JP3541775B2 - Iii族窒化物半導体発光素子用ウェハ、その製造方法およびiii族窒化物半導体発光素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、珪素(Si)単結晶基板の表面上にリン化硼素(BP)系材料からなる緩衝層を介して設けられたIII族窒化物半導体層を具備するIII族窒化物半導体発光素子用ウェハとその製造方法、および該ウェハから製造されたIII族窒化物半導体層を発光部として利用する発光ダイオード或いはレーザーダイオード等のIII族窒化物半導体発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、一般式AlXGaYInZN(0≦X≦1、0≦Y≦1、0≦Z≦1、X+Y+Z=1)で表記されるIII族窒化物半導体は、青色帯或いは緑色帯などの短波長の可視光を出射する発光ダイオード(LED)やレーザーダイオード(LD)等の発光素子を構成するための材料として利用されている。近年では、上記のIII族窒化物半導体からなるpn接合型のダブルヘテロ(DH)構造の発光部を、珪素(Si)単結晶からなる基板上に形成する技術が知られている(特開平11−40850号公報)。この場合、基板として利用されるSi単結晶の面方位は{100}または{111}であるのがもっぱらである(特開平10−242586号公報)。
【0003】
さらに最近では、{100}面からなる表面を有するSi基板上にIII族窒化物半導体層を気相成長法により堆積する場合、リン化硼素(BP)系材料からなる結晶層を緩衝層として利用する技術が開示されている(特開平11−162848号公報)。閃亜鉛鉱結晶型のBP結晶(格子定数=4.538Å)は、格子定数を4.510Åとする立方晶の窒化ガリウム(GaN)との格子ミスマッチ(mismatch)度が約0.6%と矮小である。従って、緩衝層をBP結晶から構成すると、その上に結晶欠陥密度の低いGaN結晶層を形成するのに有利である。
【0004】
また特開平11−266006号公報には、Si単結晶基板上にBP系材料のひとつである窒化リン化硼素(BP1-XNX、但し0≦X≦1)からなる緩衝層を介してGaN系III族窒化物半導体層を積層する技術が開示されている。窒素(N)の組成比を約6%とするBP0.94N0.06は立方晶のGaNと格子整合を果たすため、BP0.94N0.06からなる緩衝層を用いると、Si単結晶基板上に結晶欠陥の少ないGaNからなる半導体層を形成するのに有利である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、基板であるSi単結晶(格子定数=5.4308Å)と、例えば閃亜鉛鉱結晶型のBPとの格子ミスマッチの大きさは約17%に達する(「日本結晶成長学会誌」、Vol.25,No.3(1998)、A28頁参照)。
そのため、Si単結晶基板上にBPからなる緩衝層を形成した場合、上記の格子ミスマッチに起因して{100}面を有するSi単結晶基板と該基板上に形成したBPからなる緩衝層との密着性が不充分となり、BP緩衝層がSi基板から剥離し易いという不具合が発生する。
【0006】
一方、III族窒化物半導体発光素子の一般的な平面形状は方形であるため、{111}面を有するSi単結晶を基板として利用した場合、[110]方向への劈開を利用して方形の発光素子を安定して形成することが困難になるという問題が生じる。そのため、{100}面を有するSi単結晶基板に代えて{111}面を有するSi単結晶を発光素子用の基板として利用するのは、発光素子の製造上好ましくない。
【0007】
本発明は、上記の従来技術の問題点を克服すべく成されたもので、劈開により簡易に方形の発光素子が形成できる{100}面からなる表面を有するSi単結晶基板上に、該基板との密着したBP系材料からなる緩衝層を形成し、さらに該緩衝層上にIII族窒化合物半導体層を形成して製造したIII族窒化物半導体発光素子用ウェハとその製造方法、および該ウェハから製造されたIII族窒化物半導体発光素子を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち本願の発明は、珪素(Si)単結晶からなる基板と、該基板表面上に設けられたリン化硼素(BP)系材料からなる緩衝層と、該緩衝層上に設けられたIII族窒化物半導体層とを備えてなるIII族窒化物半導体発光素子用ウェハにおいて、前記基板が{100}面からなる表面を有し、かつ該表面に側壁を{111}面とする四角錐状の細孔が設けられていることを特徴とする。
上記の発明において、前記四角錐状の細孔の底面の一辺の長さ(W)が、10μm以上で500μm以下の範囲であることが望ましい。
また上記の発明において、前記四角錐状の細孔が、基板表面に等間隔で規則的に設けられていることが望ましい。
また本願の発明は、上記のIII族窒化物半導体発光素子用ウェハを用いて作製したIII族窒化物半導体発光素子である。
【0009】
また本願の別の発明は、珪素(Si)単結晶からなる基板と、該基板表面上に設けられたリン化硼素(BP)系材料からなる緩衝層と、該緩衝層上に設けられたIII族窒化物半導体層とを備えてなるIII族窒化物半導体発光素子用ウェハの製造方法において、{100}面からなる表面を有し、かつ該表面に側壁を{111}面とする四角錐状の細孔が設けられている前記Si単結晶の基板表面上に、気相成長法によりBP系材料からなる緩衝層を形成することを特徴とする。上記の発明においては、前記BP系材料からなる緩衝層上に、更に気相成長法によりIII族窒化物半導体層を形成することが望ましい。
さらに上記の発明においては、前期気相成長法が有機金属熱分解気相成長法(MOCVD法)であることが望ましい。
また上記の発明において、前記四角錐状の細孔をエッチングにより設けることが望ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係わる{100}面を有するSi単結晶基板の平面模式図である。また、図2は図1に示すSi単結晶基板の破線A−A’に沿った断面図であり、特に細孔の断面形状を示す模式図である。
【0011】
図1を用いて説明すれば、本発明で基板として利用する{100}面からなる表面を有するSi単結晶基板10の特徴は、基板10の{100}面からなる表面11に、側壁12を{111}面とする四角錐状の細孔(ピット:pit)13が形成されていることにある。
細孔13は、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液または水酸化カリウム(KOH)水溶液等を用いる湿式エッチングにより形成できる。細孔13の代表的な形成方法として、例えば重量濃度が5%程度のNaOH水溶液を用いて、温度を85℃とし時間にして約5分間、Si単結晶基板10の表面11の湿式エッチングを行う方法がある。この方法は、基板10の導電形がn形またはp形にかかわらず用いることが出来る。或いは、重量濃度を約50%とするKOH水溶液を用いて65℃で約5分間、基板10の表面11をエッチングすることによっても、Si単結晶基板10の表面11に本発明の細孔13を形成することが出来る。
【0012】
細孔13をSi単結晶基板10の表面11に不規則に形成することもできるが、規則的に形成する方が後工程においてSi単結晶基板表面11上に均一なBP系材料からなる緩衝層を形成するためには好都合となる。
Si単結晶基板10の表面11に相互の間隔を一定とする規則的な細孔13を形成する手段として、Si単結晶基板10の表面11の所望の領域を二酸化珪素(SiO2)等の耐熱性かつ耐薬品性の被膜で部分的に被覆した後、例えばガスエッチング等による選択エッチングにより細孔13を形成する方法がある。このようなガスエッチングの場合、エッチングガスには塩化水素(HCl)等のハロゲン(halogen)を含む気体やそれと水素との混合ガス等が利用できる。
【0013】
上記の選択エッチングを利用した細孔13の形成方法を用いれば、被膜で被覆する領域の平面積を調整することにより、細孔13の底面13aの面積を調整できる。即ち、ほぼ正方形となる細孔13の底面13aの一辺の長さ(図1及び図2に記号”W”で表記する。)は、基板の表面11の被膜により被覆していない領域の大きさにより調整でき、被膜により被覆していない領域を同一の平面形状及び平面積で表面11に規則的に配列した基板の表面を選択エッチングすると、Wを一定とする細孔13をSi単結晶基板10の表面11に規則的に配置して形成することができる。
【0014】
前述のようにBP結晶と立方晶のGaN或いは立方晶の窒化アルミニウム(AlN)との格子ミスマッチ度は約1%以下と僅かである。また、BP結晶の{110}結晶面の格子面間隔(約3.21Å)は、六方晶ウルツ鉱結晶(wurtzite)型のGaN(a軸格子定数=3.18Å)あるいはAlN(a軸格子定数=3.11Å)の何れの格子定数にも近似している。従って、BP結晶からなる緩衝層は、その上に格子ミスマッチに起因する結晶欠陥の密度が低い良質のIII族窒化物半導体層を形成するのに有利に作用する。
一方、Si単結晶(格子定数=5.4308Å)とBP結晶との間には、約17%の大きさの結晶格子のミスマッチが存在する。しかし、Si単結晶の{111}面の間隔は約3.14Åであり、BP結晶の{110}結晶面の間隔(約3.19Å)とほぼ同等となるため、Si単結晶の{111}面からなる表面上では、良質のBP結晶層の形成が促進される。すなわち、Si単結晶の{111}面からなる表面には良質のBP結晶層を形成でき、その結果、Si単結晶基板とその上のBPからなる緩衝層との密着性を向上させることが可能となる。
【0015】
しかし、{111}面を有するSi単結晶は互いに直交する方向に劈開できず、方形の発光素子を製造するのに不便であり、一方{100}面を有するSi単結晶であれば互いに直交する[110]結晶方位に沿った劈開を利用して簡便に方形状のIII族窒化物半導体発光素子が形成できる。
そこで本発明では、Si単結晶基板の{100}面からなる表面に{111}面が露出した細孔を上記のようにして形成し、細孔の{111}面からなる側壁をもとに良質のBP結晶層を成長させることにより、劈開に依る発光素子の作製上の利点を損なうことなく、Si単結晶基板との密着性に優れたBP結晶からなる緩衝層を{100}面からなる表面を有するSi基板上に形成することが可能となる。その結果、{100}面からなる表面を有するSi基板上に上記の緩衝層を介して良質のIII族窒化物半導体層を形成することが可能となる。
【0016】
さらに本発明では、発光素子の製造に有利になるように、図1及び図2に示した細孔13の底面13aの一辺の長さ(W)の値を規定する。すなわち発光素子の製造には、以下で定める大きさの細孔13を形成した{100}面を有するSi単結晶を基板10として使用するのが有利である。
【0017】
{111}面を側壁12とする四角錘状の細孔13の深さ(図2に記号Dで示す。)は、細孔13の底面13aの一辺の長さWの増長に伴い増大する。すなわち、深さDと一辺の長さWとの間には、D=0.58×Wで近似される関係がある。
Wが極端に大きく、従って深さDが極端に大となると、細孔13をBP系材料からなる緩衝層で充分に埋没させるのが困難となる。細孔13が緩衝層により十分埋没されなくなると、緩衝層を形成した後も細孔13の表面に「窪み」が生ずる。このため、Si基板10の表面11上に形成したBP系材料からなる緩衝層の表面の平坦性は損なわれるものとなる。このように細孔13上と細孔13以外の表面上とで段差が生じている緩衝層上には、凹凸が無く表面の平坦性に優れるIII族窒化物半導体層が形成できないといった不具合を招く。細孔13を緩衝層により充分に埋め尽くすのに好適なWの値は、概ね500μm以下である。
【0018】
またWが10μm未満の場合、Dが浅くなるため細孔13は緩衝層で容易に埋没される。しかし、この場合のようにDが浅い細孔では、細孔の側壁をなすSi結晶の{111}面上に素早く成長するBP系材料からなる結晶により、細孔13が容易に埋め尽くされた上、更に緩衝層の形成の過程で細孔の側壁を構成する(1.1.−1)、(−1.1.−1)、(−1.−1.−1)、及び(1.−1.−1)面の各結晶面の垂直方向に優勢的に成長するBP系材料からなる結晶により、ピラミッド状の突起が形成される。このピラミッド状の突起により緩衝層の表面の平坦性は劣るものとなり、さらに緩衝層上に形成されるIII族窒化物半導体層も表面の平坦性に劣るものとなるという不都合が生じる。
従って、細孔13の底面13aの一辺の長さWの値は、10μm以上で500μm以下の範囲とするのが好適である。
【0019】
Wの大きさが上記のように規定された細孔は、Si基板の{100}面からなる表面上に一定の間隔をもって規則的に形成するのが好ましい。例えば、一辺の長さ(=L)を350μmとする正方形のIII族窒化物半導体発光素子を作製する場合、Wを20μmとする四角錐状の細孔を頂点13b(図2参照)の間隔が30μmとなるようにして、表面上に規則的に配列したS基板を用いることができる。このように規則的に配列された細孔の存在により、Si基板上に形成されたBP系材料からなる緩衝層とSi基板表面との密着の強度は均一に増大させることができる。また、細孔を規則的に配列することにより、例えばIII族窒化物半導体を利用するLEDにあっては、発光部から出射される発光の強度を均一に一様とすることができる。
【0020】
BP系材料からなる緩衝層とは、硼素(B)とリン(P)とを構成元素として含む結晶から構成される緩衝層をいう。すなわちBP系材料には、例えば窒化リン化硼素(BP1-XNX、ただし0≦X<1)や砒化リン化硼素(BP1-YAsY、ただし0≦Y<1)も含まれる。
Si基板表面上に設けるBP系材料からなる緩衝層は、気相成長法により成長するのが好ましい。この緩衝層は、例えば三塩化硼素(BCl3)及び三塩化リン(PCl3)等を原料とするハロゲン系気相成長法(VPE法)や三塩化リンの代わりにホスフィン(PH3)をリン原料とするハイドライド(hydride)VPE法、或いはトリアルキル(trialkyl)硼素を硼素原料とする有機金属熱分解気相成長法(MOCVD法)等の気相成長手段をもって成長できる。また、MOCVD法と分子線エピタキシャル法(MBE法)とを複合したMO−MBE法によっても形成できる。
【0021】
BP系材料からなる緩衝層を、Si基板とGaN等のIII族窒化物半導体層と間の格子のミスマッチを緩和するための緩衝層として利用する場合には、該緩衝層の成長温度は、成長方法にかかわらずおよそ200℃以上で500℃以下の温度とするのが好ましい。さらにこの温度範囲でBP系材料からなる緩衝層をSi基板上に成長させた上に、より高温でBP系材料からなる緩衝層をもう一度成長し、2層構造の緩衝層を形成すると、結晶欠陥密度の少ないIII族窒化物半導体層を成長するのにより好適な緩衝層となる。
【0022】
【作用】
Si単結晶基板の{100}面からなる表面に{111}面が露出した細孔を形成し、細孔の{111}面からなる側壁をもとにして良質のBP結晶層をSi単結晶基板の表面に成長させると、Si単結晶基板との密着性に優れたBP結晶からなる緩衝層をSi基板上に形成することが出来る。
さらに、BP結晶からなる緩衝層は、その上に格子ミスマッチに起因する結晶欠陥の密度が低い良質のIII族窒化物半導体層を形成するのに有利に作用する。
【0023】
【実施例】
以下に本発明に係わるIII族窒化物半導体発光素子を製造した実施例を説明する。図3は、Si単結晶を基板として用い、III族窒化物半導体層を発光部として利用する本実施例に係わるLED100の平面模式図である。また、図4は図3に示すLED100の破線B−B’に沿った断面模式図である。
【0024】
LED100は、Si単結晶基板101とその表面上に気相成長法により順次形成した結晶層とを備えたエピタキシャルウェハから作製した。エピタキシャルウェハを構成するSi単結晶基板101および各結晶層は、以下のものである。
(1)<110>方向に2°傾斜した{100}面からなる表面に、底面の一辺の長さを約30μmとし、頂点の間隔を45μmと一定にして、湿式による選択エッチングにより形成された細孔109が規則的に配列されているアンチモン(Sb)がドープされたn形のSi単結晶からなる基板101。
(2)前記の基板101上に、トリエチルボラン((C2H5)3B)/ホスフィン(PH3)/水素(H2)を用いる常圧のMOCVD法により、350℃でPH3と(C2H5)3Bの供給比率(V/III比率)を約300に設定して成長させた、層厚を約15nmとするアンドープ(undope)でn形のリン化硼素(BP)からなる第一の緩衝層102。
(3)ジシラン(Si2H6)を珪素(Si)のドーピング原料とし、上記と同じMOCVD法により、BPからなる低温緩衝層102上に約1050℃で積層された、層厚を約100nmとしキャリア濃度が約2×1018cm-3である、Siがドープされたn形のBPからなる第二の緩衝層103。
(4)前記の第二の緩衝層103上に、トリメチルガリウム((CH3)3Ga)/アンモニア(NH3)/H2を用いる常圧のMOCVD法により1050℃で成長させた、層厚を約500nmとしキャリア濃度を約1×1018cm-3とする、Siをドープしたn形の窒化ガリウム(GaN)からなる下部クラッド層104。
(5)前記の下部クラッド層104上に、(CH3)3Ga/シクロペンタジエニルインジウム(I)(C5H5In(I))/NH3/H2を用いる常圧のMOCVD法により890℃で成長させた、平均的なインジウム(In)組成比を約0.12とする、In組成が相違する複数の相(phase)からなる多相構造からなる、層厚を約70nmとする窒化ガリウム・インジウム混晶(Ga0.88In0.12N)からなる発光層105。
(6)前記の発光層105上に、(CH3)3Ga/NH3/H2を用いる常圧のMOCVD法により1030℃で成長させた、層厚を約650nmとしキャリア濃度を約3×1017cm-3とする、p形の窒化ガリウム(GaN)からなる上部クラッド層106。
【0025】
Si単結晶基板101の表面上に、気相成長法により順次上記の結晶層を形成して作製したエピタキシャルウェハを用いて、LED100を作製した。LED100は、周知のフォトリソグラフィー(写真食刻)技術を利用して、上記のエピタキシャルウェハに次のp形およびn形のオーミック(Ohmic)電極107、108を形成して作製した。
(1)最表層の上部クラッド層106上に形成した、金(Au)からなる直径を約130μmとする円形のp形オーミック電極107。
(2)Si単結晶基板101の裏面の略全面に形成したアルミニウム(Al)からなるn形オーミック電極108。
次に、Si単結晶基板101の[110]方向の劈開性を利用して、p形およびn形のオーミック電極107、108が形成されたエピタキシャルウェハを一般的なスクライブ手段により個別のLEDに分割した。LEDの平面形状は一辺を約350μmとする正方形とした。
【0026】
このLEDについて、上記のp形オーミック電極107に金(Au)ワイヤを結線(ボンディング)し、ボンディング強度を測定して、Si単結晶基板101と第一の緩衝層102及び第二の緩衝層103との密着性を評価した。
ボンディング強度を測定するための一般的な引っ張り(pull)テストにおいて、本実施例にかかわるLEDの試料約500個では、5gの引っ張り荷重に対して、Si単結晶基板101の表面からの第一の緩衝層102および第二の緩衝層103の剥離はひとつも認められなかった。
【0027】
これに対して、Si単結晶基板の表面に本発明に係わる細孔を設けていない従来のLEDでは、同様の引っ張り荷重を5gとした引っ張りテストにおいて、20%の試料でSi単結晶基板と緩衝層との間での部分的な剥離が発生した。
【0028】
また、本実施例のLEDについて、p形およびn形オーミック電極107、108間に電流を流通させ、下記の特性を得た。
(イ)発光波長=456nm(ただし、順方向電流=20mA)
(ロ)発光輝度=1.2カンデラ(cd)(ただし、順方向電流=20mA)
(ハ)順方向電圧=3.8ボルト(V)(ただし、順方向電流=20mA)
(ニ)逆方向電圧=15V以上(ただし、逆方向電流=10μA)
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、{100}面を表面とするSi単結晶基板において、{111}面を側壁とする四角錐状の細孔を該表面に形成したので、該表面上に基板との密着性に優れるリン化硼素(BP)系材料からなる緩衝層を形成でき、さらに該緩衝層上に結晶性に優れたIII族窒化物半導体層を形成できる。このようにして作製した半導体発光素子用ウェハからは、劈開性を利用して簡易にIII族窒化物半導体発光素子を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる{100}面を有するSi単結晶基板の平面模式図。
【図2】図1に示すSi単結晶基板の破線A−A’に沿った断面図。
【図3】本発明の実施例に係わるLEDの平面模式図。
【図4】図3に示すLEDの破線B−B’に沿った断面模式図。
【符号の説明】
10 Si単結晶基板
11 表面
12 側壁
13 細孔
13a 細孔の底面
13b 細孔の頂点
W 細孔の底面の一辺の長さ
D 細孔の深さ
100 LED
101 Si単結晶基板
102 第一の緩衝層
103 第二の緩衝層
104 下部クラッド層
105 発光層
106 上部クラッド層
107 p形オーミック電極
108 n形オーミック電極
109 細孔
Claims (8)
- 珪素(Si)単結晶からなる基板と、該基板表面上に設けられたリン化硼素(BP)系材料からなる緩衝層と、該緩衝層上に設けられたIII族窒化物半導体層とを備えてなるIII族窒化物半導体発光素子用ウェハにおいて、前記基板が{100}面からなる表面を有し、かつ該表面に側壁を{111}面とする四角錐状の細孔が設けられていることを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子用ウェハ。
- 前記四角錐状の細孔の底面の一辺の長さ(W)が、10μm以上で500μm以下の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物半導体発光素子用ウェハ。
- 前記四角錐状の細孔が、基板表面に等間隔で規則的に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のIII族窒化物半導体発光素子用ウェハ。
- 珪素(Si)単結晶からなる基板と、該基板表面上に設けられたリン化硼素(BP)系材料からなる緩衝層と、該緩衝層上に設けられたIII族窒化物半導体層とを備えてなるIII族窒化物半導体発光素子用ウェハの製造方法において、{100}面からなる表面を有し、かつ該表面に側壁を{111}面とする四角錐状の細孔が設けられている前記Si単結晶の基板表面上に、気相成長法によりBP系材料からなる緩衝層を形成することを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子用ウェハの製造方法。
- 前記BP系材料からなる緩衝層上に、更に気相成長法によりIII族窒化物半導体層を形成することを特徴とする請求項4に記載のIII族窒化物半導体発光素子用ウェハの製造方法。
- 前記気相成長法が有機金属熱分解気相成長法(MOCVD法)であることを特徴とする請求項4または5に記載のIII族窒化物半導体発光素子用ウェハの製造方法。
- 前記四角錐状の細孔をエッチングにより設けることを特徴とする請求項4乃至6に記載のIII族窒化物半導体発光素子用ウェハの製造方法。
- 請求項1乃至3に記載のIII族窒化物半導体発光素子用ウェハを用いて作製したIII族窒化物半導体発光素子。
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