JP3478184B2 - 出力選別装置及び動的システムの診断装置 - Google Patents

出力選別装置及び動的システムの診断装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、出力選別装置及び
動的システムの診断装置に係り、より詳しくは、必要な
出力を選別することの可能な出力選別装置及び該出力選
別装置を応用した動的システムの診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】タイヤ
と路面との間の摩擦特性を含む車輪共振系への加振入力
に対する応答出力を検出し、検出された応答出力に基づ
いて、タイヤと路面との間のすべり易さに関する物理量
等を推定する車両状態推定装置が提案されている(特願
平9−209780号)。
【0003】ここで、上記応答出力は周期的であること
が予想されるが、大きさが突発的に大きな応答出力や周
期的な変化が顕著に現れない応答出力を含む場合があ
る。大きさが突発的に大きな応答出力を含んだ上記応答
出力に基づいて、上記すべり易さに関する物理量等を推
定すると、突発的に大きな応答出力の影響が大きくなり
過ぎて、本来の周期的な応答出力が突発的に大きな応答
出力にかくれてしまう。よって、上記すべり易さに関す
る物理量の推定精度が悪い。また、周期的な変化が顕著
に現れない出力に基づいて、上記すべり易さに関する物
理量を推定すると、上記すべり易さに関する物理量の推
定値がばらつき、精度が悪い。
【0004】一方、動的システムの応答出力ベクトルに
基づいて、動的システムの外部から作用する外部外乱ベ
クトル及び動的システム内の故障により発生した内部外
乱ベクトルの和としての総合的外乱ベクトルを推定する
と共に動的システムの内部状態量ベクトルを推定し、こ
の推定された総合的外乱ベクトルと内部状態量ベクトル
との相互相関を演算することにより総合的外乱ベクトル
から内部外乱に関連する成分を分離し、この分離された
内部外乱に関連する成分から動的システムの対応箇所を
故障箇所としてシステムの診断を行う動的システムの診
断装置(特開平7−98268号公報、特願平8−34
6380号)が提案されている。この診断装置であって
も、応答出力ベクトルが大きさが突発的に大きな応答出
力や周期的な変化が顕著に現れない応答出力を含むと、
上記故障箇所の診断精度が悪くなる。
【0005】本発明は、上記事実に鑑み成されたもの
で、必要な出力を精度よく選別することができると共
に、必要な出力の周波数を検出することの可能な出力選
別装置及び該出力選別装置を応用した動的システムの診
断装置を提案することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のため請求
項1記載の発明は、周期的であることが予想される出力
を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された
出力に基づいて、該出力が周期的な出力か否かを判断す
るための判断値を算出する算出手段と、前記算出手段に
より算出された判断値に基づいて、前記出力又は前記出
力に対応して変化する信号を選別する選別手段と、を備
えている。
【0007】請求項1記載の発明に検出手段は、周期的
であることが予想される出力を検出する。算出手段は、
検出手段により検出された出力に基づいて、該出力が周
期的な出力か否かを判断するための判断値を算出する。
【0008】なお、算出手段は、検出手段により出力が
所定個数検出される毎に上記判断値を算出する。なお、
所定個数は、少なくとも1つである。即ち、1でもよ
く、複数個でもよい。
【0009】また、算出手段は、上記判断値として、検
出手段により検出された出力と該出力を該出力の周期的
な部分が該出力の変化に対応して変化するように変換し
た値との相関係数を算出するようにしてもよい。なお、
変換は、偶数回微分、偶数回差分、偶数回積分、及び偶
数回和分の何れかであるとしてもよい。
【0010】ここで、例えば、大きさが突発的に大きな
出力を上記のように変換しても、変換した値には周期的
な部分以外の成分が多く含まれる。即ち、突発的な出力
を上記のように変換した値は該出力の変化に対応して変
化しないので、突発的な出力と該出力を上記のように変
換した値との相関は小さい。
【0011】また、周期的な変化が顕著に現れない出力
を上記のように変換した値には、該出力の変化に対応し
て変化するように変換された成分が少ない。よって、周
期的な変化が顕著に現れない出力と該出力を上記のよう
に変換した値との相関は小さい。
【0012】そして、選別手段は、算出手段により算出
された判断値に基づいて、前記出力又は前記出力に対応
して変化する信号を選別する。
【0013】また、算出手段は、上記判断値として、検
出手段により検出された出力のゼロ基準が出力の振幅の
中心となるように補正して、補正された出力のゼロクロ
スをカウントしたカウント値と、補正された出力を補正
された出力の変化に対応して変化するように変換した値
のゼロクロスをカウントしたカウント値との比較値を算
出するようにしてもよい。なお、この時の変換は、n回
差分又はn回微分(nは自然数)で行うことができる。
【0014】ここで、例えば、大きさが突発的に大きな
出力を上記のように変換しても、変換した値には周期的
な部分以外の成分が多く含まれる。即ち、突発的な出力
を上記のように変換した値は該出力の変化に対応して変
化しないので共振が弱く(周期が長い)、検出手段によ
り検出された出力を上記のように補正し、ゼロクロスを
カウントしたカウント値と、変換値のカウント値の差は
大きくなる。従って、前記カウント値と前記変換値のカ
ウント値の比較値、例えば差に基づいて信号を選別する
ことにより、周期的な出力を精度よく選別することがで
きる。例えば、前記カウント値と前記変換値のカウント
値の比較値、例えば差が所定範囲である信号のみを選別
することにより周期的な出力を精度よく選別することが
可能である。
【0015】更に、検出手段により検出された出力の
内、所定周波数帯域の出力のみを通過させる通過手段
と、選別手段により選別された信号の周波数を検出する
周波数検出手段と、周波数検出手段により検出された周
波数に基づいて、通過手段を通過させる所定周波数帯域
を補正する補正手段と、を備えるようにしてもよい。こ
のようにすることにより、周波数検出手段により、周期
的な出力の周波数を検出することができる。例えば、周
波数検出手段は、出力が周期的な出力である場合に、ゼ
ロ基準が周期的な出力の振幅中心となるように補正し、
該出力のゼロクロス(符号反転ポイント)をカウントす
れば、サンプル時間T、サンプル数Nとゼロクロスカウ
ント値Cから周波数fをf=C/(2TN)より算出す
ることが可能である。また、補正手段は、通過手段の所
定周波数帯域の中心が周波数検出手段により検出された
周波数となるように補正するようにしてもよい。
【0016】このように、周期的であることが予想され
る出力が周期的な出力か否かを判断するための判断値を
算出し、算出した判断値に基づいて、該出力又は該出力
に対応して変化する信号を選別するので、該出力又は該
出力に対応して変化する信号から、大きさが突発的に大
きな出力等や周期的な変化が顕著に現れない出力等を除
去することができる。また、周期的である出力の周波数
を検出することができるという効果が得られる。
【0017】上記目的を達成するため請求項記載の発
明は、前記動的システムの内部状態量ベクトルに基づい
て、動的システム内の故障により発生する内部外乱ベク
トル及び動的システムの外部外乱ベクトルの和としての
総合的外乱ベクトルを推定する外乱推定手段と、前記内
部状態量ベクトルに基づいて、該内部状態量ベクトルが
周期的な出力か否かを判断するための判断値を算出する
算出手段と、前記算出手段により算出された判断値に基
づいて、前記外乱推定手段により推定された総合的外乱
ベクトルを選別する選別手段と、前記選別手段により選
別された総合的外乱ベクトルと前記内部状態量ベクトル
との相互相関を演算し、前記総合的外乱ベクトルから内
部外乱に関連する成分を分離する相関演算手段と、前記
相関演算手段により分離された内部外乱に関連する成分
に基づいて前記動的システムの故障箇所の診断を行う診
断手段と、を備えている。
【0018】請求項記載の発明によれば、外乱推定手
段は、動的システム内の故障により発生する内部外乱ベ
クトル及び動的システムの外部外乱ベクトルの和として
の総合的外乱ベクトルを推定し、算出手段により、内部
状態量ベクトルに基づいて該内部状態量ベクトルが周期
的な出力か否かを判断するための判断値を算出する。選
別手段は、算出手段により算出された判断値に基づい
て、外乱推定手段により推定された総合的外乱ベクトル
を選別し、相関演算手段は、選別手段により選別された
総合的外乱ベクトルと内部状態量ベクトルとの相互相関
を演算して、総合的外乱ベクトルから内部外乱に関連す
る成分を分離する。また、診断手段は、分離された内部
外乱に関連する成分から動的システムの故障個所の診断
を行う。
【0019】このように、動的システムの内部状態量ベ
クトルが周期的な出力か否かを判断するための判断値を
算出し、算出した判断値に基づいて、総合的外乱ベクト
ルを選別するので、総合的外乱ベクトルから、大きさが
突発的に大きな出力等や周期的な変化が顕著に現れない
出力等を除去することができる。また、このように精度
よく選別された総合的外乱ベクトルを用いて動的システ
ムの故障個所の診断を行うので、動的システムの故障個
所の診断精度を向上することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1の実施の形態
を説明する。本実施の形態は、本発明の出力選別装置が
応用された動的システムの診断装置である。
【0021】本実施の形態に係る動的システムの診断装
置は、動的システムの故障を検出する動的システムの診
断装置において、前記動的システムの内部状態量ベクト
ルに基づいて、動的システム内の故障により発生する内
部外乱ベクトル及び動的システムの外部外乱ベクトルの
和としての総合的外乱ベクトルを推定する外乱推定手段
と、前記内部状態量ベクトルに基づいて、該内部状態量
ベクトルが周期的な出力か否かを判断するための判断値
を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された
判断値に基づいて、前記外乱推定手段により推定された
総合的外乱ベクトルを選別する選別手段と、前記選別手
段により選別された総合的外乱ベクトルと前記内部状態
量ベクトルとの相互相関を演算し、前記総合的外乱ベク
トルから内部外乱に関連する成分を分離する相関演算手
段と、前記相関演算手段により分離された内部外乱に関
連する成分に基づいて前記動的システムの故障箇所の診
断を行う診断手段と、を備えている。
【0022】ここにおいて、応答出力ベクトルが小さい
場合は、励振手段を付加することもできる。前記励振手
段は、前記動的システムの内部状態量ベクトルと相関の
無い励振信号として、白色性信号(例えば、いわゆるM
系列信号)又は周波数をスイープした信号(低周波から
高周波にスイープする)などを用いて前記動的システム
を励振させることができる。
【0023】図1には、動的システム診断装置の1例と
しての構成が示されている。ここにおいて、制御器12
は、動的システム10をある内部状態に制御するための
制御信号uと動的システム10を励振させるための励振
信号Δuとを加算した信号(u+Δu)を制御入力14
として故障診断装置30の診断対象となる動的システム
10へ入力する。
【0024】この動的システム10は、前記制御入力1
4に含まれる制御信号uに基づき内部状態が変化しこれ
により制御出力16が変化すると共に、励振信号Δuに
基づき、ある状態まで変化された内部状態の回りで励振
される。図1の例では、制御器12は、この制御出力1
6をフィードバック信号として用い、動的システム10
の制御を行う。
【0025】また、制御器12は制御出力16が小さい
場合に励振手段を付加し、Δuによる励振制御を開始し
たりΔuを大きくして動的システムの励振振幅を大きく
する制御などを行うようにしても良い。
【0026】図1において、動的システム10はn個の
内部状態量(すなわち、システムの次数はn)を有し、
上述した制御信号uは、m個の要素から成るシステム1
0への制御入力ベクトル14を表す。yは、システム1
0から出力されるp個の要素から成る制御出力ベクトル
16を表している。またdは、動的システム10の外部
外乱ベクトル15を表している。
【0027】励振器を付加することにより、この励振外
乱ベクトル15は動的システム10へ次数nの外部外乱
が加わったときと同じ外乱作用を動的システムにもたら
し、外部外乱が小さいか又は全く無い場合にも、動的シ
ステムの制御出力を大きくして高精度に各故障箇所を検
出することができる。
【0028】また、故障診断装置30は、外乱推定手段
32と、判定手段35と、相関演算手段34と、診断手
段36とを含み、動的システム10の故障を内部外乱と
して検出するように構成されている。
【0029】前記外乱推定手段32は、少なくとも前記
動的システム10の内部状態量ベクトル(動的システム
10の内部の状態量を表す各要素から構成されるベクト
ル)に基づき、動的システム10の外部外乱ベクトルd
および内部外乱ベクトルの和としての総合的外乱ベクト
ルwを推定し、相関演算手段34へ向け出力するように
構成されている。
【0030】なお、図1では、動的システム10の制御
出力ベクトルyが外乱推定手段32に入力される。そし
て、外乱推定手段32は、制御出力ベクトルyから動的
システム10の内部状態量ベクトルxを推定演算し、相
関演算手段34へ向け出力している。このような推定演
算は、制御出力ベクトルyに、内部状態量ベクトル量x
の各要素を演算できる情報が含まれている場合に行われ
る。前述した内部状態量ベクトルxの推定演算は、総合
的外乱ベクトルwの推定と同時に行われる。具体的に
は、(4b)で示した総合的外乱ベクトルwと状態量xとで
構成した新たな状態量を、従来の線形制御理論(例え
ば、古田、佐野著:「基礎システム理論」、コロナ社1
978,pp127−137)に基づいて演算して求め
る。
【0031】また、制御出力ベクトルyに含まれる情報
量が内部状態量ベクトルを推定するのに足りない場合に
は、必要に応じ動的システム10の内部に内部状態量を
検出するセンサを設け、そのセンサ出力を外乱推定手段
32へ入力するようにすればよい。
【0032】また、動的システム10の制御出力ベクト
ルyまたは必要に応じ動的システム10内に設けられた
内部状態量センサから、全ての内部状態量ベクトルxの
情報が直接得られる場合には、内部状態量xを相関演算
手段34へ向け直接出力するよう構成すればよい。
【0033】一方、判定手段35には、制御出力ベクト
ルyが入力される。制御出力ベクトルyは、動的システ
ム10から出力され、周期的であることが予想される。
判定手段は、制御出力ベクトルy(応答出力ベクトル)
に基づいて、該制御出力ベクトルyが周期的な出力か否
かを判断するための判断値を算出する。そして、判定手
段は、算出した判断値に基づいて、入力された制御出力
ベクトルyが周期的な出力である場合には、所定の判定
信号を相関演算手段34に出力する。
【0034】所定の判定信号が入力された相関演算手段
34は、該判定信号を入力したときの外乱推定手段によ
り推定された総合的外乱ベクトルを選別する。
【0035】そして、相関演算手段34は、選別された
前記総合的外乱ベクトルwの各要素と、内部状態量ベク
トルxの要素との相互相関を演算し、前記総合的外乱ベ
クトルwの各要素から内部外乱に関連する成分を分離す
る。分離された内部外乱に関連する成分は、診断手段3
6へ向け出力される。
【0036】診断手段36は、分離された内部外乱に関
連する成分から、前記動的システム10の診断箇所を特
定し、その状態を求めるよう形成されている。
【0037】ここにおいて、前記相関演算手段34は、
選別された総合的外乱ベクトルwの複数の要素に対する
相互相関を演算し、総合的外乱ベクトルwの複数の要素
から内部外乱に関連する成分を分離するよう形成するこ
とが好ましい。
【0038】このとき分離された内部外乱に関連する成
分の各要素は、動的システム10内に発生する各故障箇
所に対応するものである。このため、診断手段36は、
分離された内部外乱に関連する成分の各要素から、動的
システム10内における故障の発生およびその故障箇所
を特定することができる。
【0039】この場合には、診断手段36は、あらかじ
め内部外乱に関連する成分の各要素に対応した故障検出
用基準値が記憶されたメモリ部40と、分離された内部
外乱に関連する成分の要素と、対応する故障検出用基準
値とを比較し、前記動的システム10の故障箇所を特定
する故障特定部38と、を含むように形成することが好
ましい。
【0040】本実施の形態は以上の構成からなり、次に
その作用を説明する。
【0041】まず、外乱推定手段32について説明す
る。
【0042】診断対象となる動的システム10に故障が
発生すると、診断対象の内部状態量は正常時とは異なる
応答を示す。この応答は、見方を変えれば、励振外乱を
入力として正常時の応答に、その故障に対応したある種
の外乱が加わったものであると考えることができる。こ
の外乱は、診断対象10に外部から侵入したものではな
く、内部で発生したものである。外乱推定手段32は、
故障によって生じたこの内部外乱を、励振外乱との和と
しての総合的外乱wとして推定する。
【0043】この外乱推定手段32の、外乱推定原理を
以下に説明する。なお、以下の説明では、外部外乱が励
振外乱と比べてきわめて小さいか或いは全く存在しない
場合を想定する。
【0044】まず動的システム10は、次の状態方程式
で表現されているものと仮定する。
【0045】 x (t)=Ax(t) +Bu(t) +d(t) y(t) =Cx(t) ・・・(1) ここで、x(t)は、診断対象となる動的システム10
の内部状態量ベクトル、u(t)は制御入力ベクトル、
y(t)は制御出力ベクトルを示し、またd(t)は外
部外乱を無視しているため、純粋に励振外乱ベクトルを
表している。また、行列A、B、Cは診断対象の構造に
よって決まる定数行列(診断対象を構成するシステムの
パラメータ)である。
【0046】なお、励振外乱ベクトルd(t)は、次式
によって励振入力ベクトルΔu(t)と関係付けられ
る。
【0047】d(t) = B・Δu(t) そして、前記(1) 式は、次式で表されることになる。
【0048】
【数1】
【0049】故障時の診断対象10は等価的に行列A、
Bの変動(パラメータの変動)を用いて表現できる。す
なわち、故障に応じて、行列AはΔA(t)、行列Bは
ΔB(t)だけ変動したとすると、故障後の診断対象、
すなわち故障後の動的システム10は、次のように書き
表される。
【0050】 x(t)=Ax(t) +Bu(t) +{ΔA(t)×(t) +ΔB(t)u(t)+d(t)} =Ax(t) +Bu(t) + Dw(t) ・・・(2) ただし、前記Dw(t)は、次式で書き表される。
【0051】 Dw(t) = ΔA(t)×(t) +ΔB(t)u(t)+d(t) ・・・(3) ここで、行列Dは、故障によって外乱が診断対象10の
どの経路に発生するかを表すもので、励振外乱の侵入経
路と想定した故障に対応して設定される。
【0052】行列A、Bが故障により変動した場合、励
振外乱d(t)は、正確には次式により与えられること
となる。
【0053】 d(t) = B・Δu(t)+ΔB・Δu(t) すなわち、励振外乱d(t)には、故障により新たに発
生した成分ΔB・Δu(t)が含まれるようになる。励
振外乱d(t)は、故障による影響と相関の無い方が診
断精度の点で望ましいので、制御出力yを所定値より小
さくしない範囲で可能な限り励振入力Δu(t)をΔB
・Δu(t)の項が無視できる位の微小励振とする。
【0054】Δuが観測できる場合は、u+Δuをシス
テムの入力として扱えるので、励振入力が無視できる
程、微小である必要はない。この場合、d(t)は外部
外乱のみとなる。
【0055】なお、前記(2) 式、(3) 式を一般的な行列
式で書き表すと次式のようになる。
【0056】
【数2】
【0057】このように、故障時の診断対象の状態ベク
トルの応答は、正常時の応答{Ax(t)+Bu
(t)}と、外乱{Dw(t)}との和で表すことがで
きる。外乱推定手段32は、この外乱Dw(t)を推定
すべく構成されている。
【0058】このときの外乱の推定は次のようにして行
われる。
【0059】まず第1のステップでは、外乱w(t)を
状態に含めた診断対象10の拡張系を構成する。そのた
めにw(t)に次の仮定を設け、w(t)を診断対象の
状態として追加する。
【0060】 w(t)=O ・・・(4) これにより、w(t)を状態に含めたシステムの拡張系
は、次式で書き表される。
【0061】
【数3】
【0062】そして、第2のステップで、前記(4b)式の
状態〔xTwT〕Tを、従来の線形制御理論を用いて推
定演算する。
【0063】なお、前記(4) 式の仮定は、図2に示すよ
う、本来連続的に変化する外乱100を、同図において
110で示すよう階段状に近似することを意味してい
る。この階段の幅は狭いほど近似の精度はよい。この幅
は、外乱推定手段32の外乱推定時間に対応しており、
実施する上では推定時間は外乱の変化する速さに比べて
非常に短くすることができるので、この近似は充分実用
に耐えるものである。
【0064】このように、外乱推定手段32は、拡張し
た系が可観測であれば、診断対象の状態が全て測定でき
ない場合でも、測定できない状態を推定すると同時に故
障に対応する外乱を推定することができる。
【0065】次に、相関演算手段34について説明す
る。
【0066】前述したように、外乱推定手段32が推定
した総合的外乱ベクトルw(t)は、診断対象10の故
障によって生じる内部外乱と、正常、故障にかかわら
ず、励振により診断対象で発生する外部外乱dとが混在
したものになっている。
【0067】前記外部外乱dは内部状態量ベクトルと無
相関の信号により発生した振動であり、白色性信号など
を用いて動的システムを励振させたときには、一定時間
の平均をとるとその値が零になるという特徴を有する。
本実施の形態では、前記外部外乱dのこの特徴に着目
し、推定された総合的外乱w(t)から、故障によって
生じた内部外乱に関連する成分(パラメータの変動成分
ΔA、ΔB)を分離するための演算を行う。このような
演算の代表的手法は最小自乗法である。
【0068】まず、前記(3) 式から、次式を定義する。
【0069】 θT =[ΔA ΔB ] , ζT =[ xT uT ] ・・・(5) そして、最小自乗法の手法を用い、N個のデータから、
【0070】
【数4】
【0071】を最小にする
【0072】
【数5】
【0073】を求める。これは、上式を
【0074】
【数6】
【0075】で偏微分した式を零とおいて求められ、次
式で表される。
【0076】
【数7】
【0077】となり、逐次的にパラメータ変動ΔA、Δ
Bを推定できるようになる。
【0078】次に、この様な相互相関の演算の具体例
を、ベクトルζの各要素との間に相関がない場合を例に
とり説明する。この場合には、総合的外乱w(t)と、
励振外乱に対し相関のない内部状態量x(t)との相関
関係を求めることで、総合的外乱w(t)から内部外乱
に関連する成分を分離することができる。
【0079】例えば、外乱ベクトルw(t)の推定値の
i番目の要素を取り上げると、これは次式で表される。
【0080】
【数8】
【0081】この(8) 式から明らかなように、推定され
た外乱のi番目の要素は、診断対象10の故障を表す量
Δaijと、内部状態量ベクトルx(t)の各要素x
1、x2・・・との線形結合からなっている。
【0082】そこで、推定外乱のi番目の要素から、そ
の故障量を取り出すために、推定外乱のi番目の要素と
診断対象10の内部状態量との相互相関を取る。そのと
き、相互相関演算に用いられる診断対象の内部状態量
は、動的システム10の内部に設けられたセンサ等で直
接測定された値を用いてもよく、前述したように外乱推
定手段32によって推定された値を用いてもよい。
【0083】まず、前記(8) 式に示す、推定外乱のi番
目の要素と、xのj番目の要素xjとの相互相関関数を
求める場合を考える。このとき、前記相互相関関数は次
式で定義される。
【0084】
【数9】
【0085】なお、ここでは前述したように、励振外乱
ベクトルd(t)の各要素と、内部状態量ベクトルxの
各要素との間に相関はないものと仮定している。
【0086】前記相互相関関数、自己相関関数は、次式
で表される。
【0087】
【数10】
【0088】この(9) 式における各値は、次式で表され
る。
【0089】
【数11】
【0090】なお、前記演算は、内部状態量xjがセン
サなどを用いて直接測定された場合を想定している。こ
れに対し、xjが直接測定されない場合には、外乱推定
手段32からの推定値を用いて相互相関関数を次式に基
づき求めればよい。
【0091】
【数12】
【0092】外乱推定手段32は、故障、外部外乱及び
励振外乱の有無にかかわらず、診断対象の内部状態量x
jを誤差なく推定することができるので、前記(10)式、
(11)式のような相関をとっても、内部状態を直接測定し
た場合とほとんど変わらない結果を得ることができる。
【0093】次に、診断手段36について説明する。
【0094】診断手段36は、相関演算手段34により
演算される内部外乱に関連する成分である相関関数Ci
jにより、故障の発生の検出およびその故障箇所の特定
を行う。すなわち、相関Cijを状態の自己相関vxj
で割って正規化することによりパラメータ変動Δaji
を検出することができる。整理すると、
【0095】
【数13】
【0096】となる。上式は平均値を零とすれば、(7)
式においてベクトルζの各要素間に相関がないと仮定し
た場合と等しい。
【0097】例えば、診断対象となる動的システム10
の構成要素に、構成要素Iと構成要素IIとがあり、構成
要素Iを表現するパラメータが前記状態方程式の(1) 式
で表現された動的システムのA行列の1行1列目にあ
り、構成要素IIを表現するパラメータがA行列の1行1
列目および1行2列目にあると仮定する。このとき、相
関関数C12、すなわちΔa12が値を持てば、ただち
に構成要素IIの故障であると判断する。また、C12に
値がなく、C11、すなわちΔa11が値を持てば、構
成要素Iの故障であると判定する。
【0098】このようにして、本実施の形態によれば、
動的システム10を構成する各構成要素に発生する故障
を確実に検出すると共に、その故障箇所を正確に特定す
ることができる。
【0099】以上のような原理に基づく故障診断では、
故障検出手段として、故障によって生じる外乱を診断対
象の1つの状態として推定する外乱推定手段を用いてい
るため、故障検出速度と故障検出感度のトレードオフが
存在せず、故障検出速度、故障検出感度が格段に向上す
る。そして、故障に応じた多くのオブザーバを用いる必
要がなく、また必要に応じ診断対象の全ての状態を測定
しなくても、診断対象の故障箇所を感度よく特定するこ
とができる。
【0100】更に、上記のように選別された総合的外乱
ベクトルを用いて動的システムの故障箇所の診断を行う
ので、動的システムの故障箇所の診断精度を向上させる
ことができる。
【0101】また、推定された外乱と故障箇所との関係
が、簡単な数式によって表現できるので、診断対象の内
部状態量との相関を求めるという簡単な演算によって、
容易に外部からの外乱と故障によって発生した内部外乱
とを分離し、故障箇所の特定を行うことができる。
【0102】このとき、相関演算に用いられる内部状態
量としては、単にセンサによって直接測定されたものだ
けでなく、必要に応じ外乱推定手段が外乱と同時に推定
した内部状態量を用いることができ、これによって、診
断対象の全ての内部状態量が測定されていなくても詳細
な故障検出が可能となる。
【0103】次に、本発明の第2の実施の形態を説明す
る。なお、本実施の形態は、本発明の出力選別装置が応
用された車輪状態推定装置である。
【0104】車輪状態推定装置は、路面外乱ΔTdのみ
が加振入力として車輪共振系に入力されている場合にμ
勾配を演算するものである。
【0105】図3には、車輪状態推定装置の構成が示さ
れている。同図に示すように、本車輪状態推定装置は、
各車輪の車輪速度ω1を検出する車輪速検出手段1と、
検出された各車輪の車輪速度ω1から路面外乱ΔTdを受
けた車輪共振系の応答出力としての各車輪の車輪速振動
Δω1を検出する前処理フィルタ2と、前処理フィルタ
2から出力される車輪速振動Δω1を、後述する判断値
に基づいて選別して、伝達関数同定手段3に出力する選
別手段10Sと、図4の振動モデルに基づいて、選別さ
れた車輪速振動Δω1を満足するような各車輪の伝達関
数を最小自乗法を用いて同定する伝達関数同定手段3
と、同定された伝達関数に基づいてタイヤと路面との間
の摩擦係数μの勾配を各車輪毎に演算するμ勾配演算手
段4と、から構成される。
【0106】なお、伝達関数同定手段3及びμ勾配演算
手段4は、故障診断装置30に対応する。
【0107】図3において、車輪速検出手段1は、車輪
速度に応じたセンサ出力信号を出力するいわゆる車輪速
センサと、該センサ出力信号から各車輪の実際の回転速
度信号を演算する演算手段と、から構成することができ
る。
【0108】例えば、図20に示すように、車輪の回転
部材(ハブやブレーキロータなど)などに歯車状のロー
タ5を設け、車輪の回転と共に回転するロータ5の歯を
光センサや磁気センサなどの検出器6により検出し、車
輪の回転速度に比例した周波数の交流信号を発生させる
もので構成することができる。
【0109】また、前処理フィルタ2は、本車輪共振系
の共振周波数と予想される周波数を中心として一定の帯
域の周波数成分のみを通過させるバンドパスフィルタ
や、該共振周波数成分を含む高帯域の周波数成分のみを
通過させるハイパスフィルタなどで構成することができ
る。なお、このバンドパスフィルタ或いはハイパスフィ
ルタの周波数特性を規定するパラメータは一定値に固定
したものでもよいし、このパラメータを伝達関数同定手
段3で同定されたパラメータに適応させて変化させてい
くものでもよい。
【0110】なお、この前処理フィルタ2の出力は、直
流成分を除去したものとする。すなわち、車輪速度ω1
の回りの車輪速振動Δω1のみが抽出される。
【0111】いまここで、前処理フィルタ2の伝達関数
F(s)を、
【0112】
【数14】
【0113】とする。ただし、ci はフィルタ伝達関数
の係数、sはラプラス演算子である。
【0114】次に、伝達関数同定手段3が依拠する演算
式を導出しておく。なお、本実施の形態では、前処理フ
ィルタ2の演算を、伝達関数同定手段3の演算に含めて
実施する。
【0115】まず、第2の実施の形態で同定すべき伝達
関数は、路面外乱ΔTd を加振入力として、このとき前
処理フィルタ2により検出された車輪速振動Δω1を応
答出力とする2次のモデルとする。すなわち、
【0116】
【数15】
【0117】の振動モデルを仮定する。ここに、vは車
輪速信号を観測するときに含まれる観測雑音である。(1
3)式を変形すると、次式を得る。
【0118】
【数16】
【0119】まず、(14)式に(12)式の前処理フィルタを
掛けて得られた式を離散化する。このとき、Δω1、Δ
Td、vは、サンプリング周期Ts毎にサンプリングさ
れた離散化データΔω1(k)、ΔTd(k)、v(k)
(kはサンプリング番号:k=1,2,3,.... )として表さ
れる。また、ラプラス演算子sは、所定の離散化手法を
用いて離散化することができる。本実施の形態では、1
例として、次の双一次変換により離散化するものとす
る。なお、dは1サンプル遅延演算子である。
【0120】
【数17】
【0121】また、前処理フィルタの次数mは、2以上
が望ましいので、本実施の形態では、演算時間も考慮し
てm=2とし、これによって次式を得る。
【0122】
【数18】
【0123】また、最小自乗法に基づいて、車輪速振動
Δω1の各データから伝達関数を同定するために、(15)
式を、同定すべきパラメータに関して一次関数の形式と
なるように、次式のように変形する。なお、”T ”を行
列の転置とする。
【0124】
【数19】
【0125】である。上式において、θが同定すべき伝
達関数のパラメータとなる。
【0126】次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0127】車輪速振動Δω1が周期的な信号であれ
ば、所定期間内に入力した車輪速振動Δω1を、周波数
−振幅(パワー)グラフにプロットすると、図5におい
て符号100に示すようなグラフになるはずである。
【0128】しかしながら、車輪速振動Δω1が、振幅
が突発的に大きい出力(例えば、エイリアス(alia
se)による折り返しノイズ等)102や周期的な変化
が顕著に現れない出力(S/N比が小さい出力)104
を用いて車輪共振系の伝達関数を同定し、μ勾配を演算
すると、ばらつきが大きく、推定精度が悪い。よって、
周期的な信号である応答出力のみを選別する必要があ
る。
【0129】周期的な出力100を時系列にグラフ化し
た図6(B)と比較すると、時系列的にグラフ化した振
幅が突発的に大きい出力102は、図6(A)に示すよ
うに、周期性が悪い。また、時系列的にグラフ化した周
期的な変化が顕著に現れない出力104は、図6(C)
に示すように、周期性が非常に悪い。
【0130】一方、図6(B)で実線で示した周期的な
出力100と、周期的な出力100を該周期的な出力1
00の周期的な部分が該周期的な出力100の変化に対
応する変化するように変換した値(図6(B)で点線で
示した)と、は一定の相関関係を有する。
【0131】即ち、前述した実施の形態において説明し
たように、周期的な出力100をξ y0としたとき、該周
期的な出力100を上記のように変換、例えば、偶数
(例えば、2回)回微分(その他、偶数回差分、偶数回
積分、及び偶数回増分の何れかでもよい)した値はξy2
となるので、ξy0(=x)及びξy2(=y)から定まる
点は、図7に示すように、一定範囲110内に位置し、
完全に周期的であれば所定の直線112上に位置し、周
期性が悪くなればなるほど、広い範囲114に位置する
ようになる。
【0132】そこで、本実施の形態では、車輪速振動Δ
ω1である応答出力ξy0と、該応答出力ξy0を上記のよ
うに変換した値ξy2との相関係数σを求め、求めた相関
係数σに基づいて、周期的な信号である応答出力のみを
選別する。
【0133】
【数20】
【0134】但し、ρcは忘却係数、Nは応答出力の個
数を示す。
【0135】即ち、選別手段10Sは、前処理フィルタ
2から車輪速振動Δω1が入力される毎に、図8に示し
た選別処理ルーチンを実行する。
【0136】ステップ22では、前処理フィルタ(帯域
通過)処理する。
【0137】ステップ24では、前処理フィルタ処理後
の車輪速振動Δω1である応答出力ξy0と、該応答出力
ξy0を上記のように変換した値ξy2との相関係数σを演
算する。
【0138】ステップ26で、演算した相関係数σが所
定範囲(σ1<σ<σ2)内か否かを判断することによ
り、今回入力された車輪速振動Δω1が周期的な信号で
あるか否かを判断する。
【0139】演算した相関係数σが所定範囲でない場合
には、今回入力された車輪速振動Δω1が周期的な信号
でないので、本ルーチンを終了する。これにより、今回
入力された車輪速振動Δω1が伝達関数同定手段3に入
力されないので、周期的な信号でない信号に基づいて、
車輪共振系の伝達関数を同定されμ勾配が演算されるこ
とを防止することができる。
【0140】一方、演算した相関係数σが所定範囲内の
場合には、今回入力された車輪速振動Δω1が周期的な
信号であるので、ステップ28で、今回入力された車輪
速振動Δω1を伝達関数同定手段3に入力する。これに
より、周期的な信号に基づいて、車輪共振系の伝達関数
を同定され、μ勾配が演算される。よって、伝達関数の
同定精度やμ勾配の推定精度を向上させることができ
る。
【0141】なお、振幅が突発的に大きい出力(ノイ
ズ)を上記のように変換しても、変換した値には周期的
な部分以外の成分が多く含まれる。即ち、振幅が突発的
に大きい出力を上記のように変換した値は該応答出力の
変化に対応して変化しないので、振幅が突発的に大きい
出力と該応答出力を上記のように変換した値との相関係
数σが上記所定範囲内とならない。例えば、図9
(A)、図10(B)に示すように、周波数が周波数F
1を含む所定範囲にノイズKが現れかつ相関係数σが所
定範囲外の信号群A(図9(A)参照)は選別手段10
Sにより除去される。
【0142】また、図11に示すように、周期的な変化
が顕著に現れない出力Cを上記のように変換した値に
は、該応答出力の変化に対応して変化するように変換さ
れた成分が少ない。よって、周期的な変化が顕著に現れ
ない出力Cと該応答出力を上記のように変換した値との
相関係数σが上記所定範囲内とならない。例えば、図1
2(A)、図12(B)に示すように、相関係数σが所
定範囲外の信号群C(図12(A)参照)は選別手段1
0Sにより除去される。なお、この周期的な変化が顕著
に現れない出力Cは、車両がダート路を走行したときに
得られたものである。
【0143】一方、図10(C)、図10(D)に示す
ように、ノイズ成分がなくかつ相関係数σが所定範囲内
の信号群B(図9(A)参照)が選別手段10Sにより
選別されて、伝達関数同定手段3に入力される。また、
図11に示すように、周期的な出力Dを上記のように変
換した値には、該応答出力の変化に対応して変化するよ
うに変換された成分が多い。よって、周期的な出力Dと
該応答出力を上記のように変換した値との相関係数σが
上記所定範囲内となる。例えば、図12(A)、図12
(B)に示すように、相関係数σが所定範囲内の信号群
D(図12(A)参照)は選別手段10Sにより除去さ
れない。よって、伝達関数同定手段3に入力される。な
お、図11に示した周期的な出力Dは、車両がアスファ
ルト路を走行したときに得られたものである。
【0144】よって、大きさが突発的に大きな応答出力
や周期的な変化が顕著に現れない出力を除去した応答出
力に基づいて上記未知要素を推定することができる。
【0145】すなわち、伝達関数同定手段3では、上記
のように選別された車輪速振動Δω 1の離散化データを
(22)式に順次当てはめた各データに対し、最小自乗法を
適用することによって、未知パラメータθを推定し、こ
れにより伝達関数を同定する。
【0146】具体的には、検出された車輪速振動Δω1
を離散化データΔω(k)(k=1,2,3,...)に変換し、
該データをN点サンプルし、次式の最小自乗法の演算式
を用いて、伝達関数のパラメータθを推定する。
【0147】
【数21】
【0148】ここに、記号”^”の冠した量をその推定
値と定義することにする。
【0149】また、上記最小自乗法は、次の漸化式によ
ってパラメータθを求める逐次型最小自乗法として演算
してもよい。
【0150】
【数22】
【0151】ここに、ρは、いわゆる忘却係数で、通常
は0.95〜0.99の値に設定する。このとき、初期
値は、
【0152】
【数23】
【0153】とすればよい。
【0154】また、上記最小自乗法の推定誤差を低減す
る方法として、種々の修正最小自乗法を用いてもよい。
本実施の形態では、補助変数を導入した最小自乗法であ
る補助変数法を用いた例を説明する。該方法によれば、
m(k)を補助変数として、次式を用いて伝達関数のパ
ラメータを推定する。
【0155】
【数24】
【0156】また、逐次演算は、以下のようになる。
【0157】
【数25】
【0158】補助変数法の原理は、以下の通りである。
(26)式に(22)式を代入すると、
【0159】
【数26】
【0160】となるので、(30)式の右辺第2項が零とな
るように補助変数を選べばθの推定値は、θの真値に一
致する。そこで、本実施の形態では、補助変数として、
ζ(k)=[−ξy1(k)−ξy2(k)]T を式誤差
r(k)と相関を持たないほどに遅らせたものを利用す
る。すなわち、 m(k)=[−ξy1(k−L)−ξy2(k−L)]T (31) とする。ただし、Lは遅延時間である。
【0161】上記のようにして伝達関数を同定した後、
μ勾配演算手段4において、路面μ勾配D0に関係する
物理量を、
【0162】
【数27】
【0163】と演算する。このように(32)式により路面
μ勾配D0に関係する物理量を演算できると、例えば、
該物理量が小さいとき、タイヤと路面との間の摩擦特性
が飽和状態であると容易に判定できる。
【0164】続いて、本発明の第3の実施の形態を説明
する。なお、第3の実施の形態は、第1の実施の形態の
変形例であり、第1の実施の形態と同一部位について
は、同一符号を付して説明を省略する。
【0165】図13は、第3の実施の形態における動的
システム診断装置としての構成が示されている。本実施
の形態における動的システム診断装置は、第1の実施の
形態における動的システム診断装置に対して、故障診断
装置30に前処理フィルタ20及び周波数検出手段22
が追加された構成とされており、動的システムの制御出
力ベクトルyを振動周波数として検出することができ
る。すなわち、動的システムの制御出力ベクトルyの振
動周波数変動から動的システムの故障や異常等を診断す
ることが可能とされている。
【0166】前記前処理フィルタ20は、動的システム
の制御出力ベクトル(動的システムの状態量信号)を検
出する。なお、前処理フィルタ20は、動的システムの
状態量信号の振動の共振周波数と予想される周波数を中
心として一定の帯域の周波数成分のみを通過させるバン
ドパスフィルタや、該共振周波数成分を含む高帯域の周
波数成分のみを通過させるハイパスフィルタなどで構成
することができる。
【0167】前処理フィルタ20より判定手段35に出
力された動的システムの状態量信号は、動的システム1
0から出力され、周期的であることが予想される。判定
手段35は、動的システムの状態量信号(応答出力ベク
トル)に基づいて、該動的システムの状態量信号が周期
的な出力か否かを判断するための判断値を算出し、算出
された判断値に基づいて、入力された動的システムの状
態量信号が周期的な出力である場合には、所定の判定信
号を相関演算手段34及び周波数検出手段へ出力する。
【0168】周波数検出手段22は、図14(A)
(B)に示すように、動的システムの状態量信号の振動
の振幅中心が基準となるように動的システムの状態量か
ら所定値Aを差し引き、動的システムの状態量信号の基
準値補正を行う。該基準値補正された動的システムの状
態量信号は、図14(B)に示すように、状態量信号が
零ラインを通過(ゼロクロス)する時、信号の符号が反
転する。従って、該信号の反転回数をカウントすること
によって、周波数を検出することができる。該周波数f
の算出は、サンプル時間Ts、N点サンプルした時に積
算された符号反転回数をCとすると、f=C/(2Ts
・N)で表すことができる。
【0169】また、周波数検出手段22は、検出した周
波数を前処理フィルタ20へフィードバックするよう構
成されており、該検出された周波数に基づいて前処理フ
ィルタ20を通過する周波数帯域の変更が制御される。
なお、周波数帯域の変更は、周波数帯域の中心が検出さ
れた周波数となるように制御される。
【0170】本実施の形態は以上の構成からなり、次に
その作用を説明する。なお、第3の実施の形態に追加さ
れた周波数検出について図15のフローチャートを参照
して説明する。
【0171】図15に示すように、周波数検出は、ま
ず、ステップ120で、動的システムから出力される状
態量信号の振動振幅中心が零となるように基準値補正を
行い、ステップ122へ移行する。ステップ122で
は、所定時間に周波数検出処理を行った回数Kに1を加
算し、ステップ124へ移行する。ステップ124で
は、観測サンプルが符号反転か否か、すなわち、状態量
信号が零ラインを通過したか否かが判定される。
【0172】ステップ124で、符号反転していなと判
定されるとステップ120へ戻り上述のステップ120
〜ステップ124が繰り返される。ステップ124で、
符号反転したと判定されるとステップ126へ移行し、
ステップ126で符号反転回数Cに1を加算してステッ
プ128へ移行する。
【0173】ステップ128では、K=N、すなわち、
所定時間に周波数検出処理を行った回数Kが規定回数N
に達したか否かが判定される。ステップ128で、K=
Nではないと判定されると、ステップ120へ戻り、ス
テップ128でK=Nと判定されるまで、上述のステッ
プ120〜ステップ128が繰り返される。
【0174】また、ステップ128でK=Nであると判
定されると、規定処理回数Nが終了したと判断し、ステ
ップ130へ移行する。ステップ130では、符号反転
回数Cを出力し、周波数検出の処理を終了する。
【0175】周波数検出手段22は、符号反転回数C及
び規定処理回数Nにかかった時間T sから上述したf=
C/(2Ts・N)により周波数fを算出することがで
きる。
【0176】動的システム10から定常時に出力される
周波数を測定しておけば、上述した処理によって、常
時、動的システム10の状態量信号の周波数を算出する
ことによって、状態量信号の周波数変動を検出すること
が可能である。すなわち、周波数の変動からも動的シス
テム10の故障診断を行うことができる。
【0177】次に、本発明の第4の実施の形態を説明す
る。なお、第4の実施の形態は、第2の実施の形態の変
形例であり、第2の実施の形態と同一部位については、
同一符号を付して説明を省略する。
【0178】図16は、第4の実施の形態における車輪
状態推定装置である。本実施の形態の車輪状態推定装置
は、第2の実施の形態の車輪状態推定装置に対して、第
3の実施の形態で説明した周波数検出手段22を備えて
おり、該周波数検出手段22により検出された周波数に
基づいて、車輪の空気圧低下を判定する空気圧低下判定
手段26を更に備えた構成となっている。また、周波数
検出手段22により検出された周波数に基づいて前処理
フィルタ20の通過帯域を変更制御する前処理フィルタ
変更手段24を備えている。
【0179】周波数検出手段22は、選別手段10Sよ
り選別された周期的な信号から第3の実施の形態に説明
した(図15フローチャート)ように基準値補正を行
い、該基準値補正されれた信号の符号反転回数から周波
数を算出し、空気圧低下判定手段26及び前処理フィル
タ変更手段24に算出された周波数を出力する。前処理
フィルタ変更手段24は、周波数検出手段22により検
出された周波数に基づいて前処理フィルタ20の通過帯
域を変更する。また、空気圧低下判定手段26は、周波
数検出手段22により検出された車輪共振系の周波数又
は所定時間当りの周期的な信号の符号反転回数に基づい
て、タイヤの空気圧変動を検出し、空気圧低下などの空
気圧状態の判定を行う。
【0180】本実施の形態は以上の構成からなり、次に
その作用について説明する。なお、第4の実施形態に追
加された、空気圧判定について説明する。
【0181】第2の実施の形態で説明したように、車輪
速振動Δω1が周期的な信号であれば、所定期間内に入
力した車輪速振動Δω1を、周波数−振幅(パワー)グ
ラフにプロットすると、図5において符号100に示す
ようなグラフになるはずである。
【0182】しかしながら、車輪速振動Δω1が、振幅
が突発的に大きい出力(例えば、エイリアス(alia
se)による折り返しノイズ等)102や周期的な変化
が顕著に現れない出力(S/N比が小さい出力)104
が入力されることがあり、周期的な信号である応答出力
のみを選別する必要がある。
【0183】周期的な出力100を時系列にグラフ化し
た図6(B)と比較すると、時系列的にグラフ化した振
幅が突発的に大きい出力102は、図6(A)に示すよ
うに、周期性が悪い。また、時系列的にグラフ化した周
期的な変化が顕著に現れない出力104は、図6(C)
に示すように、周期性が非常に悪い。
【0184】一方、図6(B)で実線で示した周期的な
出力100と、周期的な出力100を該周期的な出力1
00の周期的な部分が該周期的な出力100の変化に対
応して変化するように変換した値(図6(B)で点線で
示した)と、は一定の相関関係を有する。
【0185】即ち、前述した実施の形態において説明し
たように、周期的な出力100をξ y0としたとき、該周
期的な出力100を上記のように変換、例えば、偶数
(例えば、2回)回微分(その他、偶数回差分、偶数回
積分、及び偶数回増分の何れかでもよい)した値はξy2
となるので、ξy0(=x)及びξy2(=y)から定まる
点は、図7に示すように、一定範囲110内に位置し、
完全に周期的であれば所定の直線112上に位置し、周
期性が悪くなればなるほど、広い範囲114に位置する
ようになる。
【0186】そこで、第2の実施の形態で説明した方法
によって、車輪速振動Δω1である応答出力ξy0と、該
応答出力ξy0を上記のように変換した値ξy2との相関係
数σを求め、求めた相関係数σに基づいて、周期的な信
号である応答出力のみを選別し、選別された車輪速振動
Δω1を伝達関数同定手段3及び周波数検出手段22に
入力する。
【0187】また、周波数検出手段22に入力された車
輪速振動Δω1は、第3の実施の形態で説明した図15
のフローチャートにより周波数が算出される。
【0188】車輪から出力される周期的な信号である車
輪速振動Δω1の定常時に出力される周波数を測定して
おけば、上述した処理によって、常時、車輪速振動Δω
1の周波数を算出することによって、車輪速振動Δω1
周波数変動を検出することができる。
【0189】ここで、図17には、ある速度における車
輪空気圧を段階的に低下させた時の1分毎の符号反転回
数の積算値の変動を示す。図17に示すように車輪空気
圧を段階的に低下させることによって、1分毎の符号反
転回数の積算値が減少し、相関関係を有する特性となっ
ている。すなわち、1分毎の反転回数の積算値から周波
数を算出できるので、周波数検出手段22により算出さ
れた車輪速振動周波数と車輪空気圧とは相関関係にあ
る。従って、定常時の車輪空気圧の周波数を把握してい
れば、経時的に車輪空気圧が低下した際にその時の車輪
速振動から周波数を求めることにより、車輪空気圧の低
下を検出することができる。また、ゼロクロスポイント
数(符号反転回数)の積算値の低下からもタイヤ空気圧
の低下を判定することも可能である。
【0190】また、速度毎の車輪空気圧に対応する周波
数を記憶しておけば、周波数を検出することによって、
車輪空気圧状態を検知することができる。
【0191】続いて、第2及び第4の実施の形態におけ
る選別手段10Sの他の選別方法について説明する。
【0192】前処理フィルタ通過後の信号aをn回差分
(或いはn回微分)した信号の零クロスカウント値から
周波数を図15のフローチャートで周波数を算出したの
と同様にして算出する。なお、nは、1、2回が望まし
い。
【0193】信号aと算出された差分信号のピーク時の
差は、図18に示すように信号aの共振が強い場合は、
信号aと差分信号のピーク時の差は小さいが(図18
(A))、共振が弱い場合は、信号aと差分信号のピー
ク時の差は大きくなる(図18(B))。従って、図1
9に示すように、カウント値の差に基準値となる所定値
を設定し、カウント値の差が所定範囲となる信号を選別
することによっても突発的な大きな応答出力や、周期的
な変化が現れない応答出力を除外した周期的な信号であ
る応答出力のみを選別することが可能である。従って、
また、このように選別することによって、共振周波数を
求めるための演算を簡略化することができる。
【0194】なお、振幅が突発的に大きい出力(ノイ
ズ)を上記のように変換しても、変換した値には周期的
な部分以外の成分が多く含まれる。即ち、振幅が突発的
に大きい出力を上記のように変換した値は該応答出力の
変化に対応して変化しないので、振幅が突発的に大きい
出力と該応答出力を上記のように変換した値との相関係
数σが上記所定範囲内とならない。例えば、図9
(A)、図10(B)に示すように、周波数が周波数F
1を含む所定範囲にノイズKが現れかつ相関係数σが所
定範囲外の信号群A(図9(A)参照)は、カウント値
の差が0近傍の部分を除くことにより除去される。
【0195】図21の(A)は、ダート路及びアスファ
ルト路時の車輪速信号を補正して得られるゼロクロスの
カウント値C1の1秒毎の積算値と車輪速信号を補正し
て2回差分を行った値のゼロクロスのカウント値C2
1秒毎の積算値との差を測定した結果を示す図であり、
(B)は(A)における速度変動を示す図である。
【0196】図21に示すように、元データ(車輪速信
号)のゼロクロスのカウント値C1と2回差分を行った
値のゼロクロスのカウント値C2の差C2−C1は、共振
が弱いほど大きくなることがわかる。また、図11に示
す出力Dは、車両がダート路を走行した時に得られたも
のであるが、ダート路では、共振が弱いためC2−C1
大きくなる。従って、共振が強いデータだけを選別して
採用することによって、必要な出力を選別する精度を上
げることができる。
【0197】なお、共振の強いデータの採用について
は、図19に示して上述したように信号aと差分信号の
差が所定範囲となる信号を選別することにより、行うこ
とができる。例えば、図21において、C2−C1>1
0、又は、C2−C1<3の時のデータは、選別して採用
しない、すなわち、3≦C2−C1≦10の時のデータの
みを選別して使用するというように行う。
【0198】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、車両の走
行に対応して周期的であることが予想される出力が周期
的な出力か否かを判断するための判断値を算出し、算出
した判断値に基づいて、該出力又は該出力に対応して変
化する信号を選別するので、該出力又は該出力に対応し
て変化する信号から、大きさが突発的に大きな出力等や
周期的な変化が顕著に現れない出力等を除去することが
できる、という効果が得られる。
【0199】また、本発明は、上記のように選別された
総合的外乱ベクトルを用いて動的システムの故障箇所の
診断を行うので、動的システムの故障箇所の診断精度を
向上させることができる、という効果が得られる。
【0200】更に、選別された出力より必要な出力の周
波数を検出することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る動的システムの診断装
置の第1の例を示すブロック図である。
【図2】外乱の近似法を示す曲線図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る車輪状態推定
装置の構成を示すブロック図である。
【図4】第2の実施の形態の振動モデルの概念図であ
る。
【図5】周期的な信号と周期的でない2つの信号を示し
たグラフである。
【図6】(A)及び(C)は、周期的な信号とはいえな
い信号を示したグラフであり、(B)は、周期的な信号
を示したグラフである。
【図7】応答出力xと、該応答出力を周期的な部分が該
応答出力の変化に対応して変化するように変換した値y
と、の関係を示した図である。
【図8】選別手段が実行する選別処理ルーチンを示した
フローチャートである。
【図9】(A)は周期的な信号と周期的でない信号(ノ
イズ)の相関係数を時系列的に示したグラフであり、
(B)は周期的な信号と周期的でない信号(ノイズ)の
車速を時系列的に示したグラフである。
【図10】(A)及び(B)は、周期性が比較的低い車
輪速信号を示したグラフであり、(C)及び(D)は、
周期性が比較的高い車輪速信号を示したグラフであり、
(A)及び(C)は前右輪速信号であり、(B)及び
(D)は前左輪信号である。
【図11】周期的な信号と周期的な変化が顕著に現れな
い信号の周波数−スペクトルの関係を示したグラフであ
る。
【図12】(A)は周期的な信号と周期的な変化が顕著
に現れない信号の相関係数を時系列的に示したグラフで
あり、(B)は周期的な信号と周期的な変化が顕著に現
れない信号に対応する車輪速を時系列的に示したグラフ
である。
【図13】第3の実施の形態に係る動的システムの診断
装置の第1の例を示すブロック図である。
【図14】周波数検出手段による周波数検出を説明する
図である。
【図15】周波数検出の流れを示すフローチャートであ
る。
【図16】本発明の第4の実施の形態に係る車輪状態推
定装置の構成を示すブロック図である。
【図17】車輪の空気圧を段階的に低下させた時の周波
数変動を示す図である。
【図18】信号と差分信号の零クロスカウント値の差と
共振周波数の関係を説明する図である。
【図19】第2の実施の形態及び第4の実施の形態に係
る選別手段の他の選別方法を説明する図である。
【図20】車輪速検出手段の構成の一例を示す図であ
る。
【図21】(A)ダート路及びアスファルト路時の車輪
速信号を補正して得られるゼロクロスのカウント値C1
の1秒毎の積算値と車輪速信号を補正して2回差分を行
った値のゼロクロスのカウント値C2の1秒毎の積算値
との差を測定した結果を示す図である。(B)速度変動
を示す図である。
【符号の説明】
1 車輪速検出手段 2 前処理フィルタ 3 伝達関数同定手段 4 μ勾配演算手段 5 ロータ 6 検出器 10 動的システム 10S 選別手段 20 前処理フィルタ 22 周波数検出手段 26 空気圧低下判定手段 30 診断装置 32 外乱オブザーバ 34 相関演算部 35 判定手段 36 診断手段 38 故障特定部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅海 周 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 山口 裕之 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 菅井 賢 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1 株式会社豊田中央研究所内 (56)参考文献 特開 昭63−90770(JP,A) 特開 平10−129450(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G05B 23/00 - 23/02 B60T 8/00 B60T 8/58 G01M 17/06

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 周期的であることが予想される出力を検
    出する検出手段と、 前記検出手段により検出された出力に基づいて、該出力
    が周期的な出力か否かを判断するための判断値を算出す
    る算出手段と、 前記算出手段により算出された判断値に基づいて、前記
    出力又は前記出力に対応して変化する信号を選別する選
    別手段と、 を備えた出力選別装置であって前記算出手段が、前記判断値として、前記検出手段によ
    り検出された出力のゼロ基準が前記検出手段によって検
    出された出力の振幅中心となるように補正し、前記補正
    した出力のゼロクロスをカウントしたカウント値と、前
    記補正した出力の変化に対応して変化するように前記補
    正した出力を変換した値のゼロクロスをカウントしたカ
    ウント値との比較値を算出することを特徴とする出力選
    別装置
  2. 【請求項2】 前記算出手段は、前記検出手段により出
    力が所定個数検出される毎に前記判断値を算出する請求
    項1の出力選別装置。
  3. 【請求項3】 前記変換は、n回差分又はn回微分(n
    は自然数)である請求項1又は請求項2の出力選別装
    置。
  4. 【請求項4】 前記検出手段により検出された出力の
    内、所定周波数帯域の出力のみを通過させる通過手段
    と、 前記選別手段により選別された信号の周波数を検出する
    周波数検出手段と、 前記周波数検出手段により検出された周波数に基づい
    て、前記通過手段を通過させる前記所定周波数帯域を補
    正する補正手段と、 を更に備える請求項1乃至請求項3の何れか1項の出力
    選別装置。
  5. 【請求項5】 前記補正手段は、前記通過手段の所定周
    波数帯域の中心が前記周波数検出手段により検出された
    周波数となるように補正する請求項4の出力選別装置。
  6. 【請求項6】 前記周波数検出手段は、サンプル時間を
    T、サンプル数をN、ゼロクロスカウント値をCとする
    と周波数f=C/(2TN)によって算出する請求項4
    又は請求項5の出力選別装置。
  7. 【請求項7】 動的システムの故障を検出する動的シス
    テムの診断装置にお いて、 前記動的システムの内部状態量ベクトルに基づいて、動
    的システム内の故障により発生する内部外乱ベクトル及
    び動的システムの外部外乱ベクトルの和としての総合的
    外乱ベクトルを推定する外乱推定手段と、 前記内部状態量ベクトルに基づいて、該内部状態量ベク
    トルが周期的な出力か否かを判断するための判断値を算
    出する算出手段と、 前記算出手段により算出された判断値に基づいて、前記
    外乱推定手段により推定された総合的外乱ベクトルを選
    別する選別手段と、 前記選別手段により選別された総合的外乱ベクトルと前
    記内部状態量ベクトルとの相互相関を演算し、前記総合
    的外乱ベクトルから内部外乱に関連する成分を分離する
    相関演算手段と、 前記相関演算手段により分離された内部外乱に関連する
    成分に基づいて前記動的システムの故障箇所の診断を行
    う診断手段と、 を備えた動的システムの診断装置。
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