JP3406422B2 - 金属メッキ製品 - Google Patents

金属メッキ製品

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JP3406422B2 JP15914695A JP15914695A JP3406422B2 JP 3406422 B2 JP3406422 B2 JP 3406422B2 JP 15914695 A JP15914695 A JP 15914695A JP 15914695 A JP15914695 A JP 15914695A JP 3406422 B2 JP3406422 B2 JP 3406422B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属メッキ製品に係り、
特に、Ni等の金属アレルギーを引き起こす有害金属を
含まない金属メッキを施す技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、時計やネックレス等の装身具、装
飾品等において、装飾性を高めかつ耐蝕性を向上させる
ために、金色や銀色を呈する金属メッキが施されてい
る。この金属メッキとしては、多くの場合、耐磨耗性の
高いNi合金からなるメッキ層が形成されている。しか
し、特に装身具においては、Hg、Ni、Co、Cr等
の金属によって引き起こされる金属アレルギーが問題と
なってきている。これらのうち、Niは上述のようにメ
ッキに欠かせない元素であるためにその影響は大きい。
【0003】Niを含有する製品が長時間皮膚に接触し
ていると、汗に含まれるClイオンの反応によりNiイ
オンが溶出し、皮膚の蛋白質と結合してアレルゲンが形
成される。このアレルゲンに対応する抗体が一旦生体内
に形成されると、アレルゲンが体内に侵入する際に表皮
細胞を破壊し、皮膚炎、湿疹等の症状を引き起こす。こ
の抗体は長期間体内に残存するため、アレルギー症状は
数年から数十年続く場合がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】現在、Ni、Cr、C
o等の有害金属を含まないメッキが望まれているが、装
身具に欠かせない金色等の彩色や光沢を失わず、しか
も、メッキ層としての耐蝕性、耐磨耗性を満足するメッ
キ層の形成は極めて困難であった。そこで、一部ではN
iの含有量を低減した製品が製造されているが、アレル
ギー体質の人には微量でも充分に発症する場合がある。
【0005】そこで、本発明は上記問題点を解決するも
のであり、その課題は、上記の4つのアレルギー金属を
全く含まない新規のメッキ層を施した製品を実現するこ
とにある。
【0006】
【0007】
【0008】
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため
に、本発明の金属メッキ製品は、表面上に、Au、Fe
及びInの各金属成分を本質的に含むメッキ液を用いた
電解メッキ処理により形成された金色を呈する金属メッ
キ層を有することを特徴とする。
【0010】ここで、前記金属メッキ層は、Auの含有
比率を97〜99%、Feの含有比率を0.5〜2.5
%、Inの含有比率を0.05〜1.0%の範囲にそれ
ぞれ調整されてなることを特徴とする。
【0011】特に、前記メッキ液は、電導塩としてPH
(ペーハー)を2.5〜4.0にアルカリで中和した弱
有機酸を用い、Fe塩(metal)として0.5〜2g/
L、In塩(metal)として0.5〜2g/L、Au塩(me
tal)として3〜8g/Lに調整されてなることを特徴と
する。
【0012】
【0013】
【0014】
【作用】請求項1によれば、メッキ液の組成として、A
u、FeにさらにInを加える事によって、メッキ層の
耐摩耗性が向上するとともに、従来のAu−Niメッキ
に類似した色調を得ることができる。
【0015】請求項2によれば、メッキ液中の金属組成
を所定範囲にすることによって、耐摩耗性の良好な安定
した条件でメッキ層を形成することができる。
【0016】請求項3によれば、メッキ層の良好な色調
と耐摩耗性とをより安定的に得ることができる。
【0017】
【実施例】次に、図面を参照して本発明に係る金属メッ
キ製品の実施例を説明する。この実施例は、黄銅若しく
は亜鉛合金により形成された時計用外装部品を素材と
し、この素材の表面上にメッキ層を形成したものであ
る。メッキ層としては、Cu、Sn−Cu、純Pd等の
Niを含まない下地メッキ層を電解メッキにより形成
し、その上に、Au及びFeを含み、Niを含まない仕
上げメッキ層を形成する。下地メッキ層と仕上げメッキ
層はともに2層以上形成する場合もある。
【0018】下地メッキ層は、素材のレベリング性(平
滑性)を高め、仕上げメッキ層との密着性を高め、更に
素材の耐蝕性を向上させるために形成するものであり、
金属アレルギーを考慮しない場合には、Ni、Pd−N
i系が用いられていた。しかし、下地メッキ層と言えど
も、Ni等の有害金属を含む場合には表面の仕上げメッ
キ層を介して有害金属が溶出するというデータがあるた
め、下地メッキ層についても、無害な金属メッキを施す
必要がある。
【0019】この下地メッキ層に関しては、上記従来の
メッキ層に対抗しうる密着性と耐蝕性を備えた代替品と
して、Cuメッキ、Cu−Sn、純Pdメッキが開発さ
れている。これらのメッキ層の詳細は、特開平5−70
989号公報に開示されている。本実施例の場合には下
地メッキ層は上記のものが好ましいが、本実施例以外の
素材に被着される場合にはそのメッキ組成は素材に応じ
て種々異なる組成で形成されてよい。
【0020】仕上げメッキ層は、AuとFeの他にTi
又はInを含有するメッキ液により電解メッキにより形
成される。これらのメッキ層は、従来のAu−Ni系と
ほぼ同様の色度及び光沢を備え、しかも時計用外装部品
に使用しても充分な硬度若しくは耐摩耗性を備えてい
る。
【0021】〔第1実施例〕本実施例は、時計の胴、
蓋、ベゼル、リューズ、バンド、中留め等として用いら
れる時計用外装部品の黄銅の素材表面上に、下地メッキ
層1としてCuメッキ層を形成し、次に、下地メッキ層
2としてCu−Snメッキを施した後、その表面上に、
Au,Fe,Tiの3つの金属元素を含むメッキ液を用
いて電解メッキを施し、仕上げメッキ層を形成したもの
である。
【0022】メッキ液の組成は、金化合物、鉄塩、チタ
ン塩、電導塩、PH調整用の弱有機酸及び/又はアルカ
リ、光沢剤等からなる。
【0023】金化合物は、一般に、シアン化第1金ナト
リウム、シアン化第1金カリウム、シアン化第2金ナト
リウム、シアン化第2金カリウム等の1種若しくは2種
以上の混合物である。
【0024】鉄塩は、一般に、シュウ酸塩、クエン酸
塩、グルコン酸塩、硫酸塩等の水溶性鉄塩化合物からな
る。
【0025】チタン塩は、一般に、シュウ酸塩、クエン
酸塩、グルコン酸塩、硫酸塩、フッ酸塩等からなる。
【0026】電導塩は、一般に、クエン酸塩、酒石酸
塩、グルコン酸塩、リン酸塩等からなる。
【0027】メッキ液は、クエン酸、酒石酸、グルコン
酸、リン酸、シュウ酸等の弱有機酸と、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム等のアルカリとによって後述するよ
うにPH調整が行われる。
【0028】まず、本実施例のAu−Fe−Ti系メッ
キによるメッキ層と、Tiを含有しない他のAu−Fe
メッキによるメッキ層とを比較するために、本実施例に
用いるメッキ液Aと、金属としてTiを含まない他の2
種のメッキ液(比較例としてメッキ液B、メッキ液C)
とを比較した。この比較は、メッキ時の電流密度を変え
て光沢の得られる範囲を測定する電流密度別光沢範囲評
価、メッキ層の内部応力をみるメッキ付け時の内部応力
評価、メッキ皮膜の耐磨耗性評価、及びAu−Niメッ
キによって得られる色調基準の上限値(L* =87.8
7、a* =0.92、b* =33.40)との色差の大
小をみる色調評価である。各メッキ層の形成条件を表1
に示す。
【0029】
【表1】
【0030】ハルセル試験器(株式会社山本鍍金試験器
製)によりメッキ層の光沢の得られる範囲を測定した。
この結果を図6に示す。図6に示すように、本実施例に
使用するメッキ液Aではクモリ又はヤケの範囲(図中斜
線部)は電流密度3A/dm2 以上であるのに対し、メ
ッキ液Bは2.1A/dm2 以上、メッキ液Cでは2.
4A/dm2 以上でクモリ又はヤケがみられた。
【0031】次に、本実施例のメッキ液A、メッキ液
B、及びメッキ液Cについて、スパイラル応力測定によ
る内部応力評価をスパイラル鍍金応力計(株式会社山本
鍍金試験器製)により行った。このときの評価結果を図
7に示す。図7に示すように、メッキ液Aで形成したメ
ッキ層は他のメッキ層に比べて内部応力が低く良好な皮
膜が得られることがわかる。
【0032】メッキ層の耐磨耗性を調べるために、往復
運動磨耗試験を磨耗試験機NUS−ISO−3(スガ試
験機株式会社製)により行った。ここで試験荷重は40
0g、摩耗輪は9μmのアルミナ研磨紙を用いた。メッ
キ液の組成、メッキ条件は表1に示したものと同じであ
る。その結果を図8に示す。図8に示すように、メッキ
液Aにより形成したメッキ層は、他のメッキ液B,Cに
より形成されたメッキ層よりも極めて高い耐磨耗性を示
した。
【0033】最後に、上記の各メッキ層の色調を、Ge
mcolor2(カルニュー光学工業株式会社製)によ
り測定し、色調基準の上限値(L* =87.87、a*
=0.92、b* =33.40)との色差 ΔE* ab={(ΔL*2 +(Δa*2 +(Δb
*21/2 を求めた。この結果を図9に示す。
【0034】図9に示すように、メッキ液Aによるメッ
キ層は他のメッキ液に比べて全体的に色差が小さく、し
かも色差の小さい領域が最も広い。なお、色差の目安と
しては、色差が3以上になると色調が明確に異なって見
える場合が一般的である。
【0035】以上のように、本実施例のAu−Fe−T
i系のメッキ層は、Tiを含まないAu−Fe系のメッ
キ液よりも全ての点で優れており、しかもAu−Niメ
ッキの代替品として用い得ることがわかる。
【0036】本実施例では、上記のような構成により、
金属金(以下、単にAuという。)を4.5〜7.0g
/L、金属鉄(以下、単にFeという。)を0.5〜
2.0g/L、金属チタン(以下、単にTiという。)
を0.5〜2.0g/Lの範囲で含有させたメッキ液を
作成してメッキ処理を行った。液温は33〜37℃、浴
のPHは3.2〜3.5、電流密度は1.5A/dm2
である。
【0037】このメッキ液により、Au−Fe−Ti系
のメッキ層の色調について測定した結果を図1に示す。
メッキ処理の条件によって異なるものの、全体としては
従来の色調基準の上限値よりも若干赤味が強い程度で、
18Kと24Kのちょうど中間の色調が得られることが
わかる。
【0038】図2は、液温35℃、電流密度1.5A/
dm2 、Auを5.5g/L、Feを1.0g/L、T
iを1.0g/Lの浴組成とし、浴のPHを3.0〜
4.0に変化させて形成した場合の色調データを示す。
ここで、はPH=3.0、はPH=3.2、はP
H=3.4、はPH=3.6、はPH=3.8であ
る。PH=4.0の場合にはクモリが出て実用可能なメ
ッキ層が得られなかった。この図からわかるように、P
H=3.2〜3.6の範囲では色調のばらつきが少な
く、安定したメッキ層が形成できる。
【0039】図3は、液温35℃、電流密度1.5A/
dm2 、Feを1.0g/L、Tiを1.0g/L、浴
のPHを3.2とし、Auの濃度を2.83〜9.60
g/Lの範囲で変化させて形成した場合の色調データを
示す。ここで、はAu=2.83g/L、は同4.
24、は同5.83、は同7.16、は同8.2
4、は同9.60である。この図からわかるように、
金濃度が4.5〜7.0g/Lの範囲では色調のばらつ
きが少なく、安定したメッキ層が形成できる。図4は、
液温35℃、電流密度1.5A/dm2 、Auを5.5
g/L、Feを1.0g/L、Tiを1.0g/Lの浴
組成とし、浴のPHを3.2〜3.6に変化させて形成
した場合の耐磨耗性試験の結果を示す。ここで、時計用
外装部品の耐磨耗性としては330DS/μm以上であ
れば良好であると考えることができるので、浴のPHが
3.5以下であれば安定した耐磨耗性を得ることができ
る。
【0040】図5は、図1に示すものと同様の条件で作
成したメッキ層の厚さと耐磨耗試験における耐磨耗回数
との関係を、従来の時計用外装部品に用いられていたA
u−Ni系のメッキ層と比較した結果を示すものであ
る。この図からわかるように、耐磨耗特性は従来品とほ
ぼ同様であり、まったく問題がない。
【0041】以上のように、本実施例では、Au−Fe
−Ti系のメッキ液により電解メッキを行うことによ
り、色調と耐磨耗性の双方を満足させたメッキ層を得る
ことができる。色調は従来のAu−Ni系メッキの色調
とは若干の差はあるものの、純金に近い色調であり、時
計用外装部品や他の装身具に使用しても全く問題のない
ものである。耐磨耗性は従来のAu−Ni系メッキと全
く同程度の性能を備えているため、完全な代替品として
使用できる。さらに、上記のように比較的特性の安定し
たメッキ条件範囲が得られたため、製品のばらつきが抑
制され、歩留りが向上するとともに、製造コストを低減
できるという効果を奏する。
【0042】〔第2実施例〕次に、上記第1実施例と同
様に、素材の表面上に形成された下地メッキ層の上に、
Au−Fe−In系のメッキ層を形成する第2実施例を
説明する。この実施例では、第1実施例のチタン塩の代
わりにインジウム塩をメッキ液に混合し、上記と同様
に、メッキ層の色調及び耐磨耗性を測定した。
【0043】表2はメッキ液組成としてAuを4.0g
/L、Feを1.0g/Lの濃度とし、金属インジウム
の濃度(以下、単にInという。)を0.6、1.1、
1.6g/Lと3段階に変えて形成したメッキ層の試験
結果を示すものである。液温は35℃、液のPHは3.
0に調整した。電流密度は表中に示すように5段階に変
えてメッキ層を形成した。試験方法は第1実施例と同様
である。また、この場合における色調データを図10に
示す。
【0044】
【表2】
【0045】表3は、メッキ液組成としてAuを4.0
g/L、Inを1.6g/Lの濃度とし、Feを2.
0、3.0、4.0g/Lと3段階に変えて形成したメ
ッキ層の試験結果を示すものである。液温は35℃、液
のPHは約3.0である。試験方法は第1実施例と同様
である。また、この場合における色調データを図11に
示す。
【0046】
【表3】
【0047】これらによれば、耐磨耗性においては、浴
組成におけるFeの含有量が1.0〜2.0g/Lのと
きの高電流密度の場合及び浴組成におけるFeの含有量
が4.0g/Lのときを除いて、ほぼ要求水準(例えば
330DS/μm以上)を満たしている。
【0048】また、色調については、全ての場合にほぼ
色調基準の下限値から上限値の中間の色調を有してお
り、いずれの試料においても要求水準をほぼ満たすもの
と思われる。
【0049】表2の試料について色調データを示す図1
0において、は浴組成におけるInの含有量が0.6
g/Lの場合、は浴組成におけるInの含有量が1.
1g/Lの場合、は浴組成におけるInの含有量が
1.6g/Lの場合である。それぞれについて複数の点
がプロットされているのは、電流密度を5段階に変えて
形成したためである。各場合とも、電流密度が上がるに
つれて色調が青方向にずれている。
【0050】表3の試料について色調データを示す図1
1において、は浴組成におけるFeの含有量が2.0
g/Lの場合、は浴組成におけるFeの含有量が3.
0g/Lの場合、は浴組成におけるFeの含有量が
4.0g/Lの場合である。それぞれについて複数の点
がプロットされているのは、電流密度を5段階に変えて
形成したためである。各場合とも、電流密度が上がるに
つれて色調が青方向にずれている。
【0051】上記データに基づいてメッキの最適条件
を、浴組成においてAuを4.0g/L、Feを2.0
g/L、Inを1.6g/Lとし、液のPHを3.0、
液温を35℃、電流密度を1.5A/dm2 と仮設定し
た。この仮設定した条件では、最も高い耐磨耗性を備え
たメッキ層が得られる。
【0052】この仮設定した条件で、時計用外装部品に
ついてメッキ層の厚さを3μmとして試験を行ったとこ
ろ、この条件でもメッキ層が厚くなることによってメッ
キ層にクラックの発生する場合があることが判明した。
【0053】そこで、表4に示すように、上記仮設定し
た条件を中心にして浴組成を変化させて、3μmのメッ
キ層を形成し、クラックの発生の有無を調べた。ここ
で、各試料について上記と同様の色調、耐磨耗性ととも
に、スパイラル応力測定を行った。
【0054】
【表4】
【0055】この表において、試料番号1〜14は、上
記と同様に浴組成における金属成分比を変えるととも
に、浴中の電導塩の量を変えることにより浴比重を変え
てメッキ層を形成した場合を示している。その結果、上
記仮設定した条件で形成した試料8ではクラックが発生
する場合があるが、浴比重を高めた条件で形成した試料
14ではクラックの発生が抑制されることが判明した。
【0056】この場合の色調データをグラフ化したもの
を図12に示す。最適条件の試料14を含め、殆どの場
合に問題のない色調が得られている。
【0057】上記クラックの発生と、スパイラル応力試
験の内部応力のデータとは表4に示すように明確な相関
を示している。本実施例では、浴比重を調整する(増加
させる)ことによりクラックの抑制又は内部応力の低減
を図ることができ、得られた色調にも問題がないことか
ら、Au−Fe−In系で充分に実用的なメッキ層を得
ることが可能であることが実証された。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
Au−Fe−In系のメッキ液により電解メッキを行う
ことにより、色調と耐磨耗性の双方を満足させたメッキ
層を得ることができる。色調は従来のAu−Ni系メッ
キの色調とは若干の差はあるものの、純金に近い色調で
あり、時計用外装部品や他の装身具に使用しても全く問
題のないものである。耐磨耗性は従来のAu−Ni系メ
ッキと全く同程度の性能を備えているため、完全な代替
品として使用できる。さらに、上記のように比較的特性
の安定したメッキ条件範囲が得られたため、製品のばら
つきが抑制され、歩留りが向上するとともに、製造コス
トを低減できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施例(Au−Fe−Ti系
メッキ)の色調データを示すグラフである。
【図2】同実施例において、所定組成のメッキ液のPH
を変えて形成したメッキ層の色調データを示すグラフで
ある。
【図3】同実施例において、メッキ液の金属金の含有量
を変えて形成したメッキ層の色調データを示すグラフで
ある。
【図4】同実施例において、所定組成のメッキ液のPH
と耐磨耗性との関係を示すグラフである。
【図5】同実施例の耐磨耗回数(往復磨耗試験)を、従
来の時計用外装部品に形成されるAu−Ni系メッキの
耐磨耗回数と比較して示すグラフである。
【図6】同実施例及び2つの比較例のメッキ処理時の電
流密度に対して、得られたメッキ層の光沢の有無を調べ
るために行ったハルセル試験の結果を示す図(a)〜
(c)である。
【図7】同実施例及び2つの比較例のメッキ層の厚さ
と、スパイラル応力試験により求めた内部応力との関係
を示すグラフである。
【図8】同実施例及び2つの比較例について調べた耐磨
耗性試験(往復磨耗試験)の結果を示すグラフである。
【図9】同実施例及び2つの比較例について調べた電流
密度と色調との関係を示すグラフである。
【図10】本発明に係る第2実施例(Au−Fe−In
系メッキ)における色調データをInの浴組成別に示す
グラフである。
【図11】同実施例における色調データをFeの浴組成
別に示すグラフである。
【図12】同実施例におけるクラック対策実験における
製作試料の色調データを示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤座 敏之 東京都江戸川区北小岩1丁目12番17号 株式会社ビクトリア内 (56)参考文献 特開 昭61−190089(JP,A) 特開 平7−188974(JP,A) 特開 平7−18484(JP,A) 特公 昭49−23976(JP,B1) 特公 昭49−16336(JP,B1) 特公 昭39−27507(JP,B1) 特公 昭35−16410(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 3/56

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面上に、Au、Fe及びInの各金属
    成分を本質的に含むメッキ液を用いた電解メッキ処理に
    より形成された金色を呈する金属メッキ層を有すること
    を特徴とする金属メッキ製品。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記金属メッキ層
    は、Auの含有比率を97〜99%、Feの含有比率を
    0.5〜2.5%、Inの含有比率を0.05〜1.0
    %の範囲にそれぞれ調整されてなることを特徴とする金
    属メッキ製品。
  3. 【請求項3】 請求項1において、前記メッキ液は、電
    導塩としてPH(ペーハー)を2.5〜4.0にアルカ
    リで中和した弱有機酸を用い、Fe塩(metal)として
    0.5〜2g/L、In塩(metal)として0.5〜2g
    /L、Au塩(metal)として3〜8g/Lに調整されて
    なることを特徴とする金属メッキ製品。
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