JP3547307B2 - 光学レンズ用重合硬化性組成物 - Google Patents

光学レンズ用重合硬化性組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、眼鏡レンズ等の光学レンズの製造原料に適した重合性組成物に関する。更に詳しくは短時間で硬化し、高屈折率で、光学歪が小さく、透明性、面精度、耐衝撃性、染色性に優れた硬化体を与える光学レンズ用重合硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来技術】
近年、眼鏡用レンズは、軽量性、耐衝撃性及び染色性の観点からその材料としてガラスからプラスチックと移行してきた。
【0003】
一般にプラスチックレンズを成型する場合、2枚の曲率半径の異なるガラスモールドの間に重合性単量体を注入し、熱重合のみによる方法で成形されるのが普通である。しかしながら、この熱重合のみによる方法は、一般に重合時間が数時間に及び、成形体の生産の面で満足できるものではなかった。
【0004】
そこで、ラジカル重合性単量体に、活性エネルギー線を照射し、短時間でプラスチックレンズを成形する方法が、特開昭60−166305号公報に報告されている。
【0005】
しかし、活性エネルギー線を照射し短時間でプラスチックレンズを成形した場合には、重合収縮による内部応力が発生し、アニール後のレンズ中心部に変形が生じ、また使用したモールドの面が正確に転写されないという欠点があった。
【0006】
そこで、これらの問題点を改良するため、活性エネルギー線照射による重合を行った後、加熱重合を行って成形する方法が、特開平4−180911号公報及び特願平7−249938号公報に報告されている。
【0007】
一方、眼鏡レンズには耐衝撃性が要求されるが、上記の様な光重合による予備重合を行ってプラスチック眼鏡レンズを成形する場合に耐衝撃性の優れた硬化体を与える光重合性組成物として、特開平4−4209号公報に次のような組成物が報告されている。しかしながら、該組成物を硬化させて得られる硬化体の比重はいずれも1.20以上であり、プラスチック眼鏡レンズの特長の一つである軽量化の点で満足のゆくものではなかった。なお、該公報には、下記一般式(4)
【0008】
【化4】
Figure 0003547307
【0009】
(式中、Rは水素原子またはメチル基であり、0≦e+f≦4である。)
で示されるジ(メタ)アクリレート化合物と、一般式(5)
【0010】
【化5】
Figure 0003547307
【0011】
(式中、Rは水素原子またはメチル基であり、7≦g+h≦12である。)
で示されるジ(メタ)アクリレート化合物の異なる単量体を併用することによって耐衝撃性が向上することが開示されている。
【0012】
なお、本発明者らの知見によれば、上記特開平4−4209号公報で記載されているような架橋樹脂を使用した場合には、架橋点間分子量を大きくすれば熱変形温度は低くなり、熱変形温度を低くすれば耐衝撃性は向上する。しかし、耐衝撃性を向上させるために耐熱性を低くすると、得られた眼鏡レンズにハードコートや反射防止膜を付与するために行う、高温(一般的に100℃から130℃)処理工程を含む表面処理において、レンズが変形するなどの問題が生じてくる。
このように、プラスチック眼鏡レンズ等の光学レンズ用の光重合による予備重合が可能な重合硬化性組成物として、耐衝撃性と耐熱性のバランスがとれ、高屈折率で低比重、且つ面精度に優れ、透明性、染色性等のレンズ物性に優れた硬化体を与える光学レンズ用重合硬化性組成物はこれまで知られていなかった。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記のような優れた特徴を有する光学レンズ用重合硬化性組成物を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、分子内に比較的短いエチレンオキサイド鎖又はプロピレンオキサイド鎖を有する2官能(メタ)アクリレート系重合性単量体、分子内に比較的長いエチレンオキサイド鎖又はプロピレンオキサイド鎖を有する2官能性(メタ)アクリレート系重合性単量体、及び分子内に嵩高い脂環構造を有する単官能性(メタ)アクリレート化合物を特定の割合で組み合わせてなる重合性単量体を、光重合により予備重合した後、熱重合により硬化させることにより、上記の各物性に優れる硬化体が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)
【0015】
【化6】
Figure 0003547307
【0016】
(式中、R及びRは水素原子またはメチル基であり、a及びbはそれぞれ1〜2の整数であり、a+bは2〜3である。)
で示される2官能(メタ)アクリレート系重合性単量体100重量部に対し、下記一般式(2)
【0017】
【化7】
Figure 0003547307
【0018】
(式中、R及びRは水素原子またはメチル基であり、c及びdはそれぞれ1〜11の整数であり、c+dは6〜12である。)
で示される2官能(メタ)アクリレート系重合性単量体を50〜200重量部、及び下記一般式(3)
【0019】
【化8】
Figure 0003547307
【0020】
(式中、Rは水素原子またはメチル基である。)
で示される単官能(メタ)アクリレート系重合性単量体を5〜100重量部の割合で含んでなる重合性単量体100重量部、アシルフォスフィンオキシド系及び/又はジアシルフォスフィンオキシド系の光重合開始剤0.01〜0.5重量部、並びに熱重合開始剤0.01〜5重量部を含んでなることを特徴とする光学レンズ用重合硬化性組成物である。
【0021】
また、他の発明は、上記光学レンズ用重合硬化性組成物に活性エネルギー線を照射して予備重合を行った後、次いで得られた予備重合体を加熱して重合硬化させることを特徴とする光学レンズ用重合硬化体の製造方法である。
【0022】
本発明の光学レンズ用重合硬化性組成物では、架橋点間分子量の異なる単量体を用いることにより、耐衝撃性の良いレンズを得ることができ、更に、前記一般式(3)で示される単量体を混合することによって、耐熱性、耐衝撃性を低下させることなく、比重の低い硬化体を得ることができるものと思われる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の光学レンズ用重合硬化性組成物は、重合性単量体として前記一般式(1)で示される2官能性(メタ)アクリレート系重合性単量体(以下、単にモノマーAともいう。)、前記一般式(2)で示される2官能性(メタ)アクリレート系重合性単量体(以下、単にモノマーBともいう。)及び前記一般式(3)で示される単官能性(メタ)アクリレート化合物(以下、単にモノマーCともいう。)を使用する。
【0024】
本発明で用いられるモノマーAは、前記一般式(1)で示される構造を有するものであるが、重合性の観点から式中のRは水素原子又はメチル基であり、単量体の粘度及び重合して得られる硬化体の屈折率の観点から式中のRは水素原子又はメチル基である。また、重合して得られる硬化体の耐熱性の観点から該式中のa及びbは1又は2であり、a+bは2〜3である。モノマーAは、重合して得られる硬化体の屈折率を高くし、さらに耐熱性を上げる働きをするものと考えられる。
【0025】
本発明で好適に使用できるモノマーAを具体的に示すと、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2−(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)―2−(4−メタクリロイルエトキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン等を挙げることができる。
【0026】
本発明で用いられるモノマーBは、前記一般式(2)で示される構造を有するものであるが、重合性の観点から式中のRは水素原子又はメチル基であり、単量体の粘度及び重合して得られる硬化体の屈折率の観点から式中のRは水素原子又はメチル基である。また、重合して得られる硬化体の耐熱性の観点から該式中のc及びdは1〜11の整数でc+dは6〜12である。モノマーBは、重合して得られる硬化体に耐衝撃性を付与する単量体として使用される。
【0027】
本発明で好適に使用できるモノマーBを具体的に示すと、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシトリ(エトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシテトラ(エトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシペンタ(エトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシヘキサ(エトキシ)フェニル)プロパン、、2−(4−メタクリロイルオキシテトラ(エトキシ)フェニル)―2−(4−メタクリロイルエトキシヘキサ(エトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロイルオキシペンタ(エトキシ)フェニル)プロパン等を挙げることができる。
【0028】
本発明で用いられるモノマーCは、前記一般式(3)で示される構造を有するものであるが、式中のRは水素原子またはメチル基である。該モノマーCは、分子内に嵩高いイソボルニル基を有しているため、その硬化体のガラス転移温度は高く、また、脂環式構造を有するために低比重である。モノマーCは、重合して得られる硬化体の耐熱性及び耐衝撃性を低下させずに低比重性を付与する単量体として使用される。本発明で好適に用いられるモノマーCを具体的に例示するとイソボルニルメタアクリレート、イソボルニルアクリレート等を挙げることができる。
【0029】
本発明の光学レンズ用重合硬化性組成物で使用する重合性単量体中における、前記モノマーA、モノマーB及びモノマーCの配合割合は、モノマーA100重量部に対してモノマーB50〜200重量部、好ましくは75〜150重量部の範囲、及びモノマーC5〜100重量部、好ましくは8〜80重量部の範囲である。
【0030】
モノマーA100重量部に対するモノマーBの配合量が、50重量部を下回るときは、得られる硬化体の耐衝撃性、面精度が劣り、該配合量が200重量部を越える場合には十分な硬化度の硬化体が得られない。また、モノマーA100重量部に対するモノマーCの配合量が5重量部を下回るときは硬化物の耐熱性が低く成るばかりでなく、組成物の粘度が高くなり操作性が悪くなる。また、該配合量が100重量部を越える場合には、硬化体の耐衝撃性が劣る。
【0031】
本発明の光学レンズ用重合硬化性組成物で使用する重合性単量体としては、モノマーA〜Cを上記配合割合で含む混合物をそのまま使用しても良いが、最終的に得られる光学レンズの物性を更に向上させるために、これらモノマーに共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体(以下、モノマーDともいう)を更に配合しても良い。ここで使用されるモノマーDを例示すると、ジ(メタ)アクリレート化合物として、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサメチレンジメタクリレート等が挙げられ、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物として、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、β−メチルグリシジルアクリレート、β−メチルグリシジルメタクリレート等を挙げることがでる。これらモノマーDは一種または二種以上を混合してもよい。
【0032】
これらモノマーDを配合する場合の配合量は、最終的に得られる光学レンズの物性を勘案して適宜決定すればよいが、一般的には、モノマーA、B、及びCの合計100重量部に対して、1〜30重量部、より好ましくは1〜20重量部である。
【0033】
本発明の光学レンズ用重合硬化性組成物は、重合触媒として光重合開始剤と熱重合開始剤の両方を含む。上記2種の重合触媒を含むことにより本発明の光学レンズ用重合硬化性組成物は、先ず光を照射することによって予備重合を行い、その後熱重合により重合硬化させるという2段階重合を行うことが出来る。この様な2段階重合を行うことにより、優れた面精度、内部均一性を有した光学レンズを容易に短時間で得ることができる。
【0034】
本発明で使用するアシルフォスフィンオキシド系及び/又はジアシルフォスフィンオキシド系の光重合開始剤は、ブリーチング効果を有する光重合開始剤である。ここでブリーチング効果とは、光重合開始剤が活性エネルギー線により開裂し、その結果開裂前の紫外或いは可視領域での長波長域の吸収が消失し、吸収が短波長化し、開裂前には開裂に必要な活性エネルギー線が表面に近い領域で吸収されていたものが、開裂により吸収されずに内部まで透過できることをいう。本発明で好適に使用できるこの様な光重合開始剤を例示すると、下記一般式(6)
【0035】
【化9】
Figure 0003547307
【0036】
(式中、Rは独立にメチル基、メトキシ基または塩素原子であり、iは2または3の整数であり、Rはフェニル基またはメトキシ基である。)
で示されるアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、及び下記一般式(7)
【0037】
【化10】
Figure 0003547307
【0038】
(式中、R10は独立にメチル基、メトキシ基または塩素原子であり、jは2または3の整数であり、R11はフェニル基または2,4,4−トリメチルペンチル基である。)
で示されるジアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤が挙げられる。
【0039】
本発明で好適に使用できる前記一般式(6)で示されるアシルフォスフィンオキサイド及び前記一般式(7)で示されるジアシルフォスフィンオキサイドを具体的に例示すると、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0040】
上記光重合開始剤の配合量は、重合性単量体100重量部に対し、0.01〜〜0.5重量部の範囲である。該配合量が1重量部を越える場合は、重合の進行が速くなりすぎ得られる重合体の内部均一性が高い硬化体が得られず、該配合量が0.005重量部未満の場合には十分な予備重合が進行しない。
【0041】
本発明で使用する熱重合開始剤は特に限定されず、公知のものが使用できるが、10時間半減期温度で定義される分解温度が70から90℃のものが好適に使用できる。分解温度が70℃未満の場合の熱重合開始剤を使用した場合には、1段目の光重合による重合発熱により、熱重合開始剤が開裂して熱重合が進行し内部歪を生じることがある。また、分解温度が90℃を越える熱重合開始剤を使用する場合には、高温で熱重合させる必要があるため、レンズが着色してしまうことがある。本発明で好適に使用できる熱重合開始剤を具体的に示すと、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等のパーオキシエステルなどが挙げられる。なお、これらの熱重合開始剤は、2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0042】
本発明の光学レンズ用重合硬化性組成物における熱重合開始剤の配合量は、硬化の均一性及び硬化体の硬度の観点から、重合性単量体100重量部に対し0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部の範囲である。
【0043】
また、本発明の光学レンズ用重合硬化性組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、離型剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、帯電防止剤、蛍光染料、染料、顔料、香料等の各種安定剤、添加剤を添加することができる。
【0044】
前記したように、本発明の光学レンズ用重合硬化性組成物は、先ず活性エネルギー線を照射して予備重合を行った後、次いで得られた予備重合体を加熱して重合硬化させることにより、容易に短時間で、優れた面精度、内部均一性を有したレンズが得られる。
【0045】
上記重合方法において、予備重合で使用する活性エネルギー線とは、波長が200〜500nmの範囲にあるエネルギー線を意味し、光重合開始剤を開裂させることが可能なエネルギー線を表す。このような活性エネルギー線の光源としては、紫外線および可視光線を発するものが好ましく、例えばメタルハライドランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、殺菌ランプ、キセノンランプ等が好適に使用される。
【0046】
上記の予備重合およびその後引き続き行われる熱重合の方法は特に限定されず、公知の注型重合方法が好適に採用できる。例えば、エラストマーガスケットまたはスペーサーで保持されているガラスモールド(鋳型)間に、本発明の光学レンズ用重合硬化性組成物を注入し、活性エネルギー線を照射し予備重合した後、更に加熱することにより熱重合を行い硬化させることにより好適に行うことができる。なお、光重合を行う場合は、鋳型の少なくとも光照射する面は透明であることが必要であり、一般的にこの部分にはガラス等が使用される。特に石英ガラス等の紫外線を透過しやすい材質が好ましいが、透明であれば材質は特に限定されない。また、このとき外部から圧力をかけながら重合してもなんら差し支えない。
【0047】
上記の重合方法においては、予備重合で重合を完全に終結させないことが面精度の観点から重要である。予備重合で重合を完全に終結した場合、面精度が著しく悪い。面精度、内部均一性に優れたレンズを得るために好適な予備重合における重合の程度は、使用する光源の波長、強度、モノマーの種類や組成、および型形状や材質によって異なるため一概に規定することはできないが、該予備重合によって得られる硬化体(予備重合体)の収縮率が、最終硬化体{ここで、最終硬化体とは、熱重合開始剤を用いて2段階で重合硬化させたときに、その硬化体を室温まで冷却したときの硬度(ロックウェルLスケール)の変化が1/時間以下となる硬化体をいう。}の収縮率の20〜70%、好ましくは30から50%になるように行うのが好ましい。予備重合体の収縮率が最終硬化体の収縮率の70%を越える場合は、最終硬化体の面精度が悪くなる傾向があり、収縮率が20%を下回る場合、熱重合中にモールドと剥がれたり、内部均一性の悪いものとなる傾向がある。
【0048】
なお、ここで収縮率とは、次式で表される値である。
【0049】
収縮率(%)={1−(単量体比重/硬化体比重)}×100
上記の予備重合の程度は、前記したように多くの因子の影響を受けるため、予備的な実験を行い、予め好適な予備重合体を与えるような予備重合条件を決定しておくのが好ましい。一般に、光開始剤の量が多く、光源の強度が大きく、重合体の形状が薄いほど短時間で予備重合を完了させることができる。なお、同一の組成の重合硬化性組成物を用い、同一の型を用い、同一の光源を用いて重合を行う場合には、前記収縮率は照射する活性エネルギー線光の照射時間によって決定される。この様な場合には、重合系毎に照射時間と予備重合体の収縮率との関係を予め調べておけばよい。
【0050】
前記予備重合に引き続き行われる熱重合は、予備重合体を加熱することにより行われる。その時の加熱条件は、使用する熱重合開始剤の種類等により適宜決定すればよい。上記のような注型重合の場合には、予備重合後、鋳型をそのまま空気オーブン又は温水浴を使用して、60℃から140℃で10分から120分間加熱することにより行うことができる。この時、多段階に昇温を行ってもよい。
【0051】
このようにして得られる光学レンズは、その用途に応じて以下のような処理を施すこともできる。即ち、分散染料などを用いる染色、シランカップリング剤やケイ素、ジルコニウム、アンチモン、アルミニウム、スズ、タングステン等のゾル成分を主成分とするハードコート剤や、SiO、TiO、ZrO等の金属酸化物の薄膜の蒸着や有機高分子の薄膜の塗布による反射防止処理、帯電防止処理等の加工および2次処理を施すことも可能である。
【0052】
【実施例】
以下、本発明を説明するために、実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0053】
各実施例及び比較例で使用した試薬の略号を以下に示す。
【0054】
〔モノマーA〕
BPE−2:2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパンと:−(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)―2−(4−メタクリロイルエトキシエトキシフェニル)プロパンが4:1(重量比)の混合物
〔モノマーB〕
BPE−8:前記一般式(2)において、Rがメチル基であり、Rが水素原子であり、c+dの合計が6〜10である2官能(メタ)アクリレート系重合性単量体の混合物であって、c+dの平均が8である混合物
BPP−8:前記一般式(2)において、R、Rが共にメチル基であり、
c+dの合計が6〜10である2官能(メタ)アクリレート系重合性単量体の混合物であって、c+dの平均が8である混合物
BPE−10:前一般式(2)において、Rがメチル基であり、Rが水素原子であり、c+dの合計が6〜14である2官能(メタ)アクリレート系重合性単量体の混合物であって、c+dの平均が10であるの混合物
〔モノマーC〕
IBM:イソボルニルメタアクリレート
IBA:イソボルニルアクリレート
〔モノマーD〕
GMA:グリシジルメタアクリレート
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタアクリレート
4GDM:テトラエチレングリコールジメタクリレート
〔参照モノマー〕
CR−39:ジエチレングリコールビスアリルカーボネート
〔光重合開始剤〕
BAPO1:ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド
BAPO2:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシド
TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド
〔熱重合開始剤〕
TI1:パーブチルIB(商品名:日本油脂性):t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート
TI2:パーオクタO(商品名:日本油脂性):1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート
TI3:パーブチルND(商品名:日本油脂性):t−ブチルパーオキシネオデカノエート
TI4:パーロイルIPP(商品名:日本油脂性):ジイソプロピルパーオキシジカーボネート
実施例1
BPE−2(45重量部)、BPE−10(45重量部)、IBM(10重量部)、光重合開始剤としてBAPO1(0.02重量部)、熱重合開始剤としてTI1(0.5重量部)添加し、十分混合した後、減圧下で脱気した。この液を、外径80mmの2枚のガラスモールドを、エチレン−酢ビ共重合体からなるガスケットを用い、中心厚が2.0mmの平板と、外径80mmの曲率半径が210mmと75mmのガラスモールドを、エチレン−酢ビ共重合体からなるガスケットを用い、中心厚が1.5mmの凹レンズを成形できるように組み合わせた鋳型の中に注入し、1.5kwメタルハライドランプ(熱線カットフィルター付き)を用い、25cmの距離から活性エネルギー線を両面から1分間照射し、光重合を行い予備重合を行った。この時、予備重合後の収縮率は、最終硬化体の収縮率の40%であった。また、モールド表面の紫外線強度は、波長365nmが15mW/cmであった。その後空気オーブン内で110℃で1時間加熱したところ、完全に硬化した。
【0055】
硬化したプラスチックレンズを離型後、110℃で2時間加熱してアニールを行い、屈折率、比重、光学歪、面精度、耐衝撃性、耐熱性、染色性の評価を次のようにして行った。
【0056】
屈折率:アタゴ社製アッベ屈折率計により20℃で測定した。
【0057】
光学歪:2枚の偏光板の偏光面を直交させた直交ニコル法で観測し、重合歪の評価を行った。評価の基準は、以下のとおりである。
【0058】
(○)歪のないもの
(×)歪のあるもの
面精度:レンズの凹面を目視で観測し、面精度の評価を行った。評価の基準は、以下のとおりである。
【0059】
(○)湾曲していないもの
(△)わずかに湾曲しているもの
(×)湾曲しているもの
耐衝撃性:厚さ2mm、直径65mmの5〜10枚の試験板1枚づつに127cmの高さから16g、32g、48g、64g、80g、96g、112g、131g、151gの鋼球を自然落下させ、試験板が破損しない最も重い鋼球の重さの平均で評価した。
【0060】
耐熱性:120℃の空気オーブン内に3時間放置した後、レンズを取り出し室温まで放冷後、肉眼にて表面の歪を観察した。
【0061】
(○)良好なもの
(△)わずかに歪んでいるもの
(×)歪んでいるもの
染色性:BPIブラックを水に分散させた液を用いて、90℃で3分間染色を行い、目視評価した。
【0062】
(◎)非常によく染まる
(○)よく染まる
(×)染まりにくい
これら評価結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
Figure 0003547307
【0064】
実施例2
表1に示した重合性組成物を用いて、実施例1と同様にして成形を行った。得られたプラスチックレンズを離型後、実施例1と同様にアニールを行い評価を行った。その結果を表1に示す。
【0065】
実施例3
表1に示した重合性組成物を用いて、照射時間を3分に変更した以外は実施例1と同様にして成形を行った。この時、予備重合後の収縮率は、最終硬化体の収縮率の80%であった。その後、各プラスチックレンズを離型後、実施例1と同様にアニールを行い、評価を行った。その結果を表1に示す。
【0066】
実施例4〜7
表1に示した各重合性組成物を用いて、実施例1と同様にして成形を行った。得られたプラスチックレンズを離型後、実施例1と同様にアニールを行い評価を行った。その結果を表1に示す。
【0067】
比較例1
ジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR−39)(100重量部)に、IPP(3重量部)を添加し、十分混合した後、減圧下で脱気した。この液を、外径80mmの2枚のガラスモールドを、エチレン−酢ビ共重合体からなるガスケットを用い、中心厚が2.0mmの平板と、外径80mmの曲率半径が210mmと75mmのガラスモールドを、エチレン−酢ビ共重合体からなるガスケットを用い、中心厚が1.5mmの凹レンズを成形できるように組み合わせた鋳型の中に注入した。その後、45℃で8時間、60℃で3時間、80℃で3時間、95℃で4時間熱重合を行った。離型後、実施例1と同様にアニールを行い、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0068】
【表2】
Figure 0003547307
【0069】
比較例2〜9
表2に示した重合性組成物を用いて、実施例1と同様にして成形を行った。各プラスチックレンズを離型後、実施例1と同様にアニールを行い、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0070】
以上の結果より、本発明の光学レンズ用重合硬化性組成物を、活性エネルギー線を照射して予備重合した後、熱重合することにより高屈折率、低比重で、耐衝撃性、面精度の良いレンズが、短時間で成形できることがわかる。また、比較例2〜4は、重合開始剤の配合量が本発明の光学レンズ用重合硬化性組成物と異なるケースであるが、この場合には光学歪、面精度の劣るレンズしか得られなかった。また、比較例5〜9はモノマーA,B,Cの配合割合が本発明の光学レンズ用重合硬化性組成物と異なるケースであるが、この場合には得られたレンズの面精度、耐衝撃性、耐熱性、染色性の物性が劣ることがわかる。
【0071】
【発明の効果】
本発明の光学レンズ用重合硬化性組成物を重合して得られる重合体は、高屈折率、低比重で、耐衝撃性、面精度、透明性、染色性に優れ、眼鏡レンズ等の光学レンズとして優れた物性を有する。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 0003547307
    (式中、R及びRは水素原子またはメチル基であり、a及びbはそれぞれ1〜2の整数であり、a+bは2〜3である。)
    で示される2官能(メタ)アクリレート系重合性単量体100重量部に対し、下記一般式(2)
    Figure 0003547307
    (式中、R及びRは水素原子またはメチル基であり、c及びdはそれぞれ1〜11の整数であり、c+dは6〜12である。)
    で示される2官能(メタ)アクリレート系重合性単量体を50〜200重量部、及び下記一般式(3)
    Figure 0003547307
    (式中、Rは水素原子またはメチル基である。)
    で示される単官能(メタ)アクリレート系重合性単量体を5〜100重量部の割合で含んでなる重合性単量体100重量部、
    アシルフォスフィンオキシド系及び/又はジアシルフォスフィンオキシド系の光重合開始剤0.01〜0.5重量部、並びに
    熱重合開始剤0.01〜5重量部を含んでなることを特徴とする光学レンズ用重合硬化性組成物。
  2. 前記熱重合開始剤がその分解温度が70〜90℃である熱重合開始剤である請求項1記載の光学レンズ用重合硬化性組成物。
  3. 請求項1又は請求項2の光学レンズ用重合硬化性組成物に活性エネルギー線を照射して予備重合を行った後、次いで得られた予備重合体を加熱して重合硬化させることを特徴とする光学レンズ用重合硬化体の製造方法。
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