JP3514877B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置

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JP3514877B2
JP3514877B2 JP16662295A JP16662295A JP3514877B2 JP 3514877 B2 JP3514877 B2 JP 3514877B2 JP 16662295 A JP16662295 A JP 16662295A JP 16662295 A JP16662295 A JP 16662295A JP 3514877 B2 JP3514877 B2 JP 3514877B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はインクジェット記録装置
に係り、特に溶媒中に色剤を分散させた液状インクを用
い、このインク中の色剤成分を凝集させ記録媒体上に飛
翔させて記録を行うインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】液状インクをインク粒とよばれる小さな
液滴として記録媒体上に飛翔させて記録ドットを形成し
画像を記録する装置は、インクジェットプリンタとして
実用化されている。このインクジェットプリンタは、他
の記録方法と比べて騒音が少なく、現像や定着などの処
理が不要であるという利点を有し、普通紙記録技術とし
て注目されている。インクジェットプリンタの方式は現
在までに数多く考案されているが、特に(a)発熱体の
熱により発生する蒸気の圧力でインク滴を飛翔させる方
式(例えば、特公昭56−9429、特公昭61−59
911など)や、(b)圧電素子によって発生される機
械的な圧力パルスによりインク滴を飛翔させる方式が代
表的なものである。
【0003】インクジェットプリンタに使用される記録
ヘッドとしては、キャリッジに搭載されて記録紙の搬送
方向(副走査方向)に対し直交する方向(主走査方向)
に移動しながら記録を行うシリアル走査型ヘッドが実用
されている。このシリアル走査型ヘッドは、記録スピー
ドを早くすることが難しい。そこで、記録ヘッドを記録
紙の幅と同じサイズの長尺ヘッドとして記録スピードを
上げることができる、いわゆるライン走査型ヘッドも考
えられているが、このようなライン走査型ヘッドを実現
することは、次の理由から簡単ではない。
【0004】インクジェット記録方式は本質的に、溶媒
の蒸発や揮発によって局部的なインクの濃縮が生じやす
く、これが解像度に対応した個別の細いノズルでの目詰
まりの原因となる。さらに、インクジェットの形成に蒸
気の圧力を使う方式では、インクとの熱的あるいは化学
的な反応などによる不溶物の付着が、また圧電素子によ
る圧力を使う方式では、インク流路などでの複雑な構造
がさらに目詰まりを誘起し易くする。数十〜百数十程度
のノズルを使用するシリアル走査型ヘッドよりもさらに
多い数千もの多数のノズルを必要とするライン走査型ヘ
ッドでは、確率的にかなり高い頻度で目詰まりが発生
し、信頼性の点で大きな問題となる。
【0005】さらに、従来のインクジェット記録装置は
解像度の向上には適していないという問題点もある。つ
まり蒸気の圧力を使う方法では、直径20μm(これは
記録紙上に直径50数μmくらいの記録ドットに相当す
る)以下の粒径のインク粒を生成するのが難しく、また
圧電素子が発生する圧力を使う方式では、記録ヘッドが
複雑な構造となるために加工技術上の問題で解像度の高
いヘッドが作りにくいからである。
【0006】これらの欠点を克服するために、薄膜の電
極アレイに電圧を印加し、静電力を用いてインク液面か
らインクあるいはその中の色剤成分を飛翔させるインク
ジェット記録方式が考案された。具体的には、インクを
静電的引力を使って飛翔させる方式(特開昭49−62
024、特開昭56−4467など)や、帯電した色剤
成分を含むインクを用い色剤の濃度を高めて飛翔させる
方式(WO93/11866:PCT/AU92/00
665)などが提案されている。これらの方式では、記
録ヘッドの構成が個別のドット毎のノズルを必要としな
いスリット状ノズル構成か、あるいは個別のドット毎の
インク流路の隔壁を必要としないノズルレス構成である
ために、ライン走査型記録ヘッドを実現する上で大きな
障害であった目詰まりの防止と復旧に対して有効であ
る。また、特に後者は非常に小さい径のインク粒を安定
に生成して飛翔させることができるため、高解像度化に
適している。
【0007】このような静電力で色剤を飛翔させる方式
を用いた従来のインクジェット記録装置では、前述のよ
うに電極を配列した電極アレイを有する記録ヘッドを用
い、この電極アレイの各電極に電圧を印加することによ
りインクを飛翔させている。特に、後者は電圧を印加す
ると色剤成分が凝集し、インク中の色剤成分が主として
飛翔する。この場合、色剤成分の凝集と飛翔を分離して
コントロールすることができないため、高濃度に色剤成
分を凝集させ、かつ凝集した色剤成分を飛翔させるため
にはインク流速と印加電圧の微妙な調節が必要である。
【0008】さらに、このような電極アレイを用いてラ
イン走査型記録ヘッドのごとき複数のインク吐出口を有
するマルチノズルヘッドを構成する場合、電極への印加
電圧が高いと隣接電極間の電界干渉が問題となる。この
隣接電極間の電界干渉を防ぐためには、記録ヘッドと記
録媒体間の距離を小さくして印加電圧を下げればよい
が、その場合には色剤を凝集させるための電界も減少し
てしまい、凝集した色剤成分を飛翔させることが出来な
くなるという問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の静電力で液状インク中の色剤成分を飛翔させるインク
ジェット記録方式に使用する記録ヘッドでは、インク中
の色剤成分の凝集と飛翔を分離してコントロールできな
いため、高濃度に色剤成分を凝集させ、かつ凝集した色
剤成分を飛翔させるためにはインク流速と印加電圧の微
妙な調節が必要であり、さらにマルチノズルヘッドにお
いて隣接電極間の電界干渉を防止するために記録ヘッド
と記録媒体間の距離を小さくして電極への印加電圧を下
げると、色剤成分の凝集に必要な電界が減少してしま
い、安定した画点形成が困難となるという問題があっ
た。本発明の目的は、インク中の色剤成分の凝集と記録
媒体への飛翔を分離して最適にコントロールできるイン
クジェット記録装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、溶媒中に所定
極性に帯電した色剤を分散させたインク中の色剤成分を
凝集させ、凝集した色剤成分を記録媒体に向けて飛翔さ
せて記録を行うインクジェット記録装置において、前記
インクの搬送路に設けられた凝集用電極を有し、該凝集
用電極とアース電位点間に前記色剤の帯電極性と同一極
性の直流電圧を印加することにより、インク中の色剤成
分の流れを電界の力で規制して色剤成分を凝集させる凝
集手段と、前記凝集用電極とは別個に設けられた飛翔用
電極を有し、該飛翔用電極とアース電位点間に画像信号
に応じた電圧を印加して、前記凝集手段により凝集した
色剤成分を電界の力で記録媒体に向けて飛翔させる飛翔
手段とを備えたことを基本的な特徴とする。
【0011】
【0012】
【0013】第1の態様によると、凝集手段はインクの
搬送路にインク搬送方向に所定間隔で設けられた少なく
とも第1及び第2の凝集用電極を有し、インク搬送方向
上流側の第1の凝集用電極を基準としてインク搬送方向
下流側の第2の凝集用電極に色剤の帯電極性と同一極性
直流電圧を印加することにより、インク中の色剤成分
の流れを電界の力で規制して色剤成分を凝集させるよう
に構成される。飛翔手段は凝集用電極の近傍に配置され
た飛翔用電極を有し、該飛翔用電極とアース電位点間
画像信号に応じた電圧を印加して凝集した色剤成分を電
界の力で記録媒体に向けて飛翔させるように構成され
る。
【0014】第2の凝集用電極をアース電位点として
1の凝集用電極に前記色剤の帯電極性と同一極性の直流
電圧を印加することにより、該第1及び第2の凝集用電
極間に残留した色剤成分をインク搬送方向下流側に搬送
して除去する除去手段をさらに備えてもよい
【0015】第2の態様では、凝集手段はインクが供給
されるインク室内に設けられた少なくとも一つの凝集用
電極を有し、該凝集用電極とアース電位点間に色剤の帯
電極性と同一極性の直流電圧を印加してインク中の色剤
成分を電界の力で凝集用電極から遠ざけることによって
色剤成分を凝集させるように構成され、飛翔手段は凝集
用電極とは別個に設けられた飛翔用電極を有し、該飛翔
用電極とアース電位点間に画像信号に応じた電圧を印加
して、凝集手段により凝集した色剤成分を電界の力で記
録媒体に向けて飛翔させるように構成される。
【0016】ここで、凝集手段により色剤成分を凝集さ
せた後のインクを凝集用電極の近傍に設けられた回収口
を通して回収する回収手段をさらに備えてもよい
【0017】第3の態様では、凝集手段はインクが供給
されるインク室内に配列された複数の凝集用電極を有
し、これらの凝集用電極に色剤の帯電極性と同一極性で
かつ印加タイミングおよび電圧値の少なくとも一方が異
なる電圧を印加してインク中の色剤成分を電界の力で該
凝集用電極の配列方向に移送しつつ凝集させるように構
成され、飛翔手段は凝集用電極とは別個に設けられた飛
翔用電極を有し、該飛翔用電極とアース電位点間に画像
信号に応じた電圧を印加して、凝集手段により凝集した
色剤成分を電界の力で記録媒体に向けて飛翔させるよう
に構成される。
【0018】また、本発明に係るインクジェット記録装
置において、飛翔手段は凝集手段により凝集した色剤成
分を電界の力で記録媒体に向けて飛翔させるための飛翔
用電極に電圧を印加すると共に、該飛翔用電極に凝集し
た色剤成分を接触させることが望ましい。
【0019】
【0020】
【作用】このように本発明では、従来のインク中の色剤
を凝集して飛翔させる方式ではインク中の色剤成分を凝
集させるための電界と凝集した色剤成分を飛翔させる電
界を同一の電極で発生させていたのに対し、色剤成分の
凝集と凝集した色剤成分の飛翔を個別に行う。
【0021】特に、色剤成分の凝集と飛翔を共に電界の
力で行うため、凝集用の電圧と飛翔用の電圧をそれぞれ
最適化することが可能である。従って、飛翔用の電圧を
近接した飛翔用電極間の電界干渉を防止できる程度に低
電圧としても、十分に高い凝集用の電圧で色剤成分を凝
集できるようになり、多数のインク吐出口を配列してマ
ルチノズルヘッド化した場合、記録画点間の相互干渉の
ない良好な記録が可能となる。
【0022】第1の態様のように、一対の凝集用電極を
用いて凝集用の高電界を形成する構成とすれば、これら
の凝集用電極をヘッド基板の端面から後退した平面部分
に設けることができるため、従来からIC製造に用いら
れているフォトリソグラフィ技術による平面プロセス
で、容易に記録ヘッドを実現できる。
【0023】また、飛翔後に残留している凝集した色剤
成分を一対の凝集用電極に凝集時と逆向きの電圧を印加
することで電界を発生させてインク流とともに搬送・除
去することにより、常に新しいインクを記録ヘッドに供
給してニジミなどの画質劣化を防止できる。
【0024】第2の態様では、インク室内にインクを収
容した状態で凝集用電極による静電反発力によって色剤
成分を凝集させ、インク室に設けられた飛翔用電極によ
り飛翔させることができる。
【0025】第3の態様では、このように凝集用電極に
よる静電反発力によって色剤成分を凝集させた後のイン
クを凝集用電極の近傍に設けられた回収口を通して回収
することにより、色剤濃度の薄いインクのみを効率的に
回収することができる。
【0026】集した色剤成分に飛翔用電極によって飛
翔前に電荷注入を行えば、低い飛翔用電界、つまり低電
圧で色剤成分の飛翔を効率的に行うことができる。
【0027】翔用電極と凝集した色剤成分を接触させ
れば、飛翔用電極から色剤成分に電荷が注入されること
により、色剤成分の飛翔はより容易となる。
【0028】翔用電極に対して電圧値およびパルス幅
の少なくとも一方を画像信号に応じて制御したパルス信
号電圧を与えることにより、画点濃度や画点サイズを制
御すれば、カブリを除去することができる。
【0029】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。 (第1の実施例)図1は、本発明の第1の実施例に係る
インクジェット記録装置の記録ヘッド部の構成を示す断
面図である。本実施例は、溶媒中に所定極性に帯電した
色剤を分散させたインクを用い、このインク中の色剤成
分の流れを一対の凝集用電極間の電界の力で規制して凝
集させ、これら凝集用電極と絶縁層を挟んで交差した飛
翔用電極によって発生する電界の力により、凝集した色
剤成分を記録媒体に向けて飛翔させるようにしたもので
ある。
【0030】すなわち、本実施例においてはインクを搬
送させるインク搬送路100に、ガラス層を塗布した1
mm程度の厚さのセラミック基板あるいはガラス板から
なる絶縁性のヘッド基板101が設けられ、このヘッド
基板101上に、記録ドットに対応する幅100μm程
度の飛翔用電極102が図の紙面に垂直な方向に沿って
形成されている。この飛翔用電極102上には、50μ
m程度のサイズの記録画点形成領域103を除き、例え
ばガラスからなる絶縁層104が数μm〜数十μmの厚
さに形成されている。
【0031】絶縁層104上には、飛翔用電極102と
直交する方向に沿って、インク中の帯電した色剤成分を
凝集させるための100μm程度のギャップを有する一
対の凝集用電極105,106が形成される。これらの
凝集用電極105,106上には、必要に応じて数μm
以下のSiO2 膜などの絶縁膜(図示せず)が被覆され
ることによって、凝集用電極105,106からインク
溶媒への電荷注入を防止すると同時に、凝集用電極10
5,106と飛翔用電極102との間の放電を防止して
いる。飛翔用電極102と凝集用電極105,106の
厚さは、数千オングストローム程度とする。
【0032】次に、インク搬送路100に搬送されたイ
ンク中の色剤成分を凝集させ飛翔させる動作について図
1(a)(b)を用いて説明する。図1(a)に、イン
ク中の色剤成分を凝集させる工程を示す。ここで使用す
るインク107は、石油の一種である108 Ωcm以上
の絶縁性のケロシンまたはアイソパラフィンからなるイ
ンク溶媒中に、顔料とプラス帯電用の制御剤がバインダ
とともに混合した色剤をコロイド状に分散・浮遊させ、
色剤をプラス極性に帯電させたものである。色剤の帯電
はマイナス極性であってもよく、その場合には電極10
2,105,106への印加電圧を全て逆極性とすれば
よい。
【0033】このように、インク溶媒中にプラス極性に
帯電した色剤を有するインク107がインク搬送路10
0によってヘッド基板101上に実線矢印108の方向
に沿って一定量ずつ搬送される。このインク107中の
帯電した色剤成分を凝集させるために、インク107の
搬送方向上流側の凝集用電極105をアース電位にする
と共に、インク107の搬送方向下流側の凝集用電極1
06に凝集用電圧源109から例えばプラス50Vの凝
集用電圧を印加することにより、インク107の流れと
は逆方向の力を色剤成分に作用させるような高電界(〜
2×104 V/cm)を形成する。
【0034】この凝集用電極105,106間に形成さ
れる高電界により、インク107中の帯電した色剤成分
はインク107の流れに抗するように規制され、飛翔用
電極102の凝集用電極105,106間の記録画点形
成領域103で符号110に示すように凝集する。すな
わち、インク107中の帯電した色剤成分110は記録
画点形成領域103に滞留することによって凝集する。
一方、このように色剤成分110が凝集することによっ
て色剤濃度の減少したインク溶媒111は、電界に妨げ
られることなく破線矢印112の方向に流れる。
【0035】図1(b)に、凝集した色剤成分110を
電界の力で飛翔させる工程を示す。飛翔用の垂直方向の
強電界を形成するため、凝集用電極105,106を共
にアース電位とすると共に、凝集用電極105,106
と絶縁層104を挟んで設けられた飛翔用電極102に
信号電圧源113から画像信号に応じて例えばプラス2
00Vのパルス信号電圧を印加する。このパルス信号電
圧の印加により、凝集用電極105,106間の記録画
点領域103にヘッド基板101に対して垂直の方向、
つまり記録媒体116に向かう方向の高電界(〜105
V/cm)が形成され、プラス極性に帯電し凝集した色
剤成分110が飛翔粒子114となって矢印115で示
すように記録媒体116に向けて飛翔する。
【0036】記録媒体116は例えば普通紙であり、ヘ
ッド基板101上の飛翔用電極102および凝集用電極
105,106から100μm程度の距離の位置に配置
され、その背面にプラテンの役割を兼ねる対向電極11
7が配置されている。この対向電極117は接地されて
おり、これによって飛翔粒子114である色剤成分の飛
翔をより安定化することができる。この色剤成分の飛翔
の際、飛翔用電極102によって記録画点領域103で
インク107中にプラス電荷の注入が行われ、凝集した
色剤成分110の飛翔が効率よく行われる。このように
して、記録媒体116上に画像が記録される。
【0037】このように本実施例によれば、色剤成分の
凝集と凝集した色剤成分の飛翔を凝集用電極105,1
06と飛翔用電極102を用いて個別に行うため、凝集
用電圧源109により印加する電圧と信号電圧源113
により印加する飛翔用の信号パルス電圧を共に最適化す
ることが可能である。
【0038】従って、飛翔用の電圧を近接した飛翔用電
極間の電界干渉を防止できる程度に低電圧としても、十
分に高い凝集用の電圧で色剤成分を凝集できるようにな
るため、後述する第1の実施例のように多数のインク吐
出口を配列してマルチノズルヘッド化した場合、記録画
点間の相互干渉のない良好な記録が可能となる。
【0039】(第2の実施例)図2は、複数の飛翔用電
極をインク搬送路に配列したマルチノズルヘッドに本発
明を適用した実施例を示す分解斜視図である。
【0040】本実施例においては、ガラス層を塗布した
1mm程度の厚さのセラミック基板あるいはガラス板か
らなる絶縁性のヘッド基板101が設けられ、このヘッ
ド基板101上に記録ドットに対応する幅100μm程
度の飛翔用電極102が図の紙面に垂直な方向に沿って
形成されている。この飛翔用電極102上には、50μ
m程度のサイズの記録画点形成領域103を除き、例え
ばガラスからなる絶縁層104が数μm〜数十μmの厚
さに形成されている。
【0041】絶縁層104上には、飛翔用電極102と
直交する方向に、インク中の帯電した色剤成分を凝集さ
せるための100μm程度のギャップを有する共通電極
である一対の凝集用電極105,106が形成される。
これらの凝集用電極105,106上には、必要に応じ
て数μm以下のSiO2 膜などの絶縁膜(図示せず)が
被覆されることによって、凝集用電極105,106か
らのインク溶媒への電荷注入を防止すると同時に、凝集
用電極105,106と飛翔用電極102との間の放電
を防止している。飛翔用電極102および凝集用電極1
05,106の厚さは、数千オングストローム程度とす
る。
【0042】この記録ヘッドは、50μm程度のギャッ
プを介して設けられたインク搬送系のカバー201で覆
われている。カバー201は、飛翔用電極102および
凝集用電極105,106で形成される電界を乱さない
ように、インク溶媒と同程度の誘電率の樹脂から構成さ
れる。このカバー201は、インク導入管202が連結
されると共に、カバー201の底面に設けられた流路形
成用突出板203と突起部204とで形成されるインク
供給流路205およびインク回収流路206を有する。
【0043】インク導入管202には、図示しないポン
プを含んで構成されるインク還流機構が接続され、この
インク還流機構からポンプにより正圧が加えられつつ、
インクが導入される。このインクはインク供給流路20
5によって飛翔用電極102の記録画点形成領域103
上に供給され、さらに上述したインク還流機構のポンプ
により負圧が与えられたインク回収流路206を介して
インク還流機構に回収される。カバー201には、記録
画点形成領域103に対応する位置にインク吐出孔20
7が開けられている。
【0044】飛翔用電極102の端部はカバー201の
外部に引き出され、信号電圧源113に接続される。一
方、凝集用電極105,106はヘッド基板101の図
示しない長手方向両端から引き出され、図示しない凝集
用電圧源に接続される。
【0045】次に、本実施例の動作を説明する。本実施
例におけるインクの色剤成分の凝集および凝集した色剤
成分の飛翔動作は、基本的に第1の実施例と同様であ
る。まず、インク導入管202に色剤成分がプラス極性
に帯電したインクが導入される。このインクは、インク
供給流路205によって飛翔電極102の記録画点形成
領域103上に供給される。この記録画点形成領域10
3のインクは、凝集用電極105,106間に印加され
た電圧による高電界によって凝集される。
【0046】この状態で、飛翔用電極102に信号電圧
源113から画像信号に応じたパルス信号電圧が印加さ
れることによって、記録画点形成領域103にヘッド基
板101に垂直な方向の高電界(〜105 V/cm)が
形成され、プラス極性に帯電し凝集した色剤成分が飛翔
粒子となって、インク吐出口207から吐出され、カバ
ー201の上方数百μm程度の距離に位置に配置された
記録媒体に向けて飛翔する。記録媒体の背面には、プラ
テンの役目をなす対向電極(図示せず)が配置されてい
る。この対向電極は接地されており、これによって飛翔
粒子である色剤成分の飛翔をより安定化することができ
る。このようにして、記録媒体上に画像信号に応じた画
像が記録される。
【0047】色剤成分が記録媒体に飛翔する際、第1の
実施例と同様に飛翔用電極102によって記録画点領域
103でインク107中にプラス電荷の注入が行われ、
凝集した色剤成分110の飛翔が効率よく行われる。こ
の場合、インク107への注入電荷量は信号電圧源11
3によって飛翔用電極102に印加されるパルス信号電
圧の大きさやパルス幅により決まるので、これらパルス
信号電圧の大きさまたはパルス幅あるいはその両方を記
録ドット毎に画像信号に応じて変化させてドットサイズ
を変調することにより、階調記録を可能にする。
【0048】一方、インク供給流路205を通過したイ
ンクは、インク回収流路206を介して回収される。な
お、インクはカバー201により規制されることによっ
て、インク供給流路205およびインク回収流路206
を50μm程度の一定の厚さの層状となって流れ、安定
した色剤成分の凝集と飛翔を可能とする。
【0049】本実施例においても、第1の実施例と同様
に色剤成分の凝集と凝集した色剤成分の飛翔を凝集用電
極105,106と飛翔用電極102を用いて個別に行
うため、凝集用電圧源109により印加する電圧と信号
電圧源113により印加する飛翔用の信号パルス電圧を
共に最適化することが可能である。従って、飛翔用の電
圧を近接した飛翔用電極間の電界干渉を防止できる程度
に低電圧としても、十分に高い凝集用の電圧で色剤成分
を凝集できるようになるため、本実施例のように多数の
インク吐出口を配列してマルチノズルヘッド化した場
合、記録画点間の相互干渉のない良好な記録が可能とな
る。
【0050】(第3の実施例)図3は、本発明の第3の
実施例における一連の記録工程を示す図であり、記録ヘ
ッドの構成は図1と同様である。また、図3(a)
(b)に示す色剤成分の凝集工程および凝集した色剤成
分の飛翔工程は、図1(a)(b)と同様である。本実
施例においては、図3(b)に示す凝集した色剤成分の
飛翔工程の後、図3(c)に示すように飛翔後の残留色
剤を凝集時と逆極性の電界によって除去し、インクとと
もに搬送するようにしたものである。
【0051】すなわち、図3(c)に示すように図3
(a)の色剤成分凝集工程とは逆に、インク107の搬
送方向下流側の凝集用電極106をアース電位にすると
共に、インク107の搬送方向上流側の凝集用電極10
5に凝集用電圧源118から色剤の帯電極性と同一極性
である例えばプラス50Vの剥離用電圧を印加すること
により、凝集用の電界とは逆極性の高電界を形成する。
この電界により、飛翔されなかった残留色剤119は矢
印120の方向の力を受けてインク流とともに押し出さ
れる。このように飛翔用電極102の記録画点形成領域
103は色剤成分の1回の飛翔毎に清掃され、常に新し
いインクが搬送されて初期状態とされることで、色剤成
分の安定した飛翔を行うことができる。
【0052】図4は、本実施例における各電極への印加
電圧のタイミング関係を示す図であり、(a)は凝集用
電極105に印加する電圧、(b)は凝集用電極106
に印加する電圧、(c)は飛翔用電極102に印加する
信号パルス電圧をそれぞれ示している。
【0053】まず、タイミングt1で凝集用電極106
にプラス50Vの電圧を印加すると共に、凝集用電極1
05をアース電位とする。これにより、プラスに帯電し
た色剤成分が図3のインク107の流れと逆方向の力を
色剤成分に作用させる電界が飛翔用電極105,106
間に形成され、飛翔用電極102の記録画点形成領域1
03において色剤成分110が凝集する。色剤成分が凝
集した後のインク溶媒は、前述したインク還流機構によ
り流れる。
【0054】次に、タイミングt2で凝集用電極10
5,106をいずれもアース電位にすると共に、飛翔用
電極102に200Vの信号電圧を印加する。このよう
にすると、飛翔用電極102と交差した凝集用電極10
5,106間でインク中の凝集した色剤成分に垂直方向
の高電界が作用し、凝集した色剤成分が記録媒体に向け
て飛翔する。このとき、飛翔用電極102から凝集した
色剤成分に直接電荷が注入されることにより、飛翔を容
易にする。凝集用電極102上には薄くSiO2膜が被
覆されており、飛翔用電極102からの逆極性の電荷注
入を防止する。
【0055】さらに、次のタイミングt3で凝集用電極
105にプラス50Vの電圧を印加すると共に凝集用電
極106をアース電位にすることにより、飛翔用電極1
02の記録画点形成領域103に残留するプラスに帯電
し凝集した色剤成分にインク流と同方向の電界力を与え
て残留色剤成分をインク流とともに除去し、t4のタイ
ミングで初期状態にする。このようにして、凝集した色
剤成分を安定に飛翔させて記録を行うことができる。
【0056】(第4の実施例)図5は、本発明の第4の
実施例として磁性インクを使用したインクジェット記録
装置の記録ヘッド部の構成を示す断面図である。
【0057】すなわち、この記録ヘッドにおいては、イ
ンク搬送路300にガラス層を塗布した1mm程度の厚
さのセラミック基板あるいはガラス板からなる絶縁性の
ヘッド基板301が設けられ、このヘッド基板301の
下部に凝集用の磁界を発生する電磁石309が配置され
ている。一方、ヘッド基板301上には記録ドットに対
応する幅100μm程度の飛翔用電極302が図の紙面
に垂直な方向に沿って形成されている。この飛翔用電極
302上には、50μm程度のサイズの記録画点形成領
域303を除き、例えばガラスからなる絶縁層304が
数μm〜数十μmの厚さに形成されている。
【0058】絶縁層304上には、飛翔用電極302と
直交する方向に沿って、インク中の帯電した色剤成分を
凝集させるための100μm程度のギャップを有する一
対の誘導電極305,306が形成される。これらの誘
導電極305,306上には、必要に応じて数μm以下
のSiO2 膜などの絶縁膜(図示せず)が被覆されるこ
とによって、誘導電極305,306からのインク溶媒
への電荷注入を防止すると同時に、誘導電極305,3
06と飛翔用電極302との間の放電を防止している。
飛翔用電極302と誘導電極305,306の厚さは、
数千オングストローム程度とする。
【0059】次に、インク搬送路300に搬送されたイ
ンク中の色剤成分を凝集させ飛翔させる動作について図
5(a)(b)を用いて説明する。図5(a)に、イン
ク中の色剤成分を凝集させる工程を示す。インク307
としては、磁性かつ絶縁性の色剤をインク溶媒中に分散
・浮遊させた磁性インクが用いられ、インク搬送路30
0によってヘッド基板301上に実線矢印308の方向
に沿って一定量ずつ搬送される。この磁性インク307
中の色剤成分は、電磁石309に電流を流すことにより
発生される磁界によってインク307の流れに抗するよ
うに規制され、飛翔用電極302の誘導電極305,3
06間の記録画点形成領域303で符号310に示すよ
うに凝集する。すなわち、磁性インク307中の磁性を
有する色剤成分は記録画点形成領域303に滞留するこ
とによって凝集する。一方、このように色剤成分310
が凝集することによって色剤濃度の減少したインク溶媒
311は、磁界に妨げられることなく破線矢印312の
方向に流れる。
【0060】図5(b)に、凝集した色剤成分310を
電界の力で飛翔させる工程を示す。飛翔用の垂直方向の
強電界を形成するため、誘導電極305,306と絶縁
層304を挟んで設けられた飛翔用電極302に信号電
圧源313から画像信号に応じて例えばプラス200V
のパルス信号電圧を印加する。このパルス信号電圧の印
加により、誘導電極305,306間の記録画点領域3
03にヘッド基板301に対して垂直の方向、つまり記
録媒体316に向かう方向の高電界(〜105V/c
m)が形成され、凝集した色剤成分310が飛翔粒子3
14となって矢印315で示すように記録媒体316に
向けて飛翔する。
【0061】記録媒体316は例えば普通紙であり、ヘ
ッド基板301上の飛翔用電極302および誘導電極3
05,306から100μm程度の距離の位置に配置さ
れ、その背面にプラテンの役割を兼ねる対向電極317
が配置されている。この色剤成分の飛翔の際、飛翔用電
極302によって記録画点領域303で磁性インク30
7中に電荷が注入され、アース電位とされている誘導電
極305,306との間で記録媒体316に向かう方向
に形成される高電界によって、凝集した色剤成分310
が反発され、記録媒体316の方向に粒子314となっ
て効率よく飛翔が行われる。色剤成分が飛翔した後に記
録画点形成領域303上に残留した色剤成分は、電磁石
309に流す電流を遮断し、磁界をオフにすることによ
って、インクと共に搬送・除去される。
【0062】なお、第1〜第4の実施例では飛翔用電極
と一対の凝集用電極または誘導電極とが薄い絶縁層を挟
んだ立体構成としたが、飛翔用電極の両側を一対の凝集
用電極または誘導電極を挟む構造にして、飛翔用電極と
凝集用電極または誘導電極を同一ヘッド基板上に設けて
も良い。また、飛翔用電極を共通電極とし、凝集用電極
または誘導電極を個別電極としと設けても良い。さら
に、カバーのインク吐出孔を記録ドット毎に個別に設け
ずに、連続したスリット状にしても良い。
【0063】(第5の実施例)図6は本発明の第5の実
施例に係るインクジェット記録装置の概略構成を示す断
面図であり、また図7は図6の矢印A方向から見た図で
ある。本実施例は、溶媒中に所定極性に帯電せた色剤を
分散させたインクを用い、このインク中の色剤成分の流
れを一対の凝集用電極間の電界の力で規制して凝集さ
せ、これら凝集用電極と絶縁層を挟んで交差した飛翔用
電極によって発生する電界の力により、凝集した色剤成
分を記録媒体に向けて飛翔させるようにしたものであ
る。
【0064】本実施例においては、主インク室401と
低濃度インク室402および高濃度インク室403が同
一平面上に配設されており、主インク室401と低濃度
インク室402とは回収流路404,405により接続
され、低濃度インク室402と高濃度インク室403と
は搬送流路406により接続されている。また、主イン
ク室401と高濃度インク室403とはインク供給流路
407,408とポンプ409,410を有するインク
還流機構によって接続されている。
【0065】主インク室401は、供給されるインク中
の色剤成分の凝集と飛翔を行うためのものであり、低濃
度インク室402側の内壁面上に凝集用電極411が設
けられ、またこれと反対側に開けられたインク吐出口4
14に面して飛翔用電極415が設けられている。
【0066】飛翔用電極415は、主インク室401の
上記内壁面上に設けられた絶縁性基板421上に形成さ
れている。絶縁性基板421には、図7にも示されるよ
うに主インク室401と低濃度インク室402を接続す
る回収流路404,405の入口であるインク回収口4
12,413が形成されており、飛翔用電極415は絶
縁性基板421のこれらインク回収口412,413を
除く部分に形成されている。
【0067】次に、本実施例の動作を説明する。ここで
使用するインクは、石油の一種である108 Ωcm以上
の絶縁性のケロシンまたはアイソパラフィンからなるイ
ンク溶媒中に、顔料とプラス帯電用の制御剤がバインダ
とともに混合した色剤をコロイド状に分散・浮遊させ、
色剤をプラス極性に帯電させたものである。色剤の帯電
はマイナス極性であってもよく、その場合には凝集用電
極411および飛翔用電極415への印加電圧を逆極性
とすればよい。
【0068】このプラス極性に帯電した色剤を有するイ
ンクは、高濃度インク室403からポンプ409,41
0による正圧でインク供給流路407,408によって
主インク室401に供給される。この状態で凝集用電極
411に凝集用電圧源419から色剤の帯電極性と同一
極性であるプラスの電圧、例えばDC1.0kV程度の
電圧を印加すると、プラスに帯電している色剤成分は凝
集用電極411から与えられる電界の力、つまり静電反
発力によって凝集用電極411から遠ざけられることに
より凝集する。すなわち、主インク室401内のインク
は凝集用電極411から遠い位置では色剤の濃度が高い
状態となり、飛翔用電極415付近に凝集した色剤成分
が集まる。
【0069】次に、飛翔用電極415に信号電圧源42
0から画像信号に応じたパルス信号電圧、すなわち画点
を形成すべきタイミングで例えば500V程度となる電
圧を印加すると、飛翔用電極415付近に存在する凝集
した色剤成分は、飛翔用電極415によって形成される
電界の力でインク吐出口414から飛翔粒子416とな
って記録媒体417に向けて飛翔する。記録媒体417
は例えば普通紙からなり、その背面にプラテンの役割を
兼ねる対向電極418が配置されている。この対向電極
418は接地されており、これによって飛翔粒子416
である色剤成分の飛翔を安定化することができる。この
ようにして、記録媒体417上に画像が記録される。
【0070】一方、こうして色剤成分が飛翔用電極41
5付近に移動することによって色剤濃度が薄くなった主
インク室401内の凝集用電極411付近のインクは、
凝集用電極411から露出するように形成されたインク
回収口412,413から回収流路404,405を通
って低濃度インク室402に排出され、一時的に保存さ
れる。低濃度インク室402内の色剤成分の濃度が非常
に薄く、ほとんどインク溶媒のみからなるインクは、色
剤が大量に含まれている高濃度インク室403に搬送流
路406を通じて運ばれ、高濃度インク室403内のイ
ンク中に溶け出すことにより、主インク室401内のイ
ンクの色剤濃度と同程度まで濃縮される。高濃度インク
室403内のインクは、ポンプ409,410によって
いく供給流路407,408を通って主インク室401
に供給される。主インク室401内のインクは、ポンプ
409,410により一定の圧力に保たれる。
【0071】なお、上記実施例ではインク回収口、回収
流路およびインク供給流路をいずれも2個としたが、こ
れらの数は任意であり、1個でも3個以上でもよい。 (第6の実施例)図8は、本発明の第6の実施例におけ
る凝集用電極を示す図であり、図7と同様、図6の矢印
A方向から見た図である。同図に示されるように、本実
施例では凝集用電極422,423はインク回収口41
2,413の周囲を囲むように同心円状に形成されてい
る。換言すれば、第5の実施例では凝集用電極411は
インク回収口412,413を除く部分に形成された面
状電極であるのに対して、本実施例では径の異なる複数
の線状電極からなっている。その他の構成は、第5の実
施例と同様である。
【0072】なお、本実施例では凝集用電極の数を2個
としたが、1個でも3個以上でもよい。また、同心円状
の凝集用電極が3重となっているが、2重でも4重以上
でもよく、さらに同心円状でなく、1重のリング状であ
ってもよい。
【0073】本実施例においても、凝集用電極422,
423に色剤の帯電極性と同一極性の電圧を印加して、
主インク室401内の凝集用電極422,423の周囲
の色剤成分を静電反発力で凝集用電極422,423か
ら遠ざけることにより、飛翔用電極の付近に高濃度の色
剤成分を凝集させ、飛翔用電極によって記録媒体に向け
て飛翔させることができる。
【0074】また、本実施例ではインク回収口412,
413の周囲のみに設けられた凝集用電極422,42
3によって、インク回収口412,413の周囲のイン
ク中の色剤成分を効率的に静電反発力で凝集用電極42
2,423から遠ざけることができるので、インク回収
口412,413がその付近に色剤成分が滞留して塞が
れることを防止できるという効果も期待できる。
【0075】(第7の実施例)図9は、本発明の第7の
実施例における凝集用電極の構成を示す図であり、図9
(a)はインク室401の側断面図、(b)(c)はイ
ンク室401の底部の平面図である。なお、(b)はイ
ンク吐出口が1個の単一ノズルヘッドの場合、(c)は
インク吐出口が(a)の図の紙面に垂直方向つまり
(c)の上下方向に複数個並んで設けられたマルチノズ
ルヘッドの場合の例である。
【0076】図9に示されるように、本実施例ではイン
ク室401の底部に設けられた絶縁性基板501上に、
複数個の凝集用電極511〜515がインク回収口41
2,413から飛翔用電極415に向かう方向に配列さ
れている。凝集用電極511〜515の形状について
は、図9(b)の単一ノズルヘッドの場合は飛翔用電極
415を中心とした適当な曲率の半弧状とすることが好
ましく、図9(c)のマルチノズルヘッドの場合は平行
な直線状とすることが好ましい。その他の構成は、第5
の実施例と同様である。
【0077】図10(a)(b)(c)は、凝集用電極
511〜515に印加する電圧波形の種々の例であり、
A,B,C,D,Eはそれぞれ凝集用電極511,51
2,513,514,515に印加する電圧波形であ
る。
【0078】図10(a)は、飛翔用電極415に最も
遠い位置の凝集用電極511から飛翔用電極415によ
り近い凝集用電極に向かって順次タイミングのずれた同
じパルス幅のパルス電圧を印加する例、同(b)は飛翔
用電極415に最も遠い位置の凝集用電極511から飛
翔用電極415により近い凝集用電極に向かって順次立
上がりタイミングがずれ、立ち下がりタイミングは同じ
パルス電圧を印加する例、同(c)は飛翔用電極415
に最も遠い位置の凝集用電極511から飛翔用電極41
5により近い凝集用電極に向かって順次電圧値が低下す
る電圧を印加する例である。図10(a)(b)(c)
のいずれの例でも、印加する電圧の極性は色剤成分の帯
電極性と同一極性とする。
【0079】このように凝集用電極511〜515にタ
イミングまたは電圧値の位相がずれた電圧を順次印加す
ると、主インク室401内のインク中の色剤成分は凝集
用電極511〜515から順次受ける静電反発力により
飛翔用電極415に向かって移送されつつ凝集し、飛翔
用電極515付近に凝集した色剤成分が集まる。
【0080】次に、飛翔用電極415に画像信号に応じ
た画点を形成すべきタイミングで例えば500V程度と
なるパルス信号電圧を印加すると、飛翔用電極415付
近に存在する凝集した色剤成分は、飛翔用電極415に
よって形成される電界の力でインク吐出口414から飛
翔粒子となって記録媒体に向けて飛翔する。このように
して記録媒体上に画像が記録される。その他の動作は、
第5の実施例と同様であるため、説明を省略する。
【0081】本実施例によれば、複数の凝集用電極51
1〜515により色剤成分を飛翔用電極515に向かっ
て順次移送しつつ凝集させることにより、第5および第
6の実施例に比較してより効果的に色剤成分の凝集が可
能となる。
【0082】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば色
剤成分の凝集と記録媒体への飛翔を分離して最適にコン
トロールすることが可能であるため、高濃度に色剤成分
を凝集させ、かつ凝集した色剤成分を効率よく記録媒体
へ向けて飛翔させることができる。
【0083】また、特に複数のインク吐出口を有するマ
ルチノズルヘッドを構成する場合、隣接電極間の電界干
渉を防止するために記録ヘッドと記録媒体間の距離を小
さくすることで飛翔用電圧を下げても、色剤成分の凝集
に必要な凝集用電圧をこれとは別個に設定できるため、
色剤成分を効果的に凝集させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係るインクジェット記
録装置における記録ヘッドの構成と色剤成分の凝集・飛
翔動作を説明するための断面図
【図2】本発明の第2の実施例に係るインクジェット記
録装置における記録ヘッドの構成を示す分解斜視図
【図3】本発明の第3の実施例に係るインクジェット記
録装置における記録ヘッドの構成と色剤成分の凝集・飛
翔および残留色剤成分の除去動作を説明するための断面
【図4】同実施例の動作を説明するための各電極への印
加電圧のタイミング関係を示す図
【図5】本発明の第4の実施例に係るインクジェット記
録装置における記録ヘッドの構成と色剤成分の凝集・飛
翔動作を説明するための断面図
【図6】本発明の第5の実施例に係るインクジェット記
録装置の概略構成を示す断面図
【図7】同実施例における凝集用電極の構成を示す図
【図8】本発明の第6の実施例における凝集用電極の構
成を示す図
【図9】本発明の第7の実施例に係るインクジェット記
録装置の要部の構成を示す断面図および平面図
【図10】同実施例における凝集用電極への印加電圧の
タイミング関係を示す図
【符号の説明】
100…インク搬送路 101…ヘッド基板 102…飛翔用電極 103…記録画点形成領域 104…絶縁層 105,106…凝集用電極 107…インク 109…凝集用電圧源 110…凝集した色剤成分 111…インク溶媒 113…信号電圧源 114…飛翔粒子 116…記録媒体 117…対向電極 118…残留色剤除去用電圧源 119…残留色剤 201…カバー 202…インク供給管 205…インク供給流路 206…インク回収流路 207…インク吐出口 300…インク搬送路 301…ヘッド基板 302…飛翔用電極 303…記録画点形成領域 304…絶縁層 305,306…凝集用電極 307…インク 309…電磁石 310…凝集した色剤成分 311…インク溶媒 313…信号電圧源 314…飛翔粒子 316…記録媒体 317…対向電極 401…主インク室 402…低濃度インク室 403…高濃度インク室 404,405…回収流路 406…搬送流路 407,408…インク供給流路 409,410…ポンプ 411…凝集用電極 412,413…インク回収口 414…インク吐出口 415…飛翔用電極 416…飛翔粒子 417…記録媒体 418…対向電極 419…凝集用電圧源 420…信号電圧源 421…絶縁性基板 422,423…凝集用電極 501…絶縁性基板 502…インク供給口 511〜515…凝集用電極
フロントページの続き (72)発明者 保坂 靖夫 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 平原 修三 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 永戸 一志 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 石井 浩一 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 中尾 英之 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 村上 照夫 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (56)参考文献 特開 平2−235755(JP,A) 特開 昭54−85031(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/06

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶媒中に所定極性に帯電した色剤を分散さ
    せたインク中の色剤成分を凝集させ、凝集した色剤成分
    を記録媒体に向けて飛翔させて記録を行うインクジェッ
    ト記録装置であって、 前記インクの搬送路に設けられた凝集用電極を有し、該
    凝集用電極とアース電位点間に前記色剤の帯電極性と同
    一極性の直流電圧を印加することにより、インク中の色
    剤成分の流れを電界の力で規制して色剤成分を凝集させ
    る凝集手段と、前記凝集用電極とは別個に設けられた飛翔用電極を有
    し、該飛翔用電極とアース電位点間に画像信号に応じた
    電圧を印加することにより、 前記凝集手段により凝集し
    た色剤成分を電界の力で記録媒体に向けて飛翔させる飛
    翔手段とを備えたことを特徴とするインクジェット記録
    装置。
  2. 【請求項2】溶媒中に所定極性に帯電した色剤を分散さ
    せたインク中の色剤成分を凝集させ、凝集した色剤成分
    を記録媒体に向けて飛翔させて記録を行うインクジェッ
    ト記録装置であって、 前記インクの搬送路にインク搬送方向に沿って所定間隔
    で設けられた少なくとも第1及び第2の凝集用電極を有
    し、インク搬送方向上流側の第1の凝集用電極をアース
    電位点としてインク搬送方向下流側の第2の凝集用電極
    に前記色剤の帯電極性と同一極性の直流電圧を印加する
    ことにより、インク中の色剤成分の流れを電界の力で規
    制して色剤成分を凝集させる凝集手段と、 前記凝集用電極の近傍に配置された飛翔用電極を有し、
    該飛翔用電極とアース電位点間に画像信号に応じた電圧
    を印加することにより、前記凝集手段により凝集した色
    剤成分を電界の力で記録媒体に向けて飛翔させる飛翔手
    段とを備えたことを特徴とするインクジェット記録装
    置。
  3. 【請求項3】前記第2の凝集用電極をアース電位点とし
    て前記第1の凝集用電極に前記色剤の帯電極性と同一極
    性の直流電圧を印加することにより、前記第1及び第2
    の凝集用電極間に残留した色剤成分をインク搬送方向下
    流側に搬送して除去する除去手段をさらに備えたことを
    特徴とする請求項2記載のインクジェット記録装置。
  4. 【請求項4】溶媒中に所定極性に帯電した色剤を分散さ
    せたインク中の色剤成分を凝集させ、凝集した色剤成分
    を記録媒体に向けて飛翔させて記録を行うインクジェッ
    ト記録装置であって、 前記インクが供給されるインク室と、 前記インク室内に設けられた少なくとも一つの凝集用電
    極を有し、該凝集用電極とアース電位点間に前記色剤の
    帯電極性と同一極性の直流電圧を印加して前記インク中
    の色剤成分を電界の力で該凝集用電極から遠ざけること
    によって色剤成分を凝集させる凝集手段と、前記凝集用電極とは別個に設けられた飛翔用電極を有
    し、該飛翔用電極とアース電位点間に画像信号に応じた
    電圧を印加して、 前記凝集手段により凝集した色剤成分
    を電界の力で記録媒体に向けて飛翔させる飛翔手段とを
    備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
  5. 【請求項5】記凝集手段により色剤成分を凝集させた
    後のインクを前記凝集用電極の近傍に設けられた回収口
    を通して回収する回収手段をさらに備えたことを特徴と
    する請求項4記載のインクジェット記録装置。
  6. 【請求項6】溶媒中に所定極性に帯電した色剤を分散さ
    せたインク中の色剤成分を凝集させ、凝集した色剤成分
    を記録媒体に向けて飛翔させて記録を行うインクジェッ
    ト記録装置であって、 前記インクが供給されるインク室と、 前記インク室内に配列された複数の凝集用電極を有し、
    これらの凝集用電極に前記色剤の帯電極性と同一極性で
    かつ印加タイミングおよび電圧値の少なくとも一方が異
    なる電圧を印加することにより、前記インク中の色剤成
    分を電界の力で該凝集用電極の配列方向に移送しつつ凝
    集させる凝集手段と、前記凝集用電極とは別個に設けられた飛翔用電極を有
    し、該飛翔用電極とアース電位点間に画像信号に応じた
    電圧を印加して、 前記凝集手段により凝集した色剤成分
    を電界の力で記録媒体に向けて飛翔させる飛翔手段とを
    備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
  7. 【請求項7】前記飛翔手段は、前記凝集手段により凝集
    した色剤成分を電界の力で記録媒体に向けて飛翔させる
    ための飛翔用電極に電圧を印加すると共に、該飛翔用電
    極に前記凝集した色剤成分を接触させることにより、凝
    集した色剤成分に電荷注入を行うことを特徴とする請求
    1乃至6のいずれか1項に記載のインクジェット記録
    装置。
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