JP3507263B2 - 溶鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

溶鋼の連続鋳造方法

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JP3507263B2
JP3507263B2 JP35497996A JP35497996A JP3507263B2 JP 3507263 B2 JP3507263 B2 JP 3507263B2 JP 35497996 A JP35497996 A JP 35497996A JP 35497996 A JP35497996 A JP 35497996A JP 3507263 B2 JP3507263 B2 JP 3507263B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続鋳造における
鋳片の割れ、及び非金属介在物の混入等により発生する
鋳片の欠陥を効果的に抑制する溶鋼の連続鋳造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来の溶鋼の連続鋳造方法においては、
予め成分調整されてなる溶鋼をタンディッシュから浸漬
ノズルを介して水冷構造を有するモールドに供給して、
モールドにより溶鋼をその周囲から徐々に冷却して、溶
鋼の凝固してなる凝固殻を形成させると共に、モールド
の下方に固定配置された多数のロール群等を介して鋳片
に外力を加えながら冷却することにより鋳片の形状を矯
正しながら、所定の速度で下方に引き抜ぬいて最終的に
全ての溶鋼が凝固してなる凝固鋳片を作成し、連続鋳造
設備における所定位置に凝固鋳片を供給する。
【0003】例えば、特開平7−204811号公報に
は、鋼材を連続鋳造するに際して、モールド内の溶鋼面
からの垂直引き抜き距離を5m以内として、これ以降で
鋳片を曲げることにより最終的に鋼材を製造する垂直曲
げ型の連続鋳造機の例が記載されている。そして、炭素
を0.3%以上含有する鋳片の未凝固状態での矯正ある
いは完全凝固後の矯正を行い、かつ前記連続鋳造機のモ
ールド以降である二次冷却帯において、曲げ終了までに
全冷却水量の40%以上を噴射すると共に、二次冷却帯
の少なくとも1つのゾーンにおいて鋳片端部の冷却水を
遮蔽して、さらに前記二次冷却帯の曲げ部及び/又は矯
正部において、分割ローラを使用して、0.8m/mi
n以上の鋳造速度で連続鋳造を行う方法が記載されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開平7−204811号公報に記載の垂直曲げ型の連続
鋳造機を用いて、その水冷条件及び鋳造速度を調整する
ことにより、鋳片への介在物の混入及び鋳片の内部割れ
を防止する方法では以下の(1)〜(3)に示すような
問題点があった。 (1)内部が未凝固状態にある鋳片に対して引張り、曲
げあるいは圧縮等の応力が過度に作用した場合には、こ
れらの応力、及びこの応力により生じる歪み等を適正に
制御する手段がないために、凝固殻の内部あるいは外部
に割れが発生する。このような割れの欠陥は以降の鋳片
の圧延過程でも解消されることなく保持され、最終的な
製品の歩留を低下させる要因となる。 (2)冷却条件及び鋳造速度を前記の所定範囲に保持し
ておくことが必要であるために生産上の制約となること
が多く、高い生産効率の維持が困難である。 (3)鋳片を垂直方向に引き抜くための垂直引き抜き部
分が必要以上に長くなり、連続鋳造機を収納する建屋等
にかかる設備費用が大きくなる。
【0005】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、鋳片に生じる割れを最少限度に抑制すると共
に、生産効率の高い操業を行うことのできる溶鋼の連続
鋳造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
【0007】
【0008】
【0009】前記目的に沿う請求項記載の溶鋼の連続
鋳造方法は、タンディッシュに保持する溶鋼を垂直鋳型
壁で構成されるモールドに供給して周囲に凝固殻を有す
る鋳片を形成させると共に、前記鋳片の冷却、矯正を行
う垂直引き抜き部及び湾曲引き抜き部に該鋳片を送入す
る溶鋼の連続鋳造方法において、前記垂直引き抜き部及
び前記湾曲引き抜き部の各位置に対応する鋳片の限界歪
みが0.5%以上となる領域内で、前記モールド内の溶
鋼面から前記湾曲引き抜き部上端までの垂直引き抜き距
離を設定して、前記垂直引き抜き部及び前記湾曲引き抜
き部の各位置に対応する前記鋳片の実歪みを前記限界歪
み以下とする。限界歪みとは、連続鋳造時における鋼
種、鋳片の凝固状態、温度分布、鋳片形状等をパラメー
タとして実験的あるいは理論的に計算される鋳片の特定
環境下における歪み値であり、このような限界歪みを
えるような実歪みが鋳片に付加されたときに鋳片に割れ
を生じる。実歪みとは、矯正歪み、ミスアライメント歪
み、バルジング歪みの合計量をいい、各歪みの値は、そ
の鋳片の引き抜き方向に沿う位置毎の鋳片の温度分布、
ロールアライメント、ロール間隔等のロール配置、鋳片
の引き抜き速度、凝固殻の厚み等のデータを基にして、
実験的あるいは理論的に算出することができる数値であ
る。なお、矯正歪みとは、鋳片の形状を矯正するために
配置される各ロールによって鋳片に付加される歪みをい
い、ミスアライメント歪みとは、該ロールの配置が規定
の位置よりずれることによって生じる歪みをいう。バル
ジング歪みとは、ロールとロールの間の鋳片の膨らみに
起因した歪みをいう。垂直引き抜き部及び湾曲引き抜き
部の各位置に対応する鋳片の限界歪みが0.5%未満と
なる領域に垂直引き抜き距離を設定した場合には、鋳片
に付加できる歪み量が少ないために、所定位置に鋳片を
取り出すことが困難となる。また、所定位置に鋳片を取
り出すために鋳片に加わる矯正歪みを大きく取った場合
には、この部分の鋳片における割れが発生して、割れに
よる鋳片の欠陥が増大して、製品歩留を低下させる要因
となる。
【0010】請求項記載の溶鋼の連続鋳造方法は、請
求項記載の溶鋼の連続鋳造方法において、前記モール
ド、前記垂直引き抜き部及び一部の前記湾曲引き抜き部
を有するトップゾーンを、該トップゾーンより下方の前
記湾曲引き抜き部に対して着脱自在に取付けて鋳造操業
を行う。トップゾーンとは、タンディッシュ側に配置さ
れた一体的構成された連続鋳造機の部分をいい、このト
ップゾーンの構成のみを適宜変化させることにより、ト
ップゾーンより下部のロール部分を変更することなく連
続鋳造を行うことができる。
【0011】請求項記載の溶鋼の連続鋳造方法は、請
求項1及び2のいずれか1項に記載の溶鋼の連続鋳造方
法において、前記垂直引き抜き部が、前記鋳片を支持す
るムービングバー、サポートロール、クーリンググリッ
ド及び/又はこれらの組み合わせから構成されている。
ムービングバーとは、下方に引き抜かれる鋳片の動きに
同期して、移動しながらムービングバーの面部分で鋳片
を接触支持する装置である。サポートロール及びクーリ
ンググリッドとは、それぞれロール状あるいは格子状の
支持体により鋳片を押圧することのできる装置であり、
各ロールあるいは各グリッド間から鋳片に冷却水を必要
に応じて散布することができる支持装置である。
【0012】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつ
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。ここに図1は本発明の第1の実施の
形態に係る溶鋼の連続鋳造方法を適用する連続鋳造設備
の側断面図、図2は垂直引き抜き距離Dに対する鋳片の
介在物捕捉指数と割れ発生指数との関係を示す図、図3
は各ロール位置に対する限界歪みと実歪みの関係を示す
図、図4は本発明の第2の実施の形態に係る溶鋼の連続
鋳造方法を適用する連続鋳造設備の側断面図である。
【0013】第1の実施の形態に係る溶鋼の連続鋳造方
法を適用する連続鋳造設備10は図1に示すように、溶
鋼11を保持するタンディッシュ12と、タンディッシ
ュ12の底部に配置された浸漬ノズル13と、浸漬ノズ
ル13の吐出孔14から供給される溶鋼11を冷却する
ための垂直壁で構成されたモールド15と、モールド1
5の下部に設けられた複数のサポートロール16を備え
た垂直引き抜き部17と、垂直引き抜き部17の下部に
設けられた複数のロール19からなる湾曲引き抜き部1
8とを有する。
【0014】タンディッシュ12は耐火物で内張りされ
た溶鋼11の保持容器であり、図示しない取鍋から所定
量の溶鋼11が注入されるようになっている。浸漬ノズ
ル13は、主としてアルミナ黒鉛質の耐火物からなる略
円筒型の鋳造部材であり、浸漬ノズル13とタンディッ
シュ12間に配置される図示しないスライディングノズ
ル等の流量制御装置を用いて吐出孔を介してモールド1
5内に供給される溶鋼11の流量を調整することができ
る。モールド15は冷却水の流路を内蔵する銅製の水冷
鋳型であり、モールド水平方向の断面形状が矩形(長方
形)となり、該矩形の長辺の長さが1.2m、短辺の長
さが0.25mである。モールド垂直方向の長さMは
0.9mであり、連続鋳造時における溶鋼面20(メニ
スカス面)は前記モールドの上端から約0.1mの位置
に設定されるようになっている。垂直引き抜き部17
は、垂直方向に溶鋼11の凝固した鋳片21を引き抜く
ための複数のサポートロール16から構成され、その垂
直方向の長さLが0.5mである。従って、この場合に
おける溶鋼11の垂直引き抜き距離DはD=M+L−
0.1=1.3mに設定されている。
【0015】ここで、前記垂直引き抜き距離Dの設定根
拠について説明する。図2は垂直引き抜き距離Dに対す
る鋳片21の介在物捕捉指数(実線で表示)と割れ発生
指数(破線で表示)の依存関係を実験的に求めて、これ
をグラフ化したものである。なお、鋳片21の介在物捕
捉指数とは、完全円弧型連鋳機(D=0)を使用した場
合における介在物の平均濃度を100として表示した評
価指数である。また、割れ発生指数とは、垂直部長さ
2.5m(D=2.5m)で鋳造したの場合における鋳
片21の割れの平均発生数を1.0として表示した評価
指数である。同図に示されるように、介在物捕捉指数は
垂直引き抜き距離Dを長くとるに従い減少して、垂直引
き抜き距離Dが1.2mをえる領域では実質的にほぼ
一定となる。垂直引き抜き距離Dが0〜1.2mの領域
では、割れ発生指数が実質的に一定となる最低値を示す
が、垂直引き抜き距離Dを1.2mをえて長くする
と、割れ発生指数が急激に増大することが分かる。ま
た、介在物捕捉指数及び割れ発生指数とを総合評価した
場合には、垂直引き抜き距離Dが0.8mをえて、
1.5m未満となる範囲に最適領域があることが分かっ
た。従って、鋳片21における介在物捕捉指数及び割れ
発生指数の両者をバランスさせて、適正に抑制するため
には、垂直引き抜き距離Dを0.8〜1.5mの範囲と
することが有効である。そして、本実施の形態において
は、この範囲内の値であるD=1.3mに設定したもの
である。
【0016】別法として以下のように垂直引き抜き距離
Dを設定することも可能である。まず、鋳片21におけ
る凝固殻の厚みS(mm)と溶鋼11の溶鋼面20から
の到達時間T(分)との凝固関係式S=K×T1/2 から
凝固係数K(mm/分1/2 )を実験的に求める。この結
果得られる凝固係数Kは一般的な場合で25〜30mm
となる。次に、モールド15内の溶鋼面20から湾曲引
き抜き部18上端までの垂直引き抜き距離Dを、鋳片2
1の凝固殻の厚みが15mm〜Kmmとなる範囲に設定
することができる。このような場合には、溶鋼11中の
介在物の鋳片21に捕捉される確率を適正に維持するこ
とができると共に、溶鋼面20からの溶鋼11の移動時
間が1分以内となる位置で鋳片の曲げが行われ、限界歪
みが極めて大きく、且つバルジング歪みが小さいため
に、鋳片に付加される実歪みと限界歪みとの比率を低い
値に維持して、鋳片の割れの発生率を減少させることが
できる。
【0017】なお、前記垂直引き抜き部17は、前記サ
ポートロール16の構成に換えて、ムービングバー、あ
るいはクーリンググリッド等を用いることもできる。湾
曲引き抜き部18は、鋳片21に押圧力を付与しながら
鋳片21の形状を矯正するための複数のロール19から
構成され、ロール19を出た後、最終的にその湾曲半径
Rは10.5mとなる。なお、湾曲半径Rは湾曲引き抜
き部18における湾曲した鋳片の外半径で定義されるも
のとする。
【0018】次に前記連続鋳造設備10を用いる本発明
の第1の実施の形態に係る溶鋼の連続鋳造方法について
説明する。まず、炭素(C)濃度0.12wt%、マン
ガン(Mn)濃度0.70wt%、硫黄(S)濃度0.
015wt%に成分調整されたキルド鋼となる溶鋼11
をタンディッシュ12に所定の温度例えば、1550℃
で供給する。次いで、浸漬ノズル13を介して溶鋼11
をモールド15内に注入する。このとき、モールド15
内には図示しないダミーバーヘッドが配置されていて、
注入された溶鋼11がダミーバーヘッドの上部に溜まる
と共に、モールド15の垂直鋳型壁により冷却されて溶
鋼11の凝固殻が形成される。そして、浸漬ノズル13
から所定量の溶鋼11を供給しながら、ダミーバーヘッ
ドを徐々に下降させて、鋳片21を引き抜くことにより
溶鋼11の連続鋳造が開始される。モールド15を通過
して垂直方向に引き抜かれる鋳片21は、続いて垂直引
き抜き部17、及び湾曲引き抜き部18を介して、図示
しないノズルから噴出される冷却水によって冷却される
と共に、その間に鋳片21の曲げ、及び曲げ戻し等の曲
率の矯正がなされて、最終的にほぼ水平方向に伸延する
完全に凝固した鋳片21として取り出される。従って、
このような鋳片21の矯正が行われる各引き抜き位置
(ロール位置)において、その限界歪みの値に対する実
歪みの比率が高くなるような場合には、鋳片21の内部
に亀裂を発生する確率が高くなる。図3は、各ロール位
置に対して限界歪みと実歪みとをプロットしたグラフで
ある。同図に示されるように、垂直引き抜き距離Dに対
応する、即ち湾曲引き抜き部18の始点となる位置(図
に△印で表示)以降で限界歪みが減少し、実歪みが急激
に増加しているが、実歪みは限界歪み以下に保持され
る。なお、点線で表示される曲線は垂直引き抜き距離D
が零である湾曲型連続鋳造機における実歪みの変化を表
しており、前記始点位置以降の増加部分がベースとなる
前記湾曲型連続鋳造機の実歪みの変化に付加されている
ことが示される。そして、このような連続鋳造の条件に
おいては、鋳片21の割れによる欠陥の発生指数は、
0.55と少なく、鋳片割れが抑制されることが分か
る。
【0019】因みに、図6は、図5に示す従来例の垂直
曲げ型の連続鋳造機40を使用する場合について限界歪
みと実歪みとの関係を示した図である。なお、図5にお
ける従来例の垂直曲げ型の連続鋳造機40は、タンディ
ッシュ41と、モールド42と、垂直引き抜き部43
と、湾曲引き抜き部44を有しており、垂直引き抜き距
離D、湾曲半径Rを本発明の適用範囲外であるD=2.
5m、R=7.73mに設定されている。ここでは図6
の△印に示す湾曲引き抜き部44の始点であるD=2.
5m以降では実歪みが急激に増加し、限界歪みをえる
ことが分かる。このような連続鋳造の条件においては、
垂直引き抜き距離Dを長く取るために介在物の浮上が促
進されて、介在物による欠陥の発生率を減少させること
ができるものの、鋳片に付加される矯正力が過剰となる
ために鋳片の割れによる欠陥の発生指数は1.0とな
り、図1に示す第1の実施の形態に較べて高くなる。
【0020】また、図8は、図7に示すような従来例の
湾曲型の連続鋳造機50、即ち垂直引き抜き距離Dが零
の場合における実歪みと限界歪みとの関係を示してい
る。なお、図7における湾曲型の連続鋳造機50は、タ
ンディッシュ51と、湾曲した鋳型壁を有するモールド
52及び湾曲引き抜き部53を有する。このような場合
では鋳片割れの発生率を低減できるが、介在物の浮上を
促進させるための垂直引き抜き距離Dが零であるので、
凝固鋳片における介在物の濃度が高くなって、製品歩留
が低下する。
【0021】図2に示す第1の実施の形態においては、
例えば図6に示すような湾曲型連続鋳造機における実歪
みと限界歪みとの関係を求めておく。次に、前記求めた
実歪みと限界歪みとの関係をベースとして、前記最大比
率を所定の例えば70%以下あるいは100%以下とな
るような範囲に確保しながら、実歪みの大きくなる湾曲
引き抜き部18の始点を最も効率的な位置、即ち、図8
における実歪みの低い範囲に設定する。このため、鋳片
21における介在物濃度、及び鋳片割れの発生比率の両
者を低減することができる。また、前記のように湾曲型
連続鋳造機の場合と比較することなく、独立に実歪みと
限界歪みとの関係を求めて、前記実歪みと限界歪みとの
比率が所定値以下となるように、鋳造速度、鋼種、溶鋼
温度、冷却条件等の連続鋳造の条件を設定してもよい。
即ち、特定の鋳造条件、例えば鋳造速度、各ロール位置
に供給される冷却水の流量によって変動する実歪みと限
界歪みのパターンを予め求めておき、実歪みと限界歪み
との比率が規定値以上となる領域が発生する場合には鋳
造速度及び/又は冷却のパターンを調整し、前記比率が
規定値以下になるように設定して、鋳片21の割れを回
避することも可能である。
【0022】続いて、連続鋳造設備30を用いる本発明
の第2の実施の形態に係る溶鋼の連続鋳造方法を図4を
用いて説明する。なお、以下の説明においては、前記連
続鋳造設備10と同一の機能を有する部分については同
一の符号を付してその詳しい説明を省略する。連続鋳造
設備30は図4に示すように、溶鋼11を保持するタン
ディッシュ12と、タンディッシュ12の底部に配置さ
れた浸漬ノズル13と、浸漬ノズル13の吐出孔14か
ら供給される溶鋼11を冷却するための垂直壁で構成さ
れたモールド15と、モールド15の下部に設けられた
複数のサポートロール16を備えた垂直引き抜き部17
と、垂直引き抜き部17の下部に設けられたロール19
群からなる湾曲引き抜き部18aとを有する。そして、
図4に示すように湾曲引き抜き部18aはその上部に配
置される着脱セグメント31と、下部に配置される固定
セグメント32とに分割できる構造となっていて、モー
ルド15、垂直引き抜き部17及び着脱セグメント31
からなるトップゾーン33を一体的にあるいはそれぞれ
を分割して固定セグメント32から取り外すことができ
るような構造になっている。このため、モールド15の
垂直長さM及び/又は垂直引き抜き部17の垂直長さL
を必要に応じて調整して、連続鋳造時における垂直引き
抜き距離Dを第1の実施の形態で説明したような範囲に
簡単に設定することができる。また、図4に示すように
従来の湾曲型のモールド35及び湾曲引き抜き部36か
らなるユニット34を前記取り外した部分と交換して、
これを湾曲引き抜き型の連続鋳造機として用いることが
できる。このような場合には、固定セグメント32以降
のロール配置を変更する必要がなく、浸漬ノズル13等
の設定位置を設備制約上許容できる範囲内で移動させる
だけで連続鋳造を行える利点がある。
【0023】以上、本発明の実施の形態を説明したが、
本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではな
く、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用
範囲である。例えば、本実施の形態においては、垂直引
き抜き部としてサポートロールを用いる例について説明
したが、これをムービングバー、又はクーリンググリッ
ドで構成することもできる。また、水冷鋳型の長辺の長
さも1.2mと固定ではなく0.65m〜1.9mの範
囲に設定することもできる。更に、機械的な拘束力を鋳
片の周囲に付加することなく鋳片を下方に移動させて、
鋳片を垂直に引き抜くための空間として垂直引き抜き部
を構成してもよい。この場合には、垂直引き抜き距離D
は鋼種、鋳造速度等により変動するので、鋳造速度、鋳
片の冷却パターンを調整して、所定の範囲となるように
設定する。
【0024】
【発明の効果】
【0025】
【0026】
【0027】請求項1〜3記載の溶鋼の連続鋳造方法に
おいては、垂直引き抜き部及び湾曲引き抜き部の各位置
に対応する鋳片の限界歪みが0.5%以上となる領域内
で、モールド内の溶鋼面から湾曲引き抜き部上端までの
垂直引き抜き距離を設定して、垂直引き抜き部及び湾曲
引き抜き部の各位置に対応する鋳片の実歪みを限界歪み
以下とするので、鋳片の曲げ矯正により発生する矯正歪
みを、最も余裕のある範囲に設定することができ、介在
物の鋳片への巻き込みと、鋳片の割れとを適正範囲にバ
ランスさせることができ、効率的な連続鋳造を行うこと
ができる。
【0028】特に、請求項2記載の溶鋼の連続鋳造方法
においては、モールド、垂直引き抜き部及び一部の湾曲
引き抜き部を有するトップゾーンを、トップゾーンより
下方の湾曲引き抜き部に対して着脱自在に取付けて鋳造
操業を行うので、このトップゾーンの構成のみを必要な
構成に適宜変更して連続鋳造を行うことができ、大幅な
設備改造を伴うことなく連鋳機の型式が容易に変更可能
となり、多様な鋼種の介在物性欠陥、割れ性欠陥の防止
に合わせた連鋳機のプロフィールを容易に選択すること
ができる。
【0029】請求項3記載の溶鋼の連続鋳造方法におい
ては、垂直引き抜き部が、鋳片を支持するムービングバ
ー、サポートロール、クーリンググリッド及び/又はこ
れらの組み合わせから構成されているので、鋳片にかか
る支持部材を必要に応じて変更することができると共
に、冷却水により鋳片の冷却パターンを必要に応じて変
更して、鋳片に発生する歪みを調整することができさら
に効果的に割れ発生率を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る溶鋼の連続鋳
造方法を適用する連続鋳造設備の側断面図である。
【図2】垂直引き抜き距離に対する鋳片の介在物捕捉指
数と割れ発生指数との関係を示す図である。
【図3】各ロール位置に対する限界歪みと実歪みの関係
を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る溶鋼の連続鋳
造方法を適用する連続鋳造設備の側断面図である。
【図5】従来例の垂直曲げ型連続鋳造機の側断面図であ
る。
【図6】同垂直曲げ型連続鋳造機における限界歪みと実
歪みの関係を示す図である。
【図7】従来例の湾曲型連続鋳造機の側断面図である。
【図8】同湾曲型連続鋳造機における限界歪みと実歪み
の関係を示す図である。
【符号の説明】
10 連続鋳造設備 11 溶鋼 12 タンディッシュ 13 浸漬ノズ
ル 14 吐出孔 15 モールド 16 サポートロール 17 垂直引き
抜き部 18 湾曲引き抜き部 18a 湾曲引
き抜き部 19 ロール 20 溶鋼面 21 鋳片 30 連続鋳造
設備 31 着脱セグメント 32 固定セグ
メント 33 トップゾーン 34 ユニット 35 モールド 36 湾曲引き
抜き部 40 連続鋳造 41 タンディ
ッシュ 42 モールド 43 垂直引き
抜き部 44 湾曲引き抜き部 50 連続鋳造
51 タンディッシュ 52 モールド 53 湾曲引き抜き部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−284897(JP,A) 特開 平7−204811(JP,A) 特開 平6−134558(JP,A) 特開 平4−238660(JP,A) 特開 平8−52551(JP,A) 特開 平7−164122(JP,A) 特開 昭61−17346(JP,A) 特開 平7−223050(JP,A) 特開 昭61−9952(JP,A) 特開 平6−15424(JP,A) 特開 昭62−114749(JP,A) 実開 昭62−113845(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/128 B22D 11/12

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タンディッシュに保持する溶鋼を垂直鋳
    型壁で構成されるモールドに供給して周囲に凝固殻を有
    する鋳片を形成させると共に、前記鋳片の冷却、矯正を
    行う垂直引き抜き部及び湾曲引き抜き部に該鋳片を送入
    する溶鋼の連続鋳造方法において、 前記垂直引き抜き部及び前記湾曲引き抜き部の各位置に
    対応する鋳片の限界歪みが0.5%以上となる領域内
    で、前記モールド内の溶鋼面から前記湾曲引き抜き部上
    端までの垂直引き抜き距離を設定して、前記垂直引き抜
    き部及び前記湾曲引き抜き部の各位置に対応する前記鋳
    片の実歪みを前記限界歪み以下とすることを特徴とする
    溶鋼の連続鋳造方法。
  2. 【請求項2】 前記モールド、前記垂直引き抜き部及び
    一部の前記湾曲引き抜き部を有するトップゾーンを、該
    トップゾーンより下方の前記湾曲引き抜き部に対して着
    脱自在に取付けて鋳造操業を行うことを特徴とする請求
    に記載の溶鋼の連続鋳造方法。
  3. 【請求項3】 前記垂直引き抜き部が、前記鋳片を支持
    するムービングバー、サポートロール、クーリンググリ
    ッド及び/又はこれらの組み合わせから構成されること
    を特徴とする請求項1及び2のいずれか1項に記載の溶
    鋼の連続鋳造方法。
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