JP3444533B2 - エアバッグ - Google Patents

エアバッグ

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JP3444533B2
JP3444533B2 JP07620399A JP7620399A JP3444533B2 JP 3444533 B2 JP3444533 B2 JP 3444533B2 JP 07620399 A JP07620399 A JP 07620399A JP 7620399 A JP7620399 A JP 7620399A JP 3444533 B2 JP3444533 B2 JP 3444533B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、改良された縫製法
によるエアバッグに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、車輌の衝突時に、ステアリングホ
イールの中央部等に取り付けられたエアバッグが、イン
フレーターからのガスにより瞬時に膨脹し、乗員の前方
移動を拘束することにより乗員を保護している。
【0003】ところで、エアバッグ本体の中央には、イ
ンフレーター取付穴が形成され、このインフレーター取
付穴を設けたエアバッグ本体のインフレーター取付穴周
囲の表面または裏面の少なくとも一方に、エアバッグ本
体の基布に重ねて補強布が取り付けてある。この補強布
は、エアバッグ本体の基布を、インフレーターから出る
ガス熱や炎から保護するとともに、エアバッグ本体の基
布の強度を補強することを目的として設けるものであ
る。
【0004】前記エアバッグ本体の基布の補強効果をも
たせる手段としては、一般にエアバッグ本体のインフレ
ーター取付穴の周囲の表面、または裏面の少なくとも一
方に、エアバッグ本体の基布に重ねて補強布をミシン等
を用いて縫製することが行われている。縫製の方法とし
ては、インフレーター取付穴の周囲にインフレーター取
付穴と同心円状に本縫いがされている。
【0005】近年、エアバッグシステムの軽量化、コン
パクト化が要求され始め、エアバッグの袋体もノンコー
ト化、低デニール化などによる、あるいはバッグの小容
量化などにより軽量化が図られてきている。しかし、軽
量化はエアバッグのインフレーター取付口周辺の強度低
下を来すという問題を生じる。こうした状況の中で、特
開平6−156172号の提案がある。これはインフレ
ーター取付口周辺の強度を維持しながらエアバッグの本
体や補強布の基布の低デニール化を図ることを目的とす
るもので、放射方向でかつ周方向にジグザグ状に連続し
て縫製した補強布の取り付け構造が示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これは
補強布強化のための運針方向をジグザグ状に変化させる
ために作業性が悪く、生産性を低下させる。本発明は軽
量化のため低デニール糸で構成される基布の使用を前提
として、補強強度に優れたインフレーター取付口を有
し、かつ生産性の高いエアバッグを提供することを目的
とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意検討し
た結果、エアバッグ基布の例えばインフレーター取付用
の開口部を中心として、この開口部に相似形のステッチ
ラインで補強布を開口部周縁を補強するように縫い付
け、そして開口部から最遠のステッチラインは互いに近
接する複数のステッチラインより形成することが補強強
度、および縫製の生産性の観点から有効であることを見
出し、本発明に至った。
【0008】(1)インフレータ取付け用開口部を有す
る基布からなり、該開口部の周縁に補強布を縫着したエ
アバッグであって、基布は200デニール以下の原糸に
よる150g/m以下の目付の織物であり、縫着は、
前記開口部を中心にこの開口部から最遠のステッチライ
ンは2〜8mmの間隔で形成された複数のサブステッチ
ラインを有し、該複数のサブステッチラインのうちの最
大縫目径dが180mm以上で、エアバッグ外周の縫目
径Dとの関係が下記の(a)式を満足するように縫着さ
れたエアバッグ。 (a)0.28≦d/D≦0.42 (2)基布が150デニール未満の原糸による140g
/m 以下の目付の織物である前記(1)記載のエアバ
ッグ、 (3)複数のサブステッチラインは、3列のサブステッ
チラインである前記(1)または(2)記載のエアバッ
グ、(4) 補強布は前記最遠のステッチラインの少なくとも
一部が下記の(b)式と(c)式を満足するように縫着
される前記(1)〜(3)のいずれか1つに記載のエア
バッグ、 (b)20≦T≦60 (c)2≦T/S≦8 但し、Tは縫糸番手、Sは運針数(針/cm)に関す
る。
【0009】本発明のエアバッグの補強布の縫着は、従
来の周方向へジグザグに縫着するものとは異なり、ミシ
ン目は開口部に相似形をなす、単純な一回縫いになるの
で、頻繁に運針方向を変化させることなく、作業性がよ
い。開口部が円であれば、その円に対して同心円状のス
テッチラインを形成させればよい。最遠部のステッチラ
インと開口部との間に少なくとも一本の相似形のステッ
チラインを形成させる。 前記最遠のステッチラインは
二重または三重以上の二環重縫い、本縫いや千鳥縫いと
することができる。最遠のステッチラインは、三重に、
すなわち3列に形成することが好ましい。また、本発明
の好ましい態様として、前記最遠のステッチラインは扁
平縫いとし、ステッチラインを構成する開口部に沿う複
数列の糸とこれらの間をジグザグ状に往復する糸とで構
成し、この扁平縫い(飾り縫い)が総体として開口部か
ら最遠のステッチラインを形成するというものがある。
この場合、扁平縫い自体が複数のサブステッチラインを
構成する。このようなサブステッチラインを形成する複
数列の近接する糸目と複合されたジグザグの糸目とによ
る扁平縫いによって、十分な強度が得られ、また既存の
ミシンによる単純な一回縫いが可能である。
【0010】最遠の複数のステッチラインの間隔は2〜
8mm、好ましくは2〜6mmである。2mmより間隔
が狭くなると、針穴による低デニールの基布の強度低下
の影響が大きくなり、また8mmを越えて間隔が広がる
とステッチラインによる基布の拘束作用が弱まり、補強
効果が小さくなる。また、ステッチライン全体の幅は2
〜20mm、好ましくは2〜15mmとすればよい。
【0011】更に、開口部から最遠のステッチラインの
位置は、エアバッグの耐圧強度を左右し、低デニールを
用いた基布から構成されるエアバッグの場合、その影響
は極めて大きい。即ち、複数のステッチラインから成る
最遠のステッチラインのうちの最大縫目径dは180m
m以上が必要であり、好ましくは190〜320mmの
範囲とすれば良い。dが180mm未満の場合、十分な
耐圧強度が得られず、320mmを超えると耐圧強度は
向上するが、縫目線が長くなるため縫製工数が多くな
り、開口部の補強布寸法も大きくなり、本発明の目的で
ある軽いエアバッグを生産性良く得ることができない。
【0012】また、前記最大縫目径dは、エアバッグ本
体の外周縫目径Dと、ある特定の関連を保つことが好ま
しく、d/Dの値が、0.28≦d/D≦0.42の範
囲、好ましくは、0.3≦d/D≦0.4の範囲にある
と良い(図6参照)。d/Dが0.28より小さいと、
エアバッグの耐圧強度を高めることが難しく、0.42
を超えると耐圧強度は改良できるものの、エアバッグ寸
法によっては、外周の損傷を発生したり、軽いバッグを
合理的に提供することが難しくなる。
【0013】本発明においては、エアバッグの軽量化の
ため、基布は200デニール以下、好ましくは150デ
ニール未満の原糸による150g/m2以下、好ましく
は140g/m2以下の目付けの織物を使用するが、特
に上記の補強布の縫着の構成によってインフレーター周
辺の強度を十分に確保するとともに嵩体積が少ないエア
バッグとすることができる。
【0014】また、本発明において、補強布は、少なく
とも一部が下記2つの式を満足するように縫着する場
合、エアバッグ展開時の衝撃力に対する耐久性にとくに
優れている。 (b)20≦T≦60 (c)2≦T/S≦8 (T:縫糸番手、S:運針数) 本発明のエアバッグは、200デニール以下、好ましく
は150デニール未満の細い糸を用いた、目付が150
g/m2以下、好ましくは140g/m2以下の織物から
構成される。使用する糸が細い程、薄くて軽い織物が得
られるが、細くなり過ぎると織物の機械特性が不足し、
本発明の縫製条件を適用してもエアバッグとしての実用
性に欠ける。したがって、本発明の糸は、200デニー
ル以下、好ましくは60デニール以上150デニール未
満、より好ましくは100デニール以上150デニール
未満とすればよい。200デニール以上の糸を用いる
と、目的とするエアバッグの軽量、コンパクト性が十分
なレベルに達することができない。
【0015】本発明になる織物の目付は、150g/m
2以下であることが望ましく、好ましくは80g/m2
150g/m2、より好ましくは100g/m2〜150
g/m2の範囲とすればよい。150g/m2を越える場
合は、本発明の目的とする更なる軽量化、コンパクト性
を達成することができない。
【0016】本発明において、細い糸を用いて製織して
得た軽くて薄い織物に、特定の縫製条件を用いてエアバ
ッグ開口部の補強布を縫着することにより、薄い織物で
はありながら強固な開口部の補強仕様とすることができ
る。
【0017】すなわち、本発明における縫製条件は、縫
糸番手Tを20≦T≦60の範囲にすることである。更
に、運針数S(針/cm)と縫糸番手Tとの関係を2≦
T/S≦8の範囲にすることである。
【0018】従来、エアバッグに使用されている基布
は、315デニール以上の太い糸を用いた、170〜1
80g/m2以上の目付を持った比較的しっかりした織
組織の織物であり、この基布を裁断して得られる各種パ
ーツを縫い合わせ袋体を構成する際には、10番手以
下、すなわち、750デニール以上の縫糸番手である太
い縫糸を用いて縫製していた。又、縫製時に使用するミ
シン針も縫糸に対応した太いミシン針を使用していた。
【0019】しかし、本発明に使用される200デニー
ル以下の原糸を用いた柔軟な織物を縫製する場合、従来
と同様の縫製法では、基布を損傷する恐れがあった。特
に、従来の315デニール以上の原糸を構成する単糸
は、単糸デニールが3デニール以上であり、1本、1本
の糸が比較的太いものであるのに対し、150デニール
未満の原糸の単糸は、2デニールあるいはそれ以下の細
い場合であることが多く、太い縫糸番手とそれに対応し
た太いミシン針を用いて縫製すると、単糸がミシン針の
先端により傷付いたり、太い番手の縫糸が貫通すること
により、織物に無理やり大きな縫目穴を形成する傾向に
ある。
【0020】一方、エアバッグのインフレーター取付口
周辺を補強布で補強、固定する部位、特にインフレータ
ーに固定するための又はインフレーターに固定するため
の支持金具取付用のボルト孔又はスリットに近接し、か
つ取付口より遠い側に位置する縫目にはバッグ展開時に
瞬時に大きな負荷が加わる。
【0021】本発明になる細い原糸を用いた、軽くて柔
軟な織物を従来通りの縫製法により袋体を作成した場
合、ミシン針により破損を受けた糸や大きな縫目穴が発
端となってインフレーター取付口周辺部より破損する恐
れがあった。
【0022】本発明では、インフレーター取付口用の開
口部の周縁に補強布を縫着する場合、複数のサブステッ
チラインから構成される開口部から最遠のステッチライ
ンの少なくとも一部に使用される縫糸番手Tを、20≦
T≦60、更に好ましくは20≦T≦50の範囲にする
ことが好ましい。20番手より小さい番手、即ち、太い
縫糸では、織物に大きな縫い目穴を形成することにな
り、60番手より大きい番手、即ち、細い縫糸では縫い
合わせ部の補強効果が小さい。ここでいう縫糸番手と
は、JIS L−2510、L−2511、及びL−2
512に規定される化合繊縫糸と呼ぶ縫糸の番手を示
し、フィラメント糸縫糸の場合は、番手とデニールの関
係は、概略以下のとおりであり、10番手が740〜8
60デニール、20番手が600〜720デニール、3
0番手が400〜480デニール、40番手が270〜
330デニール、50番手が200〜240デニール、
60番手が140〜170デニールである。紡績糸縫糸
の場合は前記各JISに記載の数値表のデシテックスか
ら換算すればよい。
【0023】又、本発明では、縫糸番手Tに対する適正
な運針数S(針/cm)を用いることにより、最適な縫
目強力を得ることができる。即ち、2≦T/S≦8、好
ましくは3≦T/S≦7となるように縫糸番手Tに対す
る運針数S(針/cm)を特定することが肝要である。
【0024】T/Sが2より小さいと縫目が密になり、
縫い合わせ部が粗硬となるだけでなく、縫製の為の工数
も増える。又、T/Sが8より大きいと、縫目が粗にな
り過ぎ、適性な縫目強力を確保することができない。本
発明の縫製に用いるミシン針は、従来のエアバッグに用
いられている針番手20番手以上の太い針より、20番
手以下の細いミシン針、例えば18番手、16番手など
を用いるとよい。又、針の先端部の丸い、ボールポイン
ト型と呼ぶミシン針を用いると更に効果的である。又、
本発明になる縫目仕様は、使用する織物、バッグ仕様、
要求される取付口強度などに応じて選定すれば良いが、
本縫い、二重環縫い、千鳥縫い、扁平縫いが好ましく、
これらの組合せでも良い。
【0025】本発明において、使用する縫糸が、上糸、
下糸などで糸番手の異なる場合は、いずれの縫糸も本発
明の関係式(b)式および(c)式の関係を満足するこ
とが望ましいが、上糸又は下糸などいずれか一方のみが
(b)式および(c)式の関係を満足すればよい。本発
明に使用する縫糸は、一般に化合繊縫糸と呼ばれるもの
や工業用縫糸として使用されているものの中から適宜選
定すればよく、例えばナイロン6、ナイロン66、ポリ
エステル、ビニロン、アラミド、フッ素系、カーボン、
ガラスなどがあリ、紡績糸、フィラメント合撚糸、フィ
ラメント樹脂加工糸のいずれでもよい。
【0026】本発明のエアバッグの取付口形状は、円、
長円、楕円、正方形、長方形、菱形など、通常、使われ
ている形状から選べばよく、特に限定するものではな
い。
【0027】本発明になるエアバッグのインフレーター
取付口周辺の補強に用いられる補強布は、袋体に用いら
れたものと同じ織物でも良いが、別途、200デニール
以上の糸を用いて準備した補強用織物、例えばナイロン
66の840デニール、420デニール、315デニー
ル又は210デニールなどを用いて作成された、本発明
のエアバッグ用織物より厚手織物の単独又は複数枚を用
いてもよい。
【0028】本発明になるエアバッグの適用部位は、運
転席、助手席、サイド(インフレータブルカーテンを含
む)、後部席など、通常使用されているエアバッグの適
用部位の中から適宜選定すればよく、エアバッグの袋体
の裁断形状も、円形、長円形、楕円形、矩形、多角形、
あるいはこれらの組合せなど、いずれでもよく、要望さ
れる展開形状を満足するものであればよい。
【0029】本発明の織物の製造は、通常の工業用織物
を製織するのに用いられる各種織機から適宜選定すれば
よく、例えば、シャトル織機、ウォータージェット織機
(WJL)、エアージェット織機(AJL)、レピア織
機、プロジェクタイル織機などから選べばよい。織物の
組織も、平織、斜子織(バスケット織)、綾織、格子織
(リップ・ストップ織)、あるいはこれらの複合組織な
ど、いずれでも良く、場合によっては、ドビー装置やジ
ャカード装置などを織機に併用して各種変則組織として
もよい。
【0030】また、この織物を構成する繊維糸条は特に
限定するものではなく、例えば、ナイロン6、ナイロン
66、ナイロン46、ナイロン610、ナイロン612
などの単独、またはこれらの共重合、混合により得られ
るポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
トリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ート、ポリエチレンナフタレートなどの単独、またはこ
れらの共重合、混合により得られるポリエステル繊維、
パラフェニレンテレフタルアミド、およびこれと芳香族
エーテルとの共重合体などに代表されるアラミド繊維、
全芳香族ポリエステル繊維、ビニロン繊維、超高分子量
ポリエチレンなどのポリオレフィン繊維、塩化ビニル系
および塩化ビニリデン系繊維、ポリテトラフルオロエチ
レン系を含むフッ素系繊維、ポリサルフォン(PSf)
繊維、ポリフェニレンサルファイド系(PPS)繊維、
ポリエーテルエーテルケトン系(PEEK)繊維、ポリ
イミド繊維、ポリエーテルイミド繊維、高強力レーヨン
を含むセルロース系繊維、アクリル系繊維、炭素繊維、
ガラス繊維、シリコーンカーバイド(SiC)繊維、ア
ルミナ繊維、などから適宜選定すれば良いが、場合によ
っては、スチールに代表される金属繊維などの無機繊維
を含んでもよい。
【0031】これらの繊維糸条には紡糸性や加工性、材
質の耐久性を改良するために通常使用されている各種の
添加剤、例えば耐熱安定剤、酸化防止剤、耐光安定剤、
老化防止剤、潤滑剤、平滑剤、顔料、溌水剤、溌油剤、
酸化チタンなどの隠ぺい剤、光沢付与剤、難燃剤、可塑
剤、などの一種または二種以上を使用してもよい。ま
た、場合によっては、加撚、嵩高加工、捲縮加工、捲回
加工などの加工を施してもよい。
【0032】更に、糸条は、長繊維のフィラメント、短
繊維の紡績糸、これらの複合糸など、特に限定しない。
【0033】本発明のエアバッグを構成する織物は、イ
ンフレーターの性能、エアバッグの容量、使用部位など
によっては、耐熱性エラストマーを付与して不通気性加
工を行ってもよいし、全く不通気性加工を施さないノン
コート織物でもよい。ノンコート織物の場合、精練、乾
燥、熱セットなどを行えばよく、熱セット温度などの条
件は、通気性、機械特性などを考慮して選定すればよ
い。
【0034】側突保護用のサイドバッグなどの高度な気
密性が求められる場合や、使用するインフレーターの出
力、ガス温度などの特性によってコート織物がエアバッ
グに求められる特性をより好ましく満足できる場合に
は、シリコーン樹脂またはゴムなどの耐熱性エラストマ
ーを付与した織物を用いても良い。この場合、耐熱性エ
ラストマーの付与量を通常のコート織物より少なく、例
えば、10g/m2以下、好ましくは2〜8g/m2など
とすることで、低デニール織物の軽さを損なうことな
く、耐熱性と不通気性を付与することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】図1〜4は、本発明のエアバッグ
のインフレーター取付開口部周辺の補強布の縫着状態を
説明する図である。図1〜4において、1はエアバッグ
本体基布、2はインフレーター取付口、3は補強布、4
はインフレーター取付口最遠ステッチラインを示す。
【0036】
【実施例】以下、実施例により本発明をより具体的に説
明する。
【0037】実施例1 ナイロン66繊維140d/68f(原糸強度8.2g
/d)を用いて、織物密度、経および緯いずれも90本
/吋の平織物を製織した。この織物を精練、熱セット
し、経93本/吋、緯91本/吋のノンコート織物を得
た。織物の目付けは122g/m2であった。
【0038】次にノンコート織物から、外径φ690m
mの円形布(1a,1b)を2枚裁断し、一方の円形布
の中央部にインフレーター取付口としてφ70mmの開
口(2)を設けた。
【0039】一方、インフレーター取付口の補強布用
に、ナイロン66繊維420d/70fを用いて、平織
物を製織し、精練、熱セットした。得られた平織物は織
物密度が、経・緯いずれも53本/吋で、ノンコート織
物として使用し、インフレーター取付口の補強布片
(3)として、外径φ220mm、内径φ70mmの環
状布を3枚裁断した(図5参照)。
【0040】一方の円形布の中央部にノンコート補強布
片を3枚、円形布と補強布のそれぞれの糸軸方向を合わ
せて重ね、図1に示すように、縫い目径φ78mmの内
層(ステッチライン)、φ135mmの中層、および三
列のサブステッチライン(4)(φ186、φ192、
φ198mm)からなる外層の各部位で縫い合わせた。
外層の各縫い目間距離は3mmである。縫糸は、上糸、
下糸共ナイロン66系の30番手を用い、運針数6.5
針/cmの本縫いで縫い合わせた。更に、円形布とイン
フレーター取付口を設けていない別の円形布を、それぞ
れの糸軸を45゜ずらした位置で重ね合わせ、外周径か
ら20mm内側を縫い合わせた。縫い糸は上糸、下糸共
にナイロン66系の20番手を用い、運針数5針/cm
の二重環縫い(二列)で縫い合わせた。
【0041】得られたエアバッグは、耐圧強度測定用の
排気孔のないもので、インフレーター取付口から反転し
て裏返し、破裂試験に供した。破裂試験は、エアバッグ
内部にゴム風船を挿入し、加圧空気により膨脹させるこ
とにより、エアバッグの破裂するときの内圧をもって耐
圧強度とした。
【0042】耐圧強度の測定結果を表1に示した。耐圧
強度は、従来のインフレーター取付口縫仕様(比較例
1)に対比して約34%向上している。
【0043】実施例2 実施例1において、インフレーター取付口補強布の縫い
付けを、縫糸として上糸、下糸共にナイロン66系の2
0番手を用い、運針数5.5針/cm、更に、最外層の
サブステッチライン径をφ186、φ198mmの二列
とし、縫い目間距離を6mmとした外は、全て実施例1
と同一の条件にてエアバッグを作製した。本実施例のエ
アバッグの耐圧強度は表1の通りで、比較例1に対比し
て約18%向上している。
【0044】実施例3 実施例2において、インフレーター取付口補強布の最外
層縫い目仕様を二重環縫いとした以外は、全て実施例2
と同一の条件にてエアバッグを作製した。本実施例のエ
アバッグの耐圧強度は表1の通りで、比較例1に対比し
て約16%向上している。
【0045】比較例1 実施例1の最外層の縫い目をステッチライン径φ198
mmの一列とした以外は、実施例1と同一の仕様のエア
バッグである。耐圧強度の測定結果を表1に示した。
【0046】比較例2 実施例2の最外層の縫い目をサブステッチライン径φ1
78、φ198mmの二列とし、サブステッチラインの
間隔を10mmとした以外は、実施例2と同一の仕様の
エアバッグである。耐圧強度の測定結果は表1のとお
り。最外層の縫い目は二列であっても縫い目間距離が広
いと耐圧強度の向上は認められない。
【0047】比較例3 比較例2のインフレーター取り付け口補強布のサブステ
ッチラインをφ196、φ198mmの二列とした。サ
ブステッチラインの間隔は1mmである。耐圧強度は表
1の通りである。最外層のサブステッチラインは二列で
あるが、間隔が狭いと耐圧強度は低下する。
【0048】
【表1】
【0049】実施例4 ナイロン66繊維140d/68f(原糸強度8.2g
/d)を用いて、織物密度が経92本/吋、緯96本/
吋の平織物を製織し、この織物を精練、熱セットし、経
96本/吋、緯98本/吋のノンコート織物を得た。織
物の目付けは134g/m2であった。
【0050】次に、ノンコート織物から、外径φ720
mmの円形布を2枚裁断し、一方の円形布の中央部にイ
ンフレーター取付口としてφ70mmの開口を設けた。
【0051】一方、インフレーター取付口の補強布用
に、ナイロン66繊維420d/70fを用いて、平織
物を製織し、精練、熱セットした。得られた平織物は、
織物密度が、経・緯いずれも53本/吋で、ノンコート
織物として使用した。平織物から、インフレーター取付
口の補強布片として、外径φ260mm、内径φ70m
mのドーナツ状布を3枚裁断した。
【0052】円形布の中央部に平織物から裁断したノン
コート補強布片を円形布と補強布のそれぞれの糸軸方向
を合わせて重ね、縫目径φ236mm、φ230mm、
φ224mm(外層)、φ135mm(中層)の部位で
縫い合わせた。縫糸は、上糸、下糸ともナイロン66系
の20番手を用い、運針数5針/cmの本縫いで18番
手のミシン針により縫い合わせた。
【0053】そして、補強布片が縫い合わされた円形布
の中央部に穴径φ5.5mmのインフレーター取付用ボ
ルト孔を開孔した。開孔した位置は、円形布及び補強布
の糸軸方向とした。
【0054】更に、2枚の円形布をそれぞれの糸軸を4
5゜ずらした位置で重ね合わせ、外周径から20mm内
側を縫い合わせた。縫糸は、上糸、下糸がナイロン66
系の20番手を用い、運針数5針/cmの二重環縫い
(二列)で18番手のミシン針により縫い合わせた。
【0055】得られたエアバッグは、耐圧強度測定用の
排気孔のないもので、インフレーター取付口から反転
し、破裂試験を行った。耐圧強度の測定結果を表2に示
した。耐圧強度は、従来仕様(比較例1)に対比して約
40%向上している。
【0056】比較例4 実施例4において、インフレーター取付口の補強布とし
て外径ψ324mmの円形布の、開口部から最遠の縫目
径をψ288mm、ψ294mm、ψ300mmの三列
とした以外は、実施例4に準じてエアバッグを作成し
た。
【0057】得られたエアバッグの破裂強度を評価し
た。測定結果を表2に示す。d/Dが0.42より大き
いと、取付口の縫製工数が実施例4に対比して約30%
アップするが、耐圧強度は従来仕様(比較例1)に対比
して47%向上し、実施例4に対しても約5%は向上し
ている。
【0058】しかし、取付口の縫製工数が増大してお
り、作業性が劣り、高生産性での製造ができない。 比較例5 実施例4において、インフレーター取付口補強布の開口
部から最遠の縫目径をψ178mm、ψ184mm、ψ
190mmの三列とした以外は、実施例4に準じてエア
バッグを作成した。
【0059】測定した破裂強度の結果を表2に示す。d
/Dが0.28より小さいと取付口の縫製工数は実施例
4に対比して短い。
【0060】しかし、耐圧強度は実施例4に比し劣って
いる。 比較例6 実施例4において、インフレーター取付口補強布の縫い
付けを縫糸として上糸、下糸共にナイロン66系の30
番手を用い、運針数6針/cm、更に開口部から最遠の
縫目径をψ158mm、ψ164mm、ψ170mmの
三列とした以外は、実施例4に準じてエアバッグを作成
した。
【0061】測定した破裂強度の結果を表2に示す。d
が180mmより小さいと取付口の縫製工数は実施例4
に対比して短い。
【0062】しかし、耐圧強度は実施例4に比し劣って
いる。 実施例5 実施例4において、ペガサスミシン製造社製WT562
−OICB(2本針)により縫目仕様を扁平縫いとし、
最遠の縫目径をψ252mm、ψ260mmの二列とし
た以外は、実施例4に準じてエアバッグを作成した。
【0063】測定した破裂強度の結果を表2に示す。扁
平縫いを採用した場合は、複数のサブステッチラインが
極めて短時間で得られ、耐圧強度も従来品(比較例1)
より29%向上している。
【0064】
【表2】
【0065】なおこれまでインフレーター取付用開口部
の周辺の補強について述べてきたがベントホール周辺部
などについても同様に補強することができる。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のエアバッ
グは低デニール原糸から構成された軽量基布を使用しな
がら、そのインフレーター取付口周辺の強度を十分に確
保でき、しかも作業性もよく縫製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により補強布を縫着したエアバッグの実
施例を示す図(最遠のステッチラインが3列の本縫
い)。
【図2】同上別の実施例を示す図(最遠のステッチライ
ンが二重環縫い)。
【図3】同上さらに別の実施例を示す図(最遠のステッ
チラインが扁平縫い)。
【図4】同上さらに別のステッチパターンの例を示す図
(最遠のステッチラインが千鳥縫い)。
【図5】エアバッグを構成する基布と補強布の説明図。
【図6】エアバッグの縫製におけるdとDの関係を示す
図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60R 21/16 - 21/32

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】インフレータ取付け用開口部を有する基布
    からなり、該開口部の周縁に補強布を縫着したエアバッ
    グであって、基布は200デニール以下の原糸による1
    50g/m以下の目付の織物であり、縫着は、前記開
    口部を中心にこの開口部の形状に相似形に複数の列をな
    すステッチラインによりなされ、開口部から最遠のステ
    ッチラインは2〜8mmの間隔で形成された複数のサブ
    ステッチラインを有し、該複数のサブステッチラインの
    うちの最大縫目径dが180mm以上で、エアバッグ外
    周の縫目径Dとの関係が下記の(a)式を満足するよう
    に縫着されたエアバッグ。 (a)0.28≦d/D≦0.42
  2. 【請求項2】基布が150デニール未満の原糸による1
    40g/m以下の目付の織物である請求項1記載の
    アバッグ。
  3. 【請求項3】複数のサブステッチラインは、3列のサブ
    ステッチラインである請求項1または2記載のエアバッ
    グ。
  4. 【請求項4】補強布は前記最遠のステッチラインの少な
    くとも一部が下記の(b)式と(c)式を満足するよう
    に縫着される請求項1〜3のいずれか1項に記載のエア
    バッグ。 (b)20≦T≦60 (c)2≦T/S≦8 但し、Tは縫糸番手、Sは運針数(針/cm)
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