JP3550202B2 - 表示装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は映像信号に基づいて画像表示を行なう表示装置に関し、特に、光源光を変調素子を通してスクリーン上に投射する投射型表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、プラズマ発光パネルや変調素子が、CRT表示装置に代わる小型で軽量な平面表示装置として注目されている。この平面表示装置は、表示動作において自ら光を放つ自発光型のものと、表示動作において独立した光源から入射する光の透過率を制御する透過率制御型のものとにほぼ分類できる。例えば、プラズマ発光パネルは自発光型に属し、変調素子は透過率制御型に属する。特に、この変調素子は次世代の表示装置の本命と考えられ、その技術開発が様々な実用分野で進められている。
【0003】
一般的な変調素子は、液晶デバイスハンドブックで紹介されているツイステッドネマティック型に代表されるように、偏光板を使用して線偏光された光を複屈折性または旋光性を示す液晶層に入射させることを特徴とする。しかし、こうした変調素子は、光源から得られる光量が偏光板を通過する際に約1/2に低下するという欠点を有する。
【0004】
最近では、上述した偏光板を必要としない変調素子が開発されている。この変調素子は、液晶材料が高分子樹脂中に含有される高分子分散型、あるいは微粒子が液晶材料中に含有される微粒子分散型の液晶層を、1対の透明な電極基板間、又は一方が透明で他方が反射特性を有する電極基板間に有し、この液晶層に入射した光線の空間的な伝搬方向を変調させる散乱型変調素子として機能する。この場合、光源光の利用効率は偏光板を用いた装置よりも向上される。
【0005】
高分子分散型液晶層を有する変調素子は、例えば電圧が印加されない電極間の画素領域において入射光線を散乱させる乳白色の光散乱状態に設定され、電圧が印加される電極間の画素領域において入射光線が散乱しにくい透明な光透過状態に設定される。このため、各画素領域の散乱性がその透過光および反射光の強度を映像信号に応じて変化するよう制御され、これら透過光および反射光のいずれか一方が投射光学系によりスクリーンに導かれる。
【0006】
微粒子分散型液晶層を有する変調素子の機能は、高分子型液晶層を有する変調素子のそれと基本的に同様である。
【0007】
また、この他の表示装置として、例えばSID93ダイジェスト1012ページ以降にマイクロ・ミラー・デバイス(DMD)が紹介されている。マイクロ・ミラー・デバイスは、2次元マトリクス状に配置されたマイクロミラーの角度を個々に変化させることにより、反射光線の方向を制御し、所望の方向に反射された反射光が投射光学系によりスクリーンに導かれるものである。マイクロ・ミラー・デバイスも、入射光線の空間的な伝搬方向を変調させるという点で微粒子分散型液晶層や高分子分散型液晶層を有する変調素子と同様に機能する。
【0008】
図1は、従来の投射型表示装置の構成を概略的に示す。図1において、光源部11は、光源であるランプ12およびこのランプ12からの光を集束させて平行光線にするコリメータ光学系13から構成される。散乱型変調素子14は、コリメータ光学系13から入射する平行光線の空間的な伝搬方向を2次元的に変調する機能を有し、例えば高分子分散型変調素子である。駆動回路20は、映像信号に応じて変調素子14を駆動する。投射光学系16は、変調素子14の透過光のうち、ある一定の角度範囲のものを取り出すための絞りユニット15を具備し、取り出された透過光をスクリーン17に投射する。このようにして、画像が映像信号に対応する光強度分布でスクリーン17上に表示される。
【0009】
ところで、表示画像のコントラストおよび明るさは、変調素子14から出射される光のうちで表示に使用される光線の角度分布に依存する。コントラストはこの角度分布が小さいほど向上し、明るさはこの角度分布が大きいほど向上する。すなわち、表示画像のコントラストと明るさとは互いに相反する関係にある。
【0010】
このため、特開平5−216004号、特開平5−188345号等は、変調素子14から出射される出射光線を絞る絞りユニット15の絞りサイズを可変とする構成とし、使用環境の明るさに応じて表示画像のコントラストと明るさとの関係を最適化する技術を開示する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、単に使用環境の明るさに応じて絞りサイズを可変としただけでは、コントラストと明るさの両方を満足のいく程度に向上させることは困難である。
【0012】
本発明の目的は、スクリーンが置かれた環境に応じてより見易い表示画像を得ることができる表示装置を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、画像の階調を正確に再現できる表示装置を提供することにある。
【0014】
本発明の更に他の目的は、環境温度条件によることなく優れた表示画像を得ることができる表示装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、光源と、この光源から出射された光を光変調する変調素子と、この変調素子を駆動する変調素子駆動手段と、前記光源と前記変調素子との間に配置され、前記光源から変調素子に入射する光束を制限する、そのサイズが可変の開口を有する第1の絞り手段と、前記変調素子から出射された光が投影される表示スクリーンと、前記変調素子から出射された光を表示スクリーンに投影する投射光学系と、前記変調素子と前記投射光学系との間に配置され、前記変調素子から前記投射光学系に入射する光束を制限する、そのサイズが可変の開口を有する第2の絞り手段と、前記第1及び第2の絞り手段の少なくとも一方の開口のサイズを制御する絞り制御手段と、少なくとも2つの光強度Iを設定する光強度設定手段と、これら光強度Iに対応する前記スクリーン上の表示輝度Lを検出する光センサーと、前記光強度I及び検出する表示輝度Lを式L=qI+L0(L0は表示装置が置かれた環境からの光に基づく前記表示スクリーン上の環境輝度)に代入することにより投射係数q及び環境輝度L0を求める環境解析手段と、前記求められた投射係数q及び環境輝度L0についての前記式から、表示スクリーン上のコントラストを求め、このコントラストが最大となる前記第1及び第2の絞り手段の少なくとも一方の開口のサイズを示すデータを格納する手段と、前記データ格納手段における前記コントラストを最大とする前記第1及び第2の絞り手段の少なくとも一方の開口のサイズを特定し、このサイズを最適値として決定する処理手段とを具備する表示装置を提供する。
【0016】
上記表示装置において、以下の態様が可能である。
【0075】
前記光強度設定手段は、前記変調素子駆動手段が変調素子に白画像信号を送ることによりスクリーンに白画像が表示された場合の変調光の光強度と、前記変調素子駆動手段が変調素子に黒画像信号を送ることによりスクリーンに黒画像が表示された場合の変調光の光強度を設定することを特徴とする表示装置。
【0076】
前記環境解析手段は、前記スクリーンに白画像が表示された状態で前記第1及び第2の絞り手段の少なくとも一方の開口のサイズを一定の割合で変化させ、変化した開口のサイズごとに測定された前記スクリ−ン上の表示輝度LONと、前記スクリーンに黒画像が表示された状態で前記第1及び第2の絞り手段の少なくとも一方の開口のサイズを一定の割合で変化させ、変化した開口のサイズごとに測定された前記スクリ−ン上の表示輝度LOFF とから、種々の開口のサイズについて得られたLONとLOFF の比をコントラストとして求め、このコントラストが最大となる開口のサイズを最適値として決定する処理手段を含むことを特徴とする表示装置。
【0077】
前記変調素子は、複数の色に対応する個数配置されていることを特徴とする表示装置。
【0078】
前記絞り制御手段は、前記第1及び第2の絞り手段の集光角を制御することを特徴とする表示装置。
【0079】
前記絞り制御手段は、前記第1及び第2の絞り手段の集光角がほぼ等しくなるように前記第1及び第2の絞り手段の少なくとも一方の開口のサイズを制御することを特徴とする表示装置。
【0080】
前記光源の近傍に配置され、前記光源の位置に焦点を有する回転楕円型ミラ−と、この回転楕円型ミラ−により反射された光を前記変調素子に入射させるコリメ−タ光学系とを更に具備することを特徴とする表示装置。
【0081】
前記変調素子は、分散型液晶素子、ディジタルミラ−素子、又は斜め電界による液晶回析素子であることを特徴とする表示装置。
【0082】
前記分散型液晶素子は、高分子分散型液晶素子又は微粒子分散型液晶素子であることを特徴とする記載の表示装置。
【0085】
【作用】
以下、本発明の種々の態様について、図面を参照して説明する。
【0086】
本発明の第1の態様に係る表示装置では、制御手段は絞り調整モードにおいて変調素子に所定条件で変調光を生成させ、この変調光がスクリーンに投射された状態におけるスクリーン上の明るさを検出し、この検出された明るさに応じて、表示画像のコントラスト及び明るさが最適値となるように、第1および第2絞り手段のうちの少なくとも一方の集光角、すなわち開口寸法を調整する。このような開口寸法の制御は、表示画像の明るさとコントラストとが、変調素子に入射する光束の角度分布に大きく依存するという本発明者が見い出した知見に基づいている。
【0087】
このように、変調素子に入射する光束の角度分布を反映したスクリーン上の明るさを、集光角の最適値の決定のための因子として用いることにより、スクリーンが置かれた環境の下でより見やすい表示画像を得ることができる。また、部屋の明るさが変化した場合でも、絞り調整モードにおいて集光角を自動的に最適値に修正できる。
【0088】
ここで、本発明の理解をより容易にするため、スクリーンに表示される画像の明るさとコントラストとの関係について説明する。
【0089】
図2は、ランプから平行光線を得るコリメータ光源の一例を示す。このコリメータ光源は、光軸に沿って並べられたランプ50、集束レンズ系51、絞り52、およびコンデンサレンズ53により構成される。
【0090】
実在するランプ50の特徴の一つは、光を一点から放つ点発光体ではないことにある。集束レンズ系51は、一定の面積を持ったランプ50の表面から放たれる光を半径Rの円形ランプ像60として絞り52において集束させる。絞り52は光軸に垂直な平面においてランプ像60の光束面積を制限する。従って、ランプ像60は絞り52の半径rによって決まる面積の面発光体62と考えられる。この面発光体62からの光束はコンデンサレンズ53を介して散乱型変調素子54に入射する。しかし、発光体62の平面的な広がりはこの変調素子54に入射する光線に角度分布をもたらす原因となる。
【0091】
図3はコンデンサレンズ53の入射光線を示す。このコンデンサレンズ53は面発光体62の中心に焦点を持つ充分収差の小さい凸レンズであり、この面発光体62から放射される光線を互いに平行にするために用いられる。ここで、面発光体62の中心をa点とし、面発光体62の端部をb点とすると、a点からコンデンサレンズ53に向かう同族光線は、コンデンサレンズ53の透過後いずれも光軸と平行となる。しかし、b点からコンデンサレンズ53に向かう同族光線は、コンデンサレンズ53の透過後いずれも光軸と一定の角度θをなす。この角度θはランプ像62のa点とb点の距離、すなわち半径rに比例する。コンデンサレンズ53は発光体62全体に対応して±θの角度で分布する光束を変調素子に向けて出射する。θがあまり大きくない範囲にあるとすれば、変調素子に入射した入射光束の角度分布Ωi は、立体角として次式(1)のように表すことができる。
【0092】
【数1】
上述のように、角度θはランプ像の半径rに比例するので、入射光束の角度分布Ωi とランプ像62の面積とは比例関係にある。このため、絞り52を通過して変調素子に入射する光束強度をIi で表すと、角度分布Ωi および光束強度Ii はr<Rの範囲において絞り52の半径rの増大に対応して単調増加傾向を示すことが分かる。
【0093】
次に、強度Ii の光束が入射する散乱型変調素子の表示特性について説明する。図4は、変調素子への入射光束の角度分布Ωi と変調素子からの出射光束の角度分布Ωo との関係を示す。単純化するため、入射光束は角度分布Ωi の範囲で一様でありこの範囲外に存在しないものとする。また、変調素子は散乱状態において入射光束を一様に散乱させる。この散乱能力は、角度分布を持たない入射光束に対応して得られる出射光束の角度分布Ωo をΩp として表される。
【0094】
この角度分布Ωp が入射光束の角度分布Ωi よりも充分に大きいとすれば、変調素子の表示特性は光源側および投射側絞りと以下のような関係となる。
【0095】
入射光束の角度分布Ωi は光源側絞りの状態を示し、その絞りの集光角ΩA1に対して次式(2)のようになる。
【0096】
【数2】
無散乱状態にある変調素子から得られる出射光束の角度分布Ωo をΩoON で表すと、この角度分布ΩoON は次式(3)に示すように入射光束の角度分布Ωi をそのまま反映する。
【0097】
Ωo =ΩoON =Ωi ‥‥‥(3)
散乱状態にある変調素子から得られる出射光束の角度分布Ωo をΩoOFFで表すと、この角度分布ΩoOFFは図4に示されるように変調素子の散乱能力を示す角度分布Ωp に入射光束の角度分布Ωi を重畳した形になるが、Ωi <Ωp という関係から次式(4)に示すように近似的にΩp とすることができる。
【0098】
【数3】
上述した出射光束は、その角度分布Ωo の範囲内で一様であり、投射側の絞りにより決まる一定の集光角ΩA2の範囲のみ取り出され表示される。次式(5)および(6)は入射光束強度Ii に対する出射光束の強度Io の関係を示す。
【0099】
Io =(ΩA2/Ωo )・Ii (ΩA2<Ωo の場合)‥(5)
この場合、出射光束の強度Io はΩo とΩA2の比で決まる。
【0100】
Io =Ii (ΩA2≧Ωo の場合)‥(6)
コントラストCRは、変調素子が散乱状態にある場合の出射光束強度IONと無散乱状態にある場合の出射光束強度IOFF の比として得られる。一般的にΩA2<Ωp であることから、ΩA2とΩA1の大小関係について場合分けすると、コントラストCRは次式(7)および(8)に示すようになる。
【0101】
すなわち、光源側絞りの集光角ΩA1および投射側絞りの集光角ΩA2のうちの大きい方の集光角をΩA で表すと、コントラストCRは次式(9)に示すように集光角ΩA と散乱能力を示す角度分布Ωp の比となる。
【0102】
CR=Ωp /ΩA ‥‥‥(9)
ここで、表示画像のコントラストおよび明るさ、すなわち出射光束強度IONを決定する集光角ΩA1とΩA2の大きさの関係を考える。ΩA1≦ΩA2の場合、白表示の出射光束強度IONは式(6)よりΩA2に依存せず一定であり、式(9)よりコントラストが最大になる条件はΩA1=ΩA2である。ΩA1≧ΩA2の場合、式(7)よりコントラストはCR=Ωp /ΩA1であり、式(5)よりION=Ii ΩA2/ΩA1である。従って、ΩA2=ΩA1(=Ωi )の時に出射光束強度IONが最大となる。この両者より、任意のコントラストに対して最も出射光束強度が強くなる条件、および任意の明るさにおいて最もコントラストが良くなる条件はΩA1=ΩA2である。以上のように、光源側絞りの集光角ΩA1と投射側絞りの集光角ΩA2が一致することが最も表示特性をよくする条件となる。
【0103】
以上の最適条件下で考えた場合でも、表示画像の明るさ、すなわち出射光束強度ION(=Ii )は絞りの半径rの増大に伴って向上するが、表示画像のコントラストCRはこれに伴って逆に低下することが分かる。すなわち、絞りの大きさを調整することによりIONおよびCRを変化させても、これらを共に向上させ得ないことが分かる。
【0104】
以上は定性的な考察であり、より詳細な考察は光学系の方式、ランプの特性等により個々に行なう必要があるが、表示画像の明るさとコントラストがトレードオフしてしまうという基本的な振る舞いは、高分子分散型、微粒子分散型、斜め電界による液晶回析格子(特願平6−298496号、特願平6−172935号)、あるいはDMD等の光の空間的な伝搬方向を変調する変調素子を使用した場合において共通である。
【0105】
ここで、高分子分散型液晶を散乱型変調素子として用いた投射型表示装置の動作によりスクリーンに表示される画像のコントラストについて考察する。この表示画像のコントラストはスクリーンを取り巻く環境に影響される。このため、照明された部屋におかれたスクリーン上に画像を表示させ、変調素子からの出射光束の強度および画像のコントラストを絞りの集光角に対応して測定した。図5は集光角に対応して測定された変調素子からの出射光束の強度および画像のコントラストを示す。この関係から最大コントラストをもたらす最適値が集光角の調整範囲内に存在することがわかる。
【0106】
表示装置の動作により画像がスクリーンに表示されるとき、このスクリーンの明るさLは表示画像の明るさLON又はLOFF とスクリーンが置かれた環境に依存する背景の明るさL0 との和になる。従って、実際のコントラストCRroomは明るさLONおよびLOFF を用いて次式(10)のように表される。
【0107】
CRroom=(LON+L0 )/(LOFF +L0 ) ‥‥‥(10)
背景の明るさL0 は、スクリーンが置かれた部屋の照明光および窓から採光される外光等の強さにこのスクリーンの表示形式(光透過型、光反射型)で決まる光透過率および光反射率の一方を乗じた値である。このL0 は、式(9)で得られる本来のコントラストCRを著しく低下させる影響力を持つため無視することはできない。
【0108】
L0 の値が充分小さい場合、コントラストは1/ΩA という本来の傾きに近い依存性を示し、集光角ΩA が小さいほどコントラストが良くなる。逆にL0 の値が充分大きい場合には、最大となる明るさがコントトラスト比に関して支配的になり、この集光角ΩA が大きいほどコントラストが大きくなる傾向になる。
【0109】
そこで、L0 が中間的な値である場合に絞り集光角ΩA に対応して得られるコントラストCRroomを考察する。絞りの集光角ΩA 、表示装置からの投射光の強度I、およびスクリーンの明るさLの関係は、正の比例係数kおよびqを用いることにより次式(11)のように示すことができる。
【0110】
L=kΩA =qI ‥‥‥(11)
次式(12)は、背景の明るさL0 を考慮した実際のコントラストCRroomを示す。
【0111】
L0 =0の場合、前述したように集光角ΩA が小さいほどコントラストが良くなる。次式(13)はL0 が0より大きい有限値である場合にコントラストを最大にするための必要条件を示す。
【0112】
【数4】
コントラストが最大となる点が存在する場合、それは背景の明るさL0 および絞りの集光角ΩA に依存した形になる。式(13)において集光角ΩA が実現可能な解を持つ場合、この解はコントラストCRroomを最大にする最適値となる。しかし、絞りの集光角ΩA は、実際の光源の大きさによってその上限が実質的に決まってしまう。すなわち、調整可能範囲の上限値が存在する。従って、L0 がある一定値を越えてしまった場合には、コントラストが調整範囲内で最大となるように、調整範囲内でΩA を最大とする設定が最適値となる。
【0113】
また、L0 がほぼ0の値である場合、集光角ΩA が小さいほどコントラストが良くなる。しかし、実際に集光角ΩA を小さくしすぎると、表示画像が暗くなって見づらくなる。このような場合、集光角ΩA は表示画像が見やすい範囲で最小とされる。
【0114】
【実施例】
以下、本発明の種々の態様に係る投射型表示装置について説明するが、その説明の前に、本発明の基本概念について説明する。
【0115】
図6は、本発明の基本概念を説明するための投射型表示装置の構成を示す。光学系に関し、投射型表示装置は、回転楕円型のミラー101、光源ランプ102、コンデンサレンズ103、電動絞り104、散乱型変調素子108、フィールドレンズ109、投射レンズ110、および電動絞り111を有する。ランプ102から得られた光は直接およびミラー101で反射してコンデンサレンズ103に入射する。コンデンサレンズ103はこの入射光を平行光線として散乱型変調素子108に入射させる。散乱型変調素子108は、高分子樹脂中に液晶材料が分散されて成る高分子分散型液晶層を光変調層として一対の透明電極基板間に備え、この光変調層により光の空間的な伝搬方向を映像信号に応じて変調する変調素子として駆動回路107により駆動される。散乱型変調素子108からの変調光はフィールドレンズ109を介して投射レンズ110に入射する。投射レンズ110は入射光を反射型スクリーンSCに投射する。すなわち、この投射型表示装置の基本的な表示原理は従来と同様である。
【0116】
この表示装置の特徴は、二つの電動絞り104および111を持つことにある。絞り104はコンデンサレンズ103に入射する光線の光束を絞るために設けられ、電動絞り111は投射レンズ110から投射される光線の光束を絞るために設けられる。各電動絞りは制御回路120により制御される内蔵サーボモータを有し、このサーボモータの動作により絞りサイズ、すなわち開口部の形状が調整される。この制御回路120は輝度信号平滑回路140からの入力信号Aおよびデコーダ121からの入力信号Bに基づいて絞り104および111を動作させ、散乱型変調素子108に入射する光束分布および表示に寄与する出射光束角度範囲を制御する。デコーダ121は外部の赤外線リモコンから送信される制御信号を受信しこれをデコードすることにより信号Bを得る。
【0117】
図13は制御回路120の入力信号AおよびBと絞りの集光角との関係を示す。絞りの状態は散乱型変調素子108の出射光束の中で絞りを通過する角度、すなわち集光角として示される。絞り111の集光角は、8.6×10−3srから1.1×10−3srの範囲で可変されるように設定される。また、絞り104も同じ角度範囲の光束を散乱型変調素子108に入射させるように制御される。
【0118】
制御回路120の入力信号Aは、映像信号に含まれる輝度信号の時間的平均強度であり、輝度信号平滑回路140により発生される。この輝度信号平滑回路140は図1に示されるように輝度信号のブランキングレベル(黒レベル)検出回路140AおよびRC積分回路140Bにより構成される。積分回路140Bの時定数RCは、抵抗Rを調整することにより変更できる。制御回路120の入力信号Aはブランキングレベル(黒レベル)検出回路140Aの出力(黒レベル)と輝度信号の差をRC積分回路140Bにより平均化することにより得られる。制御回路120の入力信号Bは、赤外線リモコンからの制御信号をデコーダ121によりデコードすることにより得られる信号であり、この信号は赤外線リモコンにより任意の値に設定することができる。この信号は、図18に示すように、入力信号Aの絞りに対する影響の強さを変化させるものであり。入力信号Bの値が充分小さくされると、絞りは集光角が最小の状態で入力信号Aによらず一定となる。逆に、入力信号Bの値が充分大きくされると、絞りは集光角が最大の状態で入力信号Aによらず一定となる。また、集光角を特定の値で固定する場合には、制御回路120に設けられる図示しない切り替えスイッチで入力信号Aが図18に示す中間の信号固定値で一定となるように設定される。
【0119】
また、駆動回路107の特徴は、平滑回路140Bの出力信号を入力の一つとして、散乱型液晶パネルを駆動する電圧に補正をかけることである。この補正では、デコーダ121からのデコード信号から制御回路120の動作状態が検出され、この制御回路に同期して駆動信号の平均強度の変化が小さくなる方向に補正される。従って、集光角が小さくなることで本来暗い投射映像がさらに暗なる場合に、散乱型液晶パネルの明るさが逆に増大する方向に修正され、最終的に得られる投射映像において明るさの変動が緩和される。
【0120】
上述した構成の表示装置を暗室で表示動作させたところ、高分子分散液晶の特性が不十分なためにコントラスト比が集光角1.1×10−3srの場合で70:1、8.6×10−3srの場合に18:1のコントラスト比となった。また、白表示時の光量は、集光角1.1×10−3srの場合に18lmであり、8.6×10−3srの場合に75lmの表示であった。絞りが固定の場合には、充分なコントラスト比を得るために、集光角が最小となる1.1×10−3srの状態で絞りを使用する必要がある。これに対して、実施例のように可変である場合には、明るい場面で全体の明るさを上げられるので、表示の印象は劇的に改善された。特に、星座や月世界の映像を収録したビデオソフトを使用して表示動作を行った場合、星座の場面で背景の黒が引き締まり、絞りを固定している場合とはまったく異なる非常に良好な表示となる。また、平均的な明るさの変化と絞りの調整速度の関係に関し、絞り調整の時定数を0.5秒から1秒程度に設定したところ、不自然さをあまり感じさせることなく表示特性を改善できた。
【0121】
次に、500luxの室内にて反射ゲイン13倍のスクリーンを用いて表示を行ったところ、室内光によるスクリーンの明るさがかなり気になる状態であり、集光角をほぼ最大の状態に設定したときに最も良い印象がえられた。この設定は、室内が充分暗い場合にはかえってコントラスト不足が気になってしまい、より集光角を小さくした場合に比べて悪い設定である。この実施例の表示装置を使用した場合、その使用環境の明るさが異なっても、表示特性を最適化して表示動作を行なえることが確認できた。
【0122】
人間の感覚は、明るい環境では、その明るさに対して暗い部分を黒として認識するので、明るい場面では黒表示に対する要求はあまり厳しくない。この場合は、コントラスト比よりもむしろ白部分が充分明るいことが重要である。
【0123】
逆に、暗い場面では、明るい黒と暗い黒との区別が明確になるよう暗さに対して感覚が敏感になる。白部分については、その周辺の黒部分との対比によりその明るさが強調されて見えるので、白部分の絶対的な明るさはあまり重要でない。この場合、コントラスト比が良く、黒が充分暗く表示されることが要求される。
【0124】
この投射型表示装置は、人間の感覚を満足するよう表示特性を変更することが可能であり、かつ従来では得られなかったような表示特性も得ることができる。すなわち、充分なコントラスト比の下で実質的な明るさを向上させることができる。
【0125】
この投射型表示装置は時間帯あるいは場所等に依存した様々な環境で実際に使用されることになる。特に外光(室内の照明、窓の採光部)がスクリーンに作用してその明るさを決めるため、黒の映像部分は非常に影響を受け易い。すなわち、スクリーン周辺が明る過ぎると、表示装置からの出力光が良好なコントラスト比であっても、スクリーンに表示された映像のコントラストは低下する。従って、このような状態ではコントラスト比よりも明るさを優先した表示が行われる。また、充分暗い部屋等では、白表示が少々暗くてもしっかりと黒が沈んで見えるように表示が行われる。
【0126】
この投射型表示装置は、周囲環境の諸条件により黒表示と白表示とのどちらを優先するかを任意に選択可能である。さらに、この表示装置は上述した良好な表示性能を有するにもかかわらず低消費電力である。
【0127】
尚、上述した例では、反射型のスクリーンSCがフロント側で表示画像を見るために用いられたが、透過型のスクリーンがリア側で表示画像を見るために用いられてもよい。
【0128】
さらに、この例では、表示装置が変調素子として設けられる散乱型液晶パネルの透過光を利用するように構成されたが、散乱型液晶パネルの反射光を利用するように構成されてもよい。この散乱型液晶パネルは高分子分散型液晶層の代わりに例えば微粒子分散型液晶層を光変調層として有するものでもよい。また、散乱型液晶パネルはDMD、TN型液晶や斜め電界による液晶回析格子等の変調素子に変更してもよい。
【0129】
以下、本発明の第1の態様に係る投射型表示装置について、図7を参照して説明する。
【0130】
図7において、投射型表示装置は、回転楕円型のミラー101、光源ランプ102、電動絞り104、コンデンサレンズ103、散乱型変調素子108、フィールドレンズ109、投射レンズ群110、および電動絞り111が光軸上に配置してなる光学系を具備している。ランプ102から得られた光は、直接およびミラー101で反射してコンデンサレンズ103に入射する。コンデンサレンズ103はこの入射光を互いに平行な光線として変調素子108に入射させる。この変調素子108は入射光の空間的な伝搬方向を2次元領域で変調するもので、変調素子駆動回路107により駆動される。この変調素子108は液晶材料が高分子樹脂中に分散された液晶層を一対の透明電極基板間に備えた液晶パネルである。フィールドレンズ109は変調素子108からの変調光を投射レンズ群110に導き、投射レンズ群110はこの変調光を反射型スクリーンSCに投射する。すなわち、この投射型表示装置の基本的な表示原理は従来と同様である。
【0131】
この表示装置では、電動絞り104が光源ランプ102およびコンデンサレンズ103間に配置され、電動絞り111が投射レンズ群110内に配置される。電動絞り104は変調素子108に入射される光線の角度範囲を制御するため光源ランプ102からの光源光の光束を絞り、電動絞り111はスクリーンSCに投射される光線の角度範囲を制御するため変調素子108からの変調光の光束を絞る。
【0132】
電動絞り104および111は、絞り駆動回路123により制御される内蔵サーボモータMを有し、このサーボモータの動作により絞りサイズ、すなわち開口部の形状、サイズが調整される。この開口部の形状は四角形あるいは円形等であってよく、特に好ましくは、図8(a)に示すように円形とし、サーボモータによってその半径rを変化させる構造であるとよい。また、図8(b)に示すようにサーボモータによって開口部の上下及び/又は左右が遮光される構造でもよい。なお、上下/左右を遮光して四角形の開口とすると、より好ましい。
【0133】
特に好ましくは、電動絞り104および111は、図8(c)〜(e)に示すように、カメラでよく使用されている絞りと同様の構成とするのがよい。図8(c)は、開口径が小の場合、図8(d)は、開口径が中間の場合、図8(e)は、開口径が大の場合をそれぞれ示す。
【0134】
図7に示す例では、電動絞り104および111の各々は耐熱性に優れた5枚のセラミックブレードCBにより構成されている。これらセラミックブレードCBの組み合わせにより構成される円形の開口の寸法、すなわち半径rをサーボモータMで変化させることにより、電動絞り104および111は、集光角が変化する円形の可変絞りとして機能する。
【0135】
さらに、この表示装置は、表示動作全体を制御する表示制御回路121、この表示制御回路121によって指定される輝度レベルに設定されたラスター信号を発生するラスター信号発生回路122、表示制御回路121によって指定される集光角、すなわち開口半径rを持つよう電動絞り104および111絞りの各々を駆動する絞り駆動回路123、スクリーンSCの明るさを検出しこの明るさに応じたアナログ電圧信号を発生する光センサ128、および光センサ128からの電圧信号をデジタル信号に変換して表示制御回路121に入力するための光センサインターフェース回路124を有する。
【0136】
表示制御回路121は、データバス125を介してラスター信号発生回路122、絞り駆動回路123、および光センサインターフェース回路124に接続され、光センサ128は光センサインターフェース回路124に接続され、絞り駆動回路123は電動絞り104および111絞りに接続され、変調素子駆動回路107は変調素子108に接続される。
【0137】
この表示装置は、ラスター信号発生回路122の状態によって制御される切替スイッチSW1およびSW3と、絞り調整を命じるプッシュスイッチSW2とを有する。スイッチSW1は映像信号が供給されるビデオ入力端131に接続される第1接点、ラスター信号発生回路122のラスター信号出力端に接続される第2接点、変調素子駆動回路107に接続される共通接点、およびラスター信号発生回路122のステータス出力端子に接続される制御端子を有する。
【0138】
スイッチSW2は、表示制御回路121の一対のスイッチ接続端子間に接続される。スイッチSW3は、可変抵抗127の一端に接続される第1接点、固定抵抗126の一端に接続される第2接点、絞り駆動回路123の抵抗接続端子の一方に接続される共通接点、およびラスター信号発生回路122のステータス出力端子に接続される制御端子を有する。固定抵抗126および可変抵抗127の他端は絞り駆動回路123の抵抗接続端子の他方に接続される。
【0139】
表示制御回路121は、スイッチSW2が押されたことを検出して絞り調整モードを設定する。ラスター信号発生回路122は通常は停止状態に維持されており、この絞り調整モードにおいて作動状態にされる。スイッチSW1は、ラスター信号発生回路122が停止状態にあるときに供給されるステータス信号の下で共通接点を第1接点に接続させ、ラスター信号発生回路122が作動状態にあるときに供給されるステータス信号の下で共通接点を第2接点に接続させる。
【0140】
すなわち、通常、スイッチSW1は映像信号を変調素子駆動回路107に供給し、スイッチSW3は可変抵抗127を絞り駆動回路123に接続する。ラスター信号発生回路122が絞り調整モードの設定により作動状態になった場合、スイッチSW1はラスター信号を変調素子駆動回路107に供給し、スイッチSW2は固定抵抗126を絞り駆動回路123に接続する。
【0141】
絞り駆動回路123は、固定抵抗126に接続された状態において電動絞り104および111を表示制御回路121によって指定される電動絞りの集光角、すなわち開口半径に調整する。可変抵抗器127はこうして設定された集光角をさらに修正するために設けられたもので、手動で操作される。絞り駆動回路123は可変抵抗127に接続された状態において可変抵抗127が操作されたとき、集光角の値を可変抵抗127の抵抗値に応じて正および負の方向に修正する。光センサ128は、例えばフォトダイオードと集光レンズで構成され、スクリーンSCの明るさは光センサ128から光センサインターフェース124を介して表示制御回路121に供給される信号に基づいて測定される。
【0142】
表示制御回路121は、様々なデータ処理を行なうマイクロプロセッサMPおよびこのマイクロプロセッサMPの制御プログラムおよび様々なデータを格納するメモリSMを有する。制御プログラムは絞り制御モードで最適な集光角を決定するための処理ルーチンを含む。
【0143】
次に、この表示装置の動作を図9および図10に示すフロ−チャ−トを参照して説明する。
【0144】
図9において、表示制御回路121は電源投入に伴って制御プログラムを実行することにより表示制御処理を行なう。この表示制御処理が開始されると、ステップS201でプッシュスイッチSW2が押されたかどうかがチェックされる。プッシュスイッチSW2が押されたことが検出されると、表示制御回路121はステップS202でラスター信号発生装置122を作動状態にするため、絞り調整モードを設定し、ラスター信号の輝度レベルを最高にするようラスター信号発生装置122に指定する。
【0145】
スイッチSW1はラスター信号発生装置122から発生されたラスター信号を変調素子駆動回路107に供給し、スイッチSW3は固定抵抗126を絞り駆動回路123に接続する。このとき、変調素子駆動回路107はラスター信号に対応して光透過率(変調度)が最大となるよう変調素子108を駆動し、スクリーンSC全体に白画像を表示させる最も明るい変調光を出射させる。その後、表示制御回路121は、ステップS203で様々な絞りの集光角に対するスクリーンSCの明るさを求める測定処理を行なう。
【0146】
図10はこの測定処理をさらに詳細に示す。表示制御回路121は変調素子108を実際に駆動するために要する応答時間を考慮して決定される0.5秒程度の所定時間が経過するのをステップS251で待ち、ステップS252で各絞りを最も絞った状態に設定するために集光角1.0×10−3sradを絞り駆動回路123に指定する。表示制御回路121は各絞りが最も絞られた状態で光センサ128により検出されたスクリーンの明るさをステップS254で測定する。この後、表示制御回路121はステップS253で集光角を0.5×10−3sradの割合で増加させ、集光角が増大される毎に光センサ128により検出されたスクリーンの明るさをステップS254で測定する。ステップS255で集光角が9.5×10−3sradという絞りを最も開いた状態にする値に達したことが検出されると、白画像を表示した場合の測定処理が終了し、図9に示すステップS204が実行される。
【0147】
このステップS204では、表示制御回路121はステップS202でラスター信号の輝度レベルを最低にするようラスター信号発生装置122に指定する。スイッチSW1およびSW2はステップS202のときと同様に機能する。このとき、変調素子駆動回路107はラスター信号に対応して光透過率(変調度)が最小となるよう変調素子108を駆動し、スクリーンSC全体に黒画像を表示させる最も暗い変調光を出射させる。この後、表示制御回路121は、ステップS205で再び図10に示す測定処理を行なう。黒画像を表示した場合の測定処理が終了すると、ステップS206が実行される。
【0148】
このステップS206では、表示制御回路121が集光角とコントラストとの関係を示すデータテーブルを作成する。このデータテーブルは、同一集光角に対してステップS203で得られた明るさの測定値とステップS205で得られた明るさの測定値との比をコントラストとして求めることにより作成される。表示制御回路121はステップS207でコントラストが最大となる最適な集光角をこのデータテーブルから探し出し、この最適な集光角を絞り駆動回路123に指定する。絞り駆動回路123がこの最適な集光角を持つよう電動絞り104および111の各々を駆動すると、表示制御回路121はラスター信号発生装置122を停止状態にするため絞り調整モードを解除し、再びステップS201を実行する。絞り調整モードの解除後、スイッチSW1はビデオ入力端に入力される映像信号を変調素子駆動回路107に供給し、スイッチSW3は可変抵抗127を絞り駆動回路123に接続する。
【0149】
上述した実施例では、スイッチSW2を押すことにより、コントラストが最大となる絞りの最適集光角が求められ、絞りがこの最適集光角を持つように自動的に調整される。可変抵抗器127はこの調整後利用可能になるので、最適集光角の下で得られる表示画像の明るさをさらに好みに応じて明るくまたは暗くなる方向に変更することができる。
【0150】
ここで、高分子分散型液晶を用いた変調素子で得られた表示実験の結果を示す。コントラストは集光角1.0×10−3sradの場合で70:1、集光角9.5×10−3sradの場合で18:1となった。また、白画像表示時の光量は、集光角1.0×10−3sradの場合で18lmで、集光角9.5×10−3sradの場合で75lmの表示であった。また、部屋の明るさを変えて表示実験を行ってみたが、その都度スイッチSW2を押すことで電動絞り104および111の集光角がコントラストを最大とする最適値に速やかに調整されるため、こうした使用環境の変化に対して容易に対処できる。
【0151】
次に、本発明の第1の態様に係る他の投射型表示装置の例について図11を参照して説明する。
【0152】
この表示装置は表示制御回路121に設けられたメモリSMの内容を除いて第7図に示す装置と全く同様のハードウエアで構成される。このため、同様部分を同一参照符号で示し、ハードウエア部分の説明を省略する。この実施例では、電動絞り104および111に共通な可変範囲にある様々な集光角と、これら集光角の下で白画像および黒画像をそれぞれ表示するために変調素子から出射される変調光強度との標準的な関係を示すデータテーブルが予めメモリSMに格納され、制御プログラムがこのテーブルを使用するために修正される。
【0153】
すなわち、表示制御回路121は、電源投入に伴って制御プログラムを実行することにより、図11に示す表示制御処理を行なう。この表示制御処理が開始されると、まずステップS301でプッシュスイッチSW2が押されたかどうかがチェックされる。プッシュスイッチSW2が押されたことが検出されると、表示制御回路121はステップS302でラスター信号発生装置122を作動状態にするため絞り調整モードを設定し、2.1×10−3sradという標準的な絞りの集光角を絞り駆動回路123に指定し、さらにステップS303でラスター信号の輝度レベルを最高にするようラスター信号発生装置122に指定する。
【0154】
スイッチSW1は、ラスター信号発生装置122から発生されたラスター信号を変調素子駆動回路107に供給し、スイッチSW3は、固定抵抗126を絞り駆動回路123に接続する。このとき、変調素子駆動回路107はラスター信号に対応して光透過率(変調度)が最大となるよう変調素子108を駆動し、スクリーンSC全体に白画像を表示させる最も明るい変調光を出射させる。その後、表示制御回路121は、変調素子108を実際に駆動するために要する応答時間を考慮して決定される0.5秒程度の所定時間が経過するのをステップS304で待ち、絞りの集光角が2.1×10−3sradに設定された状態で光センサ128により検出された明るさをステップS305で測定する。
【0155】
さらに、表示制御回路121は、ステップS306でラスター信号の輝度レベルを最低にするようラスター信号発生装置122に指定する。スイッチSW1およびSW3はステップS303のときと同様に機能する。このとき、変調素子駆動回路107はラスター信号に対応して光透過率(変調度)が最小となるよう変調素子108を駆動し、スクリーンSC全体に黒画像を表示させる最も暗い変調光を出射させる。
【0156】
その後、表示制御回路121は、変調素子108を実際に駆動するために要する応答時間を考慮して決定される0.5秒程度の所定時間が経過するのをステップS307で待ち、絞りの開口角が2.1×10−3sradに設定された状態で光センサ128により検出された明るさをステップS308で測定する。
【0157】
表示制御回路121は、ステップS309で、白画像をスクリーンに表示した状態において得られる明るさLONと、変調素子108から出射される変調光の強度IONと、背景の明るさL0 との関係を表す式LON=qION+L0 、並びに黒画像がスクリーンに表示された状態において得られる明るさLOFF と、変調素子108から出射される変調光の強度IOFF と、背景の明るさL0 との関係を表す式LOFF =qIOFF +L0 に含まれる投射係数qおよび背景の明るさL0 を求める。すなわち、ステップS305およびS308で得られたLONおよびLOFF の測定値が変調光の強度IONおよびIOFF と共にこれらの式に代入される。ここでqは正の定数であり、IONおよびIOFF はメモリSMに格納されたデータテーブルから得られる値である。
【0158】
その後、ステップS310で、表示制御回路121は、ステップS309で既知となったqおよびL0 をステップS309で示したLON=qION+L0 およびLOFF =qIOFF +L0 という2つの式に代入し、さらに絞りに共通な可変範囲において集光角を変化させたとしてデータテーブルから得られる変調光の強度IONおよびIOFF をこられの式に代入することによりコントラストLON/LOFF が最大となる集光角を求め、ステップS311でこの集光角を絞り駆動回路123に指定する。
【0159】
絞り駆動回路123がこの集光角を持つよう電動絞り104および111の各々を駆動すると、表示制御回路121はステップS312でラスター信号発生装置122を停止状態にするため絞り調整モードを解除し、再びステップS301を実行する。絞り調整モードの解除後、スイッチSW1はビデオ入力端に入力される映像信号を変調素子駆動回路107に供給し、スイッチSW3は可変抵抗127を絞り駆動回路123に接続する。
【0160】
この第2の実施例では、第1の実施例と同様にスイッチSW2を押すことにより、コントラストが最大となる絞りの最適な集光角が求められ、絞りがこの最適集光角を持つよう自動的に調整される。可変抵抗器127はこの調整後利用可能になるので、最適集光角の下で得られる表示画像の明るさをさらに好みに応じて明るくまたは暗くなる方向に変更することができる。
【0161】
さらにこの実施例では、絞りの集光角を短時間で最適化することができる。すなわち、第1の実施例では、白画像および黒画像をスクリーンに表示させた状態で、可変範囲において0.5×10−3sradの割合で絞りの集光角を変化させ、その度にスクリーンの明るさを測定しなくてはならない。これに対し、第2実施例では、スクリーンの明るさを測定する回数がメモリSMに予め用意されたデータテーブルを利用することによりを2回に低減でき、その結果絞りの集光角を最適化するために必要とされる時間を5秒以下にすることが可能になる。
【0162】
また、この第2の実施例においては、式L=q I+L0 におけるq およびL0 を推定するために、標準的な集光角において得られる最も明るい光強度IONの変調光および最も暗い光強度IOFF の変調光の2つを各々出射光として用いて明るさLを測定したが、それ以外の変調状態を用いても本発明の主旨を損なうものではない。
【0163】
例えば、所定の中間調レベルに設定された変調素子の変調度において集光角を最大としたときに得られる変調光の光強度IAMAXおよび集光角を最小にしたときに得られる変調光の光強度IAMINと、これら変調光をそれぞれ出射光として用いて測定された明るさLAMAXおよびLAMINとを次式に代入することによりq およびL0 を求めてもよい。
【0164】
LAMAX = qIAMAX + L0
LAMIN = qIAMIN + L0
要点は、q およびL0 を求めるために少なくとも2つの異なる光強度の変調光をスクリーンSCに投射し、このときに得られるスクリーンSCの明るさを測定することにある。ただし、q およびL0 の精度はこれら変調光の強度差が大きいほどが向上することから、一方の変調光の強度を最大に設定し他方の変調光の強度を最小にすることが好ましい。
【0165】
また、2つの異なる強度の変調光を投射する代わりに例えば3つ以上n個の異なる変調光を投射こともできる。これら変調光の投射により得られる明るさは、次式によって表される。
【0166】
Li = q Ii + L0 (i = 1,2,… n)
この場合、q およびL0 を最小自乗法等の手法を用いて求めてもよい。これらq およびL0 が求められれば、様々な比q /L0 に対する最適な絞り状態の関係を示す一次元のデータテーブルから、求めたq およびL0 の比に対応する最適な絞りの状態を決定することができる。
【0167】
尚、上述した各実施例では、反射型のスクリーンSCがフロント側で表示画像を見るために用いられたが、透過型のスクリーンがリア側で表示画像を見るために用いられてもよい。
【0168】
さらに、各実施例では、表示装置が変調素子の透過光を変調光として利用するように構成されたが、変調素子の反射光を利用するように構成されてもよい。また、変調素子は高分子分散型液晶の代わりに例えば微粒子分散型液晶あるいはDMD、斜め電界による液晶回析格子等を利用するものでもよい。
【0169】
以上説明したように、本発明の第1の態様によれば、変調素子に入射する光束の角度分布を反映するスクリーンの明るさを検出し、この値が表示画像のコントラストを最大とする絞り調整に利用されるため、スクリーンが置かれた環境の下でより見易い表示画像を得ることができる。
【0170】
次に、本発明の第2の態様に係る投射型表示装置について説明する。
【0171】
図12はこの投射型表示装置の構成を示す。光学系に関し、投射型表示装置は、回転楕円型のミラー101、光源ランプ102、コンデンサレンズ103、電動絞り104、変調素子108、フィールドレンズ109、投射レンズ110、および電動絞り111を有する。ランプ102から得られた光は直接およびミラー101で反射してコンデンサレンズ103に入射する。コンデンサレンズ103はこの入射光を平行光線として変調素子108に入射させる。変調素子108は、高分子樹脂中に液晶材料が分散されて成る高分子分散型液晶層を光変調層として一対の透明電極基板間に備え、この光変調層により光の空間的な伝搬方向を映像信号に応じて変調する変調素子として駆動回路107により駆動される。変調素子108からの変調光はフィールドレンズ109を介して投射レンズ110に入射する。投射レンズ110は入射光を反射型スクリーンSCに投射する。すなわち、この投射型表示装置の基本的な構成は、図7に示す投射型表示装置と同様である。
【0172】
この表示装置は、図7に示す装置と同様、二つの電動絞り104および111を具備している。絞り104はコンデンサレンズ103に入射する光線の光束を絞るために設けられ、電動絞り111は投射レンズ110から投射される光線の光束を絞るために設けられる。各電動絞りの制御回路120は、輝度信号平滑回路140からの入力信号A、デコーダ129からの入力信号B、及び光センサインタ−フェ−ス回路124からの信号Cに基づいて絞り104および111を動作させ、変調素子108に入射する光束分布および表示に寄与する出射光束角度範囲を制御する。デコーダ129は、外部の赤外線リモコンから送信される制御信号を受信し、これをデコードすることにより信号Bを得る。
【0173】
図13は制御回路120の入力信号AおよびBと絞りの集光角との関係を示す。絞りの状態は変調素子108の出射光束の中で絞りを通過する角度、すなわち集光角として示される。絞り111の集光角は、8.6×10−3srから1.1×10−3srの範囲で可変されるように設定される。また、絞り104も同じ角度範囲の光束を変調素子108に入射させるように制御される。
【0174】
制御回路120の入力信号Aは、映像信号に含まれる輝度信号の時間的平均強度であり、輝度信号平滑回路140により発生される。この輝度信号平滑回路140は、図10に示されるように、輝度信号のブランキングレベル(黒レベル)検出回路140AおよびRC積分回路140Bにより構成される。積分回路140Bの時定数RCは、抵抗Rを調整することにより変更できる。制御回路120の入力信号Aはブランキングレベル(黒レベル)検出回路140Aの出力(黒レベル)と輝度信号の差をRC積分回路140Bにより平均化することにより得られる。
【0175】
制御回路120の入力信号Bは、赤外線リモコンからの制御信号をデコーダ129によりデコードすることにより得られる信号であり、この信号は赤外線リモコンにより任意の値に設定することができる。この信号は、図12に示すように、入力信号Aの絞りに対する影響の強さを変化させるものであり、入力信号Bの値が充分小さくされると、絞りは集光角が最小の状態で入力信号Aによらず一定となる。逆に、入力信号Bの値が充分大きくされると、絞りは集光角が最大の状態で入力信号Aによらず一定となる。また、集光角を特定の値で固定する場合には、制御回路120に設けられる図示しない切り替えスイッチで入力信号Aが図12に示す中間の信号固定値で一定となるように設定される。
【0176】
また、駆動回路107の特徴は、平滑回路140Bの出力信号を入力の一つとして、散乱型液晶パネルを駆動する電圧に補正をかけることである。この補正では、デコーダ129からのデコード信号から制御回路120の動作状態が検出され、この制御回路に同期して駆動信号の平均強度の変化が小さくなる方向に補正される。従って、集光角が小さくなることで本来暗い投射映像がさらに暗くなる場合に、散乱型液晶パネルの明るさが逆に増大する方向に修正され、最終的に得られる投射映像において明るさの変動が緩和される。
【0177】
以上のようにして、入力信号Aが図12に示す中間の信号固定値で一定となるように設定されると、次に、光センサインタ−フェ−ス回路124からの信号Cに基づいて絞りが制御される。
【0178】
次に、図12に示す表示装置における平均映像レベル(APL)検出回路140について、図14〜図17を参照して具体的に説明する。
【0179】
図14に示す平均映像レベル(APL)検出回路140では、入力端子151から正極性の映像信号が入力され、カップリングコンデンサ−171を介してトランジスタ174のコレクタに加えられる。トランジスタ174のコレクタには、電源端子161に供給される電源電圧VCCを抵抗172,173により分圧した電圧がバイアスされている。
【0180】
トランジスタ174のベ−スには、端子162から抵抗175を介してゲ−トパルスが加えられる。このトランジスタ174において、ゲ−トパルスの期間、平均映像レベル(APL)が検出される。検出される期間は、例えば映像信号のブランキング期間である。
【0181】
次に、検出されたAPLは、バッファトランジスタ176を介して、整流ダイオ−ド177と抵抗178とコンデンサ−179とからなる時定数回路でピ−ク整流され、トランジスタl80と抵抗181とからなるバッッファアンプと抵抗182を介して、以下のような信号が得られる。
【0182】
図15は、APLの低い映像信号の場合、及びAPLの高い映像信号の場合の、トランジスタ174のコレクタ入力、バッファトランジスタ176のエミッタ出力、及びバッファトランジスタl80のエミッタ出力を示す。図15から、バッファトランジスタl80のエミッタ出力は、APLが低いときは低く、APLが高いときは高くなることがわかる。この電圧変化は、抵抗182を介して得られる。
【0183】
図16は、APL検出回路の他の例を示す回路図である。端子151に例えば同期信号の先端がクランプされた映像信号を入力するものとする。ここでトランジスタ190は抵抗191とコンデンサ192とからなる並列回路を介して電源端子161に接続されており、トランジスタ190のエミッタは、抵抗193とツェナダイオ−ド194とを介して基準電位点に接続されている。
【0184】
トランジスタ190のコレクタは、PNP型トランジスタ195のベ−スに接続されており、PNP型トランジスタ195のエミッタは、抵抗196とコンデンサ197とからなる並列回路を介して電源端子162に接続され、かつトランジスタl80のベ−スに接続されている。トランジスタl80、抵抗182は、図15に示すものと同様である。
【0185】
図16に示す構成の回路において、トランジスタ190のベ−スに、クランプされた映像信号を入力すると、トランジスタ190のコレクタからは、ツェナダイオ−ド194で設定されたしきい値以上のレベルの信号が反復増幅されて出力される。この信号はトランジスタ195のベ−ス・エミッタにより整流され、トランジスタl80を介して取り出される。
【0186】
このトランジスタl80のエミッタ出力により、誤差増幅器150の入力端(−)の基準電圧が変化する。このようにすることにより、トランジスタ190のコレクタ入力、バッファトランジスタ195のエミッタ出力は、図17に示すようになる。なお、図17において、ハッチングが付された部分は、トランジスタ195により増幅された部分であり、このしきい値以下の部分がトランジスタ180のベ−ス・エミッタ間を通して整流される。
【0187】
上述した図12に示す構成の表示装置を暗室で表示動作させたところ、高分子分散液晶の特性が不十分なためにコントラストが集光角1.1×10−3srの場合で70:1、8.6×10−3srの場合に18:1のコントラストとなった。また、白表示時の光量は、集光角1.1×10−3srの場合に18lmであり、8.6×10−3srの場合に75lmの表示であった。絞りが固定の場合には、充分なコントラストを得るために、集光角が最小となる1.1×10−3srの状態で絞りを使用する必要がある。これに対して、実施例のように可変である場合には、明るい場面で全体の明るさを上げられるので、表示の印象は劇的に改善された。特に、星座や月世界の映像を収録したビデオソフトを使用して表示動作を行った場合、星座の場面で背景の黒が引き締まり、絞りを固定している場合とはまったく異なる非常に良好な表示となる。また、平均的な明るさの変化と絞りの調整速度の関係に関し、絞り調整の時定数を0.5秒から1秒程度に設定したところ、不自然さをあまり感じさせることなく表示特性を改善できた。
【0188】
次に、500luxの室内にて反射ゲイン13倍のスクリーンを用いて表示を行ったところ、室内光によるスクリーンの明るさがかなり気になる状態であり、集光角をほぼ最大の状態に設定したときに最も良い印象がえられた。この設定は、室内が充分暗い場合にはかえってコントラスト不足が気になってしまい、より集光角を小さくした場合に比べて悪い設定である。この実施例の表示装置を使用した場合、その使用環境の明るさが異なっても、表示特性を最適化して表示動作を行なえることが確認できた。
【0189】
人間の感覚は、明るい環境では、その明るさに対して暗い部分を黒として認識するので、明るい場面では黒表示に対する要求はあまり厳しくない。この場合は、コントラストよりもむしろ白部分が充分明るいことが重要である。
【0190】
逆に、暗い場面では、明るい黒と暗い黒との区別が明確になるよう暗さに対して感覚が敏感になる。白部分については、その周辺の黒部分との対比によりその明るさが強調されて見えるので、白部分の絶対的な明るさはあまり重要でない。この場合、コントラストが良く、黒が充分暗く表示されることが要求される。 この実施例の投射型表示装置は、人間の感覚を満足するよう表示特性を変更することが可能であり、かつ従来では得られなかったような表示特性も得ることができる。すなわち、充分なコントラストの下で実質的な明るさを向上させることができる。
【0191】
この投射型表示装置は時間帯あるいは場所等に依存した様々な環境で実際に使用されることになる。特に外光(室内の照明、窓の採光部)がスクリーンに作用してその明るさを決めるため、黒の映像部分は非常に影響を受け易い。すなわち、スクリーン周辺が明る過ぎると、表示装置からの出力光が良好なコントラストであっても、スクリーンに表示された映像のコントラストは低下する。従って、このような状態ではコントラストよりも明るさを優先した表示が行われる。また、充分暗い部屋等では、白表示が少々暗くてもしっかりと黒が沈んで見えるように表示が行われる。
【0192】
この実施例の投射型表示装置は、周囲環境の諸条件により黒表示と白表示とのどちらを優先するかを任意に選択可能である。さらに、この表示装置は上述した良好な表示性能を有するにもかかわらず低消費電力である。
【0193】
尚、上述した実施例では、反射型のスクリーンSCがフロント側で表示画像を見るために用いられたが、透過型のスクリーンがリア側で表示画像を見るために用いられてもよい。
【0194】
さらに、この実施例では、表示装置が光変調素子として設けられる散乱型液晶パネルの透過光を利用するように構成されたが、散乱型液晶パネルの反射光を利用するように構成されてもよい。この散乱型液晶パネルは高分子分散型液晶層の代わりに例えば微粒子分散型液晶層を光変調層として有するものでもよい。また、散乱型液晶パネルはDMD等の光変調素子に変更してもよい。
【0195】
本実施例に係る表示装置では、映像を明るい場面ではより明るくし暗い場面ではより暗く表示することが可能であり、実効的なコントラストおよび明るさが向上する。これは、図18に示すように絞りの状態により表示特性が変化するためである。図18において、絞りの状態は光変調素子の出射光束の中で絞りを通過する角度、すなわち集光角の形で示される。集光角が小さい場合には、表示が全体的に暗くなるが、特に黒表示の場合に暗くなるためにコントラストは良くなる。これに対して、集光角を大きくすると、白表示だけでなく、黒表示の部分もより明るくなって、コントラストが小さくなってしまう。これに対して、表示の明るさに対応して集光角を変えることで最大輝度と最小輝度を表示に利用できるようになる。
【0196】
また、明るい環境では、明るさを重視した表示特性を得るとことができ、暗い環境では黒レベルを重視した高コントラストの表示特性をすることができる。すなわち、図19に示すように、外部の明るさのために、表示スクリーンの明るさが常に一定以上である場合、黒レベルはそれよりも下がらないので、表示装置の出力光束が小さくなってもあまり意味を持たなくなる。従って、この場合には絞りを開けて明るさを重視した表示を行なうことで、環境も含めた全体の表示特性が良くなる。
【0197】
以上説明したように、第2の態様によれば、スクリーン上に表示される映像のコントラストと明るさを適切に制御することができる。
【0198】
次に、本発明の第3の実施態様について説明する。
【0199】
第1及び第2の態様に係る表示装置において、或いは従来の表示装置において、絞りの集光角が調整されると、所望の透過光強度が、輝度信号電圧に対応して生成される駆動電圧の下で得られなくなってしまう。すなわち、表示画像の階調が正確に再現されなくなる。さらに変調素子が赤、緑、および青の色成分で構成されるカラー画像を表示する場合、これら色成分相互の階調バランスが集光角の変化に伴い変化し、表示画像の色調を変化させる結果となる。
【0200】
また、上述の投射型表示装置にあっては、種々の環境下で表示状態の最適化を図ることができるものの、明るさ優先の表示を行う際と、コントラスト優先の表示を行う際とで、液晶パネルへ入射される光線の角度分布が異なることに起因したコントラストの低下や表示品位劣化がある。そして、このような表示品位の劣化は、液晶パネルへ入射される光束の変化に起因した液晶パネルの画素スイッチ素子の光リーク電流の変動によって生ずる。
【0201】
本発明の第3の態様は、上述した技術課題に鑑みなされたものであって、画像の階調を正確に再現するものであるとともに、各種環境下で良好な表示画像が得られ、特に明るい環境下の使用であっても、表示品位の優れた投射型表示装置を提供する。
【0202】
まず、液晶パネルの光リ−クのない場合においての変調素子の駆動電圧−変調光強度特性の集光角制御依存性について、発明者らの考察によれば、変調素子の駆動電圧−変調光強度特性は図20のようになる。図20において、特性曲線Y1は、標準的な5度の集光角において得られる変調素子の駆動電圧と透過光(変調光)強度との相対的な関係を表す。この特性曲線Y1は、絞りを開いたときに曲線Y2で示すようにシフトし、絞りを絞ったときに曲線Y3で示すようにシフトする。これは、同一駆動電圧に対する透過光強度を変化させることになる。例えば変調素子の特性曲線Y1が曲線Y2にシフトした場合、変調素子の透過率は、図21に示すように、0.6Vの輝度信号電圧に対して設定されるべき値である0.6よりも高い値に設定される。
【0203】
このような駆動電圧−変調光強度特性の絞りに対する依存性は、以下に説明する原因によるものと考えられる。即ち、変調素子に対する入射光束の分布は、図22に示すように、絞りの集光角によって決まる出射光束の分布に等しい。変調素子は、図23に示すように、光を散乱させる散乱性を持ち、絞りの集光角が図22においてA,B,およびCで示すように変化する場合、出射光束は、これら集光角A,B,およびCについてそれぞれ図24A,図24B,および図24Cに示すように分布する。
【0204】
しかし、これら出射光束は、例えば出射側の絞りにより、入射光束の分布と同じ一定角度範囲の部分を除いて遮られてしまうため、これらの図においてハッチングで示す部分だけが表示に関与する出射光束として有効なものとなる。この遮光部分に対する有効部分の比率は、これらの図から明らかなように、集光角が広いほど大きくなる。
【0205】
変調素子の相対透過率は、入射光束の全てが変調素子で散乱されず出射側の絞りを通過する出射光束の光束量と、変調素子の散乱性により散乱された時に出射側の絞りを透過する出射光束の光束量との比である。変調素子が図23のような散乱性を示す場合、図22にA,B,Cで示すような入射光束および出射光束となる絞り量について、透過率はそれぞれ図24(a),(b),(c)示す様になる。すなわち、集光角が広いほど、入射光束に対する出射側の絞りを透過する出射光束の割合が大きくなることがわかる。
【0206】
本発明の第3の態様に係る表示装置によれば、補償回路が絞り制御部に連動して変調素子の駆動電圧−変調光強度特性の変化を補償する。このため、絞り量を調整して画像の明るさを変化させた場合でも、適切にガンマ補正を行なうことが可能となる。従って、階調の潰れおよび不自然な色調の変化等が防止される。
【0207】
以下、本発明の第3の態様に係る投射型表示装置について、図面を参照して説明する。
【0208】
図25は、この投射型表示装置の全体構成を示す。この投射型表示装置は、回転楕円型のミラー101、光源ランプ102、電動絞り104、コンデンサレンズ103、散乱型変調素子108、フィールドレンズ109、投射レンズ群110、および電動絞り111が光軸上に並べられた光学系を有する。ランプ102から得られた光は直接およびミラー101で反射してコンデンサレンズ103に入射する。コンデンサレンズ103はこの入射光を互いに平行な光線として変調素子108に入射させる。この変調素子108は入射光の空間的な伝搬方向を2次元領域において変調するもので、ガンマ補正回路210および極性反転/非反転増幅回路211で構成される駆動回路により駆動される。
【0209】
変調素子108は、液晶材料が高分子樹脂中に分散された液晶層を一対の透明電極基板間に保持する高分子分散型液晶パネルであり、複数のカラー画素グループが液晶パネルにおいてマトリクス状に配置される。各画素グループは赤、緑、および青の画素で構成される。フィールドレンズ109は変調素子108からの変調光を投射レンズ群110に導き、投射レンズ群110はこの変調光を反射型スクリーンに投射する。即ち、この投射型表示装置の基本的な表示原理は従来と同様である。
【0210】
この表示装置では、電動絞り104が光源ランプ102およびコンデンサレンズ103間に配置され、電動絞り111が投射レンズ群110内に配置される。電動絞り104は変調素子108に入射される光線の角度範囲を制御するため光源ランプ102からの光源光の光束を絞り、電動絞り111はスクリーン109に投射される光線の角度範囲を制御するため変調素子108からの変調光の光束を絞る。電動絞り104および111の各々は耐熱性に優れた5枚のセラミックブレードおよびサーボモータを有し、セラミックブレードの組み合わせにより構成される円形の開口の寸法、すなわち半径をサーボモータで変化させることにより集光角が変化する円形の可変絞りとして機能する。
【0211】
この表示装置には、カラー映像信号を赤,緑,青の色成分に分解することにより得られる3つの輝度信号R,G,およびBが供給される。各輝度信号は変調素子108に設けられた対応色の画素の輝度を1フィールド周期で順次指定する。この表示装置はさらに表示画像のコントラストおよび明るさを最適化するために電動絞り104および111の集光角、すなわち開口半径を輝度信号R,G,およびBに基づいて共通に調整する絞り制御回路212を有する。
【0212】
この絞り制御回路212は、調整された絞りの集光角を表す集光角データDをガンマ補正回路210に供給する。ガンマ補正回路210は集光角データDに基づいて輝度信号R,G,およびBをガンマ補正し、これを駆動電圧RO,GO,およびBOとして極性反転/非反転増幅回路211に供給する。極性反転/非反転増幅回路211は、例えば映像信号の水平走査周期で駆動電圧RO,GO,およびBOの極性を正極性および負極性の一方から他方に反転し、変調素子108に供給する。
【0213】
図26は、ガンマ補正回路210の構成をさらに詳細に示す。ガンマ補正回路210は輝度信号R,G,およびBについてそれぞれガンマ補正を行なうため互いに同様に構成される処理チャネルCH1−CH3を有する。これら処理チャネルCH1−CH3の各々は、対応色の輝度信号を画素毎の輝度を表すデジタル形式の輝度データIに変換するA/D変換器201、このA/D変換器201からの輝度データIに対応する基準駆動電圧データVRを発生するガンマ特性変換テーブル202、絞り制御回路212からの集光角データDに対応する補正データΔVを発生する補正テーブル203、補正データΔVを基準電圧データVRに加算する加算器204、およびこの加算結果をアナログ形式の駆動電圧信号に変換するD/A変換器205で構成される。
【0214】
特性変換テーブル202は輝度データIによって選択される複数の基準駆動電圧データVRを格納したROMであり、各基準駆動電圧データVRは輝度データIによって指定される輝度に対して図22に示す特性曲線Y1によって決まる基準駆動電圧を表す。補正テーブル203は輝度データIによって選択される複数の補正データΔVを格納したROMであり、各補正データΔVは集光角データDで指定される集光角に対して得られる曲線Y2およびY3のような曲線と特性曲線Y1との差を近似した補正電圧を表す。
【0215】
ここで、各処理チャネルの動作を説明する。A/D変換器201は輝度信号を輝度データIに変換し、これをガンマ特性変換テーブル202に供給する。これにより、ガンマ特性変換テーブル202に格納された基準駆動電圧データVRのうちの1つがこの輝度データIにより選択され、標準的な5度の集光角で得られる特性曲線Y1に基づくガンマ補正の結果として加算器204に供給される。他方、補正テーブル203に格納された補正データΔVのうちの1つが絞り制御回路212からの集光角データDにより選択され、集光角データDによって指定された集光角に対して得られる特性曲線と特性曲線Y1との差を近似した補正電圧として加算器204に供給される。加算器204は基準駆動電圧データVRと補正データΔVとを加算する。この加算結果は現在の集光角に適した駆動電圧を表し、D/A変換器205により駆動電圧信号に変換される。
【0216】
電動絞り104および111が例えば5度の標準的な集光角に設定されている場合、補正データΔVはゼロを表すため、加算器204の加算結果は基準駆動電圧データVRに等しくなる。集光角データDが集光角の調整により変化すると、補正データΔVもゼロから正または負の方向に変化する。補正データΔVは絞りの集光角が5度よりも大きい場合に負となり、絞りの集光角が5度よりも小さい場合に正となる。高分子分散型液晶を用いた変調素子108は電圧印加により光散乱性が低下し変調光強度が増大する素子であるため、駆動電圧は絞りの集光角が増大するほど小さくなり、絞りの集光角が減少するほど大きくなるよう補正される。
【0217】
この表示装置では、2つの電動絞り104および111が設けられ、これらの集光角の調整に伴ってガンマ補正回路210の実質的な特性が変化する。この結果、駆動電圧が絞りの集光角に対して適切に補正されるため、輝度信号によって指定された輝度を集光角に依存せずに得ることが可能となる。すなわち、絞りの集光角が変化したとき、階調の潰れおよび不自然な色調の変化等が生じない。
【0218】
尚、上述の実施例では電動絞り104および111の集光角が同様に可変されたが、これらの一方だけが可変されてもよい。また、変調素子108は高分子分散型液晶の代わりに例えば微粒子分散型液晶あるいはDMD、斜め電界による液晶回析格子等を利用するものでもよい。電圧印加により光散乱性が増大し変調光強度が低下するような変調素子を用いた場合、絞りの集光角が増大するほど大きくなり、絞りの集光角が増加するほど小さくなるよう駆動電圧を補正するため補正テーブル203の内容が変更される。
【0219】
また、補正テーブル203は集光角毎に1個の補正データΔVを保持するが、集光角毎に得られる曲線Y2およびY3のような曲線と基準特性曲線Y1との差の電圧を各輝度について表す複数の補正データΔVを保持してもよい。この場合、各補正データΔVは輝度データIおよび集光角データDの組み合わせにより選択される。このような構成では、補正テーブル203の記憶容量を増大させなくてはならないが、よりきめ細かな補正を行なうことが可能となる。
【0220】
さらに、上述の実施例のように変調素子108の透過光をスクリーン109に導く代わりに、変調素子108の反射光をスクリーン109に導いてもよい。また、スクリーン109はフロント側で表示画像を見るために用いられる反射型に限られず、リア側で表示画像を見るために用いられる透過型であってもよい。
【0221】
以上説明したように、本発明の第3の態様によれば、周辺の環境や表示画像の状態に基づいて絞りの集光角を最適化する一方で、表示画像の階調を正確に再現することができる。
【0222】
上記のように、変調素子108のスイッチ素子の光リ−クがない場合においても、絞りによる集光角の変化に伴い、駆動電圧−変調光強度特性を制御する必要があるが、実際の変調素子では、開口率を考慮すると、十分にスイッチ素子を遮光することが困難であることに加え、絞り52の開口径制御に伴い、変調素子108に入射する光束強度も変化するため、スイッチ素子の光リ−クを考慮した駆動電圧−変調光強度特性の制御も必要である。スイッチ素子の光リ−クが生ずると、画素電位保持特性が劣化し、駆動電圧−変調光強度特性は高電圧側にシフトする。この光リ−ク電流はスイッチ素子に入射する光強度に比例するため、絞り52の開口径に比例して増大する入射光束とともに平行シフト量は増大し、上記と同様な表示品位劣化が生ずる。このため、スイッチ素子の遮光構造の最適化及びスイッチ素子にアモルファスシリコンTFTよりもポリシリコンTFTを用いることが望ましいが、より望ましくは変調素子の光リ−ク特性を補正する映像信号制御手段を設けるとよい。
【0223】
更に、変調素子が赤、青及び緑の色成分で構成されるカラ−画像を表示する場合、これらの変調素子に入射する光強度も色により異なること、スイッチ素子の光リ−ク特性にも波長依存性があることから色成分相互の階調バランスが集光角の変化に伴い変化し、表示画像の色調を変化することを抑制することが望ましい。実際には、各絞り径制御に伴う光リ−クも含んだ変調素子の駆動電圧−変調光強度の補正を行うことが望ましい。
【0224】
次に、本発明の第4の態様について説明する。
【0225】
上記のように、変調素子108のスイッチ素子の光リ−クがない場合においても絞りによる集光角の変化に伴い駆動電圧−変調光強度特性を制御する必要があるが、実際の変調素子108では十分にスイッチ素子を遮光することが開口率を考慮すると困難であることに加え、絞り52の開口径制御に伴い、変調素子108に入射する光束強度も変化するため、スイッチ素子の光リ−クを考慮した駆動電圧−変調光強度特性の制御も必要である。
【0226】
スイッチ素子の光リ−クが生ずると、画素電位保持特性が劣化し、駆動電圧−変調光強度特性は高電圧側に平行シフトする。この光リ−ク電流は、スイッチ素子に入射する光強度に比例するため、絞り52の開口径に比例して増大する入射光束とともに平行シフト量は増大し、上記と同様な表示品位劣化が生じる。このため、スイッチ素子の遮光構造の最適化及びスイッチ素子にアモルファスTFTよりもポリシリコンTFTを用いることが望ましいが、より望ましくは変調素子の光リ−ク特性を補正する映像信号制御手段を設けるとよい。更に、変調素子が赤、青、及び緑の色成分で構成され、カラ−画像を表示する場合、これらの変調素子に入射する光強度も色により異なること、スイッチ素子の光リ−ク特性にも波長依存性があることから、色成分相互の階調バランスが集光角の変化に伴い変化し、表示画像の色調の変化を抑制することが望ましい。実際には、各絞り径制御に伴う光リ−クも含んだ変調素子の駆動電圧−変調光強度特性の補正を行うことが望ましい。
【0227】
高分子分散型液晶や微粒子分散型液晶が用いられる表示装置においては、表示輝度に応じて、また表示初期から時間が経過するにつれて表示状態が変化したり、環境温度により表示品位が変化するという問題がある。これは、高分子分散型液晶や微粒子分散型液晶では、印加電圧(V)−光透過率(T)特性、ヒステリシス特性あるいは応答速度等が温度変化に伴い変動するためであって、しかも、その変動量がツイステッド・ネマティク(TN)型液晶に比べて大きいことがその要因と考えられる。
【0228】
また、特に投射型の表示装置にあっては、光源光学系に配置される絞りの開口径の制御に応じて変化する光束に起因する温度差により、表示品位が劣化するという問題もある。
【0229】
本発明の第4の態様は、このような技術課題に鑑み成されたものであって、光束を制御する絞りの大きさや光源光の点灯からの経時時間や環境温度条件によることなく、あるいは連続表示している際にも優れた表示画像が得られる表示装置を提供する。
【0230】
即ち、液晶材料が高分子樹脂中に含有される高分子分散型あるいは微粒子が液晶材料中に含有される微粒子分散型等の液晶層を備えた変調素子は、上記したように、印加電圧(V)−光透過率(T)特性、ヒステリシス特性、応答速度等が温度変化に伴い大きく変動する。
【0231】
図27は、縦軸に光透過率が50%となる電圧(V50)をとり、横軸に温度(T)をとり、変調素子の温度依存性を示している。この図から解るように、温度(T)に依存することなく一定な表示画像を得るためには、温度(T)上昇に伴い液晶層に印加される電圧を大きくする必要がある。
【0232】
そこで、本発明の第4の態様では、変調素子の温度変化に応じて映像信号を増減させる映像信号制御手段を具備している。これにより、温度(T)に依存することなく一定な表示画像が得られる。
【0233】
図28は、本発明の第4の態様に係る投射型液晶表示装置を示す図である。
【0234】
図28に示すように、この投射型液晶表示装置300は、3板式、即ち赤(R)用、緑(G)用および青(B)用の3枚の変調素子例えば液晶パネル301−R,301−G,301−Bを備えている。
【0235】
この表示装置の光源光学系では、メタルハライドランプが光源311として配置され、この光源311からの光源光を、光源311と液晶パネル301−R,301−G),301−Bとの間の光軸上の点Aに焦点を持つように集光させる回転楕円型のリフレクタ321が設けられている。このリフレクタ321により点Aに一度集光された光源光は、コールドミラー331を経た後、コリメータレンズ341により、平行光として各液晶パネル301−R,301−G,301−Bに導かれる。また、リフレクタ321の焦点位置である点Aには、略円形の開口を有し、その開口直径D1 がサーボモータにより可変可能な第1の絞り手段351が配置されている。
【0236】
また、この表示装置では、光源311は、リフレクタ321に対する位置精度の簡素化等から、リフレクタ321の中心部分に固定して配置されるため、光源311からの光源光の中心部分の光束が小さくなる。このため、この表示装置の光源光学系では、光源311と第1の絞り手段351との間に、第1の絞り手段351側に凸の円錐レンズ361が配置されている。この円錐レンズ361により、発散され有効活用されない光束を中心部分に導くことで、光源光の中心部分の光束の低下を防止している。尚、凸の円錐レンズ361の他にも、発散され有効活用されない光束を中心部分に導くものであれば、凹状の円錐レンズであっても、また特開平6−175129号公報に開示されるような構造のものであっても良い。
【0237】
投射光学系は、液晶パネル301−R,301−G,301−Bにより光変調された変調光を点Bに集光させるための集束レンズ501、点Bにおいて各液晶パネル301−R,201−G,201−Bからの散乱光を遮断し、透過光を透過させる開口を有し、その開口直径D2 がサーボモータにより可変可能な第2の絞り手段503、第2の絞り手段503を経た後の変調光を投影するための投射レンズ505とから構成されている。この第2の絞り手段503は、上述したように、各液晶パネル301−R,301−G,301−Bからの散乱光は遮断し、透過光を透過させるものであるため、第2の絞り手段503の開口直径D2 を大きくすることにより、表示輝度を増大させることができる。
【0238】
第1の絞り手段351及び第2の絞り手段503は、スクリーン上の環境輝度をモニターする光センサ711からの環境輝度信号ESに基づいて第1の絞り手段351及び第2の絞り手段503の開口直径D1 ,D2 をそれぞれ制御する絞り制御手段721に電気的に接続されている。更に詳しくは、第1の絞り手段351の開口直径D1 及び第2の絞り手段503の開口直径D2 は、絞り制御手段721により、スクリーン上の輝度が高くなるにつれて集光角Ω1 ,Ω2 のそれぞれが大きくなるよう制御されるものであって、この表示装置では、集光角Ω1 ,Ω2 が8.6×10−3srから1.1×10−3srの範囲で可変されるように第1の絞り手段351及び第2の絞り手段503の開口直径D1 ,D2 が制御される。
【0239】
尚、本明細書における第1の絞り手段351に基づく集光角Ω1 は、光源光の分布角度を±θとした時、[2πsin θ]を0からθまでθについて積分した値で表現され、更に、この集光角Ω1 を、コリメータレンズ341の焦点距離をf1 として、第1の絞り手段351の開口直径D1 の関数で表すと、Ω1 =π(D1 /2f2 )2 で表現される。
【0240】
また、本明細書における第2の絞り手段503に基づく集光角Ω2 は、フィールドレンズの焦点距離をf2 とし、第2の絞り手段503の開口直径D2 の関数で表すと、Ω2 =π(D2 ・f2 )2 で表現される。
【0241】
これら集光角Ω1 ,Ω2 は、光利用効率等を考慮すると、ほぼ一致するように連動させて可変することが望ましい。
【0242】
次に、各液晶パネル301−R,301−G,301−Bの配置について説明する。光源光学系からの光源光は、第1ダイクロイックミラー411−Dにより緑(G)光のみが反射され、第1の全反射ミラー411−Aを介して緑(G)光が液晶パネル301−Gに導かれ、液晶パネル301−G、緑(G)用フィールドレンズ421−Gを経て出射される。
【0243】
第1のダイクロイックミラー411−Dを透過した光源光は、第2のダイクロイックミラー413−Dにより赤(R)光のみが反射されて、液晶パネル301−Rに導かれる。そして、液晶パネル301−R、赤(R)用フィールドレンズ421−Rを経た赤(R)光は、第1の合成ミラー411−Mにより液晶パネル301−Gを経た緑(G)光と合成される。
【0244】
第2のダイクロイックミラー413−Dを透過した光源光は、液晶パネル301−Bに導かれ、液晶パネル301−B、青(B)用フィールドレンズ421−Bを経た青(B)光は、第2の全反射ミラー413−Aを介して第2の合成ミラー413−Mにより液晶パネル301−Gおよび液晶パネル301−Rを透過し合成された赤(R)光および緑(G)光と合成され、投射光学系に導かれる。
【0245】
次に、この液晶パネル301−R,301−G,301−Bについて説明する。尚、液晶パネル301−R,301−G,301−Bの構成は、その駆動系を除いて差異はないので、緑(G)用の液晶パネル301−Gを例にとり説明する。この液晶パネル301−Gは、100ミクロンピッチの表示画素が横方向に640個、縦方向に480個配列されて成っている。
【0246】
液晶パネル301−Gは、図29及び図30に示すように、アレイ基板511と対向基板611との間に、高分子樹脂中に正の誘電率異方性を示すネマチック液晶が分散された高分子分散型液晶層401が表面処理膜591,691を介して保持されている。
【0247】
アレイ基板511は、0.7mm厚の透明なガラス基板510上に、図29に示す如く信号線521と走査線531とが略直交するように配置され、信号線521と走査線531との交点近傍に薄膜トランジスタ(以下、TFTと略称する。)541が配置されている。このTFT541は、図30に示すように、走査線531自体をゲート電極とし、走査線531上にゲート絶縁膜543を介して半導体層として非晶質シリコン薄膜545、非晶質シリコン薄膜545を保護すると共に寄生容量を抑えるため走査線531と自己整合されたシリコンナイトライドから成る半導体保護膜546、非晶質シリコン薄膜545と信号線521とをn+ 型非晶質シリコン薄膜548を介して電気的に接続する信号線521から延在されたドレイン電極547、信号線521と走査線531とによって囲まれる領域に配置されたITO(Indium Tin Oxide)から成る画素電極551と非晶質シリコン薄膜545とをn+ 型非晶質シリコン薄膜550を介して電気的に接続するソース電極549とを備えて構成される逆スタガ構造である。また、画素電極551との間でゲート絶縁膜543を介して補助容量(Cs)を形成するための補助容量線553が走査線531に略平行して配置されている。更に、これらTFT541や画素電極551上には、保護膜555が配置されてアレイ基板511は構成されている。
【0248】
対向基板311は、0.7mm厚の透明ガラス基板310上に、アレイ基板511のTFT541および画素電極551周辺部を遮光するためのクロム(Cr)から成るマトリクス状の遮光層313、遮光層313上に配置される保護膜317、保護膜317上に配置されるITOから成る対向電極319とによって構成されている。尚、以上のようにして構成される液晶パネル301−Gは、40%の開口率を達成している。
【0249】
また、この表示装置では、図31に示すように、液晶モジュ−ルの入射面の表示部近傍に温度センサ800が配置され、このからの温度信号(TS)に基づいて、駆動電圧供給回路731に入力される輝度信号(BS)が制御され、極性反転/非反転増幅器741を介して各液晶パネル301−R,301G,301Bに各映像信号VSR、VSG、VSBが供給される。
【0250】
温度センサ−としては、例えばμPC3911(商標、NEC社製)を用いることが出来る。このICは、同一チップ内に基準電圧、温度センサ−、位相補正内臓型オペアンプを集積しているため、外部回路部品が少なくてすむ。更に、従来のサ−ミスタなどの温度センサに比較して直線性が非常に優れており、高性能の温度測定が可能である。具体的な回路を図32に示す。
【0251】
図28に示すように、この温度センサからの温度信号(TS)に基づいて、駆動電圧供給回路731に入力される輝度信号(BS)が制御され、極性反転/非反転増幅器751を介して各液晶パネル301−R,301−G,301−Bに各映像信号(VSR),(VSG),(VSB)が供給される。
【0252】
駆動電圧供給回路731は、図33に示すように、入力される輝度信号(BS)をアナログ・ディジタル変換器733でディジタル信号化し、ディジタル信号化された輝度信号(BS)をROMで構成されるガンマ補正回路734によりガンマ補正し、ガンマ補正されたディジタル輝度信号は加算器735の一入力端子に供給する。また、温度光センサからの温度信号(TS)に基づいてROMで構成される温度補償回路736から、液晶パネル301−Gの光透過率(T)−電圧(V)特性の温度依存性を補正する補償データが加算器735の他の入力端子に供給される。加算器735からはディジタル輝度信号と補償データとの加算出力をディジタル・アナログ変換器737に出力される。そして、ディジタル・アナログ変換器737からアナログ信号が極性反転/非反転増幅器731に出力される。
【0253】
極性反転/ 非反転増幅器731では、アナログ信号を液晶パネル301−Gに必要な信号レベルに増幅すると共に、各フィールド期間毎、走査期間毎等の所定周波数で基準電位に対して極性反転する映像信号(VSG)と成して液晶パネル301−Gに供給する。
【0254】
また、他の液晶パネル301−R,301−Bも同様に、液晶パネル301−Gに設けられた温度センサからの温度信号(TS)に基づいて補正された映像信号(VSR),(VSB)が液晶パネル301−R,301−Bに供給される。
【0255】
更に詳細には、このガンマ補正回路734は、液晶パネル301−G内が40℃の状態における電圧(V)−光透過率(T)特性に基づいて入力される輝度信号(BS)がガンマ補正されるよう構成されている。例えば、液晶パネル301−G内の温度として40℃を基準として、40℃よりも上昇するにつれて温度補償回路746からの補償データは正側に大きくなり、40℃よりも低下するにつれて温度補償回路746からの補償データは負側に減少する。
【0256】
上記温度センサ−によりモニタ−されたパネル温度に従ってパネル冷却ファンの回転数を制御し、パネルの温度制御を行うと、パネルの温度に対応して映像信号の制御をより精確に行うことが出来る。このため、温度センサ−の出力をもとに冷却ファンを制御することが望ましい。また、例えば光源を点灯した直後からのパネル温度の上昇の際に、冷却ファンの回転をある期間停止するか、もしくは回転数を低く抑えることにより、定常動作時の温度に達するまでの時間を短縮する制御を行うことが望ましい。
【0257】
以上のように、この投射型液晶表示装置300によれば、各液晶パネル301−R,301−G,301−Bの温度変化に応じて表示状態が最適化されるので、例えば比較的低い室温で投射型液晶表示装置300を用い、光源311を点灯して、各液晶パネル301−R,301−G,301−Bが一定の温度に到達するまでに時間を要する、例えば3〜30分程度の間、各液晶パネル301−R,301−G,301−Bの温度が変化し続けるような場合にも、常に適切な駆動が行われ、色むら等が発生することのない、良好な表示画像が得られる。
【0258】
特に、この表示装置によれば、第1の絞り手段351及び第2の絞り手段503の開口直径D1 ,D2 がスクリーン輝度に応じて可変されるため、各液晶パネル301−R,301−G,301−Bへ入射する光の強度が第1の絞り手段351の開口直径D1 に依存して種々異なるために各液晶パネル301−R,301−G,301−Bの温度上昇の度合いも変わる。
【0259】
即ち、スクリーン輝度が小さい場合は、表示輝度よりもコントラスト比が高いことが視覚的に良好な表示画像と認識されるため、第1絞り手段351の開口直径D1 は絞られる。これに対して、スクリーン輝度が大きい場合は、表示輝度が重視されるため、第1の絞り手段351の開口直径D1 は開けられる。従って、スクリーン輝度が大きい方が各液晶パネル301−R,301−G,301−Bの温度上昇の度合いは高くなる。例えば、この実施例によれば、実際に液晶パネル301−R,301−G,301−Bに入射する光源光の集光角Ω1 が8.6×10−3srから1.1×10−3srに変化すると、各液晶パネル301−R,301−G,301−Bの温度は3〜5℃変化する。
【0260】
しかしながら、この実施例によれば、液晶パネル301−Gに温度センサを配置して随時モニタし、各映像信号(VSR),(VSG),(VSB)を最適化しているため、第1の絞り手段351の開口直径D1 が可変され、光源光の集光角Ω1 が増減することにより、各液晶パネル301−R,301−G,301−Bに温度変化が生じても、良好な表示画像が得られる。
【0261】
尚、この表示装置では、第1の絞り手段351及び第2の絞り手段503の開口直径D1 ,D2 が環境輝度信号(ES)に応じて第1絞り手段721により制御されるものとしたが、例えば各液晶パネル301−R,301−G,301−Bに供給される映像信号(VSR),(VSG),(VSB)に基づいて第1の絞り手段351及び第2の絞り手段503の開口直径D1 ,D2 が制御されるものであっても良い。即ち、輝度信号(BS)の時間的平均強度と輝度信号のブランキングレベル(黒レベル)との差に基づいて、差が小さい場合は開口直径D1 ,D2 を小さくして集光角Ω1 ,Ω2 を小さく制御し、逆に差が大きい場合は開口直径D1 ,D2 を大きくし、集光角Ω1 ,Ω2 を大きく制御することにより、良好な表示画像が確保できる。
【0262】
また、第1の絞り手段351及び第2の絞り手段503は、環境輝度信号(ES)と輝度信号(BS)のそれぞれに応じて制御されるものであっても良い。
【0263】
この表示装置では、高分子分散型液晶層401の温度が直接的にモニタできるよう温度センサを配置したが、高分子分散型液晶層401の温度に相関する信号を検出し、これに基づいて制御するものであって良い。
【0264】
また、この表示装置によれば、液晶パネル301−Gの温度を随時モニタし、温度信号(TS)に基づいて表示状態を最適化したが、温度センサ等を配置するのではなく、予め所定時間毎に各映像信号(VSR),(VSG),(VSB)が徐々に小さくなるような補償データを設定しておいても良い。
【0265】
以上の表示装置では、温度センサは入射側の表示部の上部に配置したが、その位置は精度よく温度が測定出来るところであれば、例えば下部若しくは左右であってもよい。また、温度センサは、液晶モジュ−ルと密着させても離間させて配置しても、あるいは液晶モジュ−ルの内部に配置してもよい。更には、光の出射側に配置してもよい。
【0266】
既に述べたように、光源側の絞りの集光角と投射側の絞りの集光角とは、一致することが望ましい。一致しない場合には、以下に示すように性能が低下してしまう。即ち、光源側の絞りの集光角が投射側の絞りの集光角のほうが大きい場合には、最大の明るさは一致している場合と同一であるが、黒表示時の明るさが増加するため、コントラストが低下する。また、光源側の絞りの集光角が投射側の絞りの集光角よりも小さい場合もまた、最大の明るさは一致している場合と同一であるが、黒表示時の明るさが増加するため、コントラストが低下する。絞りの面積にほぼ比例して黒表示時の明るさが増加するので、コントラストも絞りの面積にほぼ比例して低下するのである。
【0267】
光源側の絞りの集光角と投射側の絞りの集光角とが完全に一致している場合の絞りの面積をS0 、集光角が大きい絞りの面積をS0 +ΔSとすると、集光角が不一致の場合のコントラストr´は、集光角が一致している場合のコントラストをrとすると、以下の式で表わされる。
【0268】
r´=r{S0 /(S0 +ΔS)}
本発明者らの実験によると、コントラストの低下が画質の低下として認識される程度は、コントラストが約2/3に低下した場合である。以下、この実験の手順を説明する。
【0269】
表示画面のコントラストを一定として10分間映画フィルムを上映し、その後にコントラスト比を変化させて5分か上映する。その後、コントラストの変化が画質の劣化として認識されたかどうかのアンケ−トをとり、劣化として認識されるしきい値を求める。
【0270】
図34に示すように、コントラストのしきい値の初期値を200:1、100:1、50:1、20:1として実験したが、100:1以下の実験結果はすべて初期値の85%程度から画質の劣化として認識され始め、65%程度ではほぼ全てのサンプルに対して画質の劣化として認識された。従って、絞りの制御は、同じ明るさの表示に対して、コントラスト比が4割以下の低下に抑える精度で制御する必要がある。
【0271】
即ち、立体角を約±30%の範囲に制御する必要がある。例えば、又は円形の絞りを用いた場合には、円錐状となる光束における円錐の頂角θに対して、約±0.15θに制御する必要がある。例えば、絞りの集光角がθ=3〜10度に変化する場合、絞りの集光角の精度は±0.5〜1.5度以内に制御する必要がある。
【0272】
次に、スクリ−ン照度(単位ルックス)に対するしぼり調整マ−ジンについて説明する。
【0273】
外光によるスクリ−ン照度(単位ルックス)が高い場合、絞りの角度に対するコントラストの変化は、外光がない場合に比べ、緩慢になる。従って、要求される制御精度は、外光が大きいほど低くてもよい。
【0274】
最適化された場合のコントラストの大きさは、図5に示すように、外光の影響がない本来のコントラストのほぼ1/2のコントラストとなっている。例えば、室内の明るさが0ルックスの場合、100のコントラストとなる絞りの状態に対応して、最適値となるコントラストは50、同様に30のコントラスト比の絞りに対応するコントラストは約15である。
【0275】
従って、外光に対して絞りの集光角が最適化された状態では、本来の黒表示によるスクリ−ンの明るさと、外光の影響によるスクリ−ンの明るさは、ほぼ同程度と考えられる。
【0276】
この時、集光角の制御に誤差が生じて最適値からずれた場合、コントラストは
、 r´=r{(Sext +S0 )/(Sext S0 +ΔS)
=r{S0 /(S0 +ΔS/2)}
ただし、Sext は、外光の明るさを、投射型表示装置の黒表示の絞りの集光角に変換した値であり、投射型表示装置本来の黒表示と外光の明るさとの影響が同じであるので、Sext =S0 である。
【0277】
上式からわかるように、マ−ジンとしては2倍となる。ただし、先に示した2つの絞りの一致に関するマ−ジンが存在することを考えると、外部の条件に対して制御すべき絞りの集光角の誤差は、その1/2となる。従って、この場合のマ−ジンも両者の集光角の一致に関するマ−ジンが必要である。
【0278】
次に、本発明の第5の態様について図41を参照して説明する。なお、この第5の態様に係る表示装置の基本的構成は、図28に示すものと同様である。
【0279】
この態様の投射型液晶表示装置100は、図41に示すように、各液晶パネル201−R,201−G,201−Bにそれぞれの映像信号(VSR),(VSG),(VSB)を供給するための駆動電圧供給回路741および極性反転/非反転増幅器751を備えている。
【0280】
駆動電圧供給回路731は、図42に示すように、入力される輝度信号(BS)をアナログ・ディジタル変換器743でディジタル信号化し、ディジタル信号化された輝度信号(BS)をROMで構成されるガンマ補正回路744によりガンマ補正し、ガンマ補正されたディジタル輝度信号は加算器745の一方の入力端子に供給される。また、光センサ711からの環境輝度信号(ES)に基づいて、ROMで構成される光リーク補償回路746から液晶パネル201−Gを構成するTFT241の光リーク電流(Ioff )による電位低下を補正する補償データが加算器745の他方の入力端子に供給され、加算器745からはディジタル輝度信号と補償データとの加算出力をディジタル・アナログ変換器747に出力する。そして、ディジタル・アナログ変換器747からアナログ信号が極性反転/非反転増幅器741に出力される。
【0281】
極性反転/ 非反転増幅器741では、アナログ信号を液晶パネル201−Gに必要な信号レベルに増幅すると共に、各フィールド期間毎、走査期間毎等の所定周期で基準電位に対して極性反転する映像信号(VSG)と成して液晶パネル201−Gに供給する。
【0282】
また、他の液晶パネル201−R,201−Bも同様に、光センサ711からの環境輝度信号(ES)に基づいて補正された映像信号(VSR),(VSB)が液晶パネル201−R,201−Bに供給される。即ち、この実施例では、スクリーン上の輝度が高くなるにつれて集光角(Ω1 ),(Ω2 )が大きくなるよう第1の絞り手段151及び第2の絞り手段503)の開口直径(D1 ),(D2 )を絞り制御手段721によって制御されるが、これに伴い各液晶パネル201−R,201−G,201−Bに供給される映像信号(VSR),(VSG),(VSB)も大きくなるよう駆動電圧供給回路731によって制御される。
【0283】
以上のようにして構成される投射型液晶表示装置700の動作について簡単に説明する。
【0284】
まず、スクリーン上の照度(単位:cd/m2 )を光センサ711により検出し、光センサ711からの環境輝度信号(ES)に基づいて、絞り制御手段721により第1の絞り手段151及び第2の絞り手段503の開口直径(D1 ),(D2 )を決定する。即ち、スクリーン上の輝度が大きくなる程、第1の絞り手段151及び第2の絞り手段503の開口直径(D1 ),(D2 )を大きくする。
【0285】
駆動電圧供給回路731によって、映像信号(VSR),(VSG),(VSB)の最適化を行わない場合、例えば、スクリーン上の照度が30lux といった暗い場合は、集光角(Ω1 ),(Ω2 )が1.1×10−3srに設定され、70:1のコントラスト比が達成される。逆に、スクリーン上の照度が200lux といった明るい場合は、集光角(Ω1 ),(Ω2 )が8.6×10−3srに設定され、集光角(Ω1 ),(Ω2 )が1.1×10−3srに設定される場合の白表示時のピ−ク光束が18lmであるのに対して、75lmと高いピ−ク光束が達成される。
【0286】
更に、この態様では、光センサ711からの環境輝度信号(ES)に基づいて、スクリーン上の照度が200lux の場合、スクリーン上の照度が30lux の場合に比べて10%程度各映像信号(VSR),(VSG),(VSB)が駆動電圧供給回路741によって増大される。
【0287】
このようにして映像信号(VSR),(VSG),(VSB)が最適化される場合、映像信号(VSR),(VSG),(VSB)の調整を行わない場合に比べて、スクリーン上の照度が2001xにおいて、コントラスト比及び表示輝度ともに、上記した値から更に10%程度向上させることができた。
【0288】
以上のように、この実施例によれば、集光角(Ω1 )の増大に伴うTFT241の光リーク電流(Ioff )に基づくコントラスト比並びに表示輝度の劣化が防止され、より良好な表示品位の確保が可能となる。
【0289】
この態様では、第2の絞り手段503の開口直径(D2 )を第1の絞り手段151の開口直径(D1 )と同一値となるように完全に連動させて可動させたが、必ずしも一致させなくても良い。
【0290】
また、この態様では、各液晶パネル201−R,201−G,201−B毎に光源光の集光角(Ω1 )を制御する絞り手段を設け、各色毎に個別に光源光の集光角(Ω1 )を制御するようにしても良い。また、この態様では、絞り制御手段721により第1のの絞り手段351及び第2の絞り手段503の集光角(Ω1 ),(Ω2 )が環境輝度信号(ES)に応じて制御される構成としたが、駆動電圧供給回路741に入力される輝度信号(BS)に基づいて第1の絞り手段351及び第2の絞り手段503が制御されるものであっても、これらを組み合わせて用いるものであっても良い。例えば、入力される輝度信号(BS)の時間平均強度と輝度信号のブランキングレベル(黒レベル)との差に基づいて、差が小さい場合は集光角(Ω1 ),(Ω2 )を小さく、差が大きい場合は集光角(Ω1 ),(Ω2 )を大きく制御することにより、表示画像の表示輝度に依存せず、良好な表示画像を確保することができる。
【0291】
この態様では、光センサ711はスクリーン上の輝度をモニターするものとしたが、環境照度(単位lux)をモニターするものであっても良い。
【0292】
また、この実施例では、3板式の投射型表示装置100を例にとり説明したが、液晶パネル自体がストライプ状、モザイク状あるいはデルタ配列された少なくとも3原色の色部から成るカラーフィルタを備え、単板式で構成される投射型表示装置であっても良いことは言うまでもない。
【0293】
ところで、各液晶パネル201−R,201−G,201−Bにマイクロレンズアレイ基板411を組み合わせて用いることにより、各液晶パネル201−R,201−G,201−Bの実効開口率を高め、明るい環境での表示の際のスクリーン上の実効のコントラスト比、表示輝度の両方を向上させることができる。以下に、液晶パネル201−Gを例にとり、図43を参照して説明する。この液晶パネル20−Gは、液晶パネル201−Gを構成する対向基板311の主表面上にマイクロレンズアレイ基板411が接着層410を介して貼り付けられて構成されている。このマイクロレンズアレイ基板411は、各表示画素に対応する集光レンズ413群から成り、集光レンズ413の焦点位置はアレイ基板211を構成するガラス基板210に存在するよう設定されている。
【0294】
上記した如く各液晶パネル201−R,201−G,201−Bを構成すれば、これまで遮光量313で遮られて有効に利用されていなかった光も利用できるため、各液晶パネル201−R,201−G,201−Bの実効開口率を大きくとることができ、集光角(Ω1 ),(Ω2 )を絞っても十分なピーク光束が得られ、表示輝度の低下が軽減される。
【0295】
この態様の如く、液晶パネル201−Gの光入射側にマイクロレンズアレイ基板411を設ける場合は、第2の絞り手段503の開口直径(D2 )を第1の絞り手段151の開口直径(D1 )よりも大きい範囲内で制御する方が好ましい。これは、マイクロレンズで一度集光された光が、その後で発散されるためである。
【0296】
即ち、上記した実施例の如く、入射側にのみマイクロレンズアレイ基板411を配置する場合、マイクロレンズアレイ基板411で対向基板311の遮光層313付近に集束された光は、その後発散するため光利用効率が低下する恐れがある。このため、マイクロレンズアレイ基板411の使用にあたっては、マイクロレンズアレイ基板411の各集光レンズ413の焦点位置の選定が重要である。即ち、各集光レンズ413で集束された後に広がる光源光が投射レンズ505に十分に収まるよう焦点位置を選定する必要がある。特に、投射レンズ505の小型化を達成するのであれば、マイクロレンズアレイ基板411の各集光レンズ413の焦点位置は長く、開口数の小さいレンズの方が良い。しかし、各集光レンズ413の焦点位置が光入射側から遠ざかるにつれてマイクロレンズアレイ基板411の効果は低下し、各液晶パネル201−R,201−G,201−Bの実効開口率の増大の度合いは小さくなる。このようなことから、マイクロレンズアレイ基板411の各集光レンズ413の焦点位置は高分子分散型液晶層401内よりむしろ出射側の基板210中もしくは基板210よりもやや外に設定すると良い。
【0297】
上記した実施例では、図41に示す第1の絞り手段351、第2の絞り手段503として、サーボモータを内蔵し、サーボモータによって円形の開口の開口直径(D1 ),(D2 )を変化させる構造としたが、この開口の形状は四角形あるいは楕円形等であっても良い。また、サーボモータによって開口部の上部および下部、又は右及び左を遮光する遮光板が可動する構造であっても良い。
【0298】
更に、この態様では、第1の絞り制御手段721により第1の絞り手段351及び第2の絞り手段503の開口直径(D1 ),(D2 )をそれぞれ制御して集光角(Ω1 ),(Ω2 )を制御したが、第1の絞り手段351や第2の絞り手段503を光源311の光軸に沿って移動させることにより、実効的な開口直径(D1 ),(D2 )を制御して集光角(Ω1 ),(Ω2 )を制御しても良い。
【0299】
また、上述した態様の液晶パネルとしては、各表示画素毎にTFTから成るスイッチ素子が設けられたアクティブマトリクス型液晶パネルを例に取り説明したが、TFTは多結晶シリコン膜あるいは単結晶シリコン膜を主体として構成しても良い。
【0300】
次に、本発明の第6の態様について説明する。
【0301】
この態様は、簡易型の投射型表示装置に係るものであり、操作を簡単にするために、電源入力後、自動的に周辺照度に対応して絞りの設定を最適化するようになっている。この簡易型の投射型表示装置の一例を図35に示す。この表示装置では、スクリ−ンの大きさ、及びゲインをあらかじめ仮定することで、投射光のない状態での投射光束を測定することにより、スクリ−ンの輝度を直接測定し、絞りの最適角を迅速に決定できるようにしている。この絞りの集光角の決定は、投射型表示装置の電源が入ると同時に自動的に行われる。
【0302】
この表示装置では、投射型表示装置からの投射光のない状態でスクリ−ンの輝度を測定するため、光路遮断装置901を備えている。これは、図35に示すようにパネルの出射側に配置され、光路遮断装置制御回路900により制御され、光源からの光を投射レンズの入り口で遮断/非遮断を切り替えられるようになっている。
【0303】
図36は、図35に示す表示装置において、電源の投入の後に自動的に集光角を決定する処理のフロ−チャ−トを示す図である。光源であるメタルハライドランプは、完全に点灯するまでに数分の時間がかかる。図35に示す表示装置では、光路遮断装置により光路を遮断して、室内の明るさによるスクリ−ンの輝度を測定するので、ランプの輝度が定常状態に落ち着くまで待つ必要がない。そこで、まず始めにランプの点灯処理(高電圧の印加と放電の開始)を行うが、ランプが立ち上がるのを待たずにスクリ−ンの輝度を測定し、絞りの集光角の決定を行う。
【0304】
図37は、簡易型の投射型表示装置の他の例を示す。この表示装置では、操作を簡単化するため、投射レンズの焦点位置を検出するために投射レンズにエンコ−ダ910が備えられ、投射距離検出回路920によりエンコ−ダ910の出力をCPU側から検出出来るようになっている。従って、投射距離検出回路920によりスクリ−ンサイズを検出することが出来る。
【0305】
図37に示す表示装置では、スクリ−ンゲインを1.5と仮定することにより、下記式における投射係数qを自動的に算出する。従って、未知であるのはL0 のみであり、光路遮断装置によりI=0の状態でスクリ−ン輝度Lを測定することにより、室内の明るさL0 を求めることが出来る。
【0306】
L=qI+L0
図38は、図37に示す表示装置において、自動的に集光角を決定する処理のフロ−チャ−トを示す図である。この表示装置では、投射レンズの焦点位置によりスクリ−ンサイズを検出するので、投射像の焦点を合わせた後に、絞りの最適化スイッチを押すことで、絞りの最適化が実行される。
以上、反射型スクリ−ンを用いる前面投射型の表示装置について説明したが、本発明は、これに限らず、図39及び図40に示すように、背面投射型の表示装置に対しても適用可能である。
【0307】
図39及び図40に示す背面投射型の表示装置では、光学システム950からの投射光は、第1のミラ−960及び第2のミラ−970により反射され、透過型スクリ−ン980に投射される。また、外光によるスクリ−ン輝度を測定する光学センサが配置されている。上述した前面投射型の表示装置では、光学センサは投射レンズの側部に配置され、スクリ−ンの方向に向けてスクリ−ンの反射光の強度を測定するように配置したが、背面投射型の表示装置では、図39及び図40に示すように、スクリ−ンの隅の部分にセンサA、センサBのように取り付けて、照度を測定することが出来る。背面投射型の場合には、スクリ−ンの特性があらかじめ決まっている場合が多いので、照度からスクリ−ン輝度を推定することが出来る。
【0308】
また、センサCのように、スクリ−ンの内側に配置し、スクリ−ンを通した外部光の輝度を測定することも出来る。もちろん、これらのセンサは、純粋な外部光の影響のみを測定することが出来るように、投射光学系からの光が入射しないように配置する必要がある。
【0309】
また、背面投射型の場合には、上述の式における投射係数qがあらかじめきまっているので、外光の影響L0 を測定することのみで、最適な絞りの集光角を決定することが可能である。
【0310】
投射型表示装置の表示品位は、投射する場所或いは時間帯等の種々の環境明るさに依存するスクリ−ンの黒ラベルの明るさにより変化する。環境明るさによる表示品位による補正は、フロント型の投射型表示装置の場合、投射型表示装置とスクリ−ンとの間にかなりの距離があることもあり、投射型表示装置の置かれている環境明るさとスクリ−ン周辺の明るさと異なる。また、実際には、略垂直に立てられたスクリ−ン面とスクリ−ンゲインで決まる照明照度若しくは照明輝度が表示品位に寄与する。
【0311】
このため、スクリ−ン周辺の環境照明状況や部屋の窓等からの外光により表示品位は大きく影響を受けるため、投射型表示装置の表示品位の制御は、環境明るさによるスクリン面輝度を直接モニタ−して制御することが重要である。また、会議等での用途では、使用状況に応じて任意に部屋全体の環境明るさ制御を行ったり、部分的な環境明るさの制御を行ったり、または調整段階と最終的な動作段階でスクリ−ン周辺の環境明るさは変化するため、参集段階でのスクリ−ン面輝度に応じて表示品位を調整することが望ましい。
【0312】
このため、スクリ−ン面での表示装置の黒表示レベル輝度及びコントラストをモニタ−する光センサ−を投射型表示装置に装備することにより、より高品位の映像表示を行うことが重要である。
【0313】
なお、以上、液晶パネルとして、高分子分散型や微粒子分散型の分散型液晶表示素子を用いた例について説明したが、本発明は、分散型液晶表示素子を用いた場合に、特に好適ではあるものの、それ以外にも、TN型液晶素子、STN型液晶素子、斜め電界による液晶回析格子等、種々の液晶素子にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の投射型表示装置の構成を概略的に示す図。
【図2】ランプから平行光線を得るコリメータ光源の一例を示す図。
【図3】図2に示すコンデンサレンズの入射光線を示す図。
【図4】図2示す変調素子への入射光束の角度分布と変調素子からの出射光束の角度分布との関係を示す図。
【図5】照明された環境下に置かれたスクリ−ン上に画像を表示させた場合に集光角に対応して測定された変調素子からの出射光束の強度と画像のコントラストとの関係を示すグラフ。
【図6】本発明の基本概念を説明するための投射型表示装置の構成を示す図。
【図7】本発明の第1の態様に係る投射型表示装置の構成を示す図。
【図8】絞りの開口の形状、絞りの種々の開口径を示す図。
【図9】図6に示す表示装置の動作を説明するためのフローチャート。
【図10】図9に示す処理操作をさらに詳細に示すフローチャート。
【図11】本発明の第1の態様に係る他の例の投射型表示装置の動作を説明するためのフローチャート。
【図12】本発明の第2の態様に係る投射型表示装置の構成を示す図。
【図13】図12に示す制御回路の2つの入力信号と絞りの集光角との関係を示す図。
【図14】図12における平均映像レベル(APL)検出回路を具体的に示す回路図。
【図15】図14の回路のトランジスタのコレクタ入力。バッファトランジスタのエミッタ出力。及びバッファトランジスタのエミッタ出力を示す図。
【図16】APL検出回路の他の例を示す回路図。
【図17】図16の回路のトランジスタのコレクタ出力、他のトランジスタのエミッタ出力を示す図。
【図18】集光角と表示特性の関係を示すグラフ。
【図19】明るい環境での実効的な表示特性を示すグラフ。
【図20】本発明の第3の態様に係る表示装置における変調素子の駆動電圧−透過光強度特性を示すグラフ。
【図21】本発明の第3の態様に係る表示装置における変調素子の透過率が絞りの集光角変化により所望値からずれることを説明するためのグラフ。
【図22】変調素子に対する入射光束の分布と出射光束の分布とを示す図。
【図23】変調素子の光散乱性を示す図。
【図24】図23に示す出射光束のうちで表示に関与する有効部分が集光角に依存して変化する様子を示す図。
【図25】本発明の第3の態様に係る投射型表示装置の構成を示す図。
【図26】図25に示すガンマ補正回路の構成をさらに詳しく示す図。
【図27】光変調素子の温度依存性を示すグラフ。
【図28】本発明の第4の態様に係る投射型液晶表示装置の構成を示す図。
【図29】図28の表示装置における変調素子の構成を示す平面図。
【図30】図28の表示装置における変調素子の構成を示す断面図。
【図31】図28に示す表示装置における温度センサの配置を示す図。
【図32】温度センサの具体的な回路を示す図。
【図33】図28に示す表示装置における駆動電圧供給回路を示す図。
【図34】コントラストの変化率と認知確率との関係を示すグラフ。
【図35】本発明の第6の態様に係る簡易型の投射型表示装置の構成を示す図。
【図36】図35に示す表示装置において。電源の投入の後に自動的に集光角を決定する処理のフロ−チャ−トを示す図。
【図37】簡易型の投射型表示装置の他の例を示す図。
【図38】図36に示す表示装置において、自動的に集光角を決定する処理のフロ−チャ−トを示す図。
【図39】背面投射型の表示装置を示す透視図。
【図40】背面投射型の表示装置を示す断面図。
【図41】本発明の第5の態様に係る投射型液晶表示装置の構成を示す図。
【図42】図41に示す表示装置における駆動電圧供給回路を示す図。
【図43】図41の表示装置における変調素子の構成を示す断面図。
【符号の説明】
101…回転楕円型のミラー、…102光源ランプ、103…コンデンサレンズ、104…電動絞り、107…駆動回路、108…散乱型変調素子、109…フィールドレンズ、110…投射レンズ、111…電動絞り、120…制御回路、121…デコーダ、140…輝度信号平滑回路、140B…RC積分回路。
【産業上の利用分野】
本発明は映像信号に基づいて画像表示を行なう表示装置に関し、特に、光源光を変調素子を通してスクリーン上に投射する投射型表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、プラズマ発光パネルや変調素子が、CRT表示装置に代わる小型で軽量な平面表示装置として注目されている。この平面表示装置は、表示動作において自ら光を放つ自発光型のものと、表示動作において独立した光源から入射する光の透過率を制御する透過率制御型のものとにほぼ分類できる。例えば、プラズマ発光パネルは自発光型に属し、変調素子は透過率制御型に属する。特に、この変調素子は次世代の表示装置の本命と考えられ、その技術開発が様々な実用分野で進められている。
【0003】
一般的な変調素子は、液晶デバイスハンドブックで紹介されているツイステッドネマティック型に代表されるように、偏光板を使用して線偏光された光を複屈折性または旋光性を示す液晶層に入射させることを特徴とする。しかし、こうした変調素子は、光源から得られる光量が偏光板を通過する際に約1/2に低下するという欠点を有する。
【0004】
最近では、上述した偏光板を必要としない変調素子が開発されている。この変調素子は、液晶材料が高分子樹脂中に含有される高分子分散型、あるいは微粒子が液晶材料中に含有される微粒子分散型の液晶層を、1対の透明な電極基板間、又は一方が透明で他方が反射特性を有する電極基板間に有し、この液晶層に入射した光線の空間的な伝搬方向を変調させる散乱型変調素子として機能する。この場合、光源光の利用効率は偏光板を用いた装置よりも向上される。
【0005】
高分子分散型液晶層を有する変調素子は、例えば電圧が印加されない電極間の画素領域において入射光線を散乱させる乳白色の光散乱状態に設定され、電圧が印加される電極間の画素領域において入射光線が散乱しにくい透明な光透過状態に設定される。このため、各画素領域の散乱性がその透過光および反射光の強度を映像信号に応じて変化するよう制御され、これら透過光および反射光のいずれか一方が投射光学系によりスクリーンに導かれる。
【0006】
微粒子分散型液晶層を有する変調素子の機能は、高分子型液晶層を有する変調素子のそれと基本的に同様である。
【0007】
また、この他の表示装置として、例えばSID93ダイジェスト1012ページ以降にマイクロ・ミラー・デバイス(DMD)が紹介されている。マイクロ・ミラー・デバイスは、2次元マトリクス状に配置されたマイクロミラーの角度を個々に変化させることにより、反射光線の方向を制御し、所望の方向に反射された反射光が投射光学系によりスクリーンに導かれるものである。マイクロ・ミラー・デバイスも、入射光線の空間的な伝搬方向を変調させるという点で微粒子分散型液晶層や高分子分散型液晶層を有する変調素子と同様に機能する。
【0008】
図1は、従来の投射型表示装置の構成を概略的に示す。図1において、光源部11は、光源であるランプ12およびこのランプ12からの光を集束させて平行光線にするコリメータ光学系13から構成される。散乱型変調素子14は、コリメータ光学系13から入射する平行光線の空間的な伝搬方向を2次元的に変調する機能を有し、例えば高分子分散型変調素子である。駆動回路20は、映像信号に応じて変調素子14を駆動する。投射光学系16は、変調素子14の透過光のうち、ある一定の角度範囲のものを取り出すための絞りユニット15を具備し、取り出された透過光をスクリーン17に投射する。このようにして、画像が映像信号に対応する光強度分布でスクリーン17上に表示される。
【0009】
ところで、表示画像のコントラストおよび明るさは、変調素子14から出射される光のうちで表示に使用される光線の角度分布に依存する。コントラストはこの角度分布が小さいほど向上し、明るさはこの角度分布が大きいほど向上する。すなわち、表示画像のコントラストと明るさとは互いに相反する関係にある。
【0010】
このため、特開平5−216004号、特開平5−188345号等は、変調素子14から出射される出射光線を絞る絞りユニット15の絞りサイズを可変とする構成とし、使用環境の明るさに応じて表示画像のコントラストと明るさとの関係を最適化する技術を開示する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、単に使用環境の明るさに応じて絞りサイズを可変としただけでは、コントラストと明るさの両方を満足のいく程度に向上させることは困難である。
【0012】
本発明の目的は、スクリーンが置かれた環境に応じてより見易い表示画像を得ることができる表示装置を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、画像の階調を正確に再現できる表示装置を提供することにある。
【0014】
本発明の更に他の目的は、環境温度条件によることなく優れた表示画像を得ることができる表示装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、光源と、この光源から出射された光を光変調する変調素子と、この変調素子を駆動する変調素子駆動手段と、前記光源と前記変調素子との間に配置され、前記光源から変調素子に入射する光束を制限する、そのサイズが可変の開口を有する第1の絞り手段と、前記変調素子から出射された光が投影される表示スクリーンと、前記変調素子から出射された光を表示スクリーンに投影する投射光学系と、前記変調素子と前記投射光学系との間に配置され、前記変調素子から前記投射光学系に入射する光束を制限する、そのサイズが可変の開口を有する第2の絞り手段と、前記第1及び第2の絞り手段の少なくとも一方の開口のサイズを制御する絞り制御手段と、少なくとも2つの光強度Iを設定する光強度設定手段と、これら光強度Iに対応する前記スクリーン上の表示輝度Lを検出する光センサーと、前記光強度I及び検出する表示輝度Lを式L=qI+L0(L0は表示装置が置かれた環境からの光に基づく前記表示スクリーン上の環境輝度)に代入することにより投射係数q及び環境輝度L0を求める環境解析手段と、前記求められた投射係数q及び環境輝度L0についての前記式から、表示スクリーン上のコントラストを求め、このコントラストが最大となる前記第1及び第2の絞り手段の少なくとも一方の開口のサイズを示すデータを格納する手段と、前記データ格納手段における前記コントラストを最大とする前記第1及び第2の絞り手段の少なくとも一方の開口のサイズを特定し、このサイズを最適値として決定する処理手段とを具備する表示装置を提供する。
【0016】
上記表示装置において、以下の態様が可能である。
【0075】
前記光強度設定手段は、前記変調素子駆動手段が変調素子に白画像信号を送ることによりスクリーンに白画像が表示された場合の変調光の光強度と、前記変調素子駆動手段が変調素子に黒画像信号を送ることによりスクリーンに黒画像が表示された場合の変調光の光強度を設定することを特徴とする表示装置。
【0076】
前記環境解析手段は、前記スクリーンに白画像が表示された状態で前記第1及び第2の絞り手段の少なくとも一方の開口のサイズを一定の割合で変化させ、変化した開口のサイズごとに測定された前記スクリ−ン上の表示輝度LONと、前記スクリーンに黒画像が表示された状態で前記第1及び第2の絞り手段の少なくとも一方の開口のサイズを一定の割合で変化させ、変化した開口のサイズごとに測定された前記スクリ−ン上の表示輝度LOFF とから、種々の開口のサイズについて得られたLONとLOFF の比をコントラストとして求め、このコントラストが最大となる開口のサイズを最適値として決定する処理手段を含むことを特徴とする表示装置。
【0077】
前記変調素子は、複数の色に対応する個数配置されていることを特徴とする表示装置。
【0078】
前記絞り制御手段は、前記第1及び第2の絞り手段の集光角を制御することを特徴とする表示装置。
【0079】
前記絞り制御手段は、前記第1及び第2の絞り手段の集光角がほぼ等しくなるように前記第1及び第2の絞り手段の少なくとも一方の開口のサイズを制御することを特徴とする表示装置。
【0080】
前記光源の近傍に配置され、前記光源の位置に焦点を有する回転楕円型ミラ−と、この回転楕円型ミラ−により反射された光を前記変調素子に入射させるコリメ−タ光学系とを更に具備することを特徴とする表示装置。
【0081】
前記変調素子は、分散型液晶素子、ディジタルミラ−素子、又は斜め電界による液晶回析素子であることを特徴とする表示装置。
【0082】
前記分散型液晶素子は、高分子分散型液晶素子又は微粒子分散型液晶素子であることを特徴とする記載の表示装置。
【0085】
【作用】
以下、本発明の種々の態様について、図面を参照して説明する。
【0086】
本発明の第1の態様に係る表示装置では、制御手段は絞り調整モードにおいて変調素子に所定条件で変調光を生成させ、この変調光がスクリーンに投射された状態におけるスクリーン上の明るさを検出し、この検出された明るさに応じて、表示画像のコントラスト及び明るさが最適値となるように、第1および第2絞り手段のうちの少なくとも一方の集光角、すなわち開口寸法を調整する。このような開口寸法の制御は、表示画像の明るさとコントラストとが、変調素子に入射する光束の角度分布に大きく依存するという本発明者が見い出した知見に基づいている。
【0087】
このように、変調素子に入射する光束の角度分布を反映したスクリーン上の明るさを、集光角の最適値の決定のための因子として用いることにより、スクリーンが置かれた環境の下でより見やすい表示画像を得ることができる。また、部屋の明るさが変化した場合でも、絞り調整モードにおいて集光角を自動的に最適値に修正できる。
【0088】
ここで、本発明の理解をより容易にするため、スクリーンに表示される画像の明るさとコントラストとの関係について説明する。
【0089】
図2は、ランプから平行光線を得るコリメータ光源の一例を示す。このコリメータ光源は、光軸に沿って並べられたランプ50、集束レンズ系51、絞り52、およびコンデンサレンズ53により構成される。
【0090】
実在するランプ50の特徴の一つは、光を一点から放つ点発光体ではないことにある。集束レンズ系51は、一定の面積を持ったランプ50の表面から放たれる光を半径Rの円形ランプ像60として絞り52において集束させる。絞り52は光軸に垂直な平面においてランプ像60の光束面積を制限する。従って、ランプ像60は絞り52の半径rによって決まる面積の面発光体62と考えられる。この面発光体62からの光束はコンデンサレンズ53を介して散乱型変調素子54に入射する。しかし、発光体62の平面的な広がりはこの変調素子54に入射する光線に角度分布をもたらす原因となる。
【0091】
図3はコンデンサレンズ53の入射光線を示す。このコンデンサレンズ53は面発光体62の中心に焦点を持つ充分収差の小さい凸レンズであり、この面発光体62から放射される光線を互いに平行にするために用いられる。ここで、面発光体62の中心をa点とし、面発光体62の端部をb点とすると、a点からコンデンサレンズ53に向かう同族光線は、コンデンサレンズ53の透過後いずれも光軸と平行となる。しかし、b点からコンデンサレンズ53に向かう同族光線は、コンデンサレンズ53の透過後いずれも光軸と一定の角度θをなす。この角度θはランプ像62のa点とb点の距離、すなわち半径rに比例する。コンデンサレンズ53は発光体62全体に対応して±θの角度で分布する光束を変調素子に向けて出射する。θがあまり大きくない範囲にあるとすれば、変調素子に入射した入射光束の角度分布Ωi は、立体角として次式(1)のように表すことができる。
【0092】
【数1】
上述のように、角度θはランプ像の半径rに比例するので、入射光束の角度分布Ωi とランプ像62の面積とは比例関係にある。このため、絞り52を通過して変調素子に入射する光束強度をIi で表すと、角度分布Ωi および光束強度Ii はr<Rの範囲において絞り52の半径rの増大に対応して単調増加傾向を示すことが分かる。
【0093】
次に、強度Ii の光束が入射する散乱型変調素子の表示特性について説明する。図4は、変調素子への入射光束の角度分布Ωi と変調素子からの出射光束の角度分布Ωo との関係を示す。単純化するため、入射光束は角度分布Ωi の範囲で一様でありこの範囲外に存在しないものとする。また、変調素子は散乱状態において入射光束を一様に散乱させる。この散乱能力は、角度分布を持たない入射光束に対応して得られる出射光束の角度分布Ωo をΩp として表される。
【0094】
この角度分布Ωp が入射光束の角度分布Ωi よりも充分に大きいとすれば、変調素子の表示特性は光源側および投射側絞りと以下のような関係となる。
【0095】
入射光束の角度分布Ωi は光源側絞りの状態を示し、その絞りの集光角ΩA1に対して次式(2)のようになる。
【0096】
【数2】
無散乱状態にある変調素子から得られる出射光束の角度分布Ωo をΩoON で表すと、この角度分布ΩoON は次式(3)に示すように入射光束の角度分布Ωi をそのまま反映する。
【0097】
Ωo =ΩoON =Ωi ‥‥‥(3)
散乱状態にある変調素子から得られる出射光束の角度分布Ωo をΩoOFFで表すと、この角度分布ΩoOFFは図4に示されるように変調素子の散乱能力を示す角度分布Ωp に入射光束の角度分布Ωi を重畳した形になるが、Ωi <Ωp という関係から次式(4)に示すように近似的にΩp とすることができる。
【0098】
【数3】
上述した出射光束は、その角度分布Ωo の範囲内で一様であり、投射側の絞りにより決まる一定の集光角ΩA2の範囲のみ取り出され表示される。次式(5)および(6)は入射光束強度Ii に対する出射光束の強度Io の関係を示す。
【0099】
Io =(ΩA2/Ωo )・Ii (ΩA2<Ωo の場合)‥(5)
この場合、出射光束の強度Io はΩo とΩA2の比で決まる。
【0100】
Io =Ii (ΩA2≧Ωo の場合)‥(6)
コントラストCRは、変調素子が散乱状態にある場合の出射光束強度IONと無散乱状態にある場合の出射光束強度IOFF の比として得られる。一般的にΩA2<Ωp であることから、ΩA2とΩA1の大小関係について場合分けすると、コントラストCRは次式(7)および(8)に示すようになる。
【0101】
すなわち、光源側絞りの集光角ΩA1および投射側絞りの集光角ΩA2のうちの大きい方の集光角をΩA で表すと、コントラストCRは次式(9)に示すように集光角ΩA と散乱能力を示す角度分布Ωp の比となる。
【0102】
CR=Ωp /ΩA ‥‥‥(9)
ここで、表示画像のコントラストおよび明るさ、すなわち出射光束強度IONを決定する集光角ΩA1とΩA2の大きさの関係を考える。ΩA1≦ΩA2の場合、白表示の出射光束強度IONは式(6)よりΩA2に依存せず一定であり、式(9)よりコントラストが最大になる条件はΩA1=ΩA2である。ΩA1≧ΩA2の場合、式(7)よりコントラストはCR=Ωp /ΩA1であり、式(5)よりION=Ii ΩA2/ΩA1である。従って、ΩA2=ΩA1(=Ωi )の時に出射光束強度IONが最大となる。この両者より、任意のコントラストに対して最も出射光束強度が強くなる条件、および任意の明るさにおいて最もコントラストが良くなる条件はΩA1=ΩA2である。以上のように、光源側絞りの集光角ΩA1と投射側絞りの集光角ΩA2が一致することが最も表示特性をよくする条件となる。
【0103】
以上の最適条件下で考えた場合でも、表示画像の明るさ、すなわち出射光束強度ION(=Ii )は絞りの半径rの増大に伴って向上するが、表示画像のコントラストCRはこれに伴って逆に低下することが分かる。すなわち、絞りの大きさを調整することによりIONおよびCRを変化させても、これらを共に向上させ得ないことが分かる。
【0104】
以上は定性的な考察であり、より詳細な考察は光学系の方式、ランプの特性等により個々に行なう必要があるが、表示画像の明るさとコントラストがトレードオフしてしまうという基本的な振る舞いは、高分子分散型、微粒子分散型、斜め電界による液晶回析格子(特願平6−298496号、特願平6−172935号)、あるいはDMD等の光の空間的な伝搬方向を変調する変調素子を使用した場合において共通である。
【0105】
ここで、高分子分散型液晶を散乱型変調素子として用いた投射型表示装置の動作によりスクリーンに表示される画像のコントラストについて考察する。この表示画像のコントラストはスクリーンを取り巻く環境に影響される。このため、照明された部屋におかれたスクリーン上に画像を表示させ、変調素子からの出射光束の強度および画像のコントラストを絞りの集光角に対応して測定した。図5は集光角に対応して測定された変調素子からの出射光束の強度および画像のコントラストを示す。この関係から最大コントラストをもたらす最適値が集光角の調整範囲内に存在することがわかる。
【0106】
表示装置の動作により画像がスクリーンに表示されるとき、このスクリーンの明るさLは表示画像の明るさLON又はLOFF とスクリーンが置かれた環境に依存する背景の明るさL0 との和になる。従って、実際のコントラストCRroomは明るさLONおよびLOFF を用いて次式(10)のように表される。
【0107】
CRroom=(LON+L0 )/(LOFF +L0 ) ‥‥‥(10)
背景の明るさL0 は、スクリーンが置かれた部屋の照明光および窓から採光される外光等の強さにこのスクリーンの表示形式(光透過型、光反射型)で決まる光透過率および光反射率の一方を乗じた値である。このL0 は、式(9)で得られる本来のコントラストCRを著しく低下させる影響力を持つため無視することはできない。
【0108】
L0 の値が充分小さい場合、コントラストは1/ΩA という本来の傾きに近い依存性を示し、集光角ΩA が小さいほどコントラストが良くなる。逆にL0 の値が充分大きい場合には、最大となる明るさがコントトラスト比に関して支配的になり、この集光角ΩA が大きいほどコントラストが大きくなる傾向になる。
【0109】
そこで、L0 が中間的な値である場合に絞り集光角ΩA に対応して得られるコントラストCRroomを考察する。絞りの集光角ΩA 、表示装置からの投射光の強度I、およびスクリーンの明るさLの関係は、正の比例係数kおよびqを用いることにより次式(11)のように示すことができる。
【0110】
L=kΩA =qI ‥‥‥(11)
次式(12)は、背景の明るさL0 を考慮した実際のコントラストCRroomを示す。
【0111】
L0 =0の場合、前述したように集光角ΩA が小さいほどコントラストが良くなる。次式(13)はL0 が0より大きい有限値である場合にコントラストを最大にするための必要条件を示す。
【0112】
【数4】
コントラストが最大となる点が存在する場合、それは背景の明るさL0 および絞りの集光角ΩA に依存した形になる。式(13)において集光角ΩA が実現可能な解を持つ場合、この解はコントラストCRroomを最大にする最適値となる。しかし、絞りの集光角ΩA は、実際の光源の大きさによってその上限が実質的に決まってしまう。すなわち、調整可能範囲の上限値が存在する。従って、L0 がある一定値を越えてしまった場合には、コントラストが調整範囲内で最大となるように、調整範囲内でΩA を最大とする設定が最適値となる。
【0113】
また、L0 がほぼ0の値である場合、集光角ΩA が小さいほどコントラストが良くなる。しかし、実際に集光角ΩA を小さくしすぎると、表示画像が暗くなって見づらくなる。このような場合、集光角ΩA は表示画像が見やすい範囲で最小とされる。
【0114】
【実施例】
以下、本発明の種々の態様に係る投射型表示装置について説明するが、その説明の前に、本発明の基本概念について説明する。
【0115】
図6は、本発明の基本概念を説明するための投射型表示装置の構成を示す。光学系に関し、投射型表示装置は、回転楕円型のミラー101、光源ランプ102、コンデンサレンズ103、電動絞り104、散乱型変調素子108、フィールドレンズ109、投射レンズ110、および電動絞り111を有する。ランプ102から得られた光は直接およびミラー101で反射してコンデンサレンズ103に入射する。コンデンサレンズ103はこの入射光を平行光線として散乱型変調素子108に入射させる。散乱型変調素子108は、高分子樹脂中に液晶材料が分散されて成る高分子分散型液晶層を光変調層として一対の透明電極基板間に備え、この光変調層により光の空間的な伝搬方向を映像信号に応じて変調する変調素子として駆動回路107により駆動される。散乱型変調素子108からの変調光はフィールドレンズ109を介して投射レンズ110に入射する。投射レンズ110は入射光を反射型スクリーンSCに投射する。すなわち、この投射型表示装置の基本的な表示原理は従来と同様である。
【0116】
この表示装置の特徴は、二つの電動絞り104および111を持つことにある。絞り104はコンデンサレンズ103に入射する光線の光束を絞るために設けられ、電動絞り111は投射レンズ110から投射される光線の光束を絞るために設けられる。各電動絞りは制御回路120により制御される内蔵サーボモータを有し、このサーボモータの動作により絞りサイズ、すなわち開口部の形状が調整される。この制御回路120は輝度信号平滑回路140からの入力信号Aおよびデコーダ121からの入力信号Bに基づいて絞り104および111を動作させ、散乱型変調素子108に入射する光束分布および表示に寄与する出射光束角度範囲を制御する。デコーダ121は外部の赤外線リモコンから送信される制御信号を受信しこれをデコードすることにより信号Bを得る。
【0117】
図13は制御回路120の入力信号AおよびBと絞りの集光角との関係を示す。絞りの状態は散乱型変調素子108の出射光束の中で絞りを通過する角度、すなわち集光角として示される。絞り111の集光角は、8.6×10−3srから1.1×10−3srの範囲で可変されるように設定される。また、絞り104も同じ角度範囲の光束を散乱型変調素子108に入射させるように制御される。
【0118】
制御回路120の入力信号Aは、映像信号に含まれる輝度信号の時間的平均強度であり、輝度信号平滑回路140により発生される。この輝度信号平滑回路140は図1に示されるように輝度信号のブランキングレベル(黒レベル)検出回路140AおよびRC積分回路140Bにより構成される。積分回路140Bの時定数RCは、抵抗Rを調整することにより変更できる。制御回路120の入力信号Aはブランキングレベル(黒レベル)検出回路140Aの出力(黒レベル)と輝度信号の差をRC積分回路140Bにより平均化することにより得られる。制御回路120の入力信号Bは、赤外線リモコンからの制御信号をデコーダ121によりデコードすることにより得られる信号であり、この信号は赤外線リモコンにより任意の値に設定することができる。この信号は、図18に示すように、入力信号Aの絞りに対する影響の強さを変化させるものであり。入力信号Bの値が充分小さくされると、絞りは集光角が最小の状態で入力信号Aによらず一定となる。逆に、入力信号Bの値が充分大きくされると、絞りは集光角が最大の状態で入力信号Aによらず一定となる。また、集光角を特定の値で固定する場合には、制御回路120に設けられる図示しない切り替えスイッチで入力信号Aが図18に示す中間の信号固定値で一定となるように設定される。
【0119】
また、駆動回路107の特徴は、平滑回路140Bの出力信号を入力の一つとして、散乱型液晶パネルを駆動する電圧に補正をかけることである。この補正では、デコーダ121からのデコード信号から制御回路120の動作状態が検出され、この制御回路に同期して駆動信号の平均強度の変化が小さくなる方向に補正される。従って、集光角が小さくなることで本来暗い投射映像がさらに暗なる場合に、散乱型液晶パネルの明るさが逆に増大する方向に修正され、最終的に得られる投射映像において明るさの変動が緩和される。
【0120】
上述した構成の表示装置を暗室で表示動作させたところ、高分子分散液晶の特性が不十分なためにコントラスト比が集光角1.1×10−3srの場合で70:1、8.6×10−3srの場合に18:1のコントラスト比となった。また、白表示時の光量は、集光角1.1×10−3srの場合に18lmであり、8.6×10−3srの場合に75lmの表示であった。絞りが固定の場合には、充分なコントラスト比を得るために、集光角が最小となる1.1×10−3srの状態で絞りを使用する必要がある。これに対して、実施例のように可変である場合には、明るい場面で全体の明るさを上げられるので、表示の印象は劇的に改善された。特に、星座や月世界の映像を収録したビデオソフトを使用して表示動作を行った場合、星座の場面で背景の黒が引き締まり、絞りを固定している場合とはまったく異なる非常に良好な表示となる。また、平均的な明るさの変化と絞りの調整速度の関係に関し、絞り調整の時定数を0.5秒から1秒程度に設定したところ、不自然さをあまり感じさせることなく表示特性を改善できた。
【0121】
次に、500luxの室内にて反射ゲイン13倍のスクリーンを用いて表示を行ったところ、室内光によるスクリーンの明るさがかなり気になる状態であり、集光角をほぼ最大の状態に設定したときに最も良い印象がえられた。この設定は、室内が充分暗い場合にはかえってコントラスト不足が気になってしまい、より集光角を小さくした場合に比べて悪い設定である。この実施例の表示装置を使用した場合、その使用環境の明るさが異なっても、表示特性を最適化して表示動作を行なえることが確認できた。
【0122】
人間の感覚は、明るい環境では、その明るさに対して暗い部分を黒として認識するので、明るい場面では黒表示に対する要求はあまり厳しくない。この場合は、コントラスト比よりもむしろ白部分が充分明るいことが重要である。
【0123】
逆に、暗い場面では、明るい黒と暗い黒との区別が明確になるよう暗さに対して感覚が敏感になる。白部分については、その周辺の黒部分との対比によりその明るさが強調されて見えるので、白部分の絶対的な明るさはあまり重要でない。この場合、コントラスト比が良く、黒が充分暗く表示されることが要求される。
【0124】
この投射型表示装置は、人間の感覚を満足するよう表示特性を変更することが可能であり、かつ従来では得られなかったような表示特性も得ることができる。すなわち、充分なコントラスト比の下で実質的な明るさを向上させることができる。
【0125】
この投射型表示装置は時間帯あるいは場所等に依存した様々な環境で実際に使用されることになる。特に外光(室内の照明、窓の採光部)がスクリーンに作用してその明るさを決めるため、黒の映像部分は非常に影響を受け易い。すなわち、スクリーン周辺が明る過ぎると、表示装置からの出力光が良好なコントラスト比であっても、スクリーンに表示された映像のコントラストは低下する。従って、このような状態ではコントラスト比よりも明るさを優先した表示が行われる。また、充分暗い部屋等では、白表示が少々暗くてもしっかりと黒が沈んで見えるように表示が行われる。
【0126】
この投射型表示装置は、周囲環境の諸条件により黒表示と白表示とのどちらを優先するかを任意に選択可能である。さらに、この表示装置は上述した良好な表示性能を有するにもかかわらず低消費電力である。
【0127】
尚、上述した例では、反射型のスクリーンSCがフロント側で表示画像を見るために用いられたが、透過型のスクリーンがリア側で表示画像を見るために用いられてもよい。
【0128】
さらに、この例では、表示装置が変調素子として設けられる散乱型液晶パネルの透過光を利用するように構成されたが、散乱型液晶パネルの反射光を利用するように構成されてもよい。この散乱型液晶パネルは高分子分散型液晶層の代わりに例えば微粒子分散型液晶層を光変調層として有するものでもよい。また、散乱型液晶パネルはDMD、TN型液晶や斜め電界による液晶回析格子等の変調素子に変更してもよい。
【0129】
以下、本発明の第1の態様に係る投射型表示装置について、図7を参照して説明する。
【0130】
図7において、投射型表示装置は、回転楕円型のミラー101、光源ランプ102、電動絞り104、コンデンサレンズ103、散乱型変調素子108、フィールドレンズ109、投射レンズ群110、および電動絞り111が光軸上に配置してなる光学系を具備している。ランプ102から得られた光は、直接およびミラー101で反射してコンデンサレンズ103に入射する。コンデンサレンズ103はこの入射光を互いに平行な光線として変調素子108に入射させる。この変調素子108は入射光の空間的な伝搬方向を2次元領域で変調するもので、変調素子駆動回路107により駆動される。この変調素子108は液晶材料が高分子樹脂中に分散された液晶層を一対の透明電極基板間に備えた液晶パネルである。フィールドレンズ109は変調素子108からの変調光を投射レンズ群110に導き、投射レンズ群110はこの変調光を反射型スクリーンSCに投射する。すなわち、この投射型表示装置の基本的な表示原理は従来と同様である。
【0131】
この表示装置では、電動絞り104が光源ランプ102およびコンデンサレンズ103間に配置され、電動絞り111が投射レンズ群110内に配置される。電動絞り104は変調素子108に入射される光線の角度範囲を制御するため光源ランプ102からの光源光の光束を絞り、電動絞り111はスクリーンSCに投射される光線の角度範囲を制御するため変調素子108からの変調光の光束を絞る。
【0132】
電動絞り104および111は、絞り駆動回路123により制御される内蔵サーボモータMを有し、このサーボモータの動作により絞りサイズ、すなわち開口部の形状、サイズが調整される。この開口部の形状は四角形あるいは円形等であってよく、特に好ましくは、図8(a)に示すように円形とし、サーボモータによってその半径rを変化させる構造であるとよい。また、図8(b)に示すようにサーボモータによって開口部の上下及び/又は左右が遮光される構造でもよい。なお、上下/左右を遮光して四角形の開口とすると、より好ましい。
【0133】
特に好ましくは、電動絞り104および111は、図8(c)〜(e)に示すように、カメラでよく使用されている絞りと同様の構成とするのがよい。図8(c)は、開口径が小の場合、図8(d)は、開口径が中間の場合、図8(e)は、開口径が大の場合をそれぞれ示す。
【0134】
図7に示す例では、電動絞り104および111の各々は耐熱性に優れた5枚のセラミックブレードCBにより構成されている。これらセラミックブレードCBの組み合わせにより構成される円形の開口の寸法、すなわち半径rをサーボモータMで変化させることにより、電動絞り104および111は、集光角が変化する円形の可変絞りとして機能する。
【0135】
さらに、この表示装置は、表示動作全体を制御する表示制御回路121、この表示制御回路121によって指定される輝度レベルに設定されたラスター信号を発生するラスター信号発生回路122、表示制御回路121によって指定される集光角、すなわち開口半径rを持つよう電動絞り104および111絞りの各々を駆動する絞り駆動回路123、スクリーンSCの明るさを検出しこの明るさに応じたアナログ電圧信号を発生する光センサ128、および光センサ128からの電圧信号をデジタル信号に変換して表示制御回路121に入力するための光センサインターフェース回路124を有する。
【0136】
表示制御回路121は、データバス125を介してラスター信号発生回路122、絞り駆動回路123、および光センサインターフェース回路124に接続され、光センサ128は光センサインターフェース回路124に接続され、絞り駆動回路123は電動絞り104および111絞りに接続され、変調素子駆動回路107は変調素子108に接続される。
【0137】
この表示装置は、ラスター信号発生回路122の状態によって制御される切替スイッチSW1およびSW3と、絞り調整を命じるプッシュスイッチSW2とを有する。スイッチSW1は映像信号が供給されるビデオ入力端131に接続される第1接点、ラスター信号発生回路122のラスター信号出力端に接続される第2接点、変調素子駆動回路107に接続される共通接点、およびラスター信号発生回路122のステータス出力端子に接続される制御端子を有する。
【0138】
スイッチSW2は、表示制御回路121の一対のスイッチ接続端子間に接続される。スイッチSW3は、可変抵抗127の一端に接続される第1接点、固定抵抗126の一端に接続される第2接点、絞り駆動回路123の抵抗接続端子の一方に接続される共通接点、およびラスター信号発生回路122のステータス出力端子に接続される制御端子を有する。固定抵抗126および可変抵抗127の他端は絞り駆動回路123の抵抗接続端子の他方に接続される。
【0139】
表示制御回路121は、スイッチSW2が押されたことを検出して絞り調整モードを設定する。ラスター信号発生回路122は通常は停止状態に維持されており、この絞り調整モードにおいて作動状態にされる。スイッチSW1は、ラスター信号発生回路122が停止状態にあるときに供給されるステータス信号の下で共通接点を第1接点に接続させ、ラスター信号発生回路122が作動状態にあるときに供給されるステータス信号の下で共通接点を第2接点に接続させる。
【0140】
すなわち、通常、スイッチSW1は映像信号を変調素子駆動回路107に供給し、スイッチSW3は可変抵抗127を絞り駆動回路123に接続する。ラスター信号発生回路122が絞り調整モードの設定により作動状態になった場合、スイッチSW1はラスター信号を変調素子駆動回路107に供給し、スイッチSW2は固定抵抗126を絞り駆動回路123に接続する。
【0141】
絞り駆動回路123は、固定抵抗126に接続された状態において電動絞り104および111を表示制御回路121によって指定される電動絞りの集光角、すなわち開口半径に調整する。可変抵抗器127はこうして設定された集光角をさらに修正するために設けられたもので、手動で操作される。絞り駆動回路123は可変抵抗127に接続された状態において可変抵抗127が操作されたとき、集光角の値を可変抵抗127の抵抗値に応じて正および負の方向に修正する。光センサ128は、例えばフォトダイオードと集光レンズで構成され、スクリーンSCの明るさは光センサ128から光センサインターフェース124を介して表示制御回路121に供給される信号に基づいて測定される。
【0142】
表示制御回路121は、様々なデータ処理を行なうマイクロプロセッサMPおよびこのマイクロプロセッサMPの制御プログラムおよび様々なデータを格納するメモリSMを有する。制御プログラムは絞り制御モードで最適な集光角を決定するための処理ルーチンを含む。
【0143】
次に、この表示装置の動作を図9および図10に示すフロ−チャ−トを参照して説明する。
【0144】
図9において、表示制御回路121は電源投入に伴って制御プログラムを実行することにより表示制御処理を行なう。この表示制御処理が開始されると、ステップS201でプッシュスイッチSW2が押されたかどうかがチェックされる。プッシュスイッチSW2が押されたことが検出されると、表示制御回路121はステップS202でラスター信号発生装置122を作動状態にするため、絞り調整モードを設定し、ラスター信号の輝度レベルを最高にするようラスター信号発生装置122に指定する。
【0145】
スイッチSW1はラスター信号発生装置122から発生されたラスター信号を変調素子駆動回路107に供給し、スイッチSW3は固定抵抗126を絞り駆動回路123に接続する。このとき、変調素子駆動回路107はラスター信号に対応して光透過率(変調度)が最大となるよう変調素子108を駆動し、スクリーンSC全体に白画像を表示させる最も明るい変調光を出射させる。その後、表示制御回路121は、ステップS203で様々な絞りの集光角に対するスクリーンSCの明るさを求める測定処理を行なう。
【0146】
図10はこの測定処理をさらに詳細に示す。表示制御回路121は変調素子108を実際に駆動するために要する応答時間を考慮して決定される0.5秒程度の所定時間が経過するのをステップS251で待ち、ステップS252で各絞りを最も絞った状態に設定するために集光角1.0×10−3sradを絞り駆動回路123に指定する。表示制御回路121は各絞りが最も絞られた状態で光センサ128により検出されたスクリーンの明るさをステップS254で測定する。この後、表示制御回路121はステップS253で集光角を0.5×10−3sradの割合で増加させ、集光角が増大される毎に光センサ128により検出されたスクリーンの明るさをステップS254で測定する。ステップS255で集光角が9.5×10−3sradという絞りを最も開いた状態にする値に達したことが検出されると、白画像を表示した場合の測定処理が終了し、図9に示すステップS204が実行される。
【0147】
このステップS204では、表示制御回路121はステップS202でラスター信号の輝度レベルを最低にするようラスター信号発生装置122に指定する。スイッチSW1およびSW2はステップS202のときと同様に機能する。このとき、変調素子駆動回路107はラスター信号に対応して光透過率(変調度)が最小となるよう変調素子108を駆動し、スクリーンSC全体に黒画像を表示させる最も暗い変調光を出射させる。この後、表示制御回路121は、ステップS205で再び図10に示す測定処理を行なう。黒画像を表示した場合の測定処理が終了すると、ステップS206が実行される。
【0148】
このステップS206では、表示制御回路121が集光角とコントラストとの関係を示すデータテーブルを作成する。このデータテーブルは、同一集光角に対してステップS203で得られた明るさの測定値とステップS205で得られた明るさの測定値との比をコントラストとして求めることにより作成される。表示制御回路121はステップS207でコントラストが最大となる最適な集光角をこのデータテーブルから探し出し、この最適な集光角を絞り駆動回路123に指定する。絞り駆動回路123がこの最適な集光角を持つよう電動絞り104および111の各々を駆動すると、表示制御回路121はラスター信号発生装置122を停止状態にするため絞り調整モードを解除し、再びステップS201を実行する。絞り調整モードの解除後、スイッチSW1はビデオ入力端に入力される映像信号を変調素子駆動回路107に供給し、スイッチSW3は可変抵抗127を絞り駆動回路123に接続する。
【0149】
上述した実施例では、スイッチSW2を押すことにより、コントラストが最大となる絞りの最適集光角が求められ、絞りがこの最適集光角を持つように自動的に調整される。可変抵抗器127はこの調整後利用可能になるので、最適集光角の下で得られる表示画像の明るさをさらに好みに応じて明るくまたは暗くなる方向に変更することができる。
【0150】
ここで、高分子分散型液晶を用いた変調素子で得られた表示実験の結果を示す。コントラストは集光角1.0×10−3sradの場合で70:1、集光角9.5×10−3sradの場合で18:1となった。また、白画像表示時の光量は、集光角1.0×10−3sradの場合で18lmで、集光角9.5×10−3sradの場合で75lmの表示であった。また、部屋の明るさを変えて表示実験を行ってみたが、その都度スイッチSW2を押すことで電動絞り104および111の集光角がコントラストを最大とする最適値に速やかに調整されるため、こうした使用環境の変化に対して容易に対処できる。
【0151】
次に、本発明の第1の態様に係る他の投射型表示装置の例について図11を参照して説明する。
【0152】
この表示装置は表示制御回路121に設けられたメモリSMの内容を除いて第7図に示す装置と全く同様のハードウエアで構成される。このため、同様部分を同一参照符号で示し、ハードウエア部分の説明を省略する。この実施例では、電動絞り104および111に共通な可変範囲にある様々な集光角と、これら集光角の下で白画像および黒画像をそれぞれ表示するために変調素子から出射される変調光強度との標準的な関係を示すデータテーブルが予めメモリSMに格納され、制御プログラムがこのテーブルを使用するために修正される。
【0153】
すなわち、表示制御回路121は、電源投入に伴って制御プログラムを実行することにより、図11に示す表示制御処理を行なう。この表示制御処理が開始されると、まずステップS301でプッシュスイッチSW2が押されたかどうかがチェックされる。プッシュスイッチSW2が押されたことが検出されると、表示制御回路121はステップS302でラスター信号発生装置122を作動状態にするため絞り調整モードを設定し、2.1×10−3sradという標準的な絞りの集光角を絞り駆動回路123に指定し、さらにステップS303でラスター信号の輝度レベルを最高にするようラスター信号発生装置122に指定する。
【0154】
スイッチSW1は、ラスター信号発生装置122から発生されたラスター信号を変調素子駆動回路107に供給し、スイッチSW3は、固定抵抗126を絞り駆動回路123に接続する。このとき、変調素子駆動回路107はラスター信号に対応して光透過率(変調度)が最大となるよう変調素子108を駆動し、スクリーンSC全体に白画像を表示させる最も明るい変調光を出射させる。その後、表示制御回路121は、変調素子108を実際に駆動するために要する応答時間を考慮して決定される0.5秒程度の所定時間が経過するのをステップS304で待ち、絞りの集光角が2.1×10−3sradに設定された状態で光センサ128により検出された明るさをステップS305で測定する。
【0155】
さらに、表示制御回路121は、ステップS306でラスター信号の輝度レベルを最低にするようラスター信号発生装置122に指定する。スイッチSW1およびSW3はステップS303のときと同様に機能する。このとき、変調素子駆動回路107はラスター信号に対応して光透過率(変調度)が最小となるよう変調素子108を駆動し、スクリーンSC全体に黒画像を表示させる最も暗い変調光を出射させる。
【0156】
その後、表示制御回路121は、変調素子108を実際に駆動するために要する応答時間を考慮して決定される0.5秒程度の所定時間が経過するのをステップS307で待ち、絞りの開口角が2.1×10−3sradに設定された状態で光センサ128により検出された明るさをステップS308で測定する。
【0157】
表示制御回路121は、ステップS309で、白画像をスクリーンに表示した状態において得られる明るさLONと、変調素子108から出射される変調光の強度IONと、背景の明るさL0 との関係を表す式LON=qION+L0 、並びに黒画像がスクリーンに表示された状態において得られる明るさLOFF と、変調素子108から出射される変調光の強度IOFF と、背景の明るさL0 との関係を表す式LOFF =qIOFF +L0 に含まれる投射係数qおよび背景の明るさL0 を求める。すなわち、ステップS305およびS308で得られたLONおよびLOFF の測定値が変調光の強度IONおよびIOFF と共にこれらの式に代入される。ここでqは正の定数であり、IONおよびIOFF はメモリSMに格納されたデータテーブルから得られる値である。
【0158】
その後、ステップS310で、表示制御回路121は、ステップS309で既知となったqおよびL0 をステップS309で示したLON=qION+L0 およびLOFF =qIOFF +L0 という2つの式に代入し、さらに絞りに共通な可変範囲において集光角を変化させたとしてデータテーブルから得られる変調光の強度IONおよびIOFF をこられの式に代入することによりコントラストLON/LOFF が最大となる集光角を求め、ステップS311でこの集光角を絞り駆動回路123に指定する。
【0159】
絞り駆動回路123がこの集光角を持つよう電動絞り104および111の各々を駆動すると、表示制御回路121はステップS312でラスター信号発生装置122を停止状態にするため絞り調整モードを解除し、再びステップS301を実行する。絞り調整モードの解除後、スイッチSW1はビデオ入力端に入力される映像信号を変調素子駆動回路107に供給し、スイッチSW3は可変抵抗127を絞り駆動回路123に接続する。
【0160】
この第2の実施例では、第1の実施例と同様にスイッチSW2を押すことにより、コントラストが最大となる絞りの最適な集光角が求められ、絞りがこの最適集光角を持つよう自動的に調整される。可変抵抗器127はこの調整後利用可能になるので、最適集光角の下で得られる表示画像の明るさをさらに好みに応じて明るくまたは暗くなる方向に変更することができる。
【0161】
さらにこの実施例では、絞りの集光角を短時間で最適化することができる。すなわち、第1の実施例では、白画像および黒画像をスクリーンに表示させた状態で、可変範囲において0.5×10−3sradの割合で絞りの集光角を変化させ、その度にスクリーンの明るさを測定しなくてはならない。これに対し、第2実施例では、スクリーンの明るさを測定する回数がメモリSMに予め用意されたデータテーブルを利用することによりを2回に低減でき、その結果絞りの集光角を最適化するために必要とされる時間を5秒以下にすることが可能になる。
【0162】
また、この第2の実施例においては、式L=q I+L0 におけるq およびL0 を推定するために、標準的な集光角において得られる最も明るい光強度IONの変調光および最も暗い光強度IOFF の変調光の2つを各々出射光として用いて明るさLを測定したが、それ以外の変調状態を用いても本発明の主旨を損なうものではない。
【0163】
例えば、所定の中間調レベルに設定された変調素子の変調度において集光角を最大としたときに得られる変調光の光強度IAMAXおよび集光角を最小にしたときに得られる変調光の光強度IAMINと、これら変調光をそれぞれ出射光として用いて測定された明るさLAMAXおよびLAMINとを次式に代入することによりq およびL0 を求めてもよい。
【0164】
LAMAX = qIAMAX + L0
LAMIN = qIAMIN + L0
要点は、q およびL0 を求めるために少なくとも2つの異なる光強度の変調光をスクリーンSCに投射し、このときに得られるスクリーンSCの明るさを測定することにある。ただし、q およびL0 の精度はこれら変調光の強度差が大きいほどが向上することから、一方の変調光の強度を最大に設定し他方の変調光の強度を最小にすることが好ましい。
【0165】
また、2つの異なる強度の変調光を投射する代わりに例えば3つ以上n個の異なる変調光を投射こともできる。これら変調光の投射により得られる明るさは、次式によって表される。
【0166】
Li = q Ii + L0 (i = 1,2,… n)
この場合、q およびL0 を最小自乗法等の手法を用いて求めてもよい。これらq およびL0 が求められれば、様々な比q /L0 に対する最適な絞り状態の関係を示す一次元のデータテーブルから、求めたq およびL0 の比に対応する最適な絞りの状態を決定することができる。
【0167】
尚、上述した各実施例では、反射型のスクリーンSCがフロント側で表示画像を見るために用いられたが、透過型のスクリーンがリア側で表示画像を見るために用いられてもよい。
【0168】
さらに、各実施例では、表示装置が変調素子の透過光を変調光として利用するように構成されたが、変調素子の反射光を利用するように構成されてもよい。また、変調素子は高分子分散型液晶の代わりに例えば微粒子分散型液晶あるいはDMD、斜め電界による液晶回析格子等を利用するものでもよい。
【0169】
以上説明したように、本発明の第1の態様によれば、変調素子に入射する光束の角度分布を反映するスクリーンの明るさを検出し、この値が表示画像のコントラストを最大とする絞り調整に利用されるため、スクリーンが置かれた環境の下でより見易い表示画像を得ることができる。
【0170】
次に、本発明の第2の態様に係る投射型表示装置について説明する。
【0171】
図12はこの投射型表示装置の構成を示す。光学系に関し、投射型表示装置は、回転楕円型のミラー101、光源ランプ102、コンデンサレンズ103、電動絞り104、変調素子108、フィールドレンズ109、投射レンズ110、および電動絞り111を有する。ランプ102から得られた光は直接およびミラー101で反射してコンデンサレンズ103に入射する。コンデンサレンズ103はこの入射光を平行光線として変調素子108に入射させる。変調素子108は、高分子樹脂中に液晶材料が分散されて成る高分子分散型液晶層を光変調層として一対の透明電極基板間に備え、この光変調層により光の空間的な伝搬方向を映像信号に応じて変調する変調素子として駆動回路107により駆動される。変調素子108からの変調光はフィールドレンズ109を介して投射レンズ110に入射する。投射レンズ110は入射光を反射型スクリーンSCに投射する。すなわち、この投射型表示装置の基本的な構成は、図7に示す投射型表示装置と同様である。
【0172】
この表示装置は、図7に示す装置と同様、二つの電動絞り104および111を具備している。絞り104はコンデンサレンズ103に入射する光線の光束を絞るために設けられ、電動絞り111は投射レンズ110から投射される光線の光束を絞るために設けられる。各電動絞りの制御回路120は、輝度信号平滑回路140からの入力信号A、デコーダ129からの入力信号B、及び光センサインタ−フェ−ス回路124からの信号Cに基づいて絞り104および111を動作させ、変調素子108に入射する光束分布および表示に寄与する出射光束角度範囲を制御する。デコーダ129は、外部の赤外線リモコンから送信される制御信号を受信し、これをデコードすることにより信号Bを得る。
【0173】
図13は制御回路120の入力信号AおよびBと絞りの集光角との関係を示す。絞りの状態は変調素子108の出射光束の中で絞りを通過する角度、すなわち集光角として示される。絞り111の集光角は、8.6×10−3srから1.1×10−3srの範囲で可変されるように設定される。また、絞り104も同じ角度範囲の光束を変調素子108に入射させるように制御される。
【0174】
制御回路120の入力信号Aは、映像信号に含まれる輝度信号の時間的平均強度であり、輝度信号平滑回路140により発生される。この輝度信号平滑回路140は、図10に示されるように、輝度信号のブランキングレベル(黒レベル)検出回路140AおよびRC積分回路140Bにより構成される。積分回路140Bの時定数RCは、抵抗Rを調整することにより変更できる。制御回路120の入力信号Aはブランキングレベル(黒レベル)検出回路140Aの出力(黒レベル)と輝度信号の差をRC積分回路140Bにより平均化することにより得られる。
【0175】
制御回路120の入力信号Bは、赤外線リモコンからの制御信号をデコーダ129によりデコードすることにより得られる信号であり、この信号は赤外線リモコンにより任意の値に設定することができる。この信号は、図12に示すように、入力信号Aの絞りに対する影響の強さを変化させるものであり、入力信号Bの値が充分小さくされると、絞りは集光角が最小の状態で入力信号Aによらず一定となる。逆に、入力信号Bの値が充分大きくされると、絞りは集光角が最大の状態で入力信号Aによらず一定となる。また、集光角を特定の値で固定する場合には、制御回路120に設けられる図示しない切り替えスイッチで入力信号Aが図12に示す中間の信号固定値で一定となるように設定される。
【0176】
また、駆動回路107の特徴は、平滑回路140Bの出力信号を入力の一つとして、散乱型液晶パネルを駆動する電圧に補正をかけることである。この補正では、デコーダ129からのデコード信号から制御回路120の動作状態が検出され、この制御回路に同期して駆動信号の平均強度の変化が小さくなる方向に補正される。従って、集光角が小さくなることで本来暗い投射映像がさらに暗くなる場合に、散乱型液晶パネルの明るさが逆に増大する方向に修正され、最終的に得られる投射映像において明るさの変動が緩和される。
【0177】
以上のようにして、入力信号Aが図12に示す中間の信号固定値で一定となるように設定されると、次に、光センサインタ−フェ−ス回路124からの信号Cに基づいて絞りが制御される。
【0178】
次に、図12に示す表示装置における平均映像レベル(APL)検出回路140について、図14〜図17を参照して具体的に説明する。
【0179】
図14に示す平均映像レベル(APL)検出回路140では、入力端子151から正極性の映像信号が入力され、カップリングコンデンサ−171を介してトランジスタ174のコレクタに加えられる。トランジスタ174のコレクタには、電源端子161に供給される電源電圧VCCを抵抗172,173により分圧した電圧がバイアスされている。
【0180】
トランジスタ174のベ−スには、端子162から抵抗175を介してゲ−トパルスが加えられる。このトランジスタ174において、ゲ−トパルスの期間、平均映像レベル(APL)が検出される。検出される期間は、例えば映像信号のブランキング期間である。
【0181】
次に、検出されたAPLは、バッファトランジスタ176を介して、整流ダイオ−ド177と抵抗178とコンデンサ−179とからなる時定数回路でピ−ク整流され、トランジスタl80と抵抗181とからなるバッッファアンプと抵抗182を介して、以下のような信号が得られる。
【0182】
図15は、APLの低い映像信号の場合、及びAPLの高い映像信号の場合の、トランジスタ174のコレクタ入力、バッファトランジスタ176のエミッタ出力、及びバッファトランジスタl80のエミッタ出力を示す。図15から、バッファトランジスタl80のエミッタ出力は、APLが低いときは低く、APLが高いときは高くなることがわかる。この電圧変化は、抵抗182を介して得られる。
【0183】
図16は、APL検出回路の他の例を示す回路図である。端子151に例えば同期信号の先端がクランプされた映像信号を入力するものとする。ここでトランジスタ190は抵抗191とコンデンサ192とからなる並列回路を介して電源端子161に接続されており、トランジスタ190のエミッタは、抵抗193とツェナダイオ−ド194とを介して基準電位点に接続されている。
【0184】
トランジスタ190のコレクタは、PNP型トランジスタ195のベ−スに接続されており、PNP型トランジスタ195のエミッタは、抵抗196とコンデンサ197とからなる並列回路を介して電源端子162に接続され、かつトランジスタl80のベ−スに接続されている。トランジスタl80、抵抗182は、図15に示すものと同様である。
【0185】
図16に示す構成の回路において、トランジスタ190のベ−スに、クランプされた映像信号を入力すると、トランジスタ190のコレクタからは、ツェナダイオ−ド194で設定されたしきい値以上のレベルの信号が反復増幅されて出力される。この信号はトランジスタ195のベ−ス・エミッタにより整流され、トランジスタl80を介して取り出される。
【0186】
このトランジスタl80のエミッタ出力により、誤差増幅器150の入力端(−)の基準電圧が変化する。このようにすることにより、トランジスタ190のコレクタ入力、バッファトランジスタ195のエミッタ出力は、図17に示すようになる。なお、図17において、ハッチングが付された部分は、トランジスタ195により増幅された部分であり、このしきい値以下の部分がトランジスタ180のベ−ス・エミッタ間を通して整流される。
【0187】
上述した図12に示す構成の表示装置を暗室で表示動作させたところ、高分子分散液晶の特性が不十分なためにコントラストが集光角1.1×10−3srの場合で70:1、8.6×10−3srの場合に18:1のコントラストとなった。また、白表示時の光量は、集光角1.1×10−3srの場合に18lmであり、8.6×10−3srの場合に75lmの表示であった。絞りが固定の場合には、充分なコントラストを得るために、集光角が最小となる1.1×10−3srの状態で絞りを使用する必要がある。これに対して、実施例のように可変である場合には、明るい場面で全体の明るさを上げられるので、表示の印象は劇的に改善された。特に、星座や月世界の映像を収録したビデオソフトを使用して表示動作を行った場合、星座の場面で背景の黒が引き締まり、絞りを固定している場合とはまったく異なる非常に良好な表示となる。また、平均的な明るさの変化と絞りの調整速度の関係に関し、絞り調整の時定数を0.5秒から1秒程度に設定したところ、不自然さをあまり感じさせることなく表示特性を改善できた。
【0188】
次に、500luxの室内にて反射ゲイン13倍のスクリーンを用いて表示を行ったところ、室内光によるスクリーンの明るさがかなり気になる状態であり、集光角をほぼ最大の状態に設定したときに最も良い印象がえられた。この設定は、室内が充分暗い場合にはかえってコントラスト不足が気になってしまい、より集光角を小さくした場合に比べて悪い設定である。この実施例の表示装置を使用した場合、その使用環境の明るさが異なっても、表示特性を最適化して表示動作を行なえることが確認できた。
【0189】
人間の感覚は、明るい環境では、その明るさに対して暗い部分を黒として認識するので、明るい場面では黒表示に対する要求はあまり厳しくない。この場合は、コントラストよりもむしろ白部分が充分明るいことが重要である。
【0190】
逆に、暗い場面では、明るい黒と暗い黒との区別が明確になるよう暗さに対して感覚が敏感になる。白部分については、その周辺の黒部分との対比によりその明るさが強調されて見えるので、白部分の絶対的な明るさはあまり重要でない。この場合、コントラストが良く、黒が充分暗く表示されることが要求される。 この実施例の投射型表示装置は、人間の感覚を満足するよう表示特性を変更することが可能であり、かつ従来では得られなかったような表示特性も得ることができる。すなわち、充分なコントラストの下で実質的な明るさを向上させることができる。
【0191】
この投射型表示装置は時間帯あるいは場所等に依存した様々な環境で実際に使用されることになる。特に外光(室内の照明、窓の採光部)がスクリーンに作用してその明るさを決めるため、黒の映像部分は非常に影響を受け易い。すなわち、スクリーン周辺が明る過ぎると、表示装置からの出力光が良好なコントラストであっても、スクリーンに表示された映像のコントラストは低下する。従って、このような状態ではコントラストよりも明るさを優先した表示が行われる。また、充分暗い部屋等では、白表示が少々暗くてもしっかりと黒が沈んで見えるように表示が行われる。
【0192】
この実施例の投射型表示装置は、周囲環境の諸条件により黒表示と白表示とのどちらを優先するかを任意に選択可能である。さらに、この表示装置は上述した良好な表示性能を有するにもかかわらず低消費電力である。
【0193】
尚、上述した実施例では、反射型のスクリーンSCがフロント側で表示画像を見るために用いられたが、透過型のスクリーンがリア側で表示画像を見るために用いられてもよい。
【0194】
さらに、この実施例では、表示装置が光変調素子として設けられる散乱型液晶パネルの透過光を利用するように構成されたが、散乱型液晶パネルの反射光を利用するように構成されてもよい。この散乱型液晶パネルは高分子分散型液晶層の代わりに例えば微粒子分散型液晶層を光変調層として有するものでもよい。また、散乱型液晶パネルはDMD等の光変調素子に変更してもよい。
【0195】
本実施例に係る表示装置では、映像を明るい場面ではより明るくし暗い場面ではより暗く表示することが可能であり、実効的なコントラストおよび明るさが向上する。これは、図18に示すように絞りの状態により表示特性が変化するためである。図18において、絞りの状態は光変調素子の出射光束の中で絞りを通過する角度、すなわち集光角の形で示される。集光角が小さい場合には、表示が全体的に暗くなるが、特に黒表示の場合に暗くなるためにコントラストは良くなる。これに対して、集光角を大きくすると、白表示だけでなく、黒表示の部分もより明るくなって、コントラストが小さくなってしまう。これに対して、表示の明るさに対応して集光角を変えることで最大輝度と最小輝度を表示に利用できるようになる。
【0196】
また、明るい環境では、明るさを重視した表示特性を得るとことができ、暗い環境では黒レベルを重視した高コントラストの表示特性をすることができる。すなわち、図19に示すように、外部の明るさのために、表示スクリーンの明るさが常に一定以上である場合、黒レベルはそれよりも下がらないので、表示装置の出力光束が小さくなってもあまり意味を持たなくなる。従って、この場合には絞りを開けて明るさを重視した表示を行なうことで、環境も含めた全体の表示特性が良くなる。
【0197】
以上説明したように、第2の態様によれば、スクリーン上に表示される映像のコントラストと明るさを適切に制御することができる。
【0198】
次に、本発明の第3の実施態様について説明する。
【0199】
第1及び第2の態様に係る表示装置において、或いは従来の表示装置において、絞りの集光角が調整されると、所望の透過光強度が、輝度信号電圧に対応して生成される駆動電圧の下で得られなくなってしまう。すなわち、表示画像の階調が正確に再現されなくなる。さらに変調素子が赤、緑、および青の色成分で構成されるカラー画像を表示する場合、これら色成分相互の階調バランスが集光角の変化に伴い変化し、表示画像の色調を変化させる結果となる。
【0200】
また、上述の投射型表示装置にあっては、種々の環境下で表示状態の最適化を図ることができるものの、明るさ優先の表示を行う際と、コントラスト優先の表示を行う際とで、液晶パネルへ入射される光線の角度分布が異なることに起因したコントラストの低下や表示品位劣化がある。そして、このような表示品位の劣化は、液晶パネルへ入射される光束の変化に起因した液晶パネルの画素スイッチ素子の光リーク電流の変動によって生ずる。
【0201】
本発明の第3の態様は、上述した技術課題に鑑みなされたものであって、画像の階調を正確に再現するものであるとともに、各種環境下で良好な表示画像が得られ、特に明るい環境下の使用であっても、表示品位の優れた投射型表示装置を提供する。
【0202】
まず、液晶パネルの光リ−クのない場合においての変調素子の駆動電圧−変調光強度特性の集光角制御依存性について、発明者らの考察によれば、変調素子の駆動電圧−変調光強度特性は図20のようになる。図20において、特性曲線Y1は、標準的な5度の集光角において得られる変調素子の駆動電圧と透過光(変調光)強度との相対的な関係を表す。この特性曲線Y1は、絞りを開いたときに曲線Y2で示すようにシフトし、絞りを絞ったときに曲線Y3で示すようにシフトする。これは、同一駆動電圧に対する透過光強度を変化させることになる。例えば変調素子の特性曲線Y1が曲線Y2にシフトした場合、変調素子の透過率は、図21に示すように、0.6Vの輝度信号電圧に対して設定されるべき値である0.6よりも高い値に設定される。
【0203】
このような駆動電圧−変調光強度特性の絞りに対する依存性は、以下に説明する原因によるものと考えられる。即ち、変調素子に対する入射光束の分布は、図22に示すように、絞りの集光角によって決まる出射光束の分布に等しい。変調素子は、図23に示すように、光を散乱させる散乱性を持ち、絞りの集光角が図22においてA,B,およびCで示すように変化する場合、出射光束は、これら集光角A,B,およびCについてそれぞれ図24A,図24B,および図24Cに示すように分布する。
【0204】
しかし、これら出射光束は、例えば出射側の絞りにより、入射光束の分布と同じ一定角度範囲の部分を除いて遮られてしまうため、これらの図においてハッチングで示す部分だけが表示に関与する出射光束として有効なものとなる。この遮光部分に対する有効部分の比率は、これらの図から明らかなように、集光角が広いほど大きくなる。
【0205】
変調素子の相対透過率は、入射光束の全てが変調素子で散乱されず出射側の絞りを通過する出射光束の光束量と、変調素子の散乱性により散乱された時に出射側の絞りを透過する出射光束の光束量との比である。変調素子が図23のような散乱性を示す場合、図22にA,B,Cで示すような入射光束および出射光束となる絞り量について、透過率はそれぞれ図24(a),(b),(c)示す様になる。すなわち、集光角が広いほど、入射光束に対する出射側の絞りを透過する出射光束の割合が大きくなることがわかる。
【0206】
本発明の第3の態様に係る表示装置によれば、補償回路が絞り制御部に連動して変調素子の駆動電圧−変調光強度特性の変化を補償する。このため、絞り量を調整して画像の明るさを変化させた場合でも、適切にガンマ補正を行なうことが可能となる。従って、階調の潰れおよび不自然な色調の変化等が防止される。
【0207】
以下、本発明の第3の態様に係る投射型表示装置について、図面を参照して説明する。
【0208】
図25は、この投射型表示装置の全体構成を示す。この投射型表示装置は、回転楕円型のミラー101、光源ランプ102、電動絞り104、コンデンサレンズ103、散乱型変調素子108、フィールドレンズ109、投射レンズ群110、および電動絞り111が光軸上に並べられた光学系を有する。ランプ102から得られた光は直接およびミラー101で反射してコンデンサレンズ103に入射する。コンデンサレンズ103はこの入射光を互いに平行な光線として変調素子108に入射させる。この変調素子108は入射光の空間的な伝搬方向を2次元領域において変調するもので、ガンマ補正回路210および極性反転/非反転増幅回路211で構成される駆動回路により駆動される。
【0209】
変調素子108は、液晶材料が高分子樹脂中に分散された液晶層を一対の透明電極基板間に保持する高分子分散型液晶パネルであり、複数のカラー画素グループが液晶パネルにおいてマトリクス状に配置される。各画素グループは赤、緑、および青の画素で構成される。フィールドレンズ109は変調素子108からの変調光を投射レンズ群110に導き、投射レンズ群110はこの変調光を反射型スクリーンに投射する。即ち、この投射型表示装置の基本的な表示原理は従来と同様である。
【0210】
この表示装置では、電動絞り104が光源ランプ102およびコンデンサレンズ103間に配置され、電動絞り111が投射レンズ群110内に配置される。電動絞り104は変調素子108に入射される光線の角度範囲を制御するため光源ランプ102からの光源光の光束を絞り、電動絞り111はスクリーン109に投射される光線の角度範囲を制御するため変調素子108からの変調光の光束を絞る。電動絞り104および111の各々は耐熱性に優れた5枚のセラミックブレードおよびサーボモータを有し、セラミックブレードの組み合わせにより構成される円形の開口の寸法、すなわち半径をサーボモータで変化させることにより集光角が変化する円形の可変絞りとして機能する。
【0211】
この表示装置には、カラー映像信号を赤,緑,青の色成分に分解することにより得られる3つの輝度信号R,G,およびBが供給される。各輝度信号は変調素子108に設けられた対応色の画素の輝度を1フィールド周期で順次指定する。この表示装置はさらに表示画像のコントラストおよび明るさを最適化するために電動絞り104および111の集光角、すなわち開口半径を輝度信号R,G,およびBに基づいて共通に調整する絞り制御回路212を有する。
【0212】
この絞り制御回路212は、調整された絞りの集光角を表す集光角データDをガンマ補正回路210に供給する。ガンマ補正回路210は集光角データDに基づいて輝度信号R,G,およびBをガンマ補正し、これを駆動電圧RO,GO,およびBOとして極性反転/非反転増幅回路211に供給する。極性反転/非反転増幅回路211は、例えば映像信号の水平走査周期で駆動電圧RO,GO,およびBOの極性を正極性および負極性の一方から他方に反転し、変調素子108に供給する。
【0213】
図26は、ガンマ補正回路210の構成をさらに詳細に示す。ガンマ補正回路210は輝度信号R,G,およびBについてそれぞれガンマ補正を行なうため互いに同様に構成される処理チャネルCH1−CH3を有する。これら処理チャネルCH1−CH3の各々は、対応色の輝度信号を画素毎の輝度を表すデジタル形式の輝度データIに変換するA/D変換器201、このA/D変換器201からの輝度データIに対応する基準駆動電圧データVRを発生するガンマ特性変換テーブル202、絞り制御回路212からの集光角データDに対応する補正データΔVを発生する補正テーブル203、補正データΔVを基準電圧データVRに加算する加算器204、およびこの加算結果をアナログ形式の駆動電圧信号に変換するD/A変換器205で構成される。
【0214】
特性変換テーブル202は輝度データIによって選択される複数の基準駆動電圧データVRを格納したROMであり、各基準駆動電圧データVRは輝度データIによって指定される輝度に対して図22に示す特性曲線Y1によって決まる基準駆動電圧を表す。補正テーブル203は輝度データIによって選択される複数の補正データΔVを格納したROMであり、各補正データΔVは集光角データDで指定される集光角に対して得られる曲線Y2およびY3のような曲線と特性曲線Y1との差を近似した補正電圧を表す。
【0215】
ここで、各処理チャネルの動作を説明する。A/D変換器201は輝度信号を輝度データIに変換し、これをガンマ特性変換テーブル202に供給する。これにより、ガンマ特性変換テーブル202に格納された基準駆動電圧データVRのうちの1つがこの輝度データIにより選択され、標準的な5度の集光角で得られる特性曲線Y1に基づくガンマ補正の結果として加算器204に供給される。他方、補正テーブル203に格納された補正データΔVのうちの1つが絞り制御回路212からの集光角データDにより選択され、集光角データDによって指定された集光角に対して得られる特性曲線と特性曲線Y1との差を近似した補正電圧として加算器204に供給される。加算器204は基準駆動電圧データVRと補正データΔVとを加算する。この加算結果は現在の集光角に適した駆動電圧を表し、D/A変換器205により駆動電圧信号に変換される。
【0216】
電動絞り104および111が例えば5度の標準的な集光角に設定されている場合、補正データΔVはゼロを表すため、加算器204の加算結果は基準駆動電圧データVRに等しくなる。集光角データDが集光角の調整により変化すると、補正データΔVもゼロから正または負の方向に変化する。補正データΔVは絞りの集光角が5度よりも大きい場合に負となり、絞りの集光角が5度よりも小さい場合に正となる。高分子分散型液晶を用いた変調素子108は電圧印加により光散乱性が低下し変調光強度が増大する素子であるため、駆動電圧は絞りの集光角が増大するほど小さくなり、絞りの集光角が減少するほど大きくなるよう補正される。
【0217】
この表示装置では、2つの電動絞り104および111が設けられ、これらの集光角の調整に伴ってガンマ補正回路210の実質的な特性が変化する。この結果、駆動電圧が絞りの集光角に対して適切に補正されるため、輝度信号によって指定された輝度を集光角に依存せずに得ることが可能となる。すなわち、絞りの集光角が変化したとき、階調の潰れおよび不自然な色調の変化等が生じない。
【0218】
尚、上述の実施例では電動絞り104および111の集光角が同様に可変されたが、これらの一方だけが可変されてもよい。また、変調素子108は高分子分散型液晶の代わりに例えば微粒子分散型液晶あるいはDMD、斜め電界による液晶回析格子等を利用するものでもよい。電圧印加により光散乱性が増大し変調光強度が低下するような変調素子を用いた場合、絞りの集光角が増大するほど大きくなり、絞りの集光角が増加するほど小さくなるよう駆動電圧を補正するため補正テーブル203の内容が変更される。
【0219】
また、補正テーブル203は集光角毎に1個の補正データΔVを保持するが、集光角毎に得られる曲線Y2およびY3のような曲線と基準特性曲線Y1との差の電圧を各輝度について表す複数の補正データΔVを保持してもよい。この場合、各補正データΔVは輝度データIおよび集光角データDの組み合わせにより選択される。このような構成では、補正テーブル203の記憶容量を増大させなくてはならないが、よりきめ細かな補正を行なうことが可能となる。
【0220】
さらに、上述の実施例のように変調素子108の透過光をスクリーン109に導く代わりに、変調素子108の反射光をスクリーン109に導いてもよい。また、スクリーン109はフロント側で表示画像を見るために用いられる反射型に限られず、リア側で表示画像を見るために用いられる透過型であってもよい。
【0221】
以上説明したように、本発明の第3の態様によれば、周辺の環境や表示画像の状態に基づいて絞りの集光角を最適化する一方で、表示画像の階調を正確に再現することができる。
【0222】
上記のように、変調素子108のスイッチ素子の光リ−クがない場合においても、絞りによる集光角の変化に伴い、駆動電圧−変調光強度特性を制御する必要があるが、実際の変調素子では、開口率を考慮すると、十分にスイッチ素子を遮光することが困難であることに加え、絞り52の開口径制御に伴い、変調素子108に入射する光束強度も変化するため、スイッチ素子の光リ−クを考慮した駆動電圧−変調光強度特性の制御も必要である。スイッチ素子の光リ−クが生ずると、画素電位保持特性が劣化し、駆動電圧−変調光強度特性は高電圧側にシフトする。この光リ−ク電流はスイッチ素子に入射する光強度に比例するため、絞り52の開口径に比例して増大する入射光束とともに平行シフト量は増大し、上記と同様な表示品位劣化が生ずる。このため、スイッチ素子の遮光構造の最適化及びスイッチ素子にアモルファスシリコンTFTよりもポリシリコンTFTを用いることが望ましいが、より望ましくは変調素子の光リ−ク特性を補正する映像信号制御手段を設けるとよい。
【0223】
更に、変調素子が赤、青及び緑の色成分で構成されるカラ−画像を表示する場合、これらの変調素子に入射する光強度も色により異なること、スイッチ素子の光リ−ク特性にも波長依存性があることから色成分相互の階調バランスが集光角の変化に伴い変化し、表示画像の色調を変化することを抑制することが望ましい。実際には、各絞り径制御に伴う光リ−クも含んだ変調素子の駆動電圧−変調光強度の補正を行うことが望ましい。
【0224】
次に、本発明の第4の態様について説明する。
【0225】
上記のように、変調素子108のスイッチ素子の光リ−クがない場合においても絞りによる集光角の変化に伴い駆動電圧−変調光強度特性を制御する必要があるが、実際の変調素子108では十分にスイッチ素子を遮光することが開口率を考慮すると困難であることに加え、絞り52の開口径制御に伴い、変調素子108に入射する光束強度も変化するため、スイッチ素子の光リ−クを考慮した駆動電圧−変調光強度特性の制御も必要である。
【0226】
スイッチ素子の光リ−クが生ずると、画素電位保持特性が劣化し、駆動電圧−変調光強度特性は高電圧側に平行シフトする。この光リ−ク電流は、スイッチ素子に入射する光強度に比例するため、絞り52の開口径に比例して増大する入射光束とともに平行シフト量は増大し、上記と同様な表示品位劣化が生じる。このため、スイッチ素子の遮光構造の最適化及びスイッチ素子にアモルファスTFTよりもポリシリコンTFTを用いることが望ましいが、より望ましくは変調素子の光リ−ク特性を補正する映像信号制御手段を設けるとよい。更に、変調素子が赤、青、及び緑の色成分で構成され、カラ−画像を表示する場合、これらの変調素子に入射する光強度も色により異なること、スイッチ素子の光リ−ク特性にも波長依存性があることから、色成分相互の階調バランスが集光角の変化に伴い変化し、表示画像の色調の変化を抑制することが望ましい。実際には、各絞り径制御に伴う光リ−クも含んだ変調素子の駆動電圧−変調光強度特性の補正を行うことが望ましい。
【0227】
高分子分散型液晶や微粒子分散型液晶が用いられる表示装置においては、表示輝度に応じて、また表示初期から時間が経過するにつれて表示状態が変化したり、環境温度により表示品位が変化するという問題がある。これは、高分子分散型液晶や微粒子分散型液晶では、印加電圧(V)−光透過率(T)特性、ヒステリシス特性あるいは応答速度等が温度変化に伴い変動するためであって、しかも、その変動量がツイステッド・ネマティク(TN)型液晶に比べて大きいことがその要因と考えられる。
【0228】
また、特に投射型の表示装置にあっては、光源光学系に配置される絞りの開口径の制御に応じて変化する光束に起因する温度差により、表示品位が劣化するという問題もある。
【0229】
本発明の第4の態様は、このような技術課題に鑑み成されたものであって、光束を制御する絞りの大きさや光源光の点灯からの経時時間や環境温度条件によることなく、あるいは連続表示している際にも優れた表示画像が得られる表示装置を提供する。
【0230】
即ち、液晶材料が高分子樹脂中に含有される高分子分散型あるいは微粒子が液晶材料中に含有される微粒子分散型等の液晶層を備えた変調素子は、上記したように、印加電圧(V)−光透過率(T)特性、ヒステリシス特性、応答速度等が温度変化に伴い大きく変動する。
【0231】
図27は、縦軸に光透過率が50%となる電圧(V50)をとり、横軸に温度(T)をとり、変調素子の温度依存性を示している。この図から解るように、温度(T)に依存することなく一定な表示画像を得るためには、温度(T)上昇に伴い液晶層に印加される電圧を大きくする必要がある。
【0232】
そこで、本発明の第4の態様では、変調素子の温度変化に応じて映像信号を増減させる映像信号制御手段を具備している。これにより、温度(T)に依存することなく一定な表示画像が得られる。
【0233】
図28は、本発明の第4の態様に係る投射型液晶表示装置を示す図である。
【0234】
図28に示すように、この投射型液晶表示装置300は、3板式、即ち赤(R)用、緑(G)用および青(B)用の3枚の変調素子例えば液晶パネル301−R,301−G,301−Bを備えている。
【0235】
この表示装置の光源光学系では、メタルハライドランプが光源311として配置され、この光源311からの光源光を、光源311と液晶パネル301−R,301−G),301−Bとの間の光軸上の点Aに焦点を持つように集光させる回転楕円型のリフレクタ321が設けられている。このリフレクタ321により点Aに一度集光された光源光は、コールドミラー331を経た後、コリメータレンズ341により、平行光として各液晶パネル301−R,301−G,301−Bに導かれる。また、リフレクタ321の焦点位置である点Aには、略円形の開口を有し、その開口直径D1 がサーボモータにより可変可能な第1の絞り手段351が配置されている。
【0236】
また、この表示装置では、光源311は、リフレクタ321に対する位置精度の簡素化等から、リフレクタ321の中心部分に固定して配置されるため、光源311からの光源光の中心部分の光束が小さくなる。このため、この表示装置の光源光学系では、光源311と第1の絞り手段351との間に、第1の絞り手段351側に凸の円錐レンズ361が配置されている。この円錐レンズ361により、発散され有効活用されない光束を中心部分に導くことで、光源光の中心部分の光束の低下を防止している。尚、凸の円錐レンズ361の他にも、発散され有効活用されない光束を中心部分に導くものであれば、凹状の円錐レンズであっても、また特開平6−175129号公報に開示されるような構造のものであっても良い。
【0237】
投射光学系は、液晶パネル301−R,301−G,301−Bにより光変調された変調光を点Bに集光させるための集束レンズ501、点Bにおいて各液晶パネル301−R,201−G,201−Bからの散乱光を遮断し、透過光を透過させる開口を有し、その開口直径D2 がサーボモータにより可変可能な第2の絞り手段503、第2の絞り手段503を経た後の変調光を投影するための投射レンズ505とから構成されている。この第2の絞り手段503は、上述したように、各液晶パネル301−R,301−G,301−Bからの散乱光は遮断し、透過光を透過させるものであるため、第2の絞り手段503の開口直径D2 を大きくすることにより、表示輝度を増大させることができる。
【0238】
第1の絞り手段351及び第2の絞り手段503は、スクリーン上の環境輝度をモニターする光センサ711からの環境輝度信号ESに基づいて第1の絞り手段351及び第2の絞り手段503の開口直径D1 ,D2 をそれぞれ制御する絞り制御手段721に電気的に接続されている。更に詳しくは、第1の絞り手段351の開口直径D1 及び第2の絞り手段503の開口直径D2 は、絞り制御手段721により、スクリーン上の輝度が高くなるにつれて集光角Ω1 ,Ω2 のそれぞれが大きくなるよう制御されるものであって、この表示装置では、集光角Ω1 ,Ω2 が8.6×10−3srから1.1×10−3srの範囲で可変されるように第1の絞り手段351及び第2の絞り手段503の開口直径D1 ,D2 が制御される。
【0239】
尚、本明細書における第1の絞り手段351に基づく集光角Ω1 は、光源光の分布角度を±θとした時、[2πsin θ]を0からθまでθについて積分した値で表現され、更に、この集光角Ω1 を、コリメータレンズ341の焦点距離をf1 として、第1の絞り手段351の開口直径D1 の関数で表すと、Ω1 =π(D1 /2f2 )2 で表現される。
【0240】
また、本明細書における第2の絞り手段503に基づく集光角Ω2 は、フィールドレンズの焦点距離をf2 とし、第2の絞り手段503の開口直径D2 の関数で表すと、Ω2 =π(D2 ・f2 )2 で表現される。
【0241】
これら集光角Ω1 ,Ω2 は、光利用効率等を考慮すると、ほぼ一致するように連動させて可変することが望ましい。
【0242】
次に、各液晶パネル301−R,301−G,301−Bの配置について説明する。光源光学系からの光源光は、第1ダイクロイックミラー411−Dにより緑(G)光のみが反射され、第1の全反射ミラー411−Aを介して緑(G)光が液晶パネル301−Gに導かれ、液晶パネル301−G、緑(G)用フィールドレンズ421−Gを経て出射される。
【0243】
第1のダイクロイックミラー411−Dを透過した光源光は、第2のダイクロイックミラー413−Dにより赤(R)光のみが反射されて、液晶パネル301−Rに導かれる。そして、液晶パネル301−R、赤(R)用フィールドレンズ421−Rを経た赤(R)光は、第1の合成ミラー411−Mにより液晶パネル301−Gを経た緑(G)光と合成される。
【0244】
第2のダイクロイックミラー413−Dを透過した光源光は、液晶パネル301−Bに導かれ、液晶パネル301−B、青(B)用フィールドレンズ421−Bを経た青(B)光は、第2の全反射ミラー413−Aを介して第2の合成ミラー413−Mにより液晶パネル301−Gおよび液晶パネル301−Rを透過し合成された赤(R)光および緑(G)光と合成され、投射光学系に導かれる。
【0245】
次に、この液晶パネル301−R,301−G,301−Bについて説明する。尚、液晶パネル301−R,301−G,301−Bの構成は、その駆動系を除いて差異はないので、緑(G)用の液晶パネル301−Gを例にとり説明する。この液晶パネル301−Gは、100ミクロンピッチの表示画素が横方向に640個、縦方向に480個配列されて成っている。
【0246】
液晶パネル301−Gは、図29及び図30に示すように、アレイ基板511と対向基板611との間に、高分子樹脂中に正の誘電率異方性を示すネマチック液晶が分散された高分子分散型液晶層401が表面処理膜591,691を介して保持されている。
【0247】
アレイ基板511は、0.7mm厚の透明なガラス基板510上に、図29に示す如く信号線521と走査線531とが略直交するように配置され、信号線521と走査線531との交点近傍に薄膜トランジスタ(以下、TFTと略称する。)541が配置されている。このTFT541は、図30に示すように、走査線531自体をゲート電極とし、走査線531上にゲート絶縁膜543を介して半導体層として非晶質シリコン薄膜545、非晶質シリコン薄膜545を保護すると共に寄生容量を抑えるため走査線531と自己整合されたシリコンナイトライドから成る半導体保護膜546、非晶質シリコン薄膜545と信号線521とをn+ 型非晶質シリコン薄膜548を介して電気的に接続する信号線521から延在されたドレイン電極547、信号線521と走査線531とによって囲まれる領域に配置されたITO(Indium Tin Oxide)から成る画素電極551と非晶質シリコン薄膜545とをn+ 型非晶質シリコン薄膜550を介して電気的に接続するソース電極549とを備えて構成される逆スタガ構造である。また、画素電極551との間でゲート絶縁膜543を介して補助容量(Cs)を形成するための補助容量線553が走査線531に略平行して配置されている。更に、これらTFT541や画素電極551上には、保護膜555が配置されてアレイ基板511は構成されている。
【0248】
対向基板311は、0.7mm厚の透明ガラス基板310上に、アレイ基板511のTFT541および画素電極551周辺部を遮光するためのクロム(Cr)から成るマトリクス状の遮光層313、遮光層313上に配置される保護膜317、保護膜317上に配置されるITOから成る対向電極319とによって構成されている。尚、以上のようにして構成される液晶パネル301−Gは、40%の開口率を達成している。
【0249】
また、この表示装置では、図31に示すように、液晶モジュ−ルの入射面の表示部近傍に温度センサ800が配置され、このからの温度信号(TS)に基づいて、駆動電圧供給回路731に入力される輝度信号(BS)が制御され、極性反転/非反転増幅器741を介して各液晶パネル301−R,301G,301Bに各映像信号VSR、VSG、VSBが供給される。
【0250】
温度センサ−としては、例えばμPC3911(商標、NEC社製)を用いることが出来る。このICは、同一チップ内に基準電圧、温度センサ−、位相補正内臓型オペアンプを集積しているため、外部回路部品が少なくてすむ。更に、従来のサ−ミスタなどの温度センサに比較して直線性が非常に優れており、高性能の温度測定が可能である。具体的な回路を図32に示す。
【0251】
図28に示すように、この温度センサからの温度信号(TS)に基づいて、駆動電圧供給回路731に入力される輝度信号(BS)が制御され、極性反転/非反転増幅器751を介して各液晶パネル301−R,301−G,301−Bに各映像信号(VSR),(VSG),(VSB)が供給される。
【0252】
駆動電圧供給回路731は、図33に示すように、入力される輝度信号(BS)をアナログ・ディジタル変換器733でディジタル信号化し、ディジタル信号化された輝度信号(BS)をROMで構成されるガンマ補正回路734によりガンマ補正し、ガンマ補正されたディジタル輝度信号は加算器735の一入力端子に供給する。また、温度光センサからの温度信号(TS)に基づいてROMで構成される温度補償回路736から、液晶パネル301−Gの光透過率(T)−電圧(V)特性の温度依存性を補正する補償データが加算器735の他の入力端子に供給される。加算器735からはディジタル輝度信号と補償データとの加算出力をディジタル・アナログ変換器737に出力される。そして、ディジタル・アナログ変換器737からアナログ信号が極性反転/非反転増幅器731に出力される。
【0253】
極性反転/ 非反転増幅器731では、アナログ信号を液晶パネル301−Gに必要な信号レベルに増幅すると共に、各フィールド期間毎、走査期間毎等の所定周波数で基準電位に対して極性反転する映像信号(VSG)と成して液晶パネル301−Gに供給する。
【0254】
また、他の液晶パネル301−R,301−Bも同様に、液晶パネル301−Gに設けられた温度センサからの温度信号(TS)に基づいて補正された映像信号(VSR),(VSB)が液晶パネル301−R,301−Bに供給される。
【0255】
更に詳細には、このガンマ補正回路734は、液晶パネル301−G内が40℃の状態における電圧(V)−光透過率(T)特性に基づいて入力される輝度信号(BS)がガンマ補正されるよう構成されている。例えば、液晶パネル301−G内の温度として40℃を基準として、40℃よりも上昇するにつれて温度補償回路746からの補償データは正側に大きくなり、40℃よりも低下するにつれて温度補償回路746からの補償データは負側に減少する。
【0256】
上記温度センサ−によりモニタ−されたパネル温度に従ってパネル冷却ファンの回転数を制御し、パネルの温度制御を行うと、パネルの温度に対応して映像信号の制御をより精確に行うことが出来る。このため、温度センサ−の出力をもとに冷却ファンを制御することが望ましい。また、例えば光源を点灯した直後からのパネル温度の上昇の際に、冷却ファンの回転をある期間停止するか、もしくは回転数を低く抑えることにより、定常動作時の温度に達するまでの時間を短縮する制御を行うことが望ましい。
【0257】
以上のように、この投射型液晶表示装置300によれば、各液晶パネル301−R,301−G,301−Bの温度変化に応じて表示状態が最適化されるので、例えば比較的低い室温で投射型液晶表示装置300を用い、光源311を点灯して、各液晶パネル301−R,301−G,301−Bが一定の温度に到達するまでに時間を要する、例えば3〜30分程度の間、各液晶パネル301−R,301−G,301−Bの温度が変化し続けるような場合にも、常に適切な駆動が行われ、色むら等が発生することのない、良好な表示画像が得られる。
【0258】
特に、この表示装置によれば、第1の絞り手段351及び第2の絞り手段503の開口直径D1 ,D2 がスクリーン輝度に応じて可変されるため、各液晶パネル301−R,301−G,301−Bへ入射する光の強度が第1の絞り手段351の開口直径D1 に依存して種々異なるために各液晶パネル301−R,301−G,301−Bの温度上昇の度合いも変わる。
【0259】
即ち、スクリーン輝度が小さい場合は、表示輝度よりもコントラスト比が高いことが視覚的に良好な表示画像と認識されるため、第1絞り手段351の開口直径D1 は絞られる。これに対して、スクリーン輝度が大きい場合は、表示輝度が重視されるため、第1の絞り手段351の開口直径D1 は開けられる。従って、スクリーン輝度が大きい方が各液晶パネル301−R,301−G,301−Bの温度上昇の度合いは高くなる。例えば、この実施例によれば、実際に液晶パネル301−R,301−G,301−Bに入射する光源光の集光角Ω1 が8.6×10−3srから1.1×10−3srに変化すると、各液晶パネル301−R,301−G,301−Bの温度は3〜5℃変化する。
【0260】
しかしながら、この実施例によれば、液晶パネル301−Gに温度センサを配置して随時モニタし、各映像信号(VSR),(VSG),(VSB)を最適化しているため、第1の絞り手段351の開口直径D1 が可変され、光源光の集光角Ω1 が増減することにより、各液晶パネル301−R,301−G,301−Bに温度変化が生じても、良好な表示画像が得られる。
【0261】
尚、この表示装置では、第1の絞り手段351及び第2の絞り手段503の開口直径D1 ,D2 が環境輝度信号(ES)に応じて第1絞り手段721により制御されるものとしたが、例えば各液晶パネル301−R,301−G,301−Bに供給される映像信号(VSR),(VSG),(VSB)に基づいて第1の絞り手段351及び第2の絞り手段503の開口直径D1 ,D2 が制御されるものであっても良い。即ち、輝度信号(BS)の時間的平均強度と輝度信号のブランキングレベル(黒レベル)との差に基づいて、差が小さい場合は開口直径D1 ,D2 を小さくして集光角Ω1 ,Ω2 を小さく制御し、逆に差が大きい場合は開口直径D1 ,D2 を大きくし、集光角Ω1 ,Ω2 を大きく制御することにより、良好な表示画像が確保できる。
【0262】
また、第1の絞り手段351及び第2の絞り手段503は、環境輝度信号(ES)と輝度信号(BS)のそれぞれに応じて制御されるものであっても良い。
【0263】
この表示装置では、高分子分散型液晶層401の温度が直接的にモニタできるよう温度センサを配置したが、高分子分散型液晶層401の温度に相関する信号を検出し、これに基づいて制御するものであって良い。
【0264】
また、この表示装置によれば、液晶パネル301−Gの温度を随時モニタし、温度信号(TS)に基づいて表示状態を最適化したが、温度センサ等を配置するのではなく、予め所定時間毎に各映像信号(VSR),(VSG),(VSB)が徐々に小さくなるような補償データを設定しておいても良い。
【0265】
以上の表示装置では、温度センサは入射側の表示部の上部に配置したが、その位置は精度よく温度が測定出来るところであれば、例えば下部若しくは左右であってもよい。また、温度センサは、液晶モジュ−ルと密着させても離間させて配置しても、あるいは液晶モジュ−ルの内部に配置してもよい。更には、光の出射側に配置してもよい。
【0266】
既に述べたように、光源側の絞りの集光角と投射側の絞りの集光角とは、一致することが望ましい。一致しない場合には、以下に示すように性能が低下してしまう。即ち、光源側の絞りの集光角が投射側の絞りの集光角のほうが大きい場合には、最大の明るさは一致している場合と同一であるが、黒表示時の明るさが増加するため、コントラストが低下する。また、光源側の絞りの集光角が投射側の絞りの集光角よりも小さい場合もまた、最大の明るさは一致している場合と同一であるが、黒表示時の明るさが増加するため、コントラストが低下する。絞りの面積にほぼ比例して黒表示時の明るさが増加するので、コントラストも絞りの面積にほぼ比例して低下するのである。
【0267】
光源側の絞りの集光角と投射側の絞りの集光角とが完全に一致している場合の絞りの面積をS0 、集光角が大きい絞りの面積をS0 +ΔSとすると、集光角が不一致の場合のコントラストr´は、集光角が一致している場合のコントラストをrとすると、以下の式で表わされる。
【0268】
r´=r{S0 /(S0 +ΔS)}
本発明者らの実験によると、コントラストの低下が画質の低下として認識される程度は、コントラストが約2/3に低下した場合である。以下、この実験の手順を説明する。
【0269】
表示画面のコントラストを一定として10分間映画フィルムを上映し、その後にコントラスト比を変化させて5分か上映する。その後、コントラストの変化が画質の劣化として認識されたかどうかのアンケ−トをとり、劣化として認識されるしきい値を求める。
【0270】
図34に示すように、コントラストのしきい値の初期値を200:1、100:1、50:1、20:1として実験したが、100:1以下の実験結果はすべて初期値の85%程度から画質の劣化として認識され始め、65%程度ではほぼ全てのサンプルに対して画質の劣化として認識された。従って、絞りの制御は、同じ明るさの表示に対して、コントラスト比が4割以下の低下に抑える精度で制御する必要がある。
【0271】
即ち、立体角を約±30%の範囲に制御する必要がある。例えば、又は円形の絞りを用いた場合には、円錐状となる光束における円錐の頂角θに対して、約±0.15θに制御する必要がある。例えば、絞りの集光角がθ=3〜10度に変化する場合、絞りの集光角の精度は±0.5〜1.5度以内に制御する必要がある。
【0272】
次に、スクリ−ン照度(単位ルックス)に対するしぼり調整マ−ジンについて説明する。
【0273】
外光によるスクリ−ン照度(単位ルックス)が高い場合、絞りの角度に対するコントラストの変化は、外光がない場合に比べ、緩慢になる。従って、要求される制御精度は、外光が大きいほど低くてもよい。
【0274】
最適化された場合のコントラストの大きさは、図5に示すように、外光の影響がない本来のコントラストのほぼ1/2のコントラストとなっている。例えば、室内の明るさが0ルックスの場合、100のコントラストとなる絞りの状態に対応して、最適値となるコントラストは50、同様に30のコントラスト比の絞りに対応するコントラストは約15である。
【0275】
従って、外光に対して絞りの集光角が最適化された状態では、本来の黒表示によるスクリ−ンの明るさと、外光の影響によるスクリ−ンの明るさは、ほぼ同程度と考えられる。
【0276】
この時、集光角の制御に誤差が生じて最適値からずれた場合、コントラストは
、 r´=r{(Sext +S0 )/(Sext S0 +ΔS)
=r{S0 /(S0 +ΔS/2)}
ただし、Sext は、外光の明るさを、投射型表示装置の黒表示の絞りの集光角に変換した値であり、投射型表示装置本来の黒表示と外光の明るさとの影響が同じであるので、Sext =S0 である。
【0277】
上式からわかるように、マ−ジンとしては2倍となる。ただし、先に示した2つの絞りの一致に関するマ−ジンが存在することを考えると、外部の条件に対して制御すべき絞りの集光角の誤差は、その1/2となる。従って、この場合のマ−ジンも両者の集光角の一致に関するマ−ジンが必要である。
【0278】
次に、本発明の第5の態様について図41を参照して説明する。なお、この第5の態様に係る表示装置の基本的構成は、図28に示すものと同様である。
【0279】
この態様の投射型液晶表示装置100は、図41に示すように、各液晶パネル201−R,201−G,201−Bにそれぞれの映像信号(VSR),(VSG),(VSB)を供給するための駆動電圧供給回路741および極性反転/非反転増幅器751を備えている。
【0280】
駆動電圧供給回路731は、図42に示すように、入力される輝度信号(BS)をアナログ・ディジタル変換器743でディジタル信号化し、ディジタル信号化された輝度信号(BS)をROMで構成されるガンマ補正回路744によりガンマ補正し、ガンマ補正されたディジタル輝度信号は加算器745の一方の入力端子に供給される。また、光センサ711からの環境輝度信号(ES)に基づいて、ROMで構成される光リーク補償回路746から液晶パネル201−Gを構成するTFT241の光リーク電流(Ioff )による電位低下を補正する補償データが加算器745の他方の入力端子に供給され、加算器745からはディジタル輝度信号と補償データとの加算出力をディジタル・アナログ変換器747に出力する。そして、ディジタル・アナログ変換器747からアナログ信号が極性反転/非反転増幅器741に出力される。
【0281】
極性反転/ 非反転増幅器741では、アナログ信号を液晶パネル201−Gに必要な信号レベルに増幅すると共に、各フィールド期間毎、走査期間毎等の所定周期で基準電位に対して極性反転する映像信号(VSG)と成して液晶パネル201−Gに供給する。
【0282】
また、他の液晶パネル201−R,201−Bも同様に、光センサ711からの環境輝度信号(ES)に基づいて補正された映像信号(VSR),(VSB)が液晶パネル201−R,201−Bに供給される。即ち、この実施例では、スクリーン上の輝度が高くなるにつれて集光角(Ω1 ),(Ω2 )が大きくなるよう第1の絞り手段151及び第2の絞り手段503)の開口直径(D1 ),(D2 )を絞り制御手段721によって制御されるが、これに伴い各液晶パネル201−R,201−G,201−Bに供給される映像信号(VSR),(VSG),(VSB)も大きくなるよう駆動電圧供給回路731によって制御される。
【0283】
以上のようにして構成される投射型液晶表示装置700の動作について簡単に説明する。
【0284】
まず、スクリーン上の照度(単位:cd/m2 )を光センサ711により検出し、光センサ711からの環境輝度信号(ES)に基づいて、絞り制御手段721により第1の絞り手段151及び第2の絞り手段503の開口直径(D1 ),(D2 )を決定する。即ち、スクリーン上の輝度が大きくなる程、第1の絞り手段151及び第2の絞り手段503の開口直径(D1 ),(D2 )を大きくする。
【0285】
駆動電圧供給回路731によって、映像信号(VSR),(VSG),(VSB)の最適化を行わない場合、例えば、スクリーン上の照度が30lux といった暗い場合は、集光角(Ω1 ),(Ω2 )が1.1×10−3srに設定され、70:1のコントラスト比が達成される。逆に、スクリーン上の照度が200lux といった明るい場合は、集光角(Ω1 ),(Ω2 )が8.6×10−3srに設定され、集光角(Ω1 ),(Ω2 )が1.1×10−3srに設定される場合の白表示時のピ−ク光束が18lmであるのに対して、75lmと高いピ−ク光束が達成される。
【0286】
更に、この態様では、光センサ711からの環境輝度信号(ES)に基づいて、スクリーン上の照度が200lux の場合、スクリーン上の照度が30lux の場合に比べて10%程度各映像信号(VSR),(VSG),(VSB)が駆動電圧供給回路741によって増大される。
【0287】
このようにして映像信号(VSR),(VSG),(VSB)が最適化される場合、映像信号(VSR),(VSG),(VSB)の調整を行わない場合に比べて、スクリーン上の照度が2001xにおいて、コントラスト比及び表示輝度ともに、上記した値から更に10%程度向上させることができた。
【0288】
以上のように、この実施例によれば、集光角(Ω1 )の増大に伴うTFT241の光リーク電流(Ioff )に基づくコントラスト比並びに表示輝度の劣化が防止され、より良好な表示品位の確保が可能となる。
【0289】
この態様では、第2の絞り手段503の開口直径(D2 )を第1の絞り手段151の開口直径(D1 )と同一値となるように完全に連動させて可動させたが、必ずしも一致させなくても良い。
【0290】
また、この態様では、各液晶パネル201−R,201−G,201−B毎に光源光の集光角(Ω1 )を制御する絞り手段を設け、各色毎に個別に光源光の集光角(Ω1 )を制御するようにしても良い。また、この態様では、絞り制御手段721により第1のの絞り手段351及び第2の絞り手段503の集光角(Ω1 ),(Ω2 )が環境輝度信号(ES)に応じて制御される構成としたが、駆動電圧供給回路741に入力される輝度信号(BS)に基づいて第1の絞り手段351及び第2の絞り手段503が制御されるものであっても、これらを組み合わせて用いるものであっても良い。例えば、入力される輝度信号(BS)の時間平均強度と輝度信号のブランキングレベル(黒レベル)との差に基づいて、差が小さい場合は集光角(Ω1 ),(Ω2 )を小さく、差が大きい場合は集光角(Ω1 ),(Ω2 )を大きく制御することにより、表示画像の表示輝度に依存せず、良好な表示画像を確保することができる。
【0291】
この態様では、光センサ711はスクリーン上の輝度をモニターするものとしたが、環境照度(単位lux)をモニターするものであっても良い。
【0292】
また、この実施例では、3板式の投射型表示装置100を例にとり説明したが、液晶パネル自体がストライプ状、モザイク状あるいはデルタ配列された少なくとも3原色の色部から成るカラーフィルタを備え、単板式で構成される投射型表示装置であっても良いことは言うまでもない。
【0293】
ところで、各液晶パネル201−R,201−G,201−Bにマイクロレンズアレイ基板411を組み合わせて用いることにより、各液晶パネル201−R,201−G,201−Bの実効開口率を高め、明るい環境での表示の際のスクリーン上の実効のコントラスト比、表示輝度の両方を向上させることができる。以下に、液晶パネル201−Gを例にとり、図43を参照して説明する。この液晶パネル20−Gは、液晶パネル201−Gを構成する対向基板311の主表面上にマイクロレンズアレイ基板411が接着層410を介して貼り付けられて構成されている。このマイクロレンズアレイ基板411は、各表示画素に対応する集光レンズ413群から成り、集光レンズ413の焦点位置はアレイ基板211を構成するガラス基板210に存在するよう設定されている。
【0294】
上記した如く各液晶パネル201−R,201−G,201−Bを構成すれば、これまで遮光量313で遮られて有効に利用されていなかった光も利用できるため、各液晶パネル201−R,201−G,201−Bの実効開口率を大きくとることができ、集光角(Ω1 ),(Ω2 )を絞っても十分なピーク光束が得られ、表示輝度の低下が軽減される。
【0295】
この態様の如く、液晶パネル201−Gの光入射側にマイクロレンズアレイ基板411を設ける場合は、第2の絞り手段503の開口直径(D2 )を第1の絞り手段151の開口直径(D1 )よりも大きい範囲内で制御する方が好ましい。これは、マイクロレンズで一度集光された光が、その後で発散されるためである。
【0296】
即ち、上記した実施例の如く、入射側にのみマイクロレンズアレイ基板411を配置する場合、マイクロレンズアレイ基板411で対向基板311の遮光層313付近に集束された光は、その後発散するため光利用効率が低下する恐れがある。このため、マイクロレンズアレイ基板411の使用にあたっては、マイクロレンズアレイ基板411の各集光レンズ413の焦点位置の選定が重要である。即ち、各集光レンズ413で集束された後に広がる光源光が投射レンズ505に十分に収まるよう焦点位置を選定する必要がある。特に、投射レンズ505の小型化を達成するのであれば、マイクロレンズアレイ基板411の各集光レンズ413の焦点位置は長く、開口数の小さいレンズの方が良い。しかし、各集光レンズ413の焦点位置が光入射側から遠ざかるにつれてマイクロレンズアレイ基板411の効果は低下し、各液晶パネル201−R,201−G,201−Bの実効開口率の増大の度合いは小さくなる。このようなことから、マイクロレンズアレイ基板411の各集光レンズ413の焦点位置は高分子分散型液晶層401内よりむしろ出射側の基板210中もしくは基板210よりもやや外に設定すると良い。
【0297】
上記した実施例では、図41に示す第1の絞り手段351、第2の絞り手段503として、サーボモータを内蔵し、サーボモータによって円形の開口の開口直径(D1 ),(D2 )を変化させる構造としたが、この開口の形状は四角形あるいは楕円形等であっても良い。また、サーボモータによって開口部の上部および下部、又は右及び左を遮光する遮光板が可動する構造であっても良い。
【0298】
更に、この態様では、第1の絞り制御手段721により第1の絞り手段351及び第2の絞り手段503の開口直径(D1 ),(D2 )をそれぞれ制御して集光角(Ω1 ),(Ω2 )を制御したが、第1の絞り手段351や第2の絞り手段503を光源311の光軸に沿って移動させることにより、実効的な開口直径(D1 ),(D2 )を制御して集光角(Ω1 ),(Ω2 )を制御しても良い。
【0299】
また、上述した態様の液晶パネルとしては、各表示画素毎にTFTから成るスイッチ素子が設けられたアクティブマトリクス型液晶パネルを例に取り説明したが、TFTは多結晶シリコン膜あるいは単結晶シリコン膜を主体として構成しても良い。
【0300】
次に、本発明の第6の態様について説明する。
【0301】
この態様は、簡易型の投射型表示装置に係るものであり、操作を簡単にするために、電源入力後、自動的に周辺照度に対応して絞りの設定を最適化するようになっている。この簡易型の投射型表示装置の一例を図35に示す。この表示装置では、スクリ−ンの大きさ、及びゲインをあらかじめ仮定することで、投射光のない状態での投射光束を測定することにより、スクリ−ンの輝度を直接測定し、絞りの最適角を迅速に決定できるようにしている。この絞りの集光角の決定は、投射型表示装置の電源が入ると同時に自動的に行われる。
【0302】
この表示装置では、投射型表示装置からの投射光のない状態でスクリ−ンの輝度を測定するため、光路遮断装置901を備えている。これは、図35に示すようにパネルの出射側に配置され、光路遮断装置制御回路900により制御され、光源からの光を投射レンズの入り口で遮断/非遮断を切り替えられるようになっている。
【0303】
図36は、図35に示す表示装置において、電源の投入の後に自動的に集光角を決定する処理のフロ−チャ−トを示す図である。光源であるメタルハライドランプは、完全に点灯するまでに数分の時間がかかる。図35に示す表示装置では、光路遮断装置により光路を遮断して、室内の明るさによるスクリ−ンの輝度を測定するので、ランプの輝度が定常状態に落ち着くまで待つ必要がない。そこで、まず始めにランプの点灯処理(高電圧の印加と放電の開始)を行うが、ランプが立ち上がるのを待たずにスクリ−ンの輝度を測定し、絞りの集光角の決定を行う。
【0304】
図37は、簡易型の投射型表示装置の他の例を示す。この表示装置では、操作を簡単化するため、投射レンズの焦点位置を検出するために投射レンズにエンコ−ダ910が備えられ、投射距離検出回路920によりエンコ−ダ910の出力をCPU側から検出出来るようになっている。従って、投射距離検出回路920によりスクリ−ンサイズを検出することが出来る。
【0305】
図37に示す表示装置では、スクリ−ンゲインを1.5と仮定することにより、下記式における投射係数qを自動的に算出する。従って、未知であるのはL0 のみであり、光路遮断装置によりI=0の状態でスクリ−ン輝度Lを測定することにより、室内の明るさL0 を求めることが出来る。
【0306】
L=qI+L0
図38は、図37に示す表示装置において、自動的に集光角を決定する処理のフロ−チャ−トを示す図である。この表示装置では、投射レンズの焦点位置によりスクリ−ンサイズを検出するので、投射像の焦点を合わせた後に、絞りの最適化スイッチを押すことで、絞りの最適化が実行される。
以上、反射型スクリ−ンを用いる前面投射型の表示装置について説明したが、本発明は、これに限らず、図39及び図40に示すように、背面投射型の表示装置に対しても適用可能である。
【0307】
図39及び図40に示す背面投射型の表示装置では、光学システム950からの投射光は、第1のミラ−960及び第2のミラ−970により反射され、透過型スクリ−ン980に投射される。また、外光によるスクリ−ン輝度を測定する光学センサが配置されている。上述した前面投射型の表示装置では、光学センサは投射レンズの側部に配置され、スクリ−ンの方向に向けてスクリ−ンの反射光の強度を測定するように配置したが、背面投射型の表示装置では、図39及び図40に示すように、スクリ−ンの隅の部分にセンサA、センサBのように取り付けて、照度を測定することが出来る。背面投射型の場合には、スクリ−ンの特性があらかじめ決まっている場合が多いので、照度からスクリ−ン輝度を推定することが出来る。
【0308】
また、センサCのように、スクリ−ンの内側に配置し、スクリ−ンを通した外部光の輝度を測定することも出来る。もちろん、これらのセンサは、純粋な外部光の影響のみを測定することが出来るように、投射光学系からの光が入射しないように配置する必要がある。
【0309】
また、背面投射型の場合には、上述の式における投射係数qがあらかじめきまっているので、外光の影響L0 を測定することのみで、最適な絞りの集光角を決定することが可能である。
【0310】
投射型表示装置の表示品位は、投射する場所或いは時間帯等の種々の環境明るさに依存するスクリ−ンの黒ラベルの明るさにより変化する。環境明るさによる表示品位による補正は、フロント型の投射型表示装置の場合、投射型表示装置とスクリ−ンとの間にかなりの距離があることもあり、投射型表示装置の置かれている環境明るさとスクリ−ン周辺の明るさと異なる。また、実際には、略垂直に立てられたスクリ−ン面とスクリ−ンゲインで決まる照明照度若しくは照明輝度が表示品位に寄与する。
【0311】
このため、スクリ−ン周辺の環境照明状況や部屋の窓等からの外光により表示品位は大きく影響を受けるため、投射型表示装置の表示品位の制御は、環境明るさによるスクリン面輝度を直接モニタ−して制御することが重要である。また、会議等での用途では、使用状況に応じて任意に部屋全体の環境明るさ制御を行ったり、部分的な環境明るさの制御を行ったり、または調整段階と最終的な動作段階でスクリ−ン周辺の環境明るさは変化するため、参集段階でのスクリ−ン面輝度に応じて表示品位を調整することが望ましい。
【0312】
このため、スクリ−ン面での表示装置の黒表示レベル輝度及びコントラストをモニタ−する光センサ−を投射型表示装置に装備することにより、より高品位の映像表示を行うことが重要である。
【0313】
なお、以上、液晶パネルとして、高分子分散型や微粒子分散型の分散型液晶表示素子を用いた例について説明したが、本発明は、分散型液晶表示素子を用いた場合に、特に好適ではあるものの、それ以外にも、TN型液晶素子、STN型液晶素子、斜め電界による液晶回析格子等、種々の液晶素子にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の投射型表示装置の構成を概略的に示す図。
【図2】ランプから平行光線を得るコリメータ光源の一例を示す図。
【図3】図2に示すコンデンサレンズの入射光線を示す図。
【図4】図2示す変調素子への入射光束の角度分布と変調素子からの出射光束の角度分布との関係を示す図。
【図5】照明された環境下に置かれたスクリ−ン上に画像を表示させた場合に集光角に対応して測定された変調素子からの出射光束の強度と画像のコントラストとの関係を示すグラフ。
【図6】本発明の基本概念を説明するための投射型表示装置の構成を示す図。
【図7】本発明の第1の態様に係る投射型表示装置の構成を示す図。
【図8】絞りの開口の形状、絞りの種々の開口径を示す図。
【図9】図6に示す表示装置の動作を説明するためのフローチャート。
【図10】図9に示す処理操作をさらに詳細に示すフローチャート。
【図11】本発明の第1の態様に係る他の例の投射型表示装置の動作を説明するためのフローチャート。
【図12】本発明の第2の態様に係る投射型表示装置の構成を示す図。
【図13】図12に示す制御回路の2つの入力信号と絞りの集光角との関係を示す図。
【図14】図12における平均映像レベル(APL)検出回路を具体的に示す回路図。
【図15】図14の回路のトランジスタのコレクタ入力。バッファトランジスタのエミッタ出力。及びバッファトランジスタのエミッタ出力を示す図。
【図16】APL検出回路の他の例を示す回路図。
【図17】図16の回路のトランジスタのコレクタ出力、他のトランジスタのエミッタ出力を示す図。
【図18】集光角と表示特性の関係を示すグラフ。
【図19】明るい環境での実効的な表示特性を示すグラフ。
【図20】本発明の第3の態様に係る表示装置における変調素子の駆動電圧−透過光強度特性を示すグラフ。
【図21】本発明の第3の態様に係る表示装置における変調素子の透過率が絞りの集光角変化により所望値からずれることを説明するためのグラフ。
【図22】変調素子に対する入射光束の分布と出射光束の分布とを示す図。
【図23】変調素子の光散乱性を示す図。
【図24】図23に示す出射光束のうちで表示に関与する有効部分が集光角に依存して変化する様子を示す図。
【図25】本発明の第3の態様に係る投射型表示装置の構成を示す図。
【図26】図25に示すガンマ補正回路の構成をさらに詳しく示す図。
【図27】光変調素子の温度依存性を示すグラフ。
【図28】本発明の第4の態様に係る投射型液晶表示装置の構成を示す図。
【図29】図28の表示装置における変調素子の構成を示す平面図。
【図30】図28の表示装置における変調素子の構成を示す断面図。
【図31】図28に示す表示装置における温度センサの配置を示す図。
【図32】温度センサの具体的な回路を示す図。
【図33】図28に示す表示装置における駆動電圧供給回路を示す図。
【図34】コントラストの変化率と認知確率との関係を示すグラフ。
【図35】本発明の第6の態様に係る簡易型の投射型表示装置の構成を示す図。
【図36】図35に示す表示装置において。電源の投入の後に自動的に集光角を決定する処理のフロ−チャ−トを示す図。
【図37】簡易型の投射型表示装置の他の例を示す図。
【図38】図36に示す表示装置において、自動的に集光角を決定する処理のフロ−チャ−トを示す図。
【図39】背面投射型の表示装置を示す透視図。
【図40】背面投射型の表示装置を示す断面図。
【図41】本発明の第5の態様に係る投射型液晶表示装置の構成を示す図。
【図42】図41に示す表示装置における駆動電圧供給回路を示す図。
【図43】図41の表示装置における変調素子の構成を示す断面図。
【符号の説明】
101…回転楕円型のミラー、…102光源ランプ、103…コンデンサレンズ、104…電動絞り、107…駆動回路、108…散乱型変調素子、109…フィールドレンズ、110…投射レンズ、111…電動絞り、120…制御回路、121…デコーダ、140…輝度信号平滑回路、140B…RC積分回路。
Claims (2)
- 光源と、
この光源から出射された光を光変調する変調素子と、
この変調素子を駆動する変調素子駆動手段と、
前記光源と前記変調素子との間に配置され、前記光源から変調素子に入射する光束を制限する、そのサイズが可変の開口を有する第1の絞り手段と、
前記変調素子から出射された光が投影される表示スクリーンと、
前記変調素子から出射された光を表示スクリーンに投影する投射光学系と、
前記変調素子と前記投射光学系との間に配置され、前記変調素子から前記投射光学系に入射する光束を制限する、そのサイズが可変の開口を有する第2の絞り手段と、
前記第1及び第2の絞り手段の少なくとも一方の開口のサイズを制御する絞り制御手段と、
少なくとも2つの光強度Iを設定する光強度設定手段と、
これら光強度Iに対応する前記スクリーン上の表示輝度Lを検出する光センサーと、
前記光強度I及び検出する表示輝度Lを式L=qI+L0(L0は表示装置が置かれた環境からの光に基づく前記表示スクリーン上の環境輝度)に代入することにより投射係数q及び環境輝度L0を求める環境解析手段と、
前記求められた投射係数q及び環境輝度L0についての前記式から、表示スクリーン上のコントラストを求め、このコントラストが最大となる前記第1及び第2の絞り手段の少なくとも一方の開口のサイズを示すデータを格納する手段と、
前記データ格納手段における前記コントラストを最大とする前記第1及び第2の絞り手段の少なくとも一方の開口のサイズを特定し、このサイズを最適値として決定する処理手段と
を具備する表示装置。 - 前記変調素子は、高分子分散型液晶、微粒子分散型液晶、及び液晶回折格子からなる群から選ばれた1種であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
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