JP3406696B2 - 高熱伝導率炭素繊維の製造方法 - Google Patents

高熱伝導率炭素繊維の製造方法

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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は平均繊維径が4〜8μm
の高熱伝導率炭素繊維の製造方法である。本発明で得ら
れた炭素繊維は耐熱衝撃性、寸法安定性を要求される宇
宙用材料、航空機用材料、自動車のブレーキ用材料等に
広く使用される。 【0002】 【従来の技術】現在、炭素繊維はポリアクリルニトリル
(PAN)を原料としたPAN系炭素繊維とピッチを原
料としたピッチ系炭素繊維が製造されているが、現状で
は高性能炭素繊維として主にPAN系炭素繊維が用いら
れている。 【0003】しかしながら、市販されているPAN系炭
素繊維の熱伝導率は100W/mKよりも小さいため、
耐熱衝撃性、寸法安定性を要求される分野での使用は制
限される。 【0004】一方、メソフェースピッチを原料とするピ
ッチ系炭素繊維は、一般的にPAN系炭素繊維に比べ
て、高熱伝導率を示すと言われているが、市販のピッチ
系炭素繊維ではAMOCO社製THORNELP―12
0が高熱伝導率を示すが、700W/mKより小さいも
のである。 【0005】特開平5―163619号公報には、30
00℃以上で焼成することにより、黒鉛結晶子の層面方
向の広がりLaが1000Åより大きく、電気比抵抗が
1.1μΩmより小さく、1100W/mKより大きい
熱伝導率をもつ炭素繊維の製造方法が開示されている。 【0006】しかし1100W/mKより大きな熱伝導
率をもつピッチ系炭素繊維は極めて高弾性となるため繊
維糸条は剛直となり繊維のハンドリング時に繊維糸条が
折れたり、毛羽が多量に発生する等の問題がある。 【0007】このため繊維のハンドリングが容易である
細径な高熱伝導率炭素繊維が求められるが、その製造方
法は報告されていない。 【0008】特開平4―163319号公報には、ピッ
チ繊維を不融化し、酸素含有雰囲気中で延伸熱処理、延
伸予備炭化処理し、不活性ガス雰囲気下中で延伸しなが
ら炭化を行って熱伝導率、圧縮強度の高い炭素繊維の製
造方法が開示されている。 【0009】しかしながら、延伸処理を施してもPAN
系炭素繊維に匹敵するハンドリングが容易である繊維径
8μm未満である細径な高熱伝導率炭素繊維の製造方法
は報告されていない。 【0010】またJ.Mater.Res.,Vol.
5,No3,P570―577,Mar 1990の
「種々の温度で焼成したピッチ系炭素繊維の構造および
電気特性」の中では、ピッチ繊維の繊維径を変えて、不
融化、炭化を行い、種々の温度で焼成した結果、繊維径
の大きいピッチ繊維から得られた炭素繊維は、ピッチ繊
維中のメソフェースのドメインの平均サイズが大きくな
るため黒鉛化した際の黒鉛化性が繊維径の小さいものに
比べ高くなることを報告しており、従って細径な炭素繊
維から高熱伝導性の炭素繊維が得がたいことが推察され
る。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の
技術から細径な炭素繊維から高熱伝導性の炭素繊維が得
がたいことが推察されるが、本発明者等は熱伝導性の高
い炭素繊維を作るために鋭意検討した結果、ある特定の
方法で製造された細径な炭素繊維が、従来の知見と異な
り繊維径の大きな炭素繊維に比べ黒鉛化性が高く、高熱
伝導な炭素繊維が得られることを見いだし、本発明に到
達した。 【0012】本発明の目的は繊維径が4〜8μmの高熱
伝導率炭素繊維の製造方法を提供するものである。 【0013】 【課題を解決するための手段】本発明は光学的異方性の
メソフェースピッチを溶融紡糸し、不融化、黒鉛化処理
して炭素繊維を製造する際に、メソフェースピッチを、 A)導入孔から吐出孔に至る形状が90〜150度の角
度のアプローチ部で縮流し、 B)アプローチ部終端で一旦平坦部とし、 C)平坦部に設けたキャピラリー径が50〜110μm
である円形断面の吐出孔を有する紡糸ノズルを通過させ
て、紡糸を行い、繊維径5〜11μmの細径ピッチ繊維
を得、炭化した後、不活性ガス雰囲気下で黒鉛化するこ
とを特徴とする、繊維径が4〜8μmの高熱伝導率炭素
繊維の製造方法である。 【0014】以下、本発明の内容を詳細に説明する。 【0015】本発明の炭素繊維の出発原料であるピッチ
は、コールタール、コールタールピッチ等の石炭系ピッ
チ、石炭液化ピッチ、エチレンタールピッチ、流動接触
触媒分解残査から得られるデカントオイルピッチ等の石
油系ピッチ、あるいはナフタレン等から触媒などを用い
て作られる合成ピッチ等、各種ピッチを包含するもので
ある。 【0016】本発明の光学的異方性のメソフェースピッ
チは、前記ピッチを従来公知の方法でメソフェースを発
生させたものである。 【0017】メソフェースピッチは、紡糸した際のピッ
チ繊維の配向性が高いものが望ましく、このためメソフ
ェース含有量は60%以上、好ましくは80%以上、さ
らに好ましくは90%以上含有するものが望ましい。 【0018】なお、メソフェース含有量は60%未満で
あると光学的異方性量が少ないため引張強度が低くなり
好ましくない。 【0019】また本発明で用いるメソフェースピッチは
軟化点が200〜400℃、好ましくは250℃〜35
0℃のものがよい。 【0020】軟化点が200℃未満のピッチはその調整
が困難であり、また軟化点が400℃超のピッチを用い
ると紡糸温度を高温設定する必要が生じるため、安定し
た紡糸が行えなくなる。 【0021】ピッチ中に3μm以上の固形異物が存在す
ると紡糸時に糸切れが頻発することとなるので、得られ
たピッチは紡糸に先だって絶対濾過精度が3μm以下の
フィルター、あるいはこのフィルターと同等あるいはそ
れ以上の濾過精度をもつ濾過方法によりピッチ中の異物
を除去しておくことが望ましい。 【0022】高熱伝導率ピッチ系炭素繊維を製造するた
めの様々の検討の結果、黒鉛化性を高めることにより高
熱伝導率を得るには、ピッチ繊維状態における分子の繊
維軸方向への配向性がよいものを紡糸することが有効で
あることがわかった。 【0023】本発明では前述のピッチからピッチ繊維を
紡糸する際に、図1に示すように導入孔から吐出孔に至
る形状(θ1)が90〜150度の角度のアプローチ部
で縮流し、アプローチ終端で一旦平坦部(θ2)とし、
平坦部に設けた円形断面の吐出孔を通過させ、キャピラ
リー径(D3)が50〜110μm、吐出口長さ(L
2)が0.07〜0.17mmである紡糸ノズルを用い
て吐出口のピッチ粘度が100〜1000poise、
好ましくは200〜800poiseでさらに好ましく
は400〜800poiseで繊維径5〜11μmの細
径のピッチ繊維をつくることによって、繊維軸方向への
配向性の高いピッチ繊維が得られ、かつ高引張弾性率、
高引張強度をもつ高熱伝導率炭素繊維が得られる。 【0024】しかしながら炭素繊維においてラジアル成
分は軸方向の亀裂につながり、さらにこの亀裂は引張損
傷の生じやすい箇所になるため、従来のノズルでは高強
度化に限界があった。 【0025】従来のアプローチ終端で平坦部を有しない
円形断面の吐出孔の紡糸ノズルを用いてピッチ繊維を
得、不融化、炭化、黒鉛化を行い得られた炭素繊維の横
方向の断面を走査電子顕微鏡で観察すると、繊維表層に
少なくとも1.5μmから2.5μmはラジアル構造を
持ち、繊維内部はランダムあるいはオニオン構造を持
ち、複数の構造をとり、ある程度の高強度を保持するこ
とができる。 【0026】ところが、本発明で用いるノズル構造、す
なわち導入孔から吐出孔に至る形状が90〜150度の
角度のアプローチ部で縮流し、アプローチ終端で一旦平
坦部としたのち、円形断面の吐出孔を持つ紡糸ノズルを
用いると繊維表層のラジアル成分が1.5μm以下、望
ましくは1.0μm以下になり、ラジアル成分が少なく
なる。 【0027】本発明に用いるノズルはこのように、表層
部のラジアル成分がより少なくなるため、さらに高引張
強度を保持することができる。 【0028】アプローチ角度θ1は90度未満では導入
口長さが長くなり不適切であり、150度超ではアプロ
ーチ終端で平坦部を設ける効果が得られ難くなる。 【0029】アプローチ角度θ1をこのように決定され
るので、また優れた引張強度を得るためには導入口長さ
L1は3〜10mm、好ましくは4〜6mmにすること
が好ましく、導入口径D1が0.5〜10mm、好まし
くは1.2〜5mmであり、導入口での滞留時間を1〜
400秒、好ましくは4〜200秒とすることが好まし
い。 【0030】導入口径が0.5mm未満あるいは10m
m超、同様に滞留時間が1秒未満あるいは400秒超で
は優れた強度の繊維を得ることができない。 【0031】また、平坦部の径D2は導入口径D1の
0.8倍以下、吐出口径D3の1.5倍以上が望まし
く、このときに本発明の効果を最も得ることができる。
吐出孔の断面は引張強度の向上をもたらすためには円形
のものを用いたとき最も効果を発揮する。 【0032】また、キャピラリー径が50μm未満で
は、キャピラリーの加工が非常に困難となったり、ノズ
ルの整備が煩雑となり、110μm超では、細径なピッ
チ繊維の紡糸が不安定となり好ましくない。 【0033】また吐出口長さ0.07mm未満では安定
した紡糸が行えず、0.17mm超では繊維表層部のラ
ジアル部分が増加することが推測され、そのために高強
度を保持できないことが考えられるため、キャピラリー
径と吐出口長さの比1.5〜2の範囲内が望ましい。 【0034】ピッチ粘度が100poise未満では、
極度に粘度が低いため、断糸が増加し紡糸を行うことが
殆ど不可能となり、1000poise超では、紡糸時
に糸切れが起きると他の糸もしくはノズル面に付着し、
紡糸が不安定となり好ましくない。 【0035】また、4〜8μmのハンドリング面で優位
な細径炭素繊維を得るためには、ピッチ繊維の繊維径
を、ピッチ繊維を不融化、炭化、黒鉛化することにより
繊維径の収縮が生じる分を予め考慮して、5〜11μm
にしなければならない。 【0036】つぎにピッチ繊維は、酸化性ガス雰囲気
下、通常100〜350℃、好ましくは130〜320
℃で、通常10分〜10時間、好ましくは1〜6時間、
不融化処理を行う。 【0037】酸化性ガスとしては酸素、空気あるいはこ
れらに二酸化窒素、塩素等を混合したガスが用いられ
る。不融化温度が100度未満ではピッチの反応性が低
くなり、また350度超では過度の酸化が行われ、引張
強度が低下してしまう。 【0038】また不融化時間は10分未満では反応が未
達となり、10時間超では過度に不融化されてしまい好
ましくない。不融化処理した繊維は窒素、アルゴン等の
不活性ガス雰囲気下で炭化、黒鉛化処理を通常1秒〜1
0時間、好ましくは10秒〜6時間行い、引張弾性率1
00GPa〜1000GPa、引張強度2.0GPa〜
5.0GPaの炭素繊維を得、黒鉛化することにより、
高引張弾性率、高引張強度をもち、且つ3000℃以上
で黒鉛化すると1100W/mKより大きい熱伝導率を
有することを特徴とする繊維径が4〜8μmのハンドリ
ング性に優れた細径ピッチ系高熱伝導率炭素繊維が得ら
れる。 【0039】黒鉛化処理した繊維の、黒鉛化の進行度合
いは、広角X線回折から求めた積層厚みLc002、結
晶子の大きさLa110、層間隔d002で評価した。 【0040】積層厚みLc002は炭素結晶中の002
面の積層の厚さを、La110は結晶子の大きさを、層
間隔d002は結晶の002面の層間隔を示し、Lc0
02は50〜500Å、La110は100〜1000
Å以上、d002は3.352〜3.450Åの値を示
す。 【0041】Lc002、La110が大きいほど、ま
たd002が小さいほど黒鉛化性が高いと判断でき、格
子欠陥による伝導電子の散乱が抑えられて高熱伝導率を
示す。 【0042】積層厚みLc002、結晶子の大きさLa
110、層間隔d002は繊維を粉末状にしたのち、標
準シリコンと混合して試料とする粉末法を用い、002
面、110面の回折線から学振法「人造黒鉛の格子定数
および結晶子の大きさ測定法」により求めた。 【0043】また熱伝導率は、炭素繊維を直径10m
m、厚さ3mm〜6mmの円柱状一方向炭素繊維強化プ
ラスチックにし、理学電気(株)製レーザーフラッシュ
法熱定数測定装置PS―7型を用いて、比熱および熱拡
散率を測定し、次式により算出した。 【0044】 【数1】λ=Cp×α×ρ/Vf 【0045】ここでλは炭素繊維の熱伝導率、αは炭素
繊維の熱拡散率、Cpは一方向炭素繊維強化プラスチッ
クの絶対比熱、ρは密度、Vfは一方向炭素繊維強化プ
ラスチック中に含まれる炭素繊維の体積分率である。 【0046】マトリックス樹脂の熱伝導率は、炭素繊維
の熱伝導率に対して無視できるほど小さいので炭素繊維
の熱伝導率はλで求められる。なお、測定は室温(25
℃)で行った。 【0047】以下、さらに本発明を明確にするために、
実施例、比較例を用いて説明する。 【0048】 【実施例】 【0049】 【実施例1】原料としてコールタールピッチを用い、触
媒存在下で直接水素化を行い、この水素化ピッチを減圧
化500℃で熱処理したのち、低沸点成分を除きメソフ
ェースピッチを得た。 【0050】このピッチは軟化点304℃、トルエン不
溶分80重量%でメソフェース含有量が94%であっ
た。このメソフェースピッチを用いて、図1に示すよう
な導入孔から吐出孔に至る形状が120度の角度のアプ
ローチ部で縮流し、アプローチ終端で一旦平坦部とし、
キャピラリー径0.10mm、吐出口長さ0.15m
m、平坦部長さ0.8mmのノズルを用い、吐出口のピ
ッチ粘度が450ポイズになるように紡糸し、繊維径1
0μmのピッチ繊維を得た。 【0051】このピッチ繊維を、空気に二酸化窒素ガス
を5体積%、酸素ガスを10体積%添加した酸化雰囲気
下で、150℃から310℃まで1℃/minで昇温し
不融化繊維を得た。この不融化繊維を390℃まで昇温
し、50min炭化し、炭化繊維を得た。 【0052】つぎにこの炭化繊維を3200℃の温度
で、3時間黒鉛化処理を行い炭素繊維を得た。 【0053】この炭素繊維は、繊維径7.4μmで、引
張弾性率900GPa、引張強度3.3GPa、X線構
造パラメータがLc002が450Å、La110が9
10Å、d002が3.364Å、熱伝導率1180W
/mKであり毛羽の発生は極めて少なかった。 【0054】 【実施例2】実施例1のピッチを用いて図1に示すよう
な導入角135度、キャピラリー径0.09mm、吐出
口長さ0.14mmのノズルを用い、吐出口のピッチ粘
度が600ポイズになるように紡糸し、繊維径9.5μ
mのピッチ繊維を得た。 【0055】このピッチ繊維を用いて実施例1と同じ条
件で不融化、炭化、黒鉛化を行い炭素繊維を得た。 【0056】この炭素繊維は、繊維径6.8μmで、引
張弾性率980GPa、引張強度4.0GPa、X線構
造パラメータがLc002が480Å、La110が9
70Å、d002が3.359Å、熱伝導率1230W
/mKであり毛羽の発生は極めて少なかった。 【0057】 【比較例1】実施例1のピッチを用いて図2に示すよう
な導入角120度、キャピラリー径0.10mm、吐出
口長さ0.15mmのノズルを用い、吐出口のピッチ粘
度が450ポイズになるように紡糸し、繊維径10μm
のピッチ繊維を得た。 【0058】このピッチ繊維を用いて実施例1と同じ条
件で不融化、炭化、黒鉛化を行い炭素繊維を得た。 【0059】この炭素繊維は、繊維径7.4μmで、引
張弾性率900GPa、引張強度2.8GPa、X線構
造パラメータがLc002が420Å、La110が7
60Å、d002が3.365Å、熱伝導率1070W
/mKであり毛羽の発生は多かった。 【0060】 【比較例2】実施例1のピッチを用いて図2に示すよう
な導入角120度、キャピラリー径0.10mm、吐出
口長さ0.15mmのノズルを用い、吐出口のピッチ粘
度が600ポイズになるように紡糸し、繊維径13μm
のピッチ繊維を得た。 【0061】このピッチ繊維を用いて実施例1と同じ条
件で不融化、炭化、黒鉛化を行い炭素繊維を得た。 【0062】この炭素繊維は、繊維径9.0μmで、引
張弾性率900GPa、引張強度2.5GPa、X線構
造パラメータがLc002が350Å、La110が5
90Å、d002が3.370Å、熱伝導率600W/
mKであり毛羽の発生は多かった。 【0063】 【比較例3】実施例1のピッチを用いて図2に示すよう
な導入角120度、キャピラリー径0.10mm、吐出
口長さ0.15mmのノズルを用い、吐出口のピッチ粘
度が700ポイズになるように紡糸し、繊維径13μm
のピッチ繊維を得た。 【0064】このピッチ繊維を用いて実施例1と同じ条
件で不融化、炭化、黒鉛化を行い炭素繊維を得た。 【0065】この炭素繊維は、繊維径9.3μmで、引
張弾性率900GPa、引張強度2.3GPa、X線構
造パラメータがLc002が360Å、La110が6
50Å、d002が3.369Å、熱伝導率700W/
mKであり毛羽の発生は多かった。 【0066】 【比較例4】実施例1のピッチを用いて図2に示すよう
な導入角120度、キャピラリー径0.12mm、吐出
口長さ0.20mmのノズルを用い、吐出口のピッチ粘
度が600ポイズになるように紡糸し、繊維径10μm
のピッチ繊維を得た。 【0067】このピッチ繊維を用いて実施例1と同じ条
件で不融化、炭化、黒鉛化を行い炭素繊維を得た。 【0068】この炭素繊維は、繊維径7.3μmで、引
張弾性率900GPa、引張強度2.7GPa、X線構
造パラメータがLc002が290Å、La110が4
90Å、d002が3.379Å、熱伝導率530W/
mKであり毛羽の発生は多かった。 【0069】 【発明の効果】本発明の炭素繊維は、工業的に実施適応
が容易な技術で、同一条件で炭化または黒鉛化された従
来の炭素繊維にくらべて極めて大きな熱伝導率を示し、
毛羽の発生が極めて少なく、また繊維糸条が折れる問題
が少ない、すなわちハンドリング性に優れた細径炭素繊
維を製造することができ、耐熱衝撃性、寸法安定性を要
求される宇宙用材料、航空機用材料、自動車用材料等の
分野での利用に適した炭素繊維を提供することが可能と
なる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に用いる紡糸ノズルの一部断面概略図を
示す。 【図2】比較例に用いる従来の紡糸ノズルの一部断面概
略図を示す。 【符号の説明】 D1 導入口径 D2 平坦部直径 D3 キャピラリー径 L1 導入口長さ L2 吐出口長さ θ1 アプローチ部角度 θ2 平坦部角度
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−105116(JP,A) 特開 平2−229219(JP,A) 特開 平6−65813(JP,A) 特開 平5−117918(JP,A) 特開 平6−146119(JP,A) 特開 平5−163619(JP,A) 特開 昭60−252723(JP,A) 特開 昭60−194120(JP,A) 特開 昭59−168127(JP,A) 特開 平7−42025(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 9/14 - 9/155

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 光学的異方性のメソフェースピッチを溶
    融紡糸し、不融化、炭化、黒鉛化処理して炭素繊維を製
    造する際に、メソフェースピッチを、 A)導入孔から吐出孔に至る形状が90〜150度の角
    度のアプローチ部で縮流し、 B)アプローチ部終端で一旦平坦部とし、 C)平坦部に設けたキャピラリー径が50〜110μm
    である円形断面の吐出孔を有する紡糸ノズルを通過させ
    て、紡糸を行い、繊維径5〜11μmの細径ピッチ繊維
    を得、不融化、炭化した後、不活性ガス雰囲気下で黒鉛
    化することを特徴とする、繊維径が4〜8μmの高熱伝
    導率炭素繊維の製造方法。
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