JP3502248B2 - ディスクブレーキ - Google Patents

ディスクブレーキ

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JP3502248B2
JP3502248B2 JP29949397A JP29949397A JP3502248B2 JP 3502248 B2 JP3502248 B2 JP 3502248B2 JP 29949397 A JP29949397 A JP 29949397A JP 29949397 A JP29949397 A JP 29949397A JP 3502248 B2 JP3502248 B2 JP 3502248B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、車両等に
制動力を付与するのに好適に用いられるディスクブレー
キに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ディスクの周方向に離間して該デ
ィスクを軸方向に跨ぐ一対の腕部、該各腕部の基端側同
士を連結する連結部を有し、該連結部が車両の非回転部
分に取付けられる取付部材と、該取付部材の各腕部に摺
動可能に設けられ、一対の摩擦パッドをディスクの両面
に押圧するキャリパとを備え、前記取付部材の各腕部に
設けた各ピン穴内にキャリパに設けた一対の摺動ピンを
摺動可能に挿嵌してなるディスクブレーキは知られてい
る。
【0003】この種のディスクブレーキでは、ブレーキ
操作時には前記キャリパのインナ脚部に設けたピストン
を外部からの液圧供給によりディスク側に摺動させ、イ
ンナ側の摩擦パッドをディスクに向けて押圧する。そし
て、このときの反力でインナ脚部、ブリッジ部およびア
ウタ脚部からなるキャリパ全体が、各摺動ピンを介して
取付部材に対し摺動変位することにより、ピストンとキ
ャリパのアウタ脚部との間で各摩擦パッドをディスクの
両面に押圧し、ディスクに制動力を付与する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来技術によるディスクブレーキでは、図13に示すよう
にインナ脚部7′とアウタ脚部8′とが一体的に形成さ
れた構成となっているため、ブレーキ操作時には、イン
ナ脚部7′とアウタ脚部8′とが拡開するように弾性変
形する傾向があり、これによってキャリパ5′に設けた
摺動ピン17′はディスク1′の軸線方向に対して先端
側が基端側よりも下がるように変位する傾向がある。
【0005】また、取付部材に関しては、ブレーキ操作
時に各摩擦パッドを介したディスクからのトルクを取付
部材の各腕部のうちの一方の腕部で受承させる構成のも
のにおいては、摩擦パッド自体もディスクからのトルク
によって回転しようとするため、下記のように弾性変形
する。
【0006】この場合、図14に示すように、摩擦パッ
ドをディスク1′の軸線方向に摺動変位可能に支持する
取付部材2′の腕部2Ai ′,2Ao′は、その基端側
が連結部2B′によって腕部2Ai ′,2Ao′よりも
ディスク1′の内径側で車両の非回転部分に取り付けら
れている。また、腕部2Ai ′,2Ao′は先端側で補
強ビーム4′により互いに連結されているが、補強ビー
ム4′の剛性は連結部2B′よりも低い。
【0007】このため、ディスク1′の回転方向の入口
側の腕部2Ai′では、ディスク1′の軸線方向に対し
て先端側(アウタ側)が基端側(インナ側)に対して上
がるように矢示F1 方向へと弾性変形する傾向があり、
ディスク1′の回転方向の出口側の腕部2Ao′では、
軸線方向に対して先端側(アウタ側)が基端側(インナ
側)よりも下がるように矢示F2 方向へと弾性変形する
傾向がある。
【0008】この結果、ディスク1′の回転方向の入口
側に関して、図13に示すキャリパ5′に設けた摺動ピ
ン17′と取付部材2′の腕部2Ai′に設けられたピ
ン穴とが、ディスク1′の径方向に関して相反する向き
に位置ずれを生じて干渉することとなり、特にディスク
1′の回転方向入口側の摺動ピン17′がピン穴に対し
てピンクリアランスの小さいメインピンである場合は、
摺動ピン17′とピン穴とが、ディスクの径方向に関し
て強く干渉しあうようになってしまう。
【0009】さらに、取付部材に関し、ブレーキ操作時
に各摩擦パッドを介したディスクからのトルクを、取付
部材の各腕部のうちディスクの回転方向出口側の腕部で
受承させる構成のものにおいては、ディスクの回転方向
出口側の腕部は、各摩擦パッドを介したディスクからの
トルクを受けて、ディスクの回転方向に弾性変形する傾
向にある。これに対し、ディスクの回転方向入口側の腕
部は、各摩擦パッドを介してディスクからのトルクを受
けないため、ディスクの回転方向に弾性変形しない。そ
のため、取付部材に関し、ブレーキ操作時に各摩擦パッ
ドを介したディスクからのトルクを、取付部材の各腕部
のうちディスクの回転方向出口側の腕部で受承させる構
成のものにおいては、ディスクの回転方向に関して、各
腕部間が拡開する傾向にある。
【0010】この結果、上述したいずれの場合において
も、ピン穴と摺動ピンとの摺動抵抗が大きくなって、キ
ャリパの摺動特性が悪くなり、ブレーキ鳴きやジャダー
が発生し易くなるという問題がある。
【0011】 そこで、このような問題を解決するため
に、ピン穴と摺動ピンとの間にその摺動面全域にわた
て比較的大きめの隙間(クリアランス)を確保すること
により、制動時にピン穴が摺動ピンに対して位置ずれす
るような場合でも、ピン穴と摺動ピンとの互いの干渉を
緩和する対策が考えられる。
【0012】しかし、ピン穴と摺動ピンとの間の隙間を
その摺動面全域にわたって大きく形成した場合には、両
者間のがたつきが大きくなるため、走行中に車体が路面
に対してバウンドしたりすると、非制動時にはキャリパ
が取付部材に対して大きく振動することがある。
【0013】そして、このキャリパの振動に伴って、該
キャリパと一体となった各摩擦パッドがディスクに対し
部分的に繰返し接触してしまい、各摩擦パッドとディス
クとの間に偏摩耗等が生じたり、ジャダーが発生すると
いう問題がある。また、ピン穴と摺動ピンとの間のがた
つきに起因してラトル音等の異音が発生し易くなるとい
う問題がある。
【0014】本発明は上述した従来技術の問題に鑑みな
されたもので、本発明は、ブレーキ操作時にディスクか
らのトルクが取付部材の腕部に大きく作用した場合で
も、摺動ピンとピン穴とを互いに円滑に摺動させること
ができ、ジャダー等の発生を防止できると共に、非制動
時でのキャリパの取付姿勢を安定させることができ、デ
ィスクと摩擦パッドの摺動面間に偏摩耗等が発生するの
を防止でき、ラトル音等の異音の発生を低減できるよう
にしたディスクブレーキを提供することを目的としてい
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、ディスクの周方向に離間して該ディスクを軸方
向に跨ぐ一対の腕部を有し、車両の非回転部分に取付け
られる取付部材と、該取付部材の各腕部に摺動可能に設
けられ、一対の摩擦パッドをディスクの両面に押圧する
キャリパとを備え、前記取付部材の腕部とキャリパのう
ちいずれか一方の部材に設けたピン穴内に、他方の部材
に設けた摺動ピンを摺動可能に挿嵌してなるディスクブ
レーキに適用される。
【0016】 そして、請求項1の発明が採用する構成
の特徴は、前記ディスクの回転方向入口側に位置する前
記摺動ピンとピン穴との間には、該摺動ピンとピン穴と
が前記ディスクの径方向で相反する向きに位置ずれする
のを許容するため前記ディスクの回転方向よりも径方向
で大となる隙間を形成したことにある。
【0017】 上記構成により、ブレーキ操作時に、キ
ャリパに設けた摺動ピンがディスクの軸線方向に対して
先端側が基端側よりも下がるように変位し、取付部材の
ディスク回転方向の入口側の腕部がディスク軸線方向に
アウタ側がインナ側に対して上がり、ディスク回転方向
の出口側の腕部がディスク軸線方向にアウタ側がインナ
側に対して下がるように弾性変形した場合でも、ディス
ク回転方向の入口側の腕部に設けたピン穴と摺動ピンと
の間の隙間をディスクの径方向で大きくし、前記ピン穴
と摺動ピンとディスクの径方向で相反する向きに位置
ずれするのを許容する隙間としているので、前記ピン穴
と摺動ピンとが互いに干渉し合うのを防止でき、ピン穴
と摺動ピンとの摺動抵抗の増大を防止することができ
る。
【0018】 また、請求項2の発明では、前記ディス
クの回転方向入口側に位置する前記摺動ピンとピン穴と
の間には、該摺動ピンとピン穴とが前記ディスクの径方
向で相反する向きに位置ずれするのを許容するため前記
ディスクの回転方向よりも径方向で大となる隙間を形成
し、前記ディスクの回転方向出口側に位置する前記摺動
ピンとピン穴との間には、該摺動ピンとピン穴とのディ
スクの回転方向の位置ずれを許容するため前記ディスク
の径方向よりも回転方向で大となる隙間を形成したこと
にある。
【0019】 これにより、ブレーキ操作時に各摩擦パ
ッドを介したディスクからのトルクを、取付部材の各腕
部のうちディスクの回転方向出口側の腕部で受承させる
構成のディスクブレーキにおいて、さらに、各腕部間が
ディスクの回転方向に拡開した場合でも、ディスク回転
方向の出口側の腕部に設けたピン穴と摺動ピンとの間の
隙間をディスクの回転方向で大きくし、前記摺動ピンと
ピン穴とのディスクの回転方向の位置ずれを許容する
間としているので、前記摺動ピンとピン穴とが互いに干
渉し合うのを防止でき、ピン穴と摺動ピンとの摺動抵抗
の増大を防止することができる。
【0020】 さらに、請求項3の発明によると取付
部材は、前記ディスクの回転中心よりも少なくとも車両
の前側寄りの位置で前記非回転部分に取付け、前記取付
部材の各腕部のうちディスクの回転方向入口側の腕部を
出口側の腕部よりも少なくとも上側に配置し、前記摩擦
パッドの制動力をディスクの回転方向出口側の腕部で受
ける構成としている。
【0021】これにより、キャリパ全体をディスクの回
転方向入口側に位置する摺動ピンとピン穴により、取付
部材の入口側の腕部に吊り下げた状態で安定させて支持
させることができる。
【0022】さらに、請求項4の発明では、前記取付部
材は、前記ディスクの回転中心よりも少なくとも車両の
後側寄りの位置で前記非回転部分に取付け、前記取付部
材の各腕部のうちディスクの回転方向出口側の腕部を入
口側の腕部よりも少なくとも上側に配置し、前記摩擦パ
ッドの制動力をディスクの回転方向入口側の腕部で受け
る構成としている。
【0023】 これにより、キャリパ全体をディスクの
回転方向出口側に位置する摺動ピンとピン穴により、取
付部材の出口側の腕部に吊り下げた状態で安定させて支
持させることができる。
【0024】さらにまた、請求項5の発明では、前記摺
動ピンとピン穴のうちいずれか一方の断面形状を円形状
に形成し、他方の断面形状を非円形状に形成している。
【0025】これにより、ピン穴と摺動ピンとの間の隙
間をディスクの径方向と回転方向とで異なる大きさに容
易に形成できる。
【0026】さらに、請求項6の発明では、前記ピン穴
は断面形状を円形状に形成し、前記摺動ピンは、該ピン
穴よりも小径に形成され外周面に平面部を有する断面略
長円形状のピンにより構成している。
【0027】これにより、ピン穴と摺動ピンの平面部と
の間に比較的大きな隙間を容易に確保できる。また、摺
動ピン全体をヘッダ加工等を用いてプレス成形すること
により、摺動ピンの外周面に平面部を容易に形成でき
る。
【0028】加えて、請求項7の発明では、前記ピン穴
は断面形状を円形状に形成し、前記摺動ピンは、該ピン
穴よりも小径に形成された外周面に円筒状のブッシュを
嵌合させて前記ピン穴内に挿嵌されてなり、かつ前記ブ
ッシュには軸方向に延びる隙間を円筒孔を挟んで対向さ
せて構成している。
【0029】これにより、摺動ピン及びピン穴は加工が
容易な断面円形状のままで済む。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の形態
を添付図面に従って詳細に説明する。
【0031】ここで、図1ないし図7は本発明の第1の
実施の形態によるディスクブレーキを自動車に適用した
場合を示している。
【0032】図中、1は自動車の車輪と共に図1中の矢
示A方向に回転するディスク、2は該ディスク1のイン
ナ側に設けられる取付部材を示し、該取付部材2は図1
に示す如く、ディスク1の回転方向に離間してこのディ
スク1の外周を跨ぐように軸方向に伸長した一対の腕部
2A,2Aと、該各腕部2Aの基端側を連結する連結部
2B等とから一体形成されている。そして、取付部材2
は連結部2Bに設けた一対のねじ穴2B1 を介して車両
の非回転部分となるナックル部(図示せず)等に一体的
に取付られている。
【0033】ここで、取付部材2は図1に示すように、
ディスク1の回転中心O(車両の車軸)よりも少なくと
も車両前側寄りの位置に配設されている。これにより、
各腕部2Aのうちディスク1の回転方向入口側の腕部2
Aは、回転方向出口側の腕部2Aよりも上側に配置され
る。
【0034】また、各腕部2Aには、後述する摺動ピン
11,17用のピン穴3,3が設けられ、該各ピン穴3
は断面略円形状をなしてディスク1の軸方向に延びる有
底の円形穴として形成されている。さらに、腕部2Aの
基端側(インナ側)および先端側(アウタ側)には、略
コ字形状をなした各パッドガイド部2A1 と、ディスク
1の回転方向内側に向けて突出した各トルク受部2A2
(いずれもアウタ側のみ図示)とが形成されている。
【0035】そして、取付部材2の各腕部2Aは、各パ
ッドガイド部2A1 に後述する各摩擦パッド23の裏金
23Aが摺動可能に係合され、各摩擦パッド23をディ
スク1の軸方向へ摺動可能に案内すると共に、各摩擦パ
ッド23を介したディスク1からのトルクを各トルク受
部2A2 で受承するものである。また、各腕部2Aには
両者間を弓状に細長く延びて該各腕部2Aの先端側を一
体に連結した補強ビーム4が図1に示す如く形成されて
いる。
【0036】5は取付部材2に対して摺動可能に支持さ
れたキャリパを示し、該キャリパ5は図2および図3に
示す如く、取付部材2の各腕部2A間でディスク1の外
周側を跨ぐように延びたブリッジ部6と、ディスク1の
インナ側で該ブリッジ部6の一側に一体形成されたイン
ナ脚部7と、ブリッジ部6の他側に一体に形成されたア
ウタ脚部8とから構成され、前記インナ脚部7の内周側
にはシリンダボア7Aが形成されている。
【0037】また、前記インナ脚部7には、図2中の左
右両側に位置して一対の取付部9,9がディスク1の回
転方向に向けて突設され、該各取付部9にはそれぞれの
突出端側に各ピンボルト穴9Aが穿設されている。そし
て、該各ピンボルト穴9Aには、それぞれ後述のピンボ
ルト16,21を介して摺動ピン11,17が設けられ
ることにより、キャリパ5は取付部材2の各腕部2Aに
対してディスク1の軸方向に摺動可能に取付けられる。
【0038】ここで、前記シリンダボア7Aは図1、図
2に示す如く、その中心を通る中心線O1 −O1 が取付
部材2の各ピン穴3間の中央位置となる中心線O2 −O
2 に対し、ディスク1の回転方向出口側寄りに寸法δだ
け偏心して配設される。また、アウタ脚部8は二又状を
なした一対の爪部8A,8Bからなり、該爪部8A,8
Bのうち爪部8Bは、ディスク1の回転方向での肉厚が
爪部8Aよりも大きめに形成され、爪部8Bの剛性を全
体的にアップさせる構成になっている。
【0039】さらに、前記各取付部9には図2に示すよ
うに、取付部材2の各腕部2A側となる部位にディスク
1の径方向に向けて延びる係合突部10,10が形成さ
れ、該各係合突部10には摺動ピン11,17の係合面
15,20が係合される。
【0040】11はディスク1の回転方向出口側に位置
してキャリパ5の取付部9に設けられた摺動ピンを示
し、該摺動ピン11は円柱材をヘッダ加工等でプレス成
形することにより、図2および図4に示す如く形成され
ている。
【0041】そして、摺動ピン11は、ディスク1の軸
方向に伸長してピン穴3内に摺動可能に挿嵌された軸部
11Aと、該軸部11Aの一端側に一体形成された頭部
11Bとから構成され、該軸部11Aは、ピン穴3より
も僅かに小径に形成されている。また、該軸部11A
は、その長さ方向中間位置から先端側に亘って小径とな
った途中部分が円柱形状をなす小径部11Cとなり、該
小径部11Cの外周側には円筒状のゴムブッシュ12が
嵌着されることにより、軸部11Aとピン穴3との間の
ガタツキを最小限に抑えている。
【0042】ここで、前記軸部11Aは全体として断面
略長円形状に形成され、その外周側を軸方向に沿って平
行に延びた部位が一対の平面部13,13となり、該各
平面部13間を円弧状に湾曲した部位が各円弧面部14
となっている。これにより、摺動ピン11は各平面部1
3とピン穴3との間に比較的大きい隙間を形成し、各円
弧面部14とピン穴3との間に比較的小さい隙間を形成
している。
【0043】また、前記頭部11Bには、取付部9のピ
ンボルト穴9A外縁側端面に衝合する衝合板部11Dが
一体形成され、該衝合板部11Dの外側面には一対の係
合面15,15が互いに平行となるように形成されてい
る。そして、該各係合面15のうちいずれか一方の係合
面15をキャリパ5の係合突部10に係合させた状態
で、摺動ピン11はピンボルト16等を介して取付部9
に締着されている。
【0044】ここで、摺動ピン11の各平面部13と各
係合面15とは、図4に示すように互いに略平行となる
ように配設されている。従って、係合面15をディスク
1の径方向に延びる係合突部10に係合させることによ
り、摺動ピン11は各平面部13がディスク1の回転方
向(図6中の矢示A方向)で互いに対向した状態でピン
穴3内に位置決めされる。
【0045】 この結果、摺動ピン11とピン穴3との
間には、各平面部13とピン穴3との間に位置してディ
スク1の回転方向Aで比較的大きい隙間、即ち摺動ピン
11とピン穴3とがディスク1の回転方向Aで位置ずれ
するのを許容する隙間が形成されると共に、各円弧面部
14とピン穴3との間に位置してディスク1の径方向で
比較的小さい隙間が形成される。
【0046】17はディスク1の回転方向入口側に位置
してキャリパ5の取付部9に設けられた摺動ピンを示
し、該摺動ピン17は図5および図7に示す如く、軸部
17A、頭部17Bおよび衝合板部17Cから摺動ピン
11とほぼ同様に形成されている。また、該軸部17A
は各平面部18および各円弧面部19を有し、さらに、
衝合板部17Cは各係合面20を有している。そして、
該各係合面20のうちいずれか一方の係合面20をキャ
リパ5の係合突部10に係合させた状態で、摺動ピン1
7はピンボルト21等を介して取付部9に締着されてい
る。
【0047】しかし、摺動ピン17は図5に示すよう
に、各平面部18と各係合面20とが互いに略直交する
向きに配設されている点で摺動ピン11とは異なってい
る。従って、係合面20を係合突部10に係合させる
と、摺動ピン17は各平面部18がディスク1の径方向
で互いに対向した状態でピン穴3内に位置決めされる。
【0048】 この結果、摺動ピン17とピン穴3との
間には、各平面部18とピン穴3との間に位置してディ
スク1の径方向で比較的大きい隙間、即ち摺動ピン17
とピン穴3とがディスク1の径方向で相反する向きに位
置ずれするのを許容する隙間が形成されると共に、各円
弧面部19とピン穴3との間に位置してディスク1の回
転方向Aで比較的小さい隙間が形成される。
【0049】22はキャリパ5のシリンダボア7A内に
摺動可能に挿嵌されたピストンで、該ピストン22は、
シリンダボア7A内に外部から供給されるブレーキ液圧
によりシリンダボア7A内を軸方向に摺動変位し、アウ
タ脚部8の爪部8A,8Bとの間で各摩擦パッド23を
ディスク1の両面側に押圧するものである。
【0050】23,23はキャリパ5によりディスク1
の両面に押圧される一対の摩擦パッドで、該各摩擦パッ
ド23は、図1および図3に示す如く平板状をなし、そ
の裏面側には裏金23A,23Aが重なり合うように固
着されていている。そして、各摩擦パッド23は、各裏
金23Aが取付部材2のパッドガイド部2A1 により摺
動可能に支持され、ディスク1に制動力を付与すべく、
キャリパ5によってディスク1の両面に押圧されるもの
である。
【0051】本実施の形態によるディスクブレーキは、
上述の如き構成を有するもので、次にその作動について
説明する。
【0052】まず、車両のブレーキ操作時には、キャリ
パ5の各シリンダボア7A内に外部から供給されるブレ
ーキ液圧により、ピストン22がディスク1側に摺動変
位すると、該ピストン22によりインナ側の摩擦パッド
23がディスク1に押圧される。そして、このときキャ
リパ5はディスク1からの反力を受け、摺動ピン11,
17を介して取付部材2に対しインナ側へと変位すると
共に、アウタ脚部8の爪部8A,8Bを介してアウタ側
の摩擦パッド23をディスク1に押圧する。これによ
り、ディスク1は各摩擦パッド23によって両面側から
制動力を付与される。
【0053】そして、このときディスク1から各摩擦パ
ッド23を介してキャリパ5に伝わる制動トルクは、キ
ャリパ5のアウタ側を矢示A方向(以下、回転方向Aと
いう)に変位させようとする曲げモーメントとして作用
するから、インナ脚部7側では、ディスク1に対する摩
擦パッド23の面圧が回転方向Aの入口側よりも出口側
で小さくなり、アウタ脚部8側では、摩擦パッド23の
面圧が入口側よりも出口側で大きくなる傾向にある。
【0054】これに対し、インナ脚部7は回転方向Aの
出口側寄りに偏心して配設され、アウタ脚部8のうち入
口側の爪部8Bは出口側の爪部8Aよりも大きく形成さ
れているから、各摩擦パッド23の面圧は、ディスク1
の両面側で回転方向Aに対して均一となるように調整さ
れる。
【0055】また、ブレーキ操作時には、先に図13に
より説明したように、各摩擦パッド23を介してディス
ク1からのトルクによって、キャリパ5がディスク1の
外周側に配置されるブリッジ部6を介してインナ脚部7
とアウタ脚部8とが一体的に形成された構成となってい
るため、インナ脚部7とアウタ脚部8とが拡開するよう
に弾性変形する傾向があり、これによってキャリパ5に
設けた摺動ピン17はディスク1の軸線方向に対して先
端側が基端側よりも下がるように変位する傾向がある。
【0056】さらに、取付部材2に関しては、同じく先
に図14により説明したように、各摩擦パッド23自体
もディスク1からのトルクによって回転しようとするた
め、各摩擦パッド23を摺動変位可能に支持する取付部
材2の各腕部2Aは、その基端側が連結部2Bに設けら
れたねじ穴2B1 によって各腕部2Aよりもディスク1
の内径側で車両の非回転部分に取り付け固定されている
ので、ディスク1の回転方向入口側の腕部2Aでは、デ
ィスク1の軸線方向に対してアウタ側がインナ側に対し
て上がるように弾性変形する傾向があり、ディスク1の
回転方向出口側の腕部2Aでは、軸線方向に対してアウ
タ側がインナ側よりも下がるように弾性変形する傾向が
ある。
【0057】 然るに本実施の形態では、入口側の摺動
ピン17とピン穴3との間の隙間を、摺動ピン17とピ
ン穴3とのディスク1の径方向の位置ずれを許容する隙
間として径方向で大きくなるように形成し、ディスク1
のトルクを各摩擦パッド23を介して受ける出口側の摺
動ピン11とピン穴3との間の隙間をディスク1の径
方向で入口側に対して小さくなるように形成したから、
ブレーキ作動時にディスク1の回転方向入口側に関し
て、ディスク1の入口側の摺動ピン17と腕部2Aのピ
ン穴3とがディスク1の径方向で相反する向きに位置ず
れを生じても、摺動ピン17とピン穴3との間に確保し
た径方向の隙間分だけ両者の相対変位を許容でき、両者
がディスク1の径方向に関して強く干渉しあうようにな
ってしまうのを防止でき、これにより、両者間の摺動抵
抗を小さくできる。このとき、ディスク1の径方向に関
して同方向に変位するディスク1の出口側の摺動ピン1
1と腕部2Aのピン穴3とは小さな隙間となっているの
で、キャリパ5が取付部材2に対してディスク1の径方
向でがたつくのを、しっかりと抑えることができる。
【0058】また、本実施の形態のように、ブレーキ操
作時に各摩擦パッド23を介したディスク1からのトル
クを、取付部材2の各腕部2Aのうち、ディスク1の回
転方向出口側の腕部2Aのトルク受部2A2 で受承させ
るものにあっては、出口側の腕部2Aは、各摩擦パッド
23を介したディスク1からのトルクを受けて、図2、
6中に二点鎖線で示す如く、ディスク1の回転方向Aに
僅かに弾性変形する傾向があるのに対し、入口側の腕部
2Aは、各摩擦パッド23を介してディスク1からのト
ルクを受けないため、ディスク1の回転方向にはほとん
ど弾性変形しない傾向にある。
【0059】 然るに本実施の形態では、出口側の摺動
ピン11とピン穴3との間の隙間を、摺動ピン11とピ
ン穴3とのディスク1の回転方向の位置ずれを許容する
隙間としてディスク1の回転方向で大きくなるように形
成し、入口側の摺動ピン17とピン穴3との間の隙間を
ディスク1の回転方向で出口側に対して小さくなるよう
に形成したから、ブレーキ作動時にディスク1のトルク
により各腕部2A間が拡開し、出口側のピン穴3がディ
スク1の回転方向に位置ずれした場合でも、出口側のピ
ン穴3は摺動ピン11との間に確保したディスク1の回
転方向の隙間分だけ、摺動ピン11との相対変位を許容
できる。これによって、ピン穴3と摺動ピン11とが互
いに強く干渉し合うのを防止でき、両者間の摺動抵抗を
小さくできる。さらに、このとき、ディスク1の回転方
向に関してほとんど弾性変形しない入口側の摺動ピン1
7とピン穴3とは小さな隙間となっているので、キャリ
パ5が取付部材2に対してディスク1の回転方向でがた
つくのを、しっかりと抑えることができる。
【0060】しかも、ブレーキを操作していない非制動
時にも、キャリパ5がディスク1の径方向でがたつくの
を摺動ピン11の各円弧面部14とピン穴3との間で規
制できると共に、キャリパ5がディスク1の回転方向A
でがたつくのを摺動ピン17の各円弧面部19とピン穴
3との間で規制できる。
【0061】さらに、本実施の形態のように、取付部材
2およびキャリパ5をディスク1の回転中心(車両の車
軸)よりも車両前側寄りに配設した場合、各腕部2Aの
うち回転方向Aの入口側の腕部2Aが出口側の腕部2A
よりも上側に配置されることになるので、キャリパ5全
体をピン穴3と摺動ピン17を介して入口側の腕部2A
に吊り下げた状態でしっかりと支持させることができ、
キャリパ5の取付け姿勢を安定させることができる。
【0062】 従って、本実施の形態によれば、ブレー
キ操作時に、ディスク1の回転方向入口側のピン穴3と
摺動ピン17とがディスク1の径方向に位置ずれした
り、ディスク1の回転方向出口側の腕部2Aが摩擦パッ
ド23からのトルクの影響を受けて、そのピン穴3が摺
動ピン11に対しディスク1の回転方向に位置ずれした
りしたとしても、摺動ピン11,17を各ピン穴3内で
円滑に摺動させることができる。これにより、ブレーキ
操作時の操作感を向上させることができると共に、ブレ
ーキ操作を解除した場合も各摩擦パッド23をディスク
1から確実に離すことができ、各摩擦パッド23の引き
摺りを防止でき、ジャダー等の発生を抑えることができ
るばかりか、ディスク1のロータ面振れやロータ摺動面
の熱変形に対する追従性も向上できる。
【0063】また、摺動ピン11,17とピン穴3との
間の隙間のうち、各円弧面部14,19とピン穴3との
間は小さな隙間となっているので、摺動ピン11,17
の各平面部13,18とピン穴3との間にブレーキ作動
時の位置ずれを許容するための比較的大きな隙間が形成
されたにも拘らず、キャリパのがたつきを十分抑えるこ
とができる。これにより、非制動時でも、走行中に車体
に伝わる衝撃等に起因して、キャリパ5が取付部材2に
対し大きく振動するのを各ピン穴3と摺動ピン11,1
7との間で最小限に抑えることができ、キャリパ5と一
体となった各摩擦パッド23をディスク1から常に離し
た状態で保持しておくことができる。これによって、各
摩擦パッド23の引き摺りの原因をさらになくすことが
でき、ディスク1および各摩擦パッド23に偏摩耗等が
生じるのを防止でき、その寿命等を延ばすことができる
と共に、燃費を向上させることができる。そして、上述
したシャダーの発生と共にラトル音等の異音の発生を抑
えることができ、快適な走行を行うことができる。
【0064】さらに、各ピン穴3と摺動ピン11,17
との間の隙間をキャリパ5のがたつきを抑える上で必要
な部分だけ小さくし、残りの各ピン穴3と摺動ピン1
1,17との間の隙間はブレーキ作動時の位置ずれを許
容するために大きく形成しているので、この位置ずれを
許容するための隙間を大きくした分だけ、従前に比べキ
ャリパ5の軽量化を図ることができ、材料コストを削減
できると共に、燃費やばね下荷重の軽減による乗り心地
の向上を図ることができる。
【0065】さらにまた、各平面部13,18を含めた
摺動ピン11,17全体をヘッダ加工等を用いて成形す
る構成としたから、各平面部13,18を形成するため
の特別な加工も不要になる。
【0066】次に、図8ないし図11は本発明の第2の
実施の形態を示し、本実施の形態では前記第1の実施の
形態と同様の構成要素に同一の符号を付し、その説明を
省略するものとする。しかし、本実施の形態の特徴は、
取付部材2の各腕部2Aに設けた各ピン穴31,32の
断面形状をそれぞれ非円形状に形成すると共に、キャリ
パ5に一体に設けた各摺動ピン33,34の軸部33
A,34Aの断面形状を円形状に形成することにより、
出口側のピン穴31と摺動ピン33との間の隙間をディ
スク1の径方向よりも回転方向Aで大きく形成し、入口
側のピン穴32と摺動ピン34との間の隙間をディスク
1の回転方向Aよりも径方向で大きく形成したことにあ
る。
【0067】ここで、前記ピン穴31は、前記第1の実
施の形態で述べた各ピン穴3と同様に、取付部材2の腕
部2Aを長さ方向に延びた有底の円形穴として形成され
ている。しかし、該ピン穴31は図8および図10に示
す如く、横断面が長円形状(楕円形状)をなしており、
その内周側は半円弧状に湾曲した部位が円弧状部31
A,31Aとなり、該各円弧穴部31A間をほぼ直線状
に延びた部位が直線状部31B,31Bとなっている。
また、ピン穴32についてもピン穴31とほぼ同様に形
成され、各円弧状部32Aおよび各直線状部32Bを有
している。
【0068】ここで、ピン穴31,32のうち出口側の
ピン穴31は、各円弧状部31A側がディスク1の回転
方向Aに向けて配向されると共に、入口側のピン穴32
は各円弧状部32A側がディスク1の径方向に向けて配
向されている。
【0069】また、前記摺動ピン33,34は、前記第
1の実施の形態で述べた摺動ピン11,17とほぼ同様
に形成され、軸部33A,34A、頭部33B,34B
および衝合板部33C,34Cを有している。また、衝
合板部33C,34Cには、キャリパ5の各係合突部1
0に係合する各係合面35,36がそれぞれ形成されて
いる。
【0070】しかし、前記摺動ピン33,34の軸部3
3A,34Aは断面形状が全体として略円形状なしてお
り、ピン穴31,32内を軸方向にストレートに延びた
円柱体として形成されている点で前記第1の実施の形態
のものとは異なっている。
【0071】 これにより、摺動ピン33,34のうち
出口側の摺動ピン33は、ピン穴31の各円弧状部31
Aとの間にディスク1の回転方向Aで比較的大きい隙
、即ち摺動ピン33とピン穴31とのディスク1の回
転方向の位置ずれを許容する隙間を形成し、各直線状部
31Bとの間にディスク1の径方向で比較的小さな隙間
が形成される。
【0072】 一方、入口側の摺動ピン34は、ピン穴
32の各円弧状部32Aとの間にディスク1の径方向で
比較的大きい隙間、即ち摺動ピン34とピン穴32との
ディスク1の回転方向の位置ずれを許容する隙間を形成
し、各直線状部32Bとの間でディスク1の回転方向A
に比較的小さな隙間が形成される。
【0073】かくして、このように構成される本実施の
形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果
を得ることができる。
【0074】さらにまた、図12は、上述した第1,2
の実施の形態のように、摺動ピンの軸部またはピン穴の
一方に関してその横断面形状を略長円形状に形成し、摺
動ピンとピン穴との間にディスク径方向または回転方向
の隙間を設けるのに代えて、摺動ピンおよびピン穴のい
ずれもその横断面形状を円形状にしたまま、摺動ピンと
ピン穴との間にディスク径方向または回転方向の隙間を
設ける変形例を示したものである。
【0075】同図において、取付部材2の腕部2Aに形
成されたピン穴41には、摺動ピン43の軸部43Aが
円筒状のゴムブッシュ44を嵌合させてピン穴41内に
挿嵌されている。そして、ゴムブッシュ44の内部に
は、その円筒孔44Aを挟んで対向するように、2つの
隙間部45がディスク1の径方向または回転方向と合致
させて軸方向に延びるように形成されている。
【0076】これにより、ピン穴41と摺動ピン43と
の間には、ディスク1の径方向または回転方向に隙間が
形成されることとなり、かくして本変形例でも、上述し
た第1,2の実施の形態とほぼ同様な作用効果を得るこ
とができる。
【0077】なお、前記各実施の形態では、各ピン穴3
(31,32)を取付部材2の各腕部2Aに形成し、摺
動ピン11,17(33,34)をキャリパ5の各取付
部9に取付けるものとして述べたが、これに替えて、例
えば各ピン穴3(31,32)をキャリパ5の各取付部
9に形成し、各摺動ピン11,17(33,34)を取
付部材2の各腕部2Aに取付けてもよい。
【0078】また、前記各実施の形態では、ディスク1
の回転方向出口側の腕部2Aのトルク受部2A2 が各摩
擦パッド23からのトルクを受承する構成としたが、例
えば、各摩擦パッド23のディスク1の回転方向の入口
側の裏金23A側面に鉤手状の突起部を突出形成し、同
じく入口側の取付部材2の腕部2Aには各摩擦パッド2
3の前記突起部の鉤手部分が係合する溝を形成したよう
な、ディスク1の回転方向入口側の腕部2Aでディスク
1のトルクを受けるタイプのディスクブレーキのピン穴
および摺動ピンに適用し、このタイプのディスクブレー
キをディスク1の回転中心O(車両の車軸)よりも少な
くとも車両後方側寄りの位置に配置する構成としてもよ
い。
【0079】
【発明の効果】以上詳述した通り、請求項1の発明によ
れば、ディスクの回転方向入口側に位置する摺動ピンと
ピン穴との間には、摺動ピンとピン穴とがディスクの
径方向で相反する向きに位置ずれするのを許容するため
前記ディスクの回転方向よりも径方向で大となる隙間を
形成したから、ブレーキ操作時に、パッドからのトルク
の影響を受けて取付部材が変形し、またキャリパが変形
することにより、この影響を受けて摺動ピンとピン穴と
がディスクの径方向に相対的に位置ずれを起こしたとし
ても、ディスクの回転方向の入口側のピン穴と摺動ピン
との間の隙間によって該ピン穴と摺動ピンとの位置ずれ
を許容することができ、これにより、両者が互いに干渉
し合うのを防止できるので、摺動ピンをピン穴内で円滑
に摺動させることができる。しかも、非制動時には、キ
ャリパがディスクの回転方向と径方向でがたつくのを各
ピン穴と各摺動ピンとの間でおさえることができ、キャ
リパを取付部材に対し安定させて取付けることができ
る。
【0080】従って、制動中のトルク変動や非制動中の
摩擦パッドの引き摺り等の原因をなくして、ディスクお
よび各摩擦パッドの寿命等を延ばすことができると共に
燃費も向上でき、ジャダーやラトル音等の異音を抑えて
快適な走行を行うことができる。
【0081】 また、請求項2の発明では、ブレーキ操
作時に各摩擦パッドを介したディスクからのトルクを、
取付部材の各腕部のうちディスクの回転方向出口側の腕
部で受承させる構成のディスクブレーキにおいて、ディ
スクの回転方向入口側の位置する摺動ピンとピン穴との
には、摺動ピンとピン穴とが前記ディスクの径方向
で相反する向きに位置ずれするのを許容するため前記デ
ィスクの回転方向よりも径方向で大となる隙間を形成
し、前記ディスクの回転方向出口側に位置する前記摺動
ピンとピン穴との間には、摺動ピンとピン穴とのディ
スクの回転方向の位置ずれを許容するため前記ディスク
の径方向よりも回転方向で大となる隙間を形成している
から、ブレーキ操作時に取付部材の各腕部間がディスク
の回転方向に拡開する場合でも、ディスク回転方向の出
口側の腕部に設けたピン穴と摺動ピンとの間の隙間によ
って、摺動ピンとピン穴とのディスクの回転方向の位置
ずれを許容することができ、両者が互いに干渉し合うの
を防止できる。
【0082】従って、制動中のトルク変動や非制動中の
摩擦パッドの引き摺り等の原因をなくして、ディスクお
よび各摩擦パッドの寿命等を延ばすことができると共に
燃費も向上でき、ジャダーやラトル音等の異音を抑えて
快適な走行を行うことができる。
【0083】 さらに、請求項3の発明によると取付
部材は、ディスクの回転中心よりも少なくとも車両の前
側寄りの位置で車両の非回転部分に取付け、取付部材の
各腕部のうちディスクの回転方向入口側の腕部を出口側
の腕部よりも少なくとも上側に配置し、摩擦パッドの制
動力をディスクの回転方向出口側の腕部で受ける構成と
したから、キャリパ全体をディスクの回転方向入口側に
位置する摺動ピンとピン穴により、取付部材の入口側の
腕部に吊り下げた状態で安定させて支持ることができ
る。
【0084】 さらにまた、請求項4の発明では、取付
部材は、ディスクの回転中心よりも少なくとも車両の後
側寄りの位置で車両の非回転部分に取付け、取付部材の
各腕部のうちディスクの回転方向出口側の腕部を入口側
の腕部よりも少なくとも上側に配置し、前記摩擦パッド
の制動力をディスクの回転方向入口側の腕部で受ける構
成としたから、キャリパ全体をディスクの回転方向出口
側に位置する摺動ピンとピン穴により、取付部材の出口
側の腕部に吊り下げた状態で安定させて支持ることが
できる。
【0085】さらにまた、請求項5の発明では、摺動ピ
ンとピン穴のうちいずれか一方の断面形状を円形状に形
成し、他方の断面形状を非円形状に形成したから、ピン
穴と摺動ピンとの間の隙間をディスクの径方向と回転方
向とで異なる大きさに容易に形成でき、該隙間の設計を
簡単に行うことができる。
【0086】さらに、請求項6の発明では、ピン穴は断
面形状を円形状に形成し、摺動ピンは、該ピン穴よりも
小径に形成され外周面に平面部を有する断面略長円形状
のピンにより構成したから、平面部を含めた摺動ピン全
体をヘッダ加工等を用いてプレス成形することにより、
平面部を形成するための特別な加工が不要となり、摺動
ピンの製作時の作業性を向上できる。
【0087】加えて、請求項7の発明では、前記ピン穴
は断面形状を円形状に形成し、前記摺動ピンは、該ピン
穴よりも小径に形成された外周面に円筒状のブッシュを
嵌合させて前記ピン穴内に挿嵌されてなり、かつ前記ブ
ッシュには軸方向に延びる隙間を円筒孔を挟んで対向さ
せて構成したから、摺動ピンおよびピン穴は加工が容易
な断面円形状のままで済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるディスクブレ
ーキを示す一部破断の正面図である。
【図2】図1中のディスクブレーキを示す平面図であ
る。
【図3】図2中の矢示III −III からみた拡大断面図で
ある。
【図4】図1中の摺動ピンを単体で示す斜視図である。
【図5】図1中の他の摺動ピンを単体で示す斜視図であ
る。
【図6】図1中のピン穴および摺動ピンを示すディスク
の回転方向出口側での要部拡大図である。
【図7】図1中のピン穴および摺動ピンを示すディスク
の回転方向入口側での要部拡大図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態によるディスクブレ
ーキを示す一部破断の正面図である。
【図9】図8中のディスクブレーキを示す平面図であ
る。
【図10】図8中のピン穴および摺動ピンを示すディス
クの回転方向出口側での要部拡大図である。
【図11】図8中のピン穴および摺動ピンを示すディス
クの回転方向入口側での要部拡大図である。
【図12】本発明の変形例によるディスクブレーキのピ
ン穴、摺動ピンおよびブッシュを示す断面図である。
【図13】従来技術によるディスクブレーキのキャリパ
がブレーキ操作時に変形する状態を示す説明図である。
【図14】従来技術によるディスクブレーキの取付部材
がブレーキ操作時に変形する状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ディスク 2 取付部材 2A 腕部 3,31,32,41 ピン穴 5 キャリパ 11,17,33,34,43 摺動ピン 13,18 平面部 23 摩擦パッド 44 ゴムブッシュ(ブッシュ)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石井 英昭 山梨県中巨摩郡櫛形町吉田1000番地 ト キコ株式会社 山梨工場内 (56)参考文献 実開 平1−73530(JP,U) 実開 平6−28367(JP,U) 実開 昭56−47920(JP,U) 実開 昭55−122542(JP,U) 実開 昭54−165682(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16D 55/224 110 F16D 65/02

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ディスクの周方向に離間して該ディスク
    を軸方向に跨ぐ一対の腕部を有し、車両の非回転部分に
    取付けられる取付部材と、該取付部材の各腕部に摺動可
    能に設けられ、一対の摩擦パッドをディスクの両面に押
    圧するキャリパとを備え、前記取付部材の腕部とキャリ
    パのうちいずれか一方の部材に設けたピン穴内に、他方
    の部材に設けた摺動ピンを摺動可能に挿嵌してなるディ
    スクブレーキにおいて、 前記ディスクの回転方向入口側に位置する前記摺動ピン
    とピン穴との間には、該摺動ピンとピン穴とが前記ディ
    スクの径方向で相反する向きに位置ずれするのを許容す
    るため前記ディスクの回転方向よりも径方向で大となる
    隙間を形成したことを特徴とするディスクブレーキ。
  2. 【請求項2】 ディスクの周方向に離間して該ディスク
    を軸方向に跨ぐ一対の腕部を有し、車両の非回転部分に
    取付けられる取付部材と、該取付部材の各腕部に摺動可
    能に設けられ、一対の摩擦パッドをディスクの両面に押
    圧するキャリパとを備え、前記取付部材の腕部とキャリ
    パのうちいずれか一方の部材に設けたピン穴内に、他方
    の部材に設けた摺動ピンを摺動可能に挿嵌してなり、前
    記摩擦パッドの制動力をディスクの回転方向出口側の腕
    部で受けるディスクブレーキにおいて、 前記ディスクの回転方向入口側に位置する前記摺動ピン
    とピン穴との間には、該摺動ピンとピン穴とが前記ディ
    スクの径方向で相反する向きに位置ずれするのを許容す
    るため前記ディスクの回転方向よりも径方向で大となる
    隙間を形成し、前記ディスクの回転方向出口側に位置す
    る前記摺動ピンとピン穴との間には、該摺動ピンとピン
    穴とのディスクの回転方向の位置ずれを許容するため
    記ディスクの径方向よりも回転方向で大となる隙間を形
    成したことを特徴とするディスクブレーキ。
  3. 【請求項3】 前記取付部材は、前記ディスクの回転中
    心よりも少なくとも車両の前側寄りの位置で前記非回転
    部分に取付け、前記取付部材の各腕部のうちディスクの
    回転方向入口側の腕部を出口側の腕部よりも少なくとも
    上側に配置し、前記摩擦パッドの制動力をディスクの回
    転方向出口側の腕部で受ける構成としてなる請求項1ま
    たは2に記載のディスクブレーキ。
  4. 【請求項4】 前記取付部材は、前記ディスクの回転中
    心よりも少なくとも車両の後側寄りの位置で前記非回転
    部分に取付け、前記取付部材の各腕部のうちディスクの
    回転方向出口側の腕部を入口側の腕部よりも少なくとも
    上側に配置し、前記摩擦パッドの制動力をディスクの回
    転方向入口側の腕部で受ける構成としてなる請求項1に
    記載のディスクブレーキ。
  5. 【請求項5】 前記摺動ピンとピン穴のうちいずれか一
    方の断面形状を円形状に形成し、他方の断面形状を非円
    形状に形成してなる請求項1,2,3または4に記載の
    ディスクブレーキ。
  6. 【請求項6】 前記ピン穴は断面形状を円形状に形成
    し、前記摺動ピンは、該ピン穴よりも小径に形成され外
    周面に平面部を有する断面略長円形状のピンにより構成
    してなる請求項1,2,3または4に記載のディスクブ
    レーキ。
  7. 【請求項7】 前記ピン穴は断面形状を円形状に形成
    し、前記摺動ピンは、該ピン穴よりも小径に形成された
    外周面に円筒状のブッシュを嵌合させて前記ピン穴内に
    挿嵌されてなり、かつ前記ブッシュには軸方向に延びる
    隙間を円筒孔を挟んで対向させて構成してなる請求項
    1,2,3または4に記載のディスクブレーキ。
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