JP3474152B2 - 永久磁石回転子の着磁装置 - Google Patents

永久磁石回転子の着磁装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】この発明は、回転子の外周面
に配置される未磁化の永久磁石を、順次磁化して磁極を
形成する永久磁石回転子の着磁装置に関するものであ
る。
【０００２】
【従来の技術】従来、永久磁石を回転子の磁極として用
いた永久磁石回転子の磁極は、磁極を着磁した後回転子
に組み付ける場合と、まだ磁化していない未磁化の磁極
を回転子に組み付けた後に着磁して磁化する場合とがあ
る。しかしながら、先に磁極を着磁して回転子に組み付
ける場合は、強い吸引力が作用して組み付け作業が困難
となるため、大形の回転子では磁極を組み付けた後に着
磁する場合が一般的となっている。
【０００３】この種の従来の永久磁石回転子の着磁装置
として、例えば特開平９−１６３６９２号公報に示され
るように、図示はしないが回転子の周囲に着磁鉄心を配
置するとともに、この着磁鉄心の回転子の各未磁化永久
磁石とそれぞれ対応する位置にコイルを巻回し、これら
各コイルに相隣なる同士を流れる方向が異なる方向とな
るように電流をそれぞれ流すことにより、各未磁化永久
磁石を磁化して、交互にＮ極、Ｓ極の磁極となるように
着磁することが開示されている。
【０００４】しかしながら、上記のような永久磁石回転
子の着磁装置では、着磁鉄心を回転子の周囲に配置して
いるので装置として大形化するため、例えば特開平１０
−３３６９７６号公報では、回転子の各未磁化永久磁石
のうちいずれか一つと対応する位置に、コイルが巻回さ
れた一極分の着磁鉄心を配置して着磁を行い、以下、コ
イルに流れる電流の方向を順次切り替えながら、未磁化
永久磁石のピッチ分ずつ回転子または着磁鉄心を相対的
に移動させることにより、各未磁化永久磁石一つ一つを
順番に磁化して交互にＮ極、Ｓ極となるように着磁する
ようにして小形化することが開示されている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】従来の永久磁石回転子
の着磁装置は、以上のようにコイルが巻回された一極分
の着磁鉄心を、コイルに流れる電流の方向を順次切り替
えながら、未磁化永久磁石の一つずつと対応させながら
磁化して、Ｎ極、Ｓ極となるように着磁することによ
り、装置として小形化を図るようにしているため、図５
に示すように着磁鉄心１に巻回されたコイル２を流れる
電流により磁束３を発生させ、仮に対応する未磁化永久
磁石４ａをＳ極に着磁しようとする場合、図中の磁束３
の分布からも明らかなように、未磁化永久磁束４ａ近傍
の各未磁化永久磁束４ｂ、４ｃには、磁化しようとする
方向とは逆方向に磁束３が通過して、磁化したい方向と
は逆方向に着磁されるため、着磁鉄心１と対応する位置
で希望する方向に正式に着磁する場合に、逆方向の着磁
を消磁させなければならないので、コイル２に流す電流
をその都度変える必要があり、電流制御が困難になると
いう問題点があった。又、未磁化永久磁石を希土類磁石
とした場合、消磁は困難で再磁化のためには未磁化のも
のに比べてかなり強い磁界が必要となり、電流供給装置
が大形化するという問題点があった。
【０００６】この発明は上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、逆磁界の影響を無くし電流制御
の容易な永久磁石回転子の着磁装置を提供することを目
的とするものである。
【０００７】
【課題を解決するための手段】この発明の請求項１に係
る永久磁石回転子の着磁装置は、回転子の外周面に周方
向に所定の間隔を介して配置される複数の未磁化の永久
磁石のうち所定の個数の永久磁石と対向して配置される
着磁鉄心と、着磁鉄心の所望の永久磁石と対向する位置
に巻回される第１のコイルと、着磁鉄心に第１のコイル
を中心に周方向に所定の間隔を介してそれぞれ配置され
第１のコイルとは流れる電流の方向が異なる一対の第２
のコイルと、第１および第２のコイルに電流を供給する
電源とを備え、永久磁石および第１のコイルのいずれか
一方を相対的に移動させて電源から供給される電流によ
り各永久磁石を順次磁化して磁極を形成するようにした
ものである。
【０００８】又、この発明の請求項２に係る永久磁石回
転子の着磁装置は、請求項１において、第２のコイルを
第１のコイルと少なくとも永久磁石３個分の間隔を介し
てそれぞれ配置するようにしたものである。
【０００９】又、この発明の請求項３に係る永久磁石回
転子の着磁装置は、請求項１または２において、第２の
コイルを第１のコイルとは異なる方向に巻回するように
したものである。
【００１０】又、この発明の請求項４に係る永久磁石回
転子の着磁装置は、請求項３において、第２のコイルを
第１のコイルの巻回数の１／２以下の巻回数で巻回する
ようにしたものである。
【００１１】又、この発明の請求項５に係る永久磁石回
転子の着磁装置は、請求項１ないし４のいずれかにおい
て、着磁鉄心の第１のコイルの両側近傍に永久磁石との
間の隙間を拡大する切り欠き部を形成するようにしたも
のである。
【００１２】又、この発明の請求項６に係る永久磁石回
転子の着磁装置は、請求項１ないし４のいずれかにおい
て、回転子を回転させることにより永久磁石を相対的に
移動させるようにしたものである。
【００１３】
【発明の実施の形態】実施の形態１．以下、この発明の
実施の形態を図に基づいて説明する。図１はこの発明の
実施の形態１における永久磁石回転子の着磁装置の構成
を示す概略図、図２は図１における着磁鉄心の構成を示
す斜視図、図３は図１における永久磁石回転子の着磁装
置によって発生する磁束の分布状態を示す図である。
【００１４】図において、１１は回転子１２の外周面に
周方向に所定の間隔を介して配置される複数の未磁化の
永久磁石、１３は所定の個数の永久磁石１１と対向して
配置される着磁鉄心で、図２に示すように所定の幅およ
び深さを有する一対の切り欠き１４ａが所定の間隔（図
においては永久磁石１１の３個分の間隔）を介して３箇
所に形成された板状磁性部材１４を所定の枚数積層して
形成されており、各板状磁性部材１４の切り欠き１４ａ
により後述の各コイルを巻回するためのコイル挿入溝１
３ａが形成されている。
【００１５】１５は着磁鉄心１３の中央部の一対のコイ
ル挿入溝１３ａに巻回して挿入される第１のコイル、１
６は着磁鉄心１３の両端部の各一対のコイル挿入溝１３
ａにそれぞれ巻回して挿入される一対の第２のコイル
で、第１のコイル１５とは異なる方向に且つ第１のコイ
ル１５の巻回数の１／２以下の巻回数でそれぞれ巻回さ
れている。１７は電源、１８はこの電源１７よりコンデ
ンサ１９を充電する充電回路で、充電時に閉されるスイ
ッチ２０、放電時に閉される放電スイッチ２１等と共に
電流供給装置２２を構成している。
【００１６】次に、上記のように構成される実施の形態
１における永久磁石回転子の着磁装置の動作について説
明する。まず、放電スイッチ２１が開の状態でスイッチ
２０を閉とし、充電回路１８によって電源１７よりコン
デンサ１９を充電する。そして、コンデンサ１９が所定
の電圧まで充電されると、スイッチ２０を開とした後に
放電スイッチ２１を閉とすることにより、充電回路１８
からの電流を第１および第２のコイル１５、１６に通流
する。すると、両コイル１５、１６により図３に示すよ
うに磁束２３が発生し、例えば第１のコイル１５と対応
する位置の永久磁石１１ａはＳ極に着磁される。
【００１７】そして、この時第１のコイル１５で発生す
る磁束２３は、第２のコイル１６によって引っ張られ永
久磁石１１ｄを通過するように分布されるため、近傍の
永久磁石１１ｂ、１１ｃを通過することもなく、永久磁
石１１ｂ、１１ｃが磁化したい方向と逆方向に着磁され
ることもない。次いで、永久磁石１１ａの着磁が終了す
ると、回転子１２を永久磁石１１のピッチ分だけ回転さ
せて、永久磁石１１ｂを第１のコイル１５と対応する位
置に移動させ、図示はしないが電流切替手段により電流
の流れる方向を切り替えて、充電回路１８から両コイル
１５、１６に電流を流すことにより永久磁石１１ｂをＮ
極に着磁する。以下、上記と同様の動作を繰り返すこと
により、永久磁石１１ｃ、１１ｄ・・・１１ｎを順次交
互にＳ極、Ｎ極となるように着磁し、全ての永久磁石１
１の着磁が完了する。
【００１８】このように上記実施の形態１によれば、着
磁鉄心１３に、所望の永久磁石１１を着磁する第１のコ
イル１５と、この第１のコイル１５を中心に永久磁石１
１の３個分の間隔を介して、第１のコイル１５とは異な
る方向に巻回された一対の第２のコイル１６をそれぞれ
配設し、永久磁石１１ａの着磁時に第１のコイル１５に
よって発生する磁束２３を、第２のコイル１６により永
久磁石１１ａと極性を反対に着磁される永久磁石１１ｄ
の位置まで引っ張るようにしているので、永久磁石１１
ａ近傍の永久磁石１１ｂ、１１ｃが逆方向に磁化される
こともなく、正規に着磁される段階で消磁等の調整をす
る必要がなくなるため、電流制御を容易とすることがで
き、電流供給装置２２が大形化することもない。
【００１９】又、上記したように第２のコイル１６の巻
回数を、第１のコイル１５の巻回数の１／２以下として
いるので、第２のコイル１６によって発生する磁束が近
傍の永久磁石１１に悪影響を与えることなく、第１のコ
イル１５による磁束２３を引っ張ることができ、さらに
電流の制御が容易となる。又、第２のコイル１６を第１
のコイル１５と異なる方向に巻回しているので、同一の
電流供給装置２２から電流を供給しても、両コイル１
５、１６を流れる電流を切替手段等を用いることなく異
なる方向とすることができ、さらに電流の制御が容易と
なる。又、回転子１２を回転させることにより、永久磁
石１１と第１のコイル１５の相対位置を移動させるよう
にしているので、装置としての構成が簡素化される。
【００２０】実施の形態２．図４はこの発明の実施の形
態２における永久磁石回転子の着磁装置の要部の構成を
示す平面図である。図において、上記実施の形態１にお
けると同様な部分は同一符号を付して説明を省略する。
２４は図示はしないが上記実施の形態１におけると同様
に、複数の板状磁性部材を積層して形成された着磁鉄心
で、第１のコイル１５の両側近傍に永久磁石１１との間
の隙間を拡大するように切り欠き部２４ａがそれぞれ形
成されている。
【００２１】このように上記実施の形態２によれば、着
磁鉄心２４の第１のコイル１５の両側近傍に切り欠き部
２４ａをそれぞれ形成することにより、永久磁石１１と
の間の隙間を拡大するようにしているので、第１のコイ
ル１５によって発生する磁束が、第１のコイル１５近傍
で閉ループを形成して近傍の永久磁石１１に悪影響を与
えるのを防止し、第２のコイル１６側に磁束のほとんど
が引っ張られるようにすることができるため、さらに電
流の制御が容易となる。
【００２２】
【発明の効果】以上のように、この発明の請求項１によ
れば、回転子の外周面に周方向に所定の間隔を介して配
置される複数の未磁化の永久磁石のうち所定の個数の永
久磁石と対向して配置される着磁鉄心と、着磁鉄心の所
望の永久磁石と対向する位置に巻回される第１のコイル
と、着磁鉄心に第１のコイルを中心に周方向に所定の間
隔を介してそれぞれ配置され第１のコイルとは流れる電
流の方向が異なる一対の第２のコイルと、第１および第
２のコイルに電流を供給する電源とを備え、永久磁石お
よび第１のコイルのいずれか一方を相対的に移動させて
電源から供給される電流により各永久磁石を順次磁化し
て磁極を形成するようにしたので、永久磁石への逆磁界
の影響を無くし電流制御の容易な永久磁石回転子の着磁
装置を提供することができる。
【００２３】又、この発明の請求項２によれば、請求項
１において、第２のコイルを第１のコイルと少なくとも
永久磁石３個分の間隔を介してそれぞれ配置するように
したので、さらに電流制御の容易な永久磁石回転子の着
磁装置を提供することができる。
【００２４】又、この発明の請求項３によれば、請求項
１または２において、第２のコイルを第１のコイルとは
異なる方向に巻回するようにしたので、さらに電流制御
の容易な永久磁石回転子の着磁装置を提供することがで
きる。
【００２５】又、この発明の請求項４によれば、請求項
３において、第２のコイルを第１のコイルの巻回数の１
／２以下の巻回数で巻回するようにしたので、さらに電
流制御の容易な永久磁石回転子の着磁装置を提供するこ
とができる。
【００２６】又、この発明の請求項５によれば、請求項
１ないし４のいずれかにおいて、着磁鉄心の第１のコイ
ルの両側近傍に永久磁石との間の隙間を拡大する切り欠
き部を形成するようにしたので、さらに電流制御の容易
な永久磁石回転子の着磁装置を提供することができる。
【００２７】又、この発明の請求項６によれば、請求項
１ないし４のいずれかにおいて、回転子を回転させるこ
とにより永久磁石を相対的に移動させるようにしたの
で、電流制御の容易化が可能であることは勿論、構造の
簡素化が可能な永久磁石回転子の着磁装置を提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 この発明の実施の形態１における永久磁石回
転子の着磁装置の構成を示す概略図である。
【図２】 図１における着磁鉄心の構成を示す斜視図で
ある。
【図３】 図１における永久磁石回転子の着磁装置によ
って発生する磁束の分布状態を示す図である。
【図４】 この発明の実施の形態２における永久磁石回
転子の着磁装置の要部の構成を示す平面図である。
【図５】 従来の永久磁石回転子の着磁装置における磁
束の分布状態を示す図である。
【符号の説明】
１１ 永久磁石、１２ 回転子、１３，２４ 着磁鉄
心、１３ａ コイル挿入溝、２４ａ 切り欠き部、１５
第１のコイル、１６ 第２のコイル、２３ 磁束。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平６−38459（ＪＰ，Ａ) 特開 平９−163692（ＪＰ，Ａ) 特開 平11−308825（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) H02K 15/03 H01F 13/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 回転子の外周面に周方向に所定の間隔を
    介して配置される複数の未磁化の永久磁石のうち所定の
    個数の上記永久磁石と対向して配置される着磁鉄心と、
    上記着磁鉄心の所望の上記永久磁石と対向する位置に巻
    回される第１のコイルと、上記着磁鉄心に上記第１のコ
    イルを中心に周方向に所定の間隔を介してそれぞれ配置
    され上記第１のコイルとは流れる電流の方向が異なる一
    対の第２のコイルと、上記第１および第２のコイルに電
    流を供給する電源とを備え、上記永久磁石および第１の
    コイルのいずれか一方を相対的に移動させて上記電源か
    ら供給される電流により上記各永久磁石を順次磁化して
    磁極を形成するようにしたことを特徴とする永久磁石回
    転子の着磁装置。
  2. 【請求項２】 第２のコイルは第１のコイルと少なくと
    も永久磁石３個分の間隔を介してそれぞれ配置されてい
    ることを特徴とする請求項１記載の永久磁石回転子の着
    磁装置。
  3. 【請求項３】 第２のコイルは第１のコイルとは異なる
    方向に巻回されていることを特徴とする請求項１または
    ２記載の永久磁石回転子の着磁装置。
  4. 【請求項４】 第２のコイルは第１のコイルの巻回数の
    １／２以下の巻回数で巻回されていることを特徴とする
    請求項３記載の永久磁石回転子の着磁装置。
  5. 【請求項５】 着磁鉄心の第１のコイルの両側近傍に上
    記永久磁石との間の隙間を拡大する切り欠き部が形成さ
    れていることを特徴とする請求項１ないし４のいずれか
    に記載の永久磁石回転子の着磁装置。
  6. 【請求項６】 回転子を回転させることにより永久磁石
    を相対的に移動させるようにしたことを特徴とする請求
    項１ないし４のいずれかに記載の永久磁石回転子の着磁
    装置。
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