JP3425288B2 - 加工性に優れた400〜800N/mm2級高強度熱延鋼板及びその製造方法 - Google Patents

加工性に優れた400〜800N/mm2級高強度熱延鋼板及びその製造方法

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JP3425288B2 JP01995096A JP1995096A JP3425288B2 JP 3425288 B2 JP3425288 B2 JP 3425288B2 JP 01995096 A JP01995096 A JP 01995096A JP 1995096 A JP1995096 A JP 1995096A JP 3425288 B2 JP3425288 B2 JP 3425288B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加工性に優れた4
00〜800N/mm2 級高強度熱延鋼板及びの製造方法
に関わり、その用途は、自動車、家電、建材等である。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車、建築等多くの産業分野
で、部材の軽量化の要望が高まっており、それに対応す
るために高強度鋼板が用いられる場合が増えている。そ
して、これらの鋼板が用いられる用途においては、しば
しば高い加工性、特に穴拡げ性が要求される。
【0003】従来から、このような高強度熱延鋼板とし
ては、フェライト(F)+マルテンサイト(M)また
は、フェライト(F)+ベイナイト(B)の複合組織に
よる組織強化型の鋼板が多く使われている。しかし、F
+Mの複合組織鋼では、高い強度は得られるものの穴拡
げ性が劣るという問題がある。また、F+B鋼では、特
開昭57−101649号公報に示されているように、
穴拡げ性には優れているものの、穴拡げ性を確保したま
まで700N/mm2 以上の強度を得ることは困難であっ
た。
【0004】その他、組織の大部分をフェライトにし、
かつTiC析出強化を利用することで700N/mm2
上の強度を確保し、同時に穴拡げ性も確保するものとし
て、特開平6−200351号公報で開示された発明が
ある。しかし、この発明の鋼板は、0.5%以上のMn
による固溶強化が必須であり、本発明のように広い強度
範囲を作り分ける技術でもない。
【0005】一般に、固溶強化は、高価な合金元素を要
するため、コスト的には不利な強化機構であるとされて
いる。特公昭56−9223号公報で開示された発明で
は、低Mnでも高強度が得られるが、これは、TimB
nによる析出強化を活用するもので、高価なB添加が必
須である。また、本発明のように広い強度範囲を作り分
ける技術でもない。
【0006】600〜800N/mm2 級の強度範囲にお
いて穴拡げ性を確保する技術とては、特開平6−172
924号公報の発明がある。これは、ベイネティックフ
ェライトによる組織強化鋼であり、フェライト中のTi
C析出による強化が主である本発明鋼とはその強化機構
が全く異なる。また、低Mn化による効果を狙ったもの
でもない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高価な合金
元素を用いることなく、600〜800N/mm2 という
広い強度範囲にわたって加工性、特に穴拡げ性に優れる
高強度熱延鋼板とその製造方法を提供することを目的と
するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明者等は鋭意検討を行った。その結果、オース
テナイトフォーマーであるMnを低減しα域を広げるこ
とによって、熱延終了から巻取前までの冷却中のTiC
の析出が促進されて、鋼板強度がTiCの析出強化によ
り確保されるとともに、セメンタイトの生成量が減少す
ることから鋼板の穴拡げ性が著しく向上することを見出
した。
【0009】また、熱延終了から巻取前までの冷却速度
が大きくなるにつれて、TiCの微細化が促進され、T
iCの強化への寄与が極めて大きくなることを見出し
た。さらに、粗圧延後に曲げ戻し加工を加えることによ
って、材質の長手、幅方向の均質化が促され、コイル内
の材質のばらつきが低減されることを見出した。
【0010】本発明は、このTiCの析出強化を活用す
ることによって、低コストでかつ加工性に優れた高強度
鋼板を広い強度範囲において容易に作り分ける技術を確
立したものであり、その要旨とするところは下記の通り
である。
【0011】(1) 重量%で、C:0.05〜0.2
%、Mn:0.01%以上、0.5%未満、Si:0.
01〜0.04%、Al:0.005〜0.1%、P:
0.05%以下、S:0.01%以下、N:0.007
%以下、Ti:0.05〜0.3%を含有し、残部は鉄
および不可避的不純物よりなり、さらに、全C量のうち
セメンタイトとして析出しているCの割合〔M=(C%
as セメンタイト)/(全C%)〕が0.03以下であ
ることを特徴とする加工性に優れた400〜800N/
mm2 級高強度熱延鋼板。
【0012】(2) 重量%で、C:0.05〜0.2
%、Mn:0.01%以上、0.5%未満、Si:0.
01〜0.04%、Al:0.005〜0.1%、P:
0.05%以下、S:0.01%以下、N:0.007
%以下、Ti:0.05〜0.3%を含有し、残部は鉄
および不可避的不純物よりなる鋼を、加熱温度:120
0〜1350℃で加熱し、粗圧延後、仕上げ温度がAr
3 以上の熱間圧延を施し、引き続き1〜60℃/sの範
囲内の冷却速度で、かつ所望の引張強さに応じて下記
(1)式から求まる冷却速度に対して±5℃/sの範囲内
の冷却速度で、仕上げ温度から600〜750℃まで冷
却し、その後、巻取温度:室温〜750℃で巻き取り、
全C量のうちセメンタイトとして析出しているCの割合
〔M=(C%as セメンタイト)/(全C%)〕が0.
03以下であることを特徴とする加工性に優れた400
〜800N/mm2 級高強度熱延鋼板の製造方法。 CR=−200 ×( 0.5×C%+ 2.5×Ti%)+TS/3 − 85 ……(1) CR:冷却速度(℃/s)、C%:C濃度、Ti%:Ti濃度、 TS:所望する引張強度(N/mm2
【0013】(3) 粗圧延後、粗バーをコイル状に巻
き取り、巻き戻し、その後、仕上圧延に供することを特
徴とする上記(2)記載の加工性に優れた400〜80
0N/mm2 級高強度熱延鋼板の製造方法。 (4) 仕上圧延前に、先行材の後端部と後行材の先端
部を接合して、仕上圧延に供することを特徴とする上記
(2)または(3)記載の加工性に優れた400〜80
0N/mm2 級高強度熱延鋼板の製造方法。
【0014】本発明における鋼板及びその製造方法は、
C、Ti量、熱延条件を限定することによって、Mnな
どの高価な合金元素を添加することなく、加工性に優れ
た高強度熱延鋼板を広い強度範囲に亘って提供するもの
である。以下にその限定理由を述べる。
【0015】まず、化学成分について、その限定理由を
説明する。Cは、本発明において最も重要な元素の一つ
である。その量が0.05%以上の範囲では、C量が増
加するのに伴いTiC析出量が増加し強度が高くなる。
しかし、その量が0.2%を超えるとその効果は飽和
し、成形性も低下する。したがって、C添加量の範囲と
しては、0.05〜0.2%とする。強度と成形性のバ
ランスの観点から、0.1〜0.15%とするのが好ま
しい。
【0016】Siは、脱酸のために0.01%以上添加
する。しかし、その添加量が0.04%を超えると溶接
性が劣化する。したがって、Si添加量は0.01〜
0.04%とする
【0017】Mnは、MnSを生成し固溶Sによる熱間
割れを防止するため、0.01%以上添加する。しか
し、0.5%以上添加すると、α域が狭くなりTiCの
析出が抑制される。また、粗大なMnSによって穴拡げ
性が低下する。したがって、Mn添加量の範囲としては
0.01〜0.5%未満とする。強度と成形性(穴拡げ
性)のバランスの観点から、0.01〜0.3%とする
のが好ましい。
【0018】Pは、安価な固溶強化元素であるが、0.
05%超では熱間あるいは冷間加工時の割れの原因とな
る。そこで、Pの含有量は0.05%以下とする。さら
に、厳しい加工性を要求される場合は、0.03%以下
とするのが好ましい。
【0019】S量は、0.01%超ではγ域でのTi4
2 2 の析出量が増加するためTiCの析出量が低下
し、強度を確保できない。また、固溶Sとして残存した
場合は熱間割れの原因となる。このため、S量は0.0
1%以下とする。特に、Ti4 2 2 生成抑制の観点
からは、S量は0.005%以下が望ましく、更に、
0.003%以下とすることで、Ti4 2 2 の生成
が更に抑制されて好ましい条件である。
【0020】Alは、脱酸剤として少なくとも0.00
5%を添加することが必要である。しかし、0.1%を
超えるとコストアップとなるばかりか介在物の増加を招
き、加工性を劣化させる。そこで、Al添加量の範囲と
しては0.005〜0.1%とする。
【0021】Nは、窒化物の増加に伴い延性の劣化を招
くので、少ないほど望ましい。したがって、0.007
%以下とする。より厳しい加工性が必要な場合は、0.
003%以下とするのが好ましい。
【0022】Tiは、本発明において最も重要な元素で
ある。その量が0.05%以上では、Tiの増加に伴い
TiCの析出量が増加し、かつROT冷却速度の上昇に
伴い析出するTiCが微細になり、強度が高くなる。そ
こで、強度レベルに応じて添加する。ただし、その量が
0.3%を超えると、これらの効果は飽和する。したが
って、Ti添加量の範囲は0.05〜0.3%とする。
【0023】また、加工性、特に穴拡げ性を確保するた
めには、全C量のうちセメンタイトとして析出するC量
の割合〔M=(C% as セメンタイト)/(全C%)〕
が0.03以下でなければならない。更に厳しい加工性
(穴広げ性)が求められる場合には、M≦0.01とす
るのが好ましい。
【0024】この(C% as セメンタイト)は、以下の
ようにして求められる。すなわち、非水溶媒によって抽
出した残渣を化学分析に供し、Fe量(=F(g)とす
る)を測定する。このときサンプル全体の抽出量をZ
(g)とすると、(C% as セメンタイト)=F/Z×
12/168×100(%)となる。
【0025】上記成分を得るための原料は特に限定しな
いが、鉄鉱石を原料として高炉−転炉により成分を調製
する方法以外に、スクラップを原料として電炉で溶製し
てもよい。スクラップを原料の全部または一部として使
用する際には、Cu、Cr、Ni、Sn、Sb、Zn、
Pb、Mo等の元素を、合計で1%未満含有してもよ
い。
【0026】次に、製造プロセスに関する限定理由を述
べる。熱間圧延に供するスラブは、特に限定するもので
はない。すなわち、連続鋳造スラブや薄スラブキャスタ
ーで製造したものなどであれば良い。また、鋳造後に直
ちに熱間圧延を行う、連続鋳造−直接圧延(CC−D
R)のようなプロセスにも適合する。粗圧延の後にコイ
ルボックスでの巻取、巻戻し処理を行ったり、更にその
後、先行の粗バーの後端と後行の粗バーの先端を接合し
仕上圧延を行う連続熱延のようなプロセスを行うと、材
質が均一化し歩留まりも向上する。
【0027】熱間圧延における加熱温度は、熱延前に生
成されているTiCを再固溶させ、過飽和Tiをできる
だけ多くするために、1200℃以上とすることが必須
である。しかし、1350℃を超えるとその効果は飽和
するだけでコストがかかるので、加熱温度は1350℃
以下とする。TiCの再固溶の効果と製造コストのバラ
ンスの観点から、1300℃未満とするのが好ましい。
仕上圧延における熱延終了温度は、プレス成形性を確保
するためにAr3 変態点以上とする必要がある。
【0028】粗圧延終了後には、粗バーを一旦コイル状
に巻き取ってもよい。このとき、1000℃以下での加
熱保持を行っても良いし、コイルボックスのような物の
中で恒温保持しても良い。大気中での保持でも良い。表
面性状の観点からは、不活性ガス雰囲気での保持を行う
のが好ましい。このコイルを巻き戻した後に、そのま
ま、Ar3 以上の仕上げ温度で仕上げ圧延を行っても良
いし、先行の粗バーの後端と後行の粗バーの先端を接合
して連続的に仕上げ熱延を行っても構わない。
【0029】粗圧延終了後に、粗バーを一旦コイル状に
巻き取ることなく、先行の粗バーの後端と後行の粗バー
の先端を接合して連続的に仕上げ熱延を行っても構わな
い。このような工程によって材質が均一化し、端部切り
落としの必要が無くなり歩留まりが向上する。また、熱
延板の板厚精度も著しく向上する。
【0030】仕上げ圧延後の冷却速度は、TiCの析出
量とベイナイト量を変えて強度を作り分けるために、1
〜60℃/sの範囲で、かつ、所望の引張強さに応じ
て、引張強さと化学成分とから(1)式で求まる平均冷
却速度CRに対して±5℃の範囲とする。冷却速度を1
℃/s未満にすることは設備上困難であり、かつ、格段
の効果も得られないことから、冷却速度は1℃/s以上
とする。
【0031】一方、60℃/s超の冷却速度を安定に確
保することは難しく、強度のばらつきの原因となること
から、冷却速度の上限は60℃/sとする。また、
(1)式で求まる平均冷却速度CRに対して±5℃の範
囲を超える冷却速度では、狙いとする引張強度を得られ
ないため、仕上げ圧延後の冷却速度は、CR±5℃とす
る。
【0032】強度に寄与するTi、C量、引張強度と冷
却速度の関係は以下のようにして調べた。0.08%C
−0.3%Mn−0.002%N鋼をベ−スに、Ti含
有量を変化させた鋼片を、1250℃に加熱後、仕上げ
温度908℃で、板厚4mmに仕上げ、その後、種々の冷
却速度で冷却した時の冷却速度、Ti量と引張強度TS
との関係を図1に示す。
【0033】同じ熱延条件で、0.3%Mn−0.12
%Ti−0.002%N鋼をベ−スに、C含有量を変化
させた鋼片について、同様の調査を行った結果を図2に
示す。これより、Ti、C量の増加に比例して引張強度
(TS)が上昇することが分かる。また図3には、図1
と図2のデータを冷却速度とTSの関係に整理し直した
結果を示す。これより、ROT冷却速度に比例してTS
が上昇していることが分かる。
【0034】以上の関係を式にまとめると、下記の様に
なる。 CR=−200 ×( 0.5×C%+ 2.5×Ti%)+TS/3 − 85 ……(1) CR:冷却速度(℃/s)、C%:C濃度、Ti%:T
i濃度、 TS:引張強度(N/mm2
【0035】冷却停止温度は、600〜750℃とす
る。冷却停止温度を600℃未満とすることは、特段の
効果が期待できない上に強度のばらつきの原因となるこ
とから、冷却停止温度の下限は600℃とする。一方、
冷却停止温度を750℃超にすると、冷却中に析出する
TiCの量が減少し強度が低下するため、冷却停止温度
の上限は750℃とする。
【0036】巻取温度は、室温〜750℃の範囲とす
る。巻取温度を750℃超にすることは、強化に寄与し
ている微細TiCの粗大化を促し、強度の低下の原因と
なる。また、高温巻取のための設備と酸洗コストの観点
からも望ましくない。そこで、巻取温度の上限は750
℃とする。優れた表面性状が要求される場合は、表面ス
ケールの発生を抑制するために、巻取温度を700℃以
下にするのが好ましい。
【0037】更に厳しい表面性状の要求を満たすために
は、600℃以下とするのが更に好ましい。本発明にお
いては、強化に寄与しているTiCが粗大化して、強度
が低下してしまう温度領域未満の750℃以下の温度で
あれば基本的にはどの温度で巻き取っても良いが、室温
未満で巻き取ることは、過剰な設備が必要となるばかり
でなく、特段の効果もないため、巻取温度の下限は室温
とする。
【0038】
【発明の実施の形態】
(実施例1)表1に示す化学成分を有する低炭素鋼を転
炉にて出鋼し、連続鋳造機にてスラブとした後、125
0℃に加熱し、仕上げ温度903℃、板厚2mmとなるよ
うな熱間圧延を行った。表2に示すような種々のROT
冷却速度(ランアウトテーブル (run out table)での平
均冷却速度)で650℃まで冷却した後、620℃でコ
イルに巻き取った。
【0039】
【表1】
【0040】このようにして得られた熱延鋼板につい
て、圧延方向の引張試験片(JIS Z2201 記載の5号
試験片)を加工し、JIS Z 2241 記載の試験方法に従
って引張試験を行った。また、穴拡げ試験は1辺100
mmの試験片の中央に径10mmの打ち抜き穴を加工し、そ
の初期穴を頂角60°の円錐ポンチにて押し広げ、割れ
が鋼板を貫通した時点での穴径dの初期穴径10mmに対
する穴拡げ率λ(次式)で評価した。 λ={(d−10)/10}×100(%)
【0041】以上の試験結果を表2に示す。表2から明
らかなように、Mn量が低く、C、Ti量が適正な鋼
は、上記製造条件で、かつ、狙いの引張強度TSに対し
て、(1)式CR=−200 ×( 0.5×C%+ 2.5×Ti
%)+TS/3− 85 で計算されるROT冷却速度の±5
℃以内に実測のROT冷却速度を確保できているため、
セメンタイトの生成量も少なく(M≦0.03)、穴拡
げ性にも優れていることが分かる。
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】(実施例2)表1に示した鋼種CとIにつ
いて、連続鋳造によって製造したスラブを、表3に示し
た種々の温度で1時間加熱し、仕上温度900℃、板厚
5mmとなるような熱間圧延を行った後、鋼Cは25±2
℃/s(希望強度550N/mm2 )、鋼Iは20±3℃
/s(希望強度750N/mm2 )のROT冷却速度で6
80℃まで冷却した後に、600℃でコイルに巻き取っ
た。
【0045】このようにして得られた熱延鋼板につい
て、実施例1と同様にJIS5号による圧延方向の引張
試験、穴拡げ試験を行った。その結果を表3に示す。こ
れより、加熱温度が1200〜1350℃の範囲内で
は、狙いの強度±20N/mm2 内の強度が得られている
が、加熱温度が1200℃未満になると、強度が狙いの
強度に比べて著しく低下し、穴拡げ性も劣ることが分か
る。
【0046】
【表4】
【0047】(実施例3) 表1に示した鋼種B、D、Nのスラブを用いて、製造条
件の比較のために次のような試作を行った。すなわち、
その製造条件は、1250℃で加熱し、粗圧延終了後
コイル状に巻き取り直ちに巻き戻した後に、仕上げ温度
900℃、板厚3mmとなるような仕上圧延を行い、表4
に示したROT冷却速度で700℃まで冷却した後コイ
ルに巻き取った場合と、1250度で加熱し、粗圧延
終了後巻き取り巻き戻しの工程を経ることなく、仕上温
度910℃、板厚4mmとなるような熱間圧延を行った
後、表4に示したROT冷却速度で630℃まで冷却し
た後460℃でコイルに巻き取った場合である。それぞ
れの熱延板について、長手方向先端から10m、中央
部、後端から10mの各位置から試験片を採取し、実施
例1と同じ試験を行った結果を表4に示す。
【0048】
【表5】
【0049】これより、本発明例では、粗圧延後の巻き
取り巻き戻し工程の有無に関わらず、コイル全長で狙い
の強度±20N/mm2 が確保されているが、巻き取り巻
き戻し工程を加えた場合の方が、コイル材質の均一性に
より優れているのが分かる。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、C、Ti量、熱延条件
を限定することによって、Mnなどの高価な合金元素を
添加することなく、400〜800N/mm2 という広い
強度範囲にわたって、加工性に優れた高強度熱延鋼板及
びその製造方法を容易に提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】引張強度TSとTi添加量、ROT冷却速度の
関係を示す図表である。
【図2】引張強度TSとC添加量、ROT冷却速度の関
係を示す図表である。
【図3】引張強度TSとROT冷却速度の関係を示す図
表である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小山 一夫 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社 技術開発本部内 (56)参考文献 特開 平2−8349(JP,A) 特開 平4−289126(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60 C21D 9/46

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C: 0.05〜0.2%、 Mn:0.01%以上、0.5%未満、 Si:0.01〜0.04%、 Al:0.005〜0.1%、 P :0.05%以下、 S :0.01%以下、 N :0.007%以下、 Ti:0.05〜0.3% を含有し、残部は鉄および不可避的不純物よりなり、さ
    らに、全C量のうちセメンタイトとして析出しているC
    の割合〔M=(C% as セメンタイト)/(全C%)〕
    が0.03以下であることを特徴とする加工性に優れた
    400〜800N/mm2 級高強度熱延鋼板。
  2. 【請求項2】 重量%で、 C :0.05〜0.2%、 Mn:0.01%以上、0.5%未満、 Si:0.01〜0.04%、 Al:0.005〜0.1%、 P :0.05%以下、 S :0.01%以下、 N :0.007%以下、 Ti:0.05〜0.3% を含有し、残部は鉄および不可避的不純物よりなる鋼
    を、加熱温度:1200〜1350℃で加熱し、粗圧延
    後、仕上げ温度がAr3 以上の熱間圧延を施し、引き続
    き1〜60℃/sの範囲内の冷却速度で、かつ所望の引
    張強さに応じて下記(1)式から求まる冷却速度に対し
    て±5℃/sの範囲内の冷却速度で、仕上げ温度から6
    00〜750℃まで冷却し、その後、巻取温度:室温〜
    750℃で巻き取り、全C量のうちセメンタイトとして
    析出しているCの割合〔M=(C% as セメンタイト)
    /(全C%)〕が0.03以下であることを特徴とする
    加工性に優れた400〜800N/mm2 級高強度熱延鋼
    板の製造方法。 CR=−200 ×( 0.5×C%+ 2.5×Ti%)+TS/3 − 85 ……(1) CR:冷却速度(℃/s)、C%:C濃度、Ti%:Ti濃度、 TS:所望する引張強度(N/mm2
  3. 【請求項3】 粗圧延後、粗バーをコイル状に巻き取
    り、巻き戻し、その後、仕上圧延に供することを特徴と
    する請求項2記載の加工性に優れた400〜800N/
    mm2 級高強度熱延鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 仕上圧延前に、先行材の後端部と後行材
    の先端部を接合して、仕上圧延に供することを特徴とす
    る請求項2または3記載の加工性に優れた400〜80
    0N/mm2 級高強度熱延鋼板の製造方法。
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