JP3493544B2 - 抗体アッセイ装置 - Google Patents

抗体アッセイ装置

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JP3493544B2 JP21884398A JP21884398A JP3493544B2 JP 3493544 B2 JP3493544 B2 JP 3493544B2 JP 21884398 A JP21884398 A JP 21884398A JP 21884398 A JP21884398 A JP 21884398A JP 3493544 B2 JP3493544 B2 JP 3493544B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、体液中に存在する
抗体を検出乃至測定する装置、殊に、臨床検体としての
尿中に存在する、バクテリアやウイルス等の病原体に向
けられた抗体を精度よく、また簡便かつ特異的に検出乃
至測定する装置に関する。さらに本発明は、体液中、特
に尿中に存在する標的抗体を精度良く検出測定できる固
相アッセイ法に関する。
【0002】本発明によれば、特に被検試料が薄いなど
の原因によって生じる偽陰性を真性陰性と区別して検出
できるため、誤分析が少なく精度の高い抗体アッセイを
することができる。ゆえに、特に尿などの抗体の絶対量
が少ない検体を対象とするアッセイに有用である。
【0003】
【従来の技術】体液中に存在する、バクテリアやウイル
ス等の病原体に向けられた特異抗体の検出・測定は、感
染の有無を間接的に診断するために有用であり、従来か
ら広く診断分野において、病原体またはその由来成分を
測定系の抗原(リガンド)として利用した免疫測定法及
び測定装置が用いられている。
【0004】その一つとして、ストリップの形態の1片
の多孔質基材上で結合アッセイ(抗原抗体反応)を行う
ものを挙げることができる。この種のアッセイは、上記
多孔質基材の毛細管特性により、ストリップの一端に付
した液体が順次一定方向に毛細管移動するという性質を
利用したものである。つまり、分析対象物を含む被検試
料(液体)を、種々の反応成分が特定の位置に順次配置
されてなるストリップの一端に付すと、被検試料は該ス
トリップに沿って順次毛細管移動し、これにより所望の
位置で反応成分が接触して反応する。また分析対象物の
存在は、リガンドとリセプターの間の結合反応に含まれ
る検出可能な標識からのシグナルを検出することにより
確認、測定される。
【0005】これらの原理を用いるイムノアッセイは、
しばしばイムノキャピラリーアッセイ又はイムノクロマ
トグラフィーアッセイなどと呼ばれ、例えば国際公開第
87/02774号、EP0306772号等に開示さ
れている。またその改良法としては特開昭64−638
65号公報、特開平1−299464号公報及び特開平
6−167497号公報に記載された発明を挙げること
ができる。
【0006】かかる従来のアッセイ法は、測定機器等を
必要とせず、簡便で短時間で測定を終了できるという利
点はあるものの、感度や特異性の面からは未だ改良の余
地がある。また、1テストずつ独立した測定であるた
め、陰性或いは陽性コントロール検体を同時に測定する
ことができず、得られた測定値が適切な測定に基づく信
頼性あるものであるかどうかの判断ができないという問
題を有している。
【0007】特に被検試料が尿等の血液以外の体液であ
る場合、その中に存在する抗体量は、血液中の抗体量の
通常1千分の1から1万分の1程度と非常に低濃度であ
る。加えて、水分を多量に摂取した被験者の尿サンプル
は極端に薄いといったように、サンプル間で抗体の量に
かなりのバラツキがある。
【0008】この場合、上記の従来のアッセイ系では、
被検試料が薄すぎて抗体が検出できない場合も「陰性」
結果を示すため、結果が真なる「陰性」なのか、被検試
料が薄すぎて「陰性(偽陰性)」なのか、これら両者を
区別できないという問題を含んでいた。また、尿等のよ
うに抗体量の少ない被検試料を対象とする場合、高感度
に検出できる測定系が必要とされるが、その結果非特異
的反応が検出されやすく偽陽性を示しやすいという問題
もある。
【0009】生体試料としての尿は、血液と比較して、
その調製が非侵襲的であり簡便かつ安全なことから、臨
床検査において殊に望ましい検体と考えられる。このた
め、尿を検体とする場合でも十分な精度を与える抗体ア
ッセイ系、つまり偽陰性や偽陽性検出が低減された、高
精度で且つ特異性の高いアッセイ系が必要とされる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる事情
に鑑みて開発された、上記イムノキャピラリーアッセイ
又はイムノクロマトグラフィーアッセイの改良法であ
り、被検試料中の分析対象である標的抗体の存在及び量
を、被検試料に基づく原因によって生じる「偽陰性」と
「真性陰性」とを区別して、精度よく検出測定できる分
析技術を提供することを目的とする。更に本発明は、イ
ムノキャピラリーアッセイ又はイムノクロマトグラフィ
ーアッセイにおいて、被検試料に由来する非特異反応を
抑制して偽陽性検出を低減させてなる分析技術を提供す
ることを目的とする(←追加しました。)。
【0011】しかして、本発明は、尿等の比較的抗体量
の少ない体液を被検試料とする場合にも十分な精度を与
える、優れた抗体測定技術(アッセイを行うのに有用な
装置、該装置を用いたアッセイ)を提供することを目的
とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記抗体
測定技術における問題点を解決して、特に尿を被検試料
とする尿中抗体の高精度測定装置を開発すべく、鋭意研
究を進めていたところ、ストリップの反応領域(判定領
域)に、分析対象である標的抗体を検出する部位(「テ
スト部位」)に加えて、被検試料中に含まれる任意の抗
体を検出測定する「コントロール部位」を設けることに
より、「真性陰性」を「偽陰性」と区別して正確に検出
測定できることを見出した。つまり、かかるアッセイ系
によれば、被検試料の濃度が薄いなどの理由で判定不能
な不適性な被検試料を使用した場合は、被検試料中の総
抗体量が少ないため、コントロール部位が陰性を示す
(判定不能の表示)。一方、被検試料が適性である場合
はコントロール部位は陽性を示し、この場合のテスト部
位での結果により、被検体中の測定対象物(標的抗体)
の有無、すなわち「陽性」であるか「真性陰性」である
かを判定することができる。
【0013】なお、イムノキャピラリーアッセイ(イム
ノクロマトグラフィーアッセイ)の改良法を開示する特
開平1−299464号公報及び特開平6−16749
7号公報には、本発明と同様に判定領域にテスト部位に
加えてコントロール部位を設けたアッセイ装置が記載さ
れているが、かかるコントロール部位は、ストリップの
上流域に配置した標識体が毛細管移動により移動してテ
スト部位を通ったか否かを確認判定するものであり、本
発明とは全く異なるものである。
【0014】また、本発明者らは、尿などの試料濃度が
薄くしかも夾雑成分の多い検体を対象とする場合、測定
対象である抗体とそれに対するリガンドとの結合反応を
大腸菌由来成分の存在下で行うことにより、当該検体に
由来する非特異反応を抑制できることを見出した。さら
に、抗原抗体反応による尿中抗体の検出法において抗体
検出試薬としてIgGのFc領域に結合特異性を有する
試薬を用いることにより、検体に由来する非特異反応を
抑制し、偽陽性検出を低減できることを見出した。
【0015】本発明は、かかる知見に基づき完成された
ものであり;少なくとも (a)被検試料を接触させる第1
領域及び (b)被検試料中の抗体を反応させる第2領域
を、被検試料が毛細管現象により該第1領域から第2領
域に輸送されるように設けてなる固相支持体、並びに第
2領域での反応結果を検出するための標識手段を含有す
るアッセイ装置であって、上記(b)第2領域に、(i)アッ
セイ対象である標的抗体に対するリガンドを固定化した
テスト部位と (ii)被検試料中の任意抗体を捕捉するリ
ガンドを固定化したコントロール部位とを有することを
特徴とする抗体アッセイ装置である。
【0016】とりわけ、本発明の抗体アッセイ装置の特
徴は、第2領域にテスト部位とは別個にコントロール部
位を設けたところにあり、該コントロール部位は、適性
な被検試料を適用し適切な装置で適切に測定された場合
は、被検試料中に標的抗体が存在すると否に拘わらず、
標識の存在下で陽性の結果を示す表示を形成し、一方不
適性な被検試料を適用した場合或いは不適切な装置でも
しくは不適切に測定された場合は、被検試料に標的抗体
が存在すると否に拘わらず、標識の存在下で陰性の結果
を示す表示を形成するように構成される。
【0017】すなわち、本発明装置の第2領域中のコン
トロール部位は、被検試料中に標的抗体が存在すると否
に拘わらず、テスト部位の結果(特に陰性の結果)が、
有効なアッセイ結果であるか否かを表示する部位に相当
する。しかして、かかる構成に基づいて、本発明の抗体
アッセイ装置によれば、偽陰性と真性陰性とを区別して
精度よく被検試料中の抗体を定性、定量することが可能
となる。
【0018】更に、本発明の抗体アッセイ装置の特徴
は、テスト部位における標記抗体の反応が大腸菌由来成
分の存在下で行われるように設計されている点、及び/
又は、当該テスト部位における反応を検出する抗体検出
試薬として標的抗体IgGのFc領域に結合特異性を有
する試薬が所望により用いられるように設計されている
点である。かかる構成に基づいて、本発明の抗体アッセ
イ装置によれば、非特異的反応が抑制されて精度よく高
感度に被検試料中の抗体を定性、定量することが可能と
なる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明のアッセイ装置は、固相ア
ッセイを利用して、体液中の分析対象である標的抗体の
存在及び/又は量を精度よく検出測定するように改良さ
れたものである。
【0020】本発明において「体液」とは、測定対象と
なる抗体の存在が認められる生体(ヒト、その他の動物
を含む)の体液であれば特に限定されることなく、一般
の臨床検査において検体とされる体液を広く意味するも
のであるが、具体的には尿、脊髄液、羊水、唾液、血
清,血漿を含む血液等の体液、好ましくは血液以外の体
液を例示することができる。特に、本発明は、従来から
抗体検出への利用が望まれていた尿検体における検出精
度の問題を解決するものであり、本発明の効果を鑑みれ
ば、体液として尿を特に好ましく例示することができ
る。
【0021】また、体液中に存在する測定対象の「抗
体」は、その測定乃至検出が望まれる抗体であれば特に
限定はなく、例えば生体にとって異物である各種の病原
体に向けられた抗体であることができる。
【0022】かかる病原体としては、特に限定はなく、
ヒト、その他の動物へ感染しその結果としての抗体産生
が認められる各種の病原体を挙げることができる。具体
的には、例えば、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)、A
型,B型及びC型等の各種肝炎ウイルス、風疹ウイル
ス、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、サイトメ
ガロウイルス、単純ヘルペスウイルス、水痘・帯状ヘル
ペスウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルス等の
ウイルス;ヘリコバクターピロリ菌(H. pylori:以
下、単にH.ピロリ菌ともいう)、クラミジア、結核
菌、スピロヘータ、淋菌、梅毒菌、マイコプラズマ等の
バクテリア;及びトキソプラズマ、赤痢アメーバー、ツ
ツガムシ等の原虫等を挙げることができる。好ましく
は、HIV、各種肝炎ウイルス、風疹ウイルス、インフ
ルエンザウイルス、麻疹ウイルス、ヘルペスウイルス等
のウイルス;H.ピロリ菌等のバクテリアであり、特に
好ましくはH.ピロリ菌等のバクテリアである。
【0023】本発明によれば、まず、少なくとも第1領
域と第2領域を備える固相支持体が提供される。
【0024】第1領域は被検試料が付され被験試料と接
触する領域であり、第2領域は該被検試料中に含まれる
抗体(標的抗体を含み得る全抗体)がリガンド−リセプ
ター又は抗原−抗体の関係で反応・結合し、また更に標
識体の存在下でその反応結果が現れる領域(反応領域及
び判定領域)である。これらの領域は、固相支持体の第
1領域に付され、接触した被検試料が、該第1領域から
第2領域に毛細管現象によって輸送される態様で固相支
持体上に配置される。好ましくは、第1領域に接触した
被検試料の全部若しくは少なくとも一部が、固相支持体
の実質的に平面な層を通って第2領域に毛細管移動する
ように配置される。
【0025】尚、固相支持体は、第1領域から第2領域
を通って毛細管移動する被験試料(液体)を吸収する領
域として、第2領域に続いて第3領域を有していても良
い。
【0026】固相支持体は、好ましくはストリップの形
状を有し、第1領域及び第2領域は、ストリップの同一
平面上に被験試料が毛細管作用により第1帯域(第1領
域)から第2帯域(第2領域)に移動し、必要であれば
更に第2帯域から続く第3帯域(第3領域)に流入する
様式で配列される。なお、このように固相支持体の好ま
しい形状は、ストリップ形状であるが、その形状及びそ
の形式が本発明の固相支持体の各種の機能を実施しうる
限り、他の形状のいずれをも採用することができる。
【0027】固相支持体は、被検試料(液体)を吸収す
ることができ、かつ試料により湿潤した際、少なくとも
該試料に含まれる抗体を毛細管作用によって固相支持体
の第1領域から第2領域に、必要であれば更に第2領域
から続く第3領域へ流動させることができるものであ
る。さらに固相支持体は、被検試料中に含まれる抗体
(標的抗体を含む)と反応してそれを捕捉するリガンド
を支持固定化できるものであることが好ましい。
【0028】適切な固相支持体の例としては、ポリエチ
レン、グラスファイバー、セルロース、レーヨン、ナイ
ロン、架橋デキストラン、各種のクロマトグラフィー用
紙、ニトロセルロース、ろ紙などの多孔性基材が挙げら
れる。
【0029】固相支持体の第1領域、第2領域、第3領
域等の各領域は、上記に掲げる基材の中から選択される
同一又は異なる基材から構成することができ、各領域の
役割や機能に応じて、種々選択して採用される。
【0030】固相支持体の第1領域は、その表面に適用
された被検試料を吸収し、該試料を第2領域に毛細管移
動させることができる多孔性基材からなることが好まし
い。第1領域に適した多孔性基材としては、特に制限は
されないが、通常ポリエチレン(例えばPOREX:Po
rex Tchnoogies,Fairburn,Georgia 製)、グラスファイ
バー、レーヨン、ナイロン、及び紙を含むセルロース系
材料等が例示できる。好ましくは多孔性ポリエチレン、
ろ紙等のセルロース系材料である。
【0031】固相支持体の第2領域は、その毛細管作用
により第1領域から第2領域へ被験試料(液体)をはじ
きながら(wicking)、毛細管移動させることができ、ま
た被検試料中の抗体(標的抗体を含む)に対するリガン
ドを、試料の毛細管移動により脱離しないように支持で
きる多孔性基材であることが望ましい。このような多孔
性基材としては、ろ紙、クロマトグラフィー用紙、グラ
スファイバー、架橋結合されたデキストラン、ナイロン
及びニトロセルロースなどが挙げられるが、好ましく
は、リガンドを容易に固定することができる理由から、
ニトロセルロースである。
【0032】第2領域には、被験試料中の標的抗体を特
異的に認識してそれを捕捉するリガンドを結合固定化し
てなるテスト部位、及び被験試料中の任意抗体を認識し
てそれを捕捉するリガンドが結合固定化してなるコント
ロール部位が設けられる。コントロール部位は、テスト
部位と一定の間隔をおいて、好ましくは毛細管移動の下
流位置に配置され、両部位が同じ条件で被検試料の液体
先端により接触されることが望ましい。
【0033】テスト部位のリガンドとしては、分析対象
である標的抗体と特異的に結合するものであれば特に制
限されないが、好ましくは、分析対象である標的抗体に
特異的に認識され、特異的に結合(抗原抗体反応)する
抗原を挙げることができる。かかる抗原としては、既存
の血清抗体測定系において採用されている抗原を広く採
用することができる。これらは、前述するウイルスやバ
クテリア等の病原体そのものであってもよいが、少なく
とも当該病原体に固有の抗原決定基を有するものであれ
ばよい。例えば、病原体を加温処理や放射線照射等によ
り不活性化したもの、病原体を界面活性剤等で抽出処理
して得られる抗原、また、化学合成や遺伝子工学的手法
により人工的に調製した抗原等を例示することができ
る。
【0034】コントロール部位のリガンドとしては、被
検試料中に含まれる任意の抗体と結合するものであれば
特に制限されないが、好ましくは、特に尿に含まれる任
意抗体を特異的に認識し、該抗体に結合する抗体(抗−
イムノグロブリン抗体)を挙げることができる。
【0035】これらのリガンドは、液体試料の毛細管移
動によりテスト部位及びコントロール部位から脱離除去
されないように、それぞれテスト部位及びコントロール
部位に位置する多孔性基材に固定される。すなわち、各
リガンドは第2領域が分析対象物を含む試料により濡れ
たときに、拡散しないように上記多孔性基材の各部位に
結合し、そして該各部位に固定化された状態を保ち、固
相支持体の第3領域に輸送されることがないように支持
されることが望ましい。
【0036】このようなリガンドの固定化は、当該技術
分野において公知の方法により、上記の各種多孔性基材
に物理的結合または化学的結合させることにより達成で
きる。
【0037】例えば、共有結合法としてジアゾ法、ペプ
チド法(酸アミド誘導体法、カルボキシルクロライド樹
脂法、カルボジイミド樹脂法、無水マレイン酸誘導体
法、イソシアナート誘導体法、臭化シアン活性化多糖体
法、セルロースカルボナート誘導体法、縮合試薬を使用
する方法等)、アルキル化法、架橋試薬による担体結合
法(例えば架橋試薬としてグルタールアルデヒド、ヘキ
サメチレンイソシアナート等を用いるもの)、Ugi反
応による担体結合法等の化学的反応:或いはイオン結合
法:物理的吸着法等が例示できる。また第2領域に用い
られる多孔質基材がニトロセルロースの場合は、非共有
結合によって簡便に上記リガンドを結合することが可能
である。
【0038】第2領域のテスト部位に用いられるリガン
ド(抗原)の量は、被検試料中に存在すると思われる標
的抗体が本質的にすべてテスト部位に結合するように過
剰量であることが好ましい。
【0039】また、第2領域のコントロール部位に用い
られるリガンド(抗−イムノグロブリン抗体)の量は、
被検試料中の任意の抗体(標的抗体を含んでいても良
い)が本質的にすべてコントロール部位に結合するよう
に過剰量であることが好ましい。
【0040】なお、テスト部位における標的抗体とリガ
ンド(特に抗原)との結合反応は、大腸菌由来成分の存
在下で行なわれることが好ましい。かかる大腸菌由来成
分は被検試料の希釈溶液中に配合され被検試料とともに
第1領域に付されることによって反応系に供されてもよ
いし、また固相支持体のテスト部位又はその上流域(前
述の第1領域、後述するトレーサー領域等)に脱着可能
なように付着固定されていてもよい。大腸菌由来成分と
しては、後述するいずれものであってもよいが、、好ま
しくは大腸菌の可溶性抽出物、リポ多糖(LPS)が例
示される。
【0041】被検試料を第1領域に適用すると、試料は
第1領域から毛細管移動により第2領域に流入し、そこ
でまず第2領域内のテスト部位に試料中の標的抗体が結
合・固定化され、次いでその下流に位置するコントロー
ル部位に残りの任意抗体(テスト部位に結合しきれなか
った標的抗体を含む)が結合・固定化される。
【0042】本発明で用いられる標識手段は、被検試料
中の標的抗体及び任意抗体がそれぞれ上記のテスト部位
及びコントロール部位に結合・固定化されたか否かを検
出する手段として用いられる。
【0043】かかる標識手段としては、抗体に対するリ
ガンドと該リガンドに結合した検出可能な標識から構成
されるものを挙げることができる。
【0044】抗体に対するリガンドは、被検試料中に存
在する抗体を認識してかつそれに結合する分子であれば
特に制限されないが、本発明においては、測定対象であ
る標的抗体及び被検試料中に含まれる任意の抗体のいず
れにも結合するものであることが望ましく、かかるもの
としては前記したコントロール部位のリガンドと同一の
もの、特には該コントロール部位のリガンドとして採用
したと同一の結合性を有する抗イムノグロブリン抗体を
例示することができる。
【0045】該抗イムノグロブリン抗体には、例えばヒ
トイムノグロブリン等の対象に応じたイムノグロブリン
を免疫源として免疫された任意の被免疫動物から得られ
る抗血清またはその精製物(ポリクローナル抗体)或い
はモノクローナル抗体が包含される。
【0046】なお、コントロール部位のリガンドとして
の抗イムノグロブリン抗体は、所望により、例えば被検
試料に含まれる総抗体を補足しこれを検出するように全
てのクラスの抗体に向けられたものとすることができ、
或いは、イムノグロブリンG(IgG)等の任意の所望
クラスの抗体に向けられたものとすることもできる。好
ましくは、かかるリガンドは測定を所望する標的抗体の
クラスと同じクラスの抗体に向けられた抗イムノグロブ
リン抗体とすることができ、この場合にはコントロール
部位において標的抗体と同種抗体の検出が行われること
により、尿に限らず、血清等の各種の体液を被験試料に
用いる場合においても、そのアッセイが適切に実施され
たかを判断する上で最も適した指標を与える点で好まし
い。
【0047】また、測定対象抗体がIgGである尿中抗
体の測定においては、上記標識手段としてのリガンド
は、より好ましくはIgGのFc領域に結合特異性を有
することで特徴づけられるリガンドあるのがよく、例え
ばIgGの軽鎖或いはF(ab)領域と反応性を示さない
Fc特異的抗IgG抗体、又はIgGのFc領域に対し
て特異的に反応性を有するプロテインAやプロテインG
等の採用を好ましく例示することができうr。これらの
抗イムノグロブリン抗体乃至リガンドは、常法に従って
調製することができ、また市販品としても入手すること
ができる。
【0048】検出可能な標識成分は、特異的結合アッセ
イ、特にイムノアッセイに使用される当該技術分野にお
いて公知のもの又は将来使用され得るあらゆる検出可能
な標識であれば特に制限はされない(「単クローン抗
体」岩崎辰夫 他著、講談社サイエンティフィク、198
4;「酵素免疫測定法」第2版、石川栄治 他著、医学
書院、1982等)。
【0049】好ましい標識としては、第2領域のテスト
部位やコントロール部位において好ましくは色の変化を
生じるものである。制限はされないが、より好ましくは
色の変化を何らかの計測器を必要とすることなく、可視
的に認識できるものである。例えば、各種の色原体、例
えば蛍光性物質、吸収性色素などが挙げられ、より好ま
しくは可視的に検出可能なマーカーを含む粒子状の標識
を挙げることができる。
【0050】適切な粒子状の標識には、ポリマー(例え
ば、ラテックス又はポリスチレン)、嚢(サック)、リ
ポソーム、金属ゲル(例えば、銀コロイド又は金コロイ
ド)またはポリスチレン染料の粒子が含まれる。好まし
くは銀コロイド又は金コロイド等の金属ゲルである。
【0051】かかる標識は、常法に従い、リガンドに化
学的或いは物理的に結合させることによって標識化リガ
ンドとして調製され、これらはまた市販品としても入手
することができる。
【0052】本発明で用いられる標識手段は、固相支持
体の第2領域(テスト部位及びコントロール部位を含
む)に適用されて、該領域で生じた試料中の抗体との反
応結果を検出できるように標識するものであればよく、
かかる目的を満たす限りにおいてその存在態様は特に制
限されない。例えば、本発明アッセイ装置をフロースル
ー(flow through)タイプの装置とする場合には、当該
標識手段は固相支持体とは別個のものとして、本発明の
試薬キットに含ませることができる。
【0053】好ましくは、標識手段は固相支持体に脱離
可能な態様で支持固定化されており、より好ましくは固
相支持体の第2領域より上流域に脱離可能な態様で支持
固定化されているのが望ましい。一層好ましい態様は、
固相支持体の第1領域と第2領域との間に位置する領域
(以下、トレーサー領域という)に支持されるものであ
る。かかる場合、第1領域に適用された被検試料は、毛
細管移動によりトレーサー領域にはじかれ(wicked)、
そこで標識化リガンドと接触して、標的抗体/標識化リ
ガンド−複合体及び任意抗体/標識化リガンド−複合体
をそれぞれ形成する。トレーサー領域を通過後、かかる
複合体を含む被検試料は更に毛細管移動により第2領域
に移動する。第2領域内のテスト部位に配置されたリガ
ンド(抗原)は、標的抗体に特異的であり、またコント
ロール部位に配置されたリガンド(抗イムノグロブリン
抗体)は、任意抗体に特異的である。このため、毛細管
移動してきた試料中の標的抗体/標識化リガンド−複合
体はまず該テスト部位に捕捉され、次いで試料中の残り
の任意抗体/標識化リガンド−複合体(標的抗体/標識
化リガンド−複合体を含む)がコントロール部位に捕捉
される。
【0054】かかる固相支持体のトレーサー領域は、被
検試料を標的抗体及び任意抗体とともに第1領域から第
2領域へと毛細管移動により輸送でき、かつ上述する標
識化リガンドをかかる毛細管移動に伴って脱離可能なよ
うに支持固定できる基材からなるものであれば特に制限
されない。通常、多孔性基材からなり、例えばポリエチ
レン、グラスファイバー、レーヨン、ナイロン、又は紙
等を含むセルロース系材料等を例示することができる。
好ましくは、非特異的な吸着を呈しにくい材料であり、
例えば所望によりポリビニルアルコール(PVA)で処
理されていてもよいグラスファイバー等を挙げることが
できる。
【0055】本発明の好ましい態様には、固相支持体
に、上記のトレーサー領域と第2領域内のテスト部位と
が一定の間隔をおいて配置されてなるものが含まれる。
このように、トレーサー領域とテスト部位との間に一定
の領域が設けられることにより、トレーサー領域で標識
化リガンドと接触した被検試料は、第2領域のテスト部
位に到達するに先だって、かかる領域で抗体と標識化リ
ガンドとが混合され、抗体と標識化リガンドとの結合反
応が促進される。つまり、かかる領域は、試料中の標的
抗体及び任意抗体がそれぞれテスト部位及びコントロー
ル部位に接触する前に、該標的抗体及び任意抗体と標識
化リガンドとの結合のためのインキュベート領域(時
間、空間)を提供するものである。
【0056】更に、本発明の固相支持体は、第2領域に
続いて第3領域を有していても良い。
【0057】被検試料は第1領域、必要であればトレー
サー領域を通じて、第2領域に接触後、毛細管移動によ
って第2領域を通過して該第3領域へ移動し続ける。す
なわち、かかる第3領域は第2領域から流入する液体を
受ける領域として機能し、第2領域と毛細管移動により
液体伝達されている。
【0058】第3領域は、通常少なくとも第2領域で結
合しなかった液体含有物質を受けるために機能するもの
であればよいが、更に、液体試料の毛細管流(すなわ
ち、液体の先端)が、固相支持体上の予め決定された完
了ゾーンに進んでアッセイの完了を知らせる部位を有す
ることもできる。
【0059】かかる目的で、固相支持体には、第2領域
の下流域にエリスロシンB、サフラニンOまたはフェノ
ールレッド等の水溶性染料を含む可視インディケーター
ゾーンを設けることもできる。この場合、被検試料の液
体先端が第2領域を横切り、そして第3領域に入る際に
上記インディケーターゾーンを通って流れ、そこに位置
する染料は被検試料(液体)の毛細管移動により下流域
に運ばれ、そこで被検試料が第1領域、トレーサー領域
及び第2領域(テスト部位、コントロール部位)を通過
して、アッセイが完了したことを検出確認することがで
きる。
【0060】第3領域は、被検試料(液体)を吸水でき
る基材からなるものであれば特に制限されず、例えばポ
リエチレン、レーヨン、ナイロン、又は紙等を含むセル
ロース系材料等を例示することができる。好ましくは紙
等を含むセルロース系材料である。
【0061】以下、本発明を、抗体アッセイ装置及びそ
の部品の好ましい態様を添付する図面を参照しながら説
明する。ただし該図面で示す装置は本発明の一態様にす
ぎず、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0062】図1は、本発明の装置に含まれるストリッ
プ形状の固相支持体(60×5mm)の略図である。図1
中、記号1は被検試料が適用され該被検試料が接触する
第1領域(16×5mm、厚さ0.92mm)であり、記号
2は標識化リガンド(例えば、金コロイド標識化抗ヒト
IgG抗体)が支持されているトレーサー領域(5×5
mm、厚さ0.79mm)であり、記号3は被検試料中の抗
体と反応し、その結果を表示する第2領域(18mm×5
mm、厚さ0.1mm)であり、記号4は第1領域から第2
領域を経て移動してきた被検試料を吸収する第3領域
(22×5mm、厚さ1.46mm)である。
【0063】第1領域の厚さは通常0.2〜2mm、好ま
しくは0.8〜1.2mmであり、トレーサー領域の厚さ
は通常0.2〜1.5mm、好ましくは0.5〜1mmであ
り、第2領域の厚さは通常0.03〜0.2mm、好まし
くは0.08〜0.12mmであり、第3領域の厚さは通
常0.5〜3mm、好ましくは1〜2mmを挙げることがで
きるが、これらに何ら制限されることはない。
【0064】第2領域(3)内には、標的抗体に特異的
に結合するリガンドが支持固定化されてなるテスト部位
(テストライン、約1×5mm)(記号5)と任意抗体に
結合するリガンド(抗ヒトイムノグロブリン抗体)が支
持固定化されてなるコントロール部位(コントロールラ
イン、約1×5mm)(記号6)とが配置される。テスト
部位(5)はトレーサー領域(2)から一定の間隔(約
6mm程度)を置いて、またコントロール部位(6)はテ
スト部位(5)から一定の間隔(約6mm程度)を置いて
配置される。テスト部位は、被検試料中の標的抗体と特
異的に反応し、標識の存在下でその標的抗体の存在の有
無を表示するように機能し、コントロール部位は使用し
た被検試料が適性であったか否かを標識の存在下で表示
するように機能する。
【0065】ストリップの固相支持体を構成する、第1
領域,トレーサー領域,第2領域及び第3領域の各部材
(基材)は、試料が移動するストリップの長手方向にそ
れぞれ接合されていればよく、その接合態様を問わない
が、好適には、第1領域の長手方向の先端域とトレーサ
ー領域の基端域、トレーサー領域の先端域と第2領域の
基端域、並びに第2領域の先端域と第3領域の基端域が
積層された状態で接合されていることが望ましい。より
好ましくは図1に示されるように、第1領域の長手方向
の先端域がトレーサー領域の基端域の上に積層され、ま
たトレーサー領域の長手方向の先端域が第2領域の基端
域の上に積層される態様であり、更に第3領域の基端域
が第2領域の先端域の上に積層されていてもよい。かか
る接合態様を有することによって、第1領域に付された
試料はストリップの長手方向にスムーズに移動すること
ができる。積層域の長手方向幅は特に制限されないが、
できるだけ小さい方が望ましく、好ましくは0.5〜2
mm、より好ましくは0.8〜1.2mm程度を例示す
ることができる。なお、積層部の各領域の上下位置はこ
れに限定されず、その逆であってもよい。
【0066】次に図2に基づいて、本発明装置によるア
ッセイ原理を説明する。
【0067】アッセイにおいて、標的抗体を含む疑いの
ある被検試料は、まず固相支持体の第1領域(1)に適
用される。
【0068】なお、被検試料は、尿等の体液をそのまま
使用しても、また適当な希釈溶液で希釈して使用しても
よい。希釈溶液としては、特に制限されず、例えばpH
5〜9程度、好ましくはpH6.5〜8.5程度の範囲
で緩衝能のある緩衝剤(例えばクエン酸緩衝液、燐酸緩
衝液、トリス緩衝液、酢酸緩衝液、ホウ酸緩衝液等)、
界面活性剤などを含むことができる。
【0069】また、抗原抗体反応を大腸菌に由来する成
分の存在下で行うことにより、非特異的検出が抑制され
偽陽性検出が低減されることから、好ましくは、更に大
腸菌由来成分を含む希釈溶液を用いることが望ましい。
ここで大腸菌由来成分は、大腸菌(Escherichia coli)
に由来する成分であれば特に制限されず、例えば、その
蛋白質成分、糖質成分、脂質成分又はその混合成分であ
ることができる。好ましくは、大腸菌の可溶性抽出物、
またはリポ多糖(LPS)を例示することができる。上
記大腸菌由来成分の調製方法は、特に制限されず各種の
方法によることができる。通常、任意の大腸菌を該大腸
菌の生育に適した培地を用いて生育増殖させ、得られた
菌体を集菌して、超音波破砕機等を利用した物理的手段
により或いは界面活性剤等を用いて破砕若しくは可溶化
することにより可溶性成分(可溶性抽出物)として調製
することができる。また、LPSは、有機溶媒(例え
ば、フェノール、クロロホルム及びエーテル等の単溶媒
又は2若しくは3種の混合溶媒使用)抽出により調製す
ることもでき、更に遺伝子工学的手法により人工的に調
製することもできる。また、これらは簡便には市販品を
使用することもできる。
【0070】希釈溶液中に配合する大腸菌由来成分の量
は、特に制限はされないが、反応系、すなわちテスト領
域におけるリガンド(抗原)1μgあたり、0.1〜1
00μg程度、好ましくは0.5〜50μg程度の割合
となるように調製されることが好ましい。
【0071】また被検試料に配合される大腸菌由来成分
の量として、通常5μg/ml以上、好ましくは5〜5
0μg/ml、より好ましくは10〜30μg/mの範
囲を例示することができる。なお、50μg/ml以上
配合することは特に制限しないが、それ以下の配合で本
発明の効果は達成される。
【0072】被検試料を第1領域(1)に適用すること
によって第1領域は湿潤する。適用された被検試料は、
第1領域(1)を通って毛細管移動によりトレーサー領
域(2)に入り、ここでトレーサー領域内に脱離可能な
状態で支持されている標識化リガンド(金コロイド標識
化抗ヒトIgG抗体)と接触し反応する。
【0073】適性な被検試料を使用した場合において、
試料中に標的抗体が含まれている場合は、標的抗体と試
料に含まれる任意抗体はいずれも、トレーサー領域
(2)において上記標識化リガンドに結合して、それぞ
れ標的抗体/標識化リガンド−複合体及び任意抗体/標
識化リガンド−複合体を形成する。被検試料がトレーサ
ー領域(2)を通過後、形成された各複合体又は複合体
を形成していない標識化リガンドは被検試料と共にトレ
ーサー領域(2)から下流域に輸送される。好適な態様
において、未だ複合体を形成していない標識化リガンド
は、トレーサー領域(2)から第2領域(3)のテスト
部位(5)に接触するまでの間に、抗体を含む被検試料
と共に毛細管移動しながら、複合体形成に十分な時間
(空間)を与えられる。次いで第2領域のテスト部位
(5)に到達すると、まず該部位(5)において被験試
料に含まれる標的抗体/標識化リガンド−複合体が、該
部位に支持されてなるリガンドと結合し、固定化され
る。次いで、被検試料は更に毛細管移動により下流域に
移動して、コントロール部位(6)において任意抗体/
標識化リガンド−複合体が該部位のリガンド(抗イムノ
グロブリン抗体)と結合し、固定化される。次に、第2
領域のテスト部位(5)及びコントロール部位(6)に
固定化された複合体を、その標識化リガンドの標識成分
に基づいて検出することによってアッセイ結果を陽性と
して示すことができる。それに対して、被検試料として
標的抗体を含まない試料を用いた場合は、テスト部位
(5)に結合する標的抗体/標識化リガンド−複合体が
形成されないため、該テスト部位(5)で標識は検出さ
れない(陰性)。
【0074】ところでテスト部位(5)で表示される陰
性結果には、試料の濃度が薄い(すなわち、試料中の総
抗体量が少ない)ことに起因する陰性(偽陰性)結果と
試料中に標的抗体が存在しない陰性(真性陰性)結果の
両者が包含される。かかる陰性の別はテスト部位(5)
の結果だけでは判定することはできないが、偽陰性の場
合は、コントロール部位(6)に結合する任意抗体/標
識化リガンド−複合体自体が形成されないため、コント
ロール領域が陰性を示し、真性陰性の場合は、任意抗体
/標識化リガンド−複合体が形成されるため、コントロ
ール領域が陽性を示し、かかるコントロール部位(6)
の陰性及び陽性の相違によって、テスト部位(5)の陰
性結果が偽陰性であるのか真性陰性であるのかを区別す
ることができる。更に、失活した標識化リガンドが採用
された場合等、適切な装置で適切に測定が実施されなか
った場合には、同様にコントロール部位(6)が陰性を
示すことにより、これらの原因による偽陰性検出をも防
ぐことができる。
【0075】あらゆる未結合抗体、標識化リガンドなど
を含む液体試料は毛細管移動により更に第2領域(3)
から下流域に位置する第3領域(4)に移動し続ける。
所望により、インディケーターゾーンを設けることがで
き、この場合、液体の先端はインディケーターゾーンか
ら完了ゾーンへ染料を運び、該液体染料が第3領域を通
過してアッセイが終了したことを示す。
【0076】前述する固相支持体は、使用しやすいよう
にアッセイ装置の形態でパッケージングされていること
が好ましい。
【0077】水平方向で使用される該アッセイ装置の例
を、図3に示す。第1領域(1)、トレーサー領域
(2)、第2領域(3)(テスト部位(5)とコントロ
ール部位(6)を含む)、第3領域(4)を含む固相支
持体(A)は、適当な材料からなるハウジング内(B)
に置かれる。かかるハウジング材料としては、成形可能
なプラスチック、例えばポリスチレン等が好ましいが、
他の材料、例えばガラスや金属や紙などを使用すること
も可能である。上記ハウジングは、幾つかの開口部を有
する上部セクション(7)と下部セクション(8)とか
らなり、固相支持体はハウジングの下部セクション上に
配置され、その上から上部セクションにより覆われる。
ハウジングの上部セクションの開口部(9)及び(1
0)は、固相支持体の各領域の配置に沿って整列され、
それぞれ固相支持体の第1領域(1)及び第2領域
(3)に対応している。
【0078】開口部(9)により支持体の第1領域
(1)に試料を適用することが可能となる(試料添加
窓)。開口部(9)は、該開口部の周辺に一段高い側面
を有していることが好ましく、かかる側面はウエルを形
成して液体試料が支持体の第1領域に滴下され浸透する
ことを促進する。なお、被検試料を固相支持体の第1領
域に接触させる方法は、特に制限されないが、装置の試
料添加窓(9)から固相支持体平面に対して垂直となる
ようにまっすぐ滴下することが好ましい。
【0079】開口部(10)は、固相支持体の第2領域
のテスト部位及びコントロール部位が目視できるように
配置され、これによりテスト部位への標識化リガンド/
標的抗体−複合体の結合の有無、及びコントロール部位
への標識化リガンド/任意抗体−複合体の結合の有無を
視覚によって検出可能となる(検出窓、判定窓)。な
お、開口部(10)は、必ずしもテスト部位とコントロ
ール部位との双方を含むように開口している必要はな
く、固相支持体のテスト部位とコントロール部位とが別
個の開口部によって2つの検出窓を形成するものであっ
てもよい。
【0080】本発明のアッセイ装置によれば、通常45
℃以下、好ましくは4〜40℃、より好ましくは25〜
40℃程度の温度条件下で、被検試料適用後、数分〜3
0分、好ましくは5〜20分放置することによって、被
検試料中の標的抗体の存在の有無及び/又はその量を精
度よくアッセイすることができる。
【0081】上記本発明の抗体アッセイ装置を用いて抗
体アッセイを行うにあたっては、かかる装置を含む試薬
キットを利用することが簡便である。
【0082】本発明は、前記する抗体アッセイを実施す
る為の試薬キットをも提供するものである。
【0083】該キットは、前記する抗体アッセイ装置を
必須成分として含有するものであるが、更に前述するよ
うな検体希釈液等の各種試薬、並びにスポイトや被検試
料を希釈するために使用されるアンプル(チューブ)等
の付属品を含んでいてもよい。
【0084】なお、本発明には下記の態様が含まれる; (1)少なくとも (a)被検試料を接触させる第1領域及
び (b)該被検試料中の抗体を反応させる第2領域を、被
検試料が毛細管現象により該第1領域から第2領域に輸
送されるように設けてなる固相支持体、並びに第2領域
での反応結果を検出するための標識手段を含有するアッ
セイ装置であって、上記(b)第2領域に、(i)アッセイ対
象である標的抗体を補足するリガンドを固定化したテス
ト部位と (ii)被検試料中の任意抗体を捕捉するリガン
ドを固定化したコントロール部位とを有することを特徴
とする抗体アッセイ装置: (2)テスト部位に固定化されたリガンドが、被検試料
中の標的抗体に対する抗原である(1)記載の抗体アッ
セイ装置: (3)コントロール部位に固定化されたリガンドが、被
検試料中の任意抗体を捕捉する抗ヒトイムノグロブリン
抗体である(1)又は(2)に記載の抗体アッセイ装
置: (4)標識手段として、標的抗体及び任意抗体のいずれ
にも結合する標識化されたリガンドを有する(1)乃至
(3)のいずれかに記載の抗体アッセイ装置: (5)標識手段が、標的抗体及び任意抗体のいずれにも
結合する標識化されたリガンドであって、該標識化リガ
ンドは固相支持体の第2領域より上流域に脱離可能に支
持されており、被検試料と接触すると該試料中の標的抗
体及び任意抗体と反応してそれぞれ標的抗体/標識化リ
ガンド−複合体及び任意抗体/標識化リガンド−複合体
を形成し、毛細管現象によって第2領域に輸送されてお
のおのテスト部位及びコントロール部位に結合するもの
である、(4)記載の抗体アッセイ装置。
【0085】(6)標識化リガンドが、固相支持体の第
1領域と第2領域との間に位置する領域(トレーサー領
域)に支持されてなる(5)記載の抗体アッセイ装置: (7)標的抗体及び任意抗体のいずれにも結合する標識
化リガンドが、標識化された抗ヒトイムノグロブリン抗
体である(4)乃至(6)のいずれかに記載の抗体アッ
セイ装置: (8)上記抗ヒトイムノグロブリン抗体が、イムノグロ
ブリンGのFc領域に結合特異性を有する抗IgG抗体
である、(7)記載の抗体アッセイ装置: (9)固相支持体が、第1領域及び第2領域に続いて更
に吸収領域を有し、これにより第1領域から第2領域に
輸送された被検試料が毛細管現象によりさらに吸収領域
に輸送される(1)乃至(8)のいずれかに記載の抗体
アッセイ装置: (10)第2領域のテスト部位における標的抗体の結合反
応が大腸菌由来成分の存在下で行われる(1)乃至
(9)のいずれかに記載の抗体アッセイ装置。
【0086】(11)被検試料が尿である(1)乃至(1
0)のいずれかに記載の抗体アッセイ装置: (12)(1)乃至(11)のいずれかの抗体アッセイ装置
を含む抗体アッセイ用キット: (13)被検試料を(1)乃至(9)のいずれかに記載の
抗体アッセイ装置の第1領域に接触させ、第2領域のコ
ントロール部位が発色している条件のもとで、第2領域
のテスト部位の発色の有無を検出することからなる、被
検試料中の標的抗体の固相アッセイ方法: (14)被験試料が尿である(13)記載の標的抗体の固相
アッセイ方法: (15)抗体アッセイ装置の第2領域のテスト部位におけ
る標的抗体の結合反応を大腸菌由来成分の存在下で行う
ことを特徴とする(13)又は(14)記載の標的抗体の固
相アッセイ方法。
【0087】
【実施例】以下、本発明の内容を以下の実施例を用いて
具体的に説明する。以下の実施例は、本発明の抗体アッ
セイ装置の各部品及びそれを利用した装置の好ましい製
造及び使用方法、並びにそれを用いたアッセイ手順を記
載するものである。ただし、これらの実施例は本発明の
一態様にすぎず、本発明はこれらの実施例に何ら限定さ
れるものではない。
【0088】実施例1 (1)H.pylori抗原の調製 H.ピロリ菌(臨床分離株)をブルセラアガー培地(ベ
クトン社)で48時間培養(10% CO2, 5% O2, 37℃)
し、冷PBSで集菌した。冷PBSで5回遠心洗浄後、
菌体濃度が100mg/mlになるように冷PBSを加
え、撹拌下、等量の冷0.2%トリトンX−100のP
BS溶液を加えた。5分間撹拌後遠心して得た上清を
H.ピロリ抗原溶液とし、−80℃で保存した。
【0089】(2)標識抗ヒトIgG抗体含有乾燥グラ
スファイバーの調製 グラスファイバーシート(5.0mm×260mm、厚さ
0.8mm、Whatman社製)に直径40nmの金コロイド標
識抗ヒトIgG(Fc特異的)抗体溶液を1ml加えて
一夜乾燥して調製した。これは、使用するまで乾燥剤と
ともに室温で保存した。
【0090】(3)メンブレンの調製 上記(1)で調製したH.ピロリ抗原溶液(3mg/m
l)及び抗ヒトIgG抗体(0.3mg/ml)のそれ
ぞれを、ニトロセルロース膜(26.5mm×260m
m、厚さ0.1mm;アドバンス・マイクロディバイス
社製)に、図4に示すように一定の間隔を置いて引いた
ライン状に噴霧(1.5μl/cm)し、37℃で12
0分間乾燥した。乾燥後、スキムミルクを含むボラック
ス(Borax)緩衝液(pH8.2)に30分間浸漬して洗浄
した。37℃で1時間乾燥し、乾燥剤とともに室温で保
存した。
【0091】(5)アセンブリー(固相支持体) 図3(A)に示すように、上記メンブレン(3)、吸水
濾紙パッド(4)(22×260mm、厚さ1.5m
m;Whatman社製)、上記標識抗体含有グラスファイバ
ー(2)及びサンプルパッド(1)(15×260m
m、厚さ1.0mm;ろ紙、Whatman社製)を接着剤に
て貼り合わせ、5mm幅にてカットした。
【0092】これを図3(B)に示すような成形された
プラスチックハウジングの下部セクション(8)内にお
き、次いで、試料添加窓(9)及び検出窓(10)が並
んだ2つの開口部を有するハウジングの上部セクション
(7)を支持体の上から被して下部セクション(8)と
一体化させた。
【0093】実施例2 H.ピロ リ尿中抗体の測定 実施例1で調製した装置を用いて、H.ピロリ感染者
尿、同未感染者尿及び同感染者の極端に薄い尿の3種類
の尿検体におけるH.ピロリ抗体を測定した。
【0094】まず、検体希釈液(200mM Tris, 0.14M Na
Cl, 2% カゼイン, 0.5% BSA, 0.05%Tween 20, 0.1% NaN
3 (pH 7.3)、大腸菌LPS(Gibco社製)50μg/m
l)500μlに尿検体500μlを加えて混合し、該
混合液から6滴(約150μl)を実施例1記載の装置
の試料添加窓(9)に滴下して支持体に吸着させ、20
分静置した。その結果、被検体として適性尿検体を使用
した場合は、検出窓(10)のコントロール部位にピン
ク〜赤色の発色帯が出現し、一方被検体として極端に薄
い不適性尿検体を使用した場合は、検出窓(10)のテ
スト部位及びコントロール部位はいずれも発色せず、判
定不能の結果を示した。適性尿検体を用いた場合、H.
ピロリ菌に感染していない場合は、検出窓(10)のコ
ントロール部位のみにピンク〜赤色の発色帯が出現し、
H.ピロリ感染に関して陰性結果(真性陰性)を示し、
H.ピロリ菌に感染している場合は、検出窓(10)の
テスト部位及びコントロール部位ともにピンク〜赤色の
発色帯が出現し、H.ピロリ感染に関して陽性結果を示
した。
【0095】実施例3 H.ピロ リ尿中抗体の測定 (1)実施例2の検体希釈液に配合した大腸菌LPSの
代わりに下記の方法で調製した大腸菌由来成分を使用す
る以外は、実施例2と同様にしてH.ピロリ尿中抗体の
測定を行った。その結果、実施例2と同様の結果が得ら
れた。m (2)大腸菌由来成分の調製 大腸菌(pvc18/JM109株:宝酒造社製)をアンピシリン
含有液体LB培地(Luria-Bertani培地、日本製薬社)
で、37℃、18時間培養後、遠心により集菌しPBS
で2回洗浄した。菌体濃度が100mg/mlになるよ
うに冷PBSを加え、超音波破砕機により破砕抽出した
(10秒×3回)。かくして得た遠心上清を大腸菌抽出蛋
白とした。
【0096】実施例4 現在ある診断法のうち最も正確なH.ピロリ感染診断法
であるとされる13C−UBTテスト[J.Gastroenterol.,
33:6-13(1998)]にて群分けしたH.ピロリ感染陽性者及
び同陰性者の各21例(計42例)の、全血液、血漿、
尿をそれぞれ被検試料として、被検試料中のH.ピロリ
抗体を上記実施例2に従って測定した。
【0097】尚、比較実験として、全血液、血漿を被検
試料とする市販のH.ピロリ抗体測定装置を使用して、
同一被験者の検体を対象として測定を行い、その結果か
ら本発明装置の効果を検討した。
【0098】結果を図5に示す。
【0099】なお、図中、比較装置A〜Hは下記の測定
装置を示す。
【0100】 A:Helitest(Cortecs Diagnostics社製) B:H.pylori-Check-1(Bio-Medical Products社製) C:First Check H.pylori(Worldwide Medical Corp.
社製) D:Biocard Helicobacter pylori IgG(Anti Biotech
Oy.社製) E:Insta Test H.Pylori(Cortez Diagnostics Inc.社
製) F:One Step H.pylori Test(Teco Diagnostics社製) G:H.pylori SPOT(International Immuno-Diagnostic
s社製) H:Quick Stripe H.pylori(Diatech Diagnostics In
c.社製) また、図中「Specifity」は、13C−UBTテスト陰性
サンプルを各キットで測定した時に、陰性として検出で
きた割合(陰性率)を示し、「Sensitivity」は、13
−UBTテスト陽性サンプルを各キットで測定した時
に、陽性として検出できた割合(陽性率)を示す。
【0101】図5の結果から、本発明のアッセイ装置及
びアッセイ方法は、被検体として血液(全血液、血漿、
血清)を使用した場合はもちろん、尿を使用した場合で
も、高い検出特異性及び精度を有する優れたアッセイシ
ステムであることが分かる。
【0102】また該結果より、本発明によれば、検体と
して安全かつ簡便な尿を採用しても高感度かつ高特異的
な抗体検出が可能であり、臨床検査分野において有用で
あることがいえる。
【0103】
【実験例】実験例1 大腸菌由来成分の尿中抗体測定に
対する効果 (1)尿中抗体測定に対する大腸菌由来成分の効果を実
施例2の測定系を利用して評価した。具体的には、13
−UBTテストにて群分けしたH.ピロリ感染陽性者及
び同陰性者の尿をそれぞれ被検試料として、検体希釈液
に大腸菌LPSを配合しない系(希釈液1)及び表1に
示す種々濃度の大腸菌LPSを配合した系で、尿中の
H.ピロリ抗体を測定した。テスト部位及びコントロー
ル部位のラインの発色は、デンシトメーター(ATTO
社製)によるライン強度で評価した。
【0104】結果を表1に示す。
【0105】
【表1】
【0106】被検試料に大腸菌LPSを11.1μg/
ml以上配合することで、希釈液1で見られた非特異反
応が消失し、偽陽性検出(誤検出)を防止できることが
分かった。
【0107】(2)次いで、被検試料(反応系)への大
腸菌LPSの配合が、ライン強度に影響を与えないこと
を確認するための実験を行った。具体的には、13C−U
BTテスト陽性尿4検体、同陰性尿4検体(尚、陰性尿
としては予め(1)の試験により偽陽性反応を示さない
ものを用いた。)の計8検体について、大腸菌LPSを
配合しない系(希釈液2)と検体希釈液に大腸菌LPS
を50μg/ml含有する緩衝液を用いて、実施例2の
方法に準じて、尿中の抗体の反応性を検討した。結果を
表2に示す。
【0108】
【表2】
【0109】この結果から、反応系に配合されたLPS
はライン強度に影響を与えないことが確認された。
【0110】実験例2 公知測定法[CalypteTM HIV-1 Urine EIA:Arch. Patho
l. Lab. Med., 119, 139-141 (1995); Clinical lnfec
tious Diseases, 19, 1100-1104 (1994)]による尿中H
IV抗体の測定において偽陽性の結果を与えた尿検体を
用いて、該測定系で非特異反応を与える成分を突きとめ
る検討を行った。
【0111】(1)上記該当する尿検体を1Mリン酸緩
衝液(pH 7.7)にてpH7.4に調整後、5.0、0.
8及び0.2μmのカットフィルターで順次濾過し、そ
の20mlを限外濾過(10 kdカットのメンブラン)に
て2mlにまで濃縮した。濃縮した尿検体をゲル濾過
(Sephacryl S-300, Pharmacia)に付し、得られた各分
画について、HIV抗原への反応性を試験した。
【0112】尚、HIV抗原への反応性は、各分画をH
IV抗原を固定化したHIV抗原固相化プレートと反応
させた後、結合成分(抗原抗体結合物)をALP標識ヤ
ギ抗ヒト(IgG+IgM)抗体(Jackson ImmunoRese
arch Labs.社製)にて検出することにより確認した。こ
の試験の結果、フラクション46〜48をピークとする
非特異反応成分の存在が確認された。
【0113】同様に、この抗原固相化プレートに結合し
た成分を、ALP標識ヤギ抗ヒトIgG(Fc特異的)
抗体又はHRP標識ヤギ抗ヒトIgG(Fab特異的)
抗体(いずれもJackson ImmunoResearch Labs.社製)を
用いて、検出した。結果を図6に示す。
【0114】図6において、縦軸は吸光度(O.D.)を、
横軸はゲル濾過の画分(フラクション番号)を示す。実
線は280nmにおける蛋白質の吸光度を、黒丸線は上
記抗ヒト(IgG+IgM)抗体による検出結果を、白
三角線は上記抗ヒトIgG(Fc特異的)抗体による検
出結果を、黒三角線は上記抗ヒトIgG(Fab特異
的)抗体による検出結果をそれぞれ示す。
【0115】図より、抗ヒトIgG(Fab特異的)抗
体での検出においては、抗ヒト(IgG+IgM)抗体
における場合と同様の反応様式(非特異反応成分との反
応性)を示し、一方、抗ヒトIgG(Fc特異的)抗体
を用いた場合には反応性を示さないことが明らかとなっ
た。このことより、非特異反応を与える成分は、抗ヒト
IgG(Fab特異的)抗体との反応性を保持したヒト
IgGの断片化物又は同変性物であると考えられた。
【0116】(2)上記の各分画をヤギ抗ヒトIgG
(H+L)抗体(Jackson ImmunoResearch Labs.社製)
と反応させ、結合成分をHRP標識ヤギ抗ヒトIgG
(Fc特異的)抗体、HRP標識ヤギ抗ヒトIgG(F
ab特異的)抗体又はHRP標識ラット抗ヒトIgM抗
体(いずれもJackson ImmunoResearch Labs.社製)と反
応させることにより、各グロブリン量を測定した。
【0117】その結果、IgG(Fc)濃度は、フラク
ション38をピークとしてフラクション50付近で検出
感度以下となったのに対し、IgG(Fab)濃度で
は、フラクション46まではIgG(Fc)と同等の濃
度を示し、その以降は穏やかな減少傾向を示すに留まっ
た。特にフラクション47以降はその差が顕著であっ
た。 このことは、フラクション46までは、両者の測
定値は完全な形のIgGに対する濃度を反映しているの
に対して、フラクション47以降のIgG(Fab)濃
度は、抗ヒトIgG(Fab特異的)抗体との反応性を
保持したIgG断片化物若しくは同変性物の濃度を反映
しているものと考えられる。
【0118】なお、IgMは、測定を行ったいずれの分
画においても検出されなかった。
【0119】(3)上記により、完全型IgGが豊富で
あると思われるフラクション38及び非特異反応成分が
豊富であると思われるフラクション47について、HR
P標識ヤギ抗ヒトIgG(Fc特異的)抗体又はHRP
標識ヤギ抗ヒトIgG(Fab特異的)抗体を用いたウ
エスタンブロット分析を行った。
【0120】その結果、フラクション38においては、
両標識抗体による分析結果はともにヒトIgG(対照)
の場合と酷似の反応様式を示した。フラクション47
は、ヒトIgG(Fc特異的)抗体での分析では、ヒト
IgGのメインスポットと43KDにわずかに反応する
スポットが認められ、この43KDスポットはその分子
量より断片化された重鎖(H鎖)であると思われた。ま
た、フラクション47のヒトIgG(Fab特異的)抗
体での分析では、ヒトIgGでは検出されないスポット
が20及び40KD付近に認められ、非特異反応を与え
る成分がこれらのスポットに該当すると考えられた。
【0121】以上より、尿中HIV抗体の測定時に非特
異的反応を与える成分は、抗ヒトIgG(Fab特異
的)抗体との反応性を保持したIgGの断片化物若しく
は同変性物であると考えられ、また、その分子量から、
IgG軽鎖(L鎖)及びその2量体などのL鎖に関与し
ている物質であると考えられた。
【0122】このことから、本発明の抗体アッセイ系
(アッセイ装置、アッセイ方法)において非特異反応を
与える成分との反応性を持たない、抗ヒトIgG(Fc
特異的)抗体を抗体検出試薬(本発明における標識手
段、すなわち固相支持体のトレーサー領域に固定化させ
る標識化リガンド)として使用することにより、抗体検
出において非特異反応を防ぐことができ、しかして、偽
陽性検出が減少することにより特異性の高い高精度の抗
体検出が可能となることが明らかになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアッセイ装置に含まれるストリップ形
状の固相支持体の略図を示す図である。
【図2】本発明のアッセイ装置のよる被検試料中の標的
抗体の測定原理を示す図である。
【図3】本発明のアッセイ装置の一例を示す図である。
【図4】第2領域におけるテスト部位及びコントロール
部位を示す図である(実施例1(3))。
【図5】実施例4の結果を示す図である。
【図6】尿中HIV抗体の測定において偽陽性の結果を
与える尿検体のゲル濾過と各分画の抗体反応性を示す図
である。なお図中縦軸は、吸光度(O.D.)を、横軸はゲ
ル濾過の画分(フラクション番号)を示す。実線は28
0nmにおける蛋白質の吸光度を、黒丸線は上記抗ヒト
(IgG+IgM)抗体による検出結果を、白三角線は
上記抗ヒトIgG(Fc特異的)抗体による検出結果
を、黒三角線は上記抗ヒトIgG(Fab特異的)抗体
による検出結果をそれぞれ示す。
【符号の説明】
1.第1領域 2.トレーサー領域 3.第2領域 4.第3領域 5.テスト部位 6.コントロール部位 7.ハウジングの上部セクション 8.ハウジングの下部セクション 9.試料添加窓 10.検出窓
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 町川 房市 徳島県板野郡藍住町住吉字乾19−18 (72)発明者 高橋 重雄 徳島県徳島市川内町平石寿野47−1− 502 (72)発明者 立川 哲也 徳島県板野郡北島町高房字東野神本13− 6 (56)参考文献 特表 平9−500962(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/543 G01N 33/531

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも (a)被検試料を接触させる第
    1領域及び (b)該被検試料中の抗体を反応させる第2領
    域を、被検試料が毛細管現象により該第1領域から第2
    領域に輸送されるように設けてなる固相支持体、並びに
    第2領域での反応結果を検出するための標識手段を含有
    するアッセイ装置であって、 1) 上記(b)第2領域に、(i)アッセイ対象である標的抗
    体を補足するリガンドを固定化したテスト部位と (ii)
    被検試料中の任意抗体を捕捉するリガンドを固定化した
    コントロール部位とを有し、2) 上記テスト部位に固定化するリガンドが、病原体、
    病原体を不活性化したもの、病原体を抽出処理して得ら
    れる抗原、又は化学合成により調製した抗原であり、 3) 上記(b)第2領域の(i)テスト部位における標的抗体
    の結合反応が大腸菌由来成分の存在下で行われる、 4) 被検試料が尿である、 ことを特徴とする抗体アッセイ装置。
  2. 【請求項2】 更に下記構成を備えている、請求項1に
    記載の抗体アッセイ装置: 5) 標識手段として、標的抗体及び任意抗体のいずれに
    も結合し、イムノグロブリンGのFc領域に結合特異性
    を有する標識化されたリガンドを有している。
  3. 【請求項3】 更に下記構成を備えている、請求項1又
    は2に記載の抗体アッセイ装置: 6) 上記固相支持体は、幾つかの開口部を有する上部セ
    クションと下部セクションとからなるハウジング内に置
    かれており、 7) 該上部セクションの開口部の一つは、周辺に一段高
    い側面を有する、上記 (a) 第1領域に対応している試料
    添加窓である。
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