JP3513158B2 - 半導体集積回路装置 - Google Patents

半導体集積回路装置

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JP3513158B2
JP3513158B2 JP24827891A JP24827891A JP3513158B2 JP 3513158 B2 JP3513158 B2 JP 3513158B2 JP 24827891 A JP24827891 A JP 24827891A JP 24827891 A JP24827891 A JP 24827891A JP 3513158 B2 JP3513158 B2 JP 3513158B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フリップフロップ回路
を含む半導体集積回路装置、さらには情報の伝達経路に
配置されたフリップフロップ回路に対するクロック同期
動作によってその論理動作タイミングが制御される半導
体集積回路装置に関し、例えばマイクロプロセッサ若し
くはマイクロコンピュータなどの論理LSIに適用して
有効な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】マイクロプロセッサなどの論理LSIに
おいては、その実行部に含まれる算術論理演算回路、マ
ルチプレクサ、シフタ、デコーダ、及びセレクタなどの
論理回路間の情報伝達経路にレジスタを配置し、各レジ
スタをクロック信号で同期動作させることにより容易に
誤動作を防止してデータ処理を行うようになっている。
斯るレジスタとしては、クロック信号サイクル、さらに
はカップリングノイズや微小リーク電流そしてアルファ
ー線などの影響に拘らず安定的にデータを保持すること
ができる複数のスタティック型のフリップフロップ回路
が一般的に採用されている。
【0003】このような論理LSIの性能は、情報の伝
達経路に配置された複数のスタティック型フリップフロ
ップ回路の動作を規定するクロック信号サイクルによっ
て決定される。すなわち、クロック信号の変化に同期し
てレジスタすなわち複数のスタティック型フリップフロ
ップ回路からデータが出力されると、そのデータに対し
て種々の論理演算などが施され、当該演算結果が次段の
レジスタに到達するタイミングに併せて当該次段のレジ
スタがクロック信号の変化に同期してデータを入力でき
るように、当該クロック信号のサイクルが決定される。
【0004】尚、このようなマイクロプロセッサについ
て記載された文献の例としては日経マグロウヒル社発行
の「日経エレクトロニクス(1987年7月13日
号)」第124頁から第138頁がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来こ
の種の論理LSIにおいてレジスタを構成する複数のス
タティック型フリップフロップ回路にクロック信号の変
化が与えられてからその内部に保持されたデータが出力
されるまでの遅延時間、若しくはクロック信号の変化に
同期してデータの書き込みが開始されるまでの動作遅延
時間は、ナンドゲートやノアゲートなどの一般ゲートに
比べて数倍大きくなり、論理LSIを高性能化もしくは
高速化を図るための障害になる虞のあることが本発明者
によって明らかにされた。なぜなら、順序回路としての
スタティック型フリップフロップ回路においては、その
データ入力端子とそのデータ出力端子との間にデータを
スタティックにラッチするためのデータ系論理ゲートや
上記データ系論理ゲートをクロック信号に同期して動作
させるためのクロック系論理ゲートなどを含むため、デ
ータ入力端子からデータ出力端子までの間に存在するゲ
ート直列段数が多くなるからである。
【0006】ここで着目するフリップフロップ回路は同
期式順序回路として位置づけられるものであり、特に本
発明者は、デザイン・オートメーションのような自動配
置配線の単位セルもしくは標準セルとされるフリップフ
ロップ回路、具体的には図13に示されるレベルセンス
型のフリップフロップについて検討した。
【0007】同図においてG101からG103及びG
106からG108はインバータゲート、G104及び
G105はナンドゲート、T101及びT102はトラ
ンスファゲートを表している。前記ナンドゲートG10
4,G105はトランスファゲートT101を介して帰
還接続されることによりスタティックラッチを構成す
る。同図に示されるフリップフロップ回路は標準セルと
して利用されるものでありその入出力端子に接続される
回路の駆動能力や容量性負荷は実際にこのフリップフロ
ップが利用される半導体集積回路装置毎にまちまちであ
り、これを考慮して前記インバータゲートG101,G
103,G106,G107が設けられている。すなわ
ち、前記インバータゲートG101はデータ書き込みタ
イミングを規定するセットアップ時間及びホールド時間
並びにクロック最小パルス幅がクロック信号CLKの入
力波形の変化の傾きに影響されないようにするための波
形整形を行う。前記インバータゲートG103はデータ
D入力の前段回路の駆動能力に書き込み時間が影響され
ないようにするための増幅機能を持つ。前記インバータ
ゲートG106,G107はデータの出力動作が出力側
負荷容量の影響を受けないようにする。また、クロック
信号CLKのレベル変化によって取り込まれる入力デー
タDの書き込み及び読出しに対してセット及びリセット
動作を優先させるように、前記インバータゲートG10
6,G107の入力はナンドゲートG105の出力側に
接続され、ナンドゲートG104の入力側には接続され
ていない。
【0008】したがって、このフリップフロップ回路に
おいてクロック信号CLKがハイレベルに変化されてか
ら反転出力Q*(*は負論理を意味する)を得るまでに
は6段のゲートG101,T102,G104,G10
5,G106,G108の出力が確定するのを待たなけ
ればならず、また、非反転出力(正転出力)Qを得るに
は5段のゲートG101,T102,G104,G10
5,G107の出力が確定するのを待たなければならな
い。これにより、クロック信号CLKのハイレベルへの
変化からデータ出力が確定するまでの遅延は大きくなっ
てしまう。
【0009】図14には本発明者が検討した別のフリッ
プフロップ回路が示される。同図に示されるフリップフ
ロップ回路は複合ゲートとしての2個のオア・アンド・
インバータゲートG113,G114によってスタティ
ックラッチが構成され、クロック信号CLKの入力段に
は波形整形用インバータゲートG111が配置され、出
力側には書き込み動作が出力側負荷容量に影響されない
ようにするためのインバータゲートG115,G116
が配置され、さらに入力データDの反転用インバータゲ
ートG112が設けられている。このフリップフロップ
回路もクロック信号CLKがハイレベルに変化されてか
ら反転出力Q*及び正転出力Qを得るまでには、4段の
ゲートG111,G113,G114,G116、又は
G111,G113,G114,G115の出力が確定
するのを待たなければならず、上記同様にクロック信号
CLKのハイレベルへの変化からデータ出力が確定する
までに大きな遅延を生ずる。
【0010】このように従来のクロック同期型フリップ
フロップ回路ではクロック信号のレベル変化からデータ
出力が確定するまでに比較的大きな遅延を生ずるため、
クロック信号に対するデータのセットアップ時間やホー
ル時間を所要時間確保するためには必然的にクロック信
号周期が長くなる。これにより、斯るフリップフロップ
回路の動作を規定するクロック信号のサイクルによって
動作速度が決定されるような論理LSIにおいてはその
高速化に限界を生じてしまう。例えばそのようなフリッ
プフロップ回路がクリティカルパスに存在している場
合、当該フリップフロップ回路の動作遅延時間が論理L
SIの高速化を阻むこととなる。
【0011】特に高速化という点だけに関してはECL
回路を採用することもできるが、MOS型半導体集積回
路装置に比べると高集積化し難く消費電力も格段に大き
いため、必ずしも得策ではない。
【0012】本発明の目的は、クロック同期型フリップ
フロップ回路の動作遅延を少なくして半導体集積回路装
置の論理動作を高速化しようとするものである。
【0013】本発明の別の目的は、フリップフロップ回
路の動作を規定するクロック信号サイクルによって性能
が決定されるような半導体集積回路装置において、高集
積化並びに低消費電力化を実現しつつ、フリップフロッ
プ回路の性能の点において高速に論理動作を行うことが
できる半導体集積回路装置を提供することにある。
【0014】本発明の前記並びにその他の目的と新規な
特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるで
あろう。
【0015】
【課題を解決するための手段】本願において開示される
発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記
の通りである。
【0016】すなわち、情報の伝達経路に配置されたフ
リップフロップ回路に対するクロック同期動作によっ
て、その論理動作タイミングが制御される半導体集積回
路装置に、図4の曲線(a)以下の領域に含まれる動作
特性を持つフリップフロップ回路を採用するものであ
る。
【0017】また、情報の伝達経路に配置されたフリッ
プフロップ回路に対するクロック同期動作によって、そ
の論理動作タイミングが制御される半導体集積回路装置
において、前記フリップフロップ回路として、そのデー
タ入力端子と出力端子との間に、記憶回路とこの記憶回
路よりも直列ゲート段数の少ないバイパス回路とを並列
接続する構成を採用するものである。
【0018】或いは、情報の伝達経路に配置されたフリ
ップフロップ回路に対するクロック同期動作によって、
その論理動作タイミングが制御される半導体集積回路装
置において、前記フリップフロップ回路として、そのデ
ータ入力端子と出力端子との間に記憶回路とバイパス回
路を並列接続し、前記データ入力端子から出力端子に至
るまでのデータの伝播遅延時間に関し記憶回路に比べて
バイパス回路の方が小さくなる構成を採用するものであ
る。
【0019】前記バイパス回路は、記憶回路の論理を通
さずに、該記憶回路に書き込まれるべき情報を迂回して
出力端子に伝達するものである。記憶回路の出力確定前
の保持情報とバイパス回路の出力情報との競合を防止す
る場合には、前記記憶回路のデータ書き込み動作時に前
記バイパス回路を前記データ出力端子と導通状態にし、
前記記憶回路のデータ保持状態の時に前記バイパス回路
を前記データ出力端子と非導通状態にするところの切り
替え手段を上記フリップフロップ回路に含めるとよい。
【0020】前記切り替え手段は、前記記憶回路の書き
込み動作を制御するクロック信号と実質的に同一のクロ
ック信号に基づいてその導通/非導通状態が切り替え制
御される、スイッチ回路、論理ゲート、及びクロックド
ゲートの中から選ばれた単数若しくは複数の手段を採用
することができる。
【0021】また、情報の伝達経路に配置されたフリッ
プフロップ回路に対するクロック同期動作によって、そ
の論理動作タイミングが制御される半導体集積回路装置
において、前記フリップフロップ回路として、そのデー
タ入力端子と出力端子との間に記憶回路とバイパス回路
を並列接続し、記憶回路のデータ書き込み動作時にはバ
イパス回路の出力を出力端子に伝達し、記憶回路のデー
タ保持状態においては記憶回路の出力を前記出力端子に
伝達する手段を含む構成を採用してもよい。
【0022】フリップフロップ回路が適用される回路構
成の如何に拘らず動作の安定化若しくは動作仕様の統一
化を図るには、前記記憶回路における情報書き込みのた
めのセットアップ時間及びホールド時間をデータ出力端
子に結合される容量性負荷の大小に大きく依存させない
ために、出力端子に結合されるべき負荷を駆動するドラ
イバー回路を設けるとよい。
【0023】正転出力と反転出力とを有する構成に対応
させるには、正転出力用のバイパス回路と反転出力用の
バイパス回路とを夫々別々に含めることができる。
【0024】カップリングノイズや微小リーク電流など
の影響を受けないような情報記憶の安定化を図るには、
スタティックに情報を保持する形式の記憶回路を採用す
るとよい。
【0025】記憶回路にセット/リセット機能がある場
合に、クロック信号がどのような状態にあってもフリッ
プフロップ回路全体におけるセット/リセット動作を優
先させるには、バイパス回路にもセット/リセット機能
を設けておくことが望ましい。即ち、バイパス回路に
は、第1の信号に応答して前記出力端子に出力されるデ
ータを第1の値に強制し、第2の信号に応答して前記出
力端子に出力されるデータを第2の値に強制する手段を
設けておく。
【0026】フリップフロップ回路が直列接続形態のマ
スタ段及びスレーブ段の2個の記憶回路を備える場合、
少なくともスレーブ段にバイパス回路を並列接続するこ
とが望ましい。
【0027】また、高集積化及び抵消費電力化という点
においては、前記フリップフロップ回路を含む半導体集
積回路装置を相補型MOS回路形式で構成するのがよ
い。また、フリップフロップ回路の駆動能力向上という
点においては、前記フリップフロップ回路をバイポーラ
トランジスタとMOSトランジスタを含むBI−CMO
S回路で構成することもできる。
【0028】
【作用】上記した手段によれば、クロック信号の変化に
同期して記憶回路が入力データを取り込んで保持すると
き、この記憶回路に並列接続されたバイパス回路は、こ
れに並行してその入力データに応ずる情報を出力する。
バイパス回路は、記憶動作を伴わず、若しくは内蔵ゲー
トの直列接続段数が記憶回路よりも少なく、又は入力端
子から出力端子までの情報伝達遅延が記憶回路よりも小
さくされているから、記憶回路への入力データの書き込
み動作が完了する以前にバイパス回路は上記入力データ
に対応する情報を高速に出力する。このようにクロック
信号の変化に同期して入力データがフリップフロップの
入力端子へ入力されてから該入力データに応ずるデータ
がフリップフロップの出力端子に出力されるまでのタイ
ミングが早められる。このことは、クロック同期型フリ
ップフロップ回路の動作遅延を少なくすることとなる。
したがってフリップフロップ回路の動作を規定するため
のクロック信号サイクルによって、その性能が決定され
るようなマイクロプロセッサ若しくはマイクロコンピュ
ータなどの半導体集積回路装置において、上記クロック
信号サイクルを高速化できるので上記半導体集積回路装
置の論理動作を高速化することができる。
【0029】そして、斯る半導体集積回路装置をMOS
型半導体集積回路装置で構成するとき、素子の微細化と
これに伴う電源電圧の低電圧化の促進により、スケーリ
ング則に従ってフリップフロップ回路はもとよりLSI
の全体的な動作が更に高速化され、高集積化並びに低消
費電力化を犠牲にすることなく、フリップフロップ回路
の性能の点において一層高速な論理動作を達成する。
【0030】
【実施例】図2には本発明の一実施例に係るマイクロコ
ンピュータ若しくはマイクロプロセッサのチップレイア
ウト図が示される。
【0031】同図において1はシリコンのような1個の
半導体基板である。例えばこの半導体基板1の外縁部に
は多数のボンディングパッド2が配置されると共に、入
力バッファ、出力バッファ、及び入出力バッファの形成
領域3が構成される。上記形成領域3の内側には、命令
をプリフェッチする命令キュー4、命令キュー4から所
定の手順で命令を受け取る命令レジスタ5、命令レジス
タ5が保持する命令をデコードして各種制御信号を生成
する命令デコーダ6などを含む命令制御部が構成され
る。更に算術論理演算器7、乗算器アレイ8、バレルシ
フタ9、演算レジスタ10などの演算手段、そしてこれ
を制御する浮動小数点コントローラ11や乗算器コント
ローラ12が設けられる。そのほかに、レジスタファイ
ル13、データキャッシュメモリ14、アドレスレジス
タ15、アドレス変換バッファ16、クロックジェネレ
ータ17などが設けられている。このマイクロプロセッ
サ1は、命令レジスタ5にフェッチした命令を命令デコ
ーダ6が解読することにより、各種演算器やレジスタな
どを介してデータやアドレスの演算などを行ってその命
令を実行する。
【0032】図3には、図2に示したマイクロプロセッ
サ1の性能を指標する情報伝達経路例えばクリティカル
パスの一例が示されている。同図に示されるクリティカ
ルパスは、特に制限されないが、ジャンプ命令によって
命令アドレスを生成するときのパスである。命令レジス
タ5、演算レジスタ10、及びアドレスレジスタ15は
例えばクロック信号CLKの変化に同期してデータを書
き込み保持する。命令レジスタ5はクロック信号CLK
の変化に同期して命令を入力保持してこれを出力する。
出力された命令は命令デコーダ6で解読されて、セレク
タ20を通して算術論理演算器7に供給され、そこでの
演算結果は演算レジスタ10に向けて伝達される。この
演算結果が正常に後段に伝達されて誤動作を生じないよ
うにするには、演算レジスタ10にクロック信号CLK
の次の変化が与えられる前に、即ちサイクルタイムTc
yc以内に当該演算結果データが演算レジスタ10の入
力に到達していなければならない。同様に演算レジスタ
10から出力されるデータに対してバレルシフタ9で演
算されてセレクタ21を介してアドレスレジスタ15に
伝達される情報に関してもサイクルタイムTcyc以内
に該アドレスレジスタ15の入力に到達していなければ
ならない。前記命令レジスタ5、演算レジスタ10、ア
ドレスレジスタ15などはその構成ビット数に応ずる数
のフリップフロップ回路によって構成され、命令デコー
ダ6や算術論理演算器7などはナンドゲート、ノアゲー
ト、インバータゲートなどによって構成される。図3の
クリティカルパスで代表されるように、情報の伝達経路
に配置されたフリップフロップ回路に対するクロック同
期動作によって、その論理動作タイミングが制御される
ような本実施例のマイクロプロセッサ1において、デー
タ処理の高速化を図るにはサイクルタイムTcycの短
縮が必要であり、そのためにはナンドゲートなどの組み
合わせ回路の動作遅延時間を小さくするのと同時に、フ
リップフロップ回路においてクロック信号CLKが変化
してから正規のデータが出力されるまでの遅延時間を極
力短くすることが必要になる。
【0033】図1には前記各種レジスタを構成するため
のフリップフロップ回路の一例が示される。同図に示さ
れるフリップフロップ回路30はクロック信号CLKの
レベルに従ってデータを入力するレベルセンス型のもの
であり、クロック入力端子31、データ入力端子32、
データ正転出力端子33、データ反転出力端子34、セ
ット端子35、リセット端子36を有し、データの入力
端子と出力端子との間に、記憶回路40、正転出力用の
バイパス回路41、及び反転出力用のバイパス回路42
が並列接続され、それらは共通のクロック信号CLK、
セット信号S*、リセット信号R*によって制御され
る。図中のVccは2ボルトの様な電源電圧とされ、G
NDは0ボルトの様な接地電圧とされる。
【0034】前記正転出力用のバイパス回路41は、イ
ンバータゲートG2と、2個のpチャンネル型のMOS
若しくはMIS型電界効果トランジスタ(以下単にMO
Sトランジスタとも記す)MP1,MP2及び2個のn
チャンネル型のMOSトランジスタMN1,MN2によ
って構成されるクロックドインバータゲートG20と、
相補型MOSトランスファゲート(以下単にトランスフ
ァゲートとも記す)T1によって構成される入力データ
Dの伝達経路を含む。
【0035】前記反転出力用のバイパス回路42は、2
個のpチャンネル型のMOSトランジスタMP4,MP
5及び2個のnチャンネル型のMOSトランジスタMN
4,MN5によって構成されるクロックドインバータゲ
ートG21と、トランスファゲートT2によって構成さ
れる入力データDの伝達経路を含む。
【0036】前記記憶回路40は、トランスファゲート
T3と2個のナンドゲートG8,G9によって構成され
るスタティックラッチを有し、インバータゲートG7、
トランスファゲートT4、ナンドゲートG8,G9、ト
ランスファゲートT3、インバータゲートG10、及び
トランスファゲートT5によってデータの正転出力用伝
達経路を構成し、且つ、インバータゲートG7、トラン
スファゲートT4、ナンドゲートG8,G9、トランス
ファゲートT3、インバータゲートG11、及びトラン
スファゲートT6によってデータの反転出力用伝達経路
を構成する。
【0037】フリップフロップ回路30におけるセット
/リセット機能は記憶回路40及びバイパス回路41,
42の夫々が持ち、記憶回路40においてセット信号S
*を受けるナンドゲートG8がセット機能を司ると共
に、リセット信号R*を受けるナンドゲートG9がリセ
ット機能を司る。正転出力用のバイパス回路41におい
て、前記クロックドインバータゲートG20並びにpチ
ャンネル型MOSトランジスタMP3及びnチャンネル
型MOSトランジスタMN3がセット/リセット機能を
司る。また、反転出力用のバイパス回路42において、
前記クロックドインバータゲートG21並びにpチャン
ネル型MOSトランジスタMP6及びnチャンネル型M
OSトランジスタMN6がセット/リセット機能を司
る。
【0038】前記記憶回路40の正転出力とバイパス回
路41の出力はノードN1によってワイヤード・オア接
続され、何れの出力を選択するかは相補的にスイッチ制
御されるトランスファゲートT1,T5によって選択さ
れる。また、記憶回路40の反転出力とバイパス回路4
2の出力はノードN2によってワイヤード・オア接続さ
れ、何れの出力を選択するかは相補的にスイッチ制御さ
れるトランスファゲートT2,T6によって選択され
る。トランスファゲートT1,T2,T5,T6などを
スイッチ制御するためにクロック信号CLKを伝達する
直列3段のインバータゲートG4,G5,G6が配置さ
れている.
【0039】クロック信号CLKがハイレベルにされる
と、トランスファゲートT1,T2がオン状態にされ
て、バイパス回路41,42の出力が正転出力端子33
と反転出力端子34に導通状態にされ、記憶回路40の
出力は同出力端子33,34とは非導通状態にされる。
したがって、このときデータ入力端子32からデータD
が与えられると、その正転出力Qがバイパス回路41を
通して出力端子33に供給されると共に、バイパス回路
42を通して反転出力Q*が出力端子34に供給され
る。
【0040】クロック信号CLKがハイレベルのとき記
憶回路40は書き込み状態にされ、バイパス回路41,
42による出力動作に並行して入力データDの書き込み
が行われる。即ちナンドゲートG8,G9と共にスタテ
ィックラッチを構成すトランスファゲートT3がオフ状
態にされ、且つ、インバータゲートG7を介して入力デ
ータDを取り込むトランスファゲートT4がオン状態に
されて、書き込み状態にされる。
【0041】この書き込み状態において、セット信号S
*がローレベルにされてセット動作が指示されると、正
転出力用バイパス回路41において、MOSトランジス
タMN2がオフ状態に反転されると共に、MOSトラン
ジスタMP3がオン状態にされ、これによって、入力デ
ータDのレベルに拘らず正転出力Qはハイレベルに固定
される。反転出力用バイパス回路42においては、MO
SトランジスタMN6がオン状態に反転されると共に、
MOSトランジスタMP4がオフ状態にされ、これによ
って、入力データDのレベルに拘らず反転出力Q*はロ
ーレベルに固定される。このとき記憶回路40はローレ
ベルのセット信号S*を受けるナンドゲートG8の作用
により入力データDの論理値に拘らずセット状態にされ
る。このように書き込み動作時にセット動作が指示され
たとき、セット動作はクロック信号CLKによる制御に
優先される。即ち、クロック信号CLKの変化に同期し
て取り込まれるデータDの論理値如何に拘らず正転出力
Q並びに反転出力Q*はセット状態の出力レベルに強制
される。リセット信号R*がローレベルにされてリセッ
ト動作が指示された場合にも同様である。
【0042】クロック信号CLKがローレベルにされる
と、トランスファゲートT1,T2がオフ状態にされる
と共に、トランスファゲートT5,T6がオン状態にさ
れて、バイパス回路41,42の出力は正転出力端子3
3及び反転出力端子34と非導通状態にされ、記憶回路
40の出力がフリップフロップ回路30の出力とされ
る。このとき、記憶回路40のトランスファゲートT4
がオフ状態にされ、且つトランスファゲートT3がオン
状態にされるため、書き込みされたデータはスタティッ
クにラッチされる。したがって、クロック信号CLKの
ハイレベル期間に記憶回路40に書き込まれたデータは
容量性カップリングや微小リーク電流さらにはアルファ
ー線などの影響を受けて不所望にレベル反転することな
く、安定的に出力端子33,34から出力される。さら
にトランスファゲートT5,T6の前段に配置されたイ
ンバータゲートG10,G11の作用により、出力負荷
容量の影響を受けずにデータを出力することができる。
【0043】このとき、セット信号S*がローレベルに
されてセット動作が指示されると、記憶回路40はロー
レベルのセット信号S*を受けるナンドゲートG8の作
用により入力データDの論理値に拘らずセット状態にさ
れ、出力端子33に得られる正転出力Qはハイレベル、
そして出力端子34に得られる反転出力Q*はローレベ
ルに固定される。一旦セット動作が指示されてその状態
が記憶回路40に記憶されると、当該セット信号S*が
ハイレベルにネゲートされてもセット状態は安定的に維
持される。また、リセット信号R*がローレベルにされ
てリセット動作が指示された場合にも同様である。
【0044】尚、クロック信号CLKの入力段に配置さ
れているインバータゲートG4などは、データ書き込み
動作を規定するセットアップ時間及びホールド時間並び
にクロック最小パルス幅がクロック信号CLKの入力波
形の変化の傾きに影響されないようにするための波形整
形を行う。
【0045】このフリップフロップ回路30において、
クロック信号CLKがハイレベルに変化されてからデー
タが出力されるまでに当該データが通過すべきゲート段
数は、夫々のバイパス回路41,42におけるトランス
ファゲートT1,T2の1段だけで最小にされているか
ら、図13や図14に示されるような回路に比べてクロ
ック信号の変化タイミングから正規のデータが出力され
るまでの遅延時間は極めて少なくされている。しかもこ
のフリップフロップ回路30は、従来と同様に記憶回路
40における書き込み動作の安定性並びにデータ出力性
能の安定性が保証されているから、デザイン・オートメ
ーションのような自動配置配線の単位セルもしくは標準
セルとしての使用態様、即ち実際にこのフリップフロッ
プが利用される半導体集積回路装置毎にその入出力端子
に接続される回路の駆動能力や容量性負荷がまちまちで
あることが想定されるような使用態様にも最適である。
【0046】ここで、フリップフロップ回路30を構成
するMOSトランジスタのサイズに関しては、MOSト
ランジスタMP2,MN1,MP5,MN4、トランス
ファゲートT1,T2をそれぞれ構成するMOSトラン
ジスタ、及びインバータゲートG4を構成するMOSト
ランジスタのゲート幅を標準とすると、入力データDを
受けるインバータゲートG2,G7構成用MOSトラン
ジスタのゲート幅は標準の半分程度とされ、これにより
入力容量が小さくなって入力データの過渡応答速度を早
めるようになっている。また、MOSトランジスタMP
3,MN3,MP6,MN6、及びトランスファゲート
T5,T6をそれぞれ構成するMOSトランジスタには
その出力ノードにダイオードの寄生容量が付くため、そ
れらMOSトランジスタのゲート幅は標準の半分程度と
される。また、システムリセットや診断時に利用される
ようなセット/リセット動作には高速性が要求されない
から、MOSトランジスタMP1,MN2,MP4,M
N5のゲート入力容量は大きくなっても差し支えない。
このため、バイパス回路41,42の駆動能力増大のた
めにそれらトランジスタのゲート幅は標準の2〜5倍程
度に設定され、オン抵抗が極めて小さくなるようにされ
ている。
【0047】図4には図1に示されるフリップフロップ
回路の特性が示される。この特性は入力端子にデータを
与えた状態でクロック信号CLKを変化させてからデー
タが出力されるまでの遅延時間Tpd(正転出力Qと反
転出力Q*の平均)の負荷容量CL依存性を示し、特性
曲線(a)は図1のフリップフロップ回路30など、特
性曲線(b)は図13のフリップフロップ回路、特性曲
線(c)は図14のフリップフロップ回路に関するもの
である。
【0048】特性曲線(a)における負荷容量0.3
[PF]時の特性は例えば以下のシミュレーション条件
によって取得された。即ち、このフリップフロップ回路
は、0.2[μm]プロセスを採用した相補型MOS回
路によって構成され、電源電圧は2.0[V]を想定し
ている。MOSトランジスタの標準サイズはゲート長が
0.20[μm]、ゲート幅が15[μm]であり、標
準サイズの相補型MOSインバータゲートの入力容量は
0.05[PF]である。但し、MOSトランジスタM
P1,MP4,MN1,MN4のゲート幅は45[μ
m]、インバータゲートG2,G3,G5〜G11及び
トランスファゲートT3〜T6構成用MOSトランジス
タ並びにMOSトランジスタMP3,MN3,MP6,
MN6のゲート幅は7.5[μm]とされる。尚、負荷
容量0.3[PF]は、特に制限されないが、長さ1
[mm]、幅0.7[μm]のアルミニウム配線の寄生
容量(0.18[PF])と、fan out=2に対
応するゲート入力容量(0.1[PF])などの総和を
想定した標準負荷容量とされる。
【0049】この特性曲線(a)で代表的に示されるよ
うに、本実施例のマイクロプロセッサ1をMOS型半導
体集積回路装置で構成するとき、素子の微細化と、これ
に伴う電源電圧低下の促進により、スケーリング則に従
ってフリップフロップ回路はもとより全体的な回路動作
が更に高速化されて現在のECL回路にも匹敵し得るよ
うになり、しかもECL回路では実現不可能な高集積化
並びに抵消費電力化を達成して、フリップフロップ回路
の性能の点において一層高速な論理動作が可能になる。
【0050】図5にはレーシング防止を考慮したマスタ
・スレーブ型のフリップフロップ回路の一例が示され
る。同図のVccは2ボルトとされ、GNDは0ボルト
とされる。
【0051】同図に示されるフリップフロップ回路50
は、データの入力端子32と出力端子33,34との間
に、直列接続されたマスタ段51、及びスレーブ段52
の2個の記憶回路を備え、前記スレーブ段52に正転出
力用バイパス回路41と反転出力用バイパス回路42を
それぞれを並列接続して成る。マスタ段51はクロック
信号CLKのローレベルによってデータを取り込み、同
クロック信号CLKの立ち上がり変化に同期してスレー
ブ段52がマスタ段51からデータを取り込んで出力す
るようになっている。
【0052】マスタ段51は、インバータゲートG3
0、2個のトランスファゲートT10,T11、2個の
ナンドゲートG31,G32を含み、ゲートG31,G
32,T11によって構成される帰還ループでスタティ
ックラッチを構成する。スレーブ段52は、4個のトラ
ンスファゲートT12〜T15、2個のナンドゲートG
33,G34、3個のインバータゲートG35〜G37
を含んで構成され、ゲートG33,G34,T13によ
って構成される帰還ループでスタティックラッチを構成
する。バイパス回路41,42は図1と同じように構成
される。このようなマスタ・スレーブ型のフリップフロ
ップ回路50においても図1と同様に動作の高速化を図
ることができる。
【0053】図6には、本発明を適用したマスタ・スレ
ーブ型のフリップフロップ回路の他の例が示されてい
る。本実施例は、図5に示した実施例と類似している。
そのため、相違点のみについて、述べる。図6の実施例
においては、マスタ段のデータ出力ではなく、トランス
ファゲートT10からのデータDが、バイパス回路4
1,42にデータDとして供給されている。この実施例
によれば、セットアップ時間を短くすることが可能であ
る。
【0054】図7には、本発明を適用したマスタ・スレ
ーブ型のフリップフロップ回路の他の例が示されてい
る。本実施例も、図5に示した実施例と類似しているの
で、その相違点についてのみ主に説明する。図7の実施
例においては、図5に示したバイパス回路41,42か
らMOSトランジスタMN2,MN3,MN5,MN
6,MP1,MP3,MP4,MP6及びインバータG
1,G3が除かれている。そのため、バイパス回路4
1,42は、セット/リセット機能を有していない。こ
の実施例によれば、素子数を減らすことができる。
【0055】図8には、本発明を適用したマスタ・スレ
ーブ型のフリップフロップ回路の他の例が示されてい
る。本実施例も、図7に示した実施例と類似しているの
で、その相違点についてのみ主に説明する。図8の実施
例においては、更にマスタ段53が設けられており、こ
のマスタ段53からのデータが、バイパス回路41,4
2に供給されている。このマスタ段53は、上記トラン
スファゲートT10と同様な働きをするトランスファゲ
ートT16と、上記トランスファゲートT11と同様な
働きをするトランスファゲートT17とを有しており、
更に次に述べるような構成を有している。すなわち、ス
タテックラッチを形成するための帰還ループが、インバ
ータG39と、トランスファゲートT17と、MOSト
ランジスタMN10,MN11,MOSトランジスタM
P10,MP11からなるクロックドインバータ回路と
によって構成されている。また、データDは、MOSト
ランジスタMN7,MN8,MOSトランジスタMP
7,MP8からなるクロックドインバータ回路を介し
て、上記帰還ループに供給される。上記マスタ段53
は、それがセット/リセット機能を有するように、その
出力ノードには、インバータG40を介してセット信号
S*が供給されるMOSトランジスタMN9と、リセッ
ト信号R*が供給されるMOSトランジスタMP9とが
接続され、上記インバータG40により形成された反転
セット信号Sは、更に上記MOSトランジスタMP8,
MP10に供給され、上記セット信号S*は、更に上記
MOSトランジスタMN8,MN11に供給されてい
る。この実施例においても、上記バイパス回路41,4
2は、前記図5に示した実施例と同様な構成にしても良
い。
【0056】図9には、本発明を適用したマスタ・スレ
ーブ型のフリップフロップ回路の他の例が示されてい
る。本実施例においては、スレーブ段にバイパス回路
(2)が並列接続されると共に、マスタ段にもバイパス
回路(1)が並列接続されている。マスタ段、スレーブ
段には、それぞれ上述した回路が使用できる。同様に、
バイパス回路(1),(2)としては、それぞれ上述し
た回路が使用できる。
【0057】図10にはバイパス回路例えば正転出力用
のバイパス回路の出力段をBI−CMOS化した一例回
路が示される。このバイパス回路60は直列接続された
npn型バイポーラトランジスタBT1,BT2を出力
段に有し、前記セット/リセット用のMOSトランジス
タMP3,MN3をバイポーラトランジスタBT1,B
T2に並列接続してある。クロック信号CLKがローレ
ベルのときはトランスファゲートT1とnチャンネル型
MOSトランジスタMN10がオフ状態にされてバイパ
ス回路60の出力は高インピーダンス状態にされる。ク
ロック信号CLKがハイレベルのときはトランスファゲ
ートT1とMOSトランジスタMN10がオン状態にさ
れることにより、バイポーラトランジスタBT1,BT
2がnチャンネル型MOSトランジスタMN11のスイ
ッチ状態に応じて相補的にスイッチ動作して入力データ
Dを正転出力する。この回路構成は反転出力用のパイパ
ス回路にも適用可能であることはいうまでもない。
【0058】バイパス回路の出力段をBI−CMOS化
することにより、バイパス回路の出力動作を高速化する
ことができる。このようなBI−CMOS技術は図4の
特性曲線(a)で代表されるような超高速のフリップフ
ロップ回路を利用しない場合の代替的な手段若しくはそ
れまでの過渡的な手段として位置づけられると考えられ
る。即ち、バイポーラトランジスタを利用する性質上当
該トランジスタのベース・エミッタ間電圧はスケーリン
グ若しくは素子の微細化に従って低くすることは極めて
むずかしい。したがって、図10の様なトーテンポール
型のバイポーラ出力段を用いた場合、各バイポーラトラ
ンジスタのベースエミッタ間電圧を0.7ボルトとする
と、出力信号のハイレベルは(Vcc−0.7)ボルト
とされ、出力信号のローレベルは(GND+0.7)ボ
ルトとされる。したがってVccが5ボルトの様な値と
され、GNDが0ボルトの様な値とされる場合には、十
分な出力信号の信号振幅が得られる。しかし、Vccが
2.0ボルトの様な値とされ、GNDが0ボルトの様な
値とされる場合には、次段のCMOS回路を駆動するの
に十分な出力信号の振幅が得られない。すなわち、図1
0のバイパス回路は電源電圧Vcc,GNDの値によっ
てその使用が制限される。BI−CMOS化によってバ
イパス回路の出力動作を高速化しようとする技術は、M
OS半導体集積回路装置における素子の微細化並びに高
集積化に従って電源電圧が低下くなるという点に関して
利用できないこともあるという不都合を考慮しなければ
ならない。一方、図1や第5図のフリップフロップの使
用は、電源電圧(Vcc,GND)の値によって制限さ
れない。
【0059】上記実施例によれば以下の作用効果があ
る。
【0060】(1)図1に示されるように記憶回路40
に並列接続されたバイパス回路41,42、並びに図5
乃至図8に示されるように記憶回路としてのスレーブ段
52に並列接続されたバイパス回路41,42におい
て、クロック信号CLKがハイレベルに変化されてから
データが出力されるまでに当該データが通過すべきゲー
ト段数は、夫々のバイパス回路41,42におけるトラ
ンスファゲートT1,T2の1段だけで最小にされてい
るから、図13や図14に示されるような回路に比べて
クロック信号の変化タイミングから正規のデータが出力
されるまでの遅延時間を極めて小さくすることができ
る。
【0061】(2)上記作用効果により、クロック信号
CLKの変化に同期してフリップフロップ回路から正規
のデータが出力されるまでの遅延時間は極力短くなるか
ら、情報の伝達経路に配置されたレジスタ構成用フリッ
プフロップ回路30,50に対するクロック同期動作に
よって、その論理動作タイミングが制御されるような本
実施例のマイクロプロセッサ1において、図3に示され
るようなサイクルタイムTcycを短縮することが可能
になり、これによってデータ処理の高速化を実現するこ
とができる。
【0062】(3)本実施例のマイクロプロセッサ1を
MOS型半導体集積回路装置で構成するとき、素子の微
細化と、これに伴う電源電圧低下の促進により、スケー
リング則に従って、図4の特性曲線(a)で代表的に示
されるような動作特性をフリップフロップ回路30,5
0に得ることができるようになり、当該フリップフロッ
プ回路30,50はもとよりマイクロプロセッサ1の全
体的な回路動作は更に高速化されて、現在のECL回路
にも匹敵し得るようになり、しかもECL回路では実現
不可能な高集積化並びに抵消費電力化を達成することが
できる。
【0063】(4)記憶回路40,52のデータ書き込
み動作時にはバイパス回路41,42の出力を出力端子
33,34に伝達し、記憶回路40,52のデータ保持
状態においては当該記憶回路の出力を前記出力端子3
3,34に伝達するようになっているから、記憶回路4
0,52の書き込み動作前の保持情報とバイパス回路4
1,42の出力情報とは一切競合しない。
【0064】(5)記憶回路40,52は書き込みされ
たデータをスタティックにラッチするから、クロック信
号CLKのハイレベル期間に記憶回路に書き込まれたデ
ータは容量性カップリングや微小リーク電流さらにはア
ルファー線などの影響を受けて不所望にレベル反転する
ことなく安定的に出力端子33,34から出力させるこ
とができる。
【0065】(6)トランスファゲートT5,T6の前
段に配置されたインバータゲートG10,G11又はG
36,G37の作用により、出力負荷容量の影響を受け
ずデータを出力することができる。
【0066】(7)クロック信号CLKの入力段にはイ
ンバータゲートG4などが配置されているから、データ
書き込み動作を規定するセットアップ時間及びホールド
時間並びにクロック最小パルス幅がクロック信号CLK
の入力波形の変化の傾きに影響されないようにすること
ができる。
【0067】(8)上記作用効果(6),(7)により、フ
リップフロップ回路が適用される回路構成の如何に拘ら
ず動作の安定化若しくは動作仕様の統一化を図ることが
できる。従って、フリップフロップ回路の入出力端子に
接続される回路の駆動能力や容量性負荷が実際にこのフ
リップフロップが利用される半導体集積回路装置毎にま
ちまちであるような、自動配置配線の単位セルもしくは
標準セルとしての利用に最適とされる。
【0068】(9)記憶回路と共にバイパス回路41,
42も共通のセット信号S*及びリセット信号R*を利
用したセット/リセット機能を持つことにより、書き込
み動作時においても、セット/リセット機能をクロック
信号CLKによる制御に優先させることができる。即
ち、クロック信号CLKがどのような状態にあってもフ
リップフロップ回路全体においてはセット/リセット動
作が優先される。
【0069】(10)正転出力用のバイパス回路41と
反転出力用のバイパス回路42とを夫々別に設けること
により、正転出力と反転出力とを有するフリップフロッ
プ回路の構成に簡単に対応させることができる。
【0070】(11)スレーブ段52にバイパス回路4
1,42を並列接続すれば、直列接続形態のマスタ段及
びスレーブ段の2個の記憶回路を備えるフリップフロッ
プ回路の構成に簡単に対応させることができる。
【0071】(12)バイパス回路をバイポーラトラン
ジスタとMOSトランジスタを含むBI−CMOS回路
で構成することにより、その駆動能力を簡単に向上させ
ることができる。
【0072】以上本発明者によってなされた発明を実施
例に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定
されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲におい
て種々変更可能であることは言うまでもない。
【0073】例えば、記憶回路における情報記憶形式は
上記実施例に限定されず、図14のような構成などその
ほかの回路形式を適宜採用することができる。また、バ
イパス回路はクロックドインバータゲートとトランスフ
ァゲートの組み合わせに限定されず、その他のゲートを
利用して構成することもできる。また、図5に示された
上記実施例のフリップフロップ回路はセット/リセット
機能付きであるが、本発明はこれに限定されず、双方の
機能又は一方の機能を省略してもよい。例えば図11に
示されるように、バイパス回路をインバータゲートG4
0〜G42とトランスファゲートのようなスイッチゲー
トG43,G44により構成し、記憶回路をインバータ
ゲートG45〜G48並びにトランスファゲートのよう
なスイッチゲートG49,G50及びスタティックラッ
チLATによって構成することができる。また、図12
に示されるように、バイパス回路をインバータゲートG
51とクロックドインバータゲートG52,G53によ
り構成し、記憶回路をインバータゲートG54,G55
並びにクロックドインバータゲートG56,G57及び
スタティックラッチLATによって構成することができ
る。
【0074】また、上記実施例では正転出力と反転出力
の双方を備えているが、何れか一方だけでもよい。ま
た、フリップフロップ回路はレベルセンス型に限定され
ず、エッジセンス若しくはエッジトリガ型であってもよ
い。また、本発明に係る半導体集積回路装置に内蔵され
るフリップフロップ回路の動作特性は図4の特性曲線
(a)並びにそのシミュレーション条件だけに限定され
ず、MOS型半導体集積回路装置におけるスケーリング
則に従ってそれ以上高速化した特性を持つものであって
もよい。
【0075】以上の説明では主として本発明者によって
なされた発明をその背景となった利用分野であるMOS
型半導体集積回路装置で構成されたマイクロプロセッサ
に適用した場合について説明したが、本発明はそれに限
定されるものではなく、種々の論理LSIに広く適用す
ることができる。本発明は、少なくとも情報の伝達経路
に配置されたフリップフロップ回路の動作性能がLSI
全体の論理動作速度に影響を与える条件の半導体集積回
路装置に適用することができる。
【0076】
【発明の効果】本願において開示される発明のうち代表
的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記
の通りである。
【0077】すなわち、記憶回路に並列接続されたバイ
パス回路は、内蔵ゲートの直列接続段数が記憶回路より
も少なく、若しくは入力端子から出力端子までの情報伝
達遅延が記憶回路よりも小さくされていることにより、
クロック信号の変化に同期した記憶回路の書き込み動作
が完了する以前に正規の情報を高速に出力することがで
きる。したがって、フリップフロップ回路の動作を規定
するクロック信号サイクルによって、その性能が決定さ
れるような半導体集積回路装置の論理動作を高速化する
ことができるという効果がある。
【0078】そして、斯る半導体集積回路装置をMOS
型半導体集積回路装置で構成して、素子の微細化とこれ
に伴う電源電圧低下の促進により、スケーリング則に従
ってフリップフロップ回路はもとより全体的な動作を更
に高速化することができ、高集積化並びに抵消費電力化
を犠牲にすることなく、フリップフロップ回路の性能の
点において一層高速な論理動作を達成することができる
という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る半導体集積回路装置に適用
されるレベルセンス型のフリップフロップ回路の一例回
路図である。
【図2】図2は本発明の一実施例に係るマイクロプロセ
ッサのチップにおけるレイアウトを示す図である。
【図3】図3はクリティカルパスの一例を示す説明図で
あ。
【図4】図4は図2のマイクロプロセッサに適用される
フリップフロップ回路の特性説明図である。
【図5】図5は本発明に係る半導体集積回路装置に適用
されるマスタ・スレーブ型フリップフロップ回路の第1
の一例回路図である。
【図6】図6は本発明に係る半導体集積回路装置に適用
されるマスタ・スレーブ型フリップフロップ回路の第2
の一例回路図である。
【図7】図7は本発明に係る半導体集積回路装置に適用
されるマスタ・スレーブ型フリップフロップ回路の第3
の一例回路図である。
【図8】図8は本発明に係る半導体集積回路装置に適用
されるマスタ・スレーブ型フリップフロップ回路の第4
の一例回路図である。
【図9】図9は本発明に係る半導体集積回路装置に適用
されるマスタ・スレーブ型フリップフロップ回路の第5
の一例回路図である。
【図10】図10はBI−CMOS化したバイパス回路
の一例回路図である。
【図11】図11は夫々本発明に係る半導体集積回路装
置に適用される別のフリップフロップ回路の一例回路図
である。
【図12】図12は夫々本発明に係る半導体集積回路装
置に適用される更に別のフリップフロップ回路の一例回
路図である。
【図13】図13は本発明者が検討したフリップフロッ
プ回路の回路図である。
【図14】図14は本発明者が検討したさらに別のフリ
ップフロップ回路の回路図である。
【符号の説明】
1 マイクロプロセッサ 5 命令レジスタ 10 演算レジスタ 15 アドレスレジスタ 30 フリップフロップ回路 31 クロック信号入力端子 32 データ入力端子 33,34 データ出力端子 35 セット端子 36 リセット端子 40 記憶回路 41,42 バイパス回路 T1,T2,T5,T6 トランスファゲート G2,G4,G7,G10,G11 インバータゲート G20,G21 クロックドインバータゲート MP3,MP6 pチャンネル型MOSトランジスタ MN3,MN6 nチャンネル型MOSトランジスタ Q 正転出力 Q* 反転出力 CLK クロック信号 D 入力データ R* リセット信号 S* セット信号 50 フリップフロップ回路 51 マスタ段 52 スレーブ段 T14,T15 トランスファゲート G30 インバータゲート BT1,BT2 バイポーラトランジスタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−79328(JP,A) 特開 昭55−3234(JP,A) 特開 平5−191220(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03K 3/356 G06F 15/78 510 G06F 7/00 G06F 13/42 350 G11C 11/413

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 情報伝達経路に配置されたフリップフロ
    ップ回路に対するクロック同期動作によって論理動作タ
    イミングが決定される半導体集積回路において、前記フ
    リップフロップ回路は、 データの入力端子と、 データの非反転出力端子と、 データの反転出力端子と、クロック信号に同期して 前記入力端子からデータが書き
    込まれ、書き込まれたデータを保持し、保持しているデ
    ータを非反転状態で前記非反転出力端子に出力すると共
    に前記保持しているデータを反転状態で前記反転出力端
    子に出力する記憶手段と、前記クロック信号に同期して データが前記記憶手段に書
    き込まれる書き込み状態において前記データを前記非反
    転出力端子に出力し、前記記憶手段に書き込まれたデー
    タの保持状態において前記非反転出力端子から遮断され
    る非反転バイパス回路と、前記クロック信号に同期してデータが前記記憶手段に書
    き込まれる 書き込み状態において前記データを反転して
    前記反転出力端子に出力し、前記記憶手段に書き込まれ
    たデータの保持状態において前記反転出力端子から遮断
    される反転バイパス回路と、を含み、 前記非反転バイパス回路及び前記反転バイパス回路は、
    前記記憶手段よりも信号の伝播時間が短く設定されて成
    ものであることを特徴とする半導体集積回路。
  2. 【請求項2】 前記記憶手段に対するセット端子とリセ
    ット端子を更に有し、 前記反転バイパス回路は前記書き込み状態において、リ
    セット端子に対するリセット状態の指示に応答して、前
    記反転出力端子を記憶手段のリセット状態における出力
    状態に等しく強制し、セット端子に対するセット状態の
    指示に応答して、前記反転出力端子を記憶手段のセット
    状態における出力状態に等しく強制し、 前記非反転バイパス回路は前記書き込み状態において、
    リセット端子に対するリセット状態の指示に応答して、
    前記非反転出力端子を記憶手段のリセット状態における
    出力状態に等しく強制し、セット端子に対するセット状
    態の指示に応答して、前記非反転出力端子を記憶手段の
    セット状態における出力状態に等しく強制するものであ
    ることを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路。
  3. 【請求項3】 前記記憶手段及びバイパス回路は、前記
    出力端子に結合されるべき負荷を駆動するためのドライ
    バ回路を有するものであることを特徴とする請求項1又
    は2に記載の半導体集積回路。
  4. 【請求項4】 前記フリップフロップ回路によって構成
    されたレジスタを有し、マイクロコンピュータとして1
    チップ化されて成るものであることを特徴とする請求項
    1乃至3の何れか1項に記載の半導体集積回路。
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