JP2009091655A - フェライト系快削ステンレス鋼 - Google Patents
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Abstract
【課題】被削性と耐食性との相反する両特性を共に良好となし得るフェライト系快削ステンレス鋼を提供する。
【解決手段】フェライト系快削ステンレス鋼を、質量%でC :≦0.200%,Si:0.01〜5.00%,Mn:0.01〜2.50%,S :0.05〜0.50%,Ni:≦5.0%,Cr:7.5〜30.0%,Mo:≦5.0%,N :≦0.050%,O :≦0.0150%,Ti:≦0.30%,Zr:0.01〜1.00%,残部Fe及び不可避的不純物の組成を有し、硫化物形成するMnの一部をZrで置換した形態のZr系硫化物を鋼中に生成させたものとする。
【選択図】 図1
【解決手段】フェライト系快削ステンレス鋼を、質量%でC :≦0.200%,Si:0.01〜5.00%,Mn:0.01〜2.50%,S :0.05〜0.50%,Ni:≦5.0%,Cr:7.5〜30.0%,Mo:≦5.0%,N :≦0.050%,O :≦0.0150%,Ti:≦0.30%,Zr:0.01〜1.00%,残部Fe及び不可避的不純物の組成を有し、硫化物形成するMnの一部をZrで置換した形態のZr系硫化物を鋼中に生成させたものとする。
【選択図】 図1
Description
この発明はフェライト系快削ステンレス鋼に関する。
フェライト系ステンレス鋼は、優れた耐食性を有する一方で、高合金鋼であるために削り難いといった難点がある。
近年、フェライト系ステンレス鋼が弱電製品の部品素材として広く用いられるようになって来ているが、この場合、寸法精度確保のために精密な仕上加工が要求される部品や、複雑形状の部品では機械加工性が大きな問題となり、フェライト系ステンレス鋼に優れた被削性が求められる。
近年、フェライト系ステンレス鋼が弱電製品の部品素材として広く用いられるようになって来ているが、この場合、寸法精度確保のために精密な仕上加工が要求される部品や、複雑形状の部品では機械加工性が大きな問題となり、フェライト系ステンレス鋼に優れた被削性が求められる。
そこで鋼に快削成分としてのSを添加することが行われる。鋼にSを添加することで鋼中でMnSを介在物として生成させ、切削時に介在物への応力集中効果によって被削性を高めることができる。
しかしながらMnS介在物を生成した鋼はステンレス鋼の最大の特徴である優れた耐食性を低下させる問題を有している。
しかしながらMnS介在物を生成した鋼はステンレス鋼の最大の特徴である優れた耐食性を低下させる問題を有している。
ところでステンレス鋼の場合、鋼中に含まれるCrの一部がMnの一部を置換する形で硫化物中に入り込んで来る。
CrはMnに比べて硫化物形成傾向が小さいが、ステンレス鋼の場合にはCrが鋼中に多く含まれているため、その一部がMnに置換した形で硫化物に入り込んでくるのである(但しその置換量は鋼中のMn量,Cr量の大小によって異なってくる)。
CrはMnに比べて硫化物形成傾向が小さいが、ステンレス鋼の場合にはCrが鋼中に多く含まれているため、その一部がMnに置換した形で硫化物に入り込んでくるのである(但しその置換量は鋼中のMn量,Cr量の大小によって異なってくる)。
そこで耐食性をより重視する場合にはMn添加量を制限し、硫化物中のMn濃度を低くしてCr濃度を高くし(Crリッチにする)、(Mn,Cr)S形態の硫化物を積極的に生成させることも従来行われている。
このように硫化物中のMn濃度を低くし、Cr濃度を高くした場合、(Mn,Cr)Sが化学的により安定であることから耐食性は向上する。しかしながら一方で被削性は大きく低下してしまう。
このように硫化物中のMn濃度を低くし、Cr濃度を高くした場合、(Mn,Cr)Sが化学的により安定であることから耐食性は向上する。しかしながら一方で被削性は大きく低下してしまう。
鋼の被削性は硫化物の形態が丸く且つ大きい方が良いとされており、この点MnSは図1の模式図(イ)に示しているように、その形態が比較的丸い紡錘形で且つ大きい形態をなしており、被削性が良好である。
ところが(Mn,Cr)Sは、図1の模式図の(ロ)に示しているように細く且つ長い紐状形態をなしており、被削性を高める働きが弱いものとなる((Mn,Cr)Sは熱間圧延時に圧延方向に非常に延び易い性質を持っている)。
ところが(Mn,Cr)Sは、図1の模式図の(ロ)に示しているように細く且つ長い紐状形態をなしており、被削性を高める働きが弱いものとなる((Mn,Cr)Sは熱間圧延時に圧延方向に非常に延び易い性質を持っている)。
こうしたことから、硫化物の形態を制御することが重要であるとの観点の下に、Mnよりも硫化物形成傾向の強いTiを鋼に添加し、快削性を付与する試みがなされている(例えば下記特許文献1)。
しかしながら鋼にTiを添加した場合、鋼の組成によっては鋼中にTiSとMnS(厳密には(Mn,Cr)S)の2種の介在物を生成させてしまう。
これは次の理由に基づく。
しかしながら鋼にTiを添加した場合、鋼の組成によっては鋼中にTiSとMnS(厳密には(Mn,Cr)S)の2種の介在物を生成させてしまう。
これは次の理由に基づく。
MnSは、鋼中で図2(A)に示すNaCl型の結晶構造(立方晶)をとり、一方TiSは鋼中で図2(B)に示すNiAs型の結晶構造(六方晶)をとる。
従ってMnSとTiSは同一種の硫化物を鋼中で生成できず、鋼中にTiSとMnSの2種類の硫化物が生成してしまう。
つまり鋼にTiを添加して硫化物を形成しても、鋼中に依然としてMnSが生成し残ってしまう(Mn無添加の鋼の場合は、TiSのみの生成も可能だが、工業的コストの面から、Mnを無添加にすることはあり得ない)。
従ってMnSとTiSは同一種の硫化物を鋼中で生成できず、鋼中にTiSとMnSの2種類の硫化物が生成してしまう。
つまり鋼にTiを添加して硫化物を形成しても、鋼中に依然としてMnSが生成し残ってしまう(Mn無添加の鋼の場合は、TiSのみの生成も可能だが、工業的コストの面から、Mnを無添加にすることはあり得ない)。
この場合、TiSは化学的に安定な物質であって鋼の耐食性を特に悪化させるものではなく、またその形態も、図1の模式図(ハ)に示しているように比較的丸い形態のものであるが、その大きさは小さく、そのためTiSによっては鋼の被削性を十分に高くすることができない。
一方鋼中に残るMnSは、上記したように耐食性を悪化させてしまう。
一方鋼中に残るMnSは、上記したように耐食性を悪化させてしまう。
尚、本発明に対する先行技術文献として他に下記特許文献2,特許文献3,特許文献4があり、そこに本発明に似た組成のステンレス鋼が開示されている。
特許文献2の発明はフェライト系快削ステンレス鋼に関するもので、その請求項5にはOを0.005〜0.015%含有する点が、また請求項7にはZrを0.005〜0.3%含有する点が開示されている。
しかしながらこの特許文献2に開示のものは、凝固時の脱酸生成物を粗大なMnO−Cr2O3系にすることで被削性を向上させるためにOを有用な元素として積極的に添加しているもので、基本的な技術的思想において本発明とは異なるものである。
特許文献2の発明はフェライト系快削ステンレス鋼に関するもので、その請求項5にはOを0.005〜0.015%含有する点が、また請求項7にはZrを0.005〜0.3%含有する点が開示されている。
しかしながらこの特許文献2に開示のものは、凝固時の脱酸生成物を粗大なMnO−Cr2O3系にすることで被削性を向上させるためにOを有用な元素として積極的に添加しているもので、基本的な技術的思想において本発明とは異なるものである。
またこの特許文献2の発明ではZrを炭窒化物の生成に加え、硫化物を均一に微細分散させて被削性及び冷間鍛造性を向上させるために添加するものとしているが、そこには硫化物形成するMnの一部をZrで置換した形態のZr系硫化物を生成させるといった本発明の技術的思想は開示されておらず、この点においても特許文献2に開示のものは本発明とは別異のものである。
特許文献3の発明もまたフェライト系快削ステンレス鋼に関するもので、その請求項1にPを0.05超〜0.15質量%,Oを0.03質量%以下含有する点が、更に請求項3にはZrを0.8質量%以下含有する点が開示されている。
本発明はPの含有を否定するものではないが、本発明ではPを含有するとしてもその含有範囲が特許文献3のものとは全く異なったものであり、更にこの特許文献3の発明もまたOを硫化物生成時に核となる酸化物を形成し、そのことによって被削性を向上させるために含有させており、Oの有する意義が本発明とは全く異なっている。
またこの特許文献3の請求項3に記載のものは、Zrを含有させるものではあるものの、Zrの果たす役割が本発明とは基本的に異なっており、従ってこの特許文献3に開示のものも本発明とは別異のものである。
特許文献4の発明は、表面仕上性に優れた高耐食快削ステンレス鋼に関するもので、その請求項1にはOを0.005〜0.04%含有する点が、また請求項3にはZrを1.00%以下含有する点が開示されている。
しかしながらこの特許文献4に開示の発明もまた、Oを被削性改善に有用な元素として積極的に含有させているものであり、またZrの添加は、窒化物形成することによって耐食性改善するとともに熱間加工性を向上させることを目的として添加しているもので、基本的な考え方において本発明と異なったものである。
本発明は以上のような事情を背景とし、被削性と耐食性との相反する両特性を共に良好となし得るフェライト系快削ステンレス鋼を提供することを目的としてなされたものである。
而して請求項1のものは、質量%でC :≦0.200%,Si:0.01〜5.00%,Mn:0.01〜2.50%,S :0.05〜0.50%,Ni:≦5.0%,Cr:7.5〜30.0%,Mo:≦5.0%,N :≦0.050%,O :≦0.0150%,Ti:≦0.30%,Zr:0.01〜1.00%,残部Fe及び不可避的不純物の組成を有し、硫化物形成するMnの一部をZrで置換した形態のZr系硫化物を鋼中に生成させていることを特徴とする。
尚、本発明において望ましい組成は質量%で
C :≦0.050%
Si:0.01〜3.00%
Mn:0.01〜2.00%
S :0.10〜0.45%
Ni:≦3.0%
Cr:12.0〜28.0%
Mo:≦3.0%
N :≦0.040%
O :≦0.0100%
Ti:≦0.20%
Zr:0.05〜0.80%
であり、より望ましい組成は
C :<0.030%
Si:0.01〜2.00%
Mn:0.01〜1.80%
S :0.20〜0.43%
Ni:≦2.0%
Cr:12.5〜25.0%
Mo:≦2.5%
N :≦0.030%
O :<0.0080%
Ti:<0.05%
Zr:0.05超〜0.60%
である。
C :≦0.050%
Si:0.01〜3.00%
Mn:0.01〜2.00%
S :0.10〜0.45%
Ni:≦3.0%
Cr:12.0〜28.0%
Mo:≦3.0%
N :≦0.040%
O :≦0.0100%
Ti:≦0.20%
Zr:0.05〜0.80%
であり、より望ましい組成は
C :<0.030%
Si:0.01〜2.00%
Mn:0.01〜1.80%
S :0.20〜0.43%
Ni:≦2.0%
Cr:12.5〜25.0%
Mo:≦2.5%
N :≦0.030%
O :<0.0080%
Ti:<0.05%
Zr:0.05超〜0.60%
である。
請求項2のものは、質量%でC :≦0.200,Si:0.01〜5.00%,Mn:0.01〜2.50%,S:0.01〜0.50%,Ni:≦5.0%,Cr:7.5〜30.0%,Mo:≦5.0%,N:≦0.050%,O:≦0.0150%,Ti:≦0.30%,Zr:0.01〜1.00%で、更にPb:0.01〜0.30%,Bi:0.01〜0.15%,Te:0.01〜0.30%,Se:0.01〜0.40%,Sn:0.01〜0.10%,P:0.01〜0.05%,B:0.001〜0.03%の何れか1種又は2種以上を更に含有し、残部Fe及び不可避的不純物の組成を有し、硫化物形成するMnの一部をZrで置換した形態のZr系硫化物を鋼中に生成させていることを特徴とする。
尚、請求項2において、望ましい組成は質量%で
C :≦0.050%
Si:0.01〜3.00%
Mn:0.01〜2.00%
S :0.01〜0.45%
Ni:≦3.0%
Cr:12.0〜28.0%
Mo:≦3.0%
N :≦0.040%
O :≦0.0100%
Ti:≦0.20%
Zr:0.05〜0.80%
Pb:0.02〜0.25%
Bi:0.03〜0.15
Te:0.02〜0.28
であり、より望ましい組成は
C :<0.030%
Si:0.01〜2.00%
Mn:0.01〜1.80%
S :0.01〜0.43%
Ni:≦2.0%
Cr:12.5〜25.0%
Mo:≦2.5%
N :≦0.030%
O :<0.0080%
Ti:<0.05%
Zr:0.05〜0.60%
Pb:0.05〜0.20%
Bi:0.05〜0.15
Te:0.04〜0.26
である。
C :≦0.050%
Si:0.01〜3.00%
Mn:0.01〜2.00%
S :0.01〜0.45%
Ni:≦3.0%
Cr:12.0〜28.0%
Mo:≦3.0%
N :≦0.040%
O :≦0.0100%
Ti:≦0.20%
Zr:0.05〜0.80%
Pb:0.02〜0.25%
Bi:0.03〜0.15
Te:0.02〜0.28
であり、より望ましい組成は
C :<0.030%
Si:0.01〜2.00%
Mn:0.01〜1.80%
S :0.01〜0.43%
Ni:≦2.0%
Cr:12.5〜25.0%
Mo:≦2.5%
N :≦0.030%
O :<0.0080%
Ti:<0.05%
Zr:0.05〜0.60%
Pb:0.05〜0.20%
Bi:0.05〜0.15
Te:0.04〜0.26
である。
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、更に下記式(1),式(2)を満たしていることを特徴とする。
0.1≦[Mn]/[Zr]≦50 ・・・式(1)
300×[O]−[Zr]≦4.0 ・・・式(2)
(但し式中[ ]は対応する元素の含有質量%を表す)
0.1≦[Mn]/[Zr]≦50 ・・・式(1)
300×[O]−[Zr]≦4.0 ・・・式(2)
(但し式中[ ]は対応する元素の含有質量%を表す)
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、質量%でW:0.01〜0.50%,Cu:0.01〜0.50%,の何れか1種又は2種を更に含有していることを特徴とする。
請求項5のものは、請求項1〜4の何れかにおいて、質量%でAl:0.01〜3.00%,V :0.01〜0.30%,Nb:0.01〜0.30%,の何れか1種又は2種以上を更に含有していることを特徴とする。
請求項6のものは、請求項1〜5の何れかにおいて、質量%でMg:0.0001〜0.0100%,Ca:0.0001〜0.0100%,REM:0.0001〜0.0100%の何れか1種又は2種以上を更に含有していることを特徴とする(但しREMは元素周期律表にて3A族として分類される金属元素の1種又は2種以上)。
本発明は、所定組成のフェライト系ステンレス鋼において、O量を一定以下に規制した条件の下でZrを添加することにより、硫化物形成するMnの一部をZrで置換した形態のZr系硫化物を鋼中に生成させ、そのZr系硫化物の働きによって鋼に良好な被削性又は耐食性を与えることを技術的思想とするものである。
ZrはMnに比べて硫化物形成傾向の強い元素であり、O量一定以下の規制の下で鋼にZrを添加することでZrをSと結合させて硫化物を形成せしめる。
ここでZrはMnSと同じNaCl型の立方晶の結晶構造ZrSを形成するものであり、更に2つの介在物は格子定数も極めて近いため(ZrS:5.25nm,MnS:5.22nm)、ZrはMnS中の(厳密には(Mn,Cr)S中の)Mnの一部を置換する形でMnS中に固溶し、(Mn,Zr)S介在物(厳密には(Mn,Cr,Zr)S)を形成する。
ここでZrはMnSと同じNaCl型の立方晶の結晶構造ZrSを形成するものであり、更に2つの介在物は格子定数も極めて近いため(ZrS:5.25nm,MnS:5.22nm)、ZrはMnS中の(厳密には(Mn,Cr)S中の)Mnの一部を置換する形でMnS中に固溶し、(Mn,Zr)S介在物(厳密には(Mn,Cr,Zr)S)を形成する。
Zrが固溶した(Mn,Zr)Sは、図1の模式図(ニ)に示しているように熱間圧延後においても鋼中で比較的丸い紡錘形状で存在し、またその大きさも大きなものであることが本発明者らの研究により判明した。
しかもこの(Mn,Zr)S介在物は化学的に安定で、鋼の耐食性を良好に保持し得ることが併せて判明した。
従って本発明のフェライト系ステンレス鋼は、従来相反する性質とされていた優れた被削性と耐食性とを共に具有するものである。
しかもこの(Mn,Zr)S介在物は化学的に安定で、鋼の耐食性を良好に保持し得ることが併せて判明した。
従って本発明のフェライト系ステンレス鋼は、従来相反する性質とされていた優れた被削性と耐食性とを共に具有するものである。
本発明では、添加したZrがMnの一部に置換してMnS(厳密には(Mn,Cr)S)に固溶する形で、それらMn,Crとともに同一種類の硫化物を形成する。
従って鋼にTi添加した場合のように、Tiが単独でTiS硫化物形成して、鋼中にこれとは別にMnSを残してしまうといったことがなく、MnSによる耐食性低下の問題も解消することができる。
従って鋼にTi添加した場合のように、Tiが単独でTiS硫化物形成して、鋼中にこれとは別にMnSを残してしまうといったことがなく、MnSによる耐食性低下の問題も解消することができる。
本発明では、(Mn,Zr)S介在物を有効に形成する上で、請求項3に規定する上記の式(1),式(2)を満たすようにMn,Zr,Oの鋼中含有量を規制することが望ましい。
式(1)は鋼中のMn量とZr量との比率を規定するもので、Mn量とZr量とを式(1)に従って規定することで、フェライト系ステンレス鋼の被削性を耐食性を良好に維持しつつ効果的に高めることができる。
尚本発明では[Mn]/[Zr]を
0.5≦[Mn]/[Zr]≦10
とすることが望ましく、より望ましくは
0.5≦[Mn]/[Zr]≦5
とする。
式(1)は鋼中のMn量とZr量との比率を規定するもので、Mn量とZr量とを式(1)に従って規定することで、フェライト系ステンレス鋼の被削性を耐食性を良好に維持しつつ効果的に高めることができる。
尚本発明では[Mn]/[Zr]を
0.5≦[Mn]/[Zr]≦10
とすることが望ましく、より望ましくは
0.5≦[Mn]/[Zr]≦5
とする。
一方式(2)は鋼中のOの量とZrの量とを規定するもので、これは次のような意味を有している。
Zrは酸化物形成傾向の大きい元素であり、鋼中にOが含まれていると、添加したZrがOと結合して硫化物形成に有用に用いられない。即ち本発明の目的とする(Mn,Zr)S介在物を有効に形成できない。
そこで本発明ではOとZrとの関係を上記式(2)を満たすように規制する。
本発明においてOとZrとの関係は、
300×[O]−[Zr]≦3.5
とすることが望ましく、より望ましくは
300×[O]−[Zr]≦2.5
とする。
更に望ましくは
300×[O]−[Zr]≦2.0
とする。
Zrは酸化物形成傾向の大きい元素であり、鋼中にOが含まれていると、添加したZrがOと結合して硫化物形成に有用に用いられない。即ち本発明の目的とする(Mn,Zr)S介在物を有効に形成できない。
そこで本発明ではOとZrとの関係を上記式(2)を満たすように規制する。
本発明においてOとZrとの関係は、
300×[O]−[Zr]≦3.5
とすることが望ましく、より望ましくは
300×[O]−[Zr]≦2.5
とする。
更に望ましくは
300×[O]−[Zr]≦2.0
とする。
次に本発明における各成分の限定理由を以下に詳述する。
C :≦0.200%
Cは、侵入型元素であるために強度の向上に寄与する。一方0.200%を超えてC含有量が過剰になると、炭化物形成元素であるため炭化物を生成してしまう。中でもCr23C6は耐食性の向上に寄与する鋼中Crを使用する炭化物であるため、生成してしまうと耐食性を劣化させてしまう。また鋼中に生成する炭化物(Cr23C6,ZrC,TiC等)は非常に硬質であるため、これら炭化物を含有した鋼は被削性が劣る。
C :≦0.200%
Cは、侵入型元素であるために強度の向上に寄与する。一方0.200%を超えてC含有量が過剰になると、炭化物形成元素であるため炭化物を生成してしまう。中でもCr23C6は耐食性の向上に寄与する鋼中Crを使用する炭化物であるため、生成してしまうと耐食性を劣化させてしまう。また鋼中に生成する炭化物(Cr23C6,ZrC,TiC等)は非常に硬質であるため、これら炭化物を含有した鋼は被削性が劣る。
Si:0.01〜5.00%
Siはフェライト生成元素であり、フェライト相維持のため0.01%以上含有させる必要がある。
一方5.00%を超える過剰な添加はσ相の析出を促進させ、熱間加工性、被削性を著しく劣化させる。
Siはフェライト生成元素であり、フェライト相維持のため0.01%以上含有させる必要がある。
一方5.00%を超える過剰な添加はσ相の析出を促進させ、熱間加工性、被削性を著しく劣化させる。
Mn:0.01〜2.50%
Mnは硫化物形成傾向の強い元素であり、一般的なS快削鋼の場合、MnS介在物として存在する。
今回の発明鋼のようなステンレス鋼中では(鋼中含有Cr量が高いため)、NaCl型結晶構造を有するMnS中でMn元素の代わりにCr元素が位置を占める(Mn,Cr)Sを形成する。そこでMn含有量が過剰であると(Mn,Cr)S中のMn濃度が高濃度(Mn量が過剰)になり、耐食性、アウトガス性の特性が著しく悪くなる。
Mnは硫化物形成傾向の強い元素であり、一般的なS快削鋼の場合、MnS介在物として存在する。
今回の発明鋼のようなステンレス鋼中では(鋼中含有Cr量が高いため)、NaCl型結晶構造を有するMnS中でMn元素の代わりにCr元素が位置を占める(Mn,Cr)Sを形成する。そこでMn含有量が過剰であると(Mn,Cr)S中のMn濃度が高濃度(Mn量が過剰)になり、耐食性、アウトガス性の特性が著しく悪くなる。
S :0.05〜0.50%(請求項1),0.01〜0.50%(請求項2)
Sは被削性向上のために添加される重要な元素であり、本発明では0.05%以上の添加が必要である。一方、Sの過剰添加は熱間加工性を著しく害すため、0.50%を上限とする。
但し被削性の向上を、その他の快削元素とともに付与する場合には、Sの下限値を0.01%以上とすることができる。
Sは被削性向上のために添加される重要な元素であり、本発明では0.05%以上の添加が必要である。一方、Sの過剰添加は熱間加工性を著しく害すため、0.50%を上限とする。
但し被削性の向上を、その他の快削元素とともに付与する場合には、Sの下限値を0.01%以上とすることができる。
Ni:≦5.0%
Niは、ステンレス鋼の酸性雰囲気下での耐食性向上に有効であるので添加することが好ましい。
一方、Niの過剰添加は、コストの上昇を招く。さらにNiは、オーステナイト生成元素であり、オーステナイト相の安定化に寄与するため5.0%を超える過剰な添加はフェライト単相を維持できず、熱間加工性、耐食性の面で劣ってしまう。
Niは、ステンレス鋼の酸性雰囲気下での耐食性向上に有効であるので添加することが好ましい。
一方、Niの過剰添加は、コストの上昇を招く。さらにNiは、オーステナイト生成元素であり、オーステナイト相の安定化に寄与するため5.0%を超える過剰な添加はフェライト単相を維持できず、熱間加工性、耐食性の面で劣ってしまう。
Cr:7.5〜30.0%
Crは耐食性、強度の向上に大きく寄与する重要な元素で、本発明では7.5%以上添加する。
一方、30.0%を超えるCrの過剰添加はCr炭窒化物の量を増大させ、ステンレス鋼そのものの耐食性を著しく低下させることに加え、Cr炭窒化物は非常に硬質であるため、これら炭窒化物を含有した鋼は被削性が劣る。また、今回の発明鋼のように、ステンレス鋼中では(鋼中含有Cr量が高いため)、NaCl型結晶構造を有するMnS中でMn元素の代わりにCr元素が位置を占める(Mn,Cr)Sを形成している。そこで鋼中Cr含有量が過剰であると、(Mn,Cr)S中のCr量が過剰になり、耐食性、アウトガス性の特性は向上するものの、被削性の特性が著しく悪くなる。
Crは耐食性、強度の向上に大きく寄与する重要な元素で、本発明では7.5%以上添加する。
一方、30.0%を超えるCrの過剰添加はCr炭窒化物の量を増大させ、ステンレス鋼そのものの耐食性を著しく低下させることに加え、Cr炭窒化物は非常に硬質であるため、これら炭窒化物を含有した鋼は被削性が劣る。また、今回の発明鋼のように、ステンレス鋼中では(鋼中含有Cr量が高いため)、NaCl型結晶構造を有するMnS中でMn元素の代わりにCr元素が位置を占める(Mn,Cr)Sを形成している。そこで鋼中Cr含有量が過剰であると、(Mn,Cr)S中のCr量が過剰になり、耐食性、アウトガス性の特性は向上するものの、被削性の特性が著しく悪くなる。
Mo:≦5.0%
Moは、耐食性の向上に大きく寄与する元素である。
一方、Moはσ相の析出を促進させ、熱間加工性、被削性を著しく劣化させるので5.0%以下とする。
Moは、耐食性の向上に大きく寄与する元素である。
一方、Moはσ相の析出を促進させ、熱間加工性、被削性を著しく劣化させるので5.0%以下とする。
N :≦0.050%
Nは、侵入型元素であるために、強度の向上に寄与する。一方、N含有量が過剰になると、窒化物を生成してしまう。中でもCr2Nは耐食性の向上に寄与する鋼中Crを使用する窒化物であるため、生成してしまうと耐食性を劣化させてしまう。また鋼中に生成する窒化物(Cr2N,ZrN,TiN等)は非常に硬質であるため、これら窒化物を含有した鋼は被削性が劣る。本発明では上限を0.050%とする。
Nは、侵入型元素であるために、強度の向上に寄与する。一方、N含有量が過剰になると、窒化物を生成してしまう。中でもCr2Nは耐食性の向上に寄与する鋼中Crを使用する窒化物であるため、生成してしまうと耐食性を劣化させてしまう。また鋼中に生成する窒化物(Cr2N,ZrN,TiN等)は非常に硬質であるため、これら窒化物を含有した鋼は被削性が劣る。本発明では上限を0.050%とする。
O :≦0.0150%
酸素は鋼中で酸化物等として存在し、耐食性などを劣化させるため、必ず製造工程で脱酸処理を行い低減させておくことが望ましい。一方、酸素の過剰な低減処理はコストの上昇を招くので上記の上限以下とする。
酸素は鋼中で酸化物等として存在し、耐食性などを劣化させるため、必ず製造工程で脱酸処理を行い低減させておくことが望ましい。一方、酸素の過剰な低減処理はコストの上昇を招くので上記の上限以下とする。
Ti:≦0.30%
Tiは耐食性の向上に寄与する元素である。
一方窒化物形成傾向が強いTiの過剰な添加は、硬質で粗大なTiNを形成し易く、被削性に有害である。
さらにTiは硫化物形成傾向も強いので、Tiの過剰な添加はTi硫化物も生成してしまう。Ti硫化物はMnS等とは異なるNiAs型硫化物であるため、Ti添加はMnS硫化物の組成形態制御に寄与することはない。よってTi硫化物を生成してしまうと本発明鋼で目的とする(Mn,Cr,Zr)S量を相対的に減らしてしまう。
Tiは耐食性の向上に寄与する元素である。
一方窒化物形成傾向が強いTiの過剰な添加は、硬質で粗大なTiNを形成し易く、被削性に有害である。
さらにTiは硫化物形成傾向も強いので、Tiの過剰な添加はTi硫化物も生成してしまう。Ti硫化物はMnS等とは異なるNiAs型硫化物であるため、Ti添加はMnS硫化物の組成形態制御に寄与することはない。よってTi硫化物を生成してしまうと本発明鋼で目的とする(Mn,Cr,Zr)S量を相対的に減らしてしまう。
Zr:0.01〜1.00%
Zrは本発明において重要な元素である。硫化物形成傾向が強いZrはMnS(結晶構造:NaCl型)中のMnを置換して(Mn,Zr)Sを形成する(今回の発明はステンレス鋼であるため厳密には(Mn,Cr,Zr)Sである)。硫化物の耐食性を向上させるためにはMnS中のCr濃度を上昇させることが有効であることが知られているが、Cr濃度の高い(Mn,Cr)Sは形態が紐状になる傾向が強く、被削性の観点ではMnSに劣ってしまう。一方、NaCl型硫化物中にZrが固溶した(Mn,Cr,Zr)Sとなると、耐食性の向上を維持しながら硫化物形態を紡錘状に維持することができる。しかし、Zrの過剰な添加は(Mn,Cr,Zr)S中のZr濃度が過剰に高くなり、硫化物硬度が高くなるため被削性向上効果が弱くなる。
Zrは本発明において重要な元素である。硫化物形成傾向が強いZrはMnS(結晶構造:NaCl型)中のMnを置換して(Mn,Zr)Sを形成する(今回の発明はステンレス鋼であるため厳密には(Mn,Cr,Zr)Sである)。硫化物の耐食性を向上させるためにはMnS中のCr濃度を上昇させることが有効であることが知られているが、Cr濃度の高い(Mn,Cr)Sは形態が紐状になる傾向が強く、被削性の観点ではMnSに劣ってしまう。一方、NaCl型硫化物中にZrが固溶した(Mn,Cr,Zr)Sとなると、耐食性の向上を維持しながら硫化物形態を紡錘状に維持することができる。しかし、Zrの過剰な添加は(Mn,Cr,Zr)S中のZr濃度が過剰に高くなり、硫化物硬度が高くなるため被削性向上効果が弱くなる。
0.1≦[Mn]/[Zr]≦50・・・式(1)
硫化物形成傾向が強いZrはMnS(結晶構造:NaCl型)中のMnを置換し、(Mn,Zr)Sを形成する(今回の発明はステンレス鋼であるため厳密には(Mn,Cr,Zr)Sである)。硫化物の耐食性を向上させるためにはMnS中のCr濃度を上昇させることが有効であることが知られているが、Cr濃度の高い(Mn,Cr)Sは形態が紐状になる傾向が強く、被削性の観点ではMnSに劣ってしまう。一方、NaCl型硫化物中にZrが固溶した(Mn,Cr,Zr)Sとなると、耐食性向上効果を維持していながら硫化物形態を紡錘状に維持し、高い被削性効果を有する硫化物となる。
しかし鋼中にZrを過剰に添加すると、(Mn,Cr,Zr)S中のZr濃度が過剰に高くなり、硫化物硬度が高くなるため、被削性向上効果が弱くなる。この硫化物組成制御のために、鋼中のMn、Zr濃度の関係を式(1)のバランスを保つように制御することで、耐食性と被削性の相反する特性を両立することができることを見出した。
[Mn]/[Zr]<0.1では(Mn,Cr,Zr)S中のZr濃度が過剰に高くなり、硫化物硬度が高くなるため被削性向上効果が弱くなる。
一方50<[Mn]/[Zr]では(Mn,Cr,Zr)S中のMn濃度が過剰に高くなり、耐食性、アウトガス性が著しく劣化する。
硫化物形成傾向が強いZrはMnS(結晶構造:NaCl型)中のMnを置換し、(Mn,Zr)Sを形成する(今回の発明はステンレス鋼であるため厳密には(Mn,Cr,Zr)Sである)。硫化物の耐食性を向上させるためにはMnS中のCr濃度を上昇させることが有効であることが知られているが、Cr濃度の高い(Mn,Cr)Sは形態が紐状になる傾向が強く、被削性の観点ではMnSに劣ってしまう。一方、NaCl型硫化物中にZrが固溶した(Mn,Cr,Zr)Sとなると、耐食性向上効果を維持していながら硫化物形態を紡錘状に維持し、高い被削性効果を有する硫化物となる。
しかし鋼中にZrを過剰に添加すると、(Mn,Cr,Zr)S中のZr濃度が過剰に高くなり、硫化物硬度が高くなるため、被削性向上効果が弱くなる。この硫化物組成制御のために、鋼中のMn、Zr濃度の関係を式(1)のバランスを保つように制御することで、耐食性と被削性の相反する特性を両立することができることを見出した。
[Mn]/[Zr]<0.1では(Mn,Cr,Zr)S中のZr濃度が過剰に高くなり、硫化物硬度が高くなるため被削性向上効果が弱くなる。
一方50<[Mn]/[Zr]では(Mn,Cr,Zr)S中のMn濃度が過剰に高くなり、耐食性、アウトガス性が著しく劣化する。
300×[O]−[Zr]≦4.0・・・式(2)
酸化物形成傾向も強いZrは、溶鋼中にOが多く含有されていると添加しても酸化物を形成してしまい、本発明で目的としているMnS(結晶構造:NaCl型)中のMnを置換した形態の(Mn,Zr)Sを形成する(本発明鋼はステンレス鋼であるため厳密には(Mn,Cr,Zr)Sである)ことのできるZr量が不足することがある。これを防ぐべく溶鋼の脱酸は良く行っておくことが望ましい。即ち式(2)を満たすことで、MnS(結晶構造:NaCl型)中のMnを置換し(Mn,Zr)Sを形成する(今回の発明はステンレス鋼であるため厳密には(Mn,Cr,Zr)Sである)ことのできるZr量を確保することができる。
4.0<300×[O]−[Zr]の場合には、酸素過剰、Zr不足の理由により、MnS(結晶構造:NaCl型)中のMnをZrで置換した形態の(Mn,Zr)Sを十分に形成することができなくなる。
酸化物形成傾向も強いZrは、溶鋼中にOが多く含有されていると添加しても酸化物を形成してしまい、本発明で目的としているMnS(結晶構造:NaCl型)中のMnを置換した形態の(Mn,Zr)Sを形成する(本発明鋼はステンレス鋼であるため厳密には(Mn,Cr,Zr)Sである)ことのできるZr量が不足することがある。これを防ぐべく溶鋼の脱酸は良く行っておくことが望ましい。即ち式(2)を満たすことで、MnS(結晶構造:NaCl型)中のMnを置換し(Mn,Zr)Sを形成する(今回の発明はステンレス鋼であるため厳密には(Mn,Cr,Zr)Sである)ことのできるZr量を確保することができる。
4.0<300×[O]−[Zr]の場合には、酸素過剰、Zr不足の理由により、MnS(結晶構造:NaCl型)中のMnをZrで置換した形態の(Mn,Zr)Sを十分に形成することができなくなる。
Pb:0.01〜0.30%,Bi:0.01〜0.15%,Te:0.01〜0.30%,Se:0.01〜0.40%,Sn:0.01〜0.10%,P :0.01〜0.05%,B :0.001〜0.03%
これら元素は硫化物とは異なる形態で被削性を向上させることができる快削元素である。そのため、上記元素の何れか1種又は2種以上を含有している場合は、S:0.01〜0.50%で良い。一方で過剰の添加は熱間加工性を劣化させる。
これら元素は硫化物とは異なる形態で被削性を向上させることができる快削元素である。そのため、上記元素の何れか1種又は2種以上を含有している場合は、S:0.01〜0.50%で良い。一方で過剰の添加は熱間加工性を劣化させる。
W :0.01〜0.50%,Cu:0.01〜0.50%
耐食性向上のためこれら元素を添加することができる。一方で過剰の添加は熱間加工性を劣化させる。
耐食性向上のためこれら元素を添加することができる。一方で過剰の添加は熱間加工性を劣化させる。
Al:0.01〜3.00%,V :0.01〜0.30%,Nb:0.01〜0.30%
炭窒化物を固定することのできるこれら元素は、耐食性向上のため添加することができる。一方で過剰の添加は熱間加工性を劣化させる。
炭窒化物を固定することのできるこれら元素は、耐食性向上のため添加することができる。一方で過剰の添加は熱間加工性を劣化させる。
Mg:0.0001〜0.0100%,Ca:0.0001〜0.0100%,REM:0.0001〜0.0100%
炭窒化物を固定することのできるこれら元素は、耐食性向上のため添加することができる。一方で過剰の添加は熱間加工性を劣化させる。
なお、REMとしては放射活性の低い元素を主体的に用いることが取り扱い上容易であり、この観点においてSc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb及びLuから選ばれる1種または2種以上を使用することが有効である。特に上記効果のより顕著な発現と価格上の観点から、軽希土類、特にLa或いはCeを使用することが望ましい。但し希土類分離過程等にて不可避的に残留する微量の放射性希土類元素(例えばThやUなど)が含有されていても差し支えない。また原料コスト低減などの観点からミッシュメタルやジジムなど非分離希土類を使用することもできる。
炭窒化物を固定することのできるこれら元素は、耐食性向上のため添加することができる。一方で過剰の添加は熱間加工性を劣化させる。
なお、REMとしては放射活性の低い元素を主体的に用いることが取り扱い上容易であり、この観点においてSc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb及びLuから選ばれる1種または2種以上を使用することが有効である。特に上記効果のより顕著な発現と価格上の観点から、軽希土類、特にLa或いはCeを使用することが望ましい。但し希土類分離過程等にて不可避的に残留する微量の放射性希土類元素(例えばThやUなど)が含有されていても差し支えない。また原料コスト低減などの観点からミッシュメタルやジジムなど非分離希土類を使用することもできる。
次に本発明の実施形態を以下に詳述する。
表1,表2に示す成分組成(質量%)に配合した各々150kg鋼塊を高周波誘導炉にて溶製し、これを1100〜1200℃に加熱し、熱間鍛造により外径20mmの丸棒状および断面が30mm×60mmの角棒状の素材に加工した。
そして各素材を780℃で4時間加熱した後空冷する焼鈍処理を施し、以下の各試験に供した。
表1,表2に示す成分組成(質量%)に配合した各々150kg鋼塊を高周波誘導炉にて溶製し、これを1100〜1200℃に加熱し、熱間鍛造により外径20mmの丸棒状および断面が30mm×60mmの角棒状の素材に加工した。
そして各素材を780℃で4時間加熱した後空冷する焼鈍処理を施し、以下の各試験に供した。
I.熱間加工性
熱間鍛造時の疵(などの欠陥)発生程度を目視にてクラスA(疵発生なし)からクラスE(大割れ発生:鍛造不能)までの5段階(A>B>C>D>E)に分け、熱間加工性を評価した。
熱間鍛造時の疵(などの欠陥)発生程度を目視にてクラスA(疵発生なし)からクラスE(大割れ発生:鍛造不能)までの5段階(A>B>C>D>E)に分け、熱間加工性を評価した。
II.旋削試験
丸棒状試験片を次の試験条件によって旋削加工し、60分切削後の工具のフランク摩耗量(μm)を測定した。
<試験条件>
工具:サーメット
切削速度:120m/min
送り:0.05mm/rev
切込み:0.1mm
切削油:水溶性
丸棒状試験片を次の試験条件によって旋削加工し、60分切削後の工具のフランク摩耗量(μm)を測定した。
<試験条件>
工具:サーメット
切削速度:120m/min
送り:0.05mm/rev
切込み:0.1mm
切削油:水溶性
III.アウトガス性
鋼中に含まれているSは、条件によっては水分等との反応によって硫化水素ガスを発生する。発生した硫化水素ガスは、フェライト系ステンレス鋼を素材とする部品が密閉空間中にあると、密閉空間内の他の部品を腐食させる。こうした現象は好ましくなく、そこで硫化水素ガスの発生のし易さをアウトガス性として以下に調べた。
密閉容器中に丸棒状試験片(φ10mm×50mmL)と、Ag箔(10×5×0.1mm)及び0.5mlの純水を入れ、85℃で20h保持した後のAg箔の色の変色(すなわちAg2Sの生成度合い)を調べた。Ag箔の変色のないものをクラスAとし、変色が著しいもの(アウトガス発生量が多いもの)をクラスEとする(すなわちA>B>C>D>E)評価にてアウトガス性を調べた。銀箔はSを含有したガスが発生したときのゲッターとして働き、吸着したS成分が多くなると硫化銀(Ag2S)の生成により銀箔表面が黒変する。
鋼中に含まれているSは、条件によっては水分等との反応によって硫化水素ガスを発生する。発生した硫化水素ガスは、フェライト系ステンレス鋼を素材とする部品が密閉空間中にあると、密閉空間内の他の部品を腐食させる。こうした現象は好ましくなく、そこで硫化水素ガスの発生のし易さをアウトガス性として以下に調べた。
密閉容器中に丸棒状試験片(φ10mm×50mmL)と、Ag箔(10×5×0.1mm)及び0.5mlの純水を入れ、85℃で20h保持した後のAg箔の色の変色(すなわちAg2Sの生成度合い)を調べた。Ag箔の変色のないものをクラスAとし、変色が著しいもの(アウトガス発生量が多いもの)をクラスEとする(すなわちA>B>C>D>E)評価にてアウトガス性を調べた。銀箔はSを含有したガスが発生したときのゲッターとして働き、吸着したS成分が多くなると硫化銀(Ag2S)の生成により銀箔表面が黒変する。
IV.耐食性
JIS Z2371に規定された塩水噴霧試験に準じて、試験片(φ10mm×50mmL)を塩水噴霧雰囲気(35℃5%塩化ナトリウム水溶液)中で96h後、発錆なしをクラスA、全面発錆をクラスEとし(すなわちA>B>C>D>E)、評価した。
これら各試験の結果が表3,表4に示してある。
JIS Z2371に規定された塩水噴霧試験に準じて、試験片(φ10mm×50mmL)を塩水噴霧雰囲気(35℃5%塩化ナトリウム水溶液)中で96h後、発錆なしをクラスA、全面発錆をクラスEとし(すなわちA>B>C>D>E)、評価した。
これら各試験の結果が表3,表4に示してある。
V.硫化物形態
本発明の実施例及び比較例において、鋼中に生成している硫化物形態を調べた。
尚測定は本発明の実施例を代表して実施例1について行い、また比較例については比較例3,比較例8,比較例12についてそれぞれの硫化物形態を調べた。
測定は次のようにして行った。
丸棒状試験片1/2R部縦断面を鏡面研磨後、光学顕微鏡にて面積100000μm2につき400倍の視野を10視野観察し、画像解析により硫化物の形態を解析した。
図3に実施例1,比較例3,比較例8,比較例12についての代表的な顕微鏡写真を示している。
図3中の硫化物最大絶対長とは、一番絶対長の大きい硫化物1個の長さであり、硫化物平均アスペクト比とは、視野中に存在する全ての硫化物(NaCl型、NiAs型等を含む)の針状比平均値である(何れも10視野中)。
本発明の実施例及び比較例において、鋼中に生成している硫化物形態を調べた。
尚測定は本発明の実施例を代表して実施例1について行い、また比較例については比較例3,比較例8,比較例12についてそれぞれの硫化物形態を調べた。
測定は次のようにして行った。
丸棒状試験片1/2R部縦断面を鏡面研磨後、光学顕微鏡にて面積100000μm2につき400倍の視野を10視野観察し、画像解析により硫化物の形態を解析した。
図3に実施例1,比較例3,比較例8,比較例12についての代表的な顕微鏡写真を示している。
図3中の硫化物最大絶対長とは、一番絶対長の大きい硫化物1個の長さであり、硫化物平均アスペクト比とは、視野中に存在する全ての硫化物(NaCl型、NiAs型等を含む)の針状比平均値である(何れも10視野中)。
尚、各介在物の同定方法は、以下のようにして行っている。
すなわち各丸棒から適量の試験片を取り出して、これをテトラメチルアンモニウムクロライドと10%のアセチルアセトンを含むメタノール溶液を電解質として用いることにより、金属マトリックス部分を電解する。そして、溶解後の電解液をろ過することにより、鋼中に含有されていた不溶の化合物を抽出して乾燥後、これをX線回折ディフラクトメータ法にて分析し、その回折プロファイルの出現ピークから化合物の特定を行う。なお、鋼組織中の化合物粒子の組成は別途EPMAにより分析を行っており、その2次元マッピングから、X線回折にて観察された化合物に対応する組成の化合物が形成されていることを確認している。
すなわち各丸棒から適量の試験片を取り出して、これをテトラメチルアンモニウムクロライドと10%のアセチルアセトンを含むメタノール溶液を電解質として用いることにより、金属マトリックス部分を電解する。そして、溶解後の電解液をろ過することにより、鋼中に含有されていた不溶の化合物を抽出して乾燥後、これをX線回折ディフラクトメータ法にて分析し、その回折プロファイルの出現ピークから化合物の特定を行う。なお、鋼組織中の化合物粒子の組成は別途EPMAにより分析を行っており、その2次元マッピングから、X線回折にて観察された化合物に対応する組成の化合物が形成されていることを確認している。
以上の結果から、Cが本発明の上限値を超えて高い比較例1は耐食性が悪く、Siの値が、本発明の上限値を外れて大きい比較例2は熱間加工性が悪く、Mn量及び式(1)の値が本発明の上限値を外れて大きい比較例3は、アウトガス性,耐食性が悪い。
S量が本発明の下限値を外れて小さい比較例4では、工具摩耗量が大で被削性が悪く、また逆にS量が本発明の上限値を外れて大きい比較例5では熱間加工性,アウトガス性,耐食性が悪いものとなっている。
Ni量が本発明の上限値を外れて高い比較例6では、熱間加工性,耐食性が悪く、またCr量が本発明の下限値を外れて低い比較例7では、アウトガス性,耐食性が悪く、逆にCr量が本発明の上限値を外れて高い比較例8では熱間加工性,被削性が悪いものとなっている。
次にMo量が本発明の上限値を外れて高い比較例9では熱間加工性,被削性が悪く、N量が本発明の上限値を外れて高い比較例10では被削性,耐食性が悪い。
O量が本発明の上限値を外れて高く、また式(2)を満していない比較例11では被削性,耐食性が悪く、Ti量が本発明の上限値を外れて高い比較例12では被削性が悪い。
O量が本発明の上限値を外れて高く、また式(2)を満していない比較例11では被削性,耐食性が悪く、Ti量が本発明の上限値を外れて高い比較例12では被削性が悪い。
更にZr量が本発明の上限値を外れて高い比較例13では被削性が悪いものとなっている。
更に、硫化物とは異なる形態で被削性を向上させる元素を含有していても、S量が本発明の下限値を外れて小さい比較例14では、工具摩耗量が大で、被削性が悪い。
更に、硫化物とは異なる形態で被削性を向上させる元素を含有していても、S量が本発明の下限値を外れて小さい比較例14では、工具摩耗量が大で、被削性が悪い。
これに対して本発明の各実施例のものは、何れも各特性が良好であることが、表3,表4の結果から見て取れる。
尚、表3の実施例1〜21に対して実施例22〜35は鋼中のCrの含有量が少なく、従って硫化物(Mn,Cr,Zr)S中のCr成分の量が少ないが耐食性は良好である。
これはZrSが非水溶性(MnSは水溶性で耐食性に有害)で耐食性を特に害さず、硫化物中のCr成分の量が少なくても耐食性に大きな影響を与えないことによる。
また、Pb,Bi,Te,Se,Sn,P,Bを含む実施例は、S量が0.01%より多ければ優れた被削性と耐食性を実現している。これは、これら元素は硫化物とは異なる形態で被削性を向上させているためである。
尚、表3の実施例1〜21に対して実施例22〜35は鋼中のCrの含有量が少なく、従って硫化物(Mn,Cr,Zr)S中のCr成分の量が少ないが耐食性は良好である。
これはZrSが非水溶性(MnSは水溶性で耐食性に有害)で耐食性を特に害さず、硫化物中のCr成分の量が少なくても耐食性に大きな影響を与えないことによる。
また、Pb,Bi,Te,Se,Sn,P,Bを含む実施例は、S量が0.01%より多ければ優れた被削性と耐食性を実現している。これは、これら元素は硫化物とは異なる形態で被削性を向上させているためである。
Claims (6)
- 質量%で
C :≦0.200
Si:0.01〜5.00%
Mn:0.01〜2.50%
S :0.05〜0.50%
Ni:≦5.0%
Cr:7.5〜30.0%
Mo:≦5.0%
N :≦0.050%
O :≦0.0150%
Ti:≦0.30%
Zr:0.01〜1.00%
残部Fe及び不可避的不純物の組成を有し、硫化物形成するMnの一部をZrで置換した形態のZr系硫化物を鋼中に生成させていることを特徴とするフェライト系快削ステンレス鋼。 - 質量%で
C :≦0.200
Si:0.01〜5.00%
Mn:0.01〜2.50%
S :0.01〜0.50%
Ni:≦5.0%
Cr:7.5〜30.0%
Mo:≦5.0%
N :≦0.050%
O :≦0.0150%
Ti:≦0.30%
Zr:0.01〜1.00%
で、更に
Pb:0.01〜0.30%
Bi:0.01〜0.15%
Te:0.01〜0.30%
Se:0.01〜0.40%
Sn:0.01〜0.10%
P :0.01〜0.05%
B :0.001〜0.03%
の何れか1種又は2種以上を更に含有し、
残部Fe及び不可避的不純物の組成を有し、硫化物形成するMnの一部をZrで置換した形態のZr系硫化物を鋼中に生成させていることを特徴とするフェライト系快削ステンレス鋼。 - 請求項1,2の何れかにおいて、更に下記式(1),式(2)を満たしていることを特徴とするフェライト系快削ステンレス鋼。
0.1≦[Mn]/[Zr]≦50 ・・・式(1)
300×[O]−[Zr]≦4.0 ・・・式(2)
(但し式中[ ]は対応する元素の含有質量%を表す) - 請求項1〜3の何れかにおいて、質量%で
W :0.01〜0.50%
Cu:0.01〜0.50%
の何れか1種又は2種を更に含有していることを特徴とするフェライト系快削ステンレス鋼。 - 請求項1〜4の何れかにおいて、質量%で
Al:0.01〜3.00%
V :0.01〜0.30%
Nb:0.01〜0.30%
の何れか1種又は2種以上を更に含有していることを特徴とするフェライト系快削ステンレス鋼。 - 請求項1〜5の何れかにおいて、質量%で
Mg:0.0001〜0.0100%
Ca:0.0001〜0.0100%
REM:0.0001〜0.0100%
の何れか1種又は2種以上を更に含有していることを特徴とするフェライト系快削ステンレス鋼。
(但しREMは元素周期律表にて3A族として分類される金属元素の1種又は2種以上)
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