JP3509011B2 - Al系スパッタリング用ターゲット材のための作製原料の微細化方法 - Google Patents

Al系スパッタリング用ターゲット材のための作製原料の微細化方法

Info

Publication number
JP3509011B2
JP3509011B2 JP2000382108A JP2000382108A JP3509011B2 JP 3509011 B2 JP3509011 B2 JP 3509011B2 JP 2000382108 A JP2000382108 A JP 2000382108A JP 2000382108 A JP2000382108 A JP 2000382108A JP 3509011 B2 JP3509011 B2 JP 3509011B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
target material
compound
film
present
voids
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2000382108A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001214261A (ja
Inventor
洋 高島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Metals Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Metals Ltd filed Critical Hitachi Metals Ltd
Priority to JP2000382108A priority Critical patent/JP3509011B2/ja
Publication of JP2001214261A publication Critical patent/JP2001214261A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3509011B2 publication Critical patent/JP3509011B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Electrodes Of Semiconductors (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Alを主体とする
Al系スパッタリングターゲット材に関し、特に液晶デ
ィスプレイ(Liquid Crystal Display以下LCDと略
す)の薄膜電極、薄膜配線等に用いられるLCD用Al
系スパッタリングターゲット材の組織微細化に関する方
法である。
【0002】
【従来の技術】ガラス基板上に薄膜デバイスを作製する
LCD、薄膜センサ−等に用いる電気配線膜、電極等に
は従来から主に高融点金属である純Cr膜、純Ta膜、
純Ti膜等の純金属膜またはそれらの合金膜が用いられ
ている。LCDの大型化、高精細化に伴い配線膜、電極
膜には信号の遅延を防止するために低抵抗化、低応力化
とそれら特性の安定化が要求される。たとえば、12イン
チ以上の大型カラーLCDに用いられる電極用では15μ
Ωcm以下にすることが要求される。しかし従来のC
r、Ta系の高融点合金膜では膜の安定性には優れる
が、抵抗値が高く、Crで約30μΩcm、Taで約l80μΩ
cm、Tiで約60μΩcmである。このため、これら金属
より、さらに低抵抗なAl系膜を用いるようになってい
【0003】また、基板サイズの大型化に伴い、金属膜
を形成するためのターゲット材にも大型化が要求されて
いる。たとえば、LCDの高精細化に伴い、高品質の膜
質の金属膜を安定して製造するために、金属膜の形成に
用いられるスパッタ装置は、従来の非常に大きな基板搬
送式のインライン方式の装置から、基板を静止させて成
膜する枚葉式の装置が多く用いられるようになってき
た。この枚葉式のスパッタ装置では基板に対して静止さ
せて膜形成を行うために、基板サイズより大きなタ−ゲ
ット材が要求される。
【0004】従来は必要なターゲット材サイズに対して
2分割や3分割の大きさで製造したタ−ゲット材を貼り合
わせて用いていたが、高精細化のために分割したタ−ゲ
ット材ではその継ぎ目から異物が発生し、不良となるた
め一体物のターゲット材が要求されている。
【0005】現在主流である基板サイズは370×470mmで
あり、この基板に金属膜を形成するための枚葉式スパッ
タ装置用のターゲット材には550×650mm程度のスパッタ
リング面を有する大型のターゲット材を一体で製造する
必要がある。一般的なAl系スパッタリング用ターゲッ
ト材は、Al合金を鋳造してインゴットを製造し、これ
を機械加工してターゲット材とする場合が多い。しか
し、Alを主体とする合金は冷間での塑性加工性に優れ
るため、CrやTa等の高融点の金属のターゲット材を
製造する場合に比較して、一体で大きなターゲット材を
製造しやすいという利点があり、鋳造インゴットに鍛
造、冷間圧延等を施しターゲット材の形状に機械加工を
行う場合もある。たとえば、550×650mmに対応する枚葉
式の0.3m以上のスパッタ平面積を有する大型のターゲ
ット材を製造するためにはインゴットを大きくし、冷間
で高い加工率(80%程度以上)を適用して一体のター
ゲット材を製造できるように塑性加工、機械加工を行っ
て製造していた。
【0006】また、ターゲット材の組成の改良に関する
提案も多くなされている。たとえば、純Al膜では比抵
抗は低いが耐熱性に問題があり、TFT(Thin-Film-Tr
ansistor)製造プロセス上不可避である電極膜形成後の
加熱工程(250〜400℃程度)等において、ヒロックとい
われる微小な突起が表面に生じるという問題点がある。
このヒロックはストレスマイグレ−ション、サ−マルマ
イグレ−ション等により発生すると考えられ、このヒロ
ックが発生するとAl配線膜上に絶縁膜や保護膜等を形
成し、さらに配線膜、電極膜等を形成しようとした場合
に電気的短絡(ショ−ト)や、このヒロックを通してエ
ッチング液等が侵入しAl配線膜が腐食してしまうとい
う問題点がある。
【0007】このため、純Alではなく、これらの問題
を解決する目的で高融点の金属を添加する。たとえば、
特開平4-323872号ではMn、Zr、Crを0.05〜1.0at%
添加することが有効であることが述べられている。ま
た、特公平4-48854号では、Bを0.002〜0.5wt%、H
f、Nb、Ta、Mo、Wを0.002〜0.7wt%添加する
方法や、さらにSiを0.5〜1.5wt%加える方法が開示
されている。また、特開平5-65631号ではTi、Zr、
Taを0.2〜10at%添加することがヒロックの発生の抑制
に効果があることが述べられている。さらに特開平6-29
9354号や特開平7-45555号で述べられているようにFe、C
o、Ni、Ru、Rh、Irを0.1〜10at%、また希土類元素を0.0
5〜15at%添加する方法や、特開平5-335271号のようにAl
-Si合金にCu、Ti、Pd、Zr、Hf、Y、Scを0.01〜3wt%
添加する方法が知られている。このような添加元素は、
Alと化合物を形成しAlのマトリックス中に分散する
が、形成した化合物は、Alと比重が異なるため、偏析
を生じやすい。そのため特開平5-335271号、特開平6-33
6673号に記載されるように、偏析を防止する鋳造技術の
提案もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、これ
までのAl系スパッタリング用タ−ゲット材について
は、ヒロックを防止するために添加元素を加えたもの
や、その偏析を防止する鋳造方法に重点が置かれてい
た。従来の改良法により、溶解鋳造法によってターゲッ
ト材を得る方法では、たとえばできるだけ急冷すること
によりインゴット組織におけるAlと添加元素とのマク
ロ的な偏析は防止できる。しかし、鋳造法の場合、組織
中に薄片状等の化合物の凝集部分が生じてミクロ的な偏
析はどうしても残留するため、LCD配線等の微小な薄
膜にとっては、なお偏析の問題が存在している。
【0009】ターゲット材のマクロ的な偏析を防止する
方法として、粉末を混合して焼結する方法が考えられ
る。しかし、我々の検討によれば、純Al粉末を原料と
する場合、Al粉末原料の大きさが大きいと偏析域が大
きくなる。偏析域を小さくするためには、微細な原料粉
末を使用することが考えられる。しかし、微細なAl粉
末および添加元素粉末は、酸化や発火の対策という取り
扱い上の問題と、混合時の粉末の凝集といった製造上の
問題から、満足できる均一組織のターゲット材が得られ
ていない。また、溶製法を開示する特開平6-299354号が
指摘するようにAl粉末と合金化元素粉末を混合した焼
結ターゲット材では、各元素のスパッタ効率の違いから
Al膜中の合金元素濃度が経時的に変動するという問題
がある。
【0010】また、Al系ターゲット材においてはイン
ゴットを大きくし、冷間で高い加工率で塑性加工を行っ
たタ−ゲット材を用いてスパッタするとターゲット材か
らスプラッシュと呼ばれる異常飛沫が発生する問題があ
る。スプラッシュとは、タ−ゲット材から発生する異常
飛沫のことであり、通常のスパッタ粒子に比較して大き
く、このスプラッシュが基板上に付着すると配線間のシ
ョ−ト、断線等を引き起こす可能性が高くなり、製造し
た液晶ディスプレイの歩留まりを大きく低下させてしま
う問題がある。
【0011】このAlターゲット材からのスプラッシュ
の発生は、配線の形成に使用する場合において、不良に
直結するため重大な問題である。特に、大型のLCDを
得るために必要な0.3m2以上のスパッタ平面積を有する
大型のタ−ゲット材を適用する場合において、高価な大
型液晶ディスプレイの不良要因としてその対策が急がれ
ている。
【0012】本発明者らは、スプラッシュの発生原因を
鋭意検討した。その結果スプラッシュの原因がターゲッ
ト材中にある微小な空隙にあることを見いだした。さら
に検討した結果、この微小な空隙の発生原因の一つは、
溶解鋳造法で大型のインゴットを製造する場合、Alの
熱収縮が大きいため発生する引け巣にあることが判明し
た。また、もう一つの原因は、Alの溶湯は水素を溶存
するが、冷えて固まる際には水素を放出するため、この
水素により微細な空隙が発生しやすいということであ
る。特に偏析を防止するために、できるだけ急冷して凝
固すると空隙がインゴット中に包括されやすくなる。
【0013】また、Al以外の添加元素によって生成す
るAl化合物が、ターゲット材への加工中に割れて、空
隙の原因となる場合がある。本発明者がターゲット材組
織における微小な空隙の発生を抑えるべく検討したとこ
ろ、溶解鋳造法を適用する限りは、引け巣や溶存水素に
よる空隙の発生を抑えることは困難であった。そのた
め、本発明者は粉末焼結法を適用することを試みた。粉
末焼結法を適用すると、上述した引け巣や溶存水素によ
る空隙の発生を抑制することができる。しかし、単純に
上述したようなヒロックを防止する元素の粉末をAl粉
末と混合して焼結すると、Alとの反応により粗大な化
合物を形成する場合があり、この化合物も、溶解鋳造法
によって生成される化合物と同様に加工中に割れやす
く、スプラッシュの原因となる空隙を形成してしまうこ
とがわかった。
【0014】本発明の目的は、組織偏析と粗大な化合物
の形成を防止できるAl系ターゲット材の組織微細化方
法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者は、Alと薄片
状の化合物を形成しやすい3A族元素を含む場合であっ
ても、ガスアトマイズ法の如き急冷処理することによ
り、均一に化合物が分散した微細組織を得ることができ
ることを見いだし、本発明に到達した。
【0016】すなわち、本発明は、遷移元素から選択さ
れる元素のいずれか1種または2種以上を10原子%以
下含み、前記遷移元素として3A族元素を必須として含
有し、残部実質的にAlからなる合金溶湯を急冷処理す
ることにより、均一で組織が微細化したAl系スパッタ
リング用ターゲット材のための原料とするAl系スパッ
タリング用ターゲット材のための作製原料の微細化方法
である。また、本発明では、前記急冷処理にガスアトマ
イズ法を適用することが好ましい。
【0017】本発明者が3A族元素を添加したAl合金
溶製組織を検討したところ、3A族元素はAlと薄片状
の化合物を形成しやすく、ターゲット材を製造する工程
で化合物が割れてスプラッシュの原因となる空隙を生じ
やすいことが判明した。
【0018】そして、3A族元素を必須で含むAl合金
ターゲットの製造に、従来用いられていなかった急冷処
理を適用することで、3A族元素を含む場合でも組織を
微細化できることを見出したのである。本発明で得られ
る組織は、具体的には、長径0.5μm以上のAlとの
化合物を含まないAl域(以下Al偏在域と言う)を低
減したものとなる。さらに、分散する化合物を外接円径
で5μm以下と微細にすることも可能である。
【0019】なお、本発明において遷移元素とは、S
c,Y,ランタノイドでなる希土類元素と称される3A
族、Ti,Zr,Hfの4A族、V,Nb,Taの5A
族、Cr,Mo,Wの6A族、Mn,Tc,Reの7A
族、Fe,Co,Ni,Ru,Rh,Pd,Os,I
r,Ptの8族、Cu,Ag,Auの1B族である。こ
れらの遷移元素は、スパッタリングにより薄膜を形成
後、典型的には加熱温度150℃〜400℃の熱処理を
施すことによって金属間化合物として組織に析出する。
析出した化合物は、熱や電位差によりAlの結晶粒の成
長、あるいは流動を抑えるピンニングポイントとなり、
薄膜にヒロックが発生するのを防止するものである。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明において、最大の特徴は、
ターゲット材組織を、Alとの化合物を微細に分散形成
させる方法を見出したことである。この微細な組織は、
溶湯急冷法としては、たとえばガスアトマイズ法等のア
トマイズ法を用いることによりできるものである。この
溶湯急冷法の適用は、従来の溶解鋳造法によるAlの偏
析を防止するだけでなく、微細に分散する化合物によっ
て、まず生成薄膜の濃度分布の従来にない均一化を達成
するためである。
【0021】そして、本発明で重要とする噴霧急冷法を
適用すれば、上述した化合物の外接円径を実質的に5μ
m以下とすることができる。また、ターゲット材の断面
組織における0.5μm以上の化合物の長径/短径で規
定するアスペクト比を10以下、好ましくは5未満とす
ることもできる。さらに、長径0.5μm以上の前記化
合物を含まないAl偏在域が、前記化合物に対する内接
円径で10μm以下とすることも可能である。
【0022】Al系ターゲット材にこのようなヒロック
を防止する元素を導入する方法としては焼結法の適用が
望ましい。添加元素を粉末にしてそのまま導入すると、
焼結過程でAlと反応し典型的には、バラの花状の如き
粗大な薄片状の化合物あるいは樹状の粗大な化合物を形
成する場合が多い。粗大な化合物が存在すると、圧延な
どの加重により組織内で容易に割れが発生する。この割
れた部分に空隙が発生し、スパッタリング時にスプラッ
シュを発生するのである。
【0023】本発明者の検討によれば、スプラッシュの
原因となる空隙の発生は、組織中の化合物の形態に依存
し、できるだけ微細で、好ましくはアスペクト比の1に
近い球状とすることにより、発生を防止できることを見
いだした。上述したように、本発明はターゲット材の断
面組織における0.5μm以上の化合物の長径/短径で
規定するアスペクト比を5未満とすることが可能であ
り、圧延等を適用してもスプラッシュの原因の空隙を生
成しにくいため好ましいのである。
【0024】さらに検討した結果、噴霧急冷法により例
えば粉末を作製した場合、該粉末のうち、凝固速度が速
い小径、典型的には200μm以下の直径の粒子は、化
合物が薄板状に成長せずに微細に凝固できており、これ
を焼結すれば、圧延などの加工によってもスプラッシュ
の原因となる空隙の発生を一段と防止できるターゲット
材が得られる。また、本発明において、化合物の外接円
径を5μm以下が好ましいとしたのは、これ以下の微粒
子を分散することにより、トータルの加工率が50%以
上であっても、化合物の割れに起因する空隙は発生せ
ず、スプラッシュの増加もないことを確認したためであ
る。
【0025】本発明の噴霧急冷法で例えば粉末を作製し
た場合には、該粉末は、400℃以上600℃以下で焼
結することが望ましい。400℃未満では、焼結が進行
しにくく、600℃を越えるとAlが溶解する危険があ
るためである。加圧焼結は、空隙のない緻密な焼結体と
するために、好ましくは50MPa以上の圧力で行うも
のとする。この焼結時に空隙が残留することは、ターゲ
ット材にスプラッシュが発生する原因となるため、でき
るだけさけなければならない。
【0026】50%以上の加工率で圧延をする場合、加
工温度を高めることにより、加工時の割れを低減するこ
とが可能である。実質的にはAlの再結晶温度以上の4
00℃以上とし、また圧延等の加工による局所的な温度
上昇により、Alの融点を越えない550℃以下とする
ことが望ましい。
【0027】
【実施例】(実施例1)表1に示すAl合金系のインゴ
ットを溶解鋳造し、このインゴットを窒素ガス雰囲気中
ガスアトマイズ法により急冷凝固粉末とした後、体積平
均径60μmとなるよう分級した。この粉末を内径133mm
高さ15mmの鉄製の缶に充填し、10−3Pa以下の圧力
に排気を行いながら加熱して脱ガス処理を行った。次に
圧力100MPa、温度550℃の条件下でHIP(熱間静水圧
プレス)により加圧焼結した後機械加工を施すことによ
り直径100mm厚さ4mmのターゲット材に加工し、表1に示
すターゲット材を得た。
【0028】比較例として、体積平均径60μmの純A
l粉と体積平均径35μmの添加元素金属粉をロッキン
グミキサーで混合し、この粉末を内径133mm高さ15mmの
鉄製の缶に充填し、本発明の試料と同様に脱ガス処理を
行った。次に本発明例と同様にHIPにより加圧焼結し
た後機械加工を施すことにより直径100mm厚さ4mmのター
ゲット材に加工し、表1に示す単体焼結ターゲット材
(試料No.11、試料No.12)を得た。また、別
の比較例として、合金組成を調整した溶湯を直径150mm
高さ100mmの円柱形状の鋳型に鋳造し、機械加工を施し
て直径100mm厚さ4mmのターゲット材に加工し、表1に示
す溶製ターゲット材(試料No.13、試料No.1
4、試料No.15)を得た。
【0029】本発明および比較例により得られたターゲ
ット材組織を400倍の光学顕微鏡で組織観察を行い、
組織中に存在する化合物の最大長径(化合物の外接円径
にほぼ相当)、最大アスペクト比=最大の(長径/短
径)値、およびAl域の最大内接円径を測定した。結果
を表1に示す。また、本発明および比較例により得られ
る典型的な組織として、Al-2原子%Ndの組成の試料にお
いて、本発明による試料No.3の組織写真を図1に、
比較例による単体焼結ターゲット材の試料No.12の
組織写真を図2に、別の比較例による溶製ターゲット材
試料No.14の組織写真を図3にそれぞれ示す。図1
〜図3は、それぞれ400倍の光学顕微鏡写真である。
また本発明および比較例により得られたターゲット材の
表面を鏡面研磨し、染色浸透探傷法により1μm以上の
空隙を検出しその数を表1に付記した。
【0030】
【表1】
【0031】表1および図1〜図3より明白なように、
本発明により得られた試料No.1〜No.7は、微細
な化合物が組織中に分散する組織となっている。一方、
比較例により得られた単体焼結ターゲット材は、粗大な
化合物が存在する組織となっている。また別の比較例に
より得られた溶製ターゲット材においては、単体焼結タ
ーゲット材に比べて化合物は微細になっているが、化合
物のアスペクト比が増加し、扁平な化合物となっている
こと、および化合物が存在しない広いAl域が存在する
ことがわかる。なお、染色浸透探傷法による空隙は、溶
製法のターゲット材がやや多くなる傾向が見られる。
【0032】得られたターゲット材を用いてDCマグネ
トロンスパッタリング法により、Ar圧力0.3Pa、
投入電力0.5kWの条件下で4インチのSiウェーハ
ー上に膜厚200nmのAl合金膜を形成し、全てのターゲ
ット材について投入電力0.5kWで約1時間使用後、
約20時間使用後のそれぞれについて成膜した膜の組成
変化を調べた。また上記成膜条件にてターゲット材1枚
につき10枚の膜を成膜し、膜表面上に認められた5μ
m以上の異物をスプラッシュと見なし、基板1枚当たり
の平均数を算出した。結果を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】表2に示すように、本発明により得られた
ターゲット材試料No.1ないしNo.7は、スパッタ
リング期間においてほとんど遷移金属の濃度は変化しな
い。これに対して、比較例により得られた単体焼結ター
ゲット材試料No.11およびNo.12は、形成した
薄膜中の遷移金属濃度が上昇する傾向があり、好ましく
ないことが認められる。また、別の比較例により得られ
た溶製ターゲット材では、形成した薄膜中の遷移金属の
濃度変動は、単体焼結ターゲット材に比べて小さいが、
本発明により得られたターゲット材よりも大きいものと
なっている。また、溶製ターゲット材では、欠陥数が多
いことに対応して、スプラッシュの発生が多くなり、好
ましくないことがわかる。
【0035】(実施例2)表3に示すAl合金系のイン
ゴットを溶解鋳造し、このインゴットを窒素ガス雰囲気
中ガスアトマイズ法により急冷凝固粉末とした後、体積
平均径60μmとなるよう分級した。この粉末を330mm×
530mm×50mmの鉄製の缶に充填し、10マイナス3乗P
a以下の圧力に排気を行いながら加熱を行い脱ガス処理
を行った。次に圧力100MPa、温度550℃の条件下でHI
P(熱間静水圧プレス)により加圧焼結した後、圧延、
機械加工を施すことにより550mm×690mm×6mmのターゲ
ット材に加工し、ターゲット材を得た。
【0036】比較例として、体積平均径60μmの純A
l粉と体積平均径35μmの添加元素金属粉をロッキン
グミキサーで混合し、この粉末を330mm×530mm×50mmの
鉄製の缶に充填し、本発明の試料と同様に脱ガス処理を
行った。次に本発明例と同様にHIPにより加圧焼結し
た後、圧延、機械加工を施して550mm×690mm×6mmのタ
ーゲット材に加工し、表3に示す単体焼結ターゲット材
(試料No.31、試料No.32)を得た。また、別
の比較例として、合金組成を調整した溶湯を330mm×530
mm×50mmの鉄製平板形状の鋳型に鋳造し、これを圧延
し、ついで機械加工を施し550mm×690mm×6mmのターゲ
ット材に加工し、表3に示す溶製ターゲット材(試料N
o.33、試料No.34、試料No.35)を得た。
【0037】実施例1と同様に、本発明および比較例に
より得られたターゲット材組織を観察し、組織中に存在
する化合物の最大長径(化合物の外接円径にほぼ相当)、
最大アスペクト比=最大の(長径/短径)値、およびA
l域の最大内接円径を測定した。また、本発明および比
較例によって得られた典型的な組織として、Al-2原子%
Ndの組成の試料において、本発明により得られたターゲ
ット材試料No.23の組織写真を図4に、比較例によ
り得られた単体焼結ターゲット材の試料No.32の組
織写真を図5に、別の比較例により得られた溶製ターゲ
ット材試料No.34の組織写真を図6にそれぞれ示
す。図4〜図6は、それぞれ400倍の光学顕微鏡写真
である。また本発明および比較例により得られたターゲ
ット材の表面を鏡面研磨し、染色浸透探傷法により1μ
m以上の空隙を検出しその数を表3に付記した。
【0038】
【表3】
【0039】表3および図4〜図6より明白なように、
本発明により得られたターゲット材試料No.21〜N
o.27は、微細な化合物が組織中に分散する組織とな
っている。一方、比較例により得られた単体焼結ターゲ
ット材は、粗大な化合物が存在する組織となっている。
また、この単体焼結ターゲット材は、図5の写真の黒色
分に対応する大きな空隙が形成されている。これは、圧
延によって化合物にクラックが入り、空隙を生じたもの
である。また別の比較例により得られた溶製ターゲット
材においては、単体焼結ターゲット材に比べて化合物は
微細になっているが、化合物が存在しない広いAl域が
残存している。また、実施例1と比較すると欠陥数がや
や増加している。これはアスペクト比の大きい化合物が
割れて、空隙を生じたものと推測された。
【0040】得られたターゲット材を用いてDCマグネ
トロンスパッタリング法により、Ar圧力0.3Pa、
投入電力11kWの条件下で370mm×470mm×1.1mmのガ
ラス基板上に膜厚200nmのAl合金膜を形成した。全て
のターゲット材について投入電力0.5kWで約1時間
使用後、約20時間使用後のそれぞれについて成膜した
膜の組成変化を調べた。また、上記成膜条件にてターゲ
ット材1枚につき10枚の膜を成膜し、膜表面上に認め
られた5μm以上の異物をスプラッシュと見なし、基板
1枚当たりの平均数を算出した。結果を表4に示す。
【0041】
【表4】
【0042】表4に示すように、本発明により得られた
ターゲット材試料No.21ないしNo.27は、スパ
ッタリング期間においてほとんど遷移金属の濃度は変化
しない。これに対して、比較例により得られた単体焼結
ターゲット材試料No.31およびNo.32は、形成
した薄膜中の遷移金属濃度が大幅に上昇する傾向があ
り、好ましくないことが認められる。さらに、表3に示
すように、圧延の適用によりターゲット材中に多数の空
隙が発生し、これに伴ってスプラッシュ数が著しく増加
し、好ましくないことがわかる。また、別の比較例によ
り得られた溶製ターゲット材では、形成した薄膜中の遷
移金属の濃度の変動は、実施例1と同様に、単体焼結タ
ーゲット材に比べて小さいが本発明により得られたター
ゲット材よりも大きいものとなっている。また、溶製タ
ーゲット材では、単体焼結ターゲット材ほどではない
が、本発明により得られたターゲット材に比べて欠陥数
が多く、これに伴ってスプラッシュの発生が多くなって
いることがわかる。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、スブラッシュの発生が
大きな問題であった0.3m2以上スパッタ平面積を有する
LCD用Al系ターゲット材に対して、膜組成の変動を
なくすとともに、欠陥を少なくでき、結果としてスプラ
ッシュを抑制することが可能となった。したがって、本
発明は今後さらに大型化が求められるLCDに対応する
ターゲット材として、LCDの品質向上を達成する上で
極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用して作製したターゲット材の金属
ミクロ組織を示す写真である。
【図2】比較例の単体焼結ターゲット材の金属ミクロ組
織を示す写真である。
【図3】比較例の溶製ターゲット材の金属ミクロ組織を
示す写真である。
【図4】本発明を適用した後、圧延処理したターゲット
材の金属ミクロ組織を示す写真である。
【図5】比較例の圧延処理した単体焼結ターゲット材の
金属ミクロ組織を示す写真である。
【図6】比較例の圧延処理した溶製ターゲット材の金属
ミクロ組織を示す写真である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遷移元素から選択される元素のいずれか
    1種または2種以上を10原子%以下含み、前記遷移元
    素として3A族元素を必須として含有し、残部実質的に
    Alからなる合金溶湯を急冷処理することにより、均一
    で組織が微細化したAl系スパッタリング用ターゲット
    材のための原料とすることを特徴とするAl系スパッタ
    リング用ターゲット材のための作製原料の微細化方法。
  2. 【請求項2】 前記急冷処理はガスアトマイズ法である
    ことを特徴とする請求項1に記載のAl系スパッタリン
    グ用ターゲット材のための作製原料の微細化方法。
JP2000382108A 1996-11-14 2000-12-15 Al系スパッタリング用ターゲット材のための作製原料の微細化方法 Expired - Fee Related JP3509011B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000382108A JP3509011B2 (ja) 1996-11-14 2000-12-15 Al系スパッタリング用ターゲット材のための作製原料の微細化方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8-318782 1996-11-14
JP31878296 1996-11-14
JP2000382108A JP3509011B2 (ja) 1996-11-14 2000-12-15 Al系スパッタリング用ターゲット材のための作製原料の微細化方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11439197A Division JP3212024B2 (ja) 1996-11-14 1997-04-16 Al系スパッタリング用タ−ゲット材およびその製造方法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002305735A Division JP2003183818A (ja) 1996-11-14 2002-10-21 Al系スパッタリング用タ−ゲット材の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001214261A JP2001214261A (ja) 2001-08-07
JP3509011B2 true JP3509011B2 (ja) 2004-03-22

Family

ID=26569507

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000382108A Expired - Fee Related JP3509011B2 (ja) 1996-11-14 2000-12-15 Al系スパッタリング用ターゲット材のための作製原料の微細化方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3509011B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4579709B2 (ja) 2005-02-15 2010-11-10 株式会社神戸製鋼所 Al−Ni−希土類元素合金スパッタリングターゲット
CN102041479B (zh) * 2009-10-23 2013-08-28 株式会社神户制钢所 Al基合金溅射靶
KR102329426B1 (ko) 2020-01-03 2021-11-24 와이엠씨 주식회사 배선전극용 합금 조성물 및 그의 제조방법
KR102329427B1 (ko) 2020-01-03 2021-11-24 와이엠씨 주식회사 배선전극용 합금 조성물 및 그의 제조방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001214261A (ja) 2001-08-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20020014406A1 (en) Aluminum target material for sputtering and method for producing same
JP5432550B2 (ja) Al基合金スパッタリングターゲットおよびその製造方法
JP4197579B2 (ja) スパッタリングターゲットとそれを用いたAl配線膜の製造方法および電子部品の製造方法
JP4432015B2 (ja) 薄膜配線形成用スパッタリングターゲット
JP3212024B2 (ja) Al系スパッタリング用タ−ゲット材およびその製造方法
WO2004001093A1 (ja) 銀合金スパッタリングターゲットとその製造方法
JP3825191B2 (ja) アルミニウム合金スパッタリングターゲット材料
CN110621805A (zh) 铝合金以及具有高均匀性和高元素含量的制品
US6264813B1 (en) Cathodic sputtering targets made of aluminum alloy
JP2006118044A (ja) スパッタリングターゲットの製造方法
JP4415303B2 (ja) 薄膜形成用スパッタリングターゲット
JPH11293454A (ja) Al系スパッタリング用ターゲット材及びその製造方法
JP2001504898A5 (ja)
JP2004043868A (ja) 薄膜形成用スパッタリングターゲット材及びその製造方法
US8097100B2 (en) Ternary aluminum alloy films and targets for manufacturing flat panel displays
Harada et al. Mechanical properties of cold-rolled and annealed Al–12% Mg alloy sheet with high Mg solid solubility fabricated from vertical-type high-speed twin-roll cast strip
JPH1060636A (ja) Al系スパッタリング用ターゲットおよびその製造方法
JP2007063621A (ja) スパッタリングターゲット材、スパッタリングターゲット材用アルミニウム材の製造方法及びスパッタリングターゲット材用アルミニウム材
JP3509011B2 (ja) Al系スパッタリング用ターゲット材のための作製原料の微細化方法
JP3606451B2 (ja) Al系電極膜の製造方法
JP3081602B2 (ja) スパッタリングターゲット材料及びその製造方法
JP3358934B2 (ja) 高融点金属含有Al基合金鋳塊のスプレーフォーミング法による製造方法
JPH10147860A (ja) Al系スパッタリング用タ−ゲット材およびその製造方法
JP2003183818A (ja) Al系スパッタリング用タ−ゲット材の製造方法
WO2006041989A2 (en) Sputtering target and method of its fabrication

Legal Events

Date Code Title Description
A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20031218

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090109

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100109

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees