JP3550891B2 - テトラフルオロエチレン共重合体ブレンド物 - Google Patents
テトラフルオロエチレン共重合体ブレンド物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3550891B2 JP3550891B2 JP17689796A JP17689796A JP3550891B2 JP 3550891 B2 JP3550891 B2 JP 3550891B2 JP 17689796 A JP17689796 A JP 17689796A JP 17689796 A JP17689796 A JP 17689796A JP 3550891 B2 JP3550891 B2 JP 3550891B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- end groups
- pfa
- flow rate
- tetrafluoroethylene
- per
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、良好な加工性と熱安定性を有する溶融成形可能なテトラフルオロエチレン共重合体ブレンド物に関するものであり、さらには、高温で長時間放置しても溶融粘度や機械的物性の低下の少ないテトラフルオロエチレン共重合体ブレンド物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
テトラフルオロエチレンとパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)との共重合体(以下、PFAという)は溶融成形可能なフッ素樹脂として知られており、チューブやパイプ、継手、容器、電線被覆などの成形品、コーティング、ライニング、中空成形品の材料として幅広く用いられている。
【0003】
PFAはその重合機構より、PFAの分子末端に−COF基が微量生成する。また、分子量調節剤としてメタノールを使用する場合、−CH2OH基が分子末端に生成する。これらの末端基は、熱的に不安定なため末端基が多量に存在すると成形時の発泡やフッ酸の発生の原因となり、不良成形品の生成や成形機の金型の腐食などを起すことが知られている。
【0004】
従来より、これらの不安定末端基を安定化する技術が検討されている。特公昭46−23245号公報には、パーフルオロカーボン重合体をフッ素ラジカル源と密に接触させ、末端基を安定化する方法が提案されている。
【0005】
特開昭61−98709号公報には、PFA中の−COF末端基および−COOH末端基の少なくとも50%を−CONH2末端基に転換されるのに充分な時間、PFAとアンモニアまたはアンモニアを生成しうる窒素化合物とを接触させて、熱的に安定で−CH2OH基を炭素数106個あたり少なくとも15個有するPFAを製造する方法が開示されている。
【0006】
また、特公平4−83号公報には、PFAの−CH2OH末端基、−CONH2末端基、−COF末端基が炭素数106個あたり6個より少ないペレット状粒子の製造方法について、また、特公平7−30134号公報には、水性重合媒体中で調製したPFAのグラニュールの製造方法について、フッ素ガスと接触させて不安定末端基を減少させる方法が提案されている。
【0007】
特開平4−20507号公報では、フッ素ガスと接触させて−COF末端基および−COOH末端基の合計数を炭素数106個あたり7〜40個にし、ついでアンモニアガスと接触させることにより−COF末端基を完全に−CONH2末端基に変換する方法が提案されている。
【0008】
しかし、本発明者らは、−CH2OH末端基、−COF末端基、−COOH末端基を炭素数106個に対してそれぞれ6個より少ないPFAは、高温の溶融状態に長時間保持すると、分子の切断に由来すると考えられる溶融粘度低下が起こり、成形品の機械物性が低下してしまうという問題点があることを見出した。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、熱的に安定で、上記の高温の溶融状態に長時間保持しても溶融粘度低下が起こらないPFAを提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、メタノールを連鎖移動剤に用いて得られる−CH 2 OH末端基を100〜300個有するテトラフルオロエチレンと式1で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)の少なくとも一種との共重合体と、−CH 2 OH末端基が炭素数10 6 個あたり6個以下のフッ素化されたテトラフルオロエチレンと式1で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)の少なくとも一種との共重合体とを均一にブレンドして得られるブレンド物であって、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく重合単位を1〜10重量%含み、ブレンド物中の−CH2OH末端基の数が炭素数106個あたり7〜40個であり、−COF末端基、−COOH末端基および−CONH2末端基の数が炭素数106個あたりそれぞれ6個以下であり、380℃における下記容量流速が0.1〜100であるテトラフルオロエチレン共重合体ブレンド物に関する。
【0011】
【化2】
ただし、式1中、Rfは炭素数3〜5のパーフルオロアルキル基である。
【0012】
PFAの製造法として、パーフルオロカーボン、クロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、二酸化炭素などを溶媒とした溶液重合法または、水とパーフルオロカーボン、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、二酸化炭素などを溶媒とした懸濁重合法のいずれも採用できる。重合は、溶液重合、懸濁重合ともに、溶媒、テトラフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)の原料モノマー、連鎖移動剤、場合によってはその他の添加剤を重合反応器に添加され行われる。
【0013】
本発明における−CH2OH末端基を有するPFAを製造するために、連鎖移動剤としてメタノールを用いる。
【0014】
重合開始剤としては、通常のラジカル重合で用いられているものを使用できるが、得られるPFAの安定性の点からフッ素系の過酸化物が好ましい。
【0015】
メタノールを連鎖移動剤に用いて得られたPFAは、−CH2OH末端基が炭素数106個あたり100〜300個存在する。このPFAを成形するとき、PFA中の−CH2OH末端基が分解し、成形物中に発泡が生成する原因になるが、高温に溶融した状態で長時間保持してもPFAの溶融粘度がむしろ高くなり、得られる成形品の機械物性は向上する。
【0016】
その理由として、分解した−CH2OH末端基の一部分は末端基どうしが反応して結合すると推測される。したがって、成形中に発泡の生じない程度の−CH2OH末端基を有したPFAは、高温に溶融した状態で長時間保持しても溶融粘度の低下が抑えられると考えられる。
【0017】
PFAブレンド物中の−CH2OH末端基の数は、炭素数106個あたり7〜40個であり、特に7〜14個であることが好ましい。7個未満では高温に溶融した状態で長時間保持すると溶融粘度が低下してしまい、40個超では成形時の発泡の原因になる。
【0018】
また、−COF末端基、−COOH末端基および−CONH2末端基は熱的に不安定であり発砲の原因となるが、上記のように末端基どうしが反応しないため、これらの末端基の数が炭素数106個あたりそれぞれ6個である。
【0019】
メタノールを連鎖移動剤に用いて得られるPFAをフッ素化することにより所望の−CH2OH末端基の数とすることは、−CH2OH末端基がまず−COFに変化して−COF末端基の数が異常に増えてしまうため好ましくない。
【0020】
本発明のPFAブレンド物は、−CH2OH末端基が炭素数106個あたり6個以下のフッ素化されたPFAと、メタノールを連鎖移動剤に用いて得られる−CH2OH末端基を100〜300個有するPFAを均一にブレンドして得られる。好ましくはペレット化することにより得られる。
【0021】
ブレンドは、通常の固体の混合機、たとえば、櫂型混合機、容器回転型混合機などを使用できる。
【0022】
本発明のPFAブレンド物中のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく重合単位は1〜10重量%である。1重量%未満では溶融成形が困難となり、10重量%超ではテトラフルオロエチレン重合体の優れた特性が損なわれる。
【0023】
また、本発明のPFAブレンド物の容量流速は、0.1〜100である。0.1未満では高分子量PFAとなり溶融成形性が低下し、100超では低分子量PFAとなり機械的特性が著しく低下する。
【0024】
【実施例】
[末端基の分析]
PFA粉末を340℃、20分間圧縮成形して厚さ0.25〜0.3mmのフィルムを赤外吸収スペクトル分析し、含有量既知のフィルムの赤外吸収スペクトルと比較して末端基の種類を決定し、その差スペクトルより末端基の個数を算出した。この分析法は、特公平4−83号公報に記載されている。
【0025】
[容量流速の測定]
溶融粘度の目安として、容量流速を採用した。測定方法は、島津製作所製高下式フローテスターを用い、PFAを内径11.3mmのシリンダーに入れ、温度380℃で5分間保った後、7kgのピストン荷重下に内径2.1mm、長さ8mmのオリフィスを通して押出した押出速度(mm3/sec)を容量流速とした。容量流速が大きいほど溶融粘度が低い。
【0026】
[実施例1]
水4372g、トリクロロトリフルオロエタン2719g、メタノール505g、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)286g、テラフルオロエチレン747gを反応器に仕込み、反応器の内温を50℃に昇温した。圧力は13.2kg/cm2であった。
【0027】
重合開始剤としてジ(パーフルオロブチリル)パーオキシドのトリクロロトリフルオロエタン1%溶液を仕込み重合を開始させた。重合の開始とともに低下する圧力を一定になるようにテトラフルオロエチレンを後添加した。重合開始剤は、重合速度が一定になるように断続的に合計18g仕込んだ。テトラフルオロエチレンの仕込み量が1140gで重合を停止した。
【0028】
得られたスラリー状のPFAに、水5000gを加え、撹拌しながら温度を70℃まで上げ、トリクロロトリフルオロエタンを留去するとともにPFAを造粒し、直径3mmのビーズ1170gを得た。
【0029】
得られたPFAは、(テトラフルオロエチレンに基づく重合単位)/(パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)に基づく重合単位)の組成が98.1/1.5(モル比)であり、容量流速が17.0であった。また、存在する末端基は、−CH2OHおよび−COFであり、炭素数106個あたり、−CH2OH末端基は220個、−COF末端基は2個であった。このビーズ状PFAを以下、重合上りPFAという。
【0030】
4リットルの反応器に重合上りPFA1kgを仕込み、密閉し、窒素ガスで充分に置換脱気し、フッ素ガス/窒素ガス組成が20/80(モル比)の混合ガスの圧力2kg/cm2、温度230℃の条件に4時間保った。フッ素化反応終了後、室温まで冷却し、未反応ガスをパージし、オートクレーブ内を充分窒素置換したのち中のPFA(以下、フッ素化PFAという)を得た。このフッ素化PFAの容量流速は16.6であった。炭素数106個あたりの−CH2OH末端基は存在せず、−COF末端基は1個以下であった。
【0031】
重合上りPFA1重量部に対してフッ素化PFA20重量部の割合でビーズの状態でブレンドし、径30mmの単軸押出機を用いてペレット化した。得られたペレットは−CH2OH末端基が11個、−COF末端基が1個以下であった。このペレットを340℃、30分間オーブンにいれて、発泡および容量流速の変化について試験を行った。発泡の度合いは少なく、容量流速の変化は−1%であった。
【0032】
[実施例2]
重合上りPFA1重量部に対してフッ素化PFA10重量部の割合でビーズの状態でブレンドし、実施例1と同様にしてペレット化した。得られたペレットは、−CH2OH末端基が17個、−COF末端基が1個以下であった。このペレットを実施例1と同様に340℃、30分間オーブンにいれて、発泡および容量流速の変化について試験を行った。発泡の度合いは少なく、容量流速溶融粘度の変化は−3%であった。
【0033】
[比較例1]
重合上りPFAの発泡および溶融粘度の変化について試験を実施例1と同様に行った結果、発泡の度合いは大きく、容量流速の変化は−35%であった。
【0034】
[比較例2]
実施例1のフッ素化PFAの発泡および溶融粘度の変化について試験を実施例1と同様に行った結果、発泡の度合いは少なく、容量流速の変化は+20%であった。
【0035】
【発明の効果】
炭素数106個あたり−CH2OH末端基が7〜40個、−COF末端基、−COOH末端基および、−CONH2末端基がそれぞれ6個以下であるPFAブレンド物は、高温時の溶融状態において発泡がなく、溶融粘度や機械的物性の低下の少ない効果を有する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、良好な加工性と熱安定性を有する溶融成形可能なテトラフルオロエチレン共重合体ブレンド物に関するものであり、さらには、高温で長時間放置しても溶融粘度や機械的物性の低下の少ないテトラフルオロエチレン共重合体ブレンド物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
テトラフルオロエチレンとパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)との共重合体(以下、PFAという)は溶融成形可能なフッ素樹脂として知られており、チューブやパイプ、継手、容器、電線被覆などの成形品、コーティング、ライニング、中空成形品の材料として幅広く用いられている。
【0003】
PFAはその重合機構より、PFAの分子末端に−COF基が微量生成する。また、分子量調節剤としてメタノールを使用する場合、−CH2OH基が分子末端に生成する。これらの末端基は、熱的に不安定なため末端基が多量に存在すると成形時の発泡やフッ酸の発生の原因となり、不良成形品の生成や成形機の金型の腐食などを起すことが知られている。
【0004】
従来より、これらの不安定末端基を安定化する技術が検討されている。特公昭46−23245号公報には、パーフルオロカーボン重合体をフッ素ラジカル源と密に接触させ、末端基を安定化する方法が提案されている。
【0005】
特開昭61−98709号公報には、PFA中の−COF末端基および−COOH末端基の少なくとも50%を−CONH2末端基に転換されるのに充分な時間、PFAとアンモニアまたはアンモニアを生成しうる窒素化合物とを接触させて、熱的に安定で−CH2OH基を炭素数106個あたり少なくとも15個有するPFAを製造する方法が開示されている。
【0006】
また、特公平4−83号公報には、PFAの−CH2OH末端基、−CONH2末端基、−COF末端基が炭素数106個あたり6個より少ないペレット状粒子の製造方法について、また、特公平7−30134号公報には、水性重合媒体中で調製したPFAのグラニュールの製造方法について、フッ素ガスと接触させて不安定末端基を減少させる方法が提案されている。
【0007】
特開平4−20507号公報では、フッ素ガスと接触させて−COF末端基および−COOH末端基の合計数を炭素数106個あたり7〜40個にし、ついでアンモニアガスと接触させることにより−COF末端基を完全に−CONH2末端基に変換する方法が提案されている。
【0008】
しかし、本発明者らは、−CH2OH末端基、−COF末端基、−COOH末端基を炭素数106個に対してそれぞれ6個より少ないPFAは、高温の溶融状態に長時間保持すると、分子の切断に由来すると考えられる溶融粘度低下が起こり、成形品の機械物性が低下してしまうという問題点があることを見出した。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、熱的に安定で、上記の高温の溶融状態に長時間保持しても溶融粘度低下が起こらないPFAを提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、メタノールを連鎖移動剤に用いて得られる−CH 2 OH末端基を100〜300個有するテトラフルオロエチレンと式1で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)の少なくとも一種との共重合体と、−CH 2 OH末端基が炭素数10 6 個あたり6個以下のフッ素化されたテトラフルオロエチレンと式1で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)の少なくとも一種との共重合体とを均一にブレンドして得られるブレンド物であって、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく重合単位を1〜10重量%含み、ブレンド物中の−CH2OH末端基の数が炭素数106個あたり7〜40個であり、−COF末端基、−COOH末端基および−CONH2末端基の数が炭素数106個あたりそれぞれ6個以下であり、380℃における下記容量流速が0.1〜100であるテトラフルオロエチレン共重合体ブレンド物に関する。
【0011】
【化2】
ただし、式1中、Rfは炭素数3〜5のパーフルオロアルキル基である。
【0012】
PFAの製造法として、パーフルオロカーボン、クロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、二酸化炭素などを溶媒とした溶液重合法または、水とパーフルオロカーボン、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、二酸化炭素などを溶媒とした懸濁重合法のいずれも採用できる。重合は、溶液重合、懸濁重合ともに、溶媒、テトラフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)の原料モノマー、連鎖移動剤、場合によってはその他の添加剤を重合反応器に添加され行われる。
【0013】
本発明における−CH2OH末端基を有するPFAを製造するために、連鎖移動剤としてメタノールを用いる。
【0014】
重合開始剤としては、通常のラジカル重合で用いられているものを使用できるが、得られるPFAの安定性の点からフッ素系の過酸化物が好ましい。
【0015】
メタノールを連鎖移動剤に用いて得られたPFAは、−CH2OH末端基が炭素数106個あたり100〜300個存在する。このPFAを成形するとき、PFA中の−CH2OH末端基が分解し、成形物中に発泡が生成する原因になるが、高温に溶融した状態で長時間保持してもPFAの溶融粘度がむしろ高くなり、得られる成形品の機械物性は向上する。
【0016】
その理由として、分解した−CH2OH末端基の一部分は末端基どうしが反応して結合すると推測される。したがって、成形中に発泡の生じない程度の−CH2OH末端基を有したPFAは、高温に溶融した状態で長時間保持しても溶融粘度の低下が抑えられると考えられる。
【0017】
PFAブレンド物中の−CH2OH末端基の数は、炭素数106個あたり7〜40個であり、特に7〜14個であることが好ましい。7個未満では高温に溶融した状態で長時間保持すると溶融粘度が低下してしまい、40個超では成形時の発泡の原因になる。
【0018】
また、−COF末端基、−COOH末端基および−CONH2末端基は熱的に不安定であり発砲の原因となるが、上記のように末端基どうしが反応しないため、これらの末端基の数が炭素数106個あたりそれぞれ6個である。
【0019】
メタノールを連鎖移動剤に用いて得られるPFAをフッ素化することにより所望の−CH2OH末端基の数とすることは、−CH2OH末端基がまず−COFに変化して−COF末端基の数が異常に増えてしまうため好ましくない。
【0020】
本発明のPFAブレンド物は、−CH2OH末端基が炭素数106個あたり6個以下のフッ素化されたPFAと、メタノールを連鎖移動剤に用いて得られる−CH2OH末端基を100〜300個有するPFAを均一にブレンドして得られる。好ましくはペレット化することにより得られる。
【0021】
ブレンドは、通常の固体の混合機、たとえば、櫂型混合機、容器回転型混合機などを使用できる。
【0022】
本発明のPFAブレンド物中のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく重合単位は1〜10重量%である。1重量%未満では溶融成形が困難となり、10重量%超ではテトラフルオロエチレン重合体の優れた特性が損なわれる。
【0023】
また、本発明のPFAブレンド物の容量流速は、0.1〜100である。0.1未満では高分子量PFAとなり溶融成形性が低下し、100超では低分子量PFAとなり機械的特性が著しく低下する。
【0024】
【実施例】
[末端基の分析]
PFA粉末を340℃、20分間圧縮成形して厚さ0.25〜0.3mmのフィルムを赤外吸収スペクトル分析し、含有量既知のフィルムの赤外吸収スペクトルと比較して末端基の種類を決定し、その差スペクトルより末端基の個数を算出した。この分析法は、特公平4−83号公報に記載されている。
【0025】
[容量流速の測定]
溶融粘度の目安として、容量流速を採用した。測定方法は、島津製作所製高下式フローテスターを用い、PFAを内径11.3mmのシリンダーに入れ、温度380℃で5分間保った後、7kgのピストン荷重下に内径2.1mm、長さ8mmのオリフィスを通して押出した押出速度(mm3/sec)を容量流速とした。容量流速が大きいほど溶融粘度が低い。
【0026】
[実施例1]
水4372g、トリクロロトリフルオロエタン2719g、メタノール505g、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)286g、テラフルオロエチレン747gを反応器に仕込み、反応器の内温を50℃に昇温した。圧力は13.2kg/cm2であった。
【0027】
重合開始剤としてジ(パーフルオロブチリル)パーオキシドのトリクロロトリフルオロエタン1%溶液を仕込み重合を開始させた。重合の開始とともに低下する圧力を一定になるようにテトラフルオロエチレンを後添加した。重合開始剤は、重合速度が一定になるように断続的に合計18g仕込んだ。テトラフルオロエチレンの仕込み量が1140gで重合を停止した。
【0028】
得られたスラリー状のPFAに、水5000gを加え、撹拌しながら温度を70℃まで上げ、トリクロロトリフルオロエタンを留去するとともにPFAを造粒し、直径3mmのビーズ1170gを得た。
【0029】
得られたPFAは、(テトラフルオロエチレンに基づく重合単位)/(パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)に基づく重合単位)の組成が98.1/1.5(モル比)であり、容量流速が17.0であった。また、存在する末端基は、−CH2OHおよび−COFであり、炭素数106個あたり、−CH2OH末端基は220個、−COF末端基は2個であった。このビーズ状PFAを以下、重合上りPFAという。
【0030】
4リットルの反応器に重合上りPFA1kgを仕込み、密閉し、窒素ガスで充分に置換脱気し、フッ素ガス/窒素ガス組成が20/80(モル比)の混合ガスの圧力2kg/cm2、温度230℃の条件に4時間保った。フッ素化反応終了後、室温まで冷却し、未反応ガスをパージし、オートクレーブ内を充分窒素置換したのち中のPFA(以下、フッ素化PFAという)を得た。このフッ素化PFAの容量流速は16.6であった。炭素数106個あたりの−CH2OH末端基は存在せず、−COF末端基は1個以下であった。
【0031】
重合上りPFA1重量部に対してフッ素化PFA20重量部の割合でビーズの状態でブレンドし、径30mmの単軸押出機を用いてペレット化した。得られたペレットは−CH2OH末端基が11個、−COF末端基が1個以下であった。このペレットを340℃、30分間オーブンにいれて、発泡および容量流速の変化について試験を行った。発泡の度合いは少なく、容量流速の変化は−1%であった。
【0032】
[実施例2]
重合上りPFA1重量部に対してフッ素化PFA10重量部の割合でビーズの状態でブレンドし、実施例1と同様にしてペレット化した。得られたペレットは、−CH2OH末端基が17個、−COF末端基が1個以下であった。このペレットを実施例1と同様に340℃、30分間オーブンにいれて、発泡および容量流速の変化について試験を行った。発泡の度合いは少なく、容量流速溶融粘度の変化は−3%であった。
【0033】
[比較例1]
重合上りPFAの発泡および溶融粘度の変化について試験を実施例1と同様に行った結果、発泡の度合いは大きく、容量流速の変化は−35%であった。
【0034】
[比較例2]
実施例1のフッ素化PFAの発泡および溶融粘度の変化について試験を実施例1と同様に行った結果、発泡の度合いは少なく、容量流速の変化は+20%であった。
【0035】
【発明の効果】
炭素数106個あたり−CH2OH末端基が7〜40個、−COF末端基、−COOH末端基および、−CONH2末端基がそれぞれ6個以下であるPFAブレンド物は、高温時の溶融状態において発泡がなく、溶融粘度や機械的物性の低下の少ない効果を有する。
Claims (1)
- メタノールを連鎖移動剤に用いて得られる−CH 2 OH末端基を100〜300個有するテトラフルオロエチレンと式1で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)の少なくとも一種との共重合体と、−CH 2 OH末端基が炭素数10 6 個あたり6個以下のフッ素化されたテトラフルオロエチレンと式1で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)の少なくとも一種との共重合体とを均一にブレンドして得られるブレンド物であって、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく重合単位を1〜10重量%含み、ブレンド物中の−CH2OH末端基の数が炭素数106個あたり7〜40個であり、−COF末端基、−COOH末端基および−CONH2末端基の数が炭素数106個あたりそれぞれ6個以下であり、380℃における下記容量流速が0.1〜100であるテトラフルオロエチレン共重合体ブレンド物。
容量流速:7kgのピストン荷重下に内径2.1mm、長さ8mmのオリフィスを通して押出される共重合体の容量流速(mm3/秒)である。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17689796A JP3550891B2 (ja) | 1996-07-05 | 1996-07-05 | テトラフルオロエチレン共重合体ブレンド物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17689796A JP3550891B2 (ja) | 1996-07-05 | 1996-07-05 | テトラフルオロエチレン共重合体ブレンド物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1017621A JPH1017621A (ja) | 1998-01-20 |
JP3550891B2 true JP3550891B2 (ja) | 2004-08-04 |
Family
ID=16021671
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17689796A Expired - Fee Related JP3550891B2 (ja) | 1996-07-05 | 1996-07-05 | テトラフルオロエチレン共重合体ブレンド物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3550891B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11236226B2 (en) | 2018-06-07 | 2022-02-01 | The Chemours Company Fc, Llc | Melt processible fluororesin composition and injection molded article formed from same |
Families Citing this family (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001018076A1 (fr) * | 1999-09-08 | 2001-03-15 | Daikin Industries, Ltd. | Fluoropolymere, et fil et cable electrique enrobe dudit fluoropolymere |
WO2001091989A1 (en) * | 2000-05-31 | 2001-12-06 | E.I. Dupont De Nemours And Company | Process for rotomolding with melt-extruded tfe/pave copolymer |
JP4618911B2 (ja) * | 2001-03-09 | 2011-01-26 | 倉敷紡績株式会社 | Pfa樹脂の改良方法 |
JP2008133952A (ja) * | 2001-04-26 | 2008-06-12 | Daikin Ind Ltd | フッ素系重合体粉末被覆オフィスオートメーション機器用ロール |
DE60229130D1 (de) | 2001-04-26 | 2008-11-13 | Daikin Ind Ltd | Pulverförmiges fluorhaltiges polymer und herstellungsverfahren dafür sowie beschichteter gegenstand |
US6653379B2 (en) | 2001-07-12 | 2003-11-25 | 3M Innovative Properties Company | Fluoropolymers resistant to stress cracking |
WO2004052987A1 (ja) * | 2002-12-11 | 2004-06-24 | Daikin Industries, Ltd. | フッ素樹脂組成物、フッ素樹脂組成物製造方法、半導体製造装置及び被覆電線 |
KR100769434B1 (ko) * | 2003-11-26 | 2007-10-22 | 다이킨 고교 가부시키가이샤 | 불소 수지 및 피복 전선 |
JP2007272076A (ja) * | 2006-03-31 | 2007-10-18 | Suzuka Fuji Xerox Co Ltd | 定着ローラーおよび該定着ローラーの製造方法およびテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体を材料としたチューブ |
US8058556B2 (en) | 2006-10-20 | 2011-11-15 | Daikin Industries, Ltd. | Fluorinated copolymer, electric wire, and method for production of the electric wire |
US8273991B2 (en) | 2006-10-20 | 2012-09-25 | Daikin Industries, Ltd. | Fluorine-containing copolymer and molded article |
WO2008080897A1 (en) * | 2007-01-03 | 2008-07-10 | Solvay Solexis, Inc. | Fluoroelastomer composition |
JP6428315B2 (ja) * | 2015-01-30 | 2018-11-28 | 株式会社オートネットワーク技術研究所 | 絶縁電線 |
-
1996
- 1996-07-05 JP JP17689796A patent/JP3550891B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11236226B2 (en) | 2018-06-07 | 2022-02-01 | The Chemours Company Fc, Llc | Melt processible fluororesin composition and injection molded article formed from same |
US11623984B2 (en) | 2018-06-07 | 2023-04-11 | Chemours-Mitsui Fluoroproducts Co., Ltd | Melt processible fluororesin composition and injection molded article formed from same |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH1017621A (ja) | 1998-01-20 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3550891B2 (ja) | テトラフルオロエチレン共重合体ブレンド物 | |
JP4252210B2 (ja) | 熱可塑性フルオロポリマーの混合物 | |
JP5298853B2 (ja) | 含フッ素共重合体及び成形品 | |
JP5232653B2 (ja) | コア/シェルポリマー | |
EP2058341B1 (en) | Process for producing melt-moldable tetrafluoroethylene copolymer | |
JPS6150486B2 (ja) | ||
JPH0830097B2 (ja) | 安定なテトラフルオルエチレン共重合体粒子の製造法 | |
JPH027963B2 (ja) | ||
WO2006123694A1 (ja) | フッ素樹脂組成物及び電線 | |
JPH1087746A (ja) | テトラフルオロエチレン共重合体造粒物とその製造方法 | |
EP0183022A2 (en) | Foamed articles of fluorocarbon resins | |
WO2017116842A1 (en) | Copolymers of perfluorotrivinyltriazine compounds and methods for synthesizing the copolymers | |
JP2679729B2 (ja) | 加硫可能な組成物 | |
CN101087835A (zh) | 热塑性卤代聚合物组合物 | |
JPS6023701B2 (ja) | テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロペン共重合体−含フツ素エラストマ−組成物 | |
JPS6023702B2 (ja) | 成形性の改良されたフツ素樹脂組成物 | |
JP2003519260A (ja) | テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとのパーフルオロ共重合体 | |
JP3791223B2 (ja) | エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体組成物 | |
JP3783443B2 (ja) | 成形性の改良されたエチレン/テトラフルオロエチレン系共重合体組成物 | |
JPH02117945A (ja) | フルオロエラストマー組成物 | |
JP3724257B2 (ja) | 重合体組成物およびその成形体 | |
JP3627497B2 (ja) | 含フッ素重合体組成物およびその成形体 | |
JP3864133B2 (ja) | 含フッ素共重合体の製造方法並びに該方法で得られた成形用含フッ素共重合体 | |
JPS6256887B2 (ja) | ||
JPS61162534A (ja) | フツ素樹脂発泡体の製法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040114 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20040330 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20040412 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |