JP3419725B2 - 位置センサレスモータ制御装置 - Google Patents

位置センサレスモータ制御装置

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JP3419725B2 JP2000017639A JP2000017639A JP3419725B2 JP 3419725 B2 JP3419725 B2 JP 3419725B2 JP 2000017639 A JP2000017639 A JP 2000017639A JP 2000017639 A JP2000017639 A JP 2000017639A JP 3419725 B2 JP3419725 B2 JP 3419725B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、位置センサを用い
ずに、ロータの角度を推定し、モータを回転駆動する位
置センサレスモータ制御装置に関する。特に、高分解能
で高精度な角度の推定を実現し、相電圧が飽和しても角
度の推定を実現し、かつ、誘起電圧定数が変化しても高
精度な角度の推定を実現する位置センサレスモータ制御
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】機械的な転流機構を持たないブラシレス
モータはロータの角度に基づき電気的に転流する必要が
ある。
【0003】従来のモータ制御装置は、ブラシレスモー
タに取り付けられたホール素子、レゾルバ、あるいは光
エンコーダなどの位置センサを用いてロータの角度の情
報を得ていた。そのため、位置センサの分だけコストが
上昇し、ブラシレスモータの体格も大きくなっていた。
【0004】この位置センサを省略することで、低コス
トと小型化を実現する従来の位置センサレスモータ制御
装置として、特開昭64−43095号公報に開示され
たもの(以下、「従来例1」と言う。)と電気学会論文
集D117巻1号平成9年98〜104頁に記載された
もの(以下、「従来例2」と言う。)とが知られてい
る。以下、この従来の位置センサレスモータ制御装置に
ついて説明する。なお、実施の形態との整合性をとるた
め、これらの文献で使用される値の名称の一部を変更し
ている。
【0005】これら従来の位置センサレスモータ制御装
置はY結線された3相のブラシレスモータを制御する。
【0006】従来例1の位置センサレスモータ制御装置
のブロック図を図27に、タイミングチャートを図28
に示す。なお、図28において、本発明と比較をする上
での便宜を考慮して、信号の名称を一部変更している。
図27において、従来例の位置センサレスモータ制御装
置は、まず、各相のステータ巻線に流れる相電流(i
u、iv、iw)、各相のステータ巻線に印加される相
電圧(vu、vv、vw)、中性点の電圧(vn)を検
知する。次に、下記式(1)(2)(3)の演算を行っ
て、各相のステータ巻線に誘起される誘起電圧値eu、
ev、ewを求める。ここで、Rは抵抗、Lはインダク
タンスである。また、d(iu)/dt、d(iv)/
dt、d(iw)/dtはそれぞれiu、iv、iwの
時間微分である。
【0007】 eu = vu − vn − R・iu − L・d(iu)/dt ・・・(1) ev = vv − vn − R・iv − L・d(iv)/dt ・・・(2) ew = vw − vn − R・iw − L・d(iw)/dt ・・・(3)
【0008】そして、誘起電圧値eu、ev、ewは、
比較回路35(図27)に入力される。比較回路35
は、これらの誘起電圧値eu、ev、ewと、各誘起電
圧に一定の定数k(0≦k)を掛けたk・eu、k・e
v、k・ewと、の大小比較を行い、当該比較結果であ
る(b)C1、(c)C2、(d)C3、(e)C4、
(f)C5、(g)C6の各信号を得る(図28)。前
記各信号は論理回路36(図27)に入力される。当該
論理回路36は、ステータ巻線の出力手段16(図2
7)を駆動するための駆動信号(h)DSU+、(i)
DSU−、(j)DSV+、(k)DSV−、(l)D
SW+、(m)DSW−を出力する(図27及び図2
8)。前記駆動信号により、ステータ巻線に流れる電流
が制御され、ロータが所定の向きに回転する。
【0009】従来例1は、誘起電圧に基づいて、大小比
較を行い、各相の導通期間を決定しているが、モータの
ロータの角度を推定する角度推定手段を有しない。図2
8の(b)C1のタイミングチャートは、C1がHig
hの期間を示すが、C1がHighの期間の中の細分化
した情報は、ない。例えば、今が、C1がHighの期
間の中の、初めの期間なのか、真中なのか、終わりの期
間なのかは、分からない。又、モータの角速度は検知し
ていないため、C1がHighの期間がどれくらい続く
のかも、分からない。単に、今、C1〜C6のどの信号
がHighなのかが、分かるだけである。従って、モー
タを滑らかに駆動させるため、モータを正弦波等に波形
で駆動することが出来ない。実施例1においては、導通
期間中、モータの各相に印加される電圧は、一定であ
る。本発明の目的の1つは、モータの角度を推定するこ
とにより、モータを正弦波の波形で駆動し、モータを滑
らかに駆動することである。
【0010】従来例2の位置センサレスモータ制御装置
のブロック図を図29に、モータと駆動回路の解析モデ
ル図を図30に示す。図29において、従来例2は、ま
ず、目標の角速度(dθ/dt)と、推定モデルが出力
する推定角速度(dθmb/dt)の誤差信号Δω=
(dθ/dt)−(dθmb/dt)を求め、誤差信号
Δωを速度制御ブロック(PI制御回路)に入力する。
速度制御ブロックは、目標の角速度に達するために必要
なトルクを発生させる目標電流を出力する。当該目標電
流から実際の電流iを差し引く。その差分Δiが、電流
制御ブロック(PI制御)に入力される。電流制御ブロ
ックは、目標電流を流すために必要な電圧を、γ−δ軸
上で表される電圧として、出力する。当該必要な電圧
と、推定モデルが出力する誘起電圧(em)と、が加算
される。当該加算されたγ−δ軸上で表される電圧が、
各ステータ巻線に印加される電圧を表すu,v,w軸上
の電圧に変換された後、当該u,v,w軸上の電圧が、
実際にモータの各ステータ巻線に印加される。
【0011】上述のように、u軸,v軸,w軸は、ステ
ータ巻線の各相に対応する静止した軸をいう。γ軸とδ
軸は、位置センサレスモータ制御装置が推定するブラシ
レスモータのモデルのロータの磁気双極子の中心を原点
とし、推定のロータの磁気双極子と同一の方向のγ軸
(S極とN極とを結ぶ軸)と、γ軸より、90度正方向
に(反時計方向に)進んだδ軸とからなる、推定のロー
タと共に回転する座標をいう。同様に、d軸とq軸は、
モータの実際のロータの磁気双極子の中心を原点とし、
実際のロータの磁気双極子と同一の方向のd軸(S極と
N極とを結ぶ軸)と、d軸より、90度正方向に(反時
計方向に)進んだq軸とからなる、実際のロータと共に
回転する座標をいう。
【0012】図29のフィードバックループにおいて
は、各相のステータ巻線に流れる相電流が検知され、こ
れらの相電流値を座標変換しγ軸電流値iγとδ軸電流
値iδとを作成する。iγ及びiδ等と、電圧vγ及び
vδとの関係は、下記の(79)式及び(80)式で表
せる(iγ及びiδは、γ軸電流成分及びδ軸電流成
分)。θmは、ロータの推定角度である。 vγ={R+Lγδ(dθm/dt)+Lγ(d/dt)}iγ +{−Lδ(dθm/dt)−Lγδ(d/dt)}iδ +e(−sinΔθ) (79) vδ={Lγ(dθm/dt)−Lγδ(d/dt)}iγ +{R−Lγδ(dθm/dt)+Lδ(d/dt)}iδ +e(cosΔθ) (80)
【0013】Lγδ≒0、Lγ≒Ld、Lδ≒Lq、Δ
θ=θ−θm(θはロータの実際の角度を表し、θmは
ロータの推定角度を表す。)とおくと、iγ及びiδ
(γ−δ軸で表した実際のステータ巻線の電流)は、下
記のようになる。 iγ(n)=(1−R・T/Ld)・iγ(n−1) +(dθm/dt)・Lq・T/Ld・iδ(n−1) +(T/Ld)・vγ(n−1) +(T・e/Ld)・(sinΔθ) (81) iδ(n)={−(dθm/dt)・(Ld・T/Lq)・iγ(n−1) +(1−R・T/Lq)・iδ(n−1) +(T/Lq)・vδ(n−1) +(T・e/Lq)・(−cosΔθ) (82) Tは、演算のインターバル、即ち、iγ(n)と、iγ
(n−1)の時間差である。
【0014】同様に、ブラシレスモータのモデルを示す
γ軸とδ軸の電圧方程式にモータ定数をあてはめること
により、γ軸電流モデル値iγm(推定のγ軸電流成
分)とδ軸電流モデル値iδm(推定のδ軸電流成分)
は、(83)式及び(84)式のように、表せる。 iγm(n)=(1−R・T/Ld)・iγ(n−1) +{(dθm/dt)・Lq・T/Ld・iδ(n−1) +(T/Ld)・vγ(n−1) +(T・em/Ld)・0 (83) iδm(n)={−(dθm/dt)・(Ld・T/Lq)・iγ(n−1) +(1−R・T/Lq)・iδ(n−1) +(T/Lq)・vδ(n−1) +(T・em/Lq)・1 (84) (Δθ=0とおいた場合の、iγ(n)及びiδ(n)
の式と同じになる。)
【0015】実際のγ軸電流値iγ及びδ軸電流値iδ
と、推定のγ軸電流モデル値iγm及びδ軸電流モデル
値iδmと、の誤差であるγ軸電流誤差値Δiγ(n)
=iγ(n)−iγm(n)とδ軸電流誤差値Δiδ
(n)=iδ(n)−iδm(n)は、(81)式から
(84)式より、下記のようになる。 Δiγ(n)=(T/Ld)・e(sinΔθ) ≒(T/Ld)・e(Δθ) (85) Δiδ(n)=(T/Lq)・(em−e・cosΔθ) ≒(T/Lq)・Δe (86) 上記の式のように、速度起電力推定誤差ΔeはΔiδ
(n)に比例しており、位置推定誤差ΔθはΔiγ
(n)に比例している。結局、従来例2は、後述のよう
に、(86)式に基づいて誘起電圧(起電力)を推定し
ており、(85)式に基づいてロータの角度を推定して
いる。
【0016】実際のモータは、誘起電圧が温度に依存し
て変化するため、誘起電圧eと電圧vγと電圧vδが温
度に応じて変化する。一方、温度変化を考慮しない推定
モデルでは、誘起電圧emと電圧vγmと電圧vδmが
温度に応じて変化しない。実際には、誘起電圧emが温
度に応じて変化し、その結果vγ(n−1)及びvδ
(n−1)が温度に応じて変化するにもかかわらず、温
度変化をする実測の(81)式及び(82)式から、温
度変化をしない推定の(83)式及び(84)式を差し
引いた結果である、(85)式及び(86)式において
は、温度に対する変化量の異なる、e及びΔeと、Δi
γ(n)及びΔiδ(n)とが、比例式で表されてい
る。そのため、誘起電圧の温度変化は、推定角度の誤差
を生じる。
【0017】従来例2では、(85)式及び(86)式
より、電流誤差Δiγ(n)及びΔiδ(n)に速度起
電力定数Kv及び位置の推定ゲインKpをそれぞれ乗じ
て、推定誘起電圧em(n)及び推定角度θm(n)を
求めている。 em(n)=em(n−1)−KpΔiδ(n) (87) θm(n)=θm(n−1)+(T/Kv)・em(n) +Kp・sgn{θm(n−1)}・Δiγ(n) (88) sgn{θm(n−1)}= 1:θm(n−1)≧0 −1:θm(n−1)<0 図29において、推定モデル(速度起電力・位置・速度
推定)は、実測したiγ及びiδをフィードバックし、
推定モデルが有する、推定のiγm及びiδmとの誤差
信号を計算し、その結果得られるΔiγ(n)及びΔi
δ(n)を、(87)式及び(88)式に代入すること
により、速度起電力(誘起電圧)em(n)と、推定角
度(位置)θm(n)とを求める。
【0018】(87)式及び(88)式より、推定角速
度(dθm/dt)は、下記の式により求める。 dθm/dt=(1/T){θm(n)−θm(n−1)} ={em(n)/Kv} +(Kp/T)・sgn{θm(n−1)}・Δiγ(n) (89) 従来例2においては、推定角速度(dθm/dt)は、
ノイズの影響を取り除くため、更にLPF(低周波フィ
ルタ)を通された後、出力される。
【0019】上述のように、従来例2は、(87)式及
び(88)式により、速度起電力(誘起電圧)em
(n)と、推定角度θm(n)とを求めており、(8
9)式により推定角速度(dθm/dt)を求めてい
る。しかし、実際には、(87)式及び(88)式にお
いて一定の定数の係数として使用されている速度起電力
定数Kvは、温度依存性を有する。そのため、夏冬の環
境の温度変化や、モータの運転開始時から連続運転時に
至るまでの機器の内部温度上昇等により、推定モデルの
推定角度の誤差が大きくなるという欠点がある。また、
従来例2の文献は、γ−δ軸上で表される電圧を用い
て、モータのロータの角度を推定している。そのため、
γ−δ軸上で表される電圧をu軸、v軸、及びw軸で表
されるステータ巻線の相電圧に変換したり、逆に、u
軸、v軸、及びw軸で表されるステータ巻線の相電圧等
をγ−δ軸上の信号に変換することが、必要である。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】従来例1の位置センサ
レスモータ制御装置は、相電圧飽和時においても角度を
検出することはできる。しかし、求められた誘起電圧値
eu、ev、ewに基づき比較結果を作成し、この比較
結果の論理に基づき通電する相を決定するだけであるた
め、ロータの角度についての情報は、相電圧を切り換え
る点の情報のみであった。従って、従来例1の実施例に
記載された150度通電方式の場合は、全ての情報を合
わせても、電気角で30°の分解能(どの相に電流を流
すべきかという情報)を持つのみであった。
【0021】また、従来例1は、角度を検出しているだ
けで、角度の推定を行っておらず、モータのステータ巻
線に矩形波電圧を印加している。そのため、矩形波状の
電流をステータ巻線に流すため、トルクリップルが発生
した。ステータ巻線に正弦波の電流を流そうとすれば、
角度の推定を行う必要がある。
【0022】また、速度は分解能の低い角度に基づき作
成されるため、速度制御性が悪かった。
【0023】従来例2の位置センサレスモータ制御装置
は、高分解能で角度を推定することはできる。しかし、
従来例2は、γ−δ軸上で表される電圧(回転座標系)
を用いて、モータのロータの角度を推定している。従っ
て、γ軸とδ軸で表される電圧を、各相への印加電圧を
示すu、v、w軸に座標変換したり、逆に、u、v、w
軸で表される信号をγ軸とδ軸で表される信号に座標変
換する必要がある。モータを正弦波駆動する場合には、
γ−δ軸上で表される電圧をu軸、v軸、及びw軸で表
されるステータ巻線の相電圧に変換したり、逆に、u
軸、v軸、及びw軸で表されるステータ巻線の相電圧等
をγ−δ軸上の信号に変換することは、容易である。し
かし、モータを正弦波以外の波形(例えば台形波や、矩
形波等)により駆動しようとする場合、例えば、モータ
のステータ巻線に印加される台形波や矩形波を、γ軸及
びδ軸上の波形に変換することは極めて困難である、と
いう問題があった。
【0024】又、従来例2において、(81)式、(8
2)式、(83)式、及び(84)式は、信号波形が正
弦波であるとの、仮定を導入している。従って、従来例
2の方式を、正弦波以外の波形信号に適用すると、推定
角度の誤差が生じる、という問題があった。
【0025】そのため、例えば、モータの角速度や出力
トルクが増大し必要な相電圧が大きくなると、相電圧が
飽和して、特に、各相の電圧波形が正弦波でなくなるた
め、正しく角度を推定できず、高い角速度や大きな出力
トルクを実現できなかった。
【0026】また、従来例2の位置センサレスモータ制
御装置は、(87)式及び(88)式に基づいて、角度
の推定を行う。従って、上述のように、速度起電力定数
Kvは温度により変動するため、環境温度の変化、又は
機器の内部温度の上昇等により、角度の推定誤差が増大
するという、問題がある。なお、相抵抗値Rも温度に応
じて変化するが、相電圧方程式上で、相抵抗値の項その
ものの大きさが小さいため、推定角度に与える影響は小
さい。
【0027】本明細書において、「相電圧方程式」の語
は、モータのステータ巻線の相についての方程式の意味
である。相電圧方程式は、例えば(26)式等のように
厳密な方程式も、(50)式のように簡略化された方程
式も、含む。又、モータのステータ巻線の相についての
方程式に該当すれば、本明細書に記載した以外の式も含
む概念である。又、本明細書及び特許請求の範囲の記載
において、「方程式」の語と「関数」の語は、同じ意味
で用いられる。
【0028】更に、従来例2では、目標の角速度(dθ
/dt)を入力してからモータの各相に電圧を印加する
までの経路において、推定誘起電圧emを加算してい
る。しかし、誘起電圧eは温度に応じて変化する値であ
るから、温度変化を考慮しない推定誘起電圧emの加算
により、温度が変化したときに、推定角度の残留誤差が
増大する欠点があった。
【0029】本発明は、上記の問題点を解決するもので
あり、高分解能で高精度な角度の推定を実現し、相電圧
が飽和しても高精度の角度の推定を実現し、かつ、誘起
電圧定数が変化しても高精度な角度の推定を実現する位
置センサレスモータ制御装置を提供することを目的とす
る。
【0030】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1の位置
センサレスモータ制御装置は、モータのロータの推定角
度に基づき前記モータの3相のステータ巻線に印加する
電圧の指令値を示す相電圧指令値を作成する電圧指令値
作成手段と、前記相電圧指令値に基づき前記ステータ巻
線に電圧を印加する駆動手段と、前記ステータ巻線に流
れる電流を示す相電流値を作成する相電流値作成手段
と、前記ステータ巻線に印加される電圧を示す相電圧値
を作成する相電圧値作成手段と、前記推定角度を作成す
る角度推定手段と、を具備する位置センサレスモータ制
御装置において、前記角度推定手段は、前記推定角度と
前記相電流値と前記相電圧値とに基づき前記ステータ巻
線の3相の相電圧方程式を用いて演算される演算値を作
成し、前記演算値の基準であり前記推定角度に応じ電気
角360°の周期で変化する基準値を作成し、前記演算
値と前記基準値との偏差を作成する偏差作成手段と、前
記偏差が零に収斂するように前記推定角度を補正する角
度補正手段と、を有する。
【0031】本発明により、広い温度範囲にわたって、
高い精度で角度を推定する位置センサレスモータ制御装
置が得られる。本発明により、相電圧等が飽和する領域
に至るまで、広い電圧範囲又は電流範囲に渡って、高い
精度で角度を推定する位置センサレスモータ制御装置が
得られる。
【0032】
【0033】本明細書及び特許請求の範囲の記載におい
ては、「推定信号」の語と、「推定モデル」の語とは、
同じ意味で用いられる。いずれの語も、少なくとも推定
の角度である推定角度を含む信号又はデータの意味であ
り、広義に解釈されるべきである。
【0034】発明により、負荷の変化や角速度の変化
が生じた場合にも、正しい角速度の推定が出来る位置セ
ンサレスモータ制御装置が、得られる。
【0035】本発明の請求項6の位置センサレスモータ
制御装置は、ステータ巻線の計測又 は演算された電圧か
ら、誘起電圧以外の成分を差し引くことにより導出され
る誘起電圧を推定信号とする。本発明により、広い温度
範囲にわたって、高い精度で角度を推定する位置センサ
レスモータ制御装置が得られる。
【0036】本発明の請求項9の位置センサレスモータ
制御装置は、ステータ巻線の電流と同一の波形の推定信
号を有する。本発明により、広い温度範囲にわたって、
高い精度で角度を推定する位置センサレスモータ制御装
置が得られる。
【0037】本発明の請求項11に記載の発明は、相電
圧と同一の波形の推定信号を有する。 本発明により、
演算時間が少なく、安価で小型のマイクロプロセッサ等
により角度推定を行う位置センサレスモータ制御装置が
得られる。
【0038】本発明の請求項2、7、10、12の位置
センサレスモータ制御装置は、推定信号(推定モデル)
を構成する関数の係数である振幅値を補正する。本発明
により、角度の推定精度の高い位置センサレスモータ制
御装置が得られる。
【0039】本発明の請求項3、8の位置センサレスモ
ータ制御装置は、相電流が正弦波であると仮定し簡略化
されたステータ巻線の相電圧方程式に基づき推定角度を
作成する。本発明により、演算時間が少なく、安価で小
型のマイクロプロセッサ等により角度推定を行うことが
可能になる。
【0040】本発明の請求項4、13の位置センサレス
モータ制御装置は、モータのステータ巻線の複数の相の
中から、ひとつの相を選択し、当該相のデータに基づい
て、推定信号を補正する。本発明により、いかなるロー
タの角度においても、高い精度で、角度を推定する位置
センサレスモータ制御装置が得られる。
【0041】本発明の請求項5、18の位置センサレス
モータ制御装置は、回転方向指令が正転方向から逆転方
向に変化した場合は、ステータ巻線の少なくとも2つの
相の電流センサにより検出した前記相電流値を相互に交
換し、かつ、ステータ巻線の少なくとも2つの相の電圧
指令値を相互に交換する。本発明により、わずかな切り
換えにより、正転と逆転とに対応し、かつ、正転時と逆
転時とで、回路ブロック又はプログラムブロックのほと
んどの部分を共用できる位置センサレスモータ制御装置
が得られる。
【0042】本発明の請求項16の位置センサレスモー
タ制御装置は、誤差信号の大きさが、ある範囲を超えた
場合は、モータが、正常に制御にされていないと判断す
る。本発明により、角度推定制御系がプルインレンジ又
はホールドレンジを外れた場合には、モータを減速等す
ることにより、速やかに異常状態を脱出できる位置セン
サレスモータ制御装置が得られる。
【0043】本発明の請求項17の位置センサレスモー
タ制御装置は、推定信号の補正量のリミットを設ける。
本発明により、ノイズにより変動を受けにくい位置セン
サレスモータ制御装置が得られる。
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】本明細書及び特許請求の範囲の記載におい
て、「推定角度」とは、推定された角度の意味であり、
「推定角速度」とは、推定された角速度の意味である。
本明細書及び特許請求の範囲の記載においては、「ロー
タの角度」の語と、「ロータの位相」の語と、「ロータ
の位置」の語は、同じ意味で用いられる。また、本明細
書及び請求の範囲の記載において、「目標角速度」の語
は、目標角速度に比例する目標回転数を含む概念であ
る。同様に、「推定角速度」の語は、推定角速度に比例
する推定回転数を含む概念である。角速度と回転数は、
実質的には、同一の要素だからである。
【0048】
【0049】
【0050】本発明の請求項1の位置センサレスモータ
制御装置は、モータのロータの推定角度に基づき前記モ
ータの3相のステータ巻線に印加する電圧の指令値を示
す相電圧指令値を作成する電圧指令値作成手段と、前記
相電圧指令値に基づき前記ステータ巻線に電圧を印加す
る駆動手段と、前記ステータ巻線に流れる電流を示す相
電流値を作成する相電流値作成手段と、前記ステータ巻
線に印加される電圧を示す相電圧値を作成する相電圧値
作成手段と、前記推定角度を作成する角度推定手段と、
を具備する位置センサレスモータ制御装置において、前
記角度推定手段は、前記推定角度と前記相電流値と前記
相電圧値とに基づき前記ステータ巻線の3相の相電圧方
程式を用いて演算される演算値を作成し、前記演算値の
基準であり前記推定角度に応じ電気角360°の周期で
変化する基準値を作成し、前記演算値と前記基準値との
偏差を作成する偏差作成手段と、前記偏差が零に収斂す
るように前記推定角度を補正する角度補正手段と、を有
することを特徴とする位置センサレスモータ制御装置で
ある。
【0051】本発明による位置センサレスモータ制御装
置の角度推定手段は、u,v,w軸上の信号を有する。
従って、モータのステータ巻線の、相電圧、又は相電流
等と、推定信号と、の間の演算をする上で、座標回転を
する必要がなく、u,v,w軸だけで、演算することが
出来るという作用を有する。本発明による位置センサレ
スモータ制御装置においては、モータの角速度や出力ト
ルクが増大し必要な相電圧が大きくなり、ステータ巻線
の各相の相電圧が飽和して、各相の電圧波形が正弦波で
なくなっても、正しく角度を推定することが出来、高い
角速度や大きな出力トルクを実現することが出来るとい
う作用を有する。又、本発明による位置センサレスモー
タ制御装置においては、ロータの永久磁石の着磁波形は
任意である。従って、本発明は、ロータの永久磁石の着
磁波形が正弦波以外の波形であって、誘起電圧が正弦波
以外の波形を有する、モータにつ いても、高い精度でロ
ータの角度を推定することが出来るという作用を有す
る。
【0052】従来例2のように、角度推定手段が、γ
軸、δ軸又はd軸、q軸の推定モデル(推定信号)を有
する場合には、モータのステータ巻線の、相電圧、又は
相電流等との間の演算をする上で、座標回転をする必要
がある。モータのステータ巻線の、相電圧、又は相電流
等が正弦波である時には、座標回転は容易であるが、当
該相電圧等が正弦波でない場合には、座標回転は困難で
ある。又、このような場合に、当該相電圧等が正弦波で
あった場合と同じ計算式を用いて、簡略的に座標回転を
行えば、ロータの角度の推定誤差が増大するという問題
がある。
【0053】例えば、モータの角速度や出力トルクが増
大し必要な相電圧が大きくなると、ステータ巻線の各相
の相電圧が飽和して、各相の電圧波形が正弦波でなくな
る(台形波又は矩形波になる。)。このような場合、従
来例2のように、γ軸、δ軸又はd軸、q軸の推定モデ
ル(推定信号)を有する装置においては、正しく角度を
推定できず、高い角速度や大きな出力トルクを実現でき
なかった。
【0054】これに対して、本発明による位置センサレ
スモータ制御装置においては、座標回転が必要ないた
め、正弦波でない推定モデル(推定信号)の生成が容易
に実現できる。これにより、モータの角速度や出力トル
クが増大し必要な相電圧が大きくなり、ステータ巻線の
各相の相電圧が飽和して、各相の電圧波形が正弦波でな
くなっても、正しく角度を推定することが出来、高い角
速度や大きな出力トルクを実現することが出来るという
作用を有する。又、従来例2の(81)式等は、ロータ
の永久磁石の着磁が正弦波であるとの前提に立っている
が、本発明による位置センサレスモータ制御装置におい
ては、ロータの永久磁石の着磁波形は任意である。従っ
て、本発明は、ロータの永久磁石の着磁波形が正弦波以
外の波形であって、誘起電圧が正弦波以外の波形を有す
る、モータについても、高い精度でロータの角度を推定
することが出来るという作用を有する。
【0055】本発明の請求項6の位置センサレスモータ
制御装置は、モータのロータの推定角度に基づき前記モ
ータの3相のステータ巻線に印加する電圧の指令値を示
す相電圧指令値を作成する電圧指令値作成手段と、前記
相電圧指令値に基づき前記ステータ巻線に電圧を印加す
る駆動手段と、前記ステータ巻線に流れる電流を示す相
電流値を作成する相電流値作成手段と、前記ステータ巻
線に印加される電圧を示す相電圧値を作成する相電圧値
作成手段と、前記推定角度を作成する角度推定手段と、
を具備する位置センサレスモータ制御装置において、前
記角度推定手段は、前記推定角度に応じ電気角360°
の周期で変化する誘起電圧の基準値を示す誘起電圧基準
値を作成する誘起電圧基準値作成手段と、前記ステータ
巻線の3相の相電圧方程式を用いて前記相電流値と前記
相電圧値とに基づき前記相電圧値から電気抵抗による電
圧降下とインダクタンスによる電圧降下とを減算するこ
とにより誘起電圧値を作成する誘起電圧値作成手段と、
前記誘起電圧値と前記誘起電圧基準値との偏差を作成す
る偏差作成手段と、前記偏差が零に収斂するように前記
推定角度を補正する角度補正手段と、を有することを特
徴とする位置センサレスモータ制御装置である。
【0056】本発明による位置センサレスモータ制御装
置の角度推定手段は、u,v,w軸の3相の相電圧方程
式を用いて誘起電圧値を導出し、角度を推定する。従っ
て、モータのステータ巻線の相電圧又は相電流等と、推
定信号(誘起電圧)と、の間の演算をする上で、座標回
転をする必要がなく、u,v,w軸だけで、演算するこ
とが出来るという作用を有する。
【0057】本発明は、ステータ巻線の計測又は演算さ
れた電圧から、誘起電圧以外の成分を差し引くことによ
り、誘起電圧を導出する。従来例のように、誘起電圧を
用いて、推定信号を生成する場合には、温度変化による
誘起電圧の変化が、角度の推定精度を悪化させる。例え
ば従来例2のように、(87)式及び(88)式より誘
起電圧を求める方法は、導出される推定角度θmは、温
度依存性を有する。本発明の、ステータ巻線の計測又は
演算された電圧から、誘起電圧以外の成分 を差し引くこ
とにより、誘起電圧を導出する位置センサレスモータ制
御装置は、正しい誘起電圧を得ることが出来る。当該誘
起電圧の大きさは温度依存性を有するが、u軸の誘起電
圧と、v軸の誘起電圧と、w軸の誘起電圧と、の相対的
な大きさは温度に依存しないため、角度を推定する上
で、何の悪影響も及ぼさない。このため、本発明は、広
い温度範囲で高い推定精度を有する角度推定手段を実現
できるという、作用を有する。
【0058】本発明の請求項9の位置センサレスモータ
制御装置は、モータのロータの推定角度に基づき前記モ
ータの3相のステータ巻線に印加する電圧の指令値を示
す相電圧指令値を作成する電圧指令値作成手段と、前記
相電圧指令値に基づき前記ステータ巻線に電圧を印加す
る駆動手段と、前記ステータ巻線に流れる電流を示す相
電流値を作成する相電流値作成手段と、前記ステータ巻
線に印加される電圧を示す相電圧値を作成する相電圧値
作成手段と、前記推定角度を作成する角度推定手段と、
を具備する位置センサレスモータ制御装置において、前
記角度推定手段は、前記推定角度に応じ電気角360°
の周期で変化する相電流の基準値を示す相電流基準値を
作成する相電流基準値作成手段と、前記相電流値と前記
相電流基準値との偏差を作成する偏差作成手段と、前記
偏差が零に収斂するように前記推定角度を補正する角度
補正手段と、を有することを特徴とする位置センサレス
モータ制御装置である。
【0059】本発明による位置センサレスモータ制御装
置の角度推定手段は、u,v,w軸の値である相電流値
を導出し、角度を推定する。従って、モータのステータ
巻線の相電圧又は相電流等と、推定信号(相電流)と、
の間の演算をする上で、座標回転をする必要がなく、
u,v,w軸だけで、演算することが出来るという作用
を有する。
【0060】本発明の位置センサレスモータ制御装置
は、ステータ巻線の電流信号を基準に、角度を推定す
る。(72)式で表されるように、誘起電圧から導出さ
れた推定角度の角度誤差と、ステータ巻線の電流から導
出された推定角度の角度誤差は等 価である。従って、電
流から導出された推定角度は、温度に対して安定であ
る。又、一般に、ステータ巻線の電流の値は、温度に対
して安定である。従って、本発明は、広い温度範囲で高
い推定精度を有する角度推定手段を実現できるという、
作用を有する。
【0061】本発明の請求項11の位置センサレスモー
タ制御装置は、モータの3相のステータ巻線に流れる電
流を検知し相電流値を出力する電流センサと、前記モー
タのロータの推定角度と前記相電流値とに基づき前記ス
テータ巻線に印加する電圧の指令値を示す相電圧指令値
を作成する電圧指令値作成手段と、前記相電圧指令値に
基づき前記ステータ巻線に電圧を印加する駆動手段と、
前記ステータ巻線に印加される電圧を示す相電圧値を作
成する相電圧値作成手段と、前記推定角度を作成する角
度推定手段と、を具備する位置センサレスモータ制御装
置において、前記角度推定手段は、前記推定角度に応じ
電気角360°の周期で変化する前記相電圧値の基準値
である相電圧基準値を作成する相電圧基準値作成手段
と、前記相電圧値と前記相電圧基準値との偏差を作成す
る偏差作成手段と、前記偏差が零に収斂するように前記
推定角度を補正する角度補正手段と、を有することを特
徴とする位置センサレスモータ制御装置である。
【0062】本発明による位置センサレスモータ制御装
置の角度推定手段は、u,v,w軸の値である相電圧値
を導出し、角度を推定する。従って、モータのステータ
巻線の相電圧又は相電流等と、推定信号(相電圧)と、
の間の演算をする上で、座標回転をする必要がなく、
u,v,w軸だけで、演算することが出来るという作用
を有する。本発明の位置センサレスモータ制御装置にお
いては、ステータ巻線の計測又は演算された相電圧と同
一の波形の信号等を推定モデルにすることにより、演算
時間が少なく、安価で小型のマイクロプロセッサ等によ
り角度推定を行うことが可能になるという作用を有す
る。
【0063】本発明の請求項2に記載の位置センサレス
モータ制御装置は、前記相電流値と 前記相電圧値とに基
づき前記基準値の振幅を示す振幅推定値を補正する振幅
推定値補正手段が付加されたことを特徴とする請求項1
に記載の位置センサレスモータ制御装置である。 本発明
の請求項7に記載の位置センサレスモータ制御装置は、
前記角度推定手段は、前記誘起電圧値に基づき前記誘起
電圧基準値の振幅を示す振幅推定値を補正する振幅推定
値補正手段を更に有することを特徴とする請求項6に記
載の位置センサレスモータ制御装置である。 本発明の請
求項10に記載の位置センサレスモータ制御装置は、前
記相電流値に基づき誘起電圧の振幅を推定し、その振幅
推定値を補正する振幅推定値補正手段を更に有すること
を特徴とする請求項9に記載の位置センサレスモータ制
御装置である。 本発明の請求項12に記載の位置センサ
レスモータ制御装置は、前記相電圧値に基づき前記相電
圧基準値の振幅を示す振幅推定値を補正する振幅推定値
補正手段を更に有することを特徴とする請求項11に記
載の位置センサレスモータ制御装置である。
【0064】推定モデルの振幅と、実際のモータの信号
波形の振幅と、が振幅誤差を有すると、当該振幅誤差が
角度誤差に影響を与え、推定角度の精度が悪化するとい
う問題がある。本発明により、振幅誤差を小さくするフ
ィードバックループが設けられ、正しい角度誤差を算出
することができるという作用を有する。これにより、高
い精度で、角度を推定できるという作用を有する。本発
明の位置センサレスモータ制御装置の角度推定手段は、
変数(角度)のみならず、関数の係数(振幅)について
も補正を行うことにより、関数そのものが実際のモータ
と同じになるようにし、これにより、変数である角度の
推定精度を高めることが出来るという作用を有する。
【0065】本発明の請求項3に記載の位置センサレス
モータ制御装置は、前記角度推定手段は、前記相電流が
正弦波であると仮定し簡略化されたステータ巻線の相電
圧方程式に基づき前記推定角度を作成することを特徴と
する請求項1に記載の位置セ ンサレスモータ制御装置で
ある。 本発明の請求項8に記載の位置センサレスモータ
制御装置は、前記誘起電圧値作成手段は、前記相電流が
正弦波であると仮定し前記相電圧方程式を簡略化し、前
記相電圧値から前記推定角度に応じ電気角360°で略
正弦波状に変化する電気抵抗による電圧降下と前記推定
角度に応じ電気角360°で略正弦波状に変化するイン
ダクタンスによる電圧降下とを減算することにより誘起
電圧値を作成することを特徴とする請求項6に記載の位
置センサレスモータ制御装置である。
【0066】本発明の位置センサレスモータ制御装置に
おいては、ステータ巻線の電流が正弦波信号であるとし
て取り扱うため、角度を推定するための計算が簡略化さ
れるという作用を有する。そのため、小型で、安価なマ
イクロプロセッサにより、短い演算時間で、角度推定を
行うことが可能になるという作用を有する。又、ステー
タ巻線は大きなインダクタンス成分を有するため、ステ
ータ巻線の電流の波形は飽和しにくく、ステータ巻線の
相電圧の波形が飽和した時にも正弦波に近いため、ステ
ータ巻線の相電圧の波形が飽和した時にも、ステータ巻
線の電流の波形を正弦波近似したことによる角度誤差
は、小さいという作用を有する。
【0067】
【0068】
【0069】本明細書及び特許請求の範囲の記載におい
て、「誘起電圧」の語は、「発電電圧」の語と同じ意味
である。「発電定数」の語は、「誘起電圧定数」及び
「起電力定数」の語と、同じ意味である。
【0070】本発明の請求項4の位置センサレスモータ
制御装置は、モータのロータの推定角度に基づき前記モ
ータの3相のステータ巻線に印加する電圧の指令値を示
す相電圧指令値を作成する電圧指令値作成手段と、前記
相電圧指令値に基づき前記ステータ巻線に電圧を印加す
る駆動手段と、前記推定角度を作成する角度推定手段
と、を具備する位置センサレスモータ制御装置におい
て、前記角度推定手段は、 前記推定角度の作成に使用す
る前記ステータ巻線の相を示す推定相を3相のうちから
1相だけ選択する推定相選択手段と、前記推定相の相電
圧方程式を用いて前記推定角度を補正する角度補正手段
と、を有することを特徴とする位置センサレスモータ制
御装置である。 本発明の請求項13の位置センサレスモ
ータ制御装置は、前記角度推定手段は、前記推定角度の
作成に使用する前記ステータ巻線の相を示す推定相を3
相のうちから1相だけを選択する推定相選択手段を含ん
で構成され、前記角度補正手段は、前記推定相の前記偏
差が0に収斂するように前記推定角度を補正することを
特徴とする請求項6、請求項9又は請求項11に記載の
位置センサレスモータ制御装置である。
【0071】角度推定手段は、内蔵する推定モデルを、
計測結果に基づく信号又は値に基づいて補正することに
より、正しい角度を推定する。しかし、常に単一の信号
(例えば、特定の相(u軸)の誘起電圧又は相電圧)に
基づいて補正を行うと、角度の誤差の検出精度が高くな
る角度と低くなる角度が存在する。そのため、角度推定
の精度が、角度に依存して高くなったり低くなったりす
るという問題がある。本発明の位置センサレスモータ制
御装置は、複数のステータ巻線の相の中で、最も大きな
角度誤差を検出できる相を選択し、選択された前記相の
相電圧等に基づいて、前記推定角度を補正することによ
り、いかなるロータの角度においても、常に高い精度
で、角度を推定することが出来る、という作用を有す
る。各相の角度の変位(3相モータであれば、相互に1
20度ずつずれている。)を考慮して、誤差を算出す
る。
【0072】本発明の請求項14の位置センサレスモー
タ制御装置は、前記角度推定手段は、前記推定角度の作
成に使用する前記ステータ巻線の相を示す推定相として
3相のうちから前記偏差が最も大きい相を選択する推定
相選択手段を含んで構成され、前記角度補正手段は、前
記推定相の前記偏差が0に収斂するように前記推定角度
を補正することを特徴とする請求項13に記載の位置セ
ンサレスモータ制御装置である。
【0073】本発明の位置センサレスモータ制御装置
は、複数のステータ巻線の相の中で、最も大きな角度誤
差を検出できる相を選択し、選択された前記相の誘起電
圧に基づいて、前記推定角度を補正することにより、い
かなるロータの角度においても、常に高い精度で、角度
を推定することが出来る、という作用を有する。
【0074】本発明の請求項15の位置センサレスモー
タ制御装置は、前記角度推定手段は、前記推定角度の作
成に使用する前記ステータ巻線の相を示す推定相として
3相のうちから前記誘起電圧値の大きさが最も小さい相
を選択する推定相選択手段を含んで構成され、前記角度
補正手段は、前記推定相の前記偏差が0に収斂するよう
に前記推定角度を補正することを特徴とする請求項13
に記載の位置センサレスモータ制御装置である。
【0075】本発明においては、全ての相について誤差
を算出する必要がなく、各相の誘起電圧を比較して、最
も小さな誘起電圧の相を選択するという簡単な方法によ
り、正常な状態において誤差が最大になる相を選択し、
当該選択された相についてのみ、誤差を演算するため、
演算時間が少なくて済むという、作用を有する。
【0076】本発明の請求項5の位置センサレスモータ
制御装置は、モータのステータ巻線に流れる電流を検知
し相電流値を出力する電流センサと、前記モータのロー
タの推定角度に基づき前記ステータ巻線に印加する電圧
の指令値を示す相電圧指令値を作成する電圧指令値作成
手段と、前記相電圧指令値に基づき前記ステータ巻線に
電圧を印加する駆動手段と、前記推定角度を作成する角
度推定手段と、前記ロータの回転する方向の指令を示す
回転方向指令が逆転のとき前記相電流値同士を交換する
相電流値交換手段と、前記回転方向指令が逆転のとき前
記電圧指令値同士を交換する相電圧指令値交換手段と、
を具備することを特徴とする位置センサレスモータ制御
装置である。
【0077】本発明の請求項18の位置センサレスモー
タ制御装置は、前記ロータの回転する方向の指令を示す
回転方向指令が逆転のとき前記相電流値同士を交換する
相電流値交換手段と、前記回転方向指令が逆転のとき前
記相電圧指令値同士を交換する相電圧指令値交換手段
と、が付加されたことを特徴とする請求項1、請求項
6、請求項9又は請求項11に記載の位置センサレスモ
ータ制御装置である。
【0078】本発明は、非常にわずかな切り換えによ
り、正転と逆転とに対応し、かつ、正転時と逆転時と
で、回路ブロック又はプログラムブロックのほとんどの
部分を共用できる位置センサレスモータ制御装置が実現
できるという作用を有する。
【0079】本発明の請求項16の位置センサレスモー
タ制御装置は、振幅脱調判断値を作成する振幅脱調判断
値作成手段と、前記振幅推定値と前記振幅脱調判断値と
に基づき前記推定角度が正しく作成されていないことを
判断する脱調判断手段と、を有する脱調検出手段が付加
されたことを特徴とする請求項2、請求項7、請求項1
0又は請求項12に記載の位置センサレスモータ制御装
置である。
【0080】位置センサレスモータ制御装置は、計測デ
ータ等に基づいてモータのロータの角度を推定するが、
何らかの原因により、角度の推定誤差が一定の範囲を超
えた場合(その結果、例えば、推定角速度が実際の角速
度とまったく異なる値になった場合)、その後、計測デ
ータ等に基づいて推定角度を補正しても、補正が正しく
されず、いつまでも、正しい角度を推定できない(角度
推定制御が収束しない)。本発明の位置センサレスモー
タ制御装置は、角度の推定誤差が一定の範囲を超えたこ
とを検知することが出来るという作用を有する。これに
より、通常のフィードバックループによっては角度推定
制御がいつまでも収束しないような場合には、モータを
停止する等の他の手段を取ることにより、制御から外れ
た状態(脱調)から、速やかに脱出することが出来る。
【0081】本発明の請求項17の位置センサレスモー
タ制御装置は、推定速度が大きくな ると大きくなるリミ
ットを作成するリミット作成手段が付加され、前記角度
補正手段は、前記偏差が零に収斂するように前記リミッ
トに基づき前記推定角度を補正することを特徴とする請
求項1、請求項6、請求項9又は請求項11に記載の位
置センサレスモータ制御装置である。
【0082】本発明の位置センサレスモータ制御装置
は、過大な補正量を用いて推定信号を補正することを防
止するという作用を有する。例えば、単発的なノイズに
より誤った誤差信号が得られた場合にも、推定信号が大
幅に変化して、角度推定手段のプルインレンジ又はホー
ルドレンジを外れるという問題を防ぐことが出来る。
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
【0131】
【0132】
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】
【0139】
【0140】
【0141】
【0142】
【0143】
【0144】
【0145】
【0146】
【0147】
【0148】
【0149】
【0150】
【0151】
【0152】
【0153】
【0154】
【0155】
【0156】
【0157】
【発明の実施の形態】以下、本発明の位置センサレスモ
ータ制御装置の一実施の形態である具体的な実施例につ
いて添付の図面を参照して説明する。
【0158】《実施例1》 以下、実施例1における位置センサレスモータ制御装置
を説明する。実施例1の位置センサレスモータ制御装置
は、ステータ巻線の各相の相電圧方程式から誘起電圧値
を求め、この誘起電圧値と誘起電圧基準値との偏差を求
め、この偏差が0に収斂するように推定角度θmを補正
する。そして、高分解能で高精度な角度の推定を実現
し、相電圧が飽和しても角度の推定を実現し、かつ、誘
起電圧定数などのモータ定数が変化しても高精度な角度
の推定を実現する。本明細書及び請求項の記載におい
て、「誤差」の語と、「偏差」の語は、同じ意味で用い
られる。
【0159】まず、実施例1の位置センサレスモータ制
御装置の構成を説明する。
【0160】[図1の説明] 図1は、実施例1における位置センサレスモータ制御装
置の構成を示すブロック図である。IPMSM(Int
erior Permanent Magnet Sy
nchronous Motor:埋込磁石型同期モー
タ)10は、相電流が流れるステータ巻線11u、11
v、11wが巻回されたステータ(図示せず)と、この
ステータ(図示せず)に対向し近接して配置されたロー
タ12とが設けられている。ここで、ステータ巻線11
u、11v、11wはY結線(各ステータ巻線11u、
11v、11wの片端が1点で接続される結線)されて
いる。このブラシレスモータ10は、ロータ12の内部
に永久磁石13が配置され、相電流により生成される磁
束とこの永久磁石13による磁束との相互作用によりロ
ータ12が回転する。
【0161】実施例1の位置センサレスモータの制御装
置は、アナログu相電流値iuaを出力する電流センサ
21uと、アナログv相電流値ivaを出力する電流セ
ンサ21vと、アナログu相電流値iuaとアナログv
相電流値ivaとアナログ速度指令値ω*aと回転方向
指令ωdir*とを入力しスイッチング指令信号gu
h、gul、gvh、gvl、gwh、gwlとサーボ
オン信号sv*とを出力するマイコン(「マイクロ・コ
ンピュータ」又は「マイクロプロセッサ」の意味であ
る。)22と、スイッチング指令信号guh、gul、
gvh、gvl、gwh、gwlとサーボオン信号sv
*とを入力しステータ巻線11u、11v、11wに印
加する電圧を制御する駆動部30とから構成される。
【0162】[図2の説明] 図2は、実施例1における駆動部30の構成を示す回路
図である。駆動部30は、電源31と、コレクタが電源
31の正極に接続されエミッタが相巻線11u、11
v、11wにそれぞれ接続された上側IGBT(Ins
ulated Gate Bipolar Trans
istor:絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ)
32u、32v、32wと、上側IGBT32u、32
v、32wにそれぞれ逆並列接続された上側フライホイ
ールダイオード33u、33v、33wと、コレクタが
ステータ巻線11u、11v、11wにそれぞれ接続さ
れエミッタが電源31の負極に接続された下側IGBT
34u、34v、34wと、下側IGBT34u、34
v、34wにそれぞれ逆並列接続された下側フライホイ
ールダイオード35u、35v、35wと、スイッチン
グ指令信号guh、gul、gvh、gvl、gwh、
gwlとサーボオン信号sv*とに基づきそれぞれ上側
IGBT32u、32v、32wのゲート電圧と下側I
GBT34u、34v、34wのゲート電圧とを制御す
るプリドライブ器36とから構成される。
【0163】マイコン22は、ハード的に、CPU、R
OM、RAM、タイマ、ポート、およびこれらをつなぐ
バスなどから構成される。
【0164】マイコン22は、機能的に、アナログ速度
指令値ω*aと推定速度ωmとを入力しγ軸電流指令値
iγ*とδ軸電流指令値iδ*とを出力する速度制御部
40と、アナログu相電流値iuaとアナログv相電流
値ivaと回転方向指令ωdir*とγ軸電流指令値i
γ*とδ軸電流指令値iδ*と推定角度θmとを入力し
u相電流値iuとv相電流値ivとu相電圧指令値vu
*とv相電圧指令値vv*とw相電圧指令値vw*とス
イッチング指令信号guh、gul、gvh、gvl、
gwh、gwlとを出力する電流制御部50と、γ軸電
流指令値iγ*とδ軸電流指令値iδ*と推定角度θm
と推定速度ωmとを入力し補償量αを作成する補償量作
成部60と、u相電流値iuとv相電流値ivとu相電
圧指令値vu*とv相電圧指令値vv*とw相電圧指令
値vw*と補償量αとを入力し推定角度θmと推定速度
ωmと誘起電圧振幅推定値emとを出力する角度推定部
70と、推定速度ωmと誘起電圧振幅推定値emとを入
力しサーボオン信号sv*を出力する脱調検出部90と
から構成される。本明細書及び特許請求の範囲の記載に
おいて、「推定速度」の語と「推定角速度」の語とは、
いずれも、角速度の意味で用いている。
【0165】[図3の説明] 図3は、実施例1における速度制御部40の構成を示す
ブロック図である。速度制御部40は、アナログ速度指
令値ω*aを入力し速度指令値ω*を出力するADC
(アナログ・ディジタル・コンバータ:Analog
Digtal Converter)41と、速度指令
値ω*と推定速度ωmとを入力しトルク指令値T*を出
力するトルク指令値作成部42と、トルク指令値T*を
入力しγ軸電流指令値iγ*とδ軸電流指令値iδ*と
を出力する電流指令値作成部43とから構成される。
【0166】[図4の説明] 図4は、実施例1における電流制御部50の構成を示す
ブロック図である。電流制御部50は、アナログu相電
流値iuaを入力し交換前u相電流値iu1を出力する
ADC51uと、アナログv相電流値ivaを入力し交
換前v相電流値iv1を出力するADC51vと、交換
前u相電流値iu1と交換前v相電流値iv1と回転方
向指令ωdir*とを入力しu相電流値iuとv相電流
値ivとを出力する相電流値交換部52と、γ軸電流指
令値iγ*とδ軸電流指令値iδ*と推定角度θmとを
入力しu相電流指令値iu*とv相電流指令値iv*と
w相電流指令値iw*とを出力する相電流指令値作成部
53と、u相電流値iuとv相電流値ivとu相電流指
令値iu*とv相電流指令値iv*とw相電流指令値i
w*とを入力しu相電圧指令値vu*とv相電圧指令値
vv*とw相電圧指令値vw*とを出力する相電圧指令
値作成部54と、u相電圧指令値vu*とv相電圧指令
値vv*とw相電圧指令値vw*と回転方向指令ωdi
r*を入力し交換後u相電圧指令値vu*1と交換後v
相電圧指令値vv*1と交換後w相電圧指令値vw*1
とを出力する相電圧指令値交換部56と、交換後u相電
圧指令値vu*1と交換後v相電圧指令値vv*1と交
換後w相電圧指令値vw*1とを入力しスイッチング指
令信号guh、gul、gvh、gvl、gwh、gw
lを出力するPWM制御器57とから構成される。
【0167】[図5の説明] 図5は、実施例1における角度推定部70の構成を示す
ブロック図である。角度推定部70は、u相電圧指令値
vu*とv相電圧指令値vv*とw相電圧指令値vw*
とを入力しu相電圧値vuとv相電圧値vvとw相電圧
値vwとを出力する相電圧値作成部71と、u相電流値
iuとv相電流値ivとu相電圧値vuとv相電圧値v
vとw相電圧値vwと推定角度θmと推定速度ωmとを
入力しu相誘起電圧値euとv相誘起電圧値evとw相
誘起電圧値ewとを出力する誘起電圧値演算部72と、
推定角度θmと補償量αとを入力し推定相指標ηを出力
する推定相選択部73と、推定相指標ηとu相誘起電圧
値euとv相誘起電圧値evとw相誘起電圧値ewとを
入力し誘起電圧選択値esを出力する誘起電圧選択値選
択部74と、推定相指標ηと推定角度θmと補償量αと
誘起電圧振幅推定値emとを入力し誘起電圧基準値es
mを出力する誘起電圧基準値作成部75と、誘起電圧選
択値esと誘起電圧基準値esmとを入力し偏差εを出
力する偏差作成部76と、推定速度ωmを入力し比例ゲ
インκpと積分ゲインκiと比例リミットζpと積分リ
ミットζiとを出力するゲインリミット作成部77と、
推定相指標ηと偏差εと比例ゲインκpと積分ゲインκ
iと比例リミットζpと積分リミットζiとを入力し推
定角度θmと推定速度ωmとを出力する角度速度補正部
78と、u相誘起電圧値euとv相誘起電圧値evとw
相誘起電圧値ewとを入力し誘起電圧振幅推定値emを
出力する誘起電圧振幅推定値補正部80とから構成され
る。
【0168】誘起電圧振幅推定値補正部80は、u相誘
起電圧値euとv相誘起電圧値evとw相誘起電圧値e
wとを入力し誘起電圧振幅演算値ecを出力する誘起電
圧振幅演算値作成部81と、誘起電圧振幅演算値ecを
入力し誘起電圧振幅推定値emを出力する誘起電圧振幅
推定値変更部82とから構成される。
【0169】[図6の説明] 図6は、実施例1における脱調検出部90の構成を示す
ブロック図である。脱調検出部90は、推定速度ωmを
入力し誘起電圧振幅脱調判断上限値eouthと誘起電
圧振幅脱調判断下限値eoutlとを出力する誘起電圧
脱調判断値作成部91と、誘起電圧振幅脱調判断上限値
eouthと誘起電圧振幅脱調判断下限値eoutlと
誘起電圧振幅推定値emとを入力しサーボオン信号sv
*を出力する脱調判断部92とから構成される。
【0170】[図7の説明] 次に、座標系を説明する。図7は、実施例1における座
標系の説明図である。図7において、説明を簡単にする
ために、磁極数が2のIPMSMが示されている。d軸
とq軸は、実際のロータ12の角度θによる軸である。
d軸をロータ12に配置された永久磁石13による磁束
と同じ向きとし、q軸をd軸に対して90°進んだ向き
とする。そして、ステータ巻線11uとd軸のなす角度
を角度θとする。ここで、図7において、反時計回りの
向きを正転とする。正転の向きに回転するとき角度θは
進む。この正転の向きは、ステータ巻線11u、11
v、11wに流れる電流が、u相、v相、w相の順に変
化する向きである。また、γ軸とδ軸は推定角度θmに
より定められる軸である。ステータ巻線11uから推定
角度θmだけ回転した軸をγ軸とし、δ軸をγ軸に対し
て90°進んだ向きとする。さらに、角度θと推定角度
θmの差を角度誤差Δθ(=θ−θm)とする。
【0171】ここで、図7では、正の角度誤差Δθがあ
るときを示しているが、角度推定に誤差がなく角度誤差
Δθが0のとき、推定角度θmと角度θとが一致し、d
軸とγ軸とが一致し、q軸とδ軸とが一致する。なお、
以下の説明では、角度θと推定角度θmと角度誤差Δθ
とを電気角で表す。以下、特に明記しないとき、角度に
関する値は電気角で表わす。ここで、機械角はロータ1
2そのものの角度を表し、(電気角)=(p/2)・
(機械角)である。なお、pは磁極数である。
【0172】実施例1の位置センサレスモータ制御装置
の外部にある速度指令値作成部(図示せず)は、アナロ
グ速度指令値ω*aを作成する。
【0173】実施例1の位置センサレスモータ制御装置
の外部にある回転方向指令作成部(図示せず)は、回転
方向指令ωdir*を作成する。IPMSM10を正転
させるとき、回転方向指令ωdir*=F(Forwa
rd)とする。また、IPMSM10を逆転させると
き、回転方向指令ωdir*=R(Reverse)と
する。
【0174】次に、本発明の実施例1の位置センサレス
モータ制御装置の動作を説明する。
【0175】電流センサ21u、21vは、それぞれス
テータ巻線11u、11vに流れる電流を検知し、アナ
ログu相電流値iua、アナログv相電流値ivaを作
成する。
【0176】[図2の説明] 次に、駆動部30の動作を説明する。駆動部30は、サ
ーボオン信号sv*がHigh(「H」と言う。)のと
き、ステータ巻線11u、11v、11wに印加する電
圧を制御する。また、サーボオン信号sv*がLow
(「L」と言う。)のとき、通電を停止する。
【0177】電源31は、駆動部30に電力を供給す
る。
【0178】そして、サーボオン信号sv*がHのと
き、プリドライブ器36は、スイッチング信号guhが
Hのとき上側IGBT32uが通電し、スイッチング信
号guhがLのとき上側IGBT32uが非通電である
ように、上側IGBT32uのゲート電圧を制御する。
一方、スイッチング信号gulがHのとき下側IGBT
34uが通電し、スイッチング信号gulがLのとき下
側IGBT34uが非通電であるように、下側IGBT
34uのゲート電圧を制御する。また、v相、およびw
相についても同様に、スイッチング信号gvh、gv
l、gwh、gwlに基づき上側IGBT32v、32
w、下側IGBT34v、34wのゲート電圧を制御す
る。
【0179】一方、サーボオン信号sv*がLのとき、
プリドライブ器36は、全てのIGBTが非通電である
ように、上側IGBT32u、32v、32w、および
下側IGBT34u、34v、34wのゲート電圧を制
御する。
【0180】次に、マイコン22の動作を説明する。
【0181】[図3の説明] まず、速度制御部40の動作を説明する。速度制御部4
0は、ある設定された時間ごとに起動され、ADC4
1、トルク指令値作成部42、電流指令値作成部43の
順に下記の動作をさせ、外部から入力されるアナログ速
度指令値ω*aとおりの速度でロータ12が回転するよ
うにγ軸電流指令値iγ*とδ軸電流指令値iδ*とを
制御するものである。
【0182】ADC41は、アナログ値であるアナログ
速度指令値ω*aをディジタル値である速度指令値ω*
にアナログ/ディジタル変換する。
【0183】トルク指令値作成部42は、推定速度ωm
が速度指令値ω*とおりになるように比例積分制御(P
I制御)を用いてトルク指令値T*を制御する。下記式
(4)のように、速度指令値ω*と推定速度ωmとの差
を比例ゲインKPW、および積分ゲインKIWで比例積
分制御した結果をトルク指令値T*とする。
【0184】 T* = KPW・(ω*−ωm)+KIW・Σ(ω*−ωm) ・・・(4)
【0185】電流指令値作成部43は、IPMSM10
の出力トルクがトルク指令値T*になるように、γ軸電
流指令値iγ*とδ軸電流指令値iδ*とを作成する。
下記式(5)のように、トルク指令値T*をある設定さ
れた値KTで除算した結果を電流指令値振幅iaとす
る。また、下記式(6)のように、電流指令値振幅ia
に−sin(βT)を乗じた結果をγ軸電流指令値iγ
*とする。一方、下記式(7)のように、電流指令値振
幅iaにcos(βT)を乗じた結果をδ軸電流指令値
iδ*とする。ここで、βTは電流指令値振幅iaが与
えられたときに最大出力トルクまたは最大効率を実現す
る電流位相であり、0°から45°の間のある設定され
た角度である。以後、この位相を電流指令位相βTと呼
ぶ。
【0186】 ia = T*/KT ・・・(5) iγ* = −ia・sin(βT) ・・・(6) iδ* = ia・cos(βT) ・・・(7)
【0187】[図4の説明] 次に、電流制御部50の動作を説明する。電流制御部5
0は、ある設定された時間(電流制御周期)ごとに起動
され、ADC51u、51v、相電流値交換部52、相
電流指令値作成部53、相電圧指令値作成部54、相電
圧指令値交換部56、PWM制御器57の順に下記の動
作をし、γ軸電流指令値iγ*、およびδ軸電流指令値
iδ*とおりにステータ巻線11u、11v、11wに
電流が流れるようにスイッチング信号guh、gul、
gvh、gvl、gwh、gwlを制御する。
【0188】ADC51u、ADC51vは、それぞれ
アナログ値であるアナログu相電流値iua、アナログ
v相電流値ivaをディジタル値である交換前u相電流
値iu1、交換前v相電流値iv1にアナログ/ディジ
タル変換する。
【0189】相電流値交換部52は、正転指令時には、
交換前の相電流値をそのまま相電流値とする。一方、逆
転指令時には、交換前の相電流値を入れ替える。回転方
向指令ωdir*=Fのとき、下記式(8)のように、
交換前u相電流値iu1をu相電流値iuとし、交換前
v相電流値iv1をv相電流値ivとする。また、回転
方向指令ωdir*=Rのとき、下記式(9)のよう
に、交換前u相電流値iu1、および交換前v相電流値
iv1をそれぞれv相電流値iv、およびu相電流値i
uとする。
【0190】 iu=iu1、 iv=iv1 (ωdir*=Fのとき) ・・・(8) iu=iv1、 iv=iu1 (ωdir*=Rのとき) ・・・(9)
【0191】相電流指令値作成部53は、推定角度θm
による回転座標系であるγδ軸上のγ軸電流指令値iγ
*とδ軸電流指令値iδ*とを静止座標系に変換する。
そして、各相に流す電流の指令値であって正弦波状で互
いに電気角で120°ずれたu相電流指令値iu*とv
相電流指令値iv*とw相電流指令値iw*とを作成す
る。具体的には、下記式(10)(11)(12)のよ
うにする。
【0192】 iu* = {√(2/3)}・{iγ*・cosθm−iδ*・sinθm} ・・・(10) iv* = {√(2/3)}・{iγ*・cos(θm−120°) −iδ*・sin(θm−120°)} ・・・(11) iw* = {√(2/3)}・{iγ*・cos(θm+120°) −iδ*・sin(θm+120°)} ・・・(12)
【0193】相電圧指令値作成部54は、まず、w相電
流値を求める。下記式(13)のように、u相電流値i
uとv相電流値ivの和の符号を逆転したものをw相電
流値iwとする。
【0194】 iw = − (iu + iv) ・・・(13)
【0195】次に、u相電流値iuがu相電流指令値と
おりになるように比例積分制御(PI制御)を用いてu
相電圧指令値vu*を制御する。下記式(14)のよう
に、u相電流指令値iu*とu相電流値iuとの差を比
例ゲインKPK、および積分ゲインKIKで比例積分制
御をした結果をu相電圧指令値vu*とする。ただし、
駆動部30が電源31の電圧よりも大きな電圧をステー
タ巻線11u、11v、11wに印加することができな
いため、下記式(15)のようなリミットを設ける。こ
こで、Eは電源31の電圧値である。
【0196】また、v相とw相とについても同様に、そ
れぞれ下記式(16)(17)(18)(19)のよう
に、v相電圧指令値vv*とw相電圧指令値vw*とを
作成する。
【0197】 vu* = KPK・(iu*−iu)+KIK・Σ(iu*−iu) ・・・(14) −(E/2) ≦ vu* ≦ (E/2) ・・・(15) vv* = KPK・(iv*−iv)+KIK・Σ(iv*−iv) ・・・(16) −(E/2) ≦ vv* ≦ (E/2) ・・・(17) vw* = KPK・(iw*−iw)+KIK・Σ(iw*−iw) ・・・(18) −(E/2) ≦ vw* ≦ (E/2) ・・・(19)
【0198】相電圧指令値交換部56は、正転指令時に
は、各相の相電圧値をそのままとする。一方、逆転指令
時には、u相とv相の電圧指令値を入れ替える。回転方
向指令ωdir*=Fのとき、下記式(20)のよう
に、u相電圧指令値vu*を交換後u相電流値vu*1
とし、v相電圧指令値vv*を交換後v相電圧指令値v
v*1とする。また、回転方向指令ωdir*=Rのと
き、下記式(21)のように、u相電圧指令値vu*、
およびv相電圧指令値vv*をそれぞれ交換後v相電圧
指令値vv*1、および交換後u相電圧指令値vu*1
とする。
【0199】 vu*1=vu*、 vv1*=vv* (ωdir*=Fのとき) ・・・(20) vu*1=vv*、 vv1*=vu* (ωdir*=Rのとき) ・・・(21)
【0200】PWM制御器57は、交換後u相電圧指令
値vu*1と交換後v相電圧指令値vv*1と交換後w
相電圧指令値vw*1とをパルス幅変調(PWM:Pu
lse Width Modulation)する。具
体的には、ある設定された周波数とE/2の振幅とを持
つ三角波を発生し、この三角波と交換後u相電圧指令値
vu*1とを比較し、交換後u相電圧指令値vu*1の
ほうが大きいとき、スイッチング信号guhをH、gu
lをLにする。一方、交換後u相電圧指令値vu*1の
ほうが小さいとき、スイッチング信号guhをL、gu
lをHにする。なお、スイッチング信号guh、gul
の状態が遷移するとき、スイッチング信号guh、gu
lを双方ともLにする短い時間を設ける(この短い時間
はデッド・タイムと呼ばれる)。また、v相、およびw
相とについても同様に、それぞれ交換後v相電圧指令値
vv*1、および交換後w相電圧指令値vw*1に基づ
きスイッチング信号gvh、gvl、およびgwh、g
wlを作成する。
【0201】[図1の説明] 次に、実施例1の特徴の1つである補償量作成部60の
動作を説明する。補償量作成部60は、電流制御部50
の動作が終了するごとに動作する。この補償量作成部6
0は、角度推定部70において角度推定θmを補償する
量を示す補償量αを作成する。角度推定部70は、精度
のよい推定角度θmを作成するが、多少誤差が含まれ
る。そこで、この誤差をあらかじめ実験などで求めテー
ブル化する。具体的には、下記式(22)のように、推
定角度を60°で除算した剰余(θm%60)、推定速
度ωm、γ軸電流指令値iγ*、およびδ軸電流指令値
iδ*に対する補償量αのテーブルαtableを用い
る。ここで、推定角度θmを60で除算した剰余(θm
%60)を使用するのは、周期が電気角の60°で変化
する誤差が発生するからである。
【0202】 α = αtable(θm%60°,ωm,iγ*,iδ*)・・・(22)
【0203】[図5の説明] 次に、実施例1の特徴の1つである角度推定部70の動
作を説明する。
【0204】はじめに、角度推定部70の動作の原理を
説明する。角度推定部70は、推定角度θmと誘起電圧
振幅推定値emとを補正することで角度推定を実現す
る。すなわち、角度推定部70は、まず、誘起電圧の基
準値(誘起電圧基準値esm)を作成する。そして、こ
の誘起電圧基準値esmの角度(位相)とステータ巻線
11u、11v、11wにおける相電圧方程式から求め
た誘起電圧値(u相誘起電圧値eu、v相誘起電圧値e
v、w相誘起電圧値ew)の位相とが一致するように、
推定角度θmを補正する。また、誘起電圧基準値esm
の振幅(誘起電圧振幅推定値em)と誘起電圧値(u相
誘起電圧値eu、v相誘起電圧値ev、w相誘起電圧値
ew)の振幅とが一致するように、誘起電圧振幅推定値
emを補正する。
【0205】まず、誘起電圧値の位相と誘起電圧基準値
の位相とを一致させる方法を説明する。 [図8の説明] 図8は、実施例1におけるu相の誘起電圧値と誘起電圧
基準値と偏差とを示す波形図である。図8において、誘
起電圧値は、誘起電圧基準値より電気角で20°遅れて
いる。また、誘起電圧値の振幅は、誘起電圧基準値の振
幅(誘起電圧振幅推定値em)の90%である。
【0206】u相の誘起電圧値(u相誘起電圧値eu)
とu相の誘起電圧基準値(u相誘起電圧基準値eum)
の位相が一致しないとき、これらの差である偏差(u相
偏差εu)は0ではない。そのため、このu相偏差εu
が0に収斂するように、推定角度θmを補正すること
で、位相を一致させる。
【0207】ここで、推定を行う相を推定角度θmによ
って選択する。u相、v相、w相はそれぞれ電気角で1
20°ずれる。そのため、常に位相差の影響が偏差に一
番影響を及ぼす相を用いて角度推定することで、推定精
度を向上する。つまり、推定角度θmが、電気角で0°
〜30°、150°〜210°、および330°〜36
0°では、u相偏差εuの大きさがほぼ最大となるた
め、u相で推定を行う。推定角度θmがこれ以外の範囲
のとき、v相あるいはw相で推定を行う。
【0208】図8において、推定角度θm=0°付近の
とき、u相偏差εuは正である。そのため、推定角度θ
mがこの区間にあるとき、偏差εが正であれば推定角度
θmが進んでいると判断し、推定角度θmを遅らすよう
に補正する。反対に、偏差εが負であれば推定角度θm
が遅れていると判断し、推定角度θmを進めるように補
正する。
【0209】また、図8において、推定角度θm=18
0°付近のとき、u相偏差εuは負である。そのため、
推定角度θmがこの区間にあるとき、偏差εが負であれ
ば推定角度θmが進んでいると判断し、推定角度θmを
遅らすように補正する。反対に、偏差εが正であれば推
定角度θmが遅れていると判断し、推定角度θmを進め
るように補正する。
【0210】次に、誘起電圧値の振幅と誘起電圧基準値
の振幅(誘起電圧振幅推定値em)とを一致させる方法
を説明する。すべての相の誘起電圧値(u相誘起電圧値
eu、v相誘起電圧値ev、およびw相誘起電圧値e
w)を求め、振幅を演算し、それを誘起電圧振幅推定値
emとする。
【0211】以上のように動作させることにより、推定
角度θmと誘起電圧振幅推定値emとを補正し、誘起電
圧値と誘起電圧基準値とを一致させることで、角度を推
定する。
【0212】さらに、実施例1において、偏差を用いて
推定角度θmを補正するときのゲインとリミットとを推
定速度ωmにより変化させることで、制御を安定化させ
る。また、実施例1において、補償量αだけ誘起電圧基
準値esmの位相を変化させることにより、角度推定の
精度をさらに向上させる。
【0213】では、角度推定部70の動作の詳細を説明
する。角度推定部70は、ある設定された周期(角度推
定周期:ΔT)ごとに起動され、相電圧値作成部71、
誘起電圧値演算部72、推定相選択部73、誘起電圧選
択値選択部74、誘起電圧基準値作成部75、偏差作成
部76、ゲインリミット作成部77、角度速度補正部7
8、誘起電圧振幅演算値作成部81、誘起電圧振幅推定
値変更部82の順に下記の動作をさせ、推定角度θmと
推定速度ωmとを作成する。また、電流制御部50、補
償量作成部60、角度推定部70の順に動作させ、角度
推定周期ΔTと電流制御周期とを同一とする。
【0214】角度推定周期ΔTは、モータの構造に依存
せず、マイコンの処理能力に依存する。本実施例におい
ては、角度推定周期ΔTは67μ秒である。モータのロ
ータの磁極数が4極である本実施例の角度推定周期ΔT
を電気角Δθで表すと、モータ回転数1800rpm
(角速度60π/秒)において、下記の式より、Δθは
1.45度になる。 Δθ=360度×(4極/2)×67μs×(1800
rpm/60s)=1.45度 上記のようにΔTは非常に小さな値であり、リアルタイ
ムに近い角度推定が行われている。従って、従来例のよ
うに、離散サンプリング(電気角60度ごとに角度推定
を行っている。)に基づく応答の遅延(サンプリング周
期の半分の期間の遅延が発生する。)が起きない。この
リアルタイムに近い応答性は、モータの急加速又は急減
速等において、従来例よりも高い追随性を実現する。こ
のように、非常に短い角度推定周期により角度を推定で
きることは、他の全ての実施例において、同様である。
【0215】相電圧値作成部71は、下記式(23)
(24)(25)のように、相電圧指令値vu*、vv
*、vw*を相電圧値vu、vv、vwとする。
【0216】 vu = vu* ・・・(23) vv = vv* ・・・(24) vw = vw* ・・・(25)
【0217】誘起電圧値演算部72は、各相の誘起電圧
値(u相誘起電圧値eu、v相誘起電圧値ev、w相誘
起電圧値ew)を作成する。各相の相電圧方程式を誘起
電圧値について解く。具体的には、下記式(26)(2
7)(28)のようにする。ここで、d/dtは時間微
分を表し、三角関数に関する微分の演算に現れるdθ/
dtには推定速度ωmを電気角速度に変換したものを用
いる。また、d(iu)/dt、d(iv)/dt、d
(iw)/dtは、1次オイラー近似で求める。なお、
w相電流値iwは式(13)のように、u相電流値iu
とv相電流値ivとの和の符号を変えたものとする。こ
こで、Rはステータ巻線一相あたりの抵抗、laはステ
ータ巻線一相あたりの漏れインダクタンス、Laはステ
ータ巻線一相あたりの有効インダクタンスの平均値、お
よびLasはステータ巻線一相あたりの有効インダクタ
ンスの振幅である。
【0218】 eu = vu − R・iu − (la+La)・d(iu)/dt − Las・cos(2θm)・d(iu)/dt − Las・iu・d{cos(2θm)}/dt + 0.5・La・d(iv)/dt − Las・cos(2θm−120°)・d(iv)/dt − Las・iv・d{cos(2θm−120°)}/dt + 0.5・La・d(iw)/dt − Las・cos(2θm+120°)・d(iw)/dt − Las・iw・d{cos(2θm+120°)}/dt ・・・(26) ev = vv − R・iv − (la+La)・d(iv)/dt − Las・cos(2θm+120°)・d(iv)/dt − Las・iv・d{cos(2θm+120°)}/dt + 0.5・La・d(iw)/dt − Las・cos(2θm)・d(iw)/dt − Las・iw・d{cos(2θm)}/dt + 0.5・La・d(iu)/dt − Las・cos(2θm−120°)・d(iu)/dt − Las・iu・d{cos(2θm−120°)}/dt ・・・(27) ew = vw − R・iw − (la+La)・d(iw)/dt − Las・cos(2θm−120°)・d(iw)/dt − Las・iw・d{cos(2θm?120°)}/dt + 0.5・La・d(iu)/dt − Las・cos(2θm+120°)・d(iu)/dt − Las・iu・d{cos(2θm+120°)}/dt + 0.5・La・d(iv)/dt − Las・cos(2θm)・d(iv)/dt − Las・iv・d{cos(2θm)}/dt ・・・(28)
【0219】推定相選択部73は、偏差の大きさが最も
大きい相を推定に使用する相(推定相)にする。なお、
補償量αも考慮する。下記式(29)のように、(推定
角度θm+補償量α)が0°以上30°未満のとき、推
定相指標ηを0にする。(推定角度θm+補償量α)が
30°以上90°未満のとき、推定相指標ηを1にす
る。……。(推定角度θm+補償量α)が270°以上
330°未満のとき、推定相指標ηを5にする。そし
て、(推定角度θm+補償量α)が330°以上360
°未満のとき、推定相指標ηを0にする。ここで、推定
相指標η=0、3のとき推定相はu相であり、推定相指
標η=1、4のとき推定相はw相であり、推定相指標η
=2、5のとき推定相はv相である。
【0220】 η=0 推定相=u相 ( 0°≦θm+α< 30°のとき) η=1 推定相=w相 ( 30°≦θm+α< 90°のとき) η=2 推定相=v相 ( 90°≦θm+α<150°のとき) η=3 推定相=u相 (150°≦θm+α<210°のとき) η=4 推定相=w相 (210°≦θm+α<270°のとき) η=5 推定相=v相 (270°≦θm+α<330°のとき) η=0 推定相=u相 (330°≦θm+α<360°のとき) ・・・(29)
【0221】誘起電圧選択値選択部74は、推定相の誘
起電圧値を誘起電圧選択値esにする。下記式(30)
のように、推定相指標η=0、および3のとき、u相誘
起電圧値euを誘起電圧選択値esにする。また、推定
相指標η=2、および5のとき、v相誘起電圧値evを
誘起電圧選択値esにする。さらに、推定相指標η=
1、および4のとき、w相誘起電圧値ewを誘起電圧選
択値esにする。
【0222】 es = eu (η=0、3のとき) es = ev (η=2、5のとき) es = ew (η=1、4のとき) ・・・(30)
【0223】誘起電圧基準値値作成部75は、推定相の
誘起電圧値の基準値である誘起電圧基準値esmを作成
する。下記式(31)のように、推定相η=0、3のと
き、u相の誘起電圧基準値(u相誘起電圧基準値eu
m)を誘起電圧基準値esmにする。また、推定相η=
2、5のとき、v相の誘起電圧基準値(v相誘起電圧基
準値evm)を誘起電圧基準値esmにする。推定相η
=1、4のとき、w相の誘起電圧基準値(w相誘起電圧
基準値ewm)を誘起電圧基準値esmにする。ロータ
の永久磁石に正弦波着磁がなされているとして、各相の
誘起電圧基準値esmは、正弦波とする。
【0224】 esm = eum (η=0、3のとき) esm = evm (η=2、5のとき) esm = ewm (η=1、4のとき) eum = −em・sin(θm+α) evm = −em・sin(θm+α−120°) ewm = −em・sin(θm+α−240°) ・・・(31)
【0225】偏差作成部76は、誘起電圧選択値esと
誘起電圧基準値esmとの偏差εを作成する。下記式
(32)のように、誘起電圧選択値esから誘起電圧基
準値esmを減算したものを偏差εにする。
【0226】 ε = es − esm ・・・(32)
【0227】[図9の説明] ゲインリミット作成部77は、推定速度ωmが大きくな
ると大きくなる比例ゲインκpと積分ゲインκiと比例
リミットζpと積分リミットζiとを作成する。図9
(a)のように、推定速度ωmがある設定された値ω1
より小さいとき比例ゲインκpをある設定された値κp
1にする。また、推定速度ωmがある設定された値ω2
より大きいとき比例ゲインκpをある設定された値κp
2にする。さらに、推定速度ωがω1からω2の範囲に
あるときは、(ω1,κp1)と(ω2,κp2)とで
補間した値を比例ゲインκpにする。また、同様に、図
9(b)(c)(d)のように、積分ゲインκi、比例
リミットζp、および積分リミットζiを作成する。
【0228】角度速度補正部78は、偏差εを0に収斂
させるように推定角度θmを補正する。また、推定速度
ωmを作成する。まず、補正する向きを示す補正符号σ
を作成する。下記式(33)のように、推定相指標η=
0、2、4のとき、補正符号σを−1にする。また、推
定相指標η=1、3、5のとき、補正符号σを1にす
る。
【0229】 σ = −1 (η=0、2、4) σ = +1 (η=1、3、5) ・・・(33)
【0230】次に、角度推定周期毎に推定角度θmをど
れだけ進めるかを示す進み量θmpを作成する。下記式
(34)のように、偏差εに補正符号σを乗じ比例ゲイ
ンkp乗じ、その乗算結果の絶対値が比例リミットζp
を越えないように制限した値を進み量比例項θmppと
する。また、下記式(35)のように、偏差εに補正符
号σを乗じ積分ゲインki乗じ、その乗算結果の絶対値
が積分リミットζpを越えないように制限した値を進み
量積分項θmpiとする。そして、進み量積分項θmp
iを積分した結果と進み量比例項θmppとの加算結果
を進み量θmpとする。
【0231】 θmpp = κp・σ・ε、−ζp ≦ θmpp ≦ ζp・・・(34) θmpi = κi・σ・ε、−ζi ≦ θmpi ≦ ζi・・・(35) θmp = θmpp + Σθmpi ・・・(36)
【0232】次に、推定角度θmを進み量θmpだけ進
める。下記式(37)のように、進み量θmpを積分し
たものを推定角度θmとする。
【0233】 θm = Σθmp ・・・(37)
【0234】そして、進み量θmpに1次ディジタルロ
ーパスフィルタ(LPF)を作用したものを推定速度ω
mとする。具体的には、下記式(38)のようにする。
ここで、ωm(n)は今回の推定速度であり、ωm(n
−1)は前回の推定速度である。また、KTPWは進み
量を速度の単位に変化する係数である。さらに、KLW
はローパスフィルタの係数であり、0から1までの値を
とり、小さくなるほどローパスフィルタの効果が大きく
なる。
【0235】 ωm(n) = KLW・(KTPW・θmp) + (1−KLW)・ωm(n−1) ・・・(38)
【0236】誘起電圧振幅演算値作成部81は、各相の
誘起電圧値の絶対値を加算した結果に基づき誘起電圧演
算値ecを作成する。下記式(39)のように、u相誘
起電圧値euの絶対値とv相誘起電圧値evの絶対値と
w相誘起電圧値ewの絶対値との加算結果にある設定さ
れた係数KECを乗じたものを誘起電圧演算値ecとす
る。ここで、係数KECは下記式(40)のように与え
られ、各相が正弦波であるとして、各相の絶対値の和を
振幅に変換するために乗算される。なお、θm%60は
推定角度θmを60で除算したときの剰余である。
【0237】 ec = KEC・(|eu|+|ev|+|ew|) ・・・(39) KEC = 0.5/sin{(θm%60)+60°} ・・・(40)
【0238】誘起電圧振幅推定値変更部82は、誘起電
圧振幅演算値ecに1次ディジタルローパスフィルタ
(LPF)を作用したものを誘起電圧振幅推定値emと
する。具体的には、下記式(41)のようにする。ここ
で、em(n)は今回の誘起電圧振幅推定値であり、e
m(n−1)は前回の誘起電圧振幅推定値である。ま
た、KLEMはローパスフィルタの係数であり、0から
1までの値をとり、小さくなるほどローパスフィルタの
効果が大きくなる。なお、ローパスフィルタは、誘起電
圧振幅演算値ecと前回の誘起電圧振幅推定値em(n
−1)との誤差(振幅誤差)を求め、これに係数KLE
Mを乗じた結果を前回の誘起電圧振幅推定値em(n−
1)に加えたものを今回の誘起電圧振幅推定値em
(n)とする。このように、ローパスフィルタを用いる
ことで、振幅誤差を算出し、この振幅誤差が小さくなる
ように、誘起電圧振幅推定値em(n)を補正する。
【0239】 em(n) = KLEM・ec + (1−KLEM)・em(n−1) ・・・(41)
【0240】[図6の説明] 次に、実施例1の特徴の1つである脱調検出部90の動
作を説明する。まず、脱調検出部90の動作の原理を説
明する。IPMSM10は、永久磁石13が配置される
ため、ロータ12が回転すると誘起電圧が発生する。こ
の誘起電圧の振幅は、ロータ12が回転する速度に比例
して大きくなる。ここで、角度推定部70は、この誘起
電圧の振幅を誘起電圧振幅推定値emとして推定してい
る。例えば、ユーザーがパラメータを設定するとき、角
度推定部70で使用するインダクタンスとして誤った値
を入力し、まれに脱調することがある。そして、脱調が
発生したとき、角度推定部70が推定する誘起電圧振幅
推定値emと推定速度ωmとの間に矛盾が生じる。
【0241】脱調検出部90は、この矛盾を検出し、サ
ーボオン信号sv*をLにして、駆動部30における通
電を禁止する。また、実施例1の位置センサレスモータ
制御装置の外部にもサーボオン信号sv*を出力し、上
位CPUやユーザーに知らせる。そして、上位CPUが
再起動などの処理をしたり、ユーザーがパラメータを変
更するなどをし、脱調からの復旧を図る。
【0242】[図10の説明] では、脱調検出部90の動作の詳細を説明する。誘起電
圧振幅脱調判断値作成部91は、ロータ12が推定速度
ωmで回転するときに発生すると予測される誘起電圧に
ある幅を持たせた範囲の上限値と下限値とを作成する。
図10は、実施例1における推定速度ωmに対する誘起
電圧振幅上限値eouthと誘起電圧振幅下限値eou
tlの関係図である。図10のように、誘起電圧振幅脱
調判断上限値eouthを、切片がEOUTH0であり
傾きがEOUTH1である推定角度ωmに関する1次関
数とする。また、誘起電圧振幅脱調判断下限値eout
lを、ωm軸との交点がEOUTL0であり傾きがEO
UTL1である推定角度ωmに関する1次関数とする。
【0243】脱調判断部92は、誘起電圧振幅推定値e
mが誘起電圧振幅脱調判断上限値eouthと誘起電圧
振幅脱調判断下限値eoutlとで表される範囲外のと
き、脱調と判断する。下記式(42)のように、誘起電
圧振幅推定値emが、誘起電圧振幅脱調判断下限値eo
utlよりも小さいとき、脱調と判断し、サーボオン信
号sv*をLにする。また、誘起電圧振幅推定値em
が、誘起電圧振幅脱調判断上限値eouthよりも大き
いとき、脱調と判断し、サーボオン信号sv*をLにす
る。これら以外のとき、脱調していないと判断し、サー
ボオン信号sv*をHにする。
【0244】 sv* = L (em < eoutl) sv* = H (eoutl ≦ em ≦ eouth) sv* = L (em > eouth) ・・・(42)
【0245】以上のように動作させることにより、実施
例1の位置センサレスモータ制御装置は、高分解能で高
精度に角度を推定することができる。また、実施例1の
位置センサレスモータ制御装置は、相電圧が飽和しても
角度を推定することができる。さらに、実施例1の位置
センサレスモータ制御装置は、誘起電圧定数が変化して
も高精度に角度を推定することができる。
【0246】他の実施例においては、脱調検出部90
は、偏差εが定められた値より大きい場合に、脱調と判
断し、サーボオン信号sv*をLにする。また、偏差ε
が定められた値より小さい場合に、脱調していないと判
断し、サーボオン信号sv*をHにする。この実施例に
おいては、単発的なノイズにより脱調検出部90が誤動
作することを防止するため、偏差εが定められた値より
大きい状態が、定められた時間以上連続する場合、又は
定められた回数以上連続する場合、脱調と判断し、サー
ボオン信号sv*をLにすることが、より好ましい。
【0247】以下、実施例1の位置センサレスモータ制
御装置の効果を説明する。
【0248】従来例1の位置センサレスモータ制御装置
は、3相の誘起電圧値を作成し、これらの誘起電圧値に
基づき比較結果を作成し、この比較結果の論理に基づき
矩形波駆動をしていた。そのため、通電相の切り替わり
時に、電流が歪み、トルクリップルが発生していた。
【0249】実施例1の位置センサレスモータ制御装置
は、誘起電圧基準値を作成し、誘起電圧値との差である
偏差εを用いて推定角度θmを補正する。そして、補正
された推定角度θmに基づき正弦波状の相電流指令値i
u*、iv*、iw*を作成し制御することで、正弦波
状の相電流を流す。
【0250】このように、実施例1の位置センサレスモ
ータ制御装置は、誘起電圧値と誘起電圧基準値との偏差
εを用いて推定角度θmを作成し、正弦波状の相電流を
流すことで、トルクリップルが低減された位置センサレ
スモータ制御装置を実現する。
【0251】従来例1の位置センサレスモータ制御装置
は、各相の誘起電圧値を演算し、それらの0クロスにお
いて、角度を特定する。すると、角度を検知できるの
は、電気角1回転当たり6回であり、分解能は電気角で
60°である。そのため、この角度を補間し使用する
と、速度が急変したときに応答できない。また、この角
度に基づき速度を作成し速度制御すると、速度制御の応
答性が低い。
【0252】実施例1の位置センサレスモータ制御装置
は、誘起電圧基準値を作成し、誘起電圧値との差である
偏差εを用いて推定角度θmを補正する。この推定角度
θmの補正は、角度推定周期ΔTごとに行われるため、
求められた推定角度θmは分解能が高く精度が高い。ま
た、この推定角度θmに基づき作成された推定速度ωm
も精度が高い。
【0253】このように、実施例1は、角度推定周期Δ
Tごとに偏差εを求め推定角度θmを補正することで、
常に高分解能で高精度な推定角度θmを作成する位置セ
ンサレスモータ制御装置を実現する。
【0254】推定相をある特定の1相に固定したときを
考えると、ある特定の角度付近において角度を推定でき
るのみである。例えば、推定相がu相のとき、角度θが
0°と180°付近でのみ角度の推定を実現する。その
ため、他の角度では角度を推定できないため、推定角度
θmの精度が悪くなる。
【0255】実施例1の位置センサレスモータ制御装置
は、推定角度θmにより、推定に用いる相(推定相)を
切り替える。ここで、この推定相の誘起電圧基準値es
mを作成し、この推定相の誘起電圧値である誘起電圧選
択値esを作成する。そして、誘起電圧基準値esmと
誘起電圧選択値esとの差である偏差εを用いて推定角
度θmを補正する。こうすることで、常に、推定角度θ
mの推定誤差の影響が最も現れる相の偏差εを用いて推
定角度θmを補正する。
【0256】このように、実施例1は、推定角度θmに
より、推定に用いる相を切り替えることで、常に高精度
な推定角度θmの推定を行う位置センサレスモータ制御
装置を実現する。
【0257】従来例2の位置センサレスモータ制御装置
は、ステータ巻線に流れる相電流とステータ巻線間に印
加される電圧とが正弦波状であることを前提とし、d軸
とq軸とで表される回転座標系で制御を行う。したがっ
て、ロータの速度や出力トルクが増大し必要な相電圧が
大きくなると、相電圧が飽和するため、正しく角度を推
定できず、高い角速度や大きな出力トルクを実現できな
かった。
【0258】実施例1の位置センサレスモータ制御装置
は、ステータ巻線の各相の相電圧方程式に基づき、誘起
電圧基準値esmを作成し、誘起電圧値との差である偏
差εを用いて推定角度θmを補正する。ステータ巻線の
相電圧方程式は、相電流と相電圧とが正弦波状でなくて
も成り立つため、相電圧が飽和しても推定角度θmを推
定する。
【0259】このように、実施例1は、ステータ巻線の
各相の相電圧方程式に基づき推定角度θmを補正するこ
とで、相電圧が飽和しても推定角度θmを作成し高速や
大きな出力トルクでモータを駆動する位置センサレスモ
ータ制御装置を実現する。
【0260】従来例2の位置センサレスモータ制御装置
は、モータ定数である抵抗値、d軸インダクタンス、q
軸インダクタンス、および誘起電圧定数を電圧方程式に
あてはめ角度の推定を行う。したがって、モータが駆動
されモータの温度が変化すると、永久磁石の磁束量が変
化し、誘起電圧定数が変化するため、正しく角度を推定
できなかった。
【0261】実施例1の位置センサレスモータ制御装置
は、各相の誘起電圧値から誘起電圧振幅推定値emを補
正し、この誘起電圧振幅推定値emを用いて誘起電圧基
準値esmを作成し、角度誤差Δθに応じ変化する偏差
εを求め推定角度θを作成する。ここで、速度と誘起電
圧定数とから誘起電圧値を求めずに、各相の相電圧か
ら、誘起電圧以外の成分を差し引くことにより誘起電圧
振幅推定値emを求めるため、誘起電圧定数の変化の影
響を受けない。
【0262】このように、実施例1は、誘起電圧振幅推
定値emを補正することで、誘電圧定数が変化しても高
精度な推定角度θmを作成する位置センサレスモータ制
御装置を実現する。
【0263】脱調を検出しないときを考えると、脱調時
には、位置センサレスモータ制御装置に速度指令を与え
ても、この速度指令とおりにロータ12が回転しない。
【0264】実施例1の位置センサレスモータ制御装置
は、ロータ12が推定速度ωmで回転するときに発生す
ると予測される誘起電圧の振幅にある幅を持たせた範囲
の上限値eouthと下限値eoutlとを作成する。
そして、誘起電圧推定値emがこの上限値eouthと
下限値eoutlの範囲外のとき、脱調と判断し、サー
ボオン信号sv*をLにする。すると、駆動部30にお
ける通電が禁止される。また、実施例1の位置センサレ
スモータ制御装置の外部にもサーボオン信号sv*を出
力し、上位CPUによる再起動やユーザーによるパラメ
ータの再設定を求めるなどをする。
【0265】このように、実施例1は、推定速度ωmと
誘起電圧振幅推定値emとの矛盾を検知することで、脱
調を検知する位置センサレスモータ制御装置を実現す
る。
【0266】角度推定のゲインが一定であるときを考え
ると、ロータの回転する速度により実効的なゲインが変
化する。偏差εの大きさが同一であれば、進み量θpを
変化させる量は同一である。ここで、高速時と比較し
て、低速時において、角度推定周期ΔTごとに進む角度
(進み量θp)が小さい。そのため、低速時において、
進み量θpに対して進み量θpを変化させる割合が大き
くなる。すると、低速時において最適なゲインに設定す
ると、高速時でのゲインは小さなものとなり、高速時に
おいて最適なゲインに設定すると、低速時でのゲインは
大きなものとなる。したがって、低速から高速まで最適
なゲインとならず、角度推定が不安定となることがあ
る。
【0267】実施例1の位置センサレスモータ制御装置
は、推定速度ωmが大きくなると比例ゲインκpと積分
ゲインκiとを大きくする。そして、低速から高速まで
最適なゲインを保つ。
【0268】このように、実施例1は、速度により角度
推定のゲインを変化させることで、低速から高速まで安
定に角度推定する位置センサレスモータ制御装置を実現
する。
【0269】また、角度推定のリミットに関しても同様
である。実施例1は、速度により角度推定のリミットを
変化させることで、低速から高速まで安定に角度推定す
る位置センサレスモータ制御装置を実現する。
【0270】補償量αを使用しないときを考える。補償
量αを使用しないときの角度推定部70は、精度のよい
推定角度θmを作成するが、多少誤差が含まれる。
【0271】実施例1の位置センサレスモータ制御装置
は、この誤差をあらかじめ実験などで求めテーブル化
し、角度推定θmを補償する量を示す補償量αを作成す
る。そして、この補償量αを推定角度θmに加算した角
度に基づき誘起電圧基準値esmを作成することで角度
推定の誤差を補償する。
【0272】このように、実施例1は、補償量αにより
角度推定の誤差を補償し、さらに精度のよく角度を推定
する位置センサレスモータ制御装置を実現する。
【0273】実施例1の位置センサレスモータ制御装置
は、逆転指令時のとき、u相電流値iuとv相電流値i
vとを交換し、u相電圧指令値vu*とv相電圧指令値
vv*とを交換する。こうすることで、u相のステータ
巻線11uとv相のステータ巻線11vとの接続を変更
したことと同様の作用があるため、簡単なソフトの変更
のみで逆転を実現する。
【0274】このように、実施例1は、逆転指令時に相
電流値同士を交換し相電圧指令値同士を交換すること
で、簡単なソフトの変更のみで容易にロータを逆転させ
る位置センサレスモータ制御装置を実現する。
【0275】《実施例2》 次に、本発明の実施例2における位置センサレスモータ
制御装置を説明する。実施例1の位置センサレスモータ
制御装置は、電流制御部50で作成される相電圧指令値
vu*、vv*、vw*から相電圧値vu、vv、vw
を作成した。実施例2の位置センサレスモータ制御装置
は、電圧センサを付加し相電圧を直接検知するものであ
る。そして、高分解能で高精度な角度の推定を実現し、
相電圧が飽和しても角度の推定を実現し、かつ、誘起電
圧定数が変化しても高精度な角度の推定を実現する。
【0276】まず、実施例2の位置センサレスモータ制
御装置の構成を説明する。図11は、実施例2における
位置センサレスモータ制御装置の構成を示すブロック図
である。また、図12は、実施例2における角度推定部
の構成を示すブロック図である。 [図11の説明] 実施例2の位置センサレスモータ制御装置は、実施例1
の位置センサモータ制御装置と比較して、ステータ巻線
11u、11v、11wの端子電圧をそれぞれ検知しア
ナログu相電圧値vua、アナログv相電圧値vva、
アナログw相電圧値vwaを出力する電圧センサ223
u、223v、223wが付加される。また、マイコン
222の構成が実施例1と異なる。また、このマイコン
222の中の電流制御部250と角度推定部270とが
実施例1と異なる。また、この角度推定部270の中の
相電圧値作成部271が実施例1と異なる。入出力に関
して実施例1と異なることは、電流制御部250が相電
圧指令値vu*、vv*、vw*を出力しないことと、
角度推定部270が相電圧指令値vu*、vv*、vw
*の代わりにアナログ相電圧値vua、vva、vwa
を入力することである。
【0277】その他の構成は、実施例1と同様であり、
同一の符号を付け説明を省略する。
【0278】次に、実施例2の位置センサレスモータ制
御装置の動作を説明する。
【0279】電圧センサ223u、223v、223w
は、それぞれステータ巻線11u、11v、11wに印
加される電圧を検知し、アナログu相電圧値vua、ア
ナログv相電圧値vva、アナログw相電圧値vwaを
作成する。これらのアナログ相電圧値には、適当なロー
パスフィルタが作用される。
【0280】[図12の説明] 相電圧値作成部271は、アナログ・ディジタル・コン
バータから構成され、それぞれアナログ値であるアナロ
グu相電圧値vua、アナログv相電圧値vva、アナ
ログw相電圧値vwaをデジタル値であるu相電圧値v
u、v相電圧値vv、w相電流値vwにアナログ/ディ
ジタル変換する。
【0281】実施例1の位置センサレスモータ制御装置
は、相電圧指令値vu*、vv*、vw*から相電圧値
vu、vv、vwを作成した。実施例2の位置センサレ
スモータ制御装置のように、電圧センサを付加し相電圧
を直接検知しても、実施例1と同様の作用を得られるた
め、実施例1と同様の効果を得る。
【0282】また、実施例2は、電圧センサ223u、
223v、223wを付加しステータ巻線11u、11
v、11wの電圧を直接検知するすることで、相電圧値
vu、vv、vwの精度を上げ、推定角度θmの推定精
度がさらに高い位置センサレスモータ制御装置を実現す
る。
【0283】《実施例3》 [図13の説明] 次に、本発明の実施例3における位置センサレスモータ
制御装置について説明する。実施例1の位置センサレス
モータ制御装置は、3相の相電流指令値iu*、iv
*、iw*を作成し、この相電流指令値iu*、iv
*、iw*とおりにステータ巻線11u、11v、11
wに電流が流れるように電流制御した。実施例3の位置
センサレスモータ制御装置は、相電流を推定角度θmに
よる回転座標系であるγδ軸上のγ軸電流値iγ、δ軸
電流値iδに変換し、これらがそれぞれγ軸電流指令値
iγ*、δ軸電流指令値iδ*とおりになるように電流
制御する。そして、ステータ巻線に流れる電流とステー
タ巻線に印加される電圧とに基づき、高分解能で高精度
な角度の推定を実現し、かつ、相電圧が飽和しても角度
の推定を実現する。
【0284】まず、実施例3の位置センサレスモータ制
御装置の構成を説明する。図13は、実施例3の位置セ
ンサレスモータ制御装置の構成を示すブロック図であ
る。マイコン322のみが実施例1と異なる。また、こ
のマイコン322の中の電流制御部350が実施例1と
異なる。その他の構成は実施例1と同様であり、実施例
1と同様の構成には同一の符号を付け説明を省略する。
【0285】[図14の説明] 電流制御部350は、アナログu相電流値iuaとアナ
ログv相電流値ivaと回転方向指令ωdir*とγ軸
電流指令値iγ*とδ軸電流指令値iδ*と推定角度θ
mと推定速度ωmとを入力しu相電流値iuとv相電流
値ivとu相電圧指令値vu*とv相電圧指令値vv*
とw相電圧指令値vw*とスイッチング指令信号gu
h、gul、gvh、gvl、gwh、gwlとを出力
する。
【0286】電流制御部350は、アナログu相電流値
iuaを入力し交換前u相電流値iu1を出力するAD
C51uと、アナログv相電流値ivaを入力し交換前
v相電流値iv1を出力するADC51vと、交換前u
相電流値iu1と交換前v相電流値iv1と回転方向指
令ωdir*を入力しu相電流値iuとv相電流値iv
とを出力する相電流値交換部52と、u相電流値iuと
v相電流値ivと推定角度θmとを入力しγ軸電流値i
γとδ軸電流値iδとを出力する三相二相変換部353
と、γ軸電流値iγとδ軸電流値iδとγ軸電流指令値
iγ*とδ軸電流指令値iδ*と推定速度ωmとを入力
しγ軸電圧指令値vγ*とδ軸電圧指令値vδ*とを出
力する電圧指令値作成部354と、γ軸電圧指令値vγ
*とδ軸電圧指令値vδ*と推定角度θmとを入力しu
相電圧指令値vu*とv相電圧指令値vv*とw相電圧
指令値vw*とを出力する二相三相変換部355と、u
相電圧指令値vu*とv相電圧指令値vv*とw相電圧
指令値vw*と回転方向指令ωdir*を入力し交換後
u相電圧指令値vu*1と交換後v相電圧指令値vv*
1と交換後w相電圧指令値vw*1とを出力する相電圧
指令値交換部56と、交換後u相電圧指令値vu*1と
交換後v相電圧指令値vv*1と交換後w相電圧指令値
vw*1とを入力しスイッチング指令信号guh、gu
l、gvh、gvl、gwh、gwlを出力するPWM
制御器57とから構成される。
【0287】次に、実施例3の位置センサレスモータ制
御装置の動作を説明する。電流制御部350の動作のみ
が実施例1と異なる。その他の構成の動作は実施例1と
同様であり、説明を省略する。
【0288】電流制御部350は、ある設定された時間
(電流制御周期)ごとに起動され、ADC51u、51
v、相電流値交換部52、三相二相変換部353、電圧
指令値作成部354、二相三相変換部355、相電圧指
令値交換部56、PWM制御器57の順に下記の動作を
し、γ軸電流指令値iγ*、およびδ軸電流指令値iδ
*とおりにステータ巻線11u、11v、11wに電流
が流れるようにスイッチング信号guh、gul、gv
h、gvl、gwh、gwlを制御する。
【0289】ADC51u、51vは、および、相電流
値交換部52は、実施例1と同様であり説明を省略す
る。
【0290】三相二相変換部353は、ステータ巻線1
1u、11v、11wに流れる電流を示す電流値を推定
角度θmによる回転座標系であるγδ軸上のγ軸電流値
iγとδ軸電流値iδに変換する。また、後述の二相三
相変換部355は、ステータ巻線11u、11v、11
wに印加する電圧について三相二相変換部353で行わ
れる変換の逆変換を行う。具体的には、三相二相変換部
353は、下記式(43)、(44)のようにγ軸電流
値iγとδ軸電流値iδとを作成する。
【0291】 iγ={√(2)}・{iu・sin(θm+60°)+iv・sinθm} ・・・(43) iδ={√(2)}・{iu・cos(θm+60°)+iv・cosθm} ・・・(44)
【0292】電圧指令値作成部354は、γ軸電流値i
γがγ軸電流指令値iγ*とおりになるように比例積分
制御(PI制御)と非干渉制御とを用いてγ軸電圧指令
値vγ*を制御する。また、δ軸電流値iδがδ軸電流
指令値iδ*とおりになるように比例積分制御(PI制
御)と非干渉制御とを用いてδ軸電圧指令値vδ*を制
御する。
【0293】下記式(45)のように、γ軸電流指令値
iγ*とγ軸電流値iγの差を比例ゲインKPD、およ
び積分ゲインKIDで比例積分制御した結果に、ステー
タ巻線一相あたりの抵抗Rにγ軸電流指令値iγ*を乗
じた結果を加算し、角速度ωeにq軸インダクタンスL
qを乗じさらにδ軸電流指令値iδ*を乗じた結果を減
算したものをγ軸電圧指令値vγ*とする。ここで、角
速度ωeは推定速度ωmから計算される。
【0294】 vγ* =KPD・(iγ*−iγ)+KID・Σ(iγ*−iγ) +R・iγ*−ωe・Lq・iδ* ・・・(45)
【0295】また、下記式(46)のように、δ軸電流
指令値iδ*とδ軸電流値iδの差を比例ゲインKP
Q、および積分ゲインKIQで比例積分制御した結果
に、相抵抗Rにδ軸電流指令値iδ*を乗じた結果を加
算し、角速度ωeにd軸インダクタンスLdを乗じさら
にγ軸電流指令値iγ*を乗じた結果を加算し、角速度
ωeに永久磁石13によるdq軸巻線鎖交磁束実効値ψ
を乗じた結果を加算したものをδ軸電圧指令値vδ*と
する。
【0296】 vδ* = KPQ・(iδ*−iδ)+KIQ・Σ(iδ*−iδ) +R・iδ*+ωe・Ld・iγ*+ωe・ψ ・・・(46)
【0297】二相三相変換部355は、推定角度θmに
よる回転座標系であるγδ軸上のγ軸電圧指令値vγ*
とδ軸電圧指令値vδ*とを静止座標系に変換し、ステ
ータ巻線11u、11v、11wに印加するu相電圧指
令値vu*とv相電圧指令値vv*とw相電圧指令値v
w*とを作成する。具体的には、下記式(47)、(4
8)、(49)のようにする。ただし、駆動部30が電
源31の電圧よりも大きな電圧をステータ巻線11u、
11v、11wに印加することができないため、式(1
5)(17)(19)のようなリミットを設ける。
【0298】 vu* = {√(2/3)}・{vγ*・cosθm −vδ*・sinθm} ・・・(47) vv* = {√(2/3)}・{vγ*・cos(θm−120°) −vδ*・sin(θm−120°)} ・・・(48) vw* = {√(2/3)}・{vγ*・cos(θm+120°) −vδ*・sin(θm+120°)} ・・・(49)
【0299】相電圧指令値交換部56、およびPWM制
御器57は、実施例1と同様の動作をするため、その動
作の説明を省略する。
【0300】その他の構成の動作は実施例1と同様であ
り説明を省略する。
【0301】実施例1の位置センサレスモータ制御装置
は、3相の相電流指令値iu*、iv*、iw*を作成
し、電流制御した。実施例3の位置センサレスモータ制
御装置のように、推定角度θmによる回転座標系である
γδ軸上で電流制御しても、実施例1と同様の作用をす
るため、実施例1と同様な効果を持つ。
【0302】《実施例4》 次に、本発明の実施例4における位置センサレスモータ
制御装置について説明する。実施例1の位置センサレス
モータ制御装置は、厳密な相電圧方程式を用いて誘起電
圧値を求めた。実施例4の位置センサレスモータ制御装
置は、簡略化した相電圧方程式を用いて誘起電圧値を求
めるものであり、角度推定の演算時間の短縮を実現す
る。
【0303】[図15の説明] まず、実施例4の位置センサレスモータ制御装置の構成
を説明する。図15は、実施例4における位置センサレ
スモータ制御装置の構成を示すブロック図であり、図1
6は、実施例4における角度推定部の構成を示すブロッ
ク図である。マイコン422のみが実施例1と異なる。
また、このマイコン422の中の速度制御部440と電
流制御部450と角度推定部470とが実施例1と異な
る。また、この角度推定部470の中の誘起電圧値演算
部472が実施例1と異なる。その他の構成は実施例1
に示したものと同様であり、実施例1と同様の構成には
同一の符号を付け説明を省略する。
【0304】速度制御部440は、アナログ速度指令値
ω*aと推定速度ωmとを入力しγ軸電流指令値iγ*
とδ軸電流指令値iδ*と電流指令振幅iaと電流指令
位相βTとを出力する。電流制御部450は、アナログ
u相電流値iuaとアナログv相電流値ivaと回転方
向指令ωdir*とγ軸電流指令値iγ*とδ軸電流指
令値iδ*と推定角度θmとを入力しu相電圧指令値v
u*とv相電圧指令値vv*とw相電圧指令値vw*と
スイッチング指令信号guh、gul、gvh、gv
l、gwh、gwlとを出力する。角度推定部470
は、電流指令振幅iaと電流指令位相βTとu相電圧指
令値vu*とv相電圧指令値vv*とw相電圧指令値v
w*と補償量αとを入力し推定角度θmと推定速度ωm
と誘起電圧振幅推定値emとを出力する。
【0305】次に、実施例4の位置センサレスモータ制
御装置の動作を説明する。速度制御部440、および電
流制御部450は、それぞれ、実施例1の速度制御部4
0、および電流制御部50と比較して出力が異なるのみ
であり、動作は同様である。また、誘起電圧値演算部4
72以外の構成は、実施例3と同様である。そのため、
この誘起電圧演算部472以外の構成の説明を省略す
る。
【0306】[図16の説明] 誘起電圧値演算部472は、各相の誘起電圧値(u相誘
起電圧値eu、v相誘起電圧値ev、w相誘起電圧値e
w)を作成する。各相の相電圧方程式を誘起電圧値につ
いて解き、これを簡略化する。具体的には、相電流値i
u、iv、iwが正弦波であると仮定し、電流指令振幅
iaと電流指令位相βTとから相電流iu、iv、iw
を作成し、これを式(26)(27)(28)に代入
し、簡略化し、下記式(50)(51)(52)を得
る。
【0307】 eu = vu + R・ia・sin(θm+βT) + 1.5・(la+La)・cos(θm+βT) − 1.5・Las・cos(θm−βT) ・・・(50) ev = vv + R・ia・sin(θm+βT−120°) + 1.5・(la+La)・cos(θm+βT−120°) − 1.5・Las・cos(θm−βT−120°) ・・・(51) ew = vw + R・ia・sin(θm+βT−240°) + 1.5・(la+La)・cos(θm+βT−240°) − 1.5・Las・cos(θm−βT−240°) ・・・(52)
【0308】実施例1の位置センサレスモータ制御装置
は、厳密な相電圧方程式を用いて誘起電圧値を求めた。
実施例4の位置センサレスモータ制御装置のように、簡
略化した相電圧方程式を用いて誘起電圧値を求めても、
実施例1と同様の作用を得られるため、実施例1と同様
の効果を得る。
【0309】また、実施例4は、実施例1と比較して各
相の相電圧値を簡略化することで、誘起電圧値(u相誘
起電圧値vu、v相誘起電圧値vv、w相誘起電圧値v
w)を演算する時間を短縮する位置センサレスモータ制
御装置を実現する。
【0310】また、実施例4は、相電流波形が正弦波状
であると仮定した相電流値を使用することで、電流セン
サ21u、21vが検知するアナログ相電流値iua、
ivaにノイズが混入しても、このノイズの影響なく角
度を推定する位置センサレスモータ制御装置を実現す
る。 《実施例5》 次に、本発明の実施例5における位置センサレスモータ
制御装置について説明する。実施例1の位置センサレス
モータ制御装置は、推定角度θmにより推定相を切り替
えた。実施例5の位置センサレスモータ制御装置は、各
相の内で誘起電圧値の大きさが一番小さい相を推定相と
するものである。
【0311】[図17及び図18の説明] まず、実施例5の位置センサレスモータ制御装置の構成
を説明する。図17は、実施例5における位置センサレ
スモータ制御装置の構成図を示すブロック図であり、図
18は、実施例5における角度推定部570の構成を示
すブロック図である。マイコン522のみが実施例1と
異なる。また、このマイコン522の中の角度推定部5
70が実施例1と異なる。また、この角度推定部570
の中の推定相選択部573が実施例1と異なる。その他
の構成は実施例1に示したものと同様であり、実施例1
と同様の構成には同一の符号を付け説明を省略する。
【0312】[図19の説明] 次に、実施例5の位置センサレスモータ制御装置の動作
を説明する。推定相選択部573は、各相の内で誘起電
圧値の大きさが一番小さい相を推定相とする。図19
は、実施例5における各相の誘起電圧値と推定相指標の
関係を示す波形図である。下記式(53)と図19のよ
うに、各相の内で誘起電圧値の大きさが一番小さい相が
u相であり、v相誘起電圧値が正であり、かつw相誘起
電圧値が負であるとき、推定相指標を0とし、推定相を
u相とする。他の場合についても、下記式(53)と図
19より推定相指標ηと推定相を求める。
【0313】 η=0 推定相=u相 (|eu|が最小、ev>0、ew<0のとき) η=1 推定相=w相 (|ew|が最小、ev>0、eu<0のとき) η=2 推定相=v相 (|ev|が最小、ew>0、eu<0のとき) η=3 推定相=u相 (|eu|が最小、ew>0、ev<0のとき) η=4 推定相=w相 (|ew|が最小、eu>0、ev<0のとき) η=5 推定相=v相 (|ev|が最小、eu>0、ew<0のとき) ・・・(53)
【0314】実施例1の位置センサレスモータ制御装置
は、推定角度θmにより推定相を切り替えた。実施例5
の位置センサレスモータ制御装置のように、各相の内で
誘起電圧値の大きさが一番小さい相を推定相としても、
実施例1と同様の作用を得られるため、実施例1と同様
の効果を得る。
【0315】《実施例6》 次に、本発明の実施例6における位置センサレスモータ
制御装置について説明する。実施例1の位置センサレス
モータ制御装置は、誘起電圧値と誘起電圧基準値esm
とのとの偏差に基づき推定角度θmを補正した。実施例
6の位置センサレスモータ制御装置は、相電圧方程式を
大幅に簡略化し、相電圧基準値を作成し、相電圧値と相
電圧基準値との偏差を求め、この偏差が0に収斂するよ
うに推定角度θmを補正する。また、実施例1の位置セ
ンサレスモータ制御装置は、ステータ巻線の各相の相電
圧方程式の係数のうち誘起電圧振幅を補正した。実施例
6の位置センサレスモータ制御装置は、相電圧振幅を補
正する。
【0316】そして、高分解能で高精度な角度の推定を
実現し、相電圧が飽和しても角度の推定を実現し、か
つ、モータ定数が変化しても高精度に角度を推定する位
置センサレスモータ制御装置を実現する。
【0317】[図20の説明] まず、実施例6の位置センサレスモータ制御装置の構成
を説明する。図20は、実施例6における位置センサレ
スモータ制御装置の構成を示すブロック図である。実施
例6の位置センサレスモータ制御装置は、マイコン62
2が実施例1と異なる。このマイコン622の中の補償
量作成部660と角度推定部670と脱調検出部690
とが実施例1と異なる。その他の構成は、実施例1と同
様であり、同一の符号を付け説明を省略する。
【0318】実施例1において、角度推定部70は、誘
起電圧振幅推定値emを出力し、脱調検出部90は、こ
の誘起電圧振幅推定値emを入力した。実施例6におい
て、この誘起電圧振幅推定値emの代わりに相電圧振幅
推定値vmを入出力する。すなわち、実施例6におい
て、角度推定部670は、相電圧振幅推定値vmを出力
し、脱調検出部690は、相電圧振幅推定値vmを入力
する。
【0319】[図21の説明] 図21は、実施例6における角度推定部670の構成を
示すブロック図である。角度推定部670は、u相電圧
指令値vu*とv相電圧指令値vv*とw相電圧指令値
vw*とを入力しu相電圧値vuとv相電圧値vvとw
相電圧値vwとを出力する相電圧値作成部71と、推定
角度θmと補償量αとを入力し推定相指標ηを出力する
推定相選択部73と、推定相指標ηとu相電圧値vuと
v相電圧値vvとw相電圧値vwとを入力し相電圧選択
値vsを出力する相電圧選択値選択部674と、推定相
指標ηと推定角度θmと補償量αと相電圧振幅推定値v
mとを入力し相電圧基準値vsmを出力する相電圧基準
値作成部675と、相電圧選択値vsと相電圧基準値v
smとを入力し偏差εを出力する偏差作成部676と、
推定速度ωmを入力し比例ゲインκpと積分ゲインκi
と比例リミットζpと積分リミットζiとを出力するゲ
インリミット作成部77と、推定相指標ηと偏差εと比
例ゲインκpと積分ゲインκiと比例リミットζpと積
分リミットζiとを入力し推定角度θmと推定速度ωm
とを出力する角度速度補正部78と、u相電圧値vuと
v相電圧値vvとw相電圧値vwとを入力し相電圧振幅
推定値vmを出力する相電圧振幅推定値補正部680と
から構成される。
【0320】相電圧振幅推定値値補正部680は、u相
電圧値vuとv相電圧値vvとw相電圧値vwとを入力
し相電圧振幅演算値vcを出力する相電圧振幅演算値作
成部681と、相電圧振幅演算値vcを入力し相電圧振
幅推定値vmを出力する相電圧振幅推定値変更部682
とから構成される。
【0321】[図22の説明] 図22は、実施例6における脱調検出部690の構成を
示すブロック図である。脱調検出部690は、推定速度
ωmを入力し相電圧振幅脱調判断上限値vouthと相
電圧振幅脱調判断下限値voutlとを出力する相電圧
脱調判断値作成部691と、相電圧振幅脱調判断上限値
vouthと相電圧振幅脱調判断下限値voutlと相
電圧基準値vmとを入力しサーボオン信号sv*を出力
する脱調判断部692とから構成される。
【0322】次に、本発明の実施例6の位置センサレス
モータ制御装置の動作を説明する。補償量作成部66
0、角度推定部670、および脱調検出部690以外の
構成の動作は実施例1の構成の動作と同様であり説明は
省略する。
【0323】まず、実施例6の位置センサレスモータ制
御装置の角度推定の原理を説明する。dq軸上におい
て、電圧方程式は下記式(54)のように表される。d
軸電流値id、q軸電流値iqを制御したとき、d軸電
圧値vd、q軸電圧値vqは一意に決まるため、その電
圧位相βvも一意に決まり、下記式(55)のようにな
る。
【0324】 vd = R・id − ωe・Lq・iq vq = R・iq + ωe(ψ+ Ld・id) ・・・(54) βv =−atan[{R・id−ωe・Lq・iq}/ {R・iq+ωe・(ψ+Ld・id)}] ・・・(55)
【0325】ここで、この電圧位相を持つ相電圧基準値
vsmを作成し、この相電圧基準値vsmに相電圧が一
致するように、推定角度θmと相電圧基準値の振幅であ
る相電圧振幅推定値vmとを補正する。こうして、角度
推定を実現する。さて、両者を一致させる方法は、実施
例1と同様の原理を用いる。また、電圧位相を求めると
き、d軸電流値idとq軸電流値iqとを用いる代わり
に、それらの推定軸γδ軸上の指令値であるγ軸電流指
令値iγ*とδ軸電流指令値iδ*とを用いる。なお、
この電圧位相は補償量αに含める。
【0326】また、脱調を検出する方法を変更する。ロ
ータ12が回転する速度が大きくなると、誘起電圧が大
きくなるため、大きな相電圧を印加する必要がある。そ
のため、電流制御部50により作成される相電圧指令の
振幅が大きくなる。実施例1において、誘起電圧の振幅
が速度に比例することを用いて脱調を検出した。相電圧
指令値の振幅についても、速度とともに大きくなる傾向
があるので、実施例6のおいて、相電圧指令値の振幅を
用いて実施例1と同様の方法で脱調を検出する。
【0327】では、実施例6の位置センサレスモータ制
御装置の動作の詳細を説明する。まず、補償量作成部6
60の動作を説明する。補償量作成部660は、電流制
御部50の動作が終了するごとに動作する。この補償量
作成部660は、角度推定部670において角度推定θ
mを補償する量を示す補償量αを作成する。この補償量
αは、電圧位相と角度推定の誤差とを足し合わせたたも
のである。
【0328】まず、電圧位相分(α1)を作成する。こ
れは、式(55)をγ軸電流指令値iγ*とδ軸電流指
令値iδ*とを用いて書き換え、下記式(56)のよう
に、表される。次に、角度推定の誤差分(α2)を作成
する。これは、実施例1と同様に、下記式(57)のよ
うにする。そして、下記式(58)のように、両者の和
を補償量αとする。
【0329】 α1 =−atan[{R・iγ*−ωe・Lq・iδ*}/ {R・iδ*+ωe・(ψ+Ld・iγ*)}]・・・(56) α2 = αtable(θm%60°,ωm,iγ*,iδ*) ・・・(57) α = α1 + α2 ・・・(58)
【0330】次に、角度推定部670の動作を説明す
る。相電圧作成部71、および推定相選択部73は、実
施例1と同様であり、その説明を省略する。
【0331】相電圧選択値選択部674は、推定相の相
電圧値を相電圧選択値vsにする。下記式(59)のよ
うに、推定相指標η=0、および3のとき、u相電圧値
vuを相電圧選択値vsにする。また、推定相指標η=
2、および5のとき、v相電圧値evを相電圧選択値v
sにする。さらに、推定相指標η=1、および4のと
き、w相電圧値vwを相電圧選択値vsにする。
【0332】 vs = vu (η=0、3のとき) vs = vv (η=2、5のとき) vs = vw (η=1、4のとき) ・・・(59)
【0333】相電圧基準値値作成部675は、推定相の
相電圧値の基準値である相電圧基準値vsmを作成す
る。下記式(60)のように、推定相η=0、3のと
き、u相の相電圧基準値(u相電圧基準値vum)を相
電圧基準値vsmにする。また、推定相η=2、5のと
き、v相の相電圧基準値(v相電圧基準値vvm)を相
電圧基準値vsmにする。推定相η=1、4のとき、w
相の相電圧基準値(w相電圧基準値vwm)を相電圧基
準値vsmにする。
【0334】 vsm = vum (η=0、3のとき) vsm = vvm (η=2、5のとき) vsm = vwm (η=1、4のとき) vum = −vm・sin(θm+α) vvm = −vm・sin(θm+α−120°) vwm = −vm・sin(θm+α−240°) ・・・(60)
【0335】偏差作成部76は、相電圧選択値vsと相
電圧基準値vsmとの偏差εを作成する。下記式(6
1)のように、相電圧選択値vsから相電圧基準値vs
mを減算したものを偏差εにする。
【0336】 ε = vs − vsm ・・・(61)
【0337】ゲインリミット作成部77、および角度補
正部78は、実施例1と同様であり、説明を省略する。
【0338】相電圧振幅演算値作成部681は、各相の
相電圧値の絶対値を加算した結果に基づき相電圧演算値
vcを作成する。下記式(62)のように、u相電圧値
vuの絶対値とv相電圧値vvの絶対値とw相電圧値v
wの絶対値との加算結果にある設定された係数KECを
乗じたものを相電圧演算値vcとする。ここで、係数K
ECは式(40)のように与えられ、各相が正弦波であ
るとして、各相の絶対値の和を振幅に変換するために乗
算される。
【0339】 vc = KEC・(|vu|+|vv|+|vw|) ・・・(62)
【0340】誘起電圧振幅推定値変更部682は、相電
圧振幅演算値vcに1次ディジタルローパスフィルタ
(LPF)を作用したものを相電圧振幅推定値vmとす
る。具体的には、下記式(63)のようにする。ここ
で、vm(n)は今回の相電圧振幅推定値であり、vm
(n−1)は前回の相電圧振幅推定値である。また、K
LEMはローパスフィルタの係数であり、0から1まで
の値をとり、KLEMが小さくなるほどローパスフィル
タの効果が大きくなる。なお、ローパスフィルタは、相
電圧振幅演算値vcと前回の相電圧振幅推定値vm(n
−1)との誤差(振幅誤差)を求め、これに係数KLE
Mを乗じた結果を前回の相電圧振幅推定値vm(n−
1)に加えたものを今回の相電圧振幅推定値vm(n)
とする。このように、ローパスフィルタを用いること
で、振幅誤差を算出し、この振幅誤差が小さくなるよう
に、相電圧振幅推定値vm(n)を補正する。
【0341】 vm(n) = KLEM・vc + (1−KLEM)・vm(n−1) ・・・(63)
【0342】[図23の説明] 次に、脱調検出部690の動作の詳細を説明する。相電
圧振幅脱調判断値作成部691は、ロータ12が推定速
度ωmで回転するときに発生すると予測される相電圧の
振幅にある幅を持たせた範囲の上限値と下限値とを作成
する。図23は、実施例6における推定速度ωmに対す
る相電圧振幅上限値vouthと相電圧振幅下限値vo
utlの関係図である。図23のように、相電圧振幅脱
調判断上限値vouthを、切片がVOUTH0であり
傾きがVOUTH1である推定角度ωmに関する1次関
数とする。また、相電圧振幅脱調判断下限値voutl
を、ωm軸との交点がVOUTL0であり傾きがVOU
TL1である推定角度ωmに関する1次関数とする。
【0343】脱調判断部692は、相電圧振幅推定値v
mが相電圧振幅脱調判断上限値vouthと相電圧振幅
脱調判断下限値voutlとの範囲外のとき、脱調と判
断する。下記式(64)のように、相電圧振幅推定値v
mが、相電圧振幅脱調判断下限値voutlよりも小さ
いとき、脱調と判断し、サーボオン信号sv*をLにす
る。また、相電圧振幅推定値vmが、相電圧振幅脱調判
断上限値vouthよりも大きいとき、脱調と判断し、
サーボオン信号sv*をLにする。これら以外のとき、
脱調していないと判断し、サーボオン信号sv*をHに
する。
【0344】 sv* = L (vm < voutl) sv* = H (voutl ≦ vm ≦ vouth) sv* = L (vm > vouth) ・・・(64)
【0345】実施例1の位置センサレスモータ制御装置
は、誘起電圧値と誘起電圧基準値esmとの偏差を0に
収斂するように動作させることにより推定角度θmを作
成した。実施例6の位置センサレスモータ制御装置のよ
うに、相電圧値と相電圧基準値vsmとの偏差を0に収
斂するように動作させても、実施例1と同様の作用をす
る。そのため、実施例6は、実施例1と同様の効果を有
する。
【0346】また、実施例1の位置センサレスモータ制
御装置は、誘起電圧基準値に誘起電圧値を一致させるよ
うに推定角度θmと誘起電圧振幅推定値emとを補正し
た。よって、各相の誘起電圧値(u相誘起電圧値eu、
v相誘起電圧値ev、w相誘起電圧値ew)を演算する
ための演算時間が必要であった。
【0347】実施例6の位置センサレスモータ制御装置
は、相電圧基準値vsmに相電圧値を一致させるように
推定角度θmと相電圧振幅推定値vmとを補正する。こ
こで、各相の相電圧値(u相電圧値vu、v相電圧値v
v、w相電圧値vw)は、電流制御部50により作成さ
れるため、角度推定部70において、演算時間を必要と
しない。
【0348】このように、実施例6は、相電圧基準値v
smに相電圧値を一致させるようにすることにより、演
算時間少なく角度推定を実現する位置センサレスモータ
制御装置を実現する。
【0349】《実施例7》 次に、本発明の実施例7における位置センサレスモータ
制御装置について説明する。実施例1の位置センサレス
モータ制御装置は、誘起電圧値と誘起電圧基準値との偏
差に基づき推定角度θmを補正した。また、実施例6の
位置センサレスモータ制御装置は、相電圧方程式を大幅
に簡略化し、相電圧基準値を作成し、相電圧値と相電圧
基準値との偏差を求め、この偏差が0に収斂するように
推定角度θmを補正する。本発明は各相のステータ巻線
の相電圧方程式に着目することが主旨であり、前者は誘
起電圧に、後者は相電圧に着目したものである。このよ
うに、本発明は様々な変形が可能である。実施例7は、
その一例を示すものであり、相電流に着目する。実施例
7の位置センサレスモータ制御装置は、相電流基準値を
作成し、この相電流基準値と相電流の偏差を求め、この
偏差が誘起電圧の偏差と等価であることを利用し、この
偏差が0に収斂するように推定角度θmを補正するもの
である。
【0350】また、実施例1から実施例6の位置センサ
レスモータ制御装置は、IPMSM(埋込磁石型同期モ
ータ)を制御した。実施例7の位置センサレスモータ制
御装置は、SPMSM(表面磁石型同期モータ)を制御
する。
【0351】[図24の説明] 図24は、実施例7における位置センサレスモータ制御
装置の構成を示すブロック図である。SPMSM(Su
rface Permanent Magnet Sy
nchronous Motor:表面磁石型同期モー
タ)710は、相電流が流れるステータ巻線11u、1
1v、11wが巻回されたステータ(図示せず)と、こ
のステータ(図示せず)に対向し近接して配置されたロ
ータ712とが設けられている。ここで、ステータ巻線
11u、11v、11wはY結線されている。このブラ
シレスモータ710は、ロータ712の表面に永久磁石
713が配置され、相電流により生成される磁束とこの
永久磁石713による磁束との相互作用によりロータ7
12が回転する。
【0352】実施例7の位置センサレスモータ制御装置
は、マイコン722が実施例1と異なる。このマイコン
722の中の速度制御部740と角度推定部770とが
実施例1と異なる。その他の構成は、実施例1と同様で
あり、同一の符号を付け説明を省略する。
【0353】[図25の説明] 図25は、実施例7における速度制御部の構成を示すブ
ロック図である。速度制御部740の中の電流指令値作
成部743が実施例1と異なる。速度制御部740の中
の他の構成は、実施例1と同様であり、説明を省略す
る。
【0354】[図26の説明] 図26は、実施例7における角度推定部の構成を示すブ
ロック図である。角度推定部770は、u相電圧指令値
vu*とv相電圧指令値vv*とw相電圧指令値vw*
とを入力しu相電圧値vuとv相電圧値vvとw相電圧
値vwとを出力する相電圧値作成部71と、u相電圧値
vuとv相電圧値vvとw相電圧値vwと推定角度θm
と推定速度ωmとu相電流値iuとv相電流値ivとを
入力しu相誘起電圧値euとv相誘起電圧値evとw相
誘起電圧値ewとを出力する誘起電圧値演算部72と、
推定角度θmと補償量αとを入力し推定相指標ηを出力
する推定相選択部73と、推定相指標ηとu相電流値i
uとv相電流値ivとを入力し相電流選択値isを出力
する相電流選択値選択部774と、推定相指標ηと推定
角度θmと補償量αと誘起電圧振幅推定値emとu相電
流値iuとv相電流値ivとu相電圧値vuとv相電圧
値vvとw相電圧値vwとを入力し相電流基準値ism
を出力する相電流基準値作成部775と、相電流選択値
isと相電流基準値ismとを入力し偏差εを出力する
偏差作成部776と、推定速度ωmを入力し比例ゲイン
κpと積分ゲインκiと比例リミットζpと積分リミッ
トζiとを出力するゲインリミット作成部77と、推定
相指標ηと偏差εと比例ゲインκpと積分ゲインκiと
比例リミットζpと積分リミットζiとを入力し推定角
度θmと推定速度ωmとを出力する角度速度補正部77
8と、u相誘起電圧値euとv相誘起電圧値evとw相
誘起電圧値ewとを入力し誘起電圧振幅推定値emを出
力する誘起電圧振幅推定値補正部80とから構成され
る。誘起電圧振幅推定値補正部80は、実施例1と同様
であり、説明を省略する。
【0355】次に、本発明の実施例7の位置センサレス
モータ制御装置の動作を説明する。実施例7において、
速度制御部740、および角度推定部770以外の構成
は実施例1と同様であり説明を省略する。
【0356】まず、速度制御部740の動作を説明す
る。速度制御部740は、ある設定された時間ごとに起
動され、ADC41、トルク指令値作成部42、電流指
令値作成部743の順に下記の動作をさせ、外部から入
力されるアナログ速度指令値ω*aとおりの速度でロー
タ712が回転するようにγ軸電流指令値iγ*とδ軸
電流指令値iδ*とを制御するものである。
【0357】ADC21、およびトルク指令値作成部4
2の動作は、実施例1と同様であり説明を省略する。
【0358】電流指令値作成部743は、SPMSM7
10の出力トルクがトルク指令値T*とおりになるよう
に、γ軸電流指令値iγ*とδ軸電流指令値iδ*とを
作成する。式(5)のように、トルク指令値T*をある
設定された値KTで除算した結果を電流指令値振幅ia
とする。また、下記式(65)のように、γ軸電流指令
値iγ*を0とする。一方、下記式(66)のように、
δ軸電流指令値iδ*を電流指令値振幅iaとする。
【0359】 iγ* = 0 ・・・(65) iδ* = ia ・・・(66)
【0360】次に、角度推定部770の動作を説明す
る。まず、相電流基準値と相電流値との偏差の意味を説
明する。
【0361】SPMSM710において、u相の相電圧
方程式は下記式(67)のように表される。ここで、v
uはu相電圧値、euはu相誘起電圧値、Rは相抵抗
値、iuはu相電流値、Lはインダクタンス、d/dt
は時間微分を表す。ここで、u相誘起電圧値euは、後
述の相電圧方程式から演算された相誘起電圧値euその
ものを示さない。
【0362】 vu = eu+ R・iu + L・d(iu)/dt ・・・(67)
【0363】式(67)を1次オイラー近似により離散
化し、u相電流値iuについて解いたものが、下記式
(68)である。iu(n)は今回に角度推定部770
が起動されたときのu相電流値iuである。また、iu
(n−1)、vu(n−1)、eu(n−1)は、それ
ぞれ前回に角度推定部770が起動されたときのu相電
流値iu、u相電圧値vu、u相誘起電圧値euであ
る。である。なお、ΔTは角度推定周期であり、角度推
定部770が起動される周期を表す。
【0364】 iu(n) = iu(n−1) + ΔT/L・{vu(n−1)−eu(n−1)−R・iu(n−1)} ・・・(68)
【0365】また、誘起電圧値eu(n−1)は下記式
(69)のように表される。ここで、eは誘起電圧振
幅、θ(n−1)は前回に角度推定部770が起動され
たときの角度θである。なお、誘起電圧の波形が正弦波
状であると仮定する。
【0366】 eu(n−1) = −e・sin{θ(n−1)} ・・・(69)
【0367】一方、モデル化したモータにおいて、離散
化した方程式は、下記式(70)で表される。ここで、
iumはu相電流基準値、eumはu相誘起電圧基準値
である。また、u相誘起電圧基準値eum(n−1)は
下記式(71)のように表される。ここで、emは誘起
電圧振幅推定値、θm(n−1)は前回に角度推定部7
70が起動されたときの推定角度θmである。
【0368】 ium(n) = iu(n−1) +ΔT/L・{vu(n−1)−eum(n−1)−R・iu(n−1)} ・・・(70) eum(n−1) = −em・sin{θm(n−1)} ・・・(71)
【0369】ここで、u相において、下記式(72)の
ように、u相電流値iuと相電流基準値iumとの偏差
(u相偏差εu)をとる。そして、相電圧方程式におけ
る抵抗値RとインダクタンスLとが正しければ、u相偏
差εuはu相の誘起電圧値と誘起電圧基準値の偏差に比
例する。ただし、実施例1と比較して、その符号は異な
る。
【0370】 εu = iu(n) − ium(n) = − ΔT/L・{eu(n−1) − eum(n−1)} ・・・(72)
【0371】したがって、実施例1と同様の考えが適応
でき、u相電流値iuと相電流基準値iumとを一致さ
せるように動作させることで、角度推定を実現する。た
だし、偏差の符号が異なるため、推定角度θmを補正す
る向きを逆にする。
【0372】では、角度推定部770の動作の詳細を説
明する。角度推定部770は、ある設定された周期(角
度推定周期:ΔT)ごとに起動され、相電圧値作成部7
1、誘起電圧値演算部72、推定相選択部73、相電流
選択値選択部774、相電流基準値作成部775、偏差
作成部776、ゲインリミット作成部77、角度速度補
正部778、誘起電圧振幅演算値作成部81、誘起電圧
振幅推定値変更部82の順に下記の動作をさせ、推定角
度θmと推定速度ωmとを作成する。また、電流制御部
750、補償量作成部60、角度推定部770の順に動
作させ、角度推定周期ΔTと電流制御周期とを同一とす
る。
【0373】相電圧値作成部71、誘起電圧値演算部7
2、および推定相選択部73は実施例1と同様であり説
明を省略する。
【0374】相電流選択値選択部774は、推定相の相
電流値を相電流選択値isにする。下記式(73)のよ
うに、推定相指標η=0、および3のとき、u相電流値
iuを相電流選択値isにする。また、推定相指標η=
2、および5のとき、v相電流値ivを相電流選択値i
sにする。さらに、推定相指標η=1、および4のと
き、w相電流値iwを相電流選択値isにする。
【0375】 is = iu (η=0、3のとき) is = iv (η=2、5のとき) is = iw (η=1、4のとき) ・・・(73)
【0376】相電流基準値作成部775は、推定相の相
電流基準値を相電流基準値ismとする。下記式(7
4)のように、推定相指標η=0、および3のとき、u
相電流基準値iumを相電流基準値ismにする。ま
た、推定相指標η=2、および5のとき、v相電流基準
値ivmを相電流選択値ismにする。さらに、推定相
指標η=1、および4のとき、w相電流基準値iwmを
相電流基準値ismにする。なお、u相電流基準値iu
mは、式(70)で表され、v相電流基準値ivm、お
よびw相電流基準値iwmは、下記式(75)で表され
る。
【0377】 ism = ium (η=0、3のとき) ism = ivm (η=2、5のとき) ism = iwm (η=1、4のとき) ・・・(74)
【0378】 ivm(n) = iv(n−1) +ΔT/L・{vv(n−1)−evm(n−1)−R・iv(n−1)} iwm(n) = iw(n−1) +ΔT/L・{vw(n−1)−ewm(n−1)−R・iw(n−1)} ・・・(75)
【0379】偏差作成部776は、偏差εを作成する。
下記式(76)のように、相電流選択値isと相電流基
準値ismの偏差を偏差εにする。
【0380】 ε = is − ism ・・・(76)
【0381】ゲインリミット作成部77は、実施例1と
同様であり説明を省略する。
【0382】角度速度補正部778は、偏差εを0に収
斂させるように推定角度θmを補正する。また、推定角
度ωmを作成する。まず、補正する向きを示す補正符号
σを作成する。下記式(77)のように、推定相指標η
=0、2、4のとき、補正符号σを1にする。また、推
定相指標η=1、3、5のとき、補正符号σを−1にす
る。推定角度θmの補正の方法は、実施例1と同様であ
り、説明を省略する。
【0383】 σ = +1 (η=0、2、4) σ = −1 (η=1、3、5) ・・・(77)
【0384】誘起電圧振幅演算値作成部81、および誘
起電圧振幅推定値変更部82の動作は、実施例1と同様
であり説明を省略する。
【0385】実施例1の位置センサレスモータ制御装置
は、誘起電圧値と誘起電圧基準値esmとの偏差を0に
収斂するように動作させることにより推定角度θmを作
成した。実施例7の位置センサレスモータ制御装置のよ
うに、相電流値と相電流基準値ismとの偏差を0に収
斂するように動作させても、実施例1と同様の作用をす
る。そのため、実施例7は、実施例1と同様の効果を有
する。
【0386】なお、実施例3から実施例7において、相
電圧指令値vu*、vv*、vw*から相電圧値vu、
vv、vwを作成したが、実施例2のように、電圧セン
サで直接検知した電圧に基づき相電圧値vu、vv、v
wを作成してもよい。
【0387】また、実施例2、および実施例4から実施
例7において、相電流指令値iu*、iv*、iw*を
作成し電流を制御したが、実施例3のように、推定角度
θmによる回転座標系であるγδ軸上で電流制御しても
よい。
【0388】実施例1から実施例7において、u相とv
相の相電流値と相電圧指令値とを交換したが、3相のモ
ータにおいては、3相のうちのいずれか2つの相の相電
流値と相電圧指令値とを交換すればよい。
【0389】また、電流制御部により電流を制御するた
め、電流センサで検知した電流を用いても電流指令を用
いても同様の効果が得られる。すなわち、実施例1から
実施例3、および実施例5から実施例7において、相電
圧方程式に電流センサで検知した電流をあてはめたが、
電流指令をあてはめてもよい。反対に、実施例4におい
て、相電圧方程式に電流指令をあてはめたが、電流セン
サで検知した電流をあてはめてもよい。
【0390】実施例1から実施例7において、補償量α
は推定角度θmにより変化させたが、補償量αは推定角
度θmに対する変化させなくてもよい。この場合は、電
気周期程度の周期を持つ細かな推定誤差の補償はできな
いが、平均的な推定誤差に対応できる。
【0391】実施例6において、補償量αの電圧位相分
(α1)を式(56)のように逆正接関数を用いて求め
たが、補償量αの電圧位相分(α1)を角度推定の誤差
分(α2)に入れ込み、補償量αのテーブルを作成し、
このテーブルから直接補償量αを求めてもよい。
【0392】実施例6において、脱調を相電圧振幅推定
値vmから判断したが、d軸電圧指令値vd*とq軸電
圧指令値vq*とに関する2次元の範囲を作成し、この
範囲外のとき脱調と判断してもよい。
【0393】実施例1から実施例7において、比例ゲイ
ンκpと積分ゲインκiと比例リミットζpと積分リミ
ットζiとを推定速度ωmに対して相似形としたが、推
定速度ωmに対して別々に設定してもよい。
【0394】実施例1から実施例5、および実施例7に
おいて、誘起電圧振幅演算値作成部は、誘起電圧値の絶
対値の和から誘起電圧振幅演算値ecを作成したが、誘
起電圧値を二乗した結果を加算し、さらに、二乗根をと
ったものを誘起電圧振幅演算値ecとしてもよい。同様
に、実施例6において、相電圧振幅演算値作成部は、相
電圧値の絶対値の和から相電圧振幅演算値vcを作成し
たが、相電圧値を二乗した結果を加算し、さらに、二乗
根をとったものを相電圧振幅演算値vcとしてもよい。
【0395】また、実施例1から実施例5、および実施
例7において、3相の誘起電圧値から誘起電圧振幅演算
値ecを作成したが、1つの相の誘起電圧値から誘起電
圧振幅演算値ecを求めてもよい。この場合、3相のう
ちで大きさが一番大きい誘起電圧値にある係数を乗じた
ものを誘起電圧振幅演算値ecとする。同様に、実施例
6において、3相の相電圧値から相電圧振幅演算値vc
を作成したが、1つの相の誘起電圧値から相電圧振幅演
算値vcを求めてもよい。この場合、3相のうちで大き
さが一番大きい相電圧値にある係数を乗じたものを相電
圧振幅演算値vcとする。
【0396】実施例1から実施例7において、誘起電圧
が正弦波状であると仮定したが、台形波状などであって
正弦波状でなくても本発明に含まれる。例えば、台形波
状であるときは、誘起電圧基準値を正弦波状から台形波
状のものに置き換えればよい。
【0397】また、実施例1から実施例7において、電
流制御部と補償量作成部と角度推定部とを同期させた
が、同期させなくてもよい。ただし、同期させないとき
には、適切な設計変更をし、角度速度補正部で行った推
定角度θmを進める動作を電流制御部で行う必要があ
る。
【0398】実施例1から実施例7において、交換後の
電圧指令値vu*1、vv*1、vw*1にデッドタイ
ム補償をしてもよい。また、実施例1、および実施例3
から実施例7において、相電圧指令値vu*、vv*、
vw*を相電圧値vu、vv、vwとしたが、相電圧指
令値vu*、vv*、vw*にデッドタイムの影響をな
くような補償をしたものを相電圧値vu、vv、vwと
してもよい。こうすることで、さらに精度のよい角度の
推定を実現する。この場合には、相電圧値vu、vv、
vwから中性点電位を減算したものを推定に用いる。
【0399】実施例1から実施例7において、比例積分
結果をそのまま相電圧指令値としたが、3倍高調波の重
畳、2相変調をしてもよい。この場合には、相電圧値v
u、vv、vwから中性点電位を減算したものを推定に
用いる。
【0400】実施例1から実施例6において、IPMS
Mを制御したが、SPMSMを制御してもよい。反対
に、実施例7において、SPMSMを制御したが、相電
流モデル値ismの演算にインダクタンス変化を考慮し
IPMSMを制御してもよい。
【0401】また、シンクロナスリラクタンスモータを
制御してもよい。このシンクロナスリラクタンスモータ
は永久磁石がないため、永久磁石による誘起電圧を0に
して制御すればよい。例えば、実施例6において、式
(56)において、永久磁石によるdq軸巻線鎖交磁束
実効値ψを0とし、下記式(78)のように、補償量α
の電圧位相分α1を作成すればよい。
【0402】 α1 =−atan[{R・iγ*−ωe・Lq・iδ*}/ {R・iγ*+ωe・Ld・iδ*}] ・・・(78)
【0403】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、非常に
短い期間である角度推定周期ごとに偏差を求め推定角度
を補正することで、常に高分解能で高精度な推定角度を
作成する位置センサレスモータ制御装置を実現できると
いう、有利な効果が得られる。また、非常に短い期間で
ある角度推定周期ごとに偏差を求め推定角度を補正する
ことで、角速度の急激な変化に追随できる、速度変化へ
の応答性の良い、位置センサレスモータ制御装置を実現
できるという、有利な効果が得られる。
【0404】請求項1等の本発明によれば、温度変化に
より推定角度が影響を受けないため、広い温度範囲にわ
たって、高い精度でロータの角度を推定する位置センサ
レスモータ制御装置を実現できるという、有利な効果が
得られる。
【0405】請求項1、6、9、11の本発明によれ
ば、推定信号と計測データ等との間で演算をする上で、
座標回転を行う必要がないため、モータのステータ巻線
の相電圧が飽和して、相電圧等が、台形波や矩形波等に
なった場合にも、正しいロータの角度推定をすることが
出来る、高速や大きな出力トルクでモータを駆動する位
置センサレスモータ制御装置を実現できるという、有利
な効果が得られる。又、本発明による位置センサレスモ
ータ制御装置においては、ロータの永久磁石の着磁波形
は任意である。従って、ロータの永久磁石の着磁波形が
正弦波以外の波形であって、誘起電圧が正弦波以外の波
形を有する、モータについても、本発明により、高い精
度でロータの角度を推定することが出来るという有利な
効果が得られる。
【0406】請求項6の本発明によれば、ステータ巻線
の計測又は演算された電圧から、誘起電圧以外の成分を
差し引くことにより、誘起電圧を導出する。これによ
り、広い温度範囲にわたって、高い精度でロータの角度
を推定する位置センサレスモータ制御装置を実現できる
という、有利な効果が得られる。
【0407】請求項9の本発明によれば、ステータ巻線
の電流信号を基準に、角度を推定する。これにより、推
定角度が温度変化の影響を受けないため、広い温度範囲
にわ たって、高い精度でロータの角度を推定する位置セ
ンサレスモータ制御装置を実現できるという、有利な効
果が得られる。
【0408】また、請求項11の本発明によれば、相電
圧基準値に相電圧値を一致させるようにすることによ
り、演算時間少なく角度推定を実現する位置センサレス
モータ制御装置を実現する。
【0409】請求項2、7、10、12の本発明によれ
ば、振幅誤差を小さくするフィードバックループが設け
られ、正しい角度誤差を算出することができる位置セン
サレスモータ制御装置を実現できるという、有利な効果
が得られる。
【0410】請求項3、8の本発明によれば、ステータ
巻線の電流が正弦波信号であるとして取り扱うため、角
度を推定するための計算が簡略化される。これにより、
小型で、安価なマイクロプロセッサ等により、短い演算
時間で、角度推定を行う位置センサレスモータ制御装置
を実現できるという、有利な効果が得られる。又、ステ
ータ巻線は大きなインダクタンス成分を有するため、ス
テータ巻線の相電流の波形は飽和しにくく、ステータ巻
線の相電圧の波形が飽和した時にも、相電流の波形は正
弦波に近いため、ステータ巻線の相電圧の波形が飽和し
た時にも、ロータの角度の推定精度の高い、高速や大き
な出力トルクでモータを駆動する位置センサレスモータ
制御装置を実現できるという、有利な効果が得られる。
【0411】請求項4、13〜15の本発明によれば、
角度誤差の検出精度の高い相を選択して、角度誤差を補
正する。これにより、いかなるロータの角度において
も、常に高い精度で、角度を推定することが出来る、位
置センサレスモータ制御装置を実現できるという、有利
な効果が得られる。請求項15の本発明によれば、全て
の相について誤差を算出する必要がなく、各相の誘起電
圧を比較して、最も小さな誘起電圧の相を選択するとい
う簡単な方法により、正常な状態において誤差が最大に
なる相を選択し、当該選択された相についてのみ、誤差
を演算するため、演算時間が少なくて済むという、有利
な効 果が得られる。
【0412】請求項5、18の本発明によれば、非常に
わずかな切り換えにより、正転と逆転とに対応し、か
つ、正転時と逆転時とで、回路ブロック又はプログラム
ブロックのほとんどの部分を共用できる位置センサレス
モータ制御装置が実現できるという、有利な効果が得ら
れる。
【0413】請求項16の本発明によれば、モータのロ
ータの角度推定誤差が一定の範囲を超えたことを検知し
て(その結果、例えば、推定角速度が実際の角速度とま
ったく異なる値になった場合)、例えば、モータを停止
させる。これにより、モータの制御が外れた状態(脱
調)から、容易に脱出することが出来る位置センサレス
モータ制御装置を実現できるという、有利な効果が得ら
れる。
【0414】請求項17の本発明によれば、過大な補正
量を用いて推定信号を補正することを防止する。これに
より、ノイズの影響を受けにくい、安定な位置センサレ
スモータ制御装置を実現できるという、有利な効果が得
られる。補正量の上限値又は下限値を角速度に応じて変
化させる。これにより、広い速度範囲でノイズの影響を
受けにくい、安定な位置センサレスモータ制御装置を実
現できるという、有利な効果が得られる。
【0415】
【0416】
【0417】
【0418】
【0419】
【0420】
【0421】
【0422】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における位置センサレスモータ制御装
置の構成を示すブロック図。
【図2】実施例1における駆動部の回路図。
【図3】実施例1における速度制御部の構成を示すブロ
ック図。
【図4】実施例1における電流制御部の構成を示すブロ
ック図。
【図5】実施例1における角度推定部の構成を示すブロ
ック図。
【図6】実施例1における脱調検出部の構成を示すブロ
ック図。
【図7】実施例1における座標系の説明図。
【図8】実施例1におけるu相の誘起電圧値と誘起電圧
基準値と偏差とを示す波形図。
【図9】実施例1における推定速度に対するゲインとリ
ミットの関係図。
【図10】実施例1における推定速度に対する誘起電圧
振幅上限値と誘起電圧振幅下限値の関係図。
【図11】実施例2における位置センサレスモータ制御
装置の構成を示すブロック図。
【図12】実施例2における角度推定部の構成を示すブ
ロック図。
【図13】実施例3における位置センサレスモータ制御
装置の構成を示すブロック図。
【図14】実施例3における電流制御部の構成を示すブ
ロック図。
【図15】実施例4における位置センサレスモータ制御
装置の構成を示すブロック図。
【図16】実施例4における角度推定部の構成を示すブ
ロック図。
【図17】実施例5における位置センサレスモータ制御
装置の構成を示すブロック図。
【図18】実施例5における角度推定部の構成を示すブ
ロック図。
【図19】実施例5における各相の誘起電圧値と推定相
指標の関係を示す波形図。
【図20】実施例6における位置センサレスモータ制御
装置の構成を示すブロック図。
【図21】実施例6における角度推定部の構成を示すブ
ロック図。
【図22】実施例6における脱調検出部の構成を示すブ
ロック図。
【図23】実施例6における推定速度に対する相電圧振
幅上限値と相電圧振幅下限値の関係図。
【図24】実施例7における位置センサレスモータ制御
装置の構成を示すブロック図。
【図25】実施例7における速度制御部の構成を示すブ
ロック図。
【図26】実施例7における角度推定部の構成を示すブ
ロック図。
【図27】従来例1の位置センサレスモータ制御装置の
構成を示すブロック図。
【図28】従来例1の位置センサレスモータ制御装置の
タイミングチャート。
【図29】従来例2の位置センサレスモータ制御装置の
構成を示すブロック図。
【図30】従来例2の位置センサレスモータ制御装置の
解析モデル。
【符号の説明】
10 IPMSM 11u ステータ巻線 11v ステータ巻線 11w ステータ巻線 12 ロータ 712 ロータ 13 永久磁石 713 永久磁石 21u 電流センサ 21v 電流センサ 22 マイコン 222 マイコン 322 マイコン 422 マイコン 522 マイコン 622 マイコン 722 マイコン 30 駆動部 40 速度制御部 440 速度制御部 740 速度制御部 50 電流制御部 250 電流制御部 350 電流制御部 450 電流制御部 60 補償量作成部 660 補償量作成部 70 角度推定部 270 角度推定部 470 角度推定部 570 角度推定部 670 角度推定部 770 角度推定部 80 誘起電圧振幅推定値補正部 90 脱調検出部 690 脱調検出部 710 SPMSM
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丸山 幸紀 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平11−18499(JP,A) 特開 平11−18477(JP,A) 特開 平8−256496(JP,A) 特開 平8−317685(JP,A) 特開 平8−308286(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02P 6/16 H02P 6/06

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モータのロータの推定角度に基づき前記
    モータの3相のステータ巻線に印加する電圧の指令値を
    示す相電圧指令値を作成する電圧指令値作成手段と、 前記相電圧指令値に基づき前記ステータ巻線に電圧を印
    加する駆動手段と、 前記ステータ巻線に流れる電流を示す相電流値を作成す
    る相電流値作成手段と、 前記ステータ巻線に印加される電圧を示す相電圧値を作
    成する相電圧値作成手段と、 前記推定角度を作成する角度推定手段と、 を具備する位置センサレスモータ制御装置において、 前記角度推定手段は、前記推定角度と前記相電流値と前
    記相電圧値とに基づき前記ステータ巻線の3相の相電圧
    方程式を用いて演算される演算値を作成し、前記演算値
    の基準であり前記推定角度に応じ電気角360°の周期
    で変化する基準値を作成し、前記演算値と前記基準値と
    の偏差を作成する偏差作成手段と、 前記偏差が零に収斂するように前記推定角度を補正する
    角度補正手段と、を有することを特徴とする位置センサ
    レスモータ制御装置。
  2. 【請求項2】 前記相電流値と前記相電圧値とに基づき
    前記基準値の振幅を示す振幅推定値を補正する振幅推定
    値補正手段が付加されたことを特徴とする請求項1に記
    載の位置センサレスモータ制御装置。
  3. 【請求項3】 前記角度推定手段は、前記相電流が正弦
    波であると仮定し簡略化されたステータ巻線の相電圧方
    程式に基づき前記推定角度を作成することを特徴とする
    請求項1に記載の位置センサレスモータ制御装置。
  4. 【請求項4】 モータのロータの推定角度に基づき前記
    モータの3相のステータ巻線に印加する電圧の指令値を
    示す相電圧指令値を作成する電圧指令値作成手段と、 前記相電圧指令値に基づき前記ステータ巻線に電圧を印
    加する駆動手段と、 前記推定角度を作成する角度推定手段と、 を具備する位置センサレスモータ制御装置において、 前記角度推定手段は、前記推定角度の作成に使用する前
    記ステータ巻線の相を示す推定相を3相のうちから1相
    だけ選択する推定相選択手段と、 前記推定相の相電圧方程式を用いて前記推定角度を補正
    する角度補正手段と、を有することを特徴とする位置セ
    ンサレスモータ制御装置。
  5. 【請求項5】 モータのステータ巻線に流れる電流を検
    知し相電流値を出力する電流センサと、 前記モータのロータの推定角度に基づき前記ステータ巻
    線に印加する電圧の指令値を示す相電圧指令値を作成す
    る電圧指令値作成手段と、 前記相電圧指令値に基づき前記ステータ巻線に電圧を印
    加する駆動手段と、 前記推定角度を作成する角度推定手段と、 前記ロータの回転する方向の指令を示す回転方向指令が
    逆転のとき前記相電流値同士を交換する相電流値交換手
    段と、 前記回転方向指令が逆転のとき前記電圧指令値同士を交
    換する相電圧指令値交換手段と、 を具備することを特徴とする位置センサレスモータ制御
    装置。
  6. 【請求項6】 モータのロータの推定角度に基づき前記
    モータの3相のステータ巻線に印加する電圧の指令値を
    示す相電圧指令値を作成する電圧指令値作成手段と、 前記相電圧指令値に基づき前記ステータ巻線に電圧を印
    加する駆動手段と、 前記ステータ巻線に流れる電流を示す相電流値を作成す
    る相電流値作成手段と、 前記ステータ巻線に印加される電圧を示す相電圧値を作
    成する相電圧値作成手段と、 前記推定角度を作成する角度推定手段と、 を具備する位置センサレスモータ制御装置において、 前記角度推定手段は、前記推定角度に応じ電気角360
    °の周期で変化する誘起電圧の基準値を示す誘起電圧基
    準値を作成する誘起電圧基準値作成手段と、 前記ステータ巻線の3相の相電圧方程式を用いて前記相
    電流値と前記相電圧値とに基づき前記相電圧値から電気
    抵抗による電圧降下とインダクタンスによる電圧降下と
    を減算することにより誘起電圧値を作成する誘起電圧値
    作成手段と、 前記誘起電圧値と前記誘起電圧基準値との偏差を作成す
    る偏差作成手段と、 前記偏差が零に収斂するように前記推定角度を補正する
    角度補正手段と、 を有することを特徴とする位置センサレスモータ制御装
    置。
  7. 【請求項7】 前記角度推定手段は、前記誘起電圧値に
    基づき前記誘起電圧基準値の振幅を示す振幅推定値を補
    正する振幅推定値補正手段を更に有することを特徴とす
    る請求項6に記載の位置センサレスモータ制御装置。
  8. 【請求項8】 前記誘起電圧値作成手段は、前記相電流
    が正弦波であると仮定し前記相電圧方程式を簡略化し、
    前記相電圧値から前記推定角度に応じ電気角360°で
    略正弦波状に変化する電気抵抗による電圧降下と前記推
    定角度に応じ電気角360°で略正弦波状に変化するイ
    ンダクタンスによる電圧降下とを減算することにより誘
    起電圧値を作成することを特徴とする請求項6に記載の
    位置センサレスモータ制御装置。
  9. 【請求項9】 モータのロータの推定角度に基づき前記
    モータの3相のステータ巻線に印加する電圧の指令値を
    示す相電圧指令値を作成する電圧指令値作成手段と、 前記相電圧指令値に基づき前記ステータ巻線に電圧を印
    加する駆動手段と、 前記ステータ巻線に流れる電流を示す相電流値を作成す
    る相電流値作成手段と、 前記ステータ巻線に印加される電圧を示す相電圧値を作
    成する相電圧値作成手段と、 前記推定角度を作成する角度推定手段と、 を具備する位置センサレスモータ制御装置において、 前記角度推定手段は、前記推定角度に応じ電気角360
    °の周期で変化する相電流の基準値を示す相電流基準値
    を作成する相電流基準値作成手段と、 前記相電流値と前記相電流基準値との偏差を作成する偏
    差作成手段と、 前記偏差が零に収斂するように前記推定角度を補正する
    角度補正手段と、 を有することを特徴とする位置センサレスモータ制御装
    置。
  10. 【請求項10】 前記相電流値に基づき誘起電圧の振幅
    を推定し、その振幅推定値を補正する振幅推定値補正手
    段を更に有することを特徴とする請求項9に記載の位置
    センサレスモータ制御装置。
  11. 【請求項11】 モータの3相のステータ巻線に流れる
    電流を検知し相電流値を出力する電流センサと、 前記モータのロータの推定角度と前記相電流値とに基づ
    き前記ステータ巻線に印加する電圧の指令値を示す相電
    圧指令値を作成する電圧指令値作成手段と、 前記相電圧指令値に基づき前記ステータ巻線に電圧を印
    加する駆動手段と、 前記ステータ巻線に印加される電圧を示す相電圧値を作
    成する相電圧値作成手段と、 前記推定角度を作成する角度推定手段と、 を具備する位置センサレスモータ制御装置において、 前記角度推定手段は、前記推定角度に応じ電気角360
    °の周期で変化する前記相電圧値の基準値である相電圧
    基準値を作成する相電圧基準値作成手段と、 前記相電圧値と前記相電圧基準値との偏差を作成する偏
    差作成手段と、 前記偏差が零に収斂するように前記推定角度を補正する
    角度補正手段と、 を有することを特徴とする位置センサレスモータ制御装
    置。
  12. 【請求項12】 前記相電圧値に基づき前記相電圧基準
    値の振幅を示す振幅推定値を補正する振幅推定値補正手
    段を更に有することを特徴とする請求項11に記載の位
    置センサレスモータ制御装置。
  13. 【請求項13】 前記角度推定手段は、前記推定角度の
    作成に使用する前記ステータ巻線の相を示す推定相を3
    相のうちから1相だけを選択する推定相選択手段を含ん
    で構成され、 前記角度補正手段は、前記推定相の前記偏差が0に収斂
    するように前記推定角度を補正することを特徴とする請
    求項6、請求項9又は請求項11に記載の位置センサレ
    スモータ制御装置。
  14. 【請求項14】 前記角度推定手段は、前記推定角度の
    作成に使用する前記ステータ巻線の相を示す推定相とし
    て3相のうちから前記偏差が最も大きい相を 選択する推
    定相選択手段を含んで構成され、 前記角度補正手段は、前記推定相の前記偏差が0に収斂
    するように前記推定角度を補正することを特徴とする請
    求項13に記載の位置センサレスモータ制御装置。
  15. 【請求項15】 前記角度推定手段は、前記推定角度の
    作成に使用する前記ステータ巻線の相を示す推定相とし
    て3相のうちから前記誘起電圧値の大きさが最も小さい
    相を選択する推定相選択手段を含んで構成され、 前記角度補正手段は、前記推定相の前記偏差が0に収斂
    するように前記推定角度を補正することを特徴とする請
    求項13に記載の位置センサレスモータ制御装置。
  16. 【請求項16】 振幅脱調判断値を作成する振幅脱調判
    断値作成手段と、前記振幅推定値と前記振幅脱調判断値
    とに基づき前記推定角度が正しく作成されていないこと
    を判断する脱調判断手段と、を有する脱調検出手段が付
    加されたことを特徴とする請求項2、請求項7、請求項
    10又は請求項12に記載の位置センサレスモータ制御
    装置。
  17. 【請求項17】 推定速度が大きくなると大きくなるリ
    ミットを作成するリミット作成手段が付加され、 前記角度補正手段は、前記偏差が零に収斂するように前
    記リミットに基づき前記推定角度を補正することを特徴
    とする請求項1、請求項6、請求項9又は請求項11に
    記載の位置センサレスモータ制御装置。
  18. 【請求項18】 前記ロータの回転する方向の指令を示
    す回転方向指令が逆転のとき前記相電流値同士を交換す
    る相電流値交換手段と、 前記回転方向指令が逆転のとき前記相電圧指令値同士を
    交換する相電圧指令値交換手段と、が付加されたことを
    特徴とする請求項1、請求項6、請求項9又は請求項1
    1に記載の位置センサレスモータ制御装置。
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