JP3554304B2 - 半導体素子収納用パッケージおよび半導体装置 - Google Patents

半導体素子収納用パッケージおよび半導体装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、LSI(大規模集積回路素子)やFET(電界効果型トランジスター)などの半導体素子を収納するための半導体素子収納用パッケージおよび半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の半導体素子収納用パッケージ(以下、半導体パッケージという)の一種である光半導体パッケージを図3に示す。同図の(a),(b),(c)はそれぞれ光半導体パッケージの平面図、断面図及び部分拡大断面図である。尚、同図において、光ファイバおよび光ファイバを取り付けるための筒状の固定部材が光半導体パッケージの側部に設けられるが、これらは省略している。
【0003】
この光半導体パッケージは、上側主面に半導体レーザ(LD),フォトダイオード(PD)等の光半導体素子105がペルチェ素子等の熱電冷却素子Cを介して載置される載置部104およびネジ止め部106を有する略四角形の枠状の基体102と、載置部104を囲繞するようにして取着され、側部に貫通孔または切欠き部から成る入出力端子108の取付部を有する枠体107と、取付部に嵌着された入出力端子108とを具備したものである。
【0004】
また、この光半導体パッケージでは、炭素繊維を炭素で結合した一方向性複合材料109の上下面に、例えば第1層としてクロム(Cr)−鉄(Fe)合金層、第2層として銅(Cu)層、第3層としてFe−ニッケル(Ni)−コバルト(Co)合金層またはFe−Ni合金層の3層構造を有する金属層B1が、高温高圧下で実施される所謂拡散接合法により被着された放熱板101が、枠状の基体102の貫通孔に嵌着されて載置部104を構成する。このとき、第1層にFe−Cr合金層を被着するのは、Feと炭素繊維の炭素(C)とが高温高圧下での接合に際して互いに拡散することにより炭素繊維とCr−Fe合金層とを強固に接合するからである。また、Cu層をFe−Cr合金層に対し、主にFeとCuとの相互拡散により接合させることができ、さらに、熱膨張係数の調整層としてのFe−Ni−Co層を主にNiとCuとの相互拡散によりCu層の表面に接合させることができる。
【0005】
そして、放熱板101と基体102と枠体107と蓋体103とからなる容器内部に、光半導体素子105を気密に封止することにより、光半導体装置となる(特開2000−150745公報参照)。
【0006】
上記従来例では、放熱板101は光半導体素子105の載置部104を形成し、炭素繊維が上面から下面に向かう方向に配列されている。また、放熱板101は、金属層B1の被着がなければ、光半導体素子105の載置面に平行な方向の熱膨張係数は約7×10−6/℃であるが、同じ方向の弾性率が約7GPa(ギガパスカル)と小さいことから、金属層B1の被着により放熱板101の熱膨張係数を大きくすることができ、その熱膨張係数は10×10−6〜13×10−6/℃に調整されている。また、熱伝導率は、光半導体素子105の載置面に平行な方向、即ち一方向性複合材料109の炭素繊維の方向(上下方向)に直交する方向での熱伝導率が30W/m・K以下であるのに対して、炭素繊維の方向では300W/m・K以上である。
【0007】
そして、放熱板101は、熱膨張係数が10×10−6〜13×10−6/℃(室温〜800℃)のFe−Ni−Co合金やFe−Ni合金等から成る枠状の基体102の貫通孔に、例えば銀(Ag)ロウなどのロウ材で挿着されて載置部104となる。これにより、光半導体パッケージは光半導体素子105が発する熱を熱電冷却素子Cを介して外部に効率的に放散する機能を有するものとなる。
【0008】
放熱板101は、放熱材料として一般的なCu−タングステン(W)合金やCu−モリブデン(Mo)合金に比して、炭素繊維が放熱板101の上下方向に配列していることにより、この方向に大きな熱伝導率を有している。放熱板101を用いた光半導体パッケージに収容された光半導体素子105が作動時に発する熱は、放熱板101の炭素繊維の方向に直交する方向の熱伝導率が30W/m・K以下であることから、放熱板101の主面の方向(面方向)にほとんど伝わらないこととなる。
【0009】
よって、光半導体素子105の熱は、選択的に炭素繊維の配列方向、即ち放熱板101の上面側から下面側にかけて伝達されて下面から大気中に放散される。その結果、光半導体素子105は常に適温となり、光半導体素子105を長期にわたり正常かつ安定に作動させ得る。また、光半導体素子105の熱が基体102と枠体107に加わった場合、基体102と枠体107の材質が同じであり、それらの熱膨張係数がいずれも10×10−6〜13×10−6/℃であることから、両者間に大きな熱応力が発生することはない。また、たとえ小さな熱応力が発生したとしても、放熱板101が適度に変形することで基体102と枠体107との間に発生する熱応力が緩和される。従って、基体102上に枠体107を極めて強固に取着しておくことが可能になる。
【0010】
よって、基体102と放熱板101と枠体107と蓋体103とから成る光半導体パッケージの気密封止を完全として、内部に収容される光半導体素子105を長期にわたり正常かつ安定に作動させることが可能になる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、光半導体素子105の発熱量が大きくなってきており、放熱板101の熱伝達の限界を超えた場合、熱は放熱板101に畜熱されて放熱板101の温度が上昇する場合がある。この場合、放熱板101の熱が熱電冷却素子Cを介して光半導体素子105に加わり、光半導体素子105の温度が上昇して光半導体素子105が誤動作する、または光半導体素子105が熱破壊されるという問題が発生していた。
【0012】
放熱板101の熱伝達の大きさは、放熱板101の上下面に取着された金属層B1の一部がFe−Cr合金層やFe−Ni−Co合金層などの熱伝導率が小さい鉄系の合金からなることで小さくなり、また、これらの合金層を拡散接合により被着させる際にFe原子がCu層に拡散する場合が有り、この場合にも放熱板101の熱伝達の大きさが小さくなっていた。その結果、光半導体素子105の熱は、基体102を介して外部に速やかに放散されにくくなり、基体102の温度が上昇して光半導体素子105が誤作動したり熱破壊するといった不具合を招来していた。
【0013】
また、光半導体パッケージを外部装置にネジ止めにより密着固定するために、剛性の高いFe−Ni−Co合金やFe−Ni合金等からなる基体102を用いており、放熱板101は基体102の貫通孔にAgロウなどのロウ材を介して嵌着されている。そして、光半導体パッケージを外部装置にネジ止め部106の貫通孔にネジを通して締め付けることにより密着固定し、光半導体素子105の熱を外部装置を介して外部に放散する。しかし、放熱板101を基体102の貫通孔に嵌着するに際して、放熱板101の外周面と貫通孔の内面との隙間は、その大きさにバラツキがある場合がある。この場合、放熱板101を貫通孔にロウ付けすると、ロウ材の溜り状態が不均一となり、光半導体パッケージの気密封止が損なわれることがあった。
【0014】
そこで、放熱板101自体を基体として用いる構成が考えられるが、光半導体パッケージを外部装置にネジ止めする際に、放熱板101を構成する一方向性複合材料109が一方向性炭素繊維を厚さ方向に揃えてこれを炭素で結合したものであることから、本質的に厚さ方向の圧縮強度が金属に比べて桁違いに小さい。そのため、ネジによる締め付け時に放熱板101のネジ止め部106が厚さ方向に潰れる場合があった。従って、光半導体パッケージを外部装置に強い締め付け力で固定できなくなり、光半導体素子105の熱が十分に放散されなくなるという問題点があった(特開2000−150746公報参照)。
【0015】
従って、本発明は上記問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、光半導体素子,LSI,FET,MMIC等の半導体素子の熱を効率よく外部に放散して、半導体パッケージ内部に収容する半導体素子を長期に亘り正常かつ安定に作動させるとともに、半導体パッケージの基体を外部装置にネジ止めして密着固定する際に基体が厚さ方向に潰れることのないものとすることにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体パッケージは、上側主面に半導体素子が載置される載置部を有するとともに両端部にネジ止め部を有する略四角形の基体と、該基体の上側主面に前記載置部を囲繞するようにして取着され、貫通孔または切欠き部からなる入出力端子の取付部を有する枠体と、前記取付部に嵌着された前記入出力端子とを具備した半導体素子収納用パッケージにおいて、前記基体は、銀,チタン,クロム,ジルコニウムおよびタングステンのうちの少なくとも一種を0.2〜10重量部ならびに銅を90〜99.8重量部含有する金属成分が含浸された炭素質母材内に炭素繊維の集合体が分散されているとともに表面にニッケルメッキ層または銅メッキ層が被着された金属炭素複合体を基材とし、該基材の上下面に前記基材側からロウ材層、モリブデン層、ロウ材層および銅層が順次積層されていることを特徴とする。
【0017】
本発明は、金属炭素複合体が炭素繊維と高温高圧下で含浸された金属とからなるため、その表面が緻密になり、金属炭素複合体の表面にNiメッキ層またはCuメッキ層が形成できるようになった。そして、基材の上下面にNiメッキ層,Cuメッキ層を介してロウ材層、Mo層、ロウ材層およびCu層がこの順で強固に接合できるようになった。即ち、Niメッキ層,Cuメッキ層の炭素繊維への被着部における被着力の弱さを、含浸された金属が表面に露出している部位における被着力で補強することができるとともに、金属炭素複合体の表面が緻密なため炭素繊維に被着されるNiメッキ層,Cuメッキ層の表面欠陥が極めて少なくなっており、その結果、金属炭素複合体の表面にNiメッキ層,Cuメッキ層を強固かつ信頼性よく被着することができる。
【0018】
このように、基材表面にNiメッキ層,Cuメッキ層を信頼性良くかつ強固に形成できることによって、ロウ材層を介して熱膨張係数を調整するためのMo層を形成し、またMo層上にロウ材層を介して熱伝導性の極めて良好なCu層を形成することができる。その結果、従来のFe系の金属層を形成した構成では得られない効率のよい熱伝達が可能になる。
【0019】
また本発明は、基材が炭素質母材内にランダムな方向に分散配置された一方向性の炭素繊維の集合体および含浸された金属成分からなる構成であり、半導体素子から基体に伝わった熱は基材の内部でランダムな経路を辿って基体の下側主面および側面に伝わることになる。そして、基体の側面に伝わった熱はその表面のNiメッキ層,Cuメッキ層を介して下側主面へと伝わり、よって基体の下側主面からの熱放散により半導体素子の温度を適正な温度にすることができる。かくして、半導体素子を常に適温として、半導体素子を長期に亘り正常かつ安定に作動させることが可能になる。
【0020】
このとき、基体内に含浸された金属成分はAg,チタン(Ti),クロム(Cr),ジルコニウム(Zr),Wのうちの少なくとも一種を0.2〜10重量部ならびにCuを90〜99.8重量部含有することから、Cuとその周囲の炭素質母材との密着性が良好となり、Cuのみを含浸させた場合に比べて伝熱性が大きく向上する。その結果、半導体素子が発する熱は基体内をランダムな方向に伝わり、大きな熱量を基体の広範囲で放散させることが可能になるため、半導体素子を常に適温として、長期に亘り正常かつ安定に作動させることが可能になる。
【0021】
また、本発明の半導体パッケージの基材は、含浸された金属、および基材の上下面に形成され、ロウ材層、モリブデン層、ロウ材層および銅層が順次積層されて成る金属層によって剛性が高くなっているが、その弾性率は極めて小さく、被着された金属層によって半導体素子の載置面に平行な方向の熱膨張係数が10×10−6〜13×10−6/℃(室温〜800℃)に調整される。これにより、半導体素子の熱によって基体と半導体素子との接合部および基体と枠体との間で熱応力が発生しても、これらの熱応力は基体が適度に変形することで緩和される。
【0022】
本発明において、好ましくは、前記モリブデン層の厚さが5〜100μmであり、前記銅層の厚さが100〜1000μmであることを特徴とする。
【0023】
本発明は、上記の構成により、近時の高密度配線のLSIやFETなどの半導体素子から大量の熱が発せられても、この熱が最外層のCu層により効率よく横方向に伝達され、次いでMo層を介して基材に伝えられ、基材の内部を通じて良好に基材の下側主面および側面を介して下側主面へと伝えられ、基体の下側主面から効率よく外部に放散されることになる。よって、半導体素子が作動する際の温度を常に適正な温度にすることが可能になる。
【0024】
本発明の半導体装置は、本発明の半導体素子収納用パッケージと、前記載置部に載置固定されるとともに前記入出力端子に電気的に接続された半導体素子と、前記枠体の上面に取着された蓋体とを具備したことを特徴とする。
【0025】
本発明は、上記の構成により、基体が炭素質母材に金属が含浸されていることから、Niメッキ層,Cuメッキ層およびロウ材層を介して熱伝導性に優れる金属層を接合することができ、よって半導体素子の熱を基体を介して極めて効率良く外部に放散させることができる。従って、半導体素子を長期に亘り正常かつ安定に作動させることができる。また、基体は主成分として金属である銅が炭素質母材内に含浸されているのでその圧縮強度が大きくなり、基体を外部装置にネジ止めする際に生じる押圧力や圧縮応力が基体表面に加わった場合に、基体の上下主面にMo層やCu層が形成されていることと併せて、基体が押圧力や圧縮応力に対して潰れ難くなる。従って、例えばマザーボード等の外部装置にネジ止めした際に、基体が厚さ方向に潰れて締め付けが緩くなって密着固定が不十分となり、外部への熱放散性が劣化するといった不具合が解消される。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の半導体パッケージについて以下に詳細に説明する。図1,図2は本発明の半導体パッケージについて実施の形態の一例を示すものであり、図1は半導体パッケージの断面図、図2は本発明の半導体パッケージの基体の部分拡大断面図である。図1において、1は基体、1aは半導体素子2の載置部、2はIC,LSI,FET等の半導体素子、3は枠体、3aは枠体3に設けられた入出力端子の取付部である。基体1と枠体3と蓋体5とで、半導体素子2を収容する容器が基本的に構成されており、また入出力端子4が取付部3aに嵌着されている。なお、13はネジ止め部である。
【0027】
また、図2において、AはNiメッキ層6が金属炭素複合体A1の表面に形成された基材、1bは炭素質母材、1cは一方向性の炭素繊維の集合体、1dはAg,Ti,Cr,Zr,Wのうちの少なくとも一種を0.2〜10重量部ならびにCuを90〜99.8重量部含有する金属成分である。また、7は基材A上にロウ材層8を介して形成されたMo層、9はMo層7上にロウ材層8を介して形成されたCu層、Bは基材1の上下面に形成された、ロウ材層8、Mo層7、ロウ材層8およびCu層9とを順次積層して成る金属層である。
【0028】
図2に示すように、基体1は、金属成分1dが含浸された炭素質母材1b内に一方向性の炭素繊維の集合体1cが分散された金属炭素複合体A1およびNiメッキ層6から成る基材Aと、金属層Bとから成り、金属炭素複合体A1は例えば以下の工程[1]〜[5]によって作製される。
【0029】
[1]一方向性の炭素繊維の束を炭素で結合した板状の塊を一方向性の炭素繊維からなる小さな集合体に破砕し、破砕された集合体を集めて固体のピッチあるいはコークス等の微粉末を分散させたフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂の溶液中に浸す。なお、板状の塊を破砕して得られる集合体の大きさは、その形状を例えば略立方体としてみた場合一辺が0.1〜1mm程度である。
【0030】
[2]この集合体を乾燥させて所定の圧力を加えるとともに加熱して熱硬化性樹脂部分を硬化させ板状のブロックを得る。
【0031】
[3]これを不活性雰囲気中、高温で焼成することでフェノール樹脂とピッチあるいはコークスの微粉末を炭化させてブロック状の炭素質母材1bとする。炭素質母材1bは、それ自体200〜300W/m・Kの大きな熱伝導率を有し、半導体素子2が発する熱の伝熱経路としても機能する。
【0032】
[4]次いでブロック状の炭素質母材1b内にCuを主体とする金属成分を不活性雰囲気下で高温高圧で含浸させる方法、即ち熔湯鍛造法によって含浸させる。このとき、含浸されたCuはCu塊となって炭素質母材1bに分散される。含浸されたCuには予めAg,Ti,Cr,ZrおよびWのうちの少なくとも一種を0.2〜10重量部含有させている。これらの金属のうちAg以外のものはCuの融点(約1083℃)よりも高い融点を有しているが、溶融したCuと混在することによってCuと固溶体を作り、含浸時に液体となって炭素質母材1bに含浸される。
【0033】
[5]次に、ブロック状の炭素質母材1b内に炭素繊維およびCu等の金属成分1dを分散させ、次いでブロック状の炭素質母材1b板状に切り出して基材Aとなる板を作製する。板の寸法は、例えば厚さが1mm〜2mm程度、縦横の寸法が100mm程度である。
【0034】
さらに、この板を所望の形状に加工して個々の金属炭素複合体A1を作製し、金属炭素複合体A1の表面にNiメッキ層6を形成して基材Aを得る。ついで基材Aの上下面にロウ材層8、Mo層7、ロウ材層8、Cu層9を順次形成して金属層Bを有する基体1を得る。
【0035】
金属炭素複合体A1は、内部にCu等の金属成分1dが分散されて成り、含有する金属によりCuと炭素質母材1bとの密着性が良好なものとなる。また、金属炭素複合体A1の熱膨張係数は、Cu等の金属成分1dが分散されていることにより8×10−6〜10×10−6/℃となっている。このとき、CuにAgが含有されていると、Cuと炭素質母材1bとの濡れ性が高温高圧下で良好となることは実験的に確認されている。また、Ag以外の金属をCuに含有させた場合、炭素質母材1bとの間で炭化チタン(TiC),炭化クロム(CrC),炭化ジルコニウム(ZrC),炭化タングステン(WC)などの炭化物が生成され、これらの炭化物を介してCuと炭素質母材1bとが密着する。その結果、Cuと炭素質母材1bとの間での熱伝達がさらに良好なものとなり、半導体素子2の熱が半導体素子2の載置部1aの面に平行な方向(面方向)にも良好に伝達され、金属炭素複合体A1による熱伝達が極めて良好になる。
【0036】
このとき、金属炭素複合体A1に対する金属成分1dの含有量は10〜20重量%がよい。10重量%未満になると、水平方向で所望の熱伝導率が得られず、20重量%を超えると、基体1と半導体素子2との熱膨張係数差が大きくなり、半導体素子2と基体1との接合部にクラックが発生し易くなる。基体1と半導体素子2との熱膨張係数差を考慮すると、より好ましくは15〜20重量%がよい。また、金属成分1dの含有量を10〜20重量%と好適な範囲とすることにより、金属炭素複合体A1の表面に現われる金属成分1dの表面積の割合は、金属炭素複合体A1の表面積に対して約6〜10%となり、これによりNiメッキ層6,Cuメッキ層6の被着強度が向上する。
【0037】
また、Cu等の金属成分1dが金属炭素複合体A1内に分散されていることによって基体1のネジ止め部13の潰れが大きく軽減される。よって、半導体パッケージを外部装置にネジで締め付けて密着固定する場合に強固に締め付けることができる。この基体1は、図2に示すように、基材Aの上下面に、基材Aの熱膨張係数を調整するためのMo層7と、熱伝達を良好にするためのCu層9と、これらの層を順次接合するための2つのロウ材層8との4層構造の金属層Bが形成されている。Cu層9は、半導体素子2の熱を伝達する伝熱媒体となって熱を横方向(面方向)に効率よく伝達する。
【0038】
そして、基体1の上側主面に枠体3を半田や銀ロウ等のロウ材でロウ付けすることにより、枠体3が基体1上に取着される。
【0039】
また、基材Aの上下面に基材A側からロウ材層8、Mo層7、ロウ材層8およびCu層9から成る金属層Bが形成されていることから、金属層Bが基体1の熱膨張係数を枠体3の熱膨張係数に近似させる機能を有している。また、金属炭素複合体A1がその表面に多数の気孔が存在する多孔質であるとしても、その気孔は金属層Bによって完全に塞がれる。その結果、半導体パッケージ内部の気密封止の信頼性が高いものとなる。また、半導体パッケージ内部に半導体素子2を収納し半導体装置と成した後、ヘリウムを使用して半導体装置の気密検査をする場合、ヘリウムの一部が基材Aの気孔内にトラップされることが有効に防止され、半導体装置の気密封止の検査が正確に行える。
【0040】
本発明者は、本発明を完成させるに際して金属層の組み合わせを種々検討して本発明を完成するに至ったのであるが、本出願人は、基材A側からFe−Cr合金層、Cu層およびMo層から成る金属層を形成した構成を既に提案している(従来例A:特開2000−133756公報参照)。この従来例Aでは、Fe−Cr合金層はCu層の熱膨張係数に近い熱膨張係数を有しかつカーボンとの拡散接合が可能ということで用いたが、上述したように、Fe−Cr合金層、Cu層、Mo層をこの順序で基材A側から拡散接合させる際に拡散接合の条件が適正でないと、Fe−Cr合金層中のFeがMo層やCu層に拡散してMo層やCu層の熱伝導率が劣化し、また、Fe−Cr合金層中のCrがMo層に拡散してMo層が脆化し、さらに、Fe−Cr合金層中のCrが拡散してFe−Cr合金層に空隙が発生し熱伝導率が劣化することが明らかになった。なお、Cu層はCrの拡散を抑えるために形成するが、Fe,Crの拡散を抑えるのに十分ではないことが判った。
【0041】
従って、本発明者は、拡散接合によらない接合が上記の不具合を発生させないために必要であると考え、基材AにMo層7とCu層9をロウ材層8で順次接合した構成を発明したものである。しかしながら、上記従来例Aでは、光半導体素子を載置する放熱板が厚さ方向に炭素繊維を配列するとともに炭素繊維を炭素で結合した一方向性複合材料から成るため、一方向性複合材料の表面に多数の気孔が存在しており、その結果一方向性複合材料の表面にロウ接合を可能にするNiメッキ層,Cuメッキ層を形成するのがきわめて困難であった。そこで、本発明者は、本発明の金属成分1dが含浸された炭素質母材1b内に炭素繊維の集合体1cが分散された金属炭素複合体A1を用いることによって、ロウ接合を可能にするNiメッキ層,Cuメッキ層を金属炭素複合体A1の表面に強固かつ緻密に形成できることを見出し、本発明の完成に至ったのである。
【0042】
そして、本発明のMo層7は熱膨張係数が約5×10−6/℃であるため、大きな熱膨張係数(約17×10−6/℃)を有するCu層9の熱膨張を調整する機能を有し、またMo層7はFe−Cr合金層に比べて熱伝導率が約4倍と高いことから、大きな熱放散性を得ることができる。また、本発明では、ロウ材層8によりMo層7とCu層9とを基材Aに強固に接合させることができ、また拡散接合を不要としたことで従来用いられていたFe−Cr合金層を無くすことができ、よって拡散接合時のFeやCrの拡散を解消することができる。さらに、Cr拡散のバリア層として用いられていたCu層9をMo層7上に形成することができ、半導体素子2の熱を効率よく外部に放散させることができるようになった。
【0043】
また、本発明において、金属層BをMo層7とCu層9と2つのロウ材層8との4層で形成するのは、ロウ材層8を介してCu層9を形成することにより、基材Aの熱膨張係数をFe−Ni−Co合金やFe−Ni合金からなる枠体3の熱膨張係数10×10−6〜13×10−6/℃(室温〜800℃)に近づけるためである。
【0044】
そして、好ましくは300〜3000μm程度の厚さで主に使用される金属炭素複合体A1に対して、ロウ材層8の厚さは5〜30μm、Mo層7の厚さは5〜100μm、Cu層8の厚さは100〜1000μmとすることが好ましい。
【0045】
金属炭素複合体A1の厚さが300μm未満では、ブロック状の炭素質母材1bをスライス加工する際に金属成分1dが飛び散る場合が有るため量産が困難となり、3000μmを超えると、金属成分1dの含浸が不均一となり熱伝導性に偏りが発生し易い。
【0046】
ロウ材層8の厚さが5μm未満の場合、Mo層7の接合層として機能しなくなる場合がある。即ち、ロウ材層8に発生する応力によってロウ材層8が剥れ易くなる。また、ロウ材層8の厚さが30μmを超えると、ロウ材層8と基材Aとの熱膨張係数差により発生する応力によって、基材Aの表面からロウ材層8が剥れることがあり、基材Aとの密着性が劣化し易くなる。このロウ材層8はNiメッキ層6またはCuメッキ層6とMo層7、およびMo層7とCu層9との接合媒体として機能するとともに、Cu層9から伝わる熱を基材Aに効率よく伝える熱伝達媒体としても機能する。また、ロウ材層8は比較的軟質であることから、基材AとCu層9との熱膨張差による応力を緩和する所謂応力緩和層としても機能する。なお、ロウ材層8は主にAgとCuから成るAgロウなどの熱伝導率に比較的優れるロウ材からなる。
【0047】
Mo層7の厚さが5μm未満の場合、基体1の熱膨張係数を調整する効果が小さくなり、基体1にFe−Ni−Co合金やFe−Ni合金からなる枠体3をロウ付けした場合にロウ材にクラックが発生し易くなる。Mo層7の厚さが100μmを超えると、基材Aの熱膨張係数が小さくなり過ぎ、枠体3を基体1の上面にロウ付けする際にロウ材にクラックが発生し易くなる。
【0048】
Cu層9の厚さが100μm未満の場合、金属層Bの熱膨張係数が9×10−6/℃以下となり、枠体3を基体1に取着すると枠体3と基体1との熱膨張差により枠体3と基体1との接合部にクラックが発生し易くなり、また横方向への熱放散性が小さくなり、半導体素子2の熱を効率よく放散できなくなり易い。Cu層8の厚さが1000μmを超えると、金属層Bの熱膨張係数が15×10−6/℃以上になり、枠体3と基体1との接合部にクラックが発生し易くなる。より好ましくは250〜850μmが良い。
【0049】
以上のことから、本発明の基体1は、その上側主面に枠体3を取着した後両者に半導体素子2の熱が加わったとしても、基体1と枠体3との間には両者の熱膨張係数差に起因する熱応力が殆ど発生しなくなる。また、熱応力が発生しても、基体1の弾性率が小さいことから、基体1がその熱応力を吸収し、その結果基体1は枠体3に強固に接合され、かつ半導体素子2の熱を大気中に良好に発散させ得る。さらに、半導体素子2と基体1との間に生じる熱応力は、基体1がその熱応力を吸収するように変形し、半導体素子2と基体1との間で大きな熱応力が発生することはない。従って、容器内部に収容した半導体素子2を長期に亘り正常かつ安定に作動させることができる。
【0050】
本発明の金属層Bは、具体的には、厚さが約1mmの基材Aの上下面に、例えば、厚さ約10μmのAgロウ箔、厚さ約50μmのMo箔、厚さ約10μmのAgロウ箔、厚さ約500μmのCu板を順次載置し、次に還元雰囲気下で例えば850℃で1時間加熱することにより形成される。この金属層Bを上下面に形成した基体1は、上側主面から下側主面にかけて400W/m・K以上の熱伝導率が得られ、また載置部1aの面の面方向においては基材A内部に分散された炭素繊維および金属成分1dにより300〜350W/m・Kの熱伝導率が得られる。その結果、基体1は、載置部1aに載置された半導体素子2の熱を極めて効率よく下側主面に伝達させることができ、基体1の下側主面全面から熱が効率よく放散されることとなる。
【0051】
載置部1aの面方向の熱伝導率を測定してみると、上記の如く300〜350W/m・K以上となっており、図3のような一方向性複合材料109を用いたものと比較して10〜12倍と大きいことが明らかになった。従って、半導体素子2の熱は、熱電冷却素子Cを介して基体1に伝達され、次いで基体1の上側主面から下側主面にかけて基体1内のランダム方向の伝熱経路によって効率よく伝わり、さらに外部装置を介して空気中に放散される。
【0052】
また、炭素質母材1bに金属成分1dを含浸させると、金属炭素複合体A1の密度は3〜4g/cmとなり、金属成分1dを含浸させていないもの(約2g/cm)に比べると大きいが、従来のCu−W合金に比べて1/3〜1/5程度であり、極めて軽量である。従って、近時の小型軽量化が進む電子装置へ実装する際に有利である。
【0053】
さらに、炭素質母材1bを用いた基体1はその弾性率が枠体3を構成するFe−Ni−Co合金等の金属に比べて小さいことから、基体1と枠体3との間に、また基体1と半導体素子2との間に熱膨張係数差があったとしても、これらの間に発生する熱応力は基体1が適度に変形して吸収される。その結果、基体1と枠体3、および基体1と半導体素子2とは強固に接合し、半導体素子2の熱を常に大気中に効率よく放散させ得るとともに半導体素子2を長期に亘って正常かつ安定に作動させることができる。
【0054】
また、基材Aの上下面に金属層Bを被着した基体1において、基材Aと上面の金属層Bとの間、および基材Aと下面の金属層Bとの間に、基材Aと金属層Bとの熱膨張係数の相違に起因する熱応力が発生しても、それぞれの熱応力はそれらの方向が上下面で同方向かつほぼ同等となることから、基体1は基材Aと金属層Bとの間に発生する熱応力によって変形せず常に平坦となる。従って、枠体3の下面に基体1を強固に接合できるとともに、半導体素子2の熱を基体1を介して大気中に効率よく放散させることができる。
【0055】
本発明の枠体3は、基体1の上側主面の外周部に載置部1aを囲繞するようにロウ材、ガラスまたは樹脂等の接合材を介して接合されている。枠体3はFe−Ni−Co合金やFe−Ni合金からなり、例えばFe−Ni−Co合金のインゴット(塊)を従来周知のプレス成型法、押出し法などの金属加工法により所定の枠状に成型することによって作製される。Fe−Ni−Co合金,Fe−Ni合金からなる枠体3は、その熱膨張係数が約10×10−6〜13×10−6/℃(室温〜800℃)であり、基体1の熱膨張係数10×10−6〜13×10−6/℃と実質的に同じである。よって、基体1と枠体3との間に発生する熱応力は殆どなく、また基体1の弾性率がFe−Ni−Co合金等の金属に比べて小さいことから、熱応力が発生してもそれは基体1の適度な変形によって吸収される。従って、枠体3と基体1とを接合する接合材にクラックなどが発生したり、基体1に反りが発生することが解消できる。
【0056】
また枠体3は、その側部に貫通孔または切欠き部からなる取付部3aが形成されており、取付部3aには、枠体3の内側から外側にかけて導通する複数のメタライズ配線層10が形成された入出力端子4が嵌着されている。入出力端子4は、メタライズ配線層10を枠体3に対し電気的絶縁をもって枠体3の内側から外側にかけて配設する作用をなし、酸化アルミニウム(Al)質焼結体などの電気絶縁材料からなる。そして、取付部3aの内面に対向する入出力端子4の側面に予めメタライズ層を被着させておき、このメタライズ層を取付部3aの内面に銀ロウなどのロウ材でロウ付けすることによって、取付部3aに入出力端子4が嵌着される。
【0057】
この入出力端子4の電気絶縁材料から成る本体部分は以下のように作製される。まず、例えばAl,酸化珪素(SiO),酸化マグネシウム(MgO),酸化カルシウム(CaO)などの原料粉末に適当なバインダー、溶剤等を添加混合してスラリーとなす。このスラリーをドクターブレード法やカレンダーロール法によってセラミックグリーンシートとし、次いでセラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施し、メタライズ配線層10となる金属層を形成する。このセラミックグリーンシートを複数枚積層し、約1600℃の温度で焼成することによって入出力端子4の本体部分が作製される。
【0058】
さらに入出力端子4は、複数のメタライズ配線層10がセラミック積層体である本体部分に埋設されるように形成されている。このメタライズ配線層10の枠体3内側に位置する部位には、半導体素子2の各電極がボンディングワイヤ12を介して電気的に接続され、メタライズ配線層10の枠体3外側に位置する部位には、外部装置と接続される外部リード端子11が銀ロウなどのロウ材を介し取着されている。このメタライズ配線層10は半導体素子2の各電極を外部装置に接続するための導電路であり、W,Mo,Mnなどの高融点金属粉末により形成されている。例えばメタライズ配線層10は、上記高融点金属粉末に適当な有機バインダー、溶剤などを添加混合して得たペーストを、入出力端子4となるセラミックグリーンシートに予め従来周知のスクリーン印刷法により所定パターンに印刷塗布し焼成することによって形成される。
【0059】
なお、メタライズ配線層10は、その露出表面にNi,金(Au)などの耐食性に優れかつロウ材との濡れ性に優れる金属を1〜20μmの厚さでメッキ法により被着させておくのがよく、メタライズ配線層10の酸化腐食を有効に防止することができ、またメタライズ配線層10への外部リード端子11のロウ付けを強固にすることができる。
【0060】
また、メタライズ配線層10に銀ロウなどのロウ材でロウ付けされる外部リード端子11は、容器内部に収容する半導体素子2の各電極を外部装置に電気的に接続するものである。外部リード端子11を外部装置に接続することにより、半導体素子2はメタライズ配線層10,外部リード端子11を介して外部装置に電気的に接続される。この外部リード端子11は、Fe−Ni−Co合金やFe−Ni合金などの金属材料からなり、例えばFe−Ni−Co合金のインゴット(塊)に圧延加工法や打ち抜き加工法などの従来周知の金属加工法を施すことによって所定の形状に形成される。
【0061】
かくして、本発明の半導体パッケージは、基体1の載置部1a上に半導体素子2をガラス,樹脂,ロウ材などの接着剤を介して接着固定し、半導体素子2の各電極をボンディングワイヤ11を介して所定のメタライズ配線層10に接続し、しかる後、枠体3の上面に蓋体5をガラス,樹脂,ロウ材などからなる封止材を介して接合し、基体1、枠体3および蓋体5からなる容器内部に半導体素子2を気密に収容することにより、製品としての半導体装置となる。
【0062】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更は可能である。例えば、枠体3の側部に筒状の光ファイバ固定部材を設けて光信号を入出力できるようにし、半導体素子として光半導体素子を収容した光半導体パッケージに本発明構成を適用しても良い。
【0063】
【発明の効果】
本発明は、上側主面に半導体素子が載置される載置部を有するとともに両端部にネジ止め部を有する略四角形の基体は、Ag,Ti,Cr,ZrおよびWのうちの少なくとも一種を0.2〜10重量部ならびにCuを90〜99.8重量部含有する金属成分が含浸された炭素質母材内に炭素繊維の集合体が分散されているとともに表面にNiメッキ層またはCuメッキ層が被着された金属炭素複合体を基材とし、基材の上下面に基材側からロウ材層、Mo層、ロウ材層およびCu層が順次積層されていることにより、金属炭素複合体が炭素繊維と高温高圧下で含浸された金属とからなるため、その表面が緻密になり、金属炭素複合体の表面にNiメッキ層またはCuメッキ層が形成できるようになった。そして、基材の上下面にNiメッキ層,Cuメッキ層を介してロウ材層、Mo層、ロウ材層およびCu層がこの順で強固に接合できるようになった。即ち、Niメッキ層,Cuメッキ層の炭素繊維への被着部における被着力の弱さを、含浸された金属が表面に露出している部位における被着力で補強することができ、また金属炭素複合体の表面が緻密なため炭素繊維に被着されるNiメッキ層,Cuメッキ層の表面欠陥が極めて少なくなり、その結果金属炭素複合体の表面にNiメッキ層,Cuメッキ層を強固かつ信頼性よく被着することができる。
【0064】
このように、基材表面にNiメッキ層,Cuメッキ層を信頼性良くかつ強固に形成できることによって、ロウ材層を介して熱膨張係数を調整するためのMo層を形成し、またMo層上にロウ材層を介して熱伝導性の極めて良好なCu層を形成することができる。その結果、従来のFe系の金属層を形成した構成では得られない効率のよい熱伝達が可能になる。
【0065】
また、半導体素子から基体に伝わった熱は基材の内部でランダムな経路を辿って基体の下側主面および側面に伝わり、基体の側面に伝わった熱はその表面のNiメッキ層,Cuメッキ層を介して下側主面へと伝わり、よって基体の下側主面からの熱放散により半導体素子の温度を適正な温度にすることができる。そのため、半導体素子を常に適温として半導体素子を長期に亘り正常かつ安定に作動させることが可能になる。また、基体内に含浸された金属成分はAg,Ti,Cr,Zr,Wのうちの少なくとも一種を0.2〜10重量部ならびにCuを90〜99.8重量部含有することから、Cuとその周囲の炭素質母材との密着性が良好となり、Cuのみを含浸させた場合に比べて伝熱性が大きく向上する。その結果、半導体素子の熱は基体内をランダムな方向に伝わり、大きな熱量を基体の広範囲で放散させることが可能になるため、半導体素子を常に適温として長期に亘り正常かつ安定に作動させることが可能になる。
【0066】
さらに、基材は、含浸された金属、および基材の上下面に形成され、ロウ材層、Mo層、ロウ材層およびCu層が順次積層されて成る金属層によって剛性が高くなっているが、その弾性率は極めて小さく、金属層によって半導体素子の載置部の面方向の熱膨張係数が10×10−6〜13×10−6/℃(室温〜800℃)に調整される。これにより、半導体素子の熱によって基体と半導体素子との接合部および基体と枠体との間で熱応力が発生しても、これらの熱応力は基体が適度に変形することで緩和される。
【0067】
本発明は、好ましくは、モリブデン層の厚さが5〜100μmであり、銅層の厚さが100〜1000μmであることにより、近時の高密度配線のLSIやFETなどの半導体素子から大量の熱が発せられても、この熱が最外層のCu層により効率よく横方向に伝達され、次いでMo層を介して基材に伝えられ、基材の内部を通じて良好に基材の下側主面および側面を介して下側主面へと伝えられ、基体の下側主面から効率よく外部に放散されることになる。よって、半導体素子が作動する際の温度を常に適正な温度にすることが可能になる。
【0068】
本発明の半導体装置は、本発明の半導体素子収納用パッケージと、載置部に載置固定されるとともに入出力端子に電気的に接続された半導体素子と、枠体の上面に取着された蓋体とを具備したことにより、基体が炭素質母材に金属が含浸されていることから、Niメッキ層,Cuメッキ層およびロウ材層を介して熱伝導性に優れる金属層を接合することができ、よって半導体素子の熱を基体を介して極めて効率良く外部に放散させ得る。従って、半導体素子を長期に亘り正常かつ安定に作動させることができる。また、基体は主成分として金属である銅が炭素質母材内に含浸されているので圧縮強度が大きくなり、基体を外部装置にネジ止めする際に生じる押圧力や圧縮応力が基体表面に加わった場合に、基体の上下主面にMo層やCu層が形成されていることと併せて、基体が押圧力や圧縮応力に対して潰れ難くなる。従って、例えばマザーボード等の外部装置にネジ止めした際に、基体が厚さ方向に潰れて締め付けが緩くなって密着固定が不十分となり、外部への熱放散性が劣化するといった不具合が解消される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体パッケージについて実施の形態の例を示す断面図である。
【図2】本発明の半導体パッケージにおける基体の部分拡大断面図である。
【図3】(a)は従来の半導体パッケージの平面図、(b)は従来の半導体パッケージの断面図、(c)は従来の半導体パッケージにおける基体の部分拡大断面図である。
【符号の説明】
1:基体
1a:載置部
1b:炭素質母材
1c:炭素繊維の集合体
1d:金属成分
2:半導体素子
3:枠体
3a:取付部
4:入出力端子
6:Niメッキ層またはCuメッキ層
7:Mo層
8:ロウ材層
9:Cu層
13:ネジ止め部
A:基材
B:金属層

Claims (3)

  1. 上側主面に半導体素子が載置される載置部を有するとともに両端部にネジ止め部を有する略四角形の基体と、該基体の上側主面に前記載置部を囲繞するようにして取着され、貫通孔または切欠き部からなる入出力端子の取付部を有する枠体と、前記取付部に嵌着された前記入出力端子とを具備した半導体素子収納用パッケージにおいて、前記基体は、銀,チタン,クロム,ジルコニウムおよびタングステンのうちの少なくとも一種を0.2〜10重量部ならびに銅を90〜99.8重量部含有する金属成分が含浸された炭素質母材内に炭素繊維の集合体が分散されているとともに表面にニッケルメッキ層または銅メッキ層が被着された金属炭素複合体を基材とし、該基材の上下面に前記基材側からロウ材層、モリブデン層、ロウ材層および銅層が順次積層されていることを特徴とする半導体素子収納用パッケージ。
  2. 前記モリブデン層の厚さが5〜100μmであり、前記銅層の厚さが100〜1000μmであることを特徴とする請求項1記載の半導体素子収納用パッケージ。
  3. 請求項1または請求項2記載の半導体素子収納用パッケージと、前記載置部に載置固定されるとともに前記入出力端子に電気的に接続された半導体素子と、前記枠体の上面に取着された蓋体とを具備したことを特徴とする半導体装置。
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