般的にアトマイズ鉄粉と呼ばれているもので本発明に好ましく使用されているものである。この場合、形状が球形に近いため不定形鉄粉の持つ不具合が無く優れた特性を持つことになる。しかし不定形キャリアに比べて比表面積が小さくなるため本発明のような小粒径トナーを用いた現像においては帯電付与能力が低下する。このためトナーの比表面積に準じたキャリア比表面積が必要となり粒子径を小さくする必要がある。本発明のトナーに適するキャリア粒子径は80μm以下が好ましい。しかし、キャリア粒子径が40μm以下になると流動性が悪化し帯電不良、スペント増加等の不具合発生原因の1つとなる。従ってキャリア粒子径としてはその重量平均粒径が40乃至80μmのものが好ましい。また、本発明のトナーとの比重差を考慮した混合撹拌性を最適とするためにはキャリアの真比重は6.0以上が好ましい。しかし、真比重が8.0を超えるとドラムの摺擦力が増加し画質劣化を招く原因の1つとなる。従ってキャリア真比重としては6.0乃至8.0のものが好ましい。
【0039】
この磁性キャリアには絶縁性皮膜として樹脂コートをすることが望ましい。コートに使用することのできる樹脂としては従来から使用されている全てのものが使用可能であるが、より好ましくはシリコーン系樹脂である。シリコーン樹脂としては、シリコーンワニス(東芝製TSR l15、TSR l14、TSR lO2、TSR lO3、YR 3061、TSR llO、TSR l16、TSRl17、TSR lO8,TSR lO9、TSR 180、TSR 181、TSR 187、TSR 144、TSR 165、信越シリコーン社製KR 271、KR 272、KR 275、KR 280、KR 282、KR 267、KR 269、KR 211、KR 212など)、アルキッド変性シリコーンワニス(東芝製TSR 184,185など)、エポキシ変性シリコーンワニス(東芝製TSR 194,YS 54など)、ポリエステル変性シリコーンワニス(東芝製TSR 187など)、アクリル変性シリコーンワニス(東芝製TSR 170,171など)、ウレタン変性シリコーンワニス(東芝製TSR 175など)、反応性シリコーン樹脂(信越シリコーン社製KAl008、KBEl003、KBCl003、KBM 303、KBM 403、KBM 503、KBM 602、KBM 603など)などがある。
【0040】
次に、トナー粒子の溶融混練による製造方法について説明する。本発明に用いられる混練機としては、近年のトナーの量産化に対応して、エクストルーダーを用いて混練することが好ましい。特に二軸エクストルーダーが品質安定性及び量産性の観点から好ましい混練機である。具体例としては、TEM−100B(東芝機械製)、PCM−87(池貝鉄工製)等が挙げられる。本発明において、トナー粒子を生成するための溶融混練工程において、結着樹脂、磁性微粉体及びワックスを少なくとも有する混合物を、混練機により下記条件にて製造する。
混練温度:樹脂及びワックスの軟化点温度+15℃〜30℃
回転数:150〜210rpm
供給量:80〜140kg/hr
得られた混練物は、従来知られている方法で圧延冷却、粗砕、ジェット気流による微粉砕、分級が行なわれトナー粒子が得られる。
【0041】
ここでトナー粒子中の磁性微粉体及びワックスの分散性については、トナーの誘電体損失(tanδ)および電気抵抗値(R)を測定することにより知ることができる。一般的にトナー中の材料成分の分散性が悪い場合tanδの値は大きく、Rは小さくなる。また、分散性が良い場合tanδの値は小さく、抵抗値Rは大きくなる。ただしあまりにも高分散になった場合、トナー抵抗値が上昇し現像性低下を引き起こす。
本発明のトナーにおいてはtanδ(×10−3)と抵抗値R(10+9)は下記条件が好ましい。
1.5<tanδ<4.0、 200<R<350が好ましい。
【0042】
以下に誘電体損失(tanδ)の測定法について説明する。
先ず誘電体換測定装置(TSR・10T型、安藤電気社製)を用いて測定した。測定方法としては、まず、得られたトナーから錠剤成形器を用いて約1.5mm程度の測定用サンプルを作成する。次に上記サンプルを固体用電極内部に装着し、電極を恒温槽の中にプラグインする。測定装置の測定モードをゼロバランスモードに設定し、測定周波数に応じてPATIO値を決定し、平衝の操作を行う。このときのコンダクタンスの値をR0とする。さらに測定モードを替えて零平衡と同様に平衡操作を行う。このときのキャパシタンスをCx、コンダクタンスR’とする。tanδは上記測定値を用いて次のように求めることができる。
【0043】
まず、誘電率(ε’)=Cx/C0……(1)
ここで、C0は誘電体を空気で置き換えたときの静電容量である幾何学的静電容量である。一方、誘電損率(ε”)を次式により求める。
誘電損率(ε”)=Gx/ωC0……(2)
ここで、ωは角周波数であり、ω=2πf(fは周波数Hz)、Gxはコンダクタンスで、Gx=PATIO値×(R’−Ro)で示される。
tanδは、tan=ε”/ε’……(3)
にて示され、(3)式に(1)式及び(2)式を代入すると、tanδは、Gx/ωGx=PATIO値×(R’−Ro)/2πfCxと表わされ、測定した各測定値をそれぞれ代入してtanδを測定した。本願での測定方法は、測定周波数1kHzで行い、それに応じたPATIO値は1×109であった。
【0044】
本発明のトナーを使用する画像形成方法の一例を添付図1にて説明する。
先ず帯電チャージャー2により電圧を印加され、静電荷像保持体(以下、感光ドラムと称する)1の表面を負極性に帯電し、レーザー光発生手段3による露光によりイメージスキヤニングによりデジタル潜像を感光ドラム1上に形成しておき、磁石を内包しているトナー担持体(現像スリーブ)4上には、現像剤層厚規制手段としてのドクターブレード5及び現像剤供給ローラ6を具備する現像器7中の現像剤(トナーと磁性キャリヤの二成分)8が静電付着して、感光ドラム1と現像スリーブ4が近接し、感光ドラム1上の該潜像をトナーで反転現像する。この際、現像部において感光ドラム1の導電性基体は接地され、現像スリーブ4にはバイアス印加手段9により直流バイアスが印加されている。転写紙Pが搬送されて転写部にくると、ローラ転写手段10により転写紙Pの背面(感光ドラム1側と反対面)から電圧印加手段11で帯電することにより、感光ドラム1の表面上の現像画像(トナー像)がローラ転写手段10によって転写紙P上に転写される。
【0045】
感光ドラム1から分離された転写紙Pは、加熱加圧ローラ定着器12により転写紙P上のトナー画像を定着するために定着処理される。転写工程後の感光ドラム1に残留するトナーは弾性ブレード13によりクリーニングされ回収ボックス14に回収される。かかるクリーニング手段によるクリーニング後の感光ドラム1は、再度、帯電チャージャー2による帯電工程から始まる工程が繰り返される。感光ドラム1は感光層及び導電性基体を有する。トナー担持体である非磁性円筒の現像スリーブ4は、現像部において感光ドラム1の表面と逆方向に進むように回転する。現像スリーブ4の内部には、磁界発生手段である多極永久磁石(マグネットロール)が回転しないように配されている。現像器7内の現像剤(トナーと磁性キャリア)8は現像剤供給ローラ6から非磁性円筒面4の面上に塗布され、現像スリーブ4の表面とドクターブレード5との塗付摩擦によって、トナー現像剤8は、例えばマイナスのトリボ電荷が与えられる。
【0046】
現像部において現像スリーブ4に直流バイアスをバイアス手段により印加しても良い。この直流バイアスは−400V〜−500Vであれば良い。現像部におけるトナーの移転に際し、感光ドラム表面の静電的及びバイアスの作用によってトナーは静電像側に移転する。感光ドラム1はアルミニウムの如き導電性金属で形成されている導電性基層と、その外面に形成した光導電層とを基本構成層とするものであり、時計方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転される。帯電チャージャー2により感光ドラム1の表面が所定の極性・電位に帯電される。次いで、画像露光3により静電荷像が形成され、現像スリーブ4からの現像手段により静電荷像はトナー画像として順次可視化されていく。
【0047】
次に本発明の画像形成装置におけるプロセスカートリッジについて説明する。本発明のプロセスカートリッジは、少なくとも現像手段と潜像保持体とが個別に一体的にカートリッジ化されたものであり、画像形成装置本体(例えば、複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ装置)に着脱可能に構成されている。ここで、現像スリーブからの現像手段、ドラム状の静電荷像保持体(感光ドラム)、クリーニングブレードを有するクリーニング手段、一次帯電手段としての帯電チャージャー等を組み合わせ一体とするプロセスカートリッジが一実施形態例として例示される。
【0048】
かかる実施形態では、現像手段は、現像剤層厚規制手段としてのドクターブレードとトナー容器内にトナーと磁性キャリヤからなる現像剤を有し、該現像剤を用い、現像時にはバイアス印加手段からの現像バイアス電圧により感光ドラムとトナー担持体としての現像スリーブとの間に所定の電界が形成されて現像工程が実施される。この現像工程を好適に実施するためには、感光ドラムと現像スリーブとの間の距離が1mm以上に調整される。上記では、現像手段、潜像保持体、クリーニング手段及び一次帯電手段の4つの構成要素を一体的にカートリッジ化した実施形態について説明したが、本発明においては、現像手段と静電荷像保持体とが別々にカートリッジ化されたものであればよく、特に限定されない。
【0049】
【実施例】
本発明を以下の実施例に基づいてより具体的に説明する。
実施例1
(i)結着樹脂100重量部
(a)スチレンーアクリル酸n−ブチル共重合体(St−Ac系共重合重量比=80:20)
(b)重量平均分子量(Mw)20万、数平均分子量(Mn)3000
(c)軟化点155℃
(d)酸化 0.2KOHmg/mg
(e)140℃の損失弾性率G”:1.5×104dyn/cm2
【0050】
(ii)磁性微粉体3重量部
(a)重量平均粒径R:0.20μm
(b)磁性微粒子の形状:八面体
(c)σr/σs:0.15〔−〕
(d)r=4×103〔Ω・cm〕
(iii)負荷電制御剤1.5重量部
(a)前記構造式(1)で示されるモノアゾ錯体
(b)1次粒子径:7μm
【0051】
(iv)ワックス2重量部
(a)低分子量ポリプロピレン
(b)軟化点:155℃
(c)軟化点の測定方法:DSC吸熱ピーク温度
(v)カーボンブラック6重量部
(a)pH:3
(b)1次粒子径:30μm
【0052】
上記材料(表1のトナー処方1)をヘンシェルミキサーで混合して混合物を得、得られた混合物を二軸エクストルーダー(機種名「PCM−65(池貝鉄工製)」)に導入し、スクリューの回転数180(rpm)、設定温度100℃、混合物の供給量110kg/hrで混合物の溶融混練をおこなった。混練直後の混練物の温度は、180℃であった(表2の製造条件1)。
混練物をハンマーミルで1mm以下に粗粉砕し、得られた粗粉砕物をジェット気流を用いた衝突式気流粉砕機で微粉砕し微粉砕物を得た。トナー粒子の重量平均粒径(D50)は8.2μmであり得られたトナー粒子の物性を表3に示す。得られたトナー粒子100重量部と、シランカップリング剤とジメチルシリコーンオイルとで表面処理している疎水性シリカ微粉体(BET比表面積120m2/g)0.55重量部とを混合して、負摩擦帯電性のトナーを調製した。
【0053】
前記した画像形成方法でのトナーの評価を行うために、600dpiの解像性を有する反転現像方法で静電荷像を現像するレーザビームプリンタ(商品名AR−160、定着温度160℃、シャープ株式会社)用のプロセスカートリッジの現像器にトナーの磁性キャリアを前者1〜10重量部、後者100重量部の割合で配合した二成分現像剤として導入し、プロセスカートリッジをレーザビームプリンタに装着し、各環境下において画出し試験をおこなった。さらに、1200dpiの解像度を有するように改造したレーザビームプリンタを使用してドット潜像の画質を下記評価方法で評価した。そのトナー物性を(表3)に、評価結果を(表4)に示す。
【0054】
評価方法
(a)画像濃度測定法
直径55mmの黒円を含む原稿を用いて、3枚複写し得られたコピーサンプルの黒部をマクベス濃度計にて測定しそれらを平均した値。
初期(2枚目)、200,000枚日のベタ黒画像の画像濃度をマクベス濃度計により測定し下記評価基準で画像濃度(ID)を示した。
画像濃度(ID)の評価基準
5;1.4以上
4;1.3〜1.4
3;1.2〜1.3
2;1.0〜1.2
1;1.0以下
【0055】
(b)カブリ濃度測定法
A4サイズの白紙を予め白度計(ハンター白度計、日本電色工業社製)にて白度を測定しその値を第1測定値とする。次に、直径55mmの白円を含む原稿を用いて、3枚(初期)と200,000枚(20k)複写し得られたコピーサンプルの白部を前述の白度計にて測定しこの値を第2測定値とする。第2測定値の値を第1測定値から差し引いた値を初期と20kのカブリの値とする。白色度との差を求め、その差が最大となる値を示した。
カブリ濃度(BG)の評価基準
5;0.4以下
4;0.6〜0.4
3;0.8〜0.6
2;1.0〜0.8
1;1.0以上
【0056】
(c)600dpiのドット画像
1インチ当り600個のドット潜像を形成し得る画出し条件で、ワンドットのトナー画像を形成し、トナー画像を拡大して目視により画質を下記5段階に評価した。
5;優
4;良
3;普通
2;やや悪い
1;悪い(トナーの飛び散りの発生がみられたり、ドットの画像の形状がいびつである。)
【0057】
(d)定着爪痕
初期(2枚目)、200,000枚目(20K)のベタ黒画像の定着爪痕をその発生程度により評価した。
5;全く発生しなかった。
3;数点発生が見られるが、実用上問題なし。
1;発生が多く(数十点)、実用上問題あり。
ランク4はランク5と3の中間レベルであり、ランク2はランク3と1の中間レベルである。総合評価は上記各評価の平均値とした。
【0058】
(e)耐オフセット性
2枚目(初期)、200,000枚目(20k)の発生程度により評価した。
5;全く発生しなかった。
3;数点発生が見られるが、実用上問題なし。
1;発生が多く(数十点)、実用上問題あり。
ランク4はランク5と3の中間レベルであり、ランク2はランク3と1の中間レベルである。総合評価は上記各評価の平均値とした。
【0059】
(f)耐ブロッキング性
2枚目(初期)、200,000枚目(20k)の発生程度により評価した。
5;全く発生しなかった。
3;数点発生が見られるが、実用上問題なし。
1;発生が多く(数十点)、実用上問題あり。
ランク4はランク5と3の中間レベルであり、ランク2はランク3と1の中間レベルである。
総合評価は上記各評価の平均値とした。
【0060】
比較例1〜11
上記実施例1で使用した結着樹脂の種類、磁性微粉体の添加量、トナーの平均粒子径などをそれぞれ変化させたトナー処方(表1)と製造条件(表2)によって得られた各トナー物性を(表3)に評価結果を(表4)をまとめて示す。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【表4】
【0064】
【発明の効果】
本発明のトナーは、定着樹脂と磁性微粉体の濡れ性及び原材料相互間の分散性が良好であり、かつ硬化性に優れた樹脂を使用することにより、定着爪痕による画質劣化を引起さない、保存性、耐久性に優れ長期にわたり高品質の画像が得られるトナーを提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトナーを用いる電子写真装置の画像形成方法の概略説明図である。
【符号の説明】
1 感光ドラム
2 帯電チャージャー
3 レーザー光発生手段
4 現像スリーブ
5 ドクターブレード
6 現像剤供給ローラ
7 現像器
8 トナー現像剤
9 バイアス印加手段
10 ローラ転写手段
11 電圧印加手段
12 加熱加圧ローラ定着器
13 弾性ブレード
14 回収ボックス
Claims (2)
- 少なくとも結着樹脂、着色剤、帯電防止剤及び磁性微粉体をトナー粒子中に含有している静電荷像現像用トナーであって、
(1)上記結着樹脂は軟化点が145℃〜165℃のスチレン系重合体で、該結着樹脂の損失弾性率G"が140℃において1×104dyne/cm2〜2×104dyne/cm2であり、
(2)上記トナー粒子は重量平均粒子径が7.5〜10.5μmで、かつ該トナー粒子の真比重が1.1〜1.3であり、
(3)トナーは、磁性微粉体の含有量が1〜10重量%で、79.58kA/m(1Kエルステッド)の磁界下におけるトナーの飽和磁化[σs(Am2/kg)]が下記条件を満足し、
0.1<σs<3.0
(4)かつ、その誘電体損失[tanδ(×10-3)]と電気抵抗[R(×10+9)]が、下記条件 1.5<tanδ<4.0、 200<R<350
を満足していることを特徴とする静電荷像現像用トナー。 - 請求項1に記載の静電荷像現像用トナーに磁性キャリヤを混合した二成分現像剤として、マグネットが設置された現像剤担侍体表面に帯電付着させ、静電荷像保持体上の静電荷像へ上記トナーを付着させて現像させることを特徴とする画像形成方法。
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