JP2003183818A - Al系スパッタリング用タ−ゲット材の製造方法 - Google Patents

Al系スパッタリング用タ−ゲット材の製造方法

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JP2003183818A
JP2003183818A JP2002305735A JP2002305735A JP2003183818A JP 2003183818 A JP2003183818 A JP 2003183818A JP 2002305735 A JP2002305735 A JP 2002305735A JP 2002305735 A JP2002305735 A JP 2002305735A JP 2003183818 A JP2003183818 A JP 2003183818A
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Hiroshi Takashima
洋 高島
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 組織偏析と粗大な化合物の形成を防止できる
Al系ターゲット材の製造方法を提供する。 【解決手段】 遷移元素から選択される元素のいずれか
1種または2種以上を10原子%以下含み、前記遷移元
素として3A族元素を必須として0.2原子%以上含有
し、残部実質的にAlからなる合金溶湯を急冷処理する
ことにより急冷凝固体をつくる工程と、該急冷凝固体を
熱間静水圧プレスにより加圧焼結する工程と、前記加圧
焼結体を圧延する工程を有するAl系スパッタリング用
ターゲット材の製造方法を適用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Alを主体とする
Al系スパッタリングターゲット材に関し、特に液晶デ
ィスプレイ(Liquid Crystal Display以下LCDと略
す)の薄膜電極、薄膜配線等に用いられるLCD用Al
系スパッタリングターゲット材の製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】ガラス基板上に薄膜デバイスを作製する
LCD、薄膜センサ−等に用いる電気配線膜、電極等に
は従来から主に高融点金属である純Cr膜、純Ta膜、
純Ti膜等の純金属膜またはそれらの合金膜が用いられ
ている。LCDの大型化、高精細化に伴い配線膜、電極
膜には信号の遅延を防止するために低抵抗化、低応力化
とそれら特性の安定化が要求される。たとえば、12イン
チ以上の大型カラーLCDに用いられる電極用では15μ
Ωcm以下にすることが要求される。しかし従来のC
r、Ta系の高融点合金膜では膜の安定性には優れる
が、抵抗値が高く、Crで約30μΩcm、Taで約l80μΩ
cm、Tiで約60μΩcmである。このため、これら金属
より、さらに低抵抗なAl系膜を用いるようになってい
【0003】また、基板サイズの大型化に伴い、金属膜
を形成するためのターゲット材にも大型化が要求されて
いる。たとえば、LCDの高精細化に伴い、高品質の膜
質の金属膜を安定して製造するために、金属膜の形成に
用いられるスパッタ装置は、従来の非常に大きな基板搬
送式のインライン方式の装置から、基板を静止させて成
膜する枚葉式の装置が多く用いられるようになってき
た。この枚葉式のスパッタ装置では基板に対して静止さ
せて膜形成を行うために、基板サイズより大きなタ−ゲ
ット材が要求される。
【0004】従来は必要なターゲット材サイズに対して
2分割や3分割の大きさで製造したタ−ゲット材を貼り合
わせて用いていたが、高精細化のために分割したタ−ゲ
ット材ではその継ぎ目から異物が発生し、不良となるた
め一体物のターゲット材が要求されている。
【0005】現在主流である基板サイズは370×470mmで
あり、この基板に金属膜を形成するための枚葉式スパッ
タ装置用のターゲット材には550×650mm程度のスパッタ
リング面を有する大型のターゲット材を一体で製造する
必要がある。一般的なAl系スパッタリング用ターゲッ
ト材は、Al合金を鋳造してインゴットを製造し、これ
を機械加工してターゲット材とする場合が多い。しか
し、Alを主体とする合金は冷間での塑性加工性に優れ
るため、CrやTa等の高融点の金属のターゲット材を
製造する場合に比較して、一体で大きなターゲット材を
製造しやすいという利点があり、鋳造インゴットに鍛
造、冷間圧延等を施しターゲット材の形状に機械加工を
行う場合もある。たとえば、550×650mmに対応する枚葉
式の0.3m以上のスパッタ平面積を有する大型のターゲ
ット材を製造するためにはインゴットを大きくし、冷間
で高い加工率(80%程度以上)を適用して一体のター
ゲット材を製造できるように塑性加工、機械加工を行っ
て製造していた。
【0006】また、ターゲット材の組成の改良に関する
提案も多くなされている。たとえば、純Al膜では比抵
抗は低いが耐熱性に問題があり、TFT(Thin-Film-Tr
ansistor)製造プロセス上不可避である電極膜形成後の
加熱工程(250〜400℃程度)等において、ヒロックとい
われる微小な突起が表面に生じるという問題点がある。
このヒロックはストレスマイグレ−ション、サ−マルマ
イグレ−ション等により発生すると考えられ、このヒロ
ックが発生するとAl配線膜上に絶縁膜や保護膜等を形
成し、さらに配線膜、電極膜等を形成しようとした場合
に電気的短絡(ショ−ト)や、このヒロックを通してエ
ッチング液等が侵入しAl配線膜が腐食してしまうとい
う問題点がある。
【0007】このため、純Alではなく、これらの問題
を解決する目的で高融点の金属を添加する。たとえば、
Mn、Zr、Crを0.05〜1.0at%添加することが有効で
あることが述べられているものがある(例えば、特許文
献1参照)。また、Bを0.002〜0.5wt%、Hf、N
b、Ta、Mo、Wを0.002〜0.7wt%添加する方法
や、さらにSiを0.5〜1.5wt%加える方法が開示され
ているものがある(例えば、特許文献2参照)。また、
Ti、Zr、Taを0.2〜10at%添加することがヒロック
の発生の抑制に効果があることが述べられているものが
あり(例えば、特許文献3参照)、さらにFe、Co、Ni、
Ru、Rh、Irを0.1〜10at%、また希土類元素を0.05〜15at
%添加する方法(例えば、特許文献4、特許文献5参
照)や、Al-Si合金にCu、Ti、Pd、Zr、Hf、Y、Scを0.01
〜3wt%添加する方法が知られている(例えば、特許
文献6参照)。このような添加元素は、Alと化合物を
形成しAlのマトリックス中に分散するが、形成した化
合物は、Alと比重が異なるため、偏析を生じやすい。
そのため、偏析を防止する鋳造技術の提案もある(例え
ば、特許文献6、特許文献7参照)。
【0008】
【特許文献1】特開平4−323872号公報
【特許文献2】特公平4−48854号公報
【特許文献3】特開平5−65631号公報
【特許文献4】特開平6−299354号公報
【特許文献5】特開平7−45555号公報
【特許文献6】特開平5−335271号公報
【特許文献7】特開平6−336673号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、これ
までのAl系スパッタリング用タ−ゲット材について
は、ヒロックを防止するために添加元素を加えたもの
や、その偏析を防止する鋳造方法に重点が置かれてい
た。従来の改良法により、溶解鋳造法によってターゲッ
ト材を得る方法では、たとえばできるだけ急冷すること
によりインゴット組織におけるAlと添加元素とのマク
ロ的な偏析は防止できる。しかし、鋳造法の場合、組織
中に薄片状等の化合物の凝集部分が生じてミクロ的な偏
析はどうしても残留するため、LCD配線等の微小な薄
膜にとっては、なお偏析の問題が存在している。
【0010】ターゲット材のマクロ的な偏析を防止する
方法として、粉末を混合して焼結する方法が考えられ
る。しかし、我々の検討によれば、純Al粉末を原料と
する場合、Al粉末原料の大きさが大きいと偏析域が大
きくなる。偏析域を小さくするためには、微細な原料粉
末を使用することが考えられる。しかし、微細なAl粉
末および添加元素粉末は、酸化や発火の対策という取り
扱い上の問題と、混合時の粉末の凝集といった製造上の
問題から、満足できる均一組織のターゲット材が得られ
ていない。また、溶製法を開示する特許文献4が指摘す
るようにAl粉末と合金化元素粉末を混合した焼結ター
ゲット材では、各元素のスパッタ効率の違いからAl膜
中の合金元素濃度が経時的に変動するという問題があ
る。
【0011】また、Al系ターゲット材においてはイン
ゴットを大きくし、冷間で高い加工率で塑性加工を行っ
たタ−ゲット材を用いてスパッタするとターゲット材か
らスプラッシュと呼ばれる異常飛沫が発生する問題があ
る。スプラッシュとは、タ−ゲット材から発生する異常
飛沫のことであり、通常のスパッタ粒子に比較して大き
く、このスプラッシュが基板上に付着すると配線間のシ
ョ−ト、断線等を引き起こす可能性が高くなり、製造し
た液晶ディスプレイの歩留まりを大きく低下させてしま
う問題がある。
【0012】このAlターゲット材からのスプラッシュ
の発生は、配線の形成に使用する場合において、不良に
直結するため重大な問題である。特に、大型のLCDを
得るために必要な0.3m以上のスパッタ平面積を有する
大型のタ−ゲット材を適用する場合において、高価な大
型液晶ディスプレイの不良要因としてその対策が急がれ
ている。
【0013】本発明者らは、スプラッシュの発生原因を
鋭意検討した。その結果スプラッシュの原因がターゲッ
ト材中にある微小な空隙にあることを見いだした。さら
に検討した結果、この微小な空隙の発生原因の一つは、
溶解鋳造法で大型のインゴットを製造する場合、Alの
熱収縮が大きいため発生する引け巣にあることが判明し
た。また、もう一つの原因は、Alの溶湯は水素を溶存
するが、冷えて固まる際には水素を放出するため、この
水素により微細な空隙が発生しやすいということであ
る。特に偏析を防止するために、できるだけ急冷して凝
固すると空隙がインゴット中に包括されやすくなる。
【0014】また、Al以外の添加元素によって生成す
るAl化合物が、ターゲット材への加工中に割れて、空
隙の原因となる場合がある。本発明者がターゲット材組
織における微小な空隙の発生を抑えるべく検討したとこ
ろ、溶解鋳造法を適用する限りは、引け巣や溶存水素に
よる空隙の発生を抑えることは困難であった。そのた
め、本発明者は粉末焼結法を適用することを試みた。粉
末焼結法を適用すると、上述した引け巣や溶存水素によ
る空隙の発生を抑制することができる。しかし、単純に
上述したようなヒロックを防止する元素の粉末をAl粉
末と混合して焼結すると、Alとの反応により粗大な化
合物を形成する場合があり、この化合物も、溶解鋳造法
によって生成される化合物と同様に加工中に割れやす
く、スプラッシュの原因となる空隙を形成してしまうこ
とがわかった。
【0015】本発明の目的は、組織偏析と粗大な化合物
の形成を防止できるAl系ターゲット材の製造方法を提
供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者は、Alと薄片
状の化合物を形成しやすい3A族元素を含む場合であっ
ても、ガスアトマイズ法の如き急冷処理することによ
り、均一に化合物が分散した微細組織を得ることがで
き、圧延による量産化が達成できることを見いだし、本
発明に到達した。
【0017】すなわち、本発明は、遷移元素から選択さ
れる元素のいずれか1種または2種以上を10原子%以
下含み、前記遷移元素として3A族元素を必須として
0.2原子%以上含有し、残部実質的にAlからなる合
金溶湯を急冷処理することにより急冷凝固体をつくる工
程と、該急冷凝固体を熱間静水圧プレスにより加圧焼結
する工程と、前記加圧焼結体を圧延する工程を有するA
l系スパッタリング用ターゲット材の製造方法である。
また、本発明では、前記急冷処理にガスアトマイズ法を
適用することが好ましい。また、本発明では、前記圧延
において塑性加工率が50%以上であることが望まし
い。
【0018】本発明者が3A族元素を添加したAl合金
溶製組織を検討したところ、3A族元素はAlと薄片状
の化合物を形成しやすく、ターゲット材を製造する工程
で化合物が割れてスプラッシュの原因となる空隙を生じ
やすいことが判明した。
【0019】そして、3A族元素を必須で含むAl合金
ターゲットの製造に、従来用いられていなかった急冷処
理を適用することで、3A族元素を含む場合でも組織を
微細化できることを見出したのである。本発明で得られ
る組織は、具体的には、長径0.5μm以上のAlとの
化合物を含まないAl域(以下Al偏在域と言う)を低
減したものとなる。さらに、分散する化合物を外接円径
で5μm以下と微細にすることも可能である。
【0020】なお、本発明において遷移元素とは、S
c,Y,ランタノイドでなる希土類元素と称される3A
族、Ti,Zr,Hfの4A族、V,Nb,Taの5A
族、Cr,Mo,Wの6A族、Mn,Tc,Reの7A
族、Fe,Co,Ni,Ru,Rh,Pd,Os,I
r,Ptの8族、Cu,Ag,Auの1B族である。こ
れらの遷移元素は、スパッタリングにより薄膜を形成
後、典型的には加熱温度150℃〜400℃の熱処理を
施すことによって金属間化合物として組織に析出する。
析出した化合物は、熱や電位差によりAlの結晶粒の成
長、あるいは流動を抑えるピンニングポイントとなり、
薄膜にヒロックが発生するのを防止するものである。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明において、最大の特徴は、
ターゲット材組織を、Alとの化合物を微細に分散形成
させる方法を見出したことである。この微細な組織は、
溶湯急冷法としては、たとえばガスアトマイズ法等のア
トマイズ法を用いることによりできるものである。この
溶湯急冷法の適用は、従来の溶解鋳造法によるAlの偏
析を防止するだけでなく、微細に分散する化合物によっ
て、まず生成薄膜の濃度分布の従来にない均一化を達成
するためである。
【0022】そして、本発明で重要とする噴霧急冷法を
適用すれば、上述した化合物の外接円径を実質的に5μ
m以下とすることができる。また、ターゲット材の断面
組織における0.5μm以上の化合物の長径/短径で規
定するアスペクト比を10以下、好ましくは5未満とす
ることもできる。さらに、長径0.5μm以上の前記化
合物を含まないAl偏在域が、前記化合物に対する内接
円径で10μm以下とすることも可能である。
【0023】Al系ターゲット材にこのようなヒロック
を防止する元素を導入する方法としては焼結法の適用が
望ましい。添加元素を粉末にしてそのまま導入すると、
焼結過程でAlと反応し典型的には、バラの花状の如き
粗大な薄片状の化合物あるいは樹状の粗大な化合物を形
成する場合が多い。粗大な化合物が存在すると、圧延な
どの加重により組織内で容易に割れが発生する。この割
れた部分に空隙が発生し、スパッタリング時にスプラッ
シュを発生するのである。
【0024】本発明者の検討によれば、スプラッシュの
原因となる空隙の発生は、組織中の化合物の形態に依存
し、できるだけ微細で、好ましくはアスペクト比の1に
近い球状とすることにより、発生を防止できることを見
いだした。上述したように、本発明はターゲット材の断
面組織における0.5μm以上の化合物の長径/短径で
規定するアスペクト比を5未満とすることが可能であ
り、圧延等を適用してもスプラッシュの原因の空隙を生
成しにくいため好ましいのである。
【0025】さらに検討した結果、噴霧急冷法により例
えば粉末を作製した場合、該粉末のうち、凝固速度が速
い小径、典型的には200μm以下の直径の粒子は、化
合物が薄板状に成長せずに微細に凝固できており、これ
を焼結すれば、圧延などの加工によってもスプラッシュ
の原因となる空隙の発生を一段と防止できるターゲット
材が得られる。また、本発明において、化合物の外接円
径を5μm以下が好ましいとしたのは、これ以下の微粒
子を分散することにより、トータルの加工率が50%以
上であっても、化合物の割れに起因する空隙は発生せ
ず、スプラッシュの増加もないことを確認したためであ
る。
【0026】本発明の噴霧急冷法で例えば粉末を作製し
た場合には、該粉末は、400℃以上600℃以下で焼
結することが望ましい。400℃未満では、焼結が進行
しにくく、600℃を越えるとAlが溶解する危険があ
るためである。加圧焼結は、空隙のない緻密な焼結体と
するために、好ましくは50MPa以上の圧力で行うも
のとする。この焼結時に空隙が残留することは、ターゲ
ット材にスプラッシュが発生する原因となるため、でき
るだけさけなければならない。
【0027】50%以上の加工率で圧延をする場合、加
工温度を高めることにより、加工時の割れを低減するこ
とが可能である。実質的にはAlの再結晶温度以上の4
00℃以上とし、また圧延等の加工による局所的な温度
上昇により、Alの融点を越えない550℃以下とする
ことが望ましい。
【0028】
【実施例】(実施例1)表1に示すAl合金系のインゴ
ットを溶解鋳造し、このインゴットを窒素ガス雰囲気中
ガスアトマイズ法により急冷凝固粉末とした後、体積平
均径60μmとなるよう分級した。この粉末を330mm×53
0mm×50mmの鉄製の缶に充填し、10マイナス3乗Pa
以下の圧力に排気を行いながら加熱を行い脱ガス処理を
行った。次に圧力100MPa、温度550℃の条件下でHIP
(熱間静水圧プレス)により加圧焼結した後、圧延、機
械加工を施すことにより550mm×690mm×6mmのターゲッ
ト材に加工し、ターゲット材(試料No.21〜試料N
o.27)を得た。
【0029】比較例として、体積平均径60μmの純A
l粉と体積平均径35μmの添加元素金属粉をロッキン
グミキサーで混合し、この粉末を330mm×530mm×50mmの
鉄製の缶に充填し、本発明の試料と同様に脱ガス処理を
行った。次に本発明例と同様にHIPにより加圧焼結し
た後、圧延、機械加工を施して550mm×690mm×6mmのタ
ーゲット材に加工し、表1に示す単体焼結ターゲット材
(試料No.31、試料No.32)を得た。また、別
の比較例として、合金組成を調整した溶湯を330mm×530
mm×50mmの鉄製平板形状の鋳型に鋳造し、これを圧延
し、ついで機械加工を施し550mm×690mm×6mmのターゲ
ット材に加工し、表1に示す溶製ターゲット材(試料N
o.33、試料No.34、試料No.35)を得た。
【0030】本発明および比較例により得られたターゲ
ット材組織を400倍の光学顕微鏡で組織観察を行い、
組織中に存在する化合物の最大長径(化合物の外接円径
にほぼ相当)、最大アスペクト比=最大の(長径/短
径)値、およびAl域の最大内接円径を測定した。結果
を表1に示す。また、本発明および比較例によって得ら
れた典型的な組織として、Al-2原子%Ndの組成の試料に
おいて、本発明により得られたターゲット材試料No.
23の組織写真を図1に、比較例により得られた単体焼
結ターゲット材の試料No.32の組織写真を図2に、
別の比較例により得られた溶製ターゲット材試料No.
34の組織写真を図3にそれぞれ示す。図1〜図3は、
それぞれ400倍の光学顕微鏡写真である。また本発明
および比較例により得られたターゲット材の表面を鏡面
研磨し、染色浸透探傷法により1μm以上の空隙を検出
しその数を表1に付記した。
【0031】
【表1】
【0032】表1および図1〜図3より明白なように、
本発明により得られたターゲット材試料No.21〜N
o.27は、微細な化合物が組織中に分散する組織とな
っている。一方、比較例により得られた単体焼結ターゲ
ット材は、粗大な化合物が存在する組織となっている。
また、この単体焼結ターゲット材は、図2の写真の黒色
部分に対応する大きな空隙が形成されている。これは、
圧延によって化合物にクラックが入り、空隙を生じたも
のである。また別の比較例により得られた溶製ターゲッ
ト材においては、単体焼結ターゲット材に比べて化合物
は微細になっているが、化合物が存在しない広いAl域
が残存している。また、表1から3A族元素は0.2原
子%以上を含有したときに効果があることがみてとれ
る。
【0033】得られたターゲット材を用いてDCマグネ
トロンスパッタリング法により、Ar圧力0.3Pa、
投入電力11kWの条件下で370mm×470mm×1.1mmのガ
ラス基板上に膜厚200nmのAl合金膜を形成した。全て
のターゲット材について投入電力0.5kWで約1時間
使用後、約20時間使用後のそれぞれについて成膜した
膜の組成変化を調べた。また、上記成膜条件にてターゲ
ット材1枚につき10枚の膜を成膜し、膜表面上に認め
られた5μm以上の異物をスプラッシュと見なし、基板
1枚当たりの平均数を算出した。結果を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】表2に示すように、本発明により得られた
ターゲット材試料No.21ないしNo.27は、スパ
ッタリング期間においてほとんど遷移金属の濃度は変化
しない。これに対して、比較例により得られた単体焼結
ターゲット材試料No.31およびNo.32は、形成
した薄膜中の遷移金属濃度が大幅に上昇する傾向があ
り、好ましくないことが認められる。さらに、表1に示
すように、圧延の適用によりターゲット材中に多数の空
隙が発生し、これに伴ってスプラッシュ数が著しく増加
し、好ましくないことがわかる。また、別の比較例によ
り得られた溶製ターゲット材では、形成した薄膜中の遷
移金属の濃度の変動は、単体焼結ターゲット材に比べて
小さいが本発明により得られたターゲット材よりも大き
いものとなっている。また、溶製ターゲット材では、単
体焼結ターゲット材ほどではないが、本発明により得ら
れたターゲット材に比べて欠陥数が多く、これに伴って
スプラッシュの発生が多くなっていることがわかる。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、スブラッシュの発生が
大きな問題であった0.3m以上スパッタ平面積を有する
LCD用Al系ターゲット材に対して、膜組成の変動を
なくすとともに、欠陥を少なくでき、結果としてスプラ
ッシュを抑制することが可能となった。したがって、本
発明は今後さらに大型化が求められるLCDに対応する
ターゲット材として、LCDの品質向上を達成する上で
極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用して作製したターゲット材の金属
ミクロ組織を示す写真である。
【図2】比較例の単体焼結ターゲット材の金属ミクロ組
織を示す写真である。
【図3】比較例の溶製ターゲット材の金属ミクロ組織を
示す写真である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遷移元素から選択される元素のいずれか
    1種または2種以上を10原子%以下含み、前記遷移元
    素として3A族元素を必須として0.2原子%以上含有
    し、残部実質的にAlからなる合金溶湯を急冷処理する
    ことにより急冷凝固体をつくる工程と、該急冷凝固体を
    熱間静水圧プレスにより加圧焼結する工程と、前記加圧
    焼結体を圧延する工程を有することを特徴とするAl系
    スパッタリング用ターゲット材の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記急冷処理はガスアトマイズ法である
    ことを特徴とする請求項1に記載のAl系スパッタリン
    グ用ターゲット材の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記圧延は塑性加工率が50%以上であ
    ることを特徴とする請求項1または2に記載のAl系ス
    パッタリング用ターゲット材の製造方法。
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KR101122307B1 (ko) * 2010-03-19 2012-03-21 한국생산기술연구원 스퍼터링 타겟용 알루미늄 소결체 제조방법
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