JP3024319B2 - 高ストランド強度炭素繊維の製造方法 - Google Patents

高ストランド強度炭素繊維の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はピッチ系炭素繊維の製造
方法に関するものであり、より詳しくは、高ストランド
強度を有する炭素繊維の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維は、比強度及び比弾性率が高い
材料であり、高性能複合材料のフィラー繊維として注目
されている。現在、炭素繊維はポリアクリロニトリル
(PAN)を原料とするPAN系炭素繊維とピッチ類を
原料とするピッチ系炭素繊維が製造されているが、一般
に開発が先行していた為にPAN系がより広く使用さ
れ、高強度、高弾性の高特性炭素繊維としても主にPA
N系炭素繊維が種々の工夫を加えて使用されている現状
にある。
【0003】しかしながら、PAN系炭素繊維は、更に
高弾性化することには限界があり、又、その原料である
PANが高価であること、原料当りの炭素繊維の収量が
低いという難点も有している。そこで、近年、より高弾
性な特徴を有し、より広範な用途の期待されるピッチ系
炭素繊維の高特性化が種々検討されている。
【0004】ピッチ系炭素繊維の高特性化は、従来紡糸
原料として使用していた等方質ピッチの代りに、原料ピ
ッチを加熱処理して、異方性が発達し、配向しやすい分
子種が形成されたピッチ、所謂、メソフエーズピッチを
使用する方法(特公昭49−8634号公報)が提案さ
れて以来、主に紡糸ピッチの性状を調節することによっ
て行なわれている。
【0005】例えば、特開昭49−19127号公報に
は、原料ピッチを不活性ガス雰囲気下に加熱処理して高
度に配向されたメソフエーズを形成し、該メソフエーズ
を40〜90重量%含有するピッチを紡糸ピッチとする
方法が提案されている。しかし、かかる方法により等方
質の原料ピッチをメソ化するには長時間を要するので、
特開昭54−160427号公報は、予め原料ピッチを
十分量の溶媒で処理しておくことにより、短時間でメソ
化を行なう方法を提案している。即ち、原料ピッチをベ
ンゼン、トルエン等の溶媒で処理してその不溶分を得、
それを230〜400℃の温度で10分以下の短時間加
熱処理して、高度に配向され、光学的異方性部分が7.
5重量%以上で、キノリン不溶分25重量%以下の所謂
ネオメソフエーズを形成し、かかるネオメソフエーズを
紡糸ピッチとする方法を提案している。
【0006】このようにして得られた紡糸ピッチを溶融
紡糸して、ピッチ繊維を得、次いで不融化、炭化あるい
は、更に黒鉛化することにより高強度、高弾性等の高特
性炭素繊維が製造される。ところで、こうして得られる
炭素繊維は、通常エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フェ
ノール樹脂等のマトリックス樹脂に含浸され、いわゆる
プリプレグとし、これを種々の成形法にて成形し、繊維
強化プラスチックとしてレジャー・スポーツ用や、各種
工業用資材として用いられる。したがって前記炭素繊維
強化プラスチックの機械的特性を発現させるためには、
1本1本の炭素繊維自体の高強度、高弾性等の機械的特
性と同時に、炭素繊維がマトリックス樹脂中で、良好に
分散し炭素繊維自体の機械的特性が充分に発揮されるこ
とが重大な要因となる。
【0007】云い換えれば炭素繊維の強度や弾性率がい
かに大きくても該繊維のマトリックス樹脂中での分散が
不良では、炭素繊維強化プラスチックの機械的機能は不
充分なものになってしまうと云うことである。そこでま
ずマトリックス樹脂中での分散性に対しては使用する炭
素繊維の単繊維同士の融着がないこと、即ち該炭素繊維
が充分に解繊されなければならない。
【0008】すなわち、ピッチ系炭素繊維製造工程にお
いて不融化処理された繊維(以下単に不融化繊維と記
す)、及び炭化又は黒鉛化処理された繊維(以下単に炭
素繊維と記す)は、前の工程で用いられた集束剤、サイ
ジング剤等の油剤や各工程での繊維自体の熱変質などの
ために単繊維同士が融着し、品質むらを呈したり、マト
リックス樹脂中での単繊維分散が不均一となり、複合材
料の均質性を損ったりするので、不融化、炭化又は黒鉛
化の何れかの段階で、しなやかで融着のない状態に解繊
しなければならない。
【0009】従来、不融化繊維又は炭素繊維の解繊方法
としては、繊維に乱気流処理を施す方法、バー、ワイ
ヤ、回転ピン等のガイドにジクザクに屈曲させながら通
過させる曲げ処理法、凸状の曲面を有するロールの曲面
に接触させる方法(特開昭55−57015号公報)、
2個以上のテーパーローラの傾斜面に当接させる方法
(特開昭61−124645号公報)、及び流体中で解
繊する方法(特開昭57−89638号公報)等が提案
されている。又、この他に炭素繊維又は不融化繊維の表
面を酸素を含有するガス等で処理し、解繊又は炭素繊維
の強度を向上する方法(特開昭61−215716号公
報、特開昭63−665523号公報、特開昭63−1
75122号公報)が知られている。これらはいずれも
酸素を含む不活性ガス中で炭素繊維を処理し、表面を若
干エッチングすることにより目的を達するものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
方法、例えば機械的な解繊方法は設備コストが高い割に
は解繊効果が不充分であり、また表面積向上の方法とし
て、陽極酸化は装置や操作が複雑な上に、表面積向上も
小さく、かつ廃液処理等の課題がある。また不活性雰囲
気下、高温で炭化処理した炭素繊維ないし黒鉛繊維酸素
含有の不活性ガスを雰囲気中で加熱処理しても、既に繊
維表面が安定化されて不活性になっているため、その表
面積向上の効果は大きくなく、しかも、実際には酸素ガ
スは、炭素繊維と大きな発熱を伴なって反応する為に反
応の制御が難しく、一部のフィラメントで過酸化反応が
進行し、充分に満足するべき高いストランド強度を有す
る炭素繊維を得るのが困難であった。
【0011】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者等は、ピ
ッチ系炭素繊維の解繊およびストランド強度向上を図る
方法について鋭意検討を重ねた結果、驚くべきことに不
融化繊維又は炭素繊維を水蒸気含有雰囲気下加熱処理す
ることにより、解繊性の良好な高ストランド強度の炭素
繊維を製造出来るという画期的な方法を見い出した。
【0012】更にかくして得られた炭素繊維を不活性雰
囲気下、前述の一次炭化温度より高い温度で二次炭化処
理することにより繊維の強度、弾性率をその使用目的に
応じて自由に制御することができることを見出し、本発
明を完成した。すなわち本発明の目的は解繊性が良好で
かつ高ストランド強度の炭素繊維の製造方法を提供する
ことであり、さらに本発明の他の目的は、繊維の強度、
弾性率を自由に制御しうる高ストランド強度の炭素繊維
の製造方法を提供することにあり、また本発明の他の目
的としては、単繊維自体の強度、特にJIS R−76
01−1986,6.6.1により求めた単繊維自体の
強度に匹敵する樹脂含浸ストランド強度を発現する高ス
トランド強度炭素繊維の製造方法の提供にあり、かかる
本発明の目的は、ピッチを溶融紡糸し、集束して得られ
るピッチ繊維を不融化処理し、不融化繊維を得、次いで
炭化処理し、更に必要に応じて黒鉛化処理することによ
り炭素繊維を製造する方法において、不融化繊維又は炭
素繊維を水蒸気含有雰囲気下1,000℃を超え、1,
800℃以下に加熱処理し、更に得られた繊維を不活性
ガス雰囲気下に上記の加熱処理温度よりも高温で加熱処
することを特徴とする高ストランド強度炭素繊維の製
造方法により容易に解決される。
【0013】以下本発明を詳細に説明する。本発明で用
いる炭素繊維を得るための紡糸ピッチとしては、配向し
やすい分子種が形成されており、光学的に異方性の炭素
繊維を与えるようなものであれば特に制限はなく、前述
の様な従来の種々のものが使用できる。これら紡糸ピッ
チを得るための炭素質原料としては、例えば、石炭系の
コールタール、コールタールピッチ、石炭液化物、石油
系の重質油、タール、ピッチ又はナフタレンやアントラ
センの触媒反応による重合反応生成物等が挙げられる。
これらの炭素質原料にはフリーカーボン、未溶解石炭、
灰分、触媒などの不純物が含まれているがこれらの不純
物は濾過、遠心分離、あるいは溶剤を使用する静置沈降
分離などの周知の方法で予め除去しておくことが望まし
い。
【0014】また、前記炭素質原料を、例えば、加熱処
理した後特定溶剤で可溶分を抽出するといった方法、あ
るいは水素供与性溶剤、水素ガスの存在下に水添処理す
るといった方法で予備処理を行なっておいても良い。本
発明においては、40%以上、好ましくは、70%以
上、更に好ましくは90%以上の光学的異方性組織を含
む炭素質原料が好適であり、この為に前述の炭素質原料
あるいは予備処理を行なった炭素質原料を必要によって
は通常350〜500℃、好ましくは380〜450℃
で、2分〜50時間、好ましくは5分〜5時間、窒素、
アルゴン、水蒸気等の不活性ガス雰囲気下、或いは、吹
き込み下に加熱処理することがある。
【0015】本発明でいうピッチの光学的異方性組織割
合は、常温下偏光顕微鏡でのピッチ試料中の光学的異方
性を示す部分の面積割合として求めた値である。具体的
には、例えばピッチ試料を数mm角に粉砕したものを常
法に従って2cm直径の樹脂の表面のほぼ全面に試料片
を埋込み、表面を研磨後、表面全体をくまなく偏光顕微
鏡(100倍率)下で観察し、試料の全表面積に占める
光学的異方性部分の面積の割合を測定することによって
求める。
【0016】上記の様な紡糸ピッチを用いて通常の方法
に従って溶融紡糸、集束、不融化および炭化して炭素繊
維を得る。この炭化処理は、窒素、アルゴン等の不活性
ガス雰囲気下、400℃以上1,800℃以下、好まし
くは400℃以上1,400℃以下の温度範囲において
通常10秒以上6時間以下、好ましくは1分以上2時間
以下で実施される。
【0017】また、炭素繊維は用途によっては強度の絶
対値が不足することがある。したがって前述の方法で得
る炭素繊維よりも、強度、弾性率など機械的な面でより
一層高性能の炭素繊維を得たい場合には、前述の加熱処
理の後、さらに不活性雰囲気下、前述炭化温度より高い
温度で該繊維を二次炭化処理又は黒鉛化処理することに
より目的を達成することが出来る。
【0018】この二次炭化処理又は黒鉛化処理の温度
は、要求される強度、弾性率など機械的特性によって決
定すればよいが、一次炭化処理より高い温度であること
が重要である。すなわち二次炭化処理又は黒鉛化処理温
度が一次炭化処理温度以下の場合、二次炭化処理又は黒
鉛化処理が炭素繊維の機械的特性の向上に殆ど寄与しな
いからである。
【0019】発明においては不融化繊維又はこれを炭
化して得た炭素繊維を、次いで水蒸気雰囲気下又は窒素
ガス、アルゴンガス等の不活性ガスと水蒸気の混合ガス
の雰囲気下で、1,000℃を超え1,800℃以下、
好ましくは1,050℃以上1,400℃以下の温度範
囲において通常0.1秒以上24時間以下、好ましくは
1秒以上6時間以下の時間で、加熱処理る。水蒸気濃
度としては通常100ppmから100vol%、好ま
しくは1,000ppmから100vol%である。
【0020】本発明での水蒸気濃度は処理温度、処理時
間により大きく左右され、例えば長時間もしくは高温で
処理する場合は水蒸気濃度を低くして実施するのが好ま
しく、又、短時間もしくは低温で処理する場合には、水
蒸気濃度を高くして実施するのがよい。解繊性が良好で
且つ繊維単独でも樹脂含浸ストランドとしても高強度を
発現するという本発明の効果を考慮した場合、工業的に
最も好ましい処理条件は、1,050℃以上1,400
℃以下、5秒以上90分以下、濃度3000ppm以上
60vol%以下である。
【0021】水蒸気雰囲気下での加熱処理を経た繊維
は、次いでこの加熱処理の温度よりも高い温度で更に加
熱処理する。この二次炭化処理又は黒鉛化処理温度は
3,000℃以下が好ましい。なぜならば3,000℃
を超えても、熱源コストの大きい割に、機械的特性の温
度による向上効果がかなり緩やかになり、工業的に有利
とは云えないからである。二次炭化処理又は黒鉛化処理
温度は2,150〜3,000℃が好ましい。なお、こ
の二次炭化処理又は黒鉛化処理は、炭素繊維の機械的特
性の向上を目的として実施するものであるが、これによ
前述の水蒸気含有雰囲気の加熱処理によって得られた
炭素繊維の解繊とストランド強度向上の効果阻害され
ない。以上の様に、不融化繊維又は炭素繊維を水蒸気含
有雰囲気下で1,000℃を超え1,800℃以下で加
熱処理することにより該繊維の解繊とストランド強度の
大幅な向上が達成される。また本発明による方法によれ
ば繊維が解繊され、各単繊維のマトリックス樹脂中での
分散性が向上し、ストランド強度が向上するのみではな
く、各単繊維単位でみる単繊維強度も向上しておりこれ
は、単繊維間の融着により発生した表面欠陥を水蒸気ガ
スがエッチングにより除去したことによる効果も含まれ
ている。
【0022】従来技術でも表面欠陥等をエッチングによ
り除去しようとした試みは前述の如くなされてきた訳で
あるが、いずれも酸素ガス等の大きな発熱を伴う方法に
よるものであった。本発明で用いる水蒸気ガスが、特に
大きな効果を示したのは炭素繊維表面の炭素原子と水蒸
気の反応が、1,000℃を超え1,8000℃以下で
は吸熱反応か又は微少な発熱反応である為に、特に過酸
化等による強度劣化を起こさず処理可能なためであると
考えられる。
【0023】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明する
が、本発明の要旨を超えない限り、本発明は実施例に限
定されるものではない。
【0024】参考例1 コールタールピッチより、軟化点300℃かつ偏光顕微
鏡下で観察した光学的異方性割合が95%の紡糸ピッチ
を調製した。これをノズル径0.1mm、孔数4,00
0の紡糸口金を用い、口金温度330℃で溶融紡糸し、
得られた糸径12μmのピッチ繊維にシリコン系の油剤
を付着させ集束した。このピッチ繊維を310℃で30
分間空気中で加熱処理することにより、不融化繊維を得
た。更にこの不融化繊維を窒素ガス中545℃で炭化
し、炭素繊維を得た。この炭素繊維を水蒸気を8,40
0ppm含む窒素ガス雰囲気中に保たれた連続式の加熱
炉中で1,200℃滞留時間20分の条件で加熱処理し
た。
【0025】かくして得られた炭素繊維は、繊維同士の
融着がなく、マトリックスのエポキシ樹脂中に含浸し、
130℃、30分で乾燥、硬化させ該炭素繊維の長手方
向に対する横断面を顕微鏡により観察すると、図1に示
すように単繊維1が、エポキシ樹脂マトリックス2中に
均一に分散し優れた均質性を示した。
【0026】また、得られた繊維の単繊維物性及び樹脂
含浸ストランド物性をJIS R−7601の方法によ
り測定したところ下記の通りであった。 単繊維物性 引張り強さ 330 kgf/mm2 引張り弾性率 19tonf/mm2 樹脂含浸ストランド物性 引張り強さ 300 kgf/mm2 引張り弾性率 21tonf/mm2
【0027】参考例2 水蒸気を8,400ppm含む窒素ガス雰囲気中での
1,200℃滞留時間を30分とした以外、参考例1と
同様に実施した。得られた繊維の各種の特性を参考例
と同様に測定した結果を第1表に示した。
【0028】参考例3 545℃で炭化した炭素繊維約50mを回分式の加熱炉
に仕込み、水蒸気8,000ppmを含む窒素ガス中
1,200℃、滞留時間60分の条件で加熱処理した以
外、参考例1と同様に実施した。得られた繊維の各種の
特性を参考例1と同様に測定した結果を第1表に示し
た。
【0029】参考例4 窒素中の水蒸気濃度を12vol%とし、1,200
℃、滞留時間を30秒とした以外、参考例1と同様に実
施した。得られた繊維の各種の特性を参考例1と同様に
測定した結果を第1表に示した。
【0030】実施例 参考例 4で得られた炭素繊維トウに対してさらにアルゴ
ンガス中2,150℃、滞留時間0.5分の条件で黒鉛
化処理した。得られた繊維の各種の特性を参考例1と同
様に測定した結果を第1表に示した。
【0031】参考例5 窒素中の水蒸気濃度を49vol%とし、1,200
℃、滞留時間を10秒とした以外、参考例1と同様に実
施した。得られた繊維の各種の特性を参考例1と同様に
測定した結果を第1表に示した。
【0032】実施例 参考例 5で得られた炭素繊維トウに対してさらにアルゴ
ンガス中2,500℃、滞留時間1分の条件で黒鉛化処
理した。得られた繊維の各種の特性を参考例1と同様に
測定した結果を第1表に示した。
【0033】参考例6 参考例 1で用いた不融化繊維を水蒸気を8,400pp
m含む窒素ガス雰囲気中で、1,200℃滞留時間30
分の条件で加熱処理した。得られた繊維の各種の特性を
参考例1と同様に測定した結果を第1表に示した。
【0034】比較例1 水蒸気を8,400ppm含む窒素ガス雰囲気中での加
熱処理温度を850℃とした以外、参考例1と同様に実
施し得られた炭素繊維トウに対して、さらに窒素ガス雰
囲気中、1,200℃、滞留時間20分の条件で、加熱
処理した。得られた繊維の各種の特性を参考例1と同様
に測定した結果を第1表及び図2に示した。
【0035】比較例2 窒素ガス中の水蒸気濃度を49vol%とし、加熱処理
温度850℃、滞留時間3分とした以外は、参考例1と
同様に実施し得られた炭素繊維トウに対して、さらに窒
素ガス雰囲気中1,200℃、滞留時間20分の条件で
加熱処理した。得られた繊維の各種の特性を参考例1と
同様に測定した結果を第1表に示した。
【0036】参考例7 1,200℃の加熱処理を行う際の雰囲気ガスを窒素ガ
スとした以外、参考例1と同様に実施した。得られた繊
維の各種の特性を参考例1と同様に測定した結果を第1
表及び図3に示した。第1表及び図から明らかなよう
に、この炭素繊維はエポキシ樹脂マトリックス中での分
散が悪く、ストランド強度も低いものであった。
【0037】参考例8 1,200℃の加熱処理を行う際の雰囲気を、酸素ガス
を400ppm含む窒素ガスとした以外、参考例1と同
様に実施した。得られた繊維の各種の特性を参考例1と
同様に測定した結果を第1表に示した。
【0038】
【表1】 注)◎:良好(図1の状態) ○:やや良好(数本〜数10本単位で未分散の部分があるが殆んどが単 系レベルに分散している。) △:やや不良(図2の状態:数本〜数10本単位で分散している。) ×:不良(図3の状態)
【0039】
【発明の効果】本発明により、解繊性が良好でかつ高ス
トランド強度であり、単繊維自体の強度に匹敵する樹脂
含浸ストランド強度を発現する高ストランド強度炭素繊
維の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】炭素繊維横断面を光学顕微鏡にて観察した視野
の模式図である。
【図2】炭素繊維横断面を光学顕微鏡にて観察した視野
の模式図である。
【図3】炭素繊維横断面を光学顕微鏡にて観察した視野
の模式図である。
【符号の説明】
1 炭素単繊維 2 マトリックス樹脂
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭52−40622(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 9/14

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピッチを溶融紡糸し、集束して得られる
    ピッチ繊維を不融化処理し、不融化繊維を得、次いで炭
    化処理し、更に必要に応じて黒鉛化処理することにより
    炭素繊維を製造する方法において、不融化繊維又は炭素
    繊維を水蒸気含有雰囲気下1,000℃を超え1,80
    0℃以下にて加熱処理し、更に得られた繊維を不活性ガ
    ス雰囲気下に上記の加熱処理温度よりも高温で加熱処理
    することを特徴とする高ストランド強度炭素繊維の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 不融化繊維を炭化処理して得た炭素繊維
    を水蒸気含有雰囲気下1,000℃を超え1,800℃
    以下にて加熱処理することを特徴とする請求項1記載の
    高ストランド強度炭素繊維の製造方法。
  3. 【請求項3】 水蒸気含有雰囲気下の加熱処理の温度が
    1,050℃以上1,400℃以下であることを特徴と
    する請求項1又は2記載の高ストランド強度炭素繊維の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 水蒸気含有雰囲気下の加熱処理の時間が
    0.1秒以上24時間以下であることを特徴とする請求
    項1ないし3のいずれかに記載の高ストランド強度炭素
    繊維の製造方法。
  5. 【請求項5】 水蒸気含有雰囲気下の加熱処理を、1,
    050℃以上1,400℃以下の温度、水蒸気濃度3,
    000ppm以上60vol%以下、5秒以上90分以
    下の条件下で行うことを特徴とする請求項1又は2記載
    の高ストランド強度炭素繊維の製造方法。
  6. 【請求項6】 水蒸気含有雰囲気下に加熱処理した繊維
    を、不活性ガス雰囲気下2,150℃以上3,000℃
    以下で加熱処理することを特徴とする請求項1ないし5
    のいずれかに記載の高ストランド強度炭素繊維の製造方
    法。
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