JP3539227B2 - 穴明け工具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主としてプリント基板に小径の孔を穿設するのに用いられる小型ドリルなどの穴明け工具に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にプリント基板に穴明け加工するために用いる小型ドリルは、穿孔すべき孔が例えばφ1.0mm以下等きわめて小径であるため、ドリル本体の刃部の先端に例えば外径0.1〜3.175mm程度の小径の切刃が設けられ、後端側にドリル本体を工作機械の回転軸に把持するための比較的大径のシャンク部が刃部と一体にまたはろう付け等で接続されて設けられている。刃部の材質は、通常、超硬合金が採用され、シャンク部は超硬合金やスチール等の鋼材等が採用されている。
ところで、小型ドリルでプリント基板に穿孔する場合、通常、プリント基板は合成樹脂板にアルミ箔、銅箔、ガラス繊維等が付着されて形成されており、穿孔時には、図5に示すように複数枚、例えば4枚のプリント基板1を積層し、更にその上下にあて板2と敷板3を密着させた状態で、小型ドリル4を用いて4枚のプリント基板に一気に穿孔することになる。
【0003】
このような小型ドリル4は、例えば図6及び図7に示す構成を備えている。即ち、ドリル本体として刃部5とシャンク部6とを備えており、刃部5の外周面には、その先端面7から基端側に向けて回転軸線Oを中心に例えば一対の切屑排出溝8,8が対向して螺旋状に形成されている。各切屑排出溝8,8と先端面7との交差稜線は一対の切刃9,9とされており、先端面7は例えば鈍角の先端角を備えていて各切刃9,9の逃げ面とされ、切屑排出溝8,8の回転方向を向く面の先端側領域8a,8aがすくい面とされている。
図7に示す先端面7において、切刃9の外側端縁につながる刃部5の外周面は、切刃9,9の外側端縁につながるマージン10と、マージン10より回転軸線Oからの外径寸法が短く設定された外周逃げ面11(二番取り面)とで形成されている。そして回転軸線Oを含む切屑排出溝8,8間の厚み部分は芯厚部13とされている。
芯厚部13は図7に示す刃部5の先端面7において厚み寸法t0を備え、図8における回転軸線O方向に沿う芯厚部13の形状を説明するための仮想的な断面図で示すように、刃部5の先端面7から切屑排出溝8,8の終端部まで漸次厚みtがt0から均一に増大するように断面視直線をなすテーパ状に形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、プリント基板は年々微細化と多層化が進み、これに伴い穴径の小径深穴化、穴位置の高精度化の要求がますます厳しくなっている。そのため、上述のような均一なテーパ状に形成されている芯厚部13ではこれらの要求に十分対応できなくなりつつある。
即ち、上述のような均一なテーパ状に形成されている芯厚部13を全体により厚くすると小型ドリル4の剛性は増大するが、先端側においてスラスト抵抗が増大してプリント基板への食い付きが悪くなって穴の位置ずれや穴曲がりを生じ易くなる。これは、ドリルにおいては先端角を有する先端面7の頂点と重なる回転軸線O上での切刃9の食い付きの良さが穴位置精度を決定するためである。また、基端側においても芯厚部13が大きくなるために切屑排出溝8が浅くなって深穴加工時に切屑の排出性が悪くなるという欠点がある。
逆に芯厚部13の厚みを小さくして食い付きと切屑排出性を良くするとドリル剛性が低下して折損しやすいという欠点が生じる。
また芯厚部13のテーパの傾斜を大きくするとドリル剛性を高めながら切屑排出溝8の深さを確保できるが、それでもアスペクト比が15以上になると切屑排出溝8の基端側では溝深さが一層浅くなるために同様に切屑排出性が悪化するという欠点がある。
【0005】
また芯厚部13以外に刃部5の先端角やねじれ角、溝幅比、マージン幅等を変化させたり組み合わせを変えたりして穴加工試験をしてみても満足できる結果が得られなかった。
また切刃9のすくい角は切屑排出溝8のねじれ角で設定されており、そのために切刃9のすくい角はドリル本体の径方向で回転軸線Oに近づく程小さくなり、それに伴って外周側から回転軸線Oに近づくに従って切削抵抗が大きくなることは一般的に知られている。しかも上述のように剛性を持たせるために芯厚部13に正方向のテーパが付けられているためにすくい角は更に小さくなる。
このような欠点を解決するために、従来切刃9の回転軸線O付近にシンニングを設ける技術が一般的に採用されているが、切刃9の再研磨に手間がかかる上に小型ドリル4等ではドリル径が細いためにシンニングの形成が困難であった。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みて、穴加工精度を向上させることができるようにした穴明け工具を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる穴明け工具は、刃部とシャンク部とを備え、刃部の外周面に先端側から基端側に向けて切屑排出溝が設けられ、この切屑排出溝と刃部の先端面との交差稜線に切刃が設けられてなる穴明け工具において、前記刃部の芯厚が、先端側から基端側に向けて漸次厚みが減少する第一芯厚部と、この第一芯厚部との接続部から基端側に向けて漸次厚みが増大する第二芯厚部とを備え、かつ、回転軸線に沿う前記切屑排出溝の長さをLとして、前記第一芯厚部の前記回転軸線に沿う長さが0.03L〜0.25Lとされていることを特徴とする。
刃部の先端側の第一芯厚部をバックテーパ形状としたから、切刃のすくい面をなす切屑排出溝の回転方向を向く面の先端側領域では回転軸線付近のすくい角が大きくなり切削抵抗を軽減でき、被削材への食い付きを良くして食い込み時の穴位置ずれと穴明け途中での穴曲がりを少なくできて高精度の穴加工ができる。しかも第二芯厚部の領域で漸次厚みが増大するテーパ状とされているから、第一芯厚部をバックテーパにしたことによる工具剛性の低下を抑制できる。
また、回転軸線に沿う切屑排出溝の長さをLとして、第一芯厚部の回転軸線に沿う長さL1を0.03L〜0.25Lとすることで、d1,d2との関係でバックテーパによる剛性の低下を確実に抑制できる。
【0008】
また、刃部の切り刃の外径が3.175mm以下であってもよい。
このような小径の穴明け工具において特に剛性を犠牲にすることなく穴加工精度を向上できて好適である。
また、第一芯厚部の先端の厚み寸法をd1とし、第一芯厚部と第二芯厚部との接続部の厚みをd2とし、刃部の切刃外径をDとすると、
d1>d2とされ、
かつd1は0.15D〜0.60Dの範囲、d2は0.05D〜0.59Dの範囲に設定されていてもよい。
第一芯厚部をバックテーパにしてd1及びd2を上述のように設定することで、穴明け工具の剛性を損なうことなく特に回転軸線付近のすくい角を大きくすることができて被削材への食い付きを良くして穴加工精度が向上する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面により説明するが、上述の従来技術と同一または同様の部分には同一の符号を用いて説明する。図1は第一の実施の形態による小型ドリルの芯厚部の形状を説明するための回転軸線に沿う仮想的な断面を示す図である。
図1に示すプリント基板穿孔用の小型ドリル20は、芯厚部を除いて従来技術の小型ドリル4と同一の構成を備えていて、ドリル本体が刃部5とシャンク部6からなり、刃部5の外周面に回転軸線Oを挟んで一対の切屑排出溝8,8が対向して形成されている。先端面7は例えば鈍角の先端角を備えていて各切刃9,9の逃げ面とされ、切屑排出溝8,8の回転方向を向く面の先端側領域8aがすくい面とされている。
切屑排出溝8,8間に形成された芯厚部22は刃部5の先端面7から切屑排出溝8の終端部まで延在して形成されており、切屑排出溝8の延在方向に沿う一対の切屑排出溝8,8間の最小厚み寸法が芯厚部22の厚み寸法diとされている。
特に本実施の形態による小型ドリル20では、芯厚部22は図1に示すように先端側に位置していてバックテーパを備えた第一芯厚部24と、基端側に位置していて第一芯厚部24との接続部25から基端側に向けて漸次厚み寸法が大きくなるテーパ状の第二芯厚部26とを備えて形成されている。
【0010】
ここで、第一芯厚部24の先端の厚みをd1、第一芯厚部24と第二芯厚部26の接続部25の厚みをd2、切屑排出溝8の終端部である第二芯厚部26の後端の厚みをd3とし、刃部5の切刃外径をDとしたとき、例えば切刃9の外径D=3.175mm以下とすると、
d1>d2<d3
とされ、かつd1は0.15D〜0.60D、d2は0.05D〜0.59D、d3は0.30D〜0.90Dの範囲に設定されている。
また回転軸線Oに沿う切屑排出溝8の長さ(有効溝長)をLとすると、第一芯厚部24の回転軸線Oに沿う長さL1は0.03L〜0.25Lとし、例えばL1=0.05〜5.0mmの範囲とする。
そのため、第一芯厚部24のバックテーパ形状の傾斜は0/1000を越え、好ましくは−1/1000〜−300/1000の範囲となる。ここで、傾斜が0/1000であるとバックテーパにならずすくい角が大きくならないために切削抵抗を軽減できず穴位置精度の向上に寄与しない。また−300/1000を越えるとバックテーパが急激すぎて穴加工時に接続部25に応力が集中して折損し易くなるという問題が生じる。
小型ドリル20等で穴明け加工する場合、食い付き時に切削加工点は回転中心である回転軸線Oから順次外周側へ広がって行き、ドリル外周に到達した時点で一対の切刃9,9全体で穴明け加工に移行する。そのため、第一芯厚部22のバックテーパを上述の範囲に設定することで、特に回転軸線O付近のすくい角を大きくできて切削抵抗を軽減でき、被削材への食い付きを良くして食い込み時の位置ずれと穴明け途中での穴曲がりを抑制して高精度の穴加工ができる。
【0011】
また、テーパ状に形成された第二芯厚部26の傾きは、ドリル剛性と切屑排出性を確保できる程度あれば適宜でよいが、好ましくは10/1000〜50/1000程度とする。しかも、切屑排出溝8の終端部である第二芯厚部26の後端の厚みd3を0.30D〜0.90Dに設定したことでドリル剛性を確保した上で切屑排出性を良好に維持できる。
尚、第二芯厚部26の回転軸線Oに沿う長さL2は加工穴の深さによって適宜定めればよい。
【0012】
本実施の形態による小型ドリル20は上述のように構成されているから、第一芯厚部24をバックテーパにして、傾斜を0/1000を越えて−300/1000までの範囲に設定し、先端の厚みd1と基端側の接続部25の厚みd2についてd1を0.15D〜0.60Dの範囲、d2を0.05D〜0.59Dの範囲に設定することで、ドリル剛性の低下を抑制して切刃9のすくい角を大きくできる。特に切屑排出溝8がねじれ溝になっているために、回転軸線O付近のすくい角を大きくできて切削抵抗を軽減でき、そのためにプリント基板等の被削材への食い付き性を向上させ、食い込み時の穴位置ズレと穴明け途中での穴曲がりを少なくして高精度の穴位置を得ることができる。
また第一芯厚部24と第二芯厚部26との接続部25で最小の芯厚d2となるが、d2を0.05D〜0.59Dの範囲に設定することでドリル剛性の低下を抑制でき、更に接続部25に続く第二芯厚部26で10/1000〜50/1000の範囲のテーパ状としてd3を0.30D〜0.90Dに設定したことでドリル剛性を確保した上で切屑排出性を良好に維持できる。
【0013】
次に本発明の第二の実施の形態を図2により説明する。
図2に示す小型ドリル30は芯厚部を除いて第一の実施の形態の小型ドリル20と同一構成であり、例えば切刃9の外径Dが3.175mm以下とされている。
この小型ドリル30において、芯厚部32が先端側から基端側に向けてバックテーパ状の第一芯厚部34とテーパ状の第二芯厚部36とストレート状または第二芯厚部36より小さい微量のテーパ状とされた第三芯厚部38とで構成されている。
ここで、第一芯厚部34の先端の厚みをd1、第一芯厚部34と第二芯厚部36の接続部35の厚みをd2、第二芯厚部36と第三芯厚部38の接続部37の厚みをd4、切屑排出溝8の終端部である第三芯厚部38の後端の厚みをd3とし、刃部5の切刃外径をDとしたとき、
d1>d2<d4≦d3
とされ、かつd1は0.15D〜0.60D、d2は0.05D〜0.59D、d3は0.30D〜0.90D、d4は0.30D〜0.90Dの範囲に設定されている。
【0014】
また回転軸線Oに沿う切屑排出溝8の長さ(有効溝長)をLとすると、第一芯厚部34の回転軸線Oに沿う長さL1は0.03L〜0.25Lとし、例えばL1=0.05〜5.0mmの範囲とし、第二芯厚部36の回転軸線Oに沿う長さL2は0.03L〜0.25Lとし、第三芯厚部38の回転軸線Oに沿う長さL3は適宜でよい。
そのため、バックテーパ形状の第一芯厚部34のテーパ(傾斜)は第一の実施の形態と同様に0/1000を越え、−300/1000の範囲となる。ここで、傾斜が0/1000であるとバックテーパにならずすくい角が大きくならないために切削抵抗を軽減できず穴位置精度の向上に寄与しない。また−300/1000を越えるとバックテーパが急激すぎて穴加工時に接続部35に応力が集中して折損し易くなるという問題が生じる。そのため、傾斜を上述の範囲に設定することで、特に回転軸線O付近のすくい角を大きくできて切削抵抗を軽減でき、被削材への食い付きを良くして食い込み時の位置ずれと穴明け途中での穴曲がりを抑制して高精度の穴加工ができる。
【0015】
また、テーパ状に形成された第二芯厚部36の傾きは、ドリル剛性と切屑排出性を確保できる程度あれば適宜でよいが、好ましくは50/1000〜1000/1000程度とする。第三芯厚部38は傾斜を例えば0/1000〜15/1000の範囲としてストレート形状か微量のテーパ状(これをほぼ同一厚みという)に設定する。これによって小型ドリル30の剛性を向上できると共にアスペクト比が15を越えるような深穴加工においても生成された切り粉を切屑排出溝8を通してスムーズに排出することができ、耐折損性と切屑排出性を良好に維持できる。
尚、図2では第三芯厚部38は0/1000のストレート形状とされている。
【0016】
本第二の実施の形態による小型ドリル30は上述のように構成されているから、第一の実施の形態と同様に第一芯厚部34をバックテーパにすることで、ドリル剛性の低下を抑制して切刃9のすくい角を大きくできる。回転軸線O付近のすくい角を大きくして切削抵抗を軽減でき、そのためにプリント基板等の被削材への食い付き性を向上させ、食い込み時の穴位置ズレと穴明け途中での穴曲がりを少なくして高精度の穴位置を得ることができる。
また第一芯厚部34と第二芯厚部36との接続部35で最小の芯厚d2となるが、d2を0.05D〜0.59Dの範囲に設定することでドリル剛性の低下を抑制でき、更に接続部35に続く第二芯厚部36でドリル剛性を確保した上で切屑が詰まることなくスムーズに排出させることができる。しかも第三芯厚部38を0/1000〜15/1000の範囲としてストレート形状か微量のテーパ状として終端の厚みd3とすることで、ドリル剛性を確保して切屑排出性を良好にすることができる。
【0017】
次に本発明の実施例について行った穴明け加工試験について説明する。
実施例として図2に示す芯厚部32の形状を備えた小型ドリル30を用い、比較のために従来例として図8に示す均一なテーパ状の芯厚部13を備えた小型ドリル4を用いてそれぞれ穴明け加工試験を行った。
実施例と従来例の各小型ドリル30,4の各部位の寸法等は表1に示す通りである。尚、各芯厚部32,13の先端の厚みd1,t0は共に0.130である。
【0018】
テスト用の小型ドリルの寸法一覧表(単位:mm)
【表1】
【0019】
被削材として、Cu箔が4枚重ねられてなる厚さ1.6mmの基板を3枚積層した3枚重ねのプリント基板を用い、その上にアルミニウム製の厚さ0.15mmのあて板を載置し、下にベーク製の厚さ1.6mmの敷板を密着させた状態で、実施例及び従来例の小型ドリル20,4を用いてそれぞれ穴明け加工を行った。
小型ドリルの回転数Nは70Krpm、送り速度Fは1.8m/min、1回転当たりの切り込み量fは25.71μmとし、シングル加工で5000ヒット(回数)の穴明けを行った。尚、工作機械に装着された初期位置の小型ドリル30,4の先端とプリント基板との距離であるストロークは9.85mmである。
穴明け試験の結果は、実施例による小型ドリル30の場合では図3及び表2に示す成績が、また従来例による小型ドリル4の場合では図4及び表3に示す通りの成績が得られた。
【0020】
実施例の穴位置精度成績表
【表2】
【0021】
従来例の穴位置精度成績表
【表3】
【0022】
表2及び表3において、「平均値」とは目標位置から実際の穴出口位置までの深さ方向に対して直交する方向の「平均穴位置ズレ量」をいう。「シュート量」とは穴の曲がり量を示すもので、穴の入り口から深さ方向に対して直交する方向への穴曲がりによるズレの最大量を指す。「スリップ量」は穴加工開始時における目標位置から実際の穴の入り口位置までのズレ量をいう。
一般に、穴位置精度は正規分布による「平均値+3σ」の大きさによって主として決定される。
試験結果によれば、実施例による穴加工では、図3に示すように1(スタート)〜1000ヒット、1001〜2000ヒット、2001〜3000ヒット、3001〜4000ヒット、4001〜5000ヒットの各1000ヒットづつのいずれの段階においても、穴明けの目標位置であるX軸とY軸の交点からのずれ量が小さい。即ち表2に示すように正規分布による「平均値+3σ」は、上記各段階のヒットにおいて、55μm、57μm、58μm、66μm、82μmとなり、同様に「シュート量」も41μm、46μm、49μm、58μm、75μmとなった。
これに対して従来例による穴加工では、各段階のヒットで正規分布による「平均値+3σ」は86μm、104μm、115μm、118μm、114μmとなり、同様に「シュート量」も71μm、93μm、104μm、106μm、104μmとなった。
従って、実施例の方が、従来例よりも明らかに目標位置に対する穴位置のずれ量と穴曲がり量も小さく、穴位置精度が向上したことを確認できる。
【0023】
尚、本発明による芯厚部は、第一及び第二の実施の形態に限定されることなく、例えば第二の実施の形態における小型ドリル30で示すように、第三芯厚部38に更にテーパ状の第四芯厚部、ストレート若しくは微量テーパ状の第五芯厚部等を適宜追加して複数種類の芯厚部を略多段状に形成するようにしてもよい。要するにバックテーパ状の第一芯厚部24,34に加えてテーパ状またはストレート若しくは微量テーパ状の芯厚部を適宜同軸状に接続して切屑排出性を確保すると共に剛性を高めた構成を備えていればよい。
また実施の形態では切屑排出溝8をねじれ溝として一対設けたが、これに限定されることなく切屑排出溝を直線状の溝としてもよいし、また切屑排出溝の本数は任意に設定してよい。
また本発明は刃先の直径が3.175mm以下のプリント基板用の小径ドリル20,30に好適であるが、本発明は実施の形態に限定されることなく刃先の直径がこれより大きいドリルについても適用できる。また本発明はドリルに限定されることなくリーマなど穴明け用の各種穴明け工具にも適用できる。
【0024】
【発明の効果】
上述のように、本発明に係る穴明け工具は、刃部の芯厚が、先端側から基端側に向けて漸次厚みが減少する第一芯厚部と、この第一芯厚部との接続部から基端側に向けて漸次厚みが増大する第二芯厚部とを備えたから、切刃のすくい面をなす切屑排出溝の先端側領域では回転軸線付近のすくい角が大きくなり切削抵抗を軽減でき、被削材への食い付きを良くして食い込み時の穴位置ずれと穴明け加工時の穴曲がりを少なくできて高精度の穴加工ができる。しかも第二芯厚部の領域で漸次厚みが増大するテーパ状とされているから、第一芯厚部をバックテーパにしたことによる工具剛性の低下を抑制できる。
【0025】
また、刃部の切り刃の外径が3.175mm以下であるから、小径の穴明け工具において特に剛性を犠牲にすることなく穴加工精度を向上できて好適である。また、第一芯厚部の先端の厚み寸法をd1とし、第一芯厚部と第二芯厚部との接続部の厚みをd2とし、刃部の切刃外径をDとすると、
d1>d2とされ、
かつd1は0.15D〜0.60Dの範囲、d2は0.05D〜0.59Dの範囲に設定されているから、穴明け工具の剛性を損なうことなく特に回転軸線付近のすくい角を大きくすることができて穴加工精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態による小型ドリルの刃部についての芯厚部の形状を説明するための回転軸線に沿う仮想的な断面図である。
【図2】本発明の第二の実施の形態による小型ドリルの刃部についての芯厚部の形状を説明するための回転軸線に沿う仮想的な断面図である。
【図3】実施例による小型ドリルで穴加工試験した穴位置の精度を1000ヒット単位で示す図である。
【図4】図8に従う従来例の小型ドリルで穴加工試験した穴位置の精度を1000ヒット単位で示す図である。
【図5】小型ドリルによるプリント基板の穿孔状態を示す一般的な図である。
【図6】一般的な小型ドリルの側面図である。
【図7】図6に示す小型ドリルの先端面図である。
【図8】従来の小型ドリルの刃部についての切屑排出溝に沿う断面図である。
【符号の説明】
5 刃部
6 シャンク部
8 切屑排出溝
9 切刃
20,30 小型ドリル
22,32 芯厚部
24,34 第一芯厚部
25,35,37 接続部
26,36 第二芯厚部
38 第三芯厚部
Claims (3)
- 刃部とシャンク部とを備え、刃部の外周面に先端側から基端側に向けて切屑排出溝が設けられ、この切屑排出溝と刃部の先端面との交差稜線に切刃が設けられてなる穴明け工具において、前記刃部の芯厚が、先端側から基端側に向けて漸次厚みが減少する第一芯厚部と、この第一芯厚部との接続部から基端側に向けて漸次厚みが増大する第二芯厚部とを備え、かつ、回転軸線に沿う前記切屑排出溝の長さをLとして、前記第一芯厚部の前記回転軸線に沿う長さが0.03L〜0.25Lとされていることを特徴とする穴明け工具。
- 前記刃部の切り刃の外径が3.175mm以下であることを特徴とする請求項1記載の穴明け工具。
- 前記第一芯厚部の先端の厚み寸法をd1とし、第一芯厚部と第二芯厚部との接続部の厚みをd2とし、刃部の切刃外径をDとすると、
d1>d2とされ、
かつd1は0.15D〜0.60Dの範囲、d2は0.05D〜0.59Dの範囲に設定されていることを特徴とする請求項1または2記載の穴明け工具。
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