JP3425129B2 - 快削合金材料 - Google Patents

快削合金材料

Info

Publication number
JP3425129B2
JP3425129B2 JP2000251626A JP2000251626A JP3425129B2 JP 3425129 B2 JP3425129 B2 JP 3425129B2 JP 2000251626 A JP2000251626 A JP 2000251626A JP 2000251626 A JP2000251626 A JP 2000251626A JP 3425129 B2 JP3425129 B2 JP 3425129B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
less
formula
following formula
represented
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2000251626A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001140034A (ja
Inventor
清仁 石田
勝成 及川
貴司 江幡
哲也 清水
道生 岡部
貴之 井ノ口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daido Steel Co Ltd
Tohoku Steel Co Ltd
Tohoku Techno Arch Co Ltd
Original Assignee
Daido Steel Co Ltd
Tohoku Steel Co Ltd
Tohoku Techno Arch Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=26539978&utm_source=***_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP3425129(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Daido Steel Co Ltd, Tohoku Steel Co Ltd, Tohoku Techno Arch Co Ltd filed Critical Daido Steel Co Ltd
Priority to JP2000251626A priority Critical patent/JP3425129B2/ja
Priority to DE2000629364 priority patent/DE60029364T2/de
Priority to DE2000630175 priority patent/DE60030175T2/de
Priority to EP20000118990 priority patent/EP1085105B1/en
Priority to EP04004043A priority patent/EP1431409B1/en
Priority to DE2000629261 priority patent/DE60029261T2/de
Priority to DE2000629260 priority patent/DE60029260T2/de
Priority to DE2000629063 priority patent/DE60029063T2/de
Priority to EP04004045A priority patent/EP1431411B1/en
Priority to EP04004046A priority patent/EP1431412B1/en
Priority to EP04004044A priority patent/EP1431410B1/en
Publication of JP2001140034A publication Critical patent/JP2001140034A/ja
Priority to US10/242,768 priority patent/US20030170138A1/en
Publication of JP3425129B2 publication Critical patent/JP3425129B2/ja
Application granted granted Critical
Priority to US10/847,403 priority patent/US7381369B2/en
Priority to US10/847,524 priority patent/US7297214B2/en
Priority to US11/976,048 priority patent/US20080124240A1/en
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Soft Magnetic Materials (AREA)
  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、被削性に優れた
快削合金材料に関する。
【0002】
【従来の技術】合金材料は、その特性の多様性からその
利用分野も幅広い。例えば、硬さ、及び耐食性などを要
求される機器・部品には、焼き入れ熱処理により硬さを
確保できるマルテンサイト系ステンレス鋼が広く使用さ
れている。また、電磁弁などの磁芯材料、各種センサー
などの磁性材料としては、フェライト系の電磁ステンレ
ス鋼が実用材として広く使用されている。これらステン
レス鋼に代表される合金材料は、その用途から切削加工
が行われることが多く、生産性向上、あるいは加工費用
の低減のため、被削性の向上が求められている。そのた
め、S、Pb、Se、Biなどの被削性を向上させる元
素(以下、被削性向上元素ともいう)を含有する快削合
金材料が多く利用されている。特に、精密な仕上加工が
施されるなど被削性が特に求められる場合には、被削性
を向上させるため、上記の被削性向上元素の含有量を増
やすことが行われると共に、上記の元素を単独ではなく
複合添加して用いられることも多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ここで、被削性向上の
ため広く用いられているSは、MnSとして使用される
ことが多いものの、多量の添加は、その合金の耐食性、
熱間加工性、冷間加工性を劣化させる原因となる。また
そればかりでなく、大気中に暴露すると、合金材料中に
含有されている硫黄成分が硫黄含有ガスとなって放出さ
れ、部品周辺に硫黄コンタミを引き起こしやすくなる場
合もある。また、電磁ステンレス鋼においては、S、S
e及びTe等は磁気特性を著しく劣化させる元素でもあ
る。
【0004】そのため、Mn含有量を制限し硫化物中の
Cr含有量を高めたり、Sを含有する場合にはTiとS
を複合添加して、硫化物を球状化したりする提案がなさ
れている(例えば、特開平10−46292号公報ある
いは特開昭56−16653号公報)。しかし、硫化物
中のCr量を高めることは、被削性や、熱間加工性を著
しく低下させる傾向にあるため、その用途は限定される
ことが多かった。
【0005】本発明の課題は、耐食性、熱間加工性、及
び冷間加工性、あるいは磁気特性を従来の合金材料と遜
色のないものにしつつ、被削性に優れた快削合金材料を
提供することにある。
【0006】
【0007】
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】 本発明の
快削合金材料は、具体的にはマルテンサイト系ステンレ
ス鋼に好適に適用できる(以下、第一選択発明とい
う)。この場合、本発明の快削合金材料の構成は、Ti
とZrとの少なくともいずれかを金属元素成分として含
有し、その金属元素成分との結合成分として、必須成分
としてのCを含有し、さらにS、Se及びTeから選ば
れる1種又は2種以上とを含有する(Ti、Zr)系化
合物が基質金属相中に形成され、前記(Ti、Zr)系
化合物は組成式(Ti、Zr) (S、Se、Te)
にて表される化合物を少なくとも含有し、前記基質
金属相はFeを主成分とするFe系マトリックス相とし
て形成されている快削合金材料であって、Niを含有し
ないか、または含有していてもその含有率が2質量%以
下とされ、9〜17質量%のCrを含有し、さらにTi
の含有量をWTi(質量%)、Zrの含有量をWZr(質量%)
として、WTi+0.52WZrが0.10〜3.5質量%
となるようにTiとZrとの少なくとも何れかを含有
し、0.03〜1質量%のSと、0.01〜0.8質量
%のSeとの少なくとも何れかを含有し、O:0.03
質量%以下、N:0.05質量%以下とされ、Cの含有
量をWC(質量%)、Sの含有量をWS(質量%)、Se
の含有量をWSe(質量%)とするとき、 0.375×(WS+0.4WSe)<WC≦1.5・・・式A、かつ、 0.125×(WTi+0.52WZr)<WC≦1.5・・・式B を満足するCを含有することを特徴とする。
【0013】硬さ、及び耐食性が要求される機器・部品
にはマルテンサイト系ステンレス鋼が使用されることが
多い。マルテンサイト系ステンレス鋼は、焼き入れ熱処
理によりその硬さが増すため、切削加工を施す場合は焼
鈍状態で切削を行い、その後焼き入れ、焼戻し処理を行
うことで加工性の向上をはかる場合があった。しかしな
がら、焼き入れ熱処理によりステンレス鋼に歪みが生じ
ることもあり、精密加工を行う場合は焼き入れ熱処理後
に切削加工を施さねばならない場合があり、その被削性
の向上が要求されている。そのため、S、Se、Pb、
及びBi等の被削性向上元素を含有し被削性の向上が図
られるが、これらの元素を含有することにより、耐食
性、熱間加工性等が劣化するだけでなく、焼き入れ性が
劣化し、十分な硬さが得られないという問題もあった。
【0014】そこで、本発明者等は鋭意検討の結果、上
記各成分を、上記成分範囲にて含有することによって、
(Ti、Zr)(S、Se、Te)等のような
(Ti、Zr)系化合物を基質金属相中に形成すること
ができ、このような化合物がステンレス鋼中に微細に分
散形成されることによって優れた被削性が得られるとと
もに、耐食性、熱間加工性、及び冷間加工性に加え、焼
き入れ性も良好なマルテンサイト系ステンレス鋼が得ら
れることを見出し、本発明の完成に至った。
【0015】また、マルテンサイト系ステンレス鋼は、
その含有成分により、マルテンサイト変態温度(Ms
点)及び焼き入れ性が大幅に変化するため、その成分範
囲には注意を要する。そのため上記(Ti、Zr)系化
合物の各構成成分は、次のようなことに留意し、その含
有範囲を設定する必要がある。まず、被削性向上の効果
が発揮される必要十分な量の(Ti、Zr)系化合物が
形成され、マルテンサイト変態温度(Ms点)や焼き入
れ性に影響が生ずるような過剰な(Ti、Zr)系化合
物が形成されないように、各構成成分の含有量を定める
ことが望ましい。また、(Ti、Zr)系化合物に含有
されている原子は、マルテンサイト相の硬さや焼き入れ
性等の特性にほとんど影響を及ぼさない。そのため、も
ともと添加された成分の含有量から、(Ti、Zr)系
化合物に含有されている構成元素の含有量を、差し引い
た量の成分(以下、残余の成分という)がマトリックス
相中に固溶しており、この残余の成分がマルテンサイト
変態に影響を及ぼすと考えることができる。したがっ
て、この残余の成分の組成と、類似の組成を有するステ
ンレス鋼の連続冷却変態線図等を用いて、マルテンサイ
ト変態に対する影響を考慮し、各成分の含有範囲を設定
するのが良い。特に、Cはマルテンサイト変態への影響
が大きいため、前記式A及び式Bを満足させるようにす
る。その結果、被削性が向上するとともに、焼き入れ硬
さ、及び焼き入れ性等が従来のマルテンサイト系ステン
レス鋼と遜色のないものとなる。
【0016】上記マルテンサイト系ステンレス鋼として
構成される第一選択発明の快削合金材料は、合金材料試
験片として、縦15mm、横3mm、厚さ25mmの直
方体形状を有し、かつ全面を番手#400のエメリーペ
ーパーを用いて研磨したものを用意し、硫黄成分ゲッタ
ーとしての、縦10mm、横5mm、厚さ0.1mmの
純度99.9%以上の銀箔と、0.5cc.の純水と
を、前記試験片とともに内容積250cc.の容器中に
封入し、容器内の温度が85℃となるように昇温して2
0時間保持した後、前記銀箔中の硫黄成分含有量WSO
(質量%)を分析したとき、前記WSOの値が0.035
質量%以下となる快削合金材料とすることができる。
【0017】上記(Ti、Zr)系化合物が形成される
ことにより、添加されるSがMnS等より化学的に安定
な(Ti、Zr)系化合物の構成元素のひとつとして含
有されるため、ステンレス鋼から大気中に放出されるS
の量を削減することになる。したがって、上記(Ti、
Zr)系化合物の形成により、ステンレス鋼の耐アウト
ガス性も同様に向上させることができる。
【0018】この場合、上記耐アウトガス性試験を行っ
たときに、試験片から硫黄含有ガスとなって放出された
硫黄成分を、銀箔をゲッターとして吸収させ、その銀箔
中の硫黄含有量WSOを測定して材料の耐アウトガス性を
定量化する。そして、その測定されるWSOを0.035
質量%以下と規定する。このように耐アウトガス性が規
定された本発明のステンレス鋼は、大気中に暴露したと
き、放出されるS成分の量が微量であるため周囲に硫黄
コンタミを生じにくく、耐アウトガス性が要求される産
業機器の一部として用いられるステンレス鋼として好適
に使用することができる。
【0019】なお、材料の耐アウトガス性を決定する因
子は主に材料組成であるが、耐アウトガス性を向上させ
るには、硫黄をTiやZrの炭硫化物として固定するこ
とが望ましい。そのためには、Sの含有量をWS(質量
%)、Cの含有量をWC(質量%)としたとき、WS/
(WTi+0.52WZr)の値が0.45以下、もしくは
WS/WCの値が0.4以下かつ、WS/(WTi+0.5
2WZr)の値が0.45以下となるのが望ましい。この
ような成分範囲を新たに採用することにより、化学的に
不安定な状態にあるSの量を制限することが可能とな
り、よってステンレス鋼の耐アウトガス性を向上させる
ことができる。
【0020】以下、本発明の合金材料における各成分の
含有範囲の限定理由を述べる。 (1)Ni:2質量%以下 Niは、耐食性、とくに還元性酸環境中での耐食性を向
上させるのに有効であることから必要に応じて添加して
もよい。しかしながら、過剰な添加は、マルテンサイト
変態開始温度(Ms点)を低下させるとともに、母相で
あるオーステナイト相の安定性が過度に高められ、硬さ
を確保するために必要なマルテンサイト量を得にくくな
る場合がある。また、Niによる固溶硬化が過度に生じ
て焼鈍硬さが高くなり、被削性などの特性が下がる場合
もある。以上のことから、Niの含有量は2質量%を上
限とする。
【0021】(2)Cr:9〜17質量% Crは、耐食性を確保する上で必須の元素であり9質量
%以上添加する。しかしながら、含有量が17質量%を
超えると、相安定性が損なわれて高温脆性を生じやす
く、熱間加工性が劣化することにつながる。また、含有
量が多くなると靭性の低下を招くことも考えられる。特
に、400〜540℃での中温域で長時間加熱すると、
常温靭性が損なわれやすくなる。Crの含有量は、望ま
しくは11〜15質量%の範囲で設定するのが良く、よ
り望ましくは12〜14質量%の範囲で設定するのが良
い。
【0022】(3)Tiの含有量をWTi(質量%)、Zr
の含有量をWZr(質量%)として、WTi+0.52WZrが
0.03〜3.5質量%:TiとZrとは、本発明の快
削合金材料において被削性向上効果の中心的な役割を果
たす(Ti、Zr)系化合物を形成するのに必須の構成
元素である。上記WTi+0.52WZrが0.03質量%
未満では(Ti、Zr)系化合物の形成量が不充分とな
り、十分な被削性向上効果が見込めなくなる。他方、W
Ti+0.52WZrが過剰となる場合も、逆に被削性が低
下することになる。そのため、WTi+0.52WZrは
3.5質量%以下に抑える必要がある。Ti及びZrを
合金中に含有させたときの上記効果は、おおむねTi及
びZrの種別に関係なく、含有させた合計の原子数(あ
るいはmol数)に応じて定まる。ZrとTiの原子量
の比は略1:0.52であるから、原子量の小さいチタ
ンのほうが少ない質量にてより大きな効果を発揮でき
る。WTi+0.52WZrはZrとTiの合計原子数を反
映した組成パラメータであるといえる。
【0023】(4)0.01〜1質量%のS、0.01
〜0.8質量%のSeとのうち少なくともいずれか:
S、及びSeは被削性を向上させるのに有効な元素であ
る。S、及びSeを含有させることで、被削性向上に効
果のある化合物(例えば、組成式(Ti、Zr)
(S、Se)で表される(Ti、Zr)系化合
物等)が合金組織中に形成される。したがって、S、及
びSeの含有量は、その効果が明瞭となる0.01質量
%を下限値とする。また、過剰に添加されすぎると、一
般的に、熱間加工性を劣化させるという問題が発生する
場合もあるため、その上限値を規定する必要がある。そ
こで、Sは1質量%、Seは0.8質量%を上限値とし
て設定するのが良い。また、S、及びSeはいずれも被
削性を向上させる例えば上述の(Ti、Zr)系化合物
を構成するのに必要十分な量を添加するのが望ましい。
また、Sの過剰な添加は耐アウトガス性の劣化にもつな
がる。この観点からはSの含有量の上限値は0.5質量
%とするのが良い。
【0024】 (5)0.375×(WS+0.4WSe)<WC≦1.5・・・式A、かつ、 0.125×(WTi+0.52WZr)<WC≦1.5・・・式B を満足するC:Cは、被削性を向上させる化合物として
構成される重要な元素であるとともに、硬さを確保する
ために必須な元素でもある。式A、及びBの2つの式を
満足することにより硬さを得るために適正な組織を確保
することができる。ここで式AのWS+0.4WSeは式
BのWTi+0.52WZrと同様に、SとSeの合計原子
数を反映した組成パラメータである。つまり、SとSe
の原子量の比が略0.4:1であることから、原子量の
小さい硫黄のほうが少ない質量にてより大きな効果を発
揮できる。ここで、式A、及び式Bの意味を考えると、
式Aにおいて、0.375×(WS+0.4WSe)=WC
のとき、つまり含有されたS、Se及びCがすべて(T
i、Zr)系化合物を構成した場合は、Fe系マトリッ
クス相中にはS、Se、及びCが固溶状態にて含有され
ないことを意味する。また式Bにおいて、0.125×
(WTi+0.52WZr)=WCを満たすとき、Fe系マ
トリックス相中にはTi及びZrが固溶状態にて含有さ
れないことを意味する。したがって、式A及び式Bの左
辺側の不等号が同時に成立するときは、(Ti、Zr)
系化合物を構成せずFe系マトリックス相中に固溶した
Cが存在することを意味する。したがって、被削性を向
上させるとともに、ステンレス鋼としての硬さも確保す
ることができる。また、Cの含有量が1.5質量%を超
えると、熱間加工性が劣化するとともに、マルテンサイ
ト変態開始温度(Ms点)を下げすぎてしまい、焼き入
れ性を劣化させる。したがって、Cの含有量は式A、及
びBを満足する範囲で設定するのが良い。
【0025】(6)Si:2質量%以下 Siは、鋼の脱酸剤として添加する。しかし、含有量が
過剰となると焼純硬さが高くなり、被削性や冷間加工性
に不利になるばかりでなく、鋼の熱間加工性を劣化さ
せ、またMs点を過剰に下げることから、上限を2質量
%とする。なお、冷間加工性を特に重視する場合には
0.5質量%以下とするのが好ましい。
【0026】(7)Mn:2質量%以下 Mnは、鋼の脱酸剤として作用する。また、SやSeと
の共存により被削性に有効な化合物を生成するため、被
削性が重視される場合、添加する必要がある。一方で、
特にMnSは耐食性を大きく劣化させ、冷間加工性を阻
害するほか、Ms点を過剰に低下させるため、2質量%
を上限とする。特に耐食性、冷間加工性を重視する場合
は、0.4質量%以下に限定することが望ましい。
【0027】(8)P:0.05質量%以下 Pは、粒界に偏析し、粒界腐食感受性を高めるほか、靭
性の低下を招くこともあり、その含有量をなるべく低く
抑えるのが良く、0.05質量%以下に設定するのが良
い。また、より望ましくは0.03質量%以下に抑える
のが良いが、必要以上に含有量を低減させることは、製
造コストの上昇を招くこともある。
【0028】(9)Cu:2質量%以下 Cuは耐食性、特に還元性酸環境中においての耐食性を
向上させるのに有効な元素であることから必要に応じて
添加しても良い。より顕著な効果を得るためには0.3
質量%以上は含有させるのが良い。しかしながら、過剰
に添加させると、熱間加工性が低下するとともに、Ms
点が低下し、焼き入れ性が劣化するため、2質量%以下
の範囲で設定するのが良い。熱間加工性を特に重視する
場合は0.5質量%以下に抑えるのがより望ましい。
【0029】(10)Co:2質量%以下 Coは耐食性、特に還元性酸環境中においての耐食性を
向上させるのに有効な元素であるほか、Ms点を上昇さ
せ焼入れ性を向上させることから必要に応じて添加して
も良い。より顕著な効果を得るためには0.3質量%以
上は含有させるのが良い。しかしながら、過剰に添加さ
せると、原料コストの上昇を招くことから、2質量%以
下の範囲で設定するのが良い。原料コストを特に重視す
る場合は0.5質量%以下に抑えるのがより望ましい。
【0030】(11)O:0.03質量%以下 被削性を向上させるのに有効な化合物の構成元素である
TiやZrと結合し、被削性の向上には効果的でない酸
化物を形成することから極力低く抑制すべきであり0.
03質量%を上限とする。製造コストとの兼ね合いであ
るが、望ましくは0.01質量%以下とするのが良い。
【0031】(12)N:0.05質量%以下 被削性を向上させるのに有効な化合物の構成元素である
TiやZrと結合し、被削性の向上には効果的でない窒
化物を形成することから極力低く抑制すべきであり0.
05質量%を上限とする。製造コストとの兼ね合いであ
るが、望ましくは0.03質量%以下、更に望ましくは
0.01質量%以下とするのが良い。
【0032】(13)Mo、Wのいずれか1種または2
種以上をMo:0.1〜4質量%、W:0.1〜3質量
% Mo、Wは、耐食性や強度をより向上することができる
ため、必要に応じて添加しても良い。それらの効果が明
瞭となるMo:0.1%、W:0.1%をそれぞれ下限
とする。一方、過剰な添加は、熱間加工性を害するほ
か、Ms点を過剰に低下させ、またコストの上昇を招く
ため、上限をMo:4質量%、W:3質量%とする。
【0033】(14)Te、Bi、Pbのいずれか1種
または2種以上をTe:0.005〜0.1質量%、B
i:0.01〜0.2質量%、Pb:0.01〜0.3
質量% Te、Bi、Pbは被削性をさらに向上させることが可
能なため、必要に応じて添加しても良い。それらの効果
が明瞭となるTe:0.005質量%、Bi:0.01
質量%、Pb:0.01質量%を下限とする。一方で過
剰な添加は、熱間加工性を低下させるため、Te:0.
1質量%、Bi:0.2質量%、Pb:0.3質量%を
上限とする。
【0034】また、マルテンサイト系ステンレス鋼とし
て本発明の快削合金材料を構成する場合、Ca、Mg、
B、REM(ただしREMは元素周期律表にて3A族と
して分類される金属元素の1種又は2種以上)から選ば
れる1種以上を合計にて0.0005〜0.01質量%
含有させることができる。これらの元素は、鋼の熱間加
工性を向上させるのに有効な元素である。これらを添加
することによって得られる熱間加工性向上の効果は、合
計含有量が0.0005質量%以上であるとき、より顕
著に発揮される。一方、過剰に添加させると、効果が飽
和し、逆に熱間加工性が低下することから合計含有量の
上限を0.01質量%と設定する。なお、REMとして
は、放射活性の低い元素を主体的に用いることが取り扱
い上容易であり、この観点において、Sc、Y、La、
Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、H
o、Er、Tm、Yb及びLuから選ばれる1種又は2
種以上を使用することが有効である。特に上記効果のよ
り顕著な発現と価格上の観点から、軽希土類、特にLa
あるいはCeを使用することが望ましい。ただし、希土
類分離過程等にて不可避的に残留する微量の放射性希土
類元素(例えばThやUなど)が含有されていても差し
支えない。また、原料コスト低減等の観点から、ミッシ
ュメタルやジジムなど、非分離希土類を使用することも
できる。
【0035】さらに、マルテンサイト系ステンレス鋼と
して構成される第一選択発明の快削合金材料は、Nb、
V、Ta、及びHfから選ばれる1種又は2種以上を
0.01〜0.5質量%含有するとすることができる。
Nb、V、Ta、及びHfは炭窒化物を形成して鋼の結
晶粒を微細化し、強靭性を高める効果があるため、それ
ぞれ0.5質量%までの範囲で添加することができる。
なお強靭性を高める効果を明瞭にするためには、0.0
1質量%以上含有させるのが望ましい。
【0036】なお、マルテンサイト系ステンレス鋼の組
成例としては、JIS:G4304規格に示されている
SUS403、SUS410、SUS410S、SUS
420J1、SUS420J2、SUS429J1、S
US440C等の対応鋼種を例示することができる。ま
た、本発明においてはマルテンサイト系耐熱鋼を、マル
テンサイト系ステンレス鋼の概念に含まれるものとして
取り扱う。その組成例としては、JIS:G4311及
びG4312に組成が規定されたSUH1、SUH3、
SUH4、SUH11、SUH600、SUH616等
の対応鋼種を例示することができる。ただし、本発明の
特徴部であるTi、Zr、S及びSeについては当然、
規格中に組成表示は存在しない。この場合、Feの一部
を上記元素により、前記した組成範囲内にて置換含有さ
せた鋼材を意味するものとする。従って、規格の番号を
援用してはいるが、いずれも、規格に規定された組成の
合金をベースとした本発明特有の合金を意味するもので
ある。
【0037】以上のように、本発明は、マルテンサイト
系ステンレス鋼として構成される合金において、その被
削性を向上させるのに有効に活用できる。他方、マルテ
ンサイト系ステンレス鋼のみではなく、本発明は、以下
のフェライト系電磁ステンレス鋼として構成される合金
に対しても有効である(以下、第二選択発明という)。
これらの合金は、難削性のものが多く、被削性を向上さ
せるために、S、及びPb等の被削性向上元素を含有さ
せると、軟磁気特性、耐食性、及び冷鍛性が劣化するこ
とがあった。そこで、これらの特性も良好で、被削性も
優れた電磁ステンレス鋼が切望されてきた。本発明者ら
は、成分組成について検討したところ、フェライト系ス
テンレス鋼などにおいて、Ti及びZrの1種又は2
種、C並びにS、Se及びTeの1種又は2種以上を複
合添加し、それぞれの含有量を特定の範囲、即ち、Ti
及びZrの1種の含有量をTi%+0.52×Zr%
(Xとする)として0.05〜0.5質量%、C含有量
を0.19X〜0.26X質量%又は0.02X〜0.
26X質量%並びにS、Se及びTeの1種または2種
以上の含有量をS%+0.41×Se%+0.25×T
e%(Yとする)として(Z−0.07)X〜(Z+
0.07)X質量%、(Z+0.07)X超〜(Z+
0.45)X質量%を組み合わせて特定の範囲にするこ
とによって、軟磁気特性、被削性、冷鍛性及び耐食性を
制御することができること、(Ti、Zr)
(S、Se、Te)及び/又は(Ti、Zr)
(S、Se、Te)を形成すると被削性が向上するこ
と、特に、(Ti、Zr)(S、Se、Te)
は軟磁気特性及び耐食性を劣化させる作用が小さく、ま
た微細に分散するために冷鍛性を劣化させる作用も小さ
いことなどの知見を得て上記第二選択発明の完成に至っ
たものである。なお、本明細書の第二選択発明について
の記載において、Ti%、Zr%、S%、Se%、Te
%、C%等、元素記号の後に%を付与した記号は、その
元素記号で表わされる成分の含有量(質量%)を意味す
る。なお、以下の記載においてはC/XとC%/Xは同
義であるとする。
【0038】すなわち、上記電磁ステンレス鋼として構
成された本発明の快削合金材料は、TiとZrとの少な
くともいずれかを金属元素成分として含有し、その金属
元素成分との結合成分として、必須成分としてのCを含
有し、さらにS、Se及びTeから選ばれる1種又は2
種以上とを含有する(Ti、Zr)系化合物が基質金属
相中に形成され、前記(Ti、Zr)系化合物は組成式
(Ti、Zr) (S、Se、Te) にて表され
る化合物を少なくとも含有し、前記基質金属相はFeを
主成分とするFe系マトリックス相として形成されてい
る快削合金材料であって、Si:0.01〜3質量%未
満、Mn:2質量%以下、Cr:5〜25質量%、A
l:0.01超〜5質量%、Ti及びZrの1種又は2
種:下記式1のXで表して0.05〜0.5質量%、
C:Xを下記式1で表すとき、0.19X〜0.26X
質量%(C/X=0.19〜0.26)並びにS、Se
及びTeの1種又は2種以上:Xを下記式1で、またZ
を下記式3で表すとき、下記式2のYで表して(Z−
0.07)X〜(Z+0.07)X質量%を含有し、さ
らに必要に応じてNi:2質量%以下、Cu:2質量%
以下、Mo:2質量%以下、Nb:1質量%以下及び
V:1質量%以下の1種又は2種以上を含有し、また必
要に応じて、Pb:0.15質量%以下、B:0.01
質量%以下及びREM:0.1質量%以下の1種又は2
種以上を含有し、残部はFe及び不可避的不純物からな
るものとすることである。 式; Ti%+0.52Zr%=X・・・式1 S%+0.41Se%+0.25Te%=Y・・・式2 32×(C%/X−0.125)=Z・・・式3
【0039】さらに、上記第二選択発明に係る快削合金
材料は、TiとZrとの少なくともいずれかを金属元素
成分として含有し、その金属元素成分との結合成分とし
て、必須成分としてのCを含有し、さらにS、Se及び
Teから選ばれる1種又は2種以上とを含有する(T
i、Zr)系化合物が基質金属相中に形成され、前記
(Ti、Zr)系化合物は組成式(Ti、Zr)
(S、Se、Te) にて表される化合物を少な
くとも含有し、前記基質金属相はFeを主成分とするF
e系マトリックス相として形成されている快削合金材料
であって、Si:0.01〜3質量%未満、Mn:2質
量%以下、Cr:5〜25質量%、Al:0.01超〜
5質量%、Ti及びZrの1種又は2種:上記式1のX
で表して0.05〜0.5質量%、C:Xを上記式1で
表すとき、0.02X〜0.26X質量%(C/X=
0.02〜0.26)並びにS、Se及びTeの1種又
は2種以上:Xを上記式1で、またZを上記式3で表す
とき、上記式2のYで表して(Z+0.07)X超〜
(Z+0.45)X質量%を含有し、さらに必要に応じ
てNi:2質量%以下、Cu:2質量%以下、Mo:2
質量%以下、Nb:1質量%以下及びV:1質量%以下
の1種又は2種以上を含有し、また必要に応じて、P
b:0.15質量%以下、B:0.01質量%以下及び
REM:0.1質量%以下の1種又は2種以上を含有
し、残部はFe及び不可避的不純物からなるものとする
こともできる。
【0040】
【0041】以下、上記第二選択発明に係る快削合金材
料についてさらに詳細に説明する。本構成は、主として
フェライト系のステンレス鋼に含有させるTi及びZr
の1種又は2種の含有量、C含有量並びにS、Se及び
Teの1種又は2種以上の含有量を組み合わせて特定し
たものであるが、そのステンレス鋼は、Ti及びZrの
1種又は2種、C並びにS、Se及びTeの1種又は2
種以上の他に、Si:0.01〜3質量%未満、Mn:
2質量%以下、Cr:5〜25質量%、Al:0.01
超〜5質量%、必要に応じてNi:2質量%以下、C
u:2質量%以下、Mo:2質量%以下、Nb:1質量
%以下及びV:1質量%以下の1種又は2種以上を含有
し、さらに必要に応じて、Pb:0.15質量%以下、
B:0.01質量%以下及びREM:0.1質量%以下
の1種又は2種以上を含有し、残部はFe及び不可避的
不純物からなるものである。
【0042】上記第二選択発明に係る快削合金材料に含
有させるTi及びZrの1種又は2種の含有量、C含有
量並びにS、Se及びTeの1種又は2種以上の含有量
及びその組み合わせは、Ti及びZrの1種又は2種の
含有量をTi%+0.52×Zr%(Xとする)として
0.05〜0.5質量%とし、C含有量を0.02X〜
0.06X質量%(C/X=0.02〜0.06)、
0.19X〜0.26X質量%(C/X=0.19〜
0.26)又は0.02X〜0.26X質量%(C/X
=0.02〜0.26)とし、またS、Se及びTeの
1種又は2種以上の含有量をS%+0.41Se%+
0.25Te%(Yとする)として(Z−0.07)X
〜(Z+0.07)X質量%((Z−0.07)≦Y/
X≦(Z+0.07))、(Z+0.07)X超〜(Z
+0.45)X質量%((Z+0.07)≦Y/X≦
(Z+0.45))又は(Z+0.45)X超〜(Z+
0.70)X質量%((Z+0.45)≦Y/X≦(Z
+0.70))を組み合わせるものである。
【0043】次に、上記各含有量の組み合わせを横軸に
C/X、縦軸にY/Xとした図1を用いて説明する。な
お、Y/X=32・(C/X−0.125)−0.0
7の式とY/X=32・(C/X−0.125)
0.07の式は、上記(Z−0.07)≦Y/X≦(Z
+0.07)、即ち、Y/X=(Z−0.07)〜(Z
+0.07)にZ=32×(C/X−0.125)
代入して求めたものである。また、図1中の破線のY/
X=32・(C/X−0.125)は、Y/X値が0
を通る曲線である。さらに図1中のαは、Y/X−32
・(C/X−0.125)=αとしたものである。ま
た図1中の数字付き○は、後述する実施例2における本
発明例の第二選択発明鋼のNo.を示すものであり、数
字付き黒三角は、実施例2の発明鋼のNo.を示すもの
である。
【0044】さらに第2のTi及びZrの1種又は2種
の含有量、C含有量及びS、Se及びTeの1種又は2
種以上の含有量の組み合わせは、図1のC/X=0.1
9の垂直の線、C/X=0.26の垂直の線、Y/X=
32・(C/X−0.125)2−0.07の曲線及び
Y/X=32・(C/X−0.125)2+0.07の
曲線に囲まれた範囲である。また、第3のTi及びZr
の1種または2種の含有量、C含有量及びS、Seおよ
びTeの1種または2種以上の含有量の組み合わせは、
図1のC/X=0.02の垂直の線、C/X=0.26
の垂直の線、Y/X=32・(C/X−0.125)2
+0.07の曲線及びY/X=32・(C/X−0.1
25)2+0.45の曲線に囲まれた範囲である。
【0045】
【0046】次に、上記第二選択発明に係る快削合金材
料の成分及びその含有量を限定した理由を説明する。 (15)Si:0.01〜3質量%未満 Siは、鋼中において、脱酸剤として有効なだけでな
く、フェライト系ステンレス鋼などの軟磁気特性のう
ち、最大透磁率の上昇と保持力の低下にも有効に寄与
し、また比抵抗を増加し高周波領域の応答性の改善にも
有効であるので、そのために含有させる元素である。上
記効果を得るためには0.01%以上含有させる必要が
あるが、一方で硬度を上昇させて冷鍛性を阻害する要因
ともなるので、冷鍛性が重視されるほど少なくし、その
分軟磁気特性や高周波応答性は主に後述のAlに担わせ
るが、被削性が重視される場合も考慮して、上限を3質
量%とする。
【0047】(16)Mn:2質量%以下 Mnは、鋼中において、脱酸剤として有効な元素である
が、2質量%を超えて含有させると軟磁気特性を劣化さ
せるので、その含有量を2質量%以下とする。
【0048】(17)Cr:5〜25質量% Crは、鋼の耐食性及び比抵抗の改善に有効であるとと
もに、後述のS、Se及びTeとCr(S、Se,T
e)を形成して被削性の向上にも有効であるので、その
ために含有させる元素である。上記効果を得るためには
5質量%以上含有させる必要があるが、25質量%を超
えると冷鍛性を阻害するので、その含有量を5〜25質
量%とする。
【0049】(18)Al:0.01超〜5質量% Alは、鋼中において、脱酸剤として有効なだけでな
く、Siと同様に最大透磁率の上昇と保持力の低下にも
有効に寄与し、また比抵抗を増加し高周波領域の応答性
の改善にも有効であるので、そのために含有させる元素
である。上記効果を得るためには0.01質量%を超え
て含有させる必要があるが、5質量%を超えると特殊な
精錬方法を用いる必要があるだけでなく、冷鍛性を阻害
するので、その含有量を0.01〜5質量%とする。
【0050】(19)Ti%+0.52Zr%=X=
0.05〜0.5質量%:Ti及びZrは、CとS,S
e及びTeと共存することにより、(Ti、Zr)
(S、Se、Te)及び/又は(Ti、Zr)
(S、Se、Te)を形成して、被削性の向上に寄与す
る、特に、(Ti、Zr)(S、Se、Te)
は軟磁気特性及び耐食性を劣化させることなく、また微
細に分散するために冷鍛性を劣化させることがなく、被
削性の向上に寄与するので、そのために含有させる元素
である。上記効果を得るためには上記Xで表して0.0
5質量%以上含有させる必要があるが、上記Xで表して
0.5質量%を超えると軟磁気特性を阻害するので、そ
の含有量を上記Xで表して0.05〜0.5質量%とす
る。
【0051】(20)C:0.19X〜0.26X質量
%、0.02X〜0.26X質量% Cを0.19X〜0.26X質量%(0.19≦C/X
≦0.26)とし、|α|≦0.07(|α|はαの絶
対値のこと、以下同じ、図1参照、α=Y/X−32×
(C/X−0.125))となる組成とするのは、こ
のようにすると軟磁気特性及び冷?性が特に優れ、(T
i、Zr)(S、Se、Te)と少量の(T
i、Zr)(S、Se、Te)の微細分散により被削性
も良好で、耐食性も良好な電磁ステンレス鋼を得ること
ができるからである。(Ti、Zr)(S、S
e、Te)は、軟磁気特性劣化作用が小さい。このα
の領域で軟磁気特性が非常に良いのは、(Ti、Zr)
C、(Ti、Zr)(S、Se、Te)、Mn(S、S
e、Te)が極めて少ないからである。
【0052】しかしながら、C/X<0.19(C
.19X質量%未満)では、(Ti,Zr)
(S,Se,Te)の形成量が少な過ぎてこれらの
効果に乏しく、またC/X>0.26(C>0.26X
質量%)では、(Ti,Zr)Cの増加により、かえっ
て軟磁気特性、冷鍛性及び耐食性を阻害するので、0
19≦C/X≦0.26(C:0.19X〜0.26X
質量%)に限定する。
【0053】さらに、Cを0.02X〜0.26X質量
%(0.02≦C/X≦0.26)とし、0.07α≦
0.45となる組成にするのは、耐食性に優れ、やや量
を増した(Ti,Zr)(S,Se,Te)
(Ti,Zr)(S,Se,Te)により、更に被削性
が良好で、軟磁気特性及び冷鍛性も良好な電磁ステンレ
ス鋼が得られるからである。しかしながら、C<0.0
2X質量%(C/X<0.02)では、(Ti,Zr)
(S,Se,Te)の形成量の減少と(Ti,
Zr)(S,Se,Te)の増加により軟磁気特性を劣
化させ、C>0.26(C/X>0.26)では(T
i,Zr)Cの増加によって軟磁気特性、冷鍛性及び耐
食性を阻害するので、C=0.02X〜0.26X質量
%(0.02≦C/X≦0.26)の範囲に限定する。
【0054】
【0055】S,Se及びTeの1種又は2種以上を:
S%+0.41Se%+0.25Te%(Y)として
(Z−0.07)X〜(Z+0.07)X質量%、(Z
+0.07)X超〜(Z+0.45)X質量%、但し、
Z=32×(C/X−0.125) Yが(Z−0.07)X〜(Z+0.07)X質量%の
場合 Yが(Z−0.07)X〜(Z+0.07)X質量%
(−0.07≦α≦0.07、とし、Cを0.19X〜
0.26X質量%(0.19≦C/X≦0.26)とす
るのは、軟磁気特性及び冷鍛性が特に優れ、(Ti,Z
r)(S,Se,Te)と少量の(Ti,Z
r)(S,Se,Te)の微細分散により被削性も良好
で、耐食性も良好な電磁ステンレス鋼が得られるからで
あるが、Yが(Z−0.07)X%、即ちY/Xが32
・(C/X−0.125)−0.07より低い場合に
は、(Ti,Zr)(S,Se,Te)の形成
量が少な過ぎてこれらの効果に乏しく、Yが(Z+0.
07)X質量%、即ちY/Xが32・(C/X−0.1
25)+0.07より高い場合には、かえって軟磁気
特性、冷鍛性及び耐食性を阻害するので、Yを(Z−
0.07)X〜(Z+0.07)X質量%の範囲とす
る。
【0056】さらに、Yが(Z+0.07)X超〜(Z
+0.45)X質量%の場合 Yが(Z+0.07)X超〜(Z+0.45)X質量%
(0.07<α≦0.45)とし、Cを0.02X〜
0.26X質量%(0.02≦C/X≦0.26)とす
るのは、耐食性に優れ、やや量を増した(Ti,Zr)
(S,Se,Te)2と(Ti,Zr)(S,S
e,Te)により、上記Yを(Z−0.07)X〜(Z
+0.07)X質量%にするより更に被削性が良好で、
軟磁気特性及び冷鍛性も良好な電磁ステンレス鋼が得ら
れるからであるが、Yが(Z+0.45)X質量%、即
ちY/Xが32・(C/X−0.125)+0.45
より高い場合には、(Ti,Zr)S、Cr(S,S
e,Te)、Mn(S,Se,Te)が増加し、被削性
は更に優れたものとなるが、冷間鍛造性、耐食性及び軟
磁気特性も低下するので、Yを(Z+0.07)X〜
(Z+0.45)X質量%の範囲とする。
【0057】
【0058】Ni:2質量%以下、Cu:2質量%以
下、Mo:2質量%以下、Nb:1質量%以下及びV:
1質量%以下 Ni、Cu、Mo、Nb及びVは、いずれも上記第二選
択発明に係る快削合金材料の鋼中において、耐食性をよ
り一層向上させるので、そのために含有させる元素であ
るが、それぞれ上記上限を超えると軟磁気特性及び冷鍛
性を阻害するので、その含有量を上記のとおりとする。
【0059】Pb:0.15質量%以下、B:0.01
質量%以下及びREM:0.1質量%以下 Pbは、被削性をより一層向上させるために含有させる
元素であり、従来の含有量の1/2の0.15質量%以
下を含有させても被削性をより一層向上させる効果があ
るので、その含有量を0.15質量%以下とする。
【0060】B及びREMは、いずれも上記第二選択発
明に係る快削合金材料の鋼中において、冷間鍛造性をよ
り一層向上させるので、そのために含有させる元素であ
るが、上記上限を超えて含有させるとかえって熱間及び
冷間での加工性が低下するので、その含有量を上記のと
おりとする。なお、REMとしては、放射活性の低い元
素を主体的に用いることが取り扱い上容易であり、この
観点において、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、S
m、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb
及びLuから選ばれる1種又は2種以上を使用すること
が有効である。特に上記効果のより顕著な発現と価格上
の観点から、軽希土類、特にLaあるいはCeを使用す
ることが望ましい。ただし、希土類分離過程等にて不可
避的に残留する微量の放射性希土類元素(例えばThや
Uなど)が含有されていても差し支えない。また、原料
コスト低減等の観点から、ミッシュメタルやジジムな
ど、非分離希土類を使用することもできる。
【0061】電磁ステンレス鋼として構成される上記第
二選択発明に係る快削合金材料の製造方法について:上
記第二選択発明に係る快削合金材料は、従来からある電
磁ステンレス鋼などに添加するTi及びZrの1種又は
2種の含有量、C含有量並びにS,Se及びTeの1種
又は2種以上の含有量を特定し、それらを組み合わせて
含有させたものであるので、従来からある電磁ステンレ
ス鋼の製造方法と同様に製造することができる。
【0062】
【実施例】以下、本発明の効果を確認するために、以下
の実験を行った。 (実施例1)マルテンサイト系ステンレス鋼として構成
される本発明の第一選択発明に係る合金材料について以
下の実験を行った。まず、表1に示す配合組織(質量
%)により、各々50kg鋼塊を高周波誘導炉にて溶製
し、これを、1050〜1100℃に加熱し、熱間鍛造
により20mmの丸棒に加工した。それら丸棒をさらに
750℃で1時間加熱した後空冷し、各試験に供した。
なお、本実施例1においては、試供した試験合金をステ
ンレス鋼に限定しているため、発明合金を特に発明鋼と
称する場合もある。
【0063】
【表1】
【0064】本実施例1においては、(Ti、Zr)系
化合物がFe系マトリックス相中に形成されているもの
を本発明鋼とし、上記条件に加えてさらに次の条件、す
なわち:Niを含有しないか、または含有していてもそ
の含有率が2質量%以下とされ、9〜17質量%のCr
を含有し、さらにTiの含有量をWTi(質量%)、Zrの
含有量をWZr(質量%)として、WTi+0.52WZrが
0.03〜3.5質量%となるようにTiとZrとの少
なくとも何れかを含有し、0.01〜1質量%のSと、
0.01〜0.8質量%のSeとの少なくとも何れかを
含有し、Cの含有量をWC、Sの含有量をWS、Seの含
有量をWSeとするとき、 0.375×(WS+0.4WSe)<WC≦1.5・・・式A、かつ、 0.125×(WTi+0.52WZr)<WC≦1.5・・・式B を満足するCを含有する;を満たすマルテンサイト系ス
テンレス鋼として構成される合金を本発明の第一選択発
明鋼とする。また、表1においてNo.1〜19がマル
テンサイト系ステンレス鋼として構成される本発明の第
一選択発明鋼である。また、比較例は、No.20がS
US410、No.21がSUS416、No.22が
SUS420F、No.23がSUS440Fにそれぞ
れ相当するステンレス鋼である。また、No.24〜2
6の合金はCの含有量が式A、及びBを満たさない場合
のステンレス鋼であり、第一選択発明範囲外であるが、
本発明の発明鋼である。
【0065】本発明鋼の主な介在物は(Ti、Zr)
(S、Se)であったが、(Ti、Zr)S、及
び(Ti、Zr)S等の介在物も一部認められた。ま
た、Mn含有量が高いNo.9などには、(Mn、C
r)Sが僅かではあるが認められた。なお、各介在物の
同定方法は、以下のようにして行っている。すなわち、
各丸棒から適量の試験片を取り出して、これをテトラメ
チルアンモニウムクロライドと10%のアセチルアセト
ンを含むメタノール溶液を電解質として用いることによ
り、金属マトリックス部分を電解する。そして、溶解後
の電解液をろ過することにより、鋼中に含有されていた
不溶の化合物を抽出して乾燥後、これをEDXにて分析
し、その回折プロファイルの出現ピークから化合物の特
定を行う。なお、鋼組織中の化合物粒子の組成は別途E
DXにより分析を行っており、その二次元マッピングか
ら、EDX分析にて観察された化合物に対応する組成の
化合物が形成されていることを確認している。図2は第
一選択発明鋼No.2及びNo.13の鋼表面の光学顕
微鏡観察画像(倍率:400倍)を示しており、また図
3はNo.2の鋼種の任意の介在物をEDXで分析した
結果を示す。
【0066】上記の各試験鋼につき、以下の実験を行っ
た。 1.熱間加工性評価:熱間加工性の評価は、熱間鍛造時
に、割れなどの欠陥が発生したか否かを目視観察によっ
て評価した。熱間鍛造時の熱間加工性は、いずれも問題
なく加工できるレベルであったが、介在物が多くなる
他、合金元素量が多くなるに従い、劣化する傾向にあっ
た。なお、Ca、B、Mg、REMを添加した本発明の
鋼種は添加していない鋼種と比較して良好な熱間加工性
を有していることがわかった。
【0067】2.被削性評価:被削性の評価は、被削加
工時の工具磨耗量、仕上げ面粗さ、切粉形状により評価
する。切削工具にはサーメットを用いて、周速120m
/min、一回転当りの切り込み量0.1mm、一回転
当りの送り量0.05mmで水溶性切削油にて切削加工
を実施した。工具磨耗量は、60分切削後の切削工具に
おけるフランクの磨耗量を測定したもので、単位はμm
である。仕上げ面粗さは、JIS−B0601に規定さ
れている方法で測定した加工後の供試鋼表面の算術平均
粗さ(Ra:μm)である。さらに、切粉形状を目視観
察し、破砕性が良好であるものは「良」、破砕性が悪く切
粉がつながった状態のものは「劣」とし、その中間を「や
や良」で表している。
【0068】また、以下の評価については、980〜1
050℃で30分保持したのち油冷する焼入れ熱処理
と、180℃で1時間保持した後空冷する焼戻し処理を
施した材料を用い、実施した。
【0069】3.硬さ試験:試料の硬さの測定は、JI
S−Z2245に規定されているロックウェル硬さ試験
によって、Cスケールロックウェル硬さを測定した。丸
棒試料の軸断面において、図3に示すように、Gを断面
の略中心、Pを外周上の任意の点としたとき、PS=
0.25PGとなる点Sの集合を測定点としたとき、こ
れら測定点から選ばれる任意の5点においてのロックウ
ェル硬さの平均値を求めた。
【0070】3.耐アウトガス性評価:耐アウトガス性
の評価は、Sの発生量を規定することによって行った。
具体的には、寸法が、縦が15mm、横が3mm、厚さ
が25mmの直方体形状で、かつ、全面を番手#400
のエメリーペーパーによって研磨加工した試験片を用い
る。そして、容積が250cc.の密閉容器中に、前記
試験片と銀箔(寸法:縦10mm、横5mm、厚さ0.
1mm、純度:99.9%以上)と0.5cc.の純水
をいれ、その容器内の温度を85℃に維持しつつ20時
間保持させた。そして試験後の銀箔中のS含有量WSO
(質量%)を燃焼赤外線吸収法にて測定した。
【0071】4.耐食性評価:耐食性の評価試験は、高
温高湿によって行った。試験片としては、寸法直径15
mm、高さ50mmの円柱形上のものを用い、表面をエ
メリーペーパーにより番手#400まで研磨加工し、洗
浄した後、これを60℃の相対湿度90%RHの恒温恒
湿槽内に168時間試験保持した。評価は目視により行
い、全く発錆が確認されなかったものを「A」、点状のし
みが数カ所に認められたものを「B」、面積率5%以下の
範囲で赤錆が確認されたものを「C」、面積率5%を超え
る範囲で赤錆が確認されたものを「D」として評価した。
【0072】以上の結果を表2に示す。
【0073】
【表2】
【0074】表2より、比較例No.20〜23のステ
ンレス鋼は、硬さは十分に確保されているが、被削性に
劣っていることがわかる。また、No.21〜23に至
っては耐食性、及び耐アウトガス性も劣っている。ま
た、発明鋼と、第一選択発明鋼を比較すると、発明鋼で
は被削性が向上し、第一選択発明鋼に至ると、硬さ、耐
食性、及び耐アウトガス性などが向上していることがわ
かる。発明鋼より第一発明鋼のほうが硬さの向上が実現
されている理由としては、Cの含有量が式A、及びBを
満足することによって、(Ti、Zr)系化合物を構成
するCの含有量と、添加されるCの含有量とのバランス
が調節され、Fe系マトリックス相中にC成分が十分に
分散されたためであると考えられる。また、耐アウトガ
ス性が向上したのは、形成されうる(Ti、Zr)系化
合物の量に対して過剰なSが添加されたためであると考
えられる。
【0075】以上、マルテンサイト系ステンレス鋼とし
て構成される第一選択発明に係る快削合金材料について
実施例を示したが、これはあくまで一例示であり、本発
明は、その趣旨を逸脱しない範囲で、当事者の知識に基
づき、その他の変更を加えた態様で実施可能である。
【0076】(実施例2)次に、電磁ステンレス鋼とし
て構成される本発明の第二選択発明に係る快削合金材料
について、以下のような実験を行った。まず、下記表3
及び表4に示す成分組成(質量%)の鋼塊を、Ar気流
中にて7kg誘導溶解し、直径80mmのインゴットを
作成した。次に各インゴットを1000〜1050℃で
熱間鍛造して直径22mmの丸棒とした後、直径21m
mまで切削後、直径18mmまで冷間圧延し、供試鋼と
した。また、本実施例2においては、(Ti、Zr)系
化合物が基質金属相(Fe系マトリックス相)中に形成
されているステンレス鋼を本発明の発明鋼とし、上記化
合物が形成されていることに加えて、図1に示された含
有範囲の組成を有するステンレス鋼を本発明の第二選択
発明鋼としている。表3及び表4においては、No.1
〜38が、第二選択発明鋼であり、No.39〜47発
明鋼である。かくして得られた鋼材の磁気特性、比抵
抗、被削性、冷鍛性及び耐食性について下記測定方法で
測定した。各測定方法を以下に述べる。
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】各測定方法 1.磁気特性:磁気特性は、外径10mm、内径5m
m、厚さ5mmのリング状試料を作製し、950℃で磁
気焼鈍後、B−Hループトレーサーで1Oeの磁場中で
の磁束密度B1(KG)、10Oeの磁場中での磁束密
度B10(kG)、及び直流保磁力Hc(A/cm)の直
流磁気特性を測定した。磁束密度B1と保磁力Hcと、
αとの関係を図5に示す。
【0080】2.被抵抗測定:比抵抗は、各試料を直径
1mmまで冷間線引きし、950℃で真空焼鈍後、測定
した。
【0081】3.被削性:被削性は、直径5mmのSK
H51ドリルを用い、回転数915rpmでドリル刃先
に415Nを負荷し、鋼種に切削加工を施したとき、深
さ10mmを穿孔するのに要する時間(sec)で評価
した。
【0082】4.冷鍛性:冷鍛性は、直径20mm、高
さ30mmの円柱状の試験片を作製し、720℃で焼鈍
後、400t油圧により圧縮試験を行い、割れ限界加工
率で評価した。図6に穿孔時間、及び割れ限界加工率
と、αとの関係を示す。
【0083】5.孔食電位:孔食電位は、直径18m
m、厚さ2mmの円盤状試験片を作製し、800番まで
のサンドペーパーで研磨後、真空中で950℃、2時間
の磁気焼鈍を行った後、30℃の3.5%NaCl水溶
液中で孔食電位Vc(mV)を測定した。図7に孔食電
位とαとの関係を示す。また、以上の測定結果を表5、
表6に示す。
【0084】
【表5】
【0085】
【表6】 表5及び表6並びに図5から判るように、|α|≦0.
07では、Hc<1.0A/cm、B1>2.5kGと
非常に優れた磁気特性を示している。磁気特性はα=
0.07付近で急激に変化し、0.07<α≦0.45
では緩やかになり、1.0<Hc<1.5A/cm、
1.0<B1<2.0KGの比較的良好な範囲の磁気特
性を保っている。またα=0.45付近から再び磁気特
性が大きくなり始めるが、0.45<α≦0.70なら
ば、1.4<Hc<2.5A/cm、0.4<B1<
1.0KGと、電磁ステンレス鋼としては実用可能な範
囲である。
【0086】さらに、表5及び表6並びに図6から判る
ように、被削性は磁気特性ほどのαとの明確な関係はな
いが、|α|≦0.07では穿孔時間が14〜17秒
で、比較的良好な被削性を有し、割れ限界加工率が80
〜86%で、優れた冷鍛性を有する。近接したα値に対
して両特性ともばらつきが大きいが、その原因の1つと
してSi、Mn及びCr含有量の差が考えられる。0.
07<α≦0.45では、穿孔時間が13〜17秒で、
比較的良好な被削性を有し、割れ限界加工率が75〜8
5%で、比較的良好な冷鍛性を有する。0.45<α≦
0.70では、割れ限界加工率が76%以下となり、高
加工率の冷間鍛造は困難になるが、穿孔時間が10〜1
6秒で、優れた被削性を示している。
【0087】Pbを含有させたNo.8,10,19,
21,30及び32は、それぞれα値が近い本発明と比
較して穿孔時間が短くなっている。また、B及びREM
の1種または2種を含有させたNo.8,9〜11,1
9〜22,30〜33は、それぞれα値が近い本発明と
比較して割れ限界加工率が大きくなっている。
【0088】また、表5及び表6並びに図7(Vcが極
めて高い高Crステンレス鋼、非常に低い低Crステン
レス鋼は除外してある。)から判るように、|α|≦
0.07では、−80<Vc<0(mV)で、良好な耐
食性を示している。0.07<α≦0.45では、−5
0<Vc<70(mV)で、更に優れた耐食性を示して
いる。0.45<α≦0.70になると、Vcが更に低
下するが、Vc>−150mVならば実用的な範囲であ
る。
【0089】耐食性を改善する元素のNi、Cu,M
o、Nb及びVを含有させたNo.6,7,10,1
1,17,18,21,22,28,29,32及び3
3は、それぞれα値が近い本発明と比較してVcが高く
なっている。また、耐食性を改善する元素を含有させた
No.27及び38についても、これよりαが小さい本
発明例と同程度のVcを維持している。
【0090】発明鋼のNo.39〜47は、図1に示す
ように本発明の第二選択発明鋼の範囲外のものである。
発明鋼と第二選択発明鋼を比較すれば、発明鋼は、いず
れも割れ限界加工率が72%以下であり、第二選択発明
鋼のほうがより冷鍛性に優れていることがわかる。ま
た、α値が近いものを比較して、磁気特性及び耐食性が
第二選択発明鋼のほうが優れている。またNo.39〜
42の発明鋼と、第二選択発明鋼を比較すると、第二選
択発明鋼のほうがより被削性も優れていることがわか
る。No.43及び44の発明鋼と、第二選択発明鋼を
比較すると、被削性はそれほど変わらないが、それ以外
の特性が向上しており、No.45〜47の発明鋼と、
第二選択発明鋼を比較すると、第二選択発明鋼のほうが
磁気特性及び耐食性も向上していることがわかる。
【0091】なお、図8はTiO,TiN,Ti
,TiC,TiS及びCrSの各化合物のγ−Fe
(オーステナイト相)中での溶解度積の温度依存性を表
したものである。ZrはTiと、Se及びTeはSと類
似の化学特性を有することから、(Ti,Zr)O>
(Ti,Zr)N>(Ti,Zr)(S,Se,
Te)>(Ti,Zr)C>(Ti,Zr)(S,S
e,Te)>Cr(S,Se,Te)の強さの順序で化
合物が形成されると考えられる。
【0092】また、X線解析により、これらの化合物が
鋼中に存在することが確認されている。
【0093】以上、電磁ステンレス鋼として構成される
本発明の第二選択発明に係る快削合金材料について実施
例を示したが、これは、あくまで一例示であり、本発明
は、その趣旨を逸脱しない範囲で、当事者の知識に基づ
き、その他に変更を加えた態様で実施可能である。
【0094】さらに本発明は、本実施例で示したFe基
合金のみではなく、その他の被削性が要求される合金に
おいても適用可能である。たとえば、Ni基合金、Co
基合金、Ti基合金、あるいはCu基合金等にも適用す
ることができ、これらの合金に適用する場合は、従来の
組成に対して、その主体となる成分の一部を(Ti、Z
r)、C、及び(S、Se、Te)により、前述した組
成範囲内にて置換含有させることによって、(Ti、Z
r)系化合物を合金組織中に形成させるようにすれば良
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】電磁ステンレス鋼として構成される本発明の快
削合金材料の、TiおよびZrの1種又は2種の含有
量、Cの含有量並びにS、Se及びTeの1種又は2種
以上の含有量の組み合わせの範囲を説明する図。
【図2】第一選択発明鋼No.2及びNo.13の光学
顕微鏡観察画像を示す図。
【図3】第一選択発明鋼No.2のEDXの分析結果を
示す図。
【図4】実施例1の硬さ試験の測定点を説明する図。
【図5】実施例2のB1及びHcをαに対してプロット
した図。
【図6】実施例2の穿孔時間および割れ限界加工率をα
に対してプロットした図。
【図7】実施例2の孔食電位をαに対してプロットした
図。
【図8】TiO、TiN、TiS、TiC、Ti
S及びCrSの各成分のγ−Fe中での溶解度積の温度
依存性を表した図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (73)特許権者 899000035 株式会社東北テクノアーチ 宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉468番地 (73)特許権者 801000016 財団法人日本産業技術振興協会 東京都港区虎ノ門1−19−5 虎ノ門一 丁目森ビル5階 (72)発明者 石田 清仁 宮城県仙台市青葉区上杉3−5−20 (72)発明者 及川 勝成 宮城県柴田郡柴田町西船迫4−1−34 (72)発明者 江幡 貴司 宮城県柴田郡村田町大字村田字西ヶ丘23 東北特殊鋼株式会社内 (72)発明者 清水 哲也 愛知県名古屋市天白区高島2丁目1410番 地 (72)発明者 岡部 道生 愛知県知多市旭桃台137 (72)発明者 井ノ口 貴之 愛知県東海市加木屋町南鹿持18 大同特 殊鋼知多寮 (56)参考文献 特開 平11−1743(JP,A) 特開 平9−49053(JP,A) 特開 平10−195605(JP,A) 特開 昭63−65055(JP,A) 特開 昭63−93843(JP,A) 特開 平2−163348(JP,A) 特開 昭62−267455(JP,A) 特開 平2−258955(JP,A) 特開 昭64−8258(JP,A) 特開 平3−173749(JP,A) 特開 平10−8219(JP,A) 特開 平7−233452(JP,A) 特開 平4−318153(JP,A) 特開 平2−179855(JP,A) 特公 昭54−17567(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 TiとZrとの少なくともいずれかを金
    属元素成分として含有し、その金属元素成分との結合成
    分として、必須成分としてのCを含有し、さらにS、S
    e及びTeから選ばれる1種又は2種以上とを含有する
    (Ti、Zr)系化合物が基質金属相中に形成され 前記(Ti、Zr)系化合物は組成式(Ti、Zr)
    (S、Se、Te) にて表される化合物を少なく
    とも含有し、 前記基質金属相はFeを主成分とするFe系マトリック
    ス相として形成されている快削合金材料であって、 Niを含有しないか、または含有していてもその含有率
    が2質量%以下とされ、9〜17質量%のCrを含有
    し、さらにTiの含有量をWTi(質量%)、Zrの含有量
    をWZr(質量%)として、WTi+0.52WZrが0.10
    〜3.5質量%となるようにTiとZrとの少なくとも
    何れかを含有し、0.03〜1質量%のSと、0.01
    〜0.8質量%のSeとの少なくとも何れかを含有し、 O:0.03質量%以下、N:0.05質量%以下とさ
    れ、 Cの含有量をWC(質量%)、Sの含有量をWS(質量
    %)、Seの含有量をWSe(質量%)とするとき、 0.375×(WS+0.4WSe)<WC≦1.5・・・式A、 かつ、0.125×(WTi+0.52WZr)<WC≦1.5・・・式B を満足するCを含有することを特徴とする快削合金材
    料。
  2. 【請求項2】 Si:2質量%以下、Mn:2質量%以
    下、P:0.05質量%以下、Cu:2質量%以下、C
    o:2質量%以下とされる請求項1に記載の快削合金材
    料。
  3. 【請求項3】 0.1〜4質量%のMoと、0.1〜3
    質量%のWとの少なくともいずれかを含有する請求項1
    又は2に記載の快削合金材料。
  4. 【請求項4】 0.005〜0.1質量%のTeと、
    0.01〜0.2質量%のBiと、0.01〜0.3質
    量%のPbから選ばれる1種又は2種以上を含有する請
    求項1ないし3のいずれかに記載の快削合金材料。
  5. 【請求項5】 Ca、Mg、B、REM(ただしREM
    は元素周期律表にて 3A族として分類される金属元素の
    1種または2種以上)から選ばれる一種以上を合計にて
    0.0005〜0.01質量%含有する請求項1ないし
    4のいずれかに記載の快削合金材料。
  6. 【請求項6】 Nb、V、Ta、Hfから選ばれる一種
    以上を0.01〜0.5質量%含有する請求項1ないし
    5のいずれかに記載の快削合金材料。
  7. 【請求項7】 合金材料試験片として、縦15mm、横
    3mm、厚さ25mmの直方体形状を有し、かつ全面を
    番手#400のエメリーペーパーを用いて研磨したもの
    を用意し、硫黄成分ゲッターとしての、縦10mm、横
    5mm、厚さ0.1mmの純度99.9%以上の銀箔
    と、0.5cc.の純水とを、前記試験片とともに内容
    積250cc.の容器中に封入し、容器内の温度が85
    ℃となるように昇温して20時間保持した後、前記銀箔
    中の硫黄成分含有量WSO(質量%)を分析したとき、前
    記WSOの値が0.035質量%以下となる請求項1ない
    し6のいずれかに記載の快削合金材料。
  8. 【請求項8】 TiとZrとの少なくともいずれかを金
    属元素成分として含有し、その金属元素成分との結合成
    分として、必須成分としてのCを含有し、さらにS、S
    e及びTeから選ばれる1種又は2種以上とを含有する
    (Ti、Zr)系化合物が基質金属相中に形成され、 前記(Ti、Zr)系化合物は組成式(Ti、Zr)
    (S、Se、Te) にて表される化合物を少なく
    とも含有し、 前記基質金属相はFeを主成分とするFe系マトリック
    ス相として形成されている快削合金材料であって、 Si:0.01〜3質量%未満、Mn:2質量%以下、
    Cr:5〜25質量%、Al:0.01超〜5質量%、
    Ti及びZrの1種又は2種: 下記式1のXで表して0.05〜0.5質量%、C:X
    を下記式1で表すとき、0.19X〜0.26X質量%
    並びにS、Se及びTeの1種又は2種以上: Xを下記式1で、またZを下記式3で表すとき、下記式
    2のYで表して(Z−0.07)X〜(Z+0.07)
    X質量%を含有し、残部はFe及び不可避的不純物から
    なる電磁ステンレス鋼として構成されることを特徴とす
    る快削合金材料。 式; Ti%+0.52Zr%=X・・・式1 S%+0.41Se%+0.25Te%=Y・・・式2 32×(C%/X−0.125) =Z・・・式3
  9. 【請求項9】 TiとZrとの少なくともいずれかを金
    属元素成分として含有し、その金属元素成分との結合成
    分として、必須成分としてのCを含有し、さらにS、S
    e及びTeから選ばれる1種又は2種以上とを含有する
    (Ti、Zr)系化合物が基質金属相中に形成され、 前記(Ti、Zr)系化合物は組成式(Ti、Zr)
    (S、Se、Te) にて表される化合物を少なく
    とも含有し、 前記基質金属相はFeを主成分とするFe系マトリック
    ス相として形成されている快削合金材料であって、 Si:0.01〜3質量%未満、Mn:2質量%以下、
    Cr:5〜25質量%、Al:0.01超〜5質量%、
    Ti及びZrの1種又は2種: 下記式1のXで表して0.05〜0.5質量%、C:X
    を下記式1で表すとき、0.19X〜0.26X質量%
    並びにS、Se及びTeの1種又は2種以上: Xを下記式1で、またZを下記式3で表すとき、下記式
    2のYで表して(Z−0.07)X〜(Z+0.07)
    X質量%を含有し、またNi:2質量%以下、Cu:2
    質量%以下、Mo:2質量%以下、Nb:1質量%以下
    及びV:1質量%以下の1種又は2種以上を含有し、残
    部はFe及び不可避的不純物からなる電磁ステンレス鋼
    として構成されることを特徴とする快削合金材料。 式; Ti%+0.52Zr%=X・・・式1 S%+0.41Se%+0.25Te%=Y・・・式2 32×(C%/X−0.125) =Z・・・式3
  10. 【請求項10】 TiとZrとの少なくともいずれかを
    金属元素成分として含有し、その金属元素成分との結合
    成分として、必須成分としてのCを含有し、さらにS、
    Se及びTeから選ばれる1種又は2種以上とを含有す
    る(Ti、Zr)系化合物が基質金属相中に形成され、 前記(Ti、Zr)系化合物は組成式(Ti、Zr)
    (S、Se、Te) にて表される化合物を少なく
    とも含有し、 前記基質金属相はFeを主成分とするFe系マトリック
    ス相として形成されている快削合金材料であって、 Si:0.01〜3質量%未満、Mn:2質量%以下、
    Cr:5〜25質量%、Al:0.01超〜5質量%、
    Ti及びZrの1種又は2種: 下記式1のXで表して0.05〜0.5質量%、C:X
    を下記式1で表すとき、0.19X〜0.26X質量%
    並びにS、Se及びTeの1種又は2種以上: Xを下記式1で、またZを下記式3で表すとき、下記式
    2のYで表して(Z−0.07)X〜(Z+0.07)
    X質量%を含有し、さらにPb:0.15質量%以下、
    B:0.01質量%以下及びREM:0.1質量%以下
    の1種又は2種以上を含有し、残部はFe及び不可避的
    不純物からなる電磁ステンレス鋼として構成されること
    を特徴とする快削合金材料。 式; Ti%+0.52Zr%=X・・・式1 S%+0.41Se%+0.25Te%=Y・・・式2 32×(C%/X−0.125) =Z・・・式3
  11. 【請求項11】 TiとZrとの少なくともいずれかを
    金属元素成分として含有し、その金属元素成分との結合
    成分として、必須成分としてのCを含有し、さらにS、
    Se及びTeから選ばれる1種又は2種以上とを含有す
    る(Ti、Zr)系化合物が基質金属相中に形成され、 前記(Ti、Zr)系化合物は組成式(Ti、Zr)
    (S、Se、Te) にて表される化合物を少なく
    とも含有し、 前記基質金属相はFeを主成分とするFe系マトリック
    ス相として形成されている快削合金材料であって、 Si:0.01〜3質量%未満、Mn:2質量%以下、
    Cr:5〜25質量%、Al:0.01超〜5質量%、
    Ti及びZrの1種又は2種: 下記式1のXで表して0.05〜0.5質量%、C:X
    を下記式1で表すとき、0.19X〜0.26X質量%
    並びにS、Se及びTeの1種又は2種以上: Xを下記式1で、またZを下記式3で表すとき、下記式
    2のYで表して(Z−0.07)X〜(Z+0.07)
    X質量%を含有し、さらにNi:2質量%以下、Cu:
    2質量%以下、Mo:2質量%以下、Nb:1質量%以
    下及びV:1質量%以下の1種又は2種以上を含有し、
    またPb:0.15質量%以下、B:0.01質量%以
    下及びREM:0.1質量%以下の1種又は2種以上を
    含有し、残部はFe及び不可避的不純物からなる電磁ス
    テンレス鋼として構成されることを特徴とする快削合金
    材料。 式; Ti%+0.52Zr%=X・・・式1 S%+0.41Se%+0.25Te%=Y・・・式2 32×(C%/X−0.125) =Z・・・式3
  12. 【請求項12】 TiとZrとの少なくともいずれかを
    金属元素成分として含有し、その金属元素成分との結合
    成分として、必須成分としてのCを含有し、さらにS、
    Se及びTeから選ばれる1種又は2種以上とを含有す
    る(Ti、Zr)系化合物が基質金属相中に形成され、 前記(Ti、Zr)系化合物は組成式(Ti、Zr)
    (S、Se、Te) にて表される化合物を少なく
    とも含有し、 前記基質金属相はFeを主成分とするFe系マトリック
    ス相として形成されている快削合金材料であって、 Si:0.01〜3質量%未満、Mn:2質量%以下、
    Cr:5〜25質量%、Al:0.01超〜5質量%、
    Ti及びZrの1種又は2種: 下記式1のXで表して0.05〜0.5質量%、C:X
    を下記式1で表すとき、0.02X〜0.26X質量%
    並びにS、Se及びTeの1種又は2種以上: Xを下記式1で、またZを下記式3で表すとき、下記式
    2のYで表して(Z+0.07)X超〜(Z+0.4
    5)X質量%を含有し、残部はFe及び不可避的不純物
    からなる電磁ステンレス鋼として構成されることを特徴
    とする快削合金材料。 式; Ti%+0.52Zr%=X・・・式1 S%+0.41Se%+0.25Te%=Y・・・式2 32×(C%/X−0.125) =Z・・・式3
  13. 【請求項13】 TiとZrとの少なくともいずれかを
    金属元素成分として含有し、その金属元素成分との結合
    成分として、必須成分としてのCを含有し、さらにS、
    Se及びTeから選ばれる1種又は2種以上とを含有す
    る(Ti、Zr)系化合物が基質金属相中に形成され、 前記(Ti、Zr)系化合物は組成式(Ti、Zr)
    (S、Se、Te) にて表される化合物を少なく
    とも含有し、 前記基質金属相はFeを主成分とするFe系マトリック
    ス相として形成されている快削合金材料であって、 Si:0.01〜3質量%、Mn:2質量%以下、C
    r:5〜25質量%、Al:0.01超〜5質量%、T
    i及びZrの1種又は2種: 下記式1のXで表して0.05〜0.5質量%、C:X
    を下記式1で表すとき、0.02X〜0.26X質量%
    並びにS、Se及びTeの1種又は2種以上: Xを下記式1で、またZを下記式3で表すとき、下記式
    2のYで表して(Z+0.07)X超〜(Z+0.4
    5)X質量%を含有し、さらにNi:2質量%以下、C
    u:2質量%以下、Mo:2質量%以下、Nb:1質量
    %以下及びV:1質量%以下の1種又は2種以上を含有
    し、残部はFe及び不可避的不純物からなる電磁ステン
    レス鋼として構成されることを特徴とする快削合金材
    料。 式; Ti%+0.52Zr%=X・・・式1 S%+0.41Se%+0.25Te%=Y・・・式2 32×(C%/X−0.125) =Z・・・式3
  14. 【請求項14】 TiとZrとの少なくともいずれかを
    金属元素成分として含有し、その金属元素成分との結合
    成分として、必須成分としてのCを含有し、さらにS、
    Se及びTeから選ばれる1種又は2種以上とを含有す
    る(Ti、Zr)系化合物が基質金属相中に形成され、 前記(Ti、Zr)系化合物は組成式(Ti、Zr)
    (S、Se、Te) にて表される化合物を少なく
    とも含有し、 前記基質金属相はFeを主成分とするFe系マトリック
    ス相として形成されている快削合金材料であって、 Si:0.01〜3質量%未満、Mn:2質量%以下、
    Cr:5〜25質量%、Al:0.01超〜5質量%、
    Ti及びZrの1種又は2種: 下記式1のXで表して0.05〜0.5質量%、C:X
    を下記式1で表すとき、0.02X〜0.26X質量%
    並びにS、Se及びTeの1種又は2種以上: Xを下記式1で、またZを下記式3で表すとき、下記式
    2のYで表して(Z−0.07)X超〜(Z+0.4
    5)X質量%を含有し、さらにPb:0.15質量%以
    下、B:0.01質量%以下及びREM:0.1質量%
    以下の1種又は2種以上を含有し、残部はFe及び不可
    避的不純物からなる電磁ステンレス鋼として構成される
    ことを特徴とする快削合金材料。 式; Ti%+0.52Zr%=X・・・式1 S%+0.41Se%+0.25Te%=Y・・・式2 32×(C%/X−0.125) =Z・・・式3
  15. 【請求項15】 TiとZrとの少なくともいずれかを
    金属元素成分として含有し、その金属元素成分との結合
    成分として、必須成分としてのCを含有し、さらにS、
    Se及びTeから選ばれる1種又は2種以上とを含有す
    る(Ti、Zr)系化合物が基質金属相中に形成され、 前記(Ti、Zr)系化合物は組成式(Ti、Zr)
    (S、Se、Te) にて表される化合物を少なく
    とも含有し、 前記基質金属相はFeを主成分とするFe系マトリック
    ス相として形成されている快削合金材料であって、 Si:0.01〜3質量%未満、Mn:2質量%以下、
    Cr:5〜25質量%、Al:0.01超〜5質量%、
    Ti及びZrの1種又は2種: 下記式1のXで表して0.05〜0.5質量%、C:X
    を下記式1で表すとき、0.02X〜0.26X質量%
    並びにS、Se及びTeの1種又は2種以上: Xを下記式1で、またZを下記式3で表すとき、下記式
    2のYで表して(Z+0.07)X超〜(Z+0.4
    5)X質量%を含有し、さらにNi:2質量%以 下、C
    u:2質量%以下、Mo:2質量%以下、Nb:1質量
    %以下及びV:1質量%以下の1種又は2種以上を含有
    し、またPb:0.15質量%以下、B:0.01質量
    %以下及びREM:0.1質量%以下の1種又は2種以
    上を含有し、残部はFe及び不可避的不純物からなる電
    磁ステンレス鋼として構成されることを特徴とする快削
    合金材料。 式; Ti%+0.52Zr%=X・・・式1 S%+0.41Se%+0.25Te%=Y・・・式2 32×(C%/X−0.125) =Z・・・式3
JP2000251626A 1999-09-03 2000-08-22 快削合金材料 Expired - Lifetime JP3425129B2 (ja)

Priority Applications (15)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000251626A JP3425129B2 (ja) 1999-09-03 2000-08-22 快削合金材料
EP04004045A EP1431411B1 (en) 1999-09-03 2000-09-01 Free cutting alloy
EP04004044A EP1431410B1 (en) 1999-09-03 2000-09-01 Free cutting alloy
EP20000118990 EP1085105B1 (en) 1999-09-03 2000-09-01 Free cutting alloy
EP04004043A EP1431409B1 (en) 1999-09-03 2000-09-01 Free cutting alloy
DE2000629261 DE60029261T2 (de) 1999-09-03 2000-09-01 Automatenlegierung
DE2000629260 DE60029260T2 (de) 1999-09-03 2000-09-01 Automatenlegierung
DE2000629063 DE60029063T2 (de) 1999-09-03 2000-09-01 Automatenlegierung
DE2000629364 DE60029364T2 (de) 1999-09-03 2000-09-01 Automatenlegierung
EP04004046A EP1431412B1 (en) 1999-09-03 2000-09-01 Free cutting alloy
DE2000630175 DE60030175T2 (de) 1999-09-03 2000-09-01 Automatenlegierung
US10/242,768 US20030170138A1 (en) 1999-09-03 2002-09-13 Free cutting alloy
US10/847,403 US7381369B2 (en) 1999-09-03 2004-05-18 Free cutting alloy
US10/847,524 US7297214B2 (en) 1999-09-03 2004-05-18 Free cutting alloy
US11/976,048 US20080124240A1 (en) 1999-09-03 2007-10-19 Free cutting alloy

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25090299 1999-09-03
JP11-250902 1999-09-03
JP2000251626A JP3425129B2 (ja) 1999-09-03 2000-08-22 快削合金材料

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001140034A JP2001140034A (ja) 2001-05-22
JP3425129B2 true JP3425129B2 (ja) 2003-07-07

Family

ID=26539978

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000251626A Expired - Lifetime JP3425129B2 (ja) 1999-09-03 2000-08-22 快削合金材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3425129B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4761649B2 (ja) * 2001-05-16 2011-08-31 清仁 石田 耐食鋼
JP2003105502A (ja) * 2001-09-25 2003-04-09 Nisshin Steel Co Ltd 高温耐へたり性に優れたメタルガスケット用ステンレス鋼およびメタルガスケット

Family Cites Families (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5417567B1 (ja) * 1966-03-01 1979-06-30
JPS62267455A (ja) * 1986-05-15 1987-11-20 Kawasaki Steel Corp 被削性にすぐれた軟質フエライト系ステンレス鋼
JP2742578B2 (ja) * 1986-09-08 1998-04-22 愛知製鋼株式会社 冷間鍛造用高硬度ステンレス鋼
JPH0765144B2 (ja) * 1986-10-07 1995-07-12 大同特殊鋼株式会社 冷間鍛造用ステンレス鋼
JP2521479B2 (ja) * 1987-06-30 1996-08-07 愛知製鋼株式会社 冷間鍛造用マルテンサイト系快削ステンレス鋼
JPH02163348A (ja) * 1988-12-14 1990-06-22 Aichi Steel Works Ltd 切削用高硬度ステンレス鋼
JPH02179855A (ja) * 1988-12-29 1990-07-12 Aichi Steel Works Ltd 快削軟磁性ステンレス鋼
JP2805808B2 (ja) * 1989-03-30 1998-09-30 住友金属工業株式会社 耐食性プラスチック成形用金型材
JPH03173749A (ja) * 1989-12-01 1991-07-29 Aichi Steel Works Ltd 冷間鍛造用軟磁性ステンレス鋼およびその製造方法
JP3197573B2 (ja) * 1991-04-15 2001-08-13 東北特殊鋼株式会社 高冷鍛性電磁ステンレス鋼
JPH07233452A (ja) * 1993-12-27 1995-09-05 Sumitomo Metal Ind Ltd 磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼
JP3324348B2 (ja) * 1995-08-07 2002-09-17 株式会社神戸製鋼所 成形性、切削性および打ち抜き加工性に優れた熱延鋼板とその製法
JP3429133B2 (ja) * 1996-06-25 2003-07-22 山陽特殊製鋼株式会社 高磁束密度耐食軟磁性材料
JPH10195605A (ja) * 1996-12-27 1998-07-28 Sumitomo Metal Ind Ltd フェライト系ステンレス鋼
JP3489656B2 (ja) * 1997-03-28 2004-01-26 住友金属工業株式会社 被削性に優れた高強度高靭性調質鋼材

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001140034A (ja) 2001-05-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3288497B2 (ja) オーステナイトステンレス鋼
JP4305137B2 (ja) 表面仕上粗さ及び耐アウトガス性に優れたフェライト系快削ステンレス鋼
CN101580917A (zh) 优质双相不锈钢
JP2009091655A (ja) フェライト系快削ステンレス鋼
KR20130105721A (ko) 합금 원소 절감형 2상 스테인리스 열연 강재, 클래드재로서 2상 스테인리스강을 구비하는 클래드 강판 및 그들의 제조 방법
EP1431411B1 (en) Free cutting alloy
JP4761649B2 (ja) 耐食鋼
JP4441295B2 (ja) 耐食性および切削性に優れた溶接用高強度鋼および溶接用高強度鋼板の製造法
JP2005089828A (ja) 耐隙間腐食性を改善したフェライト系ステンレス鋼板
JP3425129B2 (ja) 快削合金材料
US7297214B2 (en) Free cutting alloy
JP2003221654A (ja) 快削ステンレス鋼
JP4018021B2 (ja) 冷間伸線加工性と耐食性に優れる非磁性の硫黄快削ステンレス鋼線材
JP3425124B2 (ja) フェライト系快削ステンレス鋼
JPH0770716A (ja) 冷鍛性、耐食性、溶接性に優れた軟磁性ステンレス鋼
JP3425128B2 (ja) 快削合金材料
US7381369B2 (en) Free cutting alloy
JP4544977B2 (ja) 快削軟磁性ステンレス鋼
JP2001152279A (ja) 快削鋼
JP3425114B2 (ja) Pbフリー型フェライト系快削ステンレス鋼
JP2020059900A (ja) 耐食性に優れた省資源型二相ステンレス鋼
JPS61207552A (ja) 加工安定性に優れた非磁性オ−ステナイト系ステンレス鋼
JP4199413B2 (ja) 耐食性に優れた電子銃電極用Fe−Cr−Ni系合金及びその条
JPH09241809A (ja) 耐食性に優れたCr含有フェライト系鉄合金
JPH09194938A (ja) 磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼成形加工品の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3425129

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R154 Certificate of patent or utility model (reissue)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R154

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080502

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090502

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100502

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100502

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110502

Year of fee payment: 8

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120502

Year of fee payment: 9

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120502

Year of fee payment: 9

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120502

Year of fee payment: 9

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130502

Year of fee payment: 10

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130502

Year of fee payment: 10

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130502

Year of fee payment: 10

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140502

Year of fee payment: 11

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term