JP3394832B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置

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JP3394832B2
JP3394832B2 JP05621995A JP5621995A JP3394832B2 JP 3394832 B2 JP3394832 B2 JP 3394832B2 JP 05621995 A JP05621995 A JP 05621995A JP 5621995 A JP5621995 A JP 5621995A JP 3394832 B2 JP3394832 B2 JP 3394832B2
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  • Ink Jet (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はインクジェット記録装置
に係り、特に溶剤中に色剤を分散させた液状インクを用
い、このインク中の色剤成分を濃縮して記録媒体上に飛
翔させて記録を行うインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】液状インクをインク滴と呼ばれる小さな
液滴として記録媒体上に飛翔させて記録ドットを形成し
画像を記録する装置は、インクジェットプリンタとして
実用化されている。このインクジェットプリンタは、他
の記録方法と比べて騒音が少なく、現像や定着などの処
理が不要であるという利点を有し、普通紙記録技術とし
て注目されている。インクジェットプリンタの方式は現
在までに数多く考案されているが、特に(a)発熱体の
熱により発生する蒸気の圧力でインク滴を飛翔させる方
式(例えば、特公昭56−9429、特公昭61−59
911など)や、(b)圧電素子によって発生される機
械的な圧力パルスによりインク滴を飛翔させる方式(例
えば、特公昭53−12138など)のように、複数の
ドットを並列に記録するマルチノズルタイプが代表的な
ものである。
【0003】インクジェットプリンタに使用される記録
ヘッドとしては、キャリッジに搭載されて記録紙の搬送
方向(副走査方向)に対し直交する方向(主走査方向)
に移動しながら記録を行うシリアル走査型ヘッドが実用
されている。このシリアル走査型ヘッドでは、機械的に
移動しながら記録を行うため、記録スピードを早くする
ことが難しい。そこで、記録ヘッドを記録紙の幅と同じ
サイズの長尺ヘッドとして機械的な可動部分を減らし、
記録スピードを上げることができるいわゆるライン走査
型ヘッドも考えられているが、このようなライン走査型
ヘッドを実現することは、次の理由から簡単ではない。
【0004】インクジェット記録方式は本質的に、溶媒
の蒸発や揮発によって局部的なインクの濃縮が生じやす
く、これが解像度に対応した個別の細いノズルでの目詰
まりの原因となる。このため、インクジェットの形成に
蒸気の圧力を使う方式では、インクとの熱的あるいは化
学的な反応などによる不溶物の付着が、また圧電素子に
よる圧力を使う方式では、インク流路などでの複雑な構
造がさらに目詰まりを誘起し易くする。数十〜百数十程
度のノズルを使用するシリアル走査型ヘッドでは、目詰
まりの頻度を低く抑えることができるようになっている
が、数千もの多数のノズルを必要とするライン走査型ヘ
ッドでは、確率的にかなり高い頻度で目詰まりが発生
し、信頼性の点で大きな問題となる。
【0005】さらに、従来のインクジェット記録装置は
解像度の向上には適していないという問題点もある。つ
まり蒸気の圧力を使う方法では、直径20μm(これは
記録紙上に直径50数μmくらいの記録ドットに相当す
る)以下の粒径のインク粒を生成するのが難しく、また
圧電素子が発生する圧力を使う方式では、記録ヘッドが
複雑な構造となるために加工技術上の問題で解像度の高
いヘッドが作りにくいからである。
【0006】これらの欠点を克服するために、薄膜の電
極アレイに電圧を印加し、静電力を用いてインク液面か
らインクあるいはその中の色剤成分を飛翔させるインク
ジェット記録方式が考案された。具体的には、インクを
静電的引力を使って飛翔させる方式(特開昭49−62
024、特開昭56−4467など)や、帯電した色剤
成分を含むインクを用い色剤の濃度を高めて飛翔させる
方式(WO93/11866:PCT/AU92/00
665)などが提案されている。これらの方式では、記
録ヘッドの構成が個別のドット毎のノズルを必要としな
いスリット状ノズル構成か(図13)、あるいは個別の
ドット毎のインク流路の隔壁を必要としないノズルレス
構成(図14)であるために、ライン走査型記録ヘッド
を実現する上で大きな障害であった目詰まりの防止と復
旧に対して有効である。また、特に後者は非常に小さい
径のインク粒を安定に生成して飛翔させることができる
ため、高解像度化に適している。
【0007】しかし、図13や図14に示した従来の方
式では、以下のような欠点がある。これらの従来方式
は、画点に対応した複数の電極からなる電極アレイ11
の上に濃縮したインクを薄い膜状にして乗せておく必要
があるため、図14中に示すようなインク19の溶媒の
蒸発による色剤41の析出や固着、あるいは空中に浮遊
する細かい塵の付着などにより、飛翔インク滴の粒径や
飛翔方向の変動、飛翔開始時間の不安定性、さらには飛
翔の停止など、インク飛翔特性の変化が起こりやすい。
また、電極アレイ11の表面を常に濡らした状態にして
おかなければ正常な動作を維持できない点にも気を付け
なければならない。特に、連続して動作している場合に
は電極アレイ11の先端に滞らずに流れるインクの循環
が存在するが、比較的長い時間、記録動作が休止した場
合や電源スイッチを切っている場合などには電極アレイ
11の先端でのインクの流れが止まっているため、図1
4中に示すようにインク19が乾燥した部分42が発生
しやすい状態になる。
【0008】さらに、ドット毎に分離する壁がなくスリ
ット状の開口を有するノズルを用いる方式は、ドット毎
に分離したノズルを持つ方式に比較して、粘性摩擦や表
面張力でインクを保持するための構造材が少なく、物理
的な衝撃を与えた場合にインクの横溢が起こりやすいと
いう問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の静電力を用いてインクまたはインク中の色剤成分を飛
翔させて記録を行うインクジェット記録装置では、個別
電極アレイの上に濃縮したインクを薄い膜状にして乗せ
ておく必要があるため、インクの溶媒の蒸発による色剤
の析出や固着、あるいは空中に浮遊する細かい塵の付着
などにより、飛翔インク滴の粒径や飛翔方向の変動、飛
翔開始時間の不安定性、飛翔の停止などインク飛翔特性
の変化が起こりやすく、また電極の表面を常に濡らした
状態にしておかなければ正常な動作を維持できないとい
う問題があり、特に比較的長い時間にわたり、記録動作
が休止した場合や電源を切っている場合などには電極先
端でのインクの流れが止まっているため、インクが乾燥
しやすい状態になるという問題があった。
【0010】さらに、ドット毎に分離する壁がなくスリ
ット状の開口を有するノズルを用いる方式は、ドット毎
に分離したノズルを持つ方式に比較して、粘性摩擦や表
面張力でインクを保持するための構造材が少なく、物理
的な衝撃を与えた場合にインクの漏洩が起こりやすいと
いう問題があった。
【0011】従って、本発明の主な目的は、電極上に形
成される記録に必要なインク薄層を安定に維持しつつ、
乾燥によるインク供給の途切れや析出した色剤の固着、
空気中の塵の付着で生じる障害を防止できるインクジェ
ット記録装置を提供することにある。
【0012】また本発明の他の目的は、電極上に形成さ
れる記録に必要なインク薄層を安定に維持しつつ、乾燥
によるインク供給の途切れや析出した色剤の固着、空気
中の塵の付着で生じる障害を防止でき、しかも衝撃に対
してインクの漏洩が起こりにくいインクジェット記録装
置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、溶剤中に色剤
を分散させたインク中の色剤を濃縮して該インク中の少
なくとも色剤成分をインク滴吐出口からインク滴として
吐出させ、該インク滴を記録媒体上に飛翔させることに
より記録を行うインクジェット記録装置において、非記
録時にインク滴吐出口付近のインク中の色剤成分の濃度
を記録時より低濃度に制御する手段を有することを特徴
とする。ここで非記録時とは、記録装置の非使用時の休
止期間のみでなく、記録装置の電源投入直後のような実
際に記録動作を行う直前など、実質的に記録を行わない
期間をいう。
【0014】このようなインク中の色剤成分の濃度制御
を実現するため、本発明の一つの態様では溶剤中に色剤
を分散させたインクが供給される主基板に対向して補助
基板を設け、この補助基板上に主基板上に供給された色
剤成分を記録時にはインク滴吐出口付近に搬送させ、非
記録時にはインク滴吐出口から遠ざけるための補助電極
アレイを形成する。より具体的には、この補助電極アレ
イに対しては、帯電した色剤成分を記録時にはインク滴
吐出口付近に搬送させ、非記録時には該インク滴吐出口
から遠ざけるための電圧を印加する構成とする。
【0015】また、主基板上に主電極アレイを配列し、
この主電極アレイには主基板上に供給されたインク中の
帯電した色剤成分を濃縮させて補助基板側に移動させる
ための電圧、および該色剤成分をインク滴として記録媒
体に向けて飛翔させるための電圧を印加する構成とす
る。
【0016】インク滴吐出口は、好ましくは補助基板に
形成される。主基板上に供給されたインクは、主電極ア
レイへのバイアス電圧の印加により帯電した色剤成分が
インク滴吐出口付近に搬送され、次いで主電極アレイへ
の記録信号電圧の印加によってインク滴吐出口からイン
ク滴として吐出され、基板面にほぼ垂直な方向に飛翔し
て記録媒体に到達する。他の態様として、インク滴吐出
口は主基板と補助基板の端部に形成され、この端部から
基板の側方に向かってインク滴を吐出させるものであっ
ても構わない。
【0017】主基板上の主電極アレイと補助基板上の補
助電極アレイは、互いに直交するようにストライプ状に
配列される。この場合、主電極アレイは補助基板に形成
されるスリット状のインク滴吐出口に向かって両側から
互い違いに配列されるようにすることが望ましい。
【0018】さらに、本発明はインク滴吐出口付近のイ
ンクの膜厚、より具体的には補助基板に形成されたイン
ク滴吐出口の下部における主電極アレイ上のインクの膜
を記録時には30μm以下に制御し、非記録時には1
00μm以上に制御する手段を有することを特徴とす
る。
【0019】
【作用】このように本発明では、静電力を利用してイン
ク中の色剤成分を濃縮させ、かつインク滴吐出口から吐
出させて記録媒体に飛翔させることで記録を行うインク
ジェット記録装置において、インク滴吐出口付近のイン
ク中の色剤成分の濃度を記録時には記録が可能な程度に
十分な高濃度とし、非記録時にはこれより十分に低濃度
とすることにより、非記録時において外部に開口してい
るインク滴吐出口付近での色剤の析出や固着、さらには
インク滴吐出口付近の電極表面の乾燥などが防止され
る。これによりインク滴の飛翔特性の経時変化がなく、
安定した記録動作が長期間にわたって維持される。
【0020】また、本発明ではこのようなインク滴吐出
口付近でのインク中の色剤成分の濃度制御は、インクが
供給される主基板に対向して設けられた補助基板上の電
極アレイへの電圧印加パターンを制御することによっ
て、簡単に実現される。すなわち、この補助電極アレイ
に例えば電圧印加位置が時間とともにアレイ方向に移動
するような位相シフト制御された多相パルス電圧を印加
すると、主電極アレイへの電圧印加により濃縮されかつ
補助基板側に移動した帯電した色剤成分は、補助電極ア
レイへの多相パルス電圧の印加パターンに応じた方向に
電気泳動によって移動する。
【0021】そこで、記録時には記録に必要な濃縮状態
の色剤成分をインク滴吐出口付近に移動させ、非記録時
には逆に色剤成分をインク滴吐出口から遠ざかる方向に
移動させることによって、インク滴吐出口付近のインク
中の色剤成分の濃度は、記録時には高濃度、非記録時に
は低濃度となる。
【0022】本発明においては、インク滴吐出口付近
、すなわち補助基板に形成されたインク滴吐出口の下
部における主電極アレイ上のインクの膜厚を記録時には
インク滴が吐出しやすい程度に十分薄く、具体的には3
0μm以下となるように制御し、非記録時にはこれより
十分厚く、具体的には100μm以上に制御することに
よっても、同様に非記録時において外部に開口している
インク滴吐出口付近での色剤の析出や固着とインク滴吐
出口付近の電極表面の乾燥などが防止され、安定したイ
ンク滴の飛翔特性が長期間にわたって得られる。
【0023】また、インク滴吐出口を補助基板に開けた
開口として設け、ここからインク滴を基板面にほぼ垂直
方向に吐出させるようにすると、インクに電極表面を濡
らすための高めの圧力を加えた場合や、動作時に突発的
な物理的衝撃が加わった場合にインクが吐出口から溢れ
てこぼれ出さないようにすることができる。
【0024】さらに、補助基板に設けるインク滴吐出口
の形状をスリット状にすると共に、主基板上の主電極ア
レイをスリット状のインク滴吐出口に向かって両側から
互い違いに配列することにより、スリット両側のそれぞ
れの主電極アレイの配列ピッチの2倍の高分解能の記録
が可能となる。
【0025】
【実施例】
(第1の実施例)以下、図面を参照して本発明の一実施
例を説明する。図1は、本発明の一実施例に係るインク
ジェット記録装置における記録ヘッド部の構成を示す図
である。同図において、主基板12の表面にはインク中
の少なくとも色剤成分を飛翔させるための記録信号電圧
が印加される複数の平行な電極つまりストライプ状電極
からなる主電極アレイ11が配列されている。この主基
板12の主電極アレイ11が配列された面上に、図示し
ない厚さ300μm程度のスペーサを介して、主基板1
2と共に平行平板をなし、主基板12との間にインク供
給流路13を形成する補助基板14が配設されている。
この補助基板14の内表面、つまり主基板12に対向す
る面上には、主電極アレイ11と直交するストライプ状
電極からなる補助電極アレイ16が配列されている。こ
の補助電極アレイ16は、色剤飛翔ポイント15におい
て帯電粒子である色剤成分を含むインクに流れを起こ
し、帯電粒子の濃縮状態を生じさせるためのものであ
る。
【0026】なお、図1では主基板12および補助基板
14を立てて、両基板12,14および主電極アレイ1
1と補助電極アレイ16を内側から見た状態も併せて示
している。補助基板14の内表面上には、補助電極アレ
イ16を駆動するための補助電極ドライバ回路17も配
設されている。
【0027】さらに詳しく説明すると、主電極アレイ1
1はこの例では主基板12上に後述するインク滴吐出口
の真下に位置するインク滴飛翔ポイント15に向かって
左右両方向から千鳥状に互い違いの位置関係となるよう
配列され、インク滴飛翔ポイント15となるエッジ部で
は、左右両方のそれぞれの補助電極アレイ16の配列ピ
ッチの2倍の記録分解能を実現する配置となっている。
【0028】一方、補助基板14にはインク滴飛翔ポイ
ント15の真上に相当する位置にスリット状の開口から
なるインク滴吐出口18が形成されている。補助電極ア
レイ16は、このインク滴吐出口18に向かって左右か
ら色剤を運搬し濃縮させるためのものであり、インク滴
吐出口18に対して平行に配列されている。
【0029】インク供給流路13には、図示しないポン
プ等を含むインク還流機構により図の右側からインクが
供給される。インクは、例えばプラス帯電性の色剤成分
を帯電制御剤やバインダと共に、10-8Ωcm以上の絶
縁性溶媒中にコロイド状に分散させ浮遊させたものであ
る。インク供給流路13に供給されたインクは、インク
滴飛翔ポイント15を通過した後、図示しないインク回
収流路を通って上記インク還流機構に回収される。
【0030】次に、本実施例の動作を図2および図3を
用いて説明する。図2は、図1におけるインク供給流路
13の一部を補助電極ドライバ回路17の動作とこれに
伴うインク19中の色剤成分19aの動きを説明するた
めに図1におけるインク流路13の一部を拡大して示し
た図である。補助電極アレイ16は、通常の記録時は図
2のように駆動される。主電極アレイ11には例えば直
流のバイアス電圧Vbとして1.5kVが印加され、さ
らにインク滴を吐出・飛翔させるための画像信号に応じ
た記録信号電圧Vsとして、500Vのパルス電圧がバ
イアス電圧Vbに重畳して印加される。バイアス電圧V
bは主電極アレイ11の全ての主電極に印加され、記録
信号電圧Vsは主電極アレイ12のうちの記録すべき画
点に対応した電極のみに選択的に印加される。
【0031】一方、補助電極アレイ16を構成する電極
群16a、16b、16c、16d、16e、16fに
は、図4(a)に示すようにその電圧印加位置が時間と
ともに順次インク滴飛翔ポイント15の方向へ移動する
ように位相シフト制御された3相の電圧パルス列φ1,
φ2,φ3が補助電極ドライバ回路17によって印加さ
れる。これら電圧パルス列φ1,φ2,φ3の位相速度
と電圧値は、インク19内の色剤成分19aの電気移動
度と、補助電極アレイ16の繰り返し間隔、および必要
とされるインク滴吐出口18への色剤搬送量の3つの値
を基にして決定するが、実際には電圧とパルス印加周期
をパラメータとした実験により最も効率よくインクが流
れる条件から簡単に導くことができる。ただし、補助電
極アレイ16に印加する電圧パルス列の電圧値は、主電
極アレイ11への印加電圧による電界力で色剤成分19
aを濃縮するという効果を阻害しないように、主電極ア
レイ11への印加電圧より低くしなければならないとい
う制限があるので、この場合は1.5kV未満であるこ
とが必要であり、さらに補助電極ドライバ回路17をI
Cで実現することも考えるならば、数十V以下であるこ
とが望ましい。
【0032】このようにして最適化された電圧値と位相
速度の電圧パルス列が補助電極アレイ16に印加される
と、インク供給流路13内のインク19中から補助基板
16の内面上に移動した帯電した色剤成分19aは、電
圧パルス列の位相速度と同じ速度で補助基板14の表面
上を滑るようにして、インク滴飛翔ポイント15に向け
て、つまりインク滴飛翔口18の付近に搬送される。
【0033】すなわち、例えば図2のインク滴飛翔ポイ
ント15より左側の動作に注目すると、図4(a)に示
すタイミングt1では、補助電極16aと16dにφ1
なる位相の電圧パルスが印加されるため、補助電極16
aと16dの右側に存在するプラスに帯電した色剤成分
は、補助電極16aと16dからの静電反発力により右
側へ押される力を受け、電気泳動により移動する。次
に、補助電極16aと16bからの静電反発力を受けて
右側に移動した色剤成分が補助電極16aと16dの右
隣の補助電極16bと16eの上をちょうど通り過ぎた
タイミングt2で、補助電極16bと16eにφ2なる
位相の電圧パルスが印加されると、これらの色剤成分は
今度は補助電極16bと16eからの静電反発力を受け
て、さらに右側へ移動する。次に、補助電極16bと1
6eからの静電反発力を受けて右側に移動した色剤成分
が補助電極16bと16eの右隣の補助電極16cと1
6fの上をちょうど通り過ぎたタイミングt3で、補助
電極16cと16fにφ3なる位相の電圧パルスが印加
されると、これらの色剤成分は今度は補助電極16cと
16fからの静電反発力を受けて、さらに右側へ移動す
る。
【0034】このようにして、補助基板14上に移動し
た色剤成分19aは、3相の電圧パルスにより駆動され
る補助電極アレイ16の各々の補助電極16a〜16f
からの静電反発力を順次受けることにより、電気泳動に
よって電圧パルス列の位相速度と同じスピードでインク
滴飛翔ポイント15に向けて移動を続ける。
【0035】なお、補助電極16aと16dに電圧パル
スが印加されたとき補助電極16aと16bの左側に色
剤成分が存在した場合を考えると、これらの色剤成分は
左側方向、すなわちインク滴飛翔ポイント15に向かう
方向と反対側である後退する方向への静電反発力を受け
ることになる。ここで、図4(a)からも明らかなよう
に、補助電極アレイ16を3相の電圧パルス列で駆動し
た場合の後退位相速度は前進位相速度の2倍である。す
なわち、図4(a)のタイミングt1で補助電極16a
と16dにφ1なる位相の電圧パルスが印加されたとき
補助電極16aと16bの左側に存在していた色剤成分
は、後退方向への静電反発力を受けて左側へ後退し、次
のタイミングt2では補助電極16bと16eに印加さ
れるφ2なる位相の電圧パルスによりさらに左側に後退
するため、タイミングt1からt2の間に、右側へ前進
する距離の2倍の距離左側へ後退することになり、結
局、後退位相速度は前進位相速度の2倍となる。従っ
て、この2倍の位相速度では電界移動度で決まる色剤成
分の電気泳動の応答可能範囲から外れるように電圧パル
ス列の電圧値と周期を設定しておけば、色剤成分19a
が後退方向に移動することはない。
【0036】このようにして、補助電極アレイ16に時
間とともに順次インク滴飛翔ポイント15の方向へ移動
する位相シフト制御された電圧が補助電極ドライバ回路
17によって印加されることにより、帯電した色剤成分
19aは位相速度と同じ速度で補助基板表面を滑るよう
に移動してインク滴吐出口18の部分に濃縮された状態
で蓄積する。そして、インク滴飛翔ポイント15上のイ
ンク滴吐出口18の部分に蓄積した色剤成分10aは、
そのタイミングで主電極アレイ12にバイアス電圧Vb
と重畳して記録信号電圧Vsが印加されると、記録信号
電圧Vsの印加により強くなった電界から帯電粒子に働
く力がインク19の表面張力に打ち勝って、空中を対向
電極21に向かって飛翔し、対向電極21の前に配置し
た記録媒体である記録紙22の上に画点を形成する。
【0037】一方、インク19内の他の成分である溶媒
19aは、それ自身は電荷を持たないため、インク流路
13内の色剤成分19aの流れとは反対に、主基板12
に沿ってインク滴吐出口18から離れる方向に流れて遠
ざかりインクレザーヴァ20へと向かう。すなわち、イ
ンク流路13内には帯電浮遊粒子である色剤成分19a
が豊富なために、補助電極アレイ16からの力を強く受
けて電極先端へ向かう流れと、浮遊する色剤が少ないた
めに色剤の豊富な流れに押されて電極先端から遠ざかる
方向へ戻る流れの両方が共存し、結局、インクレザーヴ
ァ20を含めたインク流路系で対流状態を生じる。
【0038】ここで、本実施例は上述のようにインク滴
吐出口18からインク滴を吐出させ記録媒体紙22に向
けて飛翔させる通常の記録時には、図2に示したように
色剤成分19aをインク滴飛翔ポイント15へ運搬して
濃縮状態を維持する動作を行うが、非記録時の少なくと
も特定期間、例えば記録装置の電源投入直後、あるいは
インク滴飛翔の休止期間が所定の長さ以上続いた後に記
録動作を再開する際には、図3に示すように記録時とは
逆に、色剤成分19aをインク滴飛翔ポイント15から
遠ざかる方向へ運搬し、色剤性分の濃度を薄くするか、
あるいはほとんど色剤成分の濃度をゼロとする動作に切
り換えることにより、インク滴飛翔ポイント15での色
剤成分19aの電極への固着や、乾燥を防止するもので
ある。
【0039】具体的には、図4(b)に示すように補助
電極ドライバ回路17を記録時とは全く逆に、位相シフ
トが後退する移動電界を補助電極アレイ16に生じさせ
るよう制御する。すなわち、先の記録時と同様に図3の
インク滴飛翔ポイント15より左側の動作に注目する
と、図4(b)に示すタイミングt1では、例えば補助
電極16cと16fにφ1なる位相の電圧パルスが印加
されることにより、補助電極16cと16fの左側に存
在するプラスに帯電した色剤成分は、補助電極16cと
16fからの静電反発力により左側へ押される力を受
け、電気泳動により移動する。次に、補助電極16cと
16fからの静電反発力を受けて左側に移動した色剤成
分が補助電極16cと16fの左隣の補助電極16bと
16eの上をちょうど通り過ぎたタイミングt2で、補
助電極16bと16eにφ3なる位相の電圧パルスが印
加されると、これらの色剤成分は今度は補助電極16b
と16eからの静電反発力を受けて、さらに左側へ移動
する。次に、補助電極16bと16eからの静電反発力
を受けて左側に移動した色剤成分が補助電極16bと1
6eの右隣の補助電極16cと16fの上をちょうど通
り過ぎたタイミングt3で、補助電極16cと16fに
φ2なる位相の電圧パルスが印加されると、これらの色
剤成分は今度は補助電極16cと16fからの静電反発
力を受けて、さらに左側へ移動する。
【0040】このようにして、非記録時には補助基板1
4上に移動した色剤成分19aは、3相の電圧パルスに
より駆動される補助電極アレイ16の各々の補助電極1
6a〜16fからの静電反発力を順次受けることによ
り、電気泳動によって電圧パルス列の位相速度と同じス
ピードでインク滴飛翔ポイント15から遠ざかる方向に
移動を続けることになる。すなわち、記録時には必要だ
った色剤成分を非記録時にはインク滴飛翔ポイント15
から遠ざけ、インク19中の他の成分である溶媒成分1
9aは残しておくことにより、インク滴吐出口18やイ
ンク滴飛翔ポイント15付近において色剤が析出し固着
したり、主電極アレイ11や補助電極アレイ16の電極
表面が乾燥するなどのトラブルを回避することができ
る。
【0041】また、本実施例では補助基板14に重力の
働く方向とは逆の垂直の方向に向けてスリット状の開口
からなるインク滴吐出口18を設け、垂直方向にインク
滴を吐出・飛翔させる構成としたことにより、電気力線
どうしが反発して垂直方向へ曲げられ、インク飛翔に必
要な上向きの電界を形成し易いという利点がある。水平
方向にインク滴を吐出・飛翔させる場合、インクの漏洩
を防ぐには表面張力だけで重力に対向する必要があるた
め、インク滴吐出口をインクに正圧を与える場合は10
0μm、負圧を与える場合でも500μm以上の開口に
することが難しいが、本実施例のように垂直方向にイン
ク滴を吐出・飛翔させるようにするとその制限が緩和さ
れ、インク滴吐出口18の開口を広くすることも可能と
なる。
【0042】しかも、記録ヘッド部に機械的ショックが
加わってもインク滴吐出口18から溢れ出たインクは補
助基板14の表面に留まるので、連続して大量にインク
が漏洩するようなことは起こらないようになり、特に後
述するように電極の乾燥防止のためにインクを移動させ
る操作を行った場合でも、インクの漏洩を起こすことは
ない。
【0043】さらに、本実施例では主電極アレイ11を
インク滴吐出口18の下に位置するインク滴飛翔ポイン
ト15に向かって左右両方向から千鳥状に互い違いの位
置関係となるよう配列したことにより、インク滴飛翔ポ
イント15となるエッジ部では電極の配列ピッチが左右
両方のそれぞれの補助電極アレイ16の配列ピッチの2
倍となるため、単純に一列に補助電極を配列した場合に
比較して記録分解能、すなわち記録紙22上の主走査方
向における画点の密度を2倍に高めることができる。
【0044】(第2の実施例)第1の実施例では、補助
基板16に開口として形成したインク滴吐出口18から
基板面と垂直方向にインク滴を吐出・飛翔させる構造
(以降、サイドシュータ・タイプと呼ぶ)の例について
説明したが、図1〜図3から分かるように第1の実施例
の記録ヘッドはインク滴吐出口18を境にした左右対称
の構造をなす。
【0045】第2の実施例は、第1の実施例の記録ヘッ
ドの左右対称性に着目し、その半分の形状である図5に
示すような記録ヘッドとしたものである。この場合、イ
ンク滴吐出口18は主基板12と補助基板14の端部の
両基板12,14間に形成され、インク滴は基板12,
14とほぼ平行な方向に吐出して飛翔する。飛翔したイ
ンク滴は、基板12,14の端部に対向して配置された
対向電極21上の記録紙22に到達する。
【0046】本発明は、このようにインク滴を基板のサ
イドから吐出させるサイドシュータ・タイプの記録ヘッ
ドにおいても、非記録時には図6に示すようにインク1
9中の色剤成分19aをインク滴吐出口18から遠ざけ
ることによって、インク滴吐出口18やインク滴飛翔ポ
イント15付近において色剤成分19aが析出し固着し
たり、電極表面が乾燥するなどの現象を防止できるとい
う第1の実施例と同様の効果が得られる。
【0047】(第3の実施例)上述した第1および第2
の実施例では、インク中の色剤成分をインク滴飛翔ポイ
ント15の位置つまりインク滴吐出口18の近傍まで運
搬するための移動電界を形成する補助電極アレイ16を
利用して、長期間記録動作を休止する場合など非記録時
には逆に色剤成分を遠ざけることで色剤成分の固着や電
極を防止するようにしたが、本実施例では非記録時に色
剤成分をインク滴吐出口18から遠ざける他の手段を示
す。
【0048】図7は、補助基板14のインク滴吐出口1
8の周辺部に、色剤成分19aを遠ざけるための専用の
ゲート電極23を設けた例である。ゲート電極23には
スイッチSWを介して直流電圧Vdcまたは接地電位が
印加される。動作休止期間が続く場合には、図8に示す
ようにスイッチSWを切り替えてゲート電極23に色剤
の帯電電荷と同極性の直流電圧Vdcを印加することに
より、色剤成分19aをインク滴吐出口18から遠ざけ
ることができる。
【0049】本実施例によると、色剤成分19aを運搬
して濃縮するための補助電極アレイ16とは独立に、色
剤成分19aをインク滴吐出口18から遠ざける操作が
可能となるため、電圧あるいは動作タイミングなどを独
自に設定することができ、自由度のある制御ができると
いう利点がある。また、本実施例のようにインク滴吐出
口18の周辺にゲート電極23を設ければ、インク滴の
飛翔前に生じるメニスカスの形成やインク滴の分離、飛
翔開始した段階のインク滴の加速などを局所的電界の制
御により補助する動作を行うなど、一般的なゲート電極
としての働きを兼用させることも可能になる。
【0050】(第4の実施例)本実施例は、非記録時に
色剤成分をインク滴吐出口18から遠ざけるためのさら
に別の手段を提供するものであり、記録時は図9に示す
ようにインク滴吐出口18は開口しているが、非記録
時、例えば動作休止期間が所定の時間以上になった場合
には、図10に示すようにインク滴吐出口18を蓋24
によって塞ぐようにしたものである。
【0051】従来のインクジェット記録ヘッドで使われ
ている蓋は、一般的にノズル先端に付着した、飛翔しな
かったインクを掻き取る、拭き取る、あるいは吸い取る
ことにより、インク滴飛翔方向が不安定になる原因を除
去する役目や、インク汚れ、インクこぼれを防ぐ役目
と、インクノズル内のインクの蒸発を抑えて局部的にイ
ンク濃度が高くなることを未然に防ぐ役目を担ってい
る。
【0052】これに対し、本実施例では特に蓋24に帯
電色剤粒子である色剤成分に反発力を働かせることで、
インク滴吐出口18付近に溶媒成分19bを残し、色剤
成分19aはインク滴吐出口18から遠ざけるという作
用が新たに加わっている点が特徴である。すなわち、こ
の蓋24には帯電色剤粒子を反発する極性の電圧を印加
するための電極が設けられるか、またはそれ自体が導電
性を持ち電極の役割を兼ねており、蓋24がインク滴吐
出口18を閉塞するとインク滴吐出口18付近のインク
中の帯電粒子である色剤成分19aだけが反発力を受け
てインク滴吐出口18から遠ざかる。従って、インク滴
吐出口18付近には色剤成分の含有量が少ないか、ある
いはほとんど色剤成分を含有していないインクの溶媒成
分19aが残され、固着などの障害を防ぐことができ
る。
【0053】なお、蓋24への電圧の印加は常時行って
も構わないし、インク滴吐出口18を蓋24で塞いだ時
だけの印加でも構わない。また、蓋24に印加する電圧
は直流であっても、バイアスを加えた交流であっても、
同じ効果を発揮する電圧であれば、その波形はどんな形
であっても構わない。
【0054】(第5の実施例) 図11および図12を用いて本発明のさらに別の実施例
を説明する。本発明が対象としているインク内の色剤成
分を濃縮して吐出・飛翔させるインクジェット記録方式
において通常の記録動作を行わせるには、図11に示す
ように主電極アレイ11の上にインク19を30μm以
下の厚みの薄い膜状にして乗せた状態、すなわち電極が
インク19で濡れた状態を作らなければならない。その
ため、本実施例ではインク材料と電極材料との間の接触
角やインクの表面張力で決まるある特定の表面形状でイ
ンク圧力とのバランスをとる方法が用いられる。図11
において、ポンプ31およびこれを制御するポンプ制御
回路32がインク19に圧力を加える役目を担う構成要
素である。
【0055】図11は、インクに大気圧より低い圧力を
加える、つまり負圧で引く状態を示している。この状態
で通常の記録動作を行えば、インク滴の飛翔状態は常に
安定している。しかし、比較的長い時間の休止や電源ス
イッチ投入の直後などの非記録時には、電極先端のイン
クが乾燥して薄いインクの膜が破断している可能性があ
る。
【0056】そこで、このような状態になっているか、
あるいはこのような状態となる可能性がある状況におい
て、本実施例では図12に示すようにポンプ31を制御
し、主電極アレイ11の上に厚いインクの層を形成する
ようにインク19に加える圧力を高める操作を行う。こ
の時の圧力が負圧の場合には、インク19の表面形状は
は実線33aのように凹状となり、正圧の場合には破線
33bのように凸状となる。インク19に加える圧力
は、主電極アレイ11の表面を濡れた状態にするという
目的が果たせれば、正圧、負圧のいずれであっても構わ
ない。
【0057】このインク圧力の値は、一般に記録装置の
構造や設計などの相違によりそれぞれが異なる最適値を
持つ。しかし、我々は実験により次のような事実を把握
している。記録ヘッドと記録媒体の間の距離は通常1m
m前後の隙間しかないため、実際に記録している状態の
ヘッド先端や飛翔している状態のインク滴を観測するこ
とは、現在の技術では難しい。そこで金属の針を使用し
た模擬状態で観測を行った結果、本発明が対象としてい
るようなインク内の色剤成分が濃縮して吐出・飛翔する
飛翔モードは、インクの厚さが高々30μmの場合に起
こることを確かめた。また、このインク厚が30μmを
越えると動作が不安定になるか、あるいは濃縮しない状
態で飛翔する、飛翔するインク滴が大きくて動作が遅く
なり記録画点がにじむなど、特有のメリットが失われた
状態の飛翔が生じることも分かった。すなわち、記録動
作時にはインクの厚さを30μm以下に制御する必要が
あることが実験的に確認された。
【0058】また、実際に乾燥した状態のヘッド先端を
濡らすために板状の電極の上をインクの圧力を変化させ
て進出と後退を繰り返す模擬実験を行った結果、インク
の先端が少なくとも100μm以上の塊になって、転が
るように進行することが分かった。すなわち、乾燥した
主電極の表面を濡れた状態に復帰させるためには、少な
くともインクの厚さが100μm以上となるように、イ
ンク19の圧力を制御すれば良い。但し、これらの数値
は実験の結果から出てきたもので、まだその根拠を理論
的に説明するまでには至ってないことを断っておく。
【0059】以上のようにして、記録動作が比較的長い
時間休止した時や電源スイッチを投入した直後などに、
主電極を確実に濡らすことが可能になり、主電極の表面
が乾燥した状態で記録動作に入ることを防止できるよう
になる。
【0060】本実施例では、主電極の先端をインクで濡
らす場合のインク内の色剤成分の濃度については特に制
限されることはないが、乾燥した主電極の表面には微量
の色剤、あるいは他の固形物が付着している可能性もあ
り、色剤を含まない溶媒だけのインクの方が表面に付着
した色剤を取り込み易く、また乾燥した状態の電極を濡
らす場合にも沈着を起こすなどの心配が無い。この点
で、本実施例の構成と第1〜第4の実施例と組み合わせ
れば、より効果的である。
【0061】また、本実施例では第1の実施例と同様
に、重力の働く方向とは逆の垂直の方向にスリット状の
開口からなるインク吐出口18を設け、基板面と垂直の
方向にインク的を吐出・飛翔させるサイドシュータ・タ
イプの構造を開示したが、第2の実施例で示したような
エッジシュータ・タイプと本実施例の構成を組み合わせ
ることも有効である。
【0062】しかし、さらに述べるならばサイドシュー
タ・タイプの構造とすれば、以下のようなメリットが生
じる。すなわち、サイドシュータ・タイプとすることに
よりインク滴飛翔ポイント15の付近で形成されるイン
ク表面の形状が、インク滴吐出口18の両エッジからつ
ながる表面の表面張力によって支えられるブリッジ構造
をなし、左右の液体がつながる形となるので、インクの
液膜破断が起きにくいという利点がある。すなわち、乾
燥や衝撃に対して強いインクの液面形状を形成すことが
できる。また、汚れや吸着、温度などにより特性が大き
く変動する接触角という物理量が介在せず、インクが表
面張力だけで支えられているので、安定した特性が得ら
れる。さらに、インクに重力が働く方向に支持体がある
構造なので、衝撃力が加わったときのインクの漏洩が起
こりにくいという耐性があることは明かである。
【0063】
【発明の効果】以上で述べたように、本発明によれば記
録動作を休止した時にはインク吐出口からインク中の色
剤成分のみけを遠ざけ、溶媒成分は残すことにより、イ
ンク滴吐出口付近に色剤が析出・固着するという問題を
避けることが可能となる。さらに、記録動作が比較的長
い時間休止した時や電源スイッチを投入した直後などに
おいて、電極表面を確実に濡らすことが可能になり、電
極表面が乾燥した状態で記録動作に入ることを防止でき
る。従って、本発明によるとインク滴の飛翔特性の経時
変化がなくなり、長期間にわたって安定した記録動作を
維持できるという効果が得られる。
【0064】また、本発明によれば補助基板に開口とし
て設けたインク吐出口から垂直方向へインク滴を吐出・
飛翔させるヘッド構造とすることにより、インクに電極
表面を濡らすための高めの圧力を加えた場合や、動作時
に突発的な物理的衝撃が加わった場合に、インクが溢れ
てこぼれ出さないようにすることができる。
【0065】さらに、この場合には主電極アレイをいわ
ゆる千鳥配列とすることができるため、主電極アレイの
配列ピッチの2倍の解像度の記録をインライン構造で実
現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る記録ヘッド部の構
成を示す図
【図2】同実施例における記録時の作用を説明するため
の図
【図3】同実施例における非記録時の作用を説明するた
めの図
【図4】同実施例における補助電極アレイへの印加電圧
波形を示す図
【図5】本発明の第2の実施例に係る記録ヘッド部の構
成とその記録時の作用を説明するための図
【図6】同実施例における非記録時の作用を説明するた
めの図
【図7】本発明の第3の実施例に係る記録ヘッド部の構
成とその記録時の作用を説明するための図
【図8】同実施例における非記録時の作用を説明するた
めの図
【図9】本発明の第4の実施例に係る記録ヘッド部の構
成とその記録時の作用を説明するための図
【図10】同実施例における非記録時の作用を説明する
ための図
【図11】本発明の第5の実施例に係る記録ヘッド部の
構成とその記録時の作用を説明するための図
【図12】同実施例における非記録時の作用を説明する
ための図
【図13】従来のインクジェット記録用ヘッドの一例を
示す図
【図14】従来のインクジェット記録用ヘッドの他の例
と起こり易い障害例を示す図
【符号の説明】
11…主電極アレイ 12…主基板 13…インク流路 14…補助基板 15…インク滴飛翔ポイント 16…補助電極アレイ 17…補助電極ドライバ回路 18…スリット状インク滴吐出口 19…インク 19a…色剤成分 19b…溶媒成分 20…インクレザーヴァ 21…対向電極 22…記録紙 23…ゲート電極 24…蓋 31…ポンプ 32…ポンプ制御回路 33…インク表面形状 33a…凹状のインク表面形状 33b…凸状のインク表面形状 41…色剤が固着した部分 42…電極が乾燥した部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石井 浩一 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 保坂 靖夫 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 中尾 英之 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 村上 照夫 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (56)参考文献 特開 平2−235755(JP,A) 特公 昭51−1097(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/04

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶剤中に色剤を分散させたインク中の色剤
    を濃縮して該インク中の少なくとも色剤成分をインク滴
    として吐出させ、該インク滴を記録媒体上に飛翔させる
    ことにより記録を行うインクジェット記録装置におい
    て、 溶剤中に色剤を分散させたインクを保持し、前記インク
    滴を吐出させるインク滴吐出口を有するインク保持手段
    と、 非記録時に前記インク滴吐出口付近のインク中の色剤成
    分の濃度を記録時より低濃度に制御する手段を有するこ
    とを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 【請求項2】溶剤中に色剤を分散させたインク中の色剤
    を濃縮して該インク中の少なくとも色剤成分をインク滴
    吐出口からインク滴として吐出させ、該インク滴を記録
    媒体上に飛翔させることにより記録を行うインクジェッ
    ト記録装置において、 溶剤中に色剤を分散させたインクが供給される主基板
    と、 前記主基板に対向して設けられた補助基板と、 前記補助基板上に配列され、前記主基板上に供給された
    インク中の色剤成分を記録時には前記インク滴吐出口付
    近に搬送させ、非記録時には該インク滴吐出口から遠ざ
    けるための補助電極アレイとを備えることを特徴とする
    インクジェット記録装置。
  3. 【請求項3】溶剤中に色剤を分散させたインク中の色剤
    を濃縮して該インク中の少なくとも色剤成分をインク滴
    吐出口からインク滴として吐出させ、該インク滴を記録
    媒体上に飛翔させることにより記録を行うインクジェッ
    ト記録装置において、 溶剤中に色剤を分散させたインクが供給される主基板
    と、 前記主基板上に配列された主電極アレイと、 前記主基板に対向して設けられた補助基板と、 前記補助基板の前記主基板に対向する面上に前記主電極
    アレイと直交するように配列された補助電極アレイと、 前記主基板上に供給されたインク中の帯電した色剤成分
    を濃縮させて前記補助基板側に移動させるための電圧、
    および該色剤成分を前記記録媒体に向けて飛翔させるた
    めの電圧を前記主電極アレイに印加する主電極駆動手段
    と、 前記補助基板上の帯電した色剤成分を記録時には前記イ
    ンク滴吐出口付近に搬送させ、非記録時には該インク滴
    吐出口から遠ざけるための電圧を前記補助電極アレイに
    印加する補助電極駆動手段とを備えることを特徴とする
    インクジェット記録装置。
  4. 【請求項4】溶剤中に色剤を分散させたインク中の色剤
    を濃縮して該インク中の少なくとも色剤成分をインク滴
    として吐出させ、該インク滴を記録媒体上に飛翔させる
    ことにより記録を行うインクジェット記録装置におい
    て、 溶剤中に色剤を分散させたインクが供給される主基板
    と、 前記主基板に対向して設けられ、該記主基板上に供給さ
    れたインク中の少なくとも色剤成分を該補助基板の面に
    ほぼ垂直な方向に前記インク滴として吐出させるインク
    滴吐出口を有する補助基板と、 前記補助基板上に配列され、前記主基板上に供給された
    インク中の色剤成分を記録時には前記インク滴吐出口付
    近に搬送させ、非記録時には該インク滴吐出口から遠ざ
    けるための補助電極アレイとを備えることを特徴とする
    インクジェット記録装置。
  5. 【請求項5】溶剤中に色剤を分散させたインク中の色剤
    を濃縮して該インク中の少なくとも色剤成分をインク滴
    として吐出させ、該インク滴を記録媒体上に飛翔させる
    ことにより記録を行うインクジェット記録装置におい
    て、 溶剤中に色剤を分散させたインクが供給される主基板
    と、 前記主基板に対向して設けられ、該主基板上に供給され
    たインク中の少なくとも色剤成分を該補助基板の面にほ
    ぼ垂直な方向に前記インク滴として吐出させるスリット
    状のインク滴吐出口を有する補助基板と、 前記主基板上に前記インク滴吐出口に向かって両側から
    互い違いに配列された主電極アレイと、 前記主基板上に供給されたインク中の帯電した色剤成分
    を濃縮させて前記補助基板側に移動させるための電圧、
    および該色剤成分を前記記録媒体に向けて飛翔させるた
    めの電圧を前記主電極アレイに印加する主電極駆動手段
    と、 前記補助基板上に配列され、前記主基板上に供給された
    色剤成分を記録時にはインク滴吐出口付近に搬送させ、
    非記録時には該インク滴吐出口から遠ざけるための補助
    電極アレイとを備えることを特徴とするインクジェット
    記録装置。
  6. 【請求項6】前記インク滴吐出口の下部における前記主
    電極アレイ上のインクの膜厚を記録時には30μm以下
    に制御し、非記録時には100μm以上に制御する手段
    さらに具備することを特徴とする請求項4または5に
    記載のインクジェット記録装置。
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