JP3501046B2 - 回転電機 - Google Patents

回転電機

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JP3501046B2
JP3501046B2 JP31596599A JP31596599A JP3501046B2 JP 3501046 B2 JP3501046 B2 JP 3501046B2 JP 31596599 A JP31596599 A JP 31596599A JP 31596599 A JP31596599 A JP 31596599A JP 3501046 B2 JP3501046 B2 JP 3501046B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、1つのステータと
複数の独立して回転が可能なロータとを備えた回転電機
に関する。
【0002】
【従来の技術】1つのステータと複数の独立して回転が
可能なロータとを備えた回転電機として、特開平8−3
40663号公報に記載されたものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従
来の回転電機は、2つのロータを別々に同期回転させる
ため、ステータには各ロータ専用のコイルを用意すると
共に、この各専用コイルに流す電流を制御するインバー
タも2つ備えさせなければならず、それぞれのコイル、
それぞれのインバータに電流を流すのでは電流による損
失を免れない問題点があった。
【0004】そこで、本願発明者らは、特願平10−0
77449号の明細書に記載した発明をしたが、それ
は、極数の異なる磁石を有する2つのロータを有し、磁
気回路を共有とし、共通のコイルに複合電流を流すこと
によりロータそれぞれを独立に回転させることができる
回転電機に係るものである。
【0005】このような回転電機では、磁石の同極の磁
界が向き合う状態では磁石が減磁作用により、特に高温
で磁石特性が劣化する問題点がある。
【0006】この点、一方のロータの磁石の磁束が他方
のロータの対極する磁石を通過しなければ減磁作用は起
こらないのであるが、磁束がステータコイルを通過しな
ければトルクは発生せず、ロータを回転させることがで
きない。
【0007】この発明は、このような相反する課題に鑑
みてなされたもので、磁石数の少ない側のステータ横方
向磁気抵抗を磁石数の多い側よりも小さくし、磁石数の
多い側の磁束は積極的にステータコイルを通過するよう
に構成すると共に、磁石数の少ない側のロータの磁石の
起磁力を他方の磁石よりも増強することにより、トルク
を維持しつつ、磁石が減磁作用によって特性を劣化する
のを防止することができる回転電機を提供することを目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、磁石
極対数が異なる磁石入りのロータ2つを同一回転軸上に
配置し、前記2つのロータに対する磁気回路を共有した
ステータを前記2つのロータの間に配置し、前記2つの
ロータそれぞれを駆動する制御電流を前記ステータのコ
イルに複合して流すことによって前記2つのロータを独
立に回転させる回転電機であって、一方のロータは、他
方のロータよりも少ない磁石極対数とされ、前記一方の
ロータに設けられる磁石の起磁力を、前記他方のロータ
に設けられる磁石の起磁力よりも大きくしたことを特徴
とする。
【0009】 請求項2の発明は、前記一方のロータに
設けられる磁石の磁束密度を、前記他方のロータに設け
られる磁石の磁束密度よりも大きくしたことを特徴とす
る。
【0010】 請求項3の発明は、 前記他方のロータ
の磁石の厚みに対して、前記一方のロータの磁石の厚み
を厚くしたことを特徴とする。
【0011】 請求項4の発明は、前記2つのロータは
前記ステータの内側に配置された内側ロータと、前記ス
テータの外側に配置された外側ロータであって、前記記
一方のロータは前記内側ロータであり、前記他方のロー
タは前記外側ロータであることを特徴とする。
【0012】 請求項5の発明は、前記ステータに設け
たステータコイルを外周側寄りに設けたことを特徴とす
る。
【0013】 請求項6の発明は、前記外側ロータ、及
び内側ロータは、IPMタイプであることを特徴とす
る。
【0014】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、磁石極対数が
異なる磁石入りの2つのロータを同一回転軸上に配置
し、これら2つのロータに対する磁気回路を共有したス
テータをこれらのロータの間に配置し、2つのロータそ
れぞれを駆動する制御電流をステータのコイルに複合し
て流すことによってロータを独立に回転させる回転電機
にあって、一方のロータに設けられた磁石の起磁力を他
方のロータに設けられた磁石の起磁力よりも大きくした
ことにより、2つのロータにトルクを発生させて互いに
独立に回転させることができ、しかも2つのロータに入
れられている永久磁石の同極が対峙したときにそれらの
間で減磁作用を及ぼし合わないようにして磁石の特性が
劣化するのを抑制することができる。
【0015】 請求項2の発明によれば、請求項1の発
明の効果に加えて、磁石極対数の多い側のロータの磁石
の磁束密度に対して磁石極対数の少ない側のロータの磁
石の磁束密度を大きくしたことにより、磁束密度の小さ
い永久磁石が入れられているロータのトルクを維持する
ことができる。
【0016】 請求項3の発明によれば、請求項1,
の発明の効果に加えて、磁石極対数の多い側のロータの
磁石の厚みに対して磁石極対数の少ない側のロータの磁
石の厚みを厚くしたことにより、磁石極対数の少ない側
のロータのトルクを維持することができる。
【0017】 請求項4の発明によれば、2つのロータ
のうち磁石極対数の少ない一方のロータをステータの内
側に設けられる内側ロータとし、磁石極対数の多い他方
のロータをステータの外側に設けられる外側ロータとし
ているので、内側ロータの起磁力の減少を抑えることが
できる。
【0018】 請求項5の発明によれば、請求項4の発
明の効果に加えて、ステータのステータコイルを外周側
寄りに設けたので、ステータコイルの巻数を多くするこ
とができ、ステータの製造が容易に行える。
【0019】請求項6の発明によれば、請求項1〜5の
発明の効果に加えて、回転電機をIPMタイプとするこ
とにより、効率の良い回転電機が得られる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図に
基づいて詳説する。図1〜図3に示すように、回転電機
1は、円筒状のステータ2の外側と内側に所定のギャッ
プをおいてロータ3,4を配置することによって3層構
造になっている。外側と内側の各ロータ3,4は全体を
被覆する外枠5に対して回転可能に、かつ同軸に設けら
れている。
【0021】内側ロータ4の半周にはS極がステータ2
側にくるように永久磁石が設けられ、もう半周にはN極
がステータ2側にくるように永久磁石が設けられてい
る。外側ロータ3は、この実施の形態では内側ロータ4
の1極当たり2倍の極数(極対数比にして2:1)にな
るように永久磁石が設けられている。つまり、外側ロー
タ3においてステータ2側にくるS極、N極は各2個ず
つであり、90度ごとにS極とN極とが入れ替わるよう
に配置されている。なお、永久磁石は各ロータ3,4の
表面に貼り付けられていて、本実施の形態の回転電機は
SPMタイプとなっている。
【0022】このように各ロータ3,4の磁極を配置す
ると、内側ロータ4の磁石は外側ロータ3の磁石により
回転力を与えられることがなく、この逆に外側ロータ3
の磁石が内側ロータ4の磁石により回転力を与えられる
こともない。
【0023】例えば、内側ロータ4の磁石が外側ロータ
3に及ぼす影響を考えてみる。簡単のために内側ロータ
4は固定して考える。図1に示した状態で、まず、内側
ロータ4の上側磁石Sとこれに対峙する外側ロータ3の
上側磁石S,Nが時計方向に回転しようとしたとする
と、内側ロータ4の下側磁石Nとこれに対峙する外側ロ
ータ3の下側磁石S,Nとの関係においては、内側ロー
タ4の下側磁石Nにより外側ロータ3の下側磁石S,N
が反時計方向に回転しようとする。つまり、内側ロータ
4の上側磁石Sが外側ロータ3の上側磁石S,Nに及ぼ
す磁力と、内側ロータ4の下側磁石Nが外側ロータ3の
下側磁石S,Nに及ぼす磁力とがちょうど相殺されるこ
とになり、外側ロータ3は内側ロータ4と関係なく、ス
テータ2との関係だけで制御可能となるわけである。こ
のことは、後述するステータコイルに発生する回転磁界
とロータとの間でも同じである。
【0024】ステータ2は、外側ロータ3の1磁極当た
り3個のコイル6で構成され、合計12個(=3×4)
のコイルが同一の円周上に等分に配置されている。な
お、7はコイル6が巻回されるコアで、コイル6と同数
のコア7が円周上に等分に所定の間隔(ギャップ)8を
おいて配列されている。各ステータコイル6はステータ
コア7の外周寄り、つまり、磁極対数が多い外側ロータ
3寄りの位置に設けられている。
【0025】なお、後述するように12個のコイルは番
号で区別しており、この場合に、例えば6番目のコイル
という意味ではコイル[6]というようにカッコで囲ん
でコイルの番号を表すことにする。
【0026】これらの12個のコイル6には次のような
複合電流I1〜I12を流す。まず、内側ロータ4に対
する回転磁界を発生させる電流(3相交流)を流すた
め、[1,2]=[]、[]=[9,1
0]、[5,6]=[1112]の3組のコイルに1
20度ずつ位相のずれた電流Id,If,Ieを設定す
る。ここで、番号の下に付けたアンダーラインは反対方
向に電流を流すことを表している。例えば、1組のコイ
ル[1,2]=[]に電流Idを流すとは、コイ
ル[1]からコイル[]に向けてIdの半分の電流
を、そしてコイル[2]からコイル[]に向けてもI
dのもう半分の電流を流すことである。コイル[1]と
[2]、またコイル[]と[]とは円周上でそれぞ
れ近い位置にあるので、この電流供給により内側ロータ
4の磁極と同数(2極)の回転磁界を生じさせることが
できる。
【0027】次に、外側ロータ3に対する回転磁界を発
生させる電流(3相交流)を流すため、[1]=[
=[7]=[10]、[]=[5]=[]=[1
1]、[3]=[]=[9]=[12]の3組のコイ
ルに120度ずつ位相がずれた電流Ia,Ic,Ibを
設定する。例えば、1組のコイル[1]=[]=
[7]=[10]に電流Iaを流すとは、コイル[1]
からコイル[]にIaの電流を流し、さらにコイル
[7]からコイル[10]に同じ電流Iaを流すことを
意味している。コイル[1]と[7]、またコイル
]と[10]がそれぞれ円周上の180度ずつ離れ
た位置にあるため、この電流供給により外側ロータ3の
磁極と同数(4極)の回転磁界を生じさせることができ
る。
【0028】この結果、12個のコイル6には次の各複
合電流I1〜I12を流せば、内側ロータ4、外側ロー
タ3を共に回転駆動させることができることになる。
【0029】 I1=(1/2)Id+Ia I2=(1/2)Id+Ic I3=(1/2)If+Ib I4=(1/2)IfIa I5=(1/2)Ie+Ic I6=(1/2)Ie+Ib I7=(1/2)Id+Ia I8=(1/2)IdIc I9=(1/2)If+Ib I10=(1/2)If+Ia I11=(1/2)IeIc I12=(1/2)Ie+Ib ただし、電流記号の下につけたアンダーラインは逆向き
電流であることを表している。
【0030】さらに図2を参照して複合電流設定を説明
する。図2は、図1との比較のため、ステータ2の内周
側と外周側に各ロータに対して別々の回転磁界を発生さ
せる専用のコイルを配置したものである。つまり、内周
側コイルd,f,eの配列が内側ロータ4に対する回転
磁界を発生させ、外周側コイルa,c,bの配列が外側
ロータ3に対する回転磁界を発生させる。この場合に、
2つの専用コイルを共通化して図1に示した単一のコイ
ルに再構成するには、内周側コイルのうち、コイルdに
流す電流の半分ずつをコイルdの近くにあるコイルaと
cに負担させ、同様にして、コイルfに流す電流の半分
ずつをコイルfの近くにあるコイルbとaに、またコイ
ルeに流す電流の半分ずつをコイルeの近くにあるコイ
ルcとbに負担させればよいわけである。上記の複合電
流I1〜I12の式はこのような考え方を数式に表した
ものである。なお、電流設定の方法はこれに限られるも
のではない。
【0031】このように電流設定を行なうと、単一のコ
イルでありながら、内側ロータ4に対する回転磁界と外
側ロータ3に対する回転磁界との2つの磁界が同時に発
生するが、内側ロータ4の磁石は外側ロータ3に対する
回転磁界により回転力を与えられることがなく、また外
側ロータ3の磁石が内側ロータ4に対する回転磁界によ
り回転力を与えられることもない。
【0032】上記の電流Id,If,Ieの設定は内側
ロータ4の回転に同期して、また電流Ia,Ic,Ib
の設定は外側ロータ3の回転に同期してそれぞれ行な
う。トルクの方向に対して位相の進み遅れを設定する
が、これは同期電動機に対する場合と同じである。
【0033】図3及び図4に基づき、上記構成の回転電
機に対する制御装置について説明する。この回転電機の
制御装置は、上記の複合電流I1〜I12をステータコ
イルに供給するために、バッテリなどの電源11からの
直流電流を交流電流に変換するインバータ12を備えて
いる。瞬時電流のすべての和は0になるため、このイン
バータ12は図4に示したように通常の3相ブリッジ型
インバータを12相にしたものと同じで、上下に24個
のスイッチング素子Tr1〜Tr24とこれに同数のダ
イオードから構成される。そしてインバータ12の各ゲ
ートに与えるオン/オフのゲート信号はPWM信号であ
る。
【0034】各ロータ3,4を同期回転させるため、各
ロータ3,4の位相を検出する回転角センサ13,14
が設けられていて、これらのセンサ13,14からの信
号が入力される制御回路15では、外側ロータ3、内側
ロータ4に対する必要トルクのデータ(つまり、トルク
指令)に基づいてPWM信号を発生させる。
【0035】このような構成の回転電機は、2つのロー
タ3,4と1つのステータ2を3層構造にして、かつ同
一の軸上に構成すると共に、ステータ2に単一のコイル
6を形成し、この単一のコイル6にロータの数と同数の
回転磁界が発生するように複合電流を流すことにより、
ロータの一方をモータとして、残りをジェネレータとし
て運転する場合にはモータ駆動電力と発電電力との差分
の電流を単一のコイルに流すだけでよいので、効率を大
幅に向上させることができる。
【0036】また2つのロータに対してインバータが1
つでよくなり、さらにロータの一方をモータとして、残
りをジェネレータとして運転する場合には、上記のよう
にモータ駆動電力と発電電力との差の分の電流を単一の
コイルに流すだけでよくなることから、インバータの電
力スイッチングトランジスタのキャパシタンスを減らす
ことができ、これによってスイッチング効率が向上し、
より全体効率が向上するとなる。
【0037】そして、このような回転電機は、2つのロ
ータの極対数比が2:1の場合だけでなく、3:1や
3:2のもの、その他のものであってもよいことは先の
出願の明細書により説明されている。
【0038】さて、ステータ2のコイル6に対して複合
電流を流すとき、温度上昇してロータ3,4の永久磁石
に影響を与え、磁気特性を劣化させることがある。図5
は永久磁石の磁束密度B−磁界強度H特性を示している
が、高温時には磁石は減磁特性領域Zに入り、磁石特性
は劣化する。また、磁束密度Bがマイナスの領域(第3
象限)では、比較的低温の状態においても減磁しやすい
特性を示す。この図5において、温度t4での磁石短絡
(H=0)磁束をBmaxとし、減磁変曲点磁束密度をB
m、そしてロータ内の漏れ磁束をBxとする。
【0039】図6は図1に示したコイル[1]とコイル
[12]との間で周方向に展開した状態を示している。
横軸方向は、展開コイルの中心位置にコイル番号をふっ
てある。縦軸方向は、上から1段目が内側ロータ4の磁
石単体での磁束密度Bb、2段目がステータ2の各コイ
ル位置と対比させた内外のロータ3,4の磁石磁束密度
Ba,Bb及びその重ね合わせ磁束密度Bc、3段目が
外側ロータ3の磁石単体での磁束密度Baを示してい
る。磁界は、ステータのコイル[4]の位置でS極同士
が向かい合い、もっとも磁束が流れにくい。ステータの
コイル[10]の位置では、内側ロータ4の磁極はNで
あり、外側ロータ3の磁極はSであるので、重ね合わせ
磁束密度Bcは最大である。
【0040】なお図6では、内側ロータ4から外側ロー
タ3への磁束方向が図中で下側となるように方向を定め
ている。また、磁石磁束密度は、磁気回路の磁気抵抗を
無視して、磁束密度のピークで図2のB−H曲線のBma
xとし、さらにBmax=1と正規化して示してある。
【0041】さらに磁石の磁界強度Hと磁束密度Bとの
関係を図5に示したが、これから分かるように、本来永
久磁石の磁界強度はその動作点での磁気抵抗が決定しな
ければ磁束密度は決まらないわけであるが、図6では永
久磁石の同極が向かい合う状態が分かりやすいように、
敢えて磁石の磁束密度分布を正弦波で磁気抵抗が一定の
状態として表している。本来、F:起磁力、L:磁石厚
さ、R:磁気抵抗、φ:磁束、B:磁束密度、S:磁石
面積として、 F=H×L, φ=F/R, B=φ/S で表せるが、ここでは、磁石厚さLは内外のロータ3,
4の磁石で共に同一として説明している。また、磁石面
積Sは回転電機の構成で決まる要件であるので所定値と
して取り扱う。
【0042】図7は、内側ロータ4の磁石磁界強度を大
きくすることにより、相対的に磁極数の多い外側ロータ
3の起磁力を小さくした場合の磁束密度分布を示してい
る。ここでは、内側ロータ4の磁界強度を図6の内側ロ
ータ4の磁界強度の正規化値1に対して、1.5(つま
り、1.5倍)にしている。これにより、外側ロータ3
のS極間であるA区間のエリアでの磁束は、 Bm≦B3+B4+B5+Bx を満たせば、減磁しない。
【0043】ただし、Bmは図5で温度t4での減磁領
域分岐磁束密度であり、Bxは外側ロータ3の中で、磁
極NからSへ流れる磁束(したがって、ステータ2を通
過して内側ロータ4へは流れない磁束)、B3,B4,
B5はそれぞれステータコイル[3],[4],[5]
の通過磁束である。
【0044】図8は図1に示す回転電機の磁気回路の等
価電気回路を示しており、また図9(a)はステータ2
の軸断面を示し、同図(b)は磁気回路モデルを等価電
気回路モデルに置き換えて分かりやすく示したものであ
る。ただし、この図9では磁石極数は8:4(極対数比
2:1)であり、ステータコア24個の図であるが、角
度πで図1の構造の回転電機に相当する。
【0045】まず図8の等価回路について説明すると、 μ:永久磁石の透磁率 Im1:外側ロータ3の等価直流電流 Im2:内側ロータ4の等価直流電流 Vmn,i:内側ロータ4の永久磁石の起磁力 Vmn,o:外側ロータ3の永久磁石の起磁力 Ecn :ステータコイルの起磁力 n:コイル位置 Rl:ステータ縦方向磁気抵抗 Rg:ギャップ相当磁気抵抗 Ri:内側横方向磁気抵抗 Ro:外側横方向磁気抵抗 だたし、Ri<Ro である。そして、内側ロータ4の永久磁石の起磁力Vm
n,i、外側ロータ3の永久磁石の起磁力Vmn,oは次の式
によって定められる。
【0046】
【数1】 ただし、θは初期状態の基準位置からの位相ずれ、αは
内外のロータ3,4の初期位相ずれである。
【0047】この図8の等価電気回路の考え方を図9
(a)に示す回転電機に適用すれば、図9(b)に示し
たように各部の磁気抵抗をRi,Ro,Rgと置くこと
により、図7に示すような結果が得られるのである。
【0048】図7に戻り、内側ロータ4の磁界強度を
1.5倍にした場合にステータコイル[2],[6]を
流れる磁束は外側ロータ3から内側ロータ4への磁束ル
ープLP1と、図8中の内側横方向磁気抵抗Riを通過
し外側ロータ3へ戻る磁束ループLP2とがある。ま
た、ステータコイル[4]では、内側ロータ4の磁界強
度を大きくしたので、磁束は外側ロータ3から内側ロー
タ4へ流れる(磁束ループLP3)。
【0049】しかしながら、内側ロータ4は先ほどの磁
束ループLP2によって磁束が流れているので、減磁を
免れると同時に、この磁束がステータコイルを通過して
いるのでトルクを発生する。
【0050】このようにして、ステータ2の内外に、磁
石極対数が異なる磁石入りのロータ3,4それぞれを配
置し、内外のロータ3,4それぞれを駆動する制御電流
をステータコイルに複合して流すことによってこれらの
ロータ3,4を回転させる回転電機1において、磁石極
対数の多い外側ロータ3の磁石の起磁力よりも磁石極対
数の少ない内側ロータ4の磁石の起磁力を大きくし、さ
らにステータコイルを磁石極対数の多い外側ロータ3寄
りに配したことにより、内外のロータ3,4にトルクを
発生させることができ、しかも内外のロータ3,4の永
久磁石の同極同士が対峙するときにも減磁作用が起こら
ず、磁石特性の劣化を抑制することができて回転電機の
長寿命化が図れる。
【0051】なお、上記の実施の形態では、磁石極対数
の多い外側ロータ3の磁石の起磁力よりも磁石極対数の
少ない内側ロータ4の磁石の起磁力を大きくし、さらに
ステータコイルを磁石極対数の多い外側ロータ3寄りに
配したが、これとは逆に、磁石極対数の多い外側ロータ
3の磁石の起磁力よりも磁石極対数の少ない内側ロータ
4の磁石の起磁力を小さくすることも可能である。図1
0の場合、内側ロータ4の磁界強度を、図6に示した内
側ロータ4の磁界強度の0.7倍に小さくした場合の同
様の展開図を示している。
【0052】この図10から分かるように、内側ロータ
4の磁石起磁力のピークを下げたことによりコイル
[4]を通過する磁束B4はマイナスとなり、磁極数の
少ない内側ロータ4の永久磁石に対する減磁作用は上記
の実施の形態と同様に避けることができるが、この場合
には内側の電流値が低くなるのでトルクが出ない問題が
ある。
【0053】また、上記の実施の形態では、内側ロータ
4の永久磁石の起磁力を外側ロータ3の永久磁石の起磁
力よりも大きくしたが、起磁力を変更する方法として
は、磁石の厚さを厚くすることにより、また磁束密度の
大きい磁石を選定することによっても実現できる。
【0054】加えて、上記の実施の形態では表面磁石
(SPM)タイプの回転電機について説明したが、永久
磁石をロータの中に埋め込むIPMタイプの回転電機に
対して適応することができる。そしてその場合には、I
PMタイプがSPMタイプに比べて外部磁界の不均一性
に対して表面磁束密度を均一にすることができ、局部的
な磁石の減磁を防ぐことができるメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1つの実施の形態の断面図。
【図2】上記の実施の形態の回転電機の動作原理を示す
断面図。
【図3】上記の実施の形態の回転電機に対する制御回路
の構成を示すブロック図。
【図4】上記の回転電機の制御回路におけるインバータ
及び電源部分を示す回路図。
【図5】一般的な永久磁石の磁束密度B−磁界強度H特
性図。
【図6】上記の実施の形態において、内外のロータの永
久磁石の起磁力を等しくした場合の磁束分布を示す説明
図。
【図7】上記の実施の形態において、内側ロータの永久
磁石の起磁力を大きくした場合の磁束分布を示す説明
図。
【図8】上記の実施の形態の磁気回路に対する等価電気
回路の回路図。
【図9】上記の実施の形態のステータの断面図及び磁気
抵抗モデルの説明図。
【図10】本発明の上記の実施の形態に対する比較例で
ある内側ロータの永久磁石の起磁力を小さくした場合の
磁束分布を示す説明図。
【符号の説明】
1 回転電機 2 ステータ 3 外側ロータ 4 内側ロータ 6 コイル 7 コア 8 ギャップ 11 電源 12 インバータ 13,14 回転角センサ 15 制御回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平11−275826(JP,A) 特開 平11−275827(JP,A) 特開 平11−275828(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02K 16/02 H02P 7/67

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁石極対数が異なる磁石入りのロータ2
    つを同一回転軸上に配置し、前記2つのロータに対する
    磁気回路を共有したステータを前記2つのロータの間に
    配置し、前記2つのロータそれぞれを駆動する制御電流
    を前記ステータのコイルに複合して流すことによって前
    記2つのロータを独立に回転させる回転電機であって、一方のロータは、他方のロータよりも少ない磁石極対数
    とされ、 前記一方のロータに設けられる磁石の起磁力を、前記他
    方のロータに設けられる磁石の起磁力よりも大きくした
    ことを特徴とする 回転電機。
  2. 【請求項2】 前記一方のロータに設けられる磁石の磁
    束密度を、前記他方のロータに設けられる磁石の磁束密
    度よりも大きくしたことを特徴とする請求項1に記載の
    回転電機。
  3. 【請求項3】 前記他方のロータの磁石の厚みに対し
    て、前記一方のロータの磁石の厚みを厚くしたことを特
    徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の
    転電機。
  4. 【請求項4】 前記2つのロータは前記ステータの内側
    に配置された内側ロータと、前記ステータの外側に配置
    された外側ロータであって、 前記記一方のロータは前記内側ロータであり、前記他方
    のロータは前記外側ロータであることを特徴とする請求
    項1〜請求項3のいずれか1項に記載の 回転電機。
  5. 【請求項5】 前記ステータに設けたステータコイルを
    外周側寄りに設けたことを特徴とする請求項4に記載の
    回転電機。
  6. 【請求項6】 前記外側ロータ、及び内側ロータは、
    PMタイプであることを特徴とする請求項1〜請求項5
    のいずれか1項に記載の回転電機。
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